| 【発明の名称】 |
塩基性ガス処理システム |
| 【発明者】 |
【氏名】杉浦 勉 【住所又は居所】滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡績株式会社総合研究所内
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| 【要約】 |
【課題】環境への塩基性ガスの拡散を安定的に低減することができる、塩基性物質含有ガスから塩基性物質を効率的に処理するシステムを提供する。
【解決手段】塩基性物質含有ガス中の塩基性物質を水、酸または酸化物と気液接触させて処理する洗浄装置に、該洗浄装置から排出される吸着処理済ガスを受け入れ、該処理済ガス中にリークしている塩基性ガスの吸着処理及び脱着処理ができ、且つ前記洗浄装置へ搬送する事ができる機構を有するバックアップ処理装置とを組み合わせる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 塩基性物質含有ガス中の塩基性物質を水、酸または酸化物と気液接触させて処理する洗浄装置と前記洗浄装置で処理済ガス中にリークした塩基性物質を連続的に吸着・脱着処理を行うことができ、該脱着処理された塩基性物質は前記洗浄装置の入口に戻されるように構成されているバックアップ処理装置とを有することを特徴とする塩基性ガス処理システム。 【請求項2】 前記バックアップ処理装置が、吸着エレメントを内説した吸着槽と、該吸着槽へ被処理ガスを供給する被処理ガス供給手段と、該吸着槽へ脱着ガスを供給する脱着ガス供給手段とを備えたガス処理装置であって、該被処理ガス供給手段と該脱着用ガス供給手段とは切り替え可能に設けられ、該吸着エレメントを再生するときは該被処理ガス供給手段を停止し、該脱着用ガス供給手段を作動させ、該吸着エレメントがイオン交換繊維で形成した吸着槽を有していることを特徴とする請求項1記載の塩基性ガス処理システム。 【請求項3】 前記バックアップ処理装置のイオン交換繊維は、水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基からなる郡より選ばれたすくなくとも1つの官能基を繊維母体に結合してなる陽イオン交換繊維であることを特徴とする、請求項1乃至2いずれかに記載の塩基性ガス処理システム。 【請求項4】 イオン交換繊維が、架橋アクリル系繊維である事を特徴とする請求項1乃至3に記載の塩基性ガス処理システム。 【請求項5】 前記塩基性ガスがアンモニアであることを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載の塩基性ガス処理システム。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、例えば空気中に含まれるアンモニアやトリメチルアミン等の塩基性ガスを処理するシステムに関し、特に排気ガスの塩基性ガス濃度を低減するための処理システムに関する。 【背景技術】 【0002】 近年、塩基性物質に対する排出濃度規制が強化されてきており、特にアンモニアやトリメチルアミン等の特定悪臭物質の排ガス濃度を低減するための処理技術の確立が望まれている。特許文献1には、アンモニアを含有する排気ガスを、酸性物質を添着した吸着材に接触させ、該吸着材にアンモニアを吸着させた後に脱着させる工程を含む事を特徴とするアンモニア含有排気ガスの処理方法が記載されている。 【0003】 従来、塩基性ガスを含有する排ガスの処理方法としては、図1に示す水洗浄や中和による薬液洗浄が用いられてきた。すなわち、被処理ガスは送付機1による水洗浄塔下部から供給され、一方洗浄用水は、水貯蓄層3から水補給ポンプ4により、循環ポンプ5によって循環する水循環経路に送られ、該洗浄塔上部に設けられたスプレーノズル6から散布される。該洗浄塔下部から供給された被処理ガスは、かかる散布水によって洗浄された後、ミストセパレーター2によりガスとミストが分離され、ガスは該洗浄塔上部から排出され、ミスト及び水は該洗浄塔下部から排出され、一部の水は循環利用される装置が提案されている。 【0004】 しかし、これら洗浄装置は塩基性ガスを処理するのに簡便な方法であるが、原理的にその除去率をある限界以上に高くすることは困難であり、かつ低濃度の臭気の場合にはその除去率がとくに低下するので、これだけは高い除去率を得られない場合が多い。 【0005】 また、塩基性ガスの除去率を向上させようとすると新鮮な補給水量を増加させる必要があり、また補給水量の増加は塩基性ガスを除去後、系外に排出される廃水量の増加となり、その結果、工場や事業場の排水処理設備の水処理負荷を増大させる問題点を有する。また、酸または酸化剤による薬液洗浄法を用いる場合があるが、その場合も同様に除去率を向上させようとすると薬液および酸化剤の量を多くする必要があり、また生成した塩の用後処理負荷を増大させる問題点を有する。 【特許文献1】特開2002−66255号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 塩基性物質含有ガスから塩基性物質を除去するのに簡便な方法である洗浄装置を単独で使用しても、高い除去率を効率よく得ることが出来ない。本発明は、かかる事情に着目してなされたものであって、環境への塩基性物質の拡散を安定的であり、効率良く低減することができる塩基性ガス処理システムを提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0007】 即ち、本発明は、塩基性物質含有ガス中の塩基性物質を水、酸または酸化物と気液接触させて処理する洗浄装置と前記洗浄装置で処理済ガス中にリークした塩基性物質を連続的に吸着・脱着処理を行うことができ、該脱着処理された塩基性物質は前記洗浄装置の入口に戻されるように構成されているバックアップ処理装置とを有することを特徴とする塩基性ガス処理システムを提供するものである。 【0008】 また、本発明は、前記バッククアップ処理装置が、吸着エレメントを内説した吸着槽と、該吸着槽へ被処理ガスを供給する被処理ガス供給手段と、該吸着槽へ脱着ガスを供給する脱着ガス供給手段とを備えたガス処理装置であって、該被処理ガス供給手段と該脱着用ガス供給手段とは切り替え可能に設けられ、該吸着エレメントを再生するときは該被処理ガス供給手段を停止し、該脱着用ガス供給手段を作動させ、該吸着エレメントがイオン交換繊維で形成した吸着槽を有していることを特徴とする請求項1記載の塩基性ガス処理システムを提供するものである。 【0009】 また、本発明は、前記バックアップ処理装置のイオン交換繊維は、水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基からなる郡より選ばれたすくなくとも1つの官能基を繊維母体に結合してなる陽イオン交換線であることが好ましい。 【0010】 また、本発明は、前記塩基性ガスがアンモニアであることが好ましい。 【発明の効果】 【0011】 本発明により、塩基性物質含有ガスから塩基性物質を安定的で、効率良く処理することができる塩基性ガス処理システムを提供することが可能となる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0012】 図2は本発明の好ましい実施の一形態の例を示す塩基性ガス処理システムのフロー図である。本発明の塩基性ガス処理システムは、大きく分けて塩基性物質含有ガスを導入することができ、塩基性物質を水、酸または酸化物により気液接触させて処理することができる洗浄装置と該洗浄装置から排出される吸着処理済ガスを受け入れ、該処理済ガス中にリークしている有機溶剤の吸着処理及び脱着処理ができ、且つ脱着ガスを前記洗浄装置へ搬送することができるバックアップ処理装置とから構成される。 【0013】 図2において工場や作業場等から排出される塩基性物質含有ガスは、送風機21により水洗浄塔 下部から供給され、一方洗浄用水は、水貯蓄層23から水補給ポンプ24により、循環ポンプ25によって循環する水循環経路に送られ、該洗浄塔上部に設けられたスプレーノズル26から散布される。該洗浄塔下部から供給された塩基性物質含有ガスは、かかる散布水によって洗浄された後、ミストセパレーター22によりガスとミストが分離され、ガスは該洗浄塔上部から排出され、ミスト及び水は該洗浄塔下部から排出され、一部の水は循環利用される。 【0014】 前記洗浄装置は、塩基性物質を吸収液に吸収させるために、塩基性物質含有ガスと吸収液を接触させる方法により充填塔、流動式吸収塔、スプレー塔等の液分散型洗浄塔や気泡塔等のガス分散型洗浄塔が存在するが、水、酸または酸化剤をガスに気液接触させて処理する方式の装置であれば良く、特に限定されるものではない。 【0015】 前記洗浄装置から排出される処理済ガスは、イオン交換繊維28を充填した吸着槽29を備え処理ガス導入ダンパー30,31及び処理ガス排出ダンパー32,33の交互切り替えによって吸着とスチームによる脱着をバッチ処理で行い、脱着された塩基性ガス含有ガスを液化回収するための凝縮器(コンデンサー)を備える塩基性ガス回収装置を用いる。 【0016】 前記バッチ式バックアップ処理装置は、該バックアップ処理装置が脱着処理工程に切り替わる度毎に脱着スチームによって吸着槽内のデッドボリューム分の空気が押し出され、その空気がコンデンサーを経由する事によって発生するコンデンサー内の飽和溶剤分を含む高濃度の溶剤ガスを、前記洗浄装置の処理入口に戻す機能を有する(図1のア)。このシステムによって装置からの塩基性ガス濃度を低減できる。 【0017】 前記塩基性ガス処理システムはバックアップ処理のコストパフォーマンスを考えると被処理ガス風量が小〜中風量(数十〜数百m3/min)の場合が好適であるが、特に限定されるもではない。 【0018】 前記バックアップ装置に使用されるイオン交換繊維は、陽イオン交換繊維である事が好ましい。陽イオン交換繊維であるが故に、例えばアンモニア等の塩基性物質に対して極めて高い吸着性能を発現するからである。 【0019】 ここで、イオン交換繊維は、水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基からなる郡より選ばれた少なくとも1つの官能基を繊維母体に結合してなる陽イオン交換繊維である事が好ましい。また2.0mmmol以上、好ましくは4.0mmmol以上の官能基を繊維母体に結合していることが好ましい。 【0020】 上記のイオン交換繊維としては、ポリビニルアルコール系、ポリスチレン系、フェノール系、アクリロニトリル系などの繊維や織布、不織布を放射線グラフト重合法や化学処理によるイオン交換能を付与したものが利用可能であり、カルボキシル基を有する陽イオン交換繊維としては、アクリロニトリル系共重合体(アクリロニトリルを60%以上含む共重合体)を紡糸し、ヒドラジンで架橋処理し、乾燥後、硝酸→苛政ソーダー→塩酸処理した架橋アクリル系繊維が、溶剤に対する耐久性と高イオン交換性を同時に満足しており利用可能である。また、スルホン酸基を有する繊維としては、ポリオレフィン系樹脂/ポリスチレン樹脂を複合紡糸した繊維を、スルホン化剤(硫酸,発煙硫酸等)でスルホン化した繊維等が、溶剤に対する耐久性と高イオン交換性を同時に満足しており同様に利用可能である。 【0021】 前記洗浄装置はガス冷却効果があり、処理済ガスの温度を低下させ、また相対湿度を向上させる効果を有する。前記バックアップ処理装置は、処理済ガスの温度が低くなることで除去率が著しく向上できることから、この組み合わせは除去率向上の面に置いて非常に良い組み合わせとなる。また、一般的には吸着材による物理吸着除去では、相対湿度が高くなると除去率は低下するが、本発明では酸性物質を添着した吸着材を使用することで、酸・塩基反応が塩基性ガス吸着除去に関与するため、被処理ガスの相対湿度が高くても大幅な性能低下が起こらない特徴があり、被処理ガスの温度を低減し、湿度を向上させる洗浄装置の特性を有効に利用できるバックアップ装置となる。 【0022】 図2に示される塩基性ガス処理システムにおいて、以下に示す条件での被処理ガスを清浄化処理した。 〔実施例〕 アンモニア濃度600ppmを含む温度28℃、相対湿度60%、被処理ガス50Nm3/minで水洗浄装置に導入し、液/ガス比を1〜3L/m3として水洗浄を行ったところ、アンモニアの除去率は90%であり、洗浄装置出口の処理済ガスのアンモニア濃度は60ppmであった。 【0023】 この処理済ガスを継続的にバックアップ処理装置に導入した。バックアップ処理装置は、イオン交換繊維として後述の架橋アクリル系繊維を1塔につき20kg充填した吸着塔を2塔使用し、吸着処理時間7min、スチームによる再生処理時間5minを交互に切り替えアンモニアの吸着と脱着を行った。脱着により得られたアンモニアいとスチームの混合ガスはコンデンサーに導入し、スチームを凝縮させ、未凝縮のアンモニアガスは洗浄装置の入口に戻した。本実施例のシステムにより洗浄化されたガス(バックアップ処理装置での処理後のガス)中のアンモニア濃度は検出限界の2ppm以下までに低減された。アンモニアの濃度は(株)ガステック社製のアンモニアガス検知管No.3M、No.3Hを使用して測定した。 【0024】 上記イオン交換繊維は、下記手法により製造した。アクリロニトリル90質量%と酢酸ビニル10質量%とからなるアクリロニトリル系共重合体(30℃のジメチルホルムアミード中での極限粘度[n]=1.2)10質量部を、50質量%ロダンソーダ水溶液90質量部に溶解した紡糸原液を使用し、常法に従って紡糸、延伸(全延伸倍率:10倍)した後、乾球/湿球=120℃/60℃の雰囲気下で乾燥及び湿熱処理を施して原料繊維(単繊維繊度0.9dtex、繊維長50mm)を得た。この原料繊維を水加ヒドラジン20質量%水溶液中で、架橋導入処理(98℃、6時問)してから純水で洗浄した.洗浄後、乾燥させてから硝酸3質量%水溶液中で酸処理(90℃、2時問)し、引き続き苛性ソ−ダ3質量%水溶液中で加水分解処理90℃、2時間)し、さらに1重量%の塩酸溶液で酸変換してから純水で洗浄した。得られた繊維には、繊維分子中にカルボキシル基6.1mmol/g導入されていた。(0.1モル/L水酸化ナトリウム規定液,フェノールフタレイン指示薬使用による中和点測定による。) 【0025】 以上、説明したように本発明の塩基性ガス処理システムは、環境への塩基性ガスの拡散を安定的に、効率よく低減することができる。 【産業上の利用可能性】 【0026】 本願は、塩基性ガスの処理に関する発明であり、「イオン交換繊維を使用したバックアップ処理装置を使用することで経済的に極めて高い除去率を発現させたものである。」 同時に洗浄装置の後に吸着・脱着を連続的に処理するバックアップ処理装置を設置するシステムを考案したものであり、塩基性ガス処理に限らず酸性ガスや有機溶剤等の排ガス処理に関する広い分野に寄与する事が可能となる。 【図面の簡単な説明】 【0027】 【図1】洗浄装置の一形態の図 【図2】本発明の好ましい一形態の例である、バックアップ処理装置としてディスク型塩基性ガス濃縮装置を用いた場合の塩基性ガス処理システム。 【符号の説明】 【0028】 1 送風機 2 ミストセパレーター 3 水貯蓄槽 4 水供給ポンプ 5 循環ポンプ 6 スプレーノズル 21 送風機 22 ミストセパレーター 23 水貯蓄槽 24 水供給ポンプ 25 循環ポンプ 26 スプレーノズル 27 処理ガス導入ライン 28 吸着材 29 吸着槽 30、31 処理ガス導入ダンパー 32,33 処理ガス排出ダンパー 34 スチーム導入ライン 35 回収ガスライン 36 コンデンサー
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003160 【氏名又は名称】東洋紡績株式会社 【住所又は居所】大阪府大阪市北区堂島浜2丁目2番8号
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| 【出願日】 |
平成16年2月25日(2004.2.25) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2005−238045(P2005−238045A) |
| 【公開日】 |
平成17年9月8日(2005.9.8) |
| 【出願番号】 |
特願2004−49065(P2004−49065) |
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