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【発明の名称】 触媒装置
【発明者】 【氏名】中野 幸一
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器産業株式会社内

【氏名】新田 浩朗
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器産業株式会社内

【氏名】米野 範幸
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器産業株式会社内

【氏名】野澤 真太郎
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器産業株式会社内

【要約】 【課題】従来の触媒装置には基材を金属材料で構成し、基材に直接通電することにより触媒を速やかに活性温度に上昇させるものがあるが、吸着触媒層と金属基材との熱膨張率が大きく異なるため、吸着触媒層が金属基材から剥離し、耐久性能を確保できないという課題があった。

【解決手段】波板形状の加工を施した金属基材1の波間に、表面に吸着触媒層31を設けた無機材料を有する電気絶縁板31を挿入し、金属基材に対し通電により吸着した臭気を分解させる触媒装置とすることにより、温度上昇が速く、ヒートストレスにも強く、耐久性能を確保できる触媒装置とすることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通電により発熱可能な金属基材と無機材料を含有する電気絶縁板を有し、金属基材は波板形状の加工を施した金属基材であり、電気絶縁板はその表面に吸着触媒層を形成した後、前記金属基材の波間に挿入されており、臭気吸着時は金属基材に対して非通電とし、通電により吸着した臭気を分解させる触媒装置。
【請求項2】
電気絶縁板はアルミナ、シリカの少なくともいずれか1つの繊維材料を含有する電気絶縁板である請求項1に記載の触媒装置。
【請求項3】
吸着触媒層は吸着材料と触媒材料の混合層である請求項1または2に記載の触媒装置。
【請求項4】
吸着材料はシリカ、アルミナ、ゼオライトの少なくともいずれか1つを含む請求項3に記載の触媒装置。
【請求項5】
触媒材料は遷移金属の酸化物を含有する触媒材料である請求項3に記載の触媒装置。
【請求項6】
遷移金属はマンガン、銅、コバルトの少なくともいずれか1つを含む請求項5に記載の触媒装置。
【請求項7】
電気絶縁板は、金属基材の波板形状に対して稜線方向を一致させ、かつ金属基材の波方向の直角方向に波板形状の加工を施した請求項1〜6のいずれか1項に記載の触媒装置。
【請求項8】
波板形状の稜線方向に通気する請求項1〜7のいずれか1項に記載の触媒装置。
【請求項9】
金属基材は箔、パンチングメタル、ラス網、金網形状のいずれかである請求項1〜8のいずれか1項に記載の触媒装置。
【請求項10】
上流側に集塵手段を配置した請求項1〜9のいずれか1項に記載の触媒装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、吸着材料を用いて空気中の臭気や有害成分を吸着により除去し、吸着材料に吸着した臭気や有害成分を触媒により酸化分解させる触媒装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の装置として、ハニカム状セラミックス基材の表面に触媒材料および吸着材料を担持し、この吸着材料に臭気成分や有害成分を吸着させ、外部の熱源からの輻射熱や対流熱により加熱して酸化分解し、無臭もしくは無害成分として放出し、吸着材料を再生するものがある。また、触媒材料だけを担持して常時加熱するタイプの触媒装置も一般的である。
【0003】
しかしながら、従来の装置では温度分布が悪く、また触媒の活性温度に達するまでに時間が長くかかるという課題を有しており、近年では基材を通電可能な材料で構成し、基材を金属材料で構成し、基材に直接通電することにより触媒を速やかに活性温度に上昇させる考えのものも見受けられる(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平8−71430号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の金属基材に通電する方法では、吸着触媒層と金属基材との熱膨張率が大きく異なるため、通電、非通電を数多く繰り返せば、ヒートストレスにより、吸着触媒層が金属基材から剥離し、耐久性能を確保できないという課題を有するものであった。
【0005】
本発明は、上記、従来の課題を解決するものであり、速やかに触媒の活性温度に上昇させ、なおかつ耐久的にも信頼できる触媒装置とすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記、従来の課題を解決するために、本発明は、通電により発熱可能な金属基材に対し波板形状の加工を施した金属基材の波間に、表面に吸着触媒層を設けた無機材料を含有する電気絶縁板を挿入し、金属基材に対して臭気吸着時は非通電とし、通電により吸着した臭気を分解させる触媒装置としたものである。
【0007】
このように、熱容量が小さく熱伝導率の高い金属基材とすることで、温度上昇が速く、また温度分布が均一とすることができる。また金属基材は、その波間に挿入した電気絶縁板表面上の吸着触媒層に近接しているため、輻射および熱伝導により速やかに熱が伝わり、吸着した臭気の酸化分解も速やかに行なわれる。なおかつ、吸着触媒層は無機材料を含む電気絶縁板の表面上に形成しているため、吸着触媒層と電気絶縁板の熱膨張率が大きく大きく異ならないことから、ヒートストレスにも強く、耐久性能を確保できる触媒装置とすることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の触媒装置は、速やかに触媒の活性温度に上昇させ、なおかつ耐久的にも信頼できる触媒装置とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
第1の発明は、通電により発熱可能な金属基材に対し波板形状の加工を施した金属基材の波間に、表面に吸着触媒層を設けた無機材料を有する電気絶縁板を挿入し、金属基材に対して臭気吸着時は非通電とし、通電により吸着した臭気を分解させる触媒装置としたものであり、このように、熱容量が小さく熱伝導率の高い金属基材とすることで、温度上昇が速く、また温度分布が均一とすることができる。また金属基材は、その波間に挿入した電気絶縁板表面上の吸着触媒層に近接しているため、輻射および熱伝導により速やかに熱が伝わり、吸着した臭気の酸化分解も速やかに行なわれる。なおかつ、吸着触媒層は吸着性能を確保するためにはある程度の厚さで形成させる必要があるが、無機材料を含む電気絶縁板の表面上に形成しているため、吸着触媒層と電気絶縁板の熱膨張率が大きく異ならないことから、ヒートストレスにも強く、耐久性能を確保できる触媒装置とすることができる。
【0010】
第2の発明は、特に、第1の発明の電気絶縁板の無機材料としてアルミナ、シリカのうち少なくとも1つの繊維材料を含有させることにより、吸着触媒層が繊維の隙間にも浸透し、アンカー効果を有するようになるため、電気絶縁板との接着強度が増加し、さらにヒートストレスに強くなり、耐久性能を確保できる触媒装置とすることができる。
【0011】
第3の発明は、特に、第1または第2の発明の吸着触媒層を吸着材料と触媒材料の混合層とすることにより、吸着材料に吸着した臭気のまわりに触媒材料が偏在することなく存在するため、吸着性能、触媒による分解性能のいずれかに偏ることなく、バランスのよい触媒装置とすることができる。
【0012】
第4の発明は、特に、第3の発明の吸着材料としてシリカ、アルミナ、ゼオライトの少なくともいずれか1つを含むことにより、臭気や有害成分を幅広く吸着し、なおかつ耐熱性を有するため基材への通電による加熱にも熱分解することのない耐久性に優れた触媒装置とすることができる。
【0013】
第5の発明は、特に、第3の発明の触媒材料として遷移金属の酸化物を含有する触媒材料とすることにより、熱触媒としての性能を確保し、また、導電性を有しないことから金属基材との短絡の可能性のない触媒装置とすることができる。
【0014】
第6の発明は、特に、第5の発明の遷移金属としてマンガン、銅、コバルトの少なくともいずれか1つを含むことにより、活性度が高く触媒性能の高い触媒装置とすることができる。
【0015】
第7の発明は、特に、第1から第6の発明の電気絶縁板を、金属基材の波板形状に対して稜線方向を一致させ、かつ金属基材の波方向の直角方向に波板形状の加工を施すことにより、電気絶縁板の表面積が増大することにより、より効率よく臭気や有害成分を除去できる触媒装置とすることができる。
【0016】
第8の発明は、特に、第1から第7の発明の通気方向として、波板形状の稜線方向に通気することにより、通気抵抗の低い有用な触媒装置とすることができる。
【0017】
第9の発明は、特に、第1から第8の発明の金属材料を箔、パンチングメタル、ラス網、金網形状のいずれかとすることにより、加工性に優れ、また、発熱体としての抵抗値を調節することができ、有用な触媒装置とすることができる。
【0018】
第10の発明は、特に、第1から第9の発明の触媒装置において、上流側に集塵手段を配置することにより、ほこりや異物の混入を防ぎ、信頼性の高い触媒装置とすることができる。
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0020】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における触媒装置の構成図を示すものである。図2は、図1に示す触媒装置に用いた金属基材の展開図および斜視図である。
【0021】
図1において、通電可能な金属基材1としては、ここでは金網を用いている。電極端子2および2’はスポット溶接により金属基材1に取り付けられている。平板3はアルミナおよびシリカの無機繊維と無機のバインダーにより平板状に作製された電気絶縁板を基材として、その表面上には吸着触媒層が形成されているものであり、金属基材1の波間に挿入されている。
【0022】
金属基材1である金網の素材としては、汎用性があり、また耐食性の高いステンレスSUS304を用いている。また、ここでは所定の印加電圧において必要な発熱量を得るために、線径0.1mm、メッシュ数は50である金網を用い、図2(A)に示すように幅50mm、長さ600mmの帯状に切断し、図2(B)に示すように波板形状に加工を施している。ここでは、波高さを20mmとし、波の数を15個としている。なお加工時には、繰返し応力による基材の破断を防止するため、山谷部に0.5mm程度のR加工を施し、基材を脱脂させる目的で加熱処理を施しているものである。ここでは400℃30分間行なったものであるが、加熱温度および時間、さらには加熱雰囲気の調節等により、金属表面に酸化皮膜を生成させ、さらに耐腐食性を向上させることも可能である。
【0023】
図3に図1の触媒装置をA−A´方向に切断した時の断面の一部を示す。図3において電気絶縁板31はアルミナおよびシリカの無機繊維から作製された平板であり、吸着触媒層32は吸着材料と触媒材料の混合層として電気絶縁板31の表面に形成されている。電気絶縁板31と吸着触媒層32をもって、図1の平板3を構成しているものである。
【0024】
吸着触媒層32は、ゼオライト100重量部、マンガン酸化物20重量部、コロイダルシリカ30重量部、イオン交換水100重量部を攪拌、混合してスラリーを作成し、このスラリーを、アルミナおよびシリカの無機繊維から作製された電気絶縁板31に塗布した後、130℃で乾燥させ、500℃で20分間の加熱処理をして吸着触媒層32を形成している。本実施の形態では、この吸着触媒層32を形成した電気絶縁板31を、横50mm縦18mmの大きさに切断し、平板の小片とした後、金属基材1である波板状金網の波間に29枚挿入して用いた。このとき乾燥重量としてトータル10gの吸着触媒量とした。電気絶縁板31の面積が合計260平方センチメートルであることから、1平方センチメートルあたり約0.04gの担持重量となる。
【0025】
以上のように構成された触媒装置について、以下その動作、作用を説明する。図1の矢印に示すように、波板形状の稜線方向に臭気や有害成分を含む空気を通気することにより、平板3表面上の吸着触媒層中の吸着材料(ゼオライト)に臭気や有害成分が吸着保持され、清浄空気を供給することができる。
【0026】
次に、金属基材1の電極端子2、2′間に通電し、金属基材1を発熱状態にすれば、輻射および熱伝導により、平板3上の吸着触媒層中の吸着材料(ゼオライト)も加熱され、吸着されていた臭気や有害成分が脱着される。他方、同時に吸着触媒層中の触媒材料(マンガン酸化物)も加熱され触媒活性状態になる。脱着した臭気や有害成分は空気中の酸素とともに、活性状態になった触媒材料(マンガン酸化物)の作用を受け、酸化分解されるため、空気の清浄度を低下させることなく、吸着材料の再生が図れることになる。
【0027】
金属基材1の電極端子2、2′間を再び非通電状態にすると、金属基材1は非発熱状態となることで吸着触媒層32の温度は下がり、再び空気中の臭気や有害成分が層中の吸着材料(ゼオライト)に吸着される。以上の動作を繰り返すことにより、清浄空気を供給しつづけることができる。以上の触媒装置を用いて本発明の有効性を検証する各実験を行なった。
【0028】
(実験例1)
まず、昇温特性を調べた。入力電力を200Wとしたときに、吸着触媒層の中央温度が触媒活性温度である300℃に達するのに要する時間を調べた。なお比較試験として、従来のようにハニカム状セラミックス基材の表面に吸着触媒層を形成し、外部ヒータで加熱する方法(従来法1)や、図1における金属基材1に吸着触媒層を直接形成し、金属基材1に印加し発熱させる方法(従来法2)を調べた。
【0029】
結果は従来法1では、吸着触媒層の中央温度が300℃に達するまでの時間は約200秒、従来法2および、本実施の形態はともに約50秒であった。
【0030】
以上の結果より、外部の熱源から遠くまた局所的に加熱する従来法1よりは格段早く昇温し、直接基材を発熱させる従来法2と、ほぼ同等の昇温特性であった。
【0031】
以上のように本実施の形態では、金属基材1に通電したときの発熱を利用して吸着触媒層32を加熱するが、平板3は金属基材1の波間に挿入され、発熱している金属基材1と近接しているため、吸着触媒層32の温度上昇が速く、臭気の脱着および酸化分解温度に達するまでの時間が非常に短くなるものである。さらには、金属基材1自体が発熱するため均一な熱分布となり偏りがないので、効率よく昇温できるものとなる。
【0032】
(実験例2)
実験例1と同様の実験であるが、通電時間を30分、非通電時間を30分のサイクル試験として1000サイクル行なった。
【0033】
従来法1および本実施の形態では、吸着触媒層に何らの変化も認められなかったが、金属基材に吸着触媒層を形成した従来法2では、約50%の剥離が確認された。
【0034】
以上のように本実施の形態では、電気絶縁板31の表面上に吸着触媒層32を形成してその作用により、空気を浄化するものであるが、所定量の厚みで吸着触媒層32を形成することが必要であり、これを金属基材に直接形成すれば、熱膨張率が大きく違うことからヒートストレスにより剥離等が生じるが、電気絶縁板を無機材料で構成することにより、同様な無機材料である吸着触媒層との熱膨張率がほぼ一致するため、通電、非通電のヒートストレスを繰り返しても、吸着触媒層32の剥離などが生じにくくなり、耐久性に優れたものとなる。
【0035】
さらに、本実施の形態のように無機材料をアルミナやシリカの無機繊維とすることにより、繊維の空隙内にも吸着触媒層32が入り込むため、アンカー効果により、電気絶縁板31と吸着触媒層32の接着力が高まり、さらに耐久性に優れたものとなる。
【0036】
(実験例3)
次に吸着性能を調べた。50ppmに調節されたアンモニアを含む空気を空間速度10000(h-1)の割合で送り込み、出口側の濃度を測定し、除去率の経時変化である破過特性を調べた。比較試験としては、吸着触媒層を上下2層として形成したもの、下地層を吸着材料、上地層を触媒材料としたものを対照実験1、逆に下地層を触媒材料、上地層を吸着材料としたものを対照実験2として行なった。結果を図4に示す。
【0037】
図4より吸着材料を上地層とした対照実験2と本実施の形態はほぼ同等の破過時間であったが、吸着材料を下地層とした対照実験1の破過時間は、ほぼ半分であった。
【0038】
(実験例4)
次に触媒性能を調べた。実験例3で用いた試験体を試験後にそのまま用いて、入力電力200Wとして、発生するアンモニア濃度の経時変化を調べた。結果を図5に示す。なお、このとき吸着触媒層の中央温度はいずれも約1分後には約350℃で安定していた。
【0039】
図5より触媒材料を上地層とした対照実験1と本実施の形態は、いずれの時間もアンモニアの検出が1ppm以下であったのに対して、触媒材料を下地層とした対照実験2では、約1分後にアンモニアが約5ppmのピークに達し、放出量が多かった。
【0040】
実験例3および実験例4の結果から、吸着触媒層32は、吸着材料と触媒材料を上下の2層構造であった場合、例えば下地層に触媒材料、上地層に吸着材料であった場合には、吸着性能は良好であるが、通電による再生時には、臭気や有害成分が触媒作用を受けることなく放出される度合いが大きくなり、逆に、下地層に吸着材料、上地層に触媒材料とした場合には、吸着性能が著しく低下するなど不具合が生じるものであった。
【0041】
以上から、本実施の形態のように、吸着触媒層32を吸着材料と触媒材料の混合層とすることにより、吸着による浄化と触媒による酸化分解がバランスよくなるものである。
【0042】
(実験例5)
次に通気性能を調べた。図6に実験構成図を示す。シロッコファンを定格の12Vで送風し、図6(A)に示すように通気方向を触媒装置の波の稜線方向とした場合には、通気量は約200L/分であった。
【0043】
対照実験として触媒装置を幅100mm、長さ300mmの帯状金網を用い、高さ20mmで波の数を7.5、平板数を14枚とした触媒装置を作成し、図6(B)に示すように波の稜線とは直角方向に通気し同様の実験を行なったところ、通気量は約150L/分に低下していた。
【0044】
以上のように、本実施の形態では、電気絶縁板31の表面に吸着触媒層32を形成し、平板3として金属基材1の波間に挿入されているが、波の稜線方向に通気することにより、通気抵抗の増大を抑え、高効率で臭気や有害成分が吸着保持されるものとなる。
【0045】
以上のいくつかの実験例で示したように、本実施の形態においては、速やかに触媒の活性温度に上昇させ、なおかつ耐久的にも信頼できる有用な触媒装置とすることができる。
【0046】
なお、本実施の形態では、吸着材料としてゼオライトを用いたが、耐熱性を確保し、臭気や有害成分を吸着するものであれば、ゼオライト以外にシリカゲルや活性アルミナなどの吸着剤を用いてもよいものである。またここでは、触媒材料としてマンガン酸化物を用いたが、導電性を有せず、加熱により優れた触媒活性を持つものであれば、マンガン酸化物以外にも、銅やコバルトの酸化物、また、それらの金属種の複合酸化物を用いてもよいものである。
【0047】
また、金属基材1として、ここでは線径やメッシュ数の組み合わせにより抵抗値の調節が容易な金網形状を用いたが、金網形状以外にもパンチングメタル、ラス網など開口部の調節により抵抗値の調節が行なえる基材形状や、さらには厚みなどを調節することにより抵抗値の調節が行なえる箔形状など、これらの形状の金属基材を用いてもよいものである。
【0048】
(実施の形態2)
次に本発明の第2の実施の形態を示す。図7(A)は本実施の形態に用いた触媒装置の構成図であり、図7(B)は図7(A)の触媒装置をB−B´方向に切断した時の一部の断面図である。図7(A)において、71は図1と同様に金網であり金属基材としている。72、72′も同様に電極端子であり、スポット溶接により金属基材71に取り付けられている。73はアルミナおよびシリカの無機繊維および無機バインダーにより形成され、波板加工を施した電気絶縁板の表面上に吸着触媒層を設けた波板であり、金属基材71の波間に挿入されている。なお吸着触媒層の組成および重量は実施の形態1と同等とした。
【0049】
ここで、挿入方向としては、図7(A)に示すように金属基材71の波板形状に対して、波板73の稜線方向を一致させ、また、図7(B)にも示すように、波方向を直角方向として挿入したものである。
【0050】
以上の触媒装置を用いて、吸着実験を行なった。ここでは50ppmのアンモニアを含む空気の送風量を変化させ、その除去率を調べた。比較試験としては、実施の形態1で用いた触媒装置を用いた。空間速度と除去率の関係を図8に示す。
【0051】
同等の空間速度においては、本実施の形態の除去率が、実施の形態1を上回っていおり、電気絶縁板に波板加工を施すことにより、接触面積が増大し、除去効率のよい触媒装置とすることができるものである。
【0052】
ここで、金網(金属基材)は実施例1と同形状として比較したが、波板加工の代わりに矩形加工を施し、波板加工を施した電気絶縁板とあわせて、図9に示すように略ハニカム形状すれば、よりコンパクトに構成できるものである。また、図示していないが同様な作製方法で、円筒コルゲート状として装置を構成することも可能なものである。
【0053】
(実施の形態3)
次に本発明の第3の実施の形態を示す。ここでは、図10に示すように、実施の形態1で用いた触媒装置の上流側に除塵フィルタを加えたものである。除塵フィルタを追加することにより、ほこりや異物の混入を防ぎ、信頼性の高い調湿装置とすることができるものとなる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
以上のように、本発明にかかる触媒装置は、速やかに触媒の活性温度に上昇させ、なおかつ耐久的にも信頼できる触媒装置とすることができるため、脱臭や有害成分を除去する家庭用空気浄化装置のほか、自動車用の触媒装置や、化学プラントの触媒装置などの用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の実施の形態1における触媒装置の構成図
【図2】(A)本発明の実施の形態1における触媒装置の金属基材の展開図(B)同、触媒装置の金属基材を波板加工した斜視図
【図3】図1における触媒装置のA−A’断面図
【図4】本発明の実施の形態1における実験例3のアンモニアの破過特性を示す実験特性図
【図5】本発明の実施の形態1における実験例4のアンモニアの発生経時変化を示す実験特性図
【図6】(A)本発明の実施の形態1における実験例5の実験構成図(B)同、対照実験の実験構成図
【図7】(A)本発明の実施の形態2における触媒装置の構成図(B)同、触媒装置の一部の断面図
【図8】本発明の実施の形態2における実験の空間速度とアンモニアの除去率を示す実験特性図
【図9】本発明の実施の形態2における略ハニカム形状とした触媒装置の構成図
【図10】本発明の実施の形態3における触媒装置の構成図
【符号の説明】
【0056】
1 金属基材(金網)
2 電極端子
31 電気絶縁板
32 吸着触媒層
【出願人】 【識別番号】000005821
【氏名又は名称】松下電器産業株式会社
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地
【出願日】 平成15年12月1日(2003.12.1)
【代理人】 【識別番号】100097445
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 文雄

【識別番号】100103355
【弁理士】
【氏名又は名称】坂口 智康

【識別番号】100109667
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 浩樹

【公開番号】 特開2005−161147(P2005−161147A)
【公開日】 平成17年6月23日(2005.6.23)
【出願番号】 特願2003−401247(P2003−401247)