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【発明の名称】 ガソリンベーパ回収装置
【発明者】 【氏名】森本 裕之
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三菱電機株式会社内

【氏名】高谷 士郎
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三菱電機株式会社内

【氏名】杉本 猛
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三菱電機株式会社内

【氏名】関野 知
【住所又は居所】東京都千代田区九段北一丁目13番5号 三菱電機エンジニアリング株式会社内

【氏名】本橋 俊明
【住所又は居所】神奈川県横浜市栄区飯島町200番地 株式会社タツノ・メカトロニクス内

【氏名】関谷 勝彦
【住所又は居所】神奈川県横浜市栄区飯島町200番地 株式会社タツノ・メカトロニクス内

【要約】 【課題】小型で簡単な装置でなおかつ安全で効率良くガソリンベーパを回収できるガソリンベーパ回収装置を安価に得る。

【解決手段】ガソリンを加圧するためのポンプ3と、このポンプの吸引側に設けられた第一の開閉弁1と、ガソリンベーパと空気を分離する分離手段4と、ガソリンベーパを凝縮・液化し、ガソリンベーパとガソリン液に気液分離するガソリン凝縮器5と、このガソリン凝縮器5のガソリン液を排出する第二の開閉弁2とを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車のガソリンタンク内のガソリンベーパを吸い込み、吸い込んだベーパを液化するガソリン回収装置において、
ガソリンを加圧するためのポンプと、
前記ポンプの吸引側に設けられた第一の開閉弁と、
ガソリンベーパと空気を分離する分離手段と、
ガソリンベーパを凝縮・液化し、ガソリンベーパとガソリン液に気液分離するガソリン凝縮器と、
前記ガソリン凝縮器のガソリン液を排出する第二の開閉弁と、
を備えたことを特徴とするガソリンベーパ回収装置。
【請求項2】
車のガソリンタンク内のガソリンベーパを吸い込み、吸い込んだベーパを液化するガソリン回収装置において、
ガソリンを加圧するためのポンプと、
前記ポンプの吸引側に設けられた第一の開閉弁と、
ガソリンベーパと空気を分離する分離手段と、
ガソリンベーパを凝縮・液化し、ガソリンベーパとガソリン液に気液分離するガソリン凝縮器と、
前記ガソリン凝縮器のガソリン液を排出する第二の開閉弁と、
前記分離手段の下流と前記ガソリン凝縮器の上部とを接続する配管と、
前記配管に設けられた第三の開閉弁と、
を備えたことを特徴とするガソリンベーパ回収装置。
【請求項3】
分離手段の下流とガソリン凝縮器の上部とを接続する配管を、ポンプの吸引側に接続したことを特徴とする請求項2記載のガソリンベーパ回収装置。
【請求項4】
車のガソリンタンク内のガソリンベーパを吸い込み、吸い込んだベーパを液化するガソリン回収装置において、
冷媒を圧縮する圧縮機、圧縮された冷媒を凝縮する凝縮器、凝縮された冷媒を減圧させる絞り装置、及び減圧した冷媒を蒸発させる蒸発器を配管接続した第一の閉回路と、
前記蒸発器を収納したタンク、及びガソリンを凝縮するガソリン凝縮器を配管接続し、水または不凍液を循環させる第二の閉回路と、
ガソリンを加圧するためのポンプと、
前記ポンプの吸引側に設けられた第一の開閉弁と、
ガソリンベーパと空気を分離する分離手段と、
前記ガソリン凝縮器が収納され、ガソリンベーパを凝縮・液化し、ガソリンベーパとガソリン液に気液分離する気液分離手段と、
前記気液分離手段のガソリン液を排出する第二の開閉弁と、
を備えたことを特徴とするガソリンベーパ回収装置。
【請求項5】
車のガソリンタンク内のガソリンベーパを吸い込み、吸い込んだベーパを液化するガソリン回収装置において、
冷媒を圧縮する圧縮機、圧縮された冷媒を凝縮する凝縮器、凝縮された冷媒を減圧させる絞り装置、及び減圧した冷媒を蒸発させる蒸発器を配管接続した第一の閉回路と、
前記蒸発器を収納したタンク、及びガソリンを凝縮するガソリン凝縮器を配管接続し、水または不凍液を循環させる第二の閉回路と、
ガソリンを加圧するためのポンプと、
前記ポンプの吸引側に設けられた第一の開閉弁と、
ガソリンベーパと空気を分離する分離手段と、
前記ガソリン凝縮器が収納され、ガソリンベーパを凝縮・液化し、ガソリンベーパとガソリン液に気液分離する気液分離手段と、
前記気液分離手段のガソリン液を排出する第二の開閉弁と、
前記気液分離手段の出口配管とガソリンを吸引・加圧する前記ポンプの吸引側とを接続する配管と、
前記配管に設けられた第三の開閉弁と、
を備えたことを特徴とするガソリンベーパ回収装置。
【請求項6】
ガソリンベーパと空気を分離する分離手段を着脱可能とし、別部品としたことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載のガソリンベーパ回収装置。
【請求項7】
ガソリンベーパと空気を分離する分離手段に分離膜を用いたことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載のガソリンベーパ回収装置。
【請求項8】
無機物からなる分離膜を用いたことを特徴とする請求項7記載のガソリンベーパ回収装置。
【請求項9】
分離膜の透過ガス側に透過ガス排気手段を備えたことを特徴とする請求項7又は請求項8記載のガソリンベーパ回収装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、気化したガソリン(以下ガソリンベーパと呼ぶ)を回収するためのガソリンベーパ回収装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガソリンスタンドで給油する際、車のガソリンタンク内部は下部にガソリン液が存在し、その上部に気化したガソリンベーパが飽和状態で存在している。ガソリンをガソリンタンクに給油すると、ガソリンタンクとほぼ同等のガソリンベーパが追い出され、回収されることなく大気へ放出されていた。
従来技術としては、このガソリンベーパを4[kgf/cm2]まで圧縮し、冷却することで回収するガソリン回収装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開昭51−34209号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
今までは、車のガソリンタンク内に存在していたガソリンベーパは大気へ放出され、光化学スモッグの主原因とされ、人体に悪影響を及ぼすという問題があった。
また、従来のガソリン回収装置は、ガソリンベーパを4[kgf/cm2]まで加圧する必要があり、その安全性を確保するために、炭化水素をガソリンベーパに混合している。炭化水素は可燃性があるので、炭化水素に対しても安全対策を施す必要が発生し、その分、コストアップに繋がるという問題があった。さらに、炭化水素のコストも掛かる。
また、4[kgf/cm2]までガソリンベーパを加圧するには、大きな圧縮機が必要となり、これもコストアップにつながるという問題があった。
【0005】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、小型で簡単な装置でなおかつ安全で効率良くガソリンベーパを回収できるガソリンベーパ回収装置を安価に提供することを目的としている。さらに回収したガソリンを再利用することも目的としている。
また、オゾン層破壊防止や地球温暖化防止の観点から、ガソリンベーパを冷却するための熱源機には、可燃性の無いHFC冷媒や自然冷媒を用い、環境負荷の低減も目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明のガソリンベーパ回収装置は、ガソリンを加圧するためのポンプと、ポンプの吸引側に設けられた第一の開閉弁と、ガソリンベーパと空気を分離する分離手段と、ガソリンベーパを凝縮・液化し、ガソリンベーパとガソリン液に気液分離するガソリン凝縮器と、ガソリン凝縮器のガソリン液を排出する第二の開閉弁とを備えたものである。
【0007】
また、この発明のガソリンベーパ回収装置は、冷媒を圧縮する圧縮機、圧縮された冷媒を凝縮する凝縮器、凝縮された冷媒を減圧させる絞り装置、及び減圧した冷媒を蒸発させる蒸発器を配管接続した第一の閉回路と、蒸発器を収納したタンク、及びガソリンを凝縮するガソリン凝縮器を配管接続し、水または不凍液を循環させる第二の閉回路と、ガソリンを加圧するためのポンプと、ポンプの吸引側に設けられた第一の開閉弁と、ガソリンベーパと空気を分離する分離手段と、ガソリン凝縮器が収納され、ガソリンベーパを凝縮・液化し、ガソリンベーパとガソリン液に気液分離する気液分離手段と、気液分離手段のガソリン液を排出する第二の開閉弁とを備えたものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明のガソリンベーパ回収装置は、車のガソリンタンク内のガソリンベーパを吸い込み、吸い込んだベーパを液化するものにおいて、ガソリンを加圧するためのポンプと、ポンプの吸引側に設けられた第一の開閉弁と、ガソリンベーパと空気を分離する分離手段と、ガソリンベーパを凝縮・液化し、ガソリンベーパとガソリン液に気液分離するガソリン凝縮器と、ガソリン凝縮器のガソリン液を排出する第二の開閉弁とを備えたので、比較的小さい加圧でガソリンを液化することができる。これにより、安全でなおかつ効率的にガソリンベーパを回収できる装置を提供することができる。
【0009】
この発明のガソリンベーパ回収装置は、冷媒を圧縮する圧縮機、圧縮された冷媒を凝縮する凝縮器、凝縮された冷媒を減圧させる絞り装置、及び減圧した冷媒を蒸発させる蒸発器を配管接続した第一の閉回路と、蒸発器を収納したタンク、及びガソリンを凝縮するガソリン凝縮器を配管接続し、水または不凍液を循環させる第二の閉回路と、ガソリンを加圧するためのポンプと、ポンプの吸引側に設けられた第一の開閉弁と、ガソリンベーパと空気を分離する分離手段と、ガソリン凝縮器が収納され、ガソリンベーパを凝縮・液化し、ガソリンベーパとガソリン液に気液分離する気液分離手段と、気液分離手段のガソリン液を排出する第二の開閉弁とを備えたので、比較的小さい加圧でガソリンを液化することができる。これにより、安全でなおかつ効率的にガソリンベーパを回収できる装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
実施の形態1.
この発明のガソリン回収装置は大きく分けて三つの工程でガソリンを回収する。その工程を図1に示す。各工程について、説明する。
吸引工程:吸引工程は、ガソリン回収装置にガソリンベーパを吸引し、ガソリン回収装置内の圧力を上昇させる工程である。ガソリンスタンドにおいて、車にガソリンを給油する際、ガソリンタンクの低部には液体のガソリン、その上部には飽和のガソリンベーパが存在している。ガソリンタンクに存在しているガソリンベーパを吸引し、回収装置内に送り込み、回収装置内の圧力を上昇させ、ガソリンベーパが凝縮しやすい状態を作り出す。
凝縮工程:凝縮工程は、吸引工程で取り込んだガソリンベーパを回収装置内で凝縮させる工程である。ガソリン回収装置内のガソリンベーパは冷却媒体あるいは周囲空気により冷却され、凝縮・液化し、気液を分離する手段によって、ガソリン液とガソリンベーパに分離される。
排出工程:排出工程は、ガソリン回収装置からガソリン液を排出する工程である。気液分離器からガソリン液を排出する。
【0011】
図2はこの発明の実施の形態1を示すものであり、この発明のガソリン回収装置の全体構成図の一例である。
図2において、1は第一の開閉弁、2は第二の開閉弁、3は吸引・加圧ポンプ、4は空気とガソリンを分離する分離手段、5はガソリンベーパを凝縮・液化させ、ガソリンベーパとガソリン液を分離するガソリン凝縮器(気液分離手段)、6は所定の圧力以上になると開状態となる安全弁である。
ガソリンベーパは加圧されると引火温度は低下し、その危険度は増大するため消防法により、圧力は2[kgf/cm2G]以下に規制されている。これを受け、この発明のガソリン回収装置での所定圧力は2[kgf/cm2G]に設定されている。
この実施の形態1では、第一の開閉弁1、第二の開閉弁2は電磁弁、空気とガソリンを分離する分離手段4は、無機物からなる多孔性セラミックを用いた分離膜である。なお、多孔性セラミックではなく、高分子系の分離膜を用いても良い。
【0012】
次にこの発明の実施に形態1の動作について説明する。車のガソリンタンクの上部に存在しているガソリンベーパをポンプ3で吸引し、ガソリン回収装置内に送り込む。ガソリンが凝縮する速度よりも、ガソリンベーパを送り込む速度の方が速いので、ガソリン回収装置内の圧力は加圧されていく。この時、第一の開閉弁1は開、第二の開閉弁2は閉の状態である。吸引されたガソリンベーパは分離膜4を通り、そこで空気のみがガソリン回収装置から放出され(正確には数%程度のガソリンベーパも放出される)、分離膜4の出口では、ガソリンベーパが濃縮された状態となる。この濃縮されたガソリンベーパがガソリン凝縮器(気液分離器)5に送り込まれる。ガソリンベーパは加圧されているため、周囲温度よりもガソリンベーパの飽和温度が高くなり、ガソリン凝縮器(気液分離器)5を介して、周囲の空気と熱交換し、凝縮し、液状態となる。液状態となったガソリンはガソリン凝縮器(気液分離器)5の底部に、飽和のガソリンベーパが上部に存在する状態となる。所定時間が経過した後、第二の開閉弁2を開にし、液化したガソリン液を排出する。
【0013】
次に、分離膜4の効果について説明する。外気温度が10[℃]、ガソリンベーパの濃度が10[vol%](空気濃度:90[vol%])だとする。ポンプ3により、全圧1[kgf/cm2abs]のガソリンベーパを全圧2[kgf/cm2abs]まで加圧し、分離膜4において、濃度が20[vol%]まで濃縮された場合、ガソリンベーパの分圧は見かけ上、0.4[kgf/cm2abs]となる。10[℃]におけるガソリン蒸気圧は図3より0.22[kgf/cm2abs](図3中の点A)、分離膜4透過後のガソリンベーパの分圧は0.4[kgf/cm2](図3の点B)であり、10[℃]の飽和蒸気圧よりも、高くなるためガソリンベーパとしては存在することができず、液化する。すなわち、この発明のガソリン回収装置内のガソリンベーパの分圧は0.4[kgf/cm2abs]から10[℃]の飽和圧力0.22[kgf/cm2abs]に低下し、その分圧の圧力差分のガソリンベーパが液化することになる。もし、分離膜4を用いない場合は、2[kgf/cm2abs]まで加圧しても、ガソリンベーパとしての分圧は、0.2[kgf/cm2abs(図3の点C)となり、10℃のガソリンベーパの飽和蒸気圧0.22[kgf/cm2abs]よりも低いため、ガソリンベーパは液化しない。
以上のことから、分離膜4を用いることにより、希薄なガソリンベーパを、効率的に液化、回収することができるようになる。
次に分離膜4の原理ついて説明する。分離膜4の構造の一例を図4に示す。図4において、4aは分離膜本体、4bは分離膜のケーシングである。「空気+ガソリンベーパ」が流れ込み、「空気(窒素+酸素)」のみが分離膜4を透過する(厳密にはガソリンベーパも僅かながら透過する)。この発明で用いた分離膜4は、分子サイズの差を用いて行うものである。空気はおよそ0.3nm、ガソリンはおよそ0.4nmで、この分子サイズの差を利用して、分子ふるい的に分離する。空気の方が分子サイズが小さいので、空気が分離膜4を透過することになる。
【0014】
実施の形態2.
図5はこの発明の実施の形態2を示すガソリン回収装置の全体構成図である。
この実施の形態2は、実施の形態1に配管7、および第三の開閉弁8を追加したものである。少なくとも、配管7は分離膜4の下流であるポンプ3の吸引側に接続されており、この実施の形態2では、気液分離器5の上部とポンプ3の吸引側とを接続している。
【0015】
ガソリンの回収工程は、基本的には図1の実施の形態1と同じであるが、凝縮工程において、吸引したガソリンベーパを循環させることが特徴である。
次に動作について説明する。車のガソリンタンクの上部に存在しているガソリンベーパをポンプ3で吸引し、ガソリン回収装置内に送り込み、所定圧力になるまで、加圧していく。この時、第一の開閉弁1は開、第二の開閉弁2は閉、第三の開閉弁8は閉状態である。吸引されたガソリンベーパは分離膜4を通り、そこで空気のみがガソリン回収装置から放出され、分離膜4の出口では、ガソリンベーパが濃縮された状態となる。この濃縮されたガソリンベーパがガソリン凝縮器(気液分離器)5に送り込まれる。車のガソリンタンクからのガソリンベーパの吸引が完了すると、第一の開閉弁1が閉、第三の開閉弁8が開、第二の開閉弁2は閉の状態となり、回収したガソリンベーパを循環させる運転モードとなる。
ガソリン凝縮器(気液分離器)5で液化されなかったガソリンベーパはポンプ3で再び吸引され、分離膜4で空気を排出し、濃縮されたガソリンベーパが再びガソリン凝縮器(気液分離器)5に送り込まれ、そこで凝縮し、ガソリン液となる。
【0016】
次に、ガソリンベーパを循環させる効果について説明する。ガソリンベーパが分離膜4を通過する際、すべての空気を排出することはできない。そこで、ガソリンベーパが分離膜4を何度も通過することにより、ガソリン回収装置内の空気濃度を徐々に低下させることを目的としている。図6に空気濃度とガソリンベーパの伝熱性能(熱伝達率)との関係を示す。図6からも分かるように、空気濃度が低下するほど、伝熱性能は向上する傾向を示す。分離膜4によって、空気を除去することにより、ガソリンベーパの凝縮速度を上昇させることができる。その結果、ガソリンベーパの回収時間を短縮することができる。図7に伝熱性能向上による効果をシミュレーションで試算した結果を示す。図7から分かるように、「分離膜あり」は、「分離膜なし」に比べて、ガソリンベーパの回収時間を大幅に低減することができる(図6の点Bから点Aに低減する)。また回収量も大幅に向上することが分かる(図6の点Dから点Cに回収量がアップする)。回収量がアップしているのは、分離膜4により、ガソリンベーパが濃縮されているため、回収装置内に仕込まれたガソリン量が増えたためである。
以上のことから、分離膜4をガソリン回収装置内に設け、しかもガソリンベーパを循環させることで、ガソリン回収時間と回収量を大幅に向上させることができる。また、比較的小さい加圧でガソリンを液化することができる。これにより、安全でなおかつ効率的にガソリンベーパを回収できる装置を提供できる。
【0017】
実施の形態3.
図8はこの発明の実施の形態3を示すガソリン回収装置の全体構成図である。
実施の形態3の回収装置は、熱源ユニット10aと回収ユニット9aとに大別される。熱源ユニット10aは、圧縮機11、凝縮器12、ファン13、絞り装置14、蒸発器15、蒸発器15を収納したタンク16、循環ポンプ17、およびガソリンベーパ凝縮器18から構成されている。圧縮機11、凝縮器12、絞り装置14、蒸発器15は配管接続され、第一の閉回路を形成している。また、タンク16、ポンプ17、ガソリン凝縮器18は配管接続され第二の閉回路を形成している。第一の閉回路内には冷媒が流動しており、可燃性の無いHFC冷媒(例えばR404A、R410A、R407C等)や自然冷媒(例えばCO2等)が用いられている。また、第二の閉回路内には不凍液(例えば、ブライン(エチレングリコール))が循環している。
なお、0℃以上でガソリンベーパを凝縮させる時は水を用いても良い。
【0018】
回収ユニット9aは、吸引ポンプ3、分離膜4、気液分離器(ガソリン凝縮容器)5、第一の開閉弁1、第二の開閉弁2、安全弁6が配管接続されている。
熱源ユニット10aの動作について説明する。圧縮機11で圧縮された高温・高圧のガス冷媒は凝縮器12で熱を放出し、液の状態となる。液の状態となった冷媒は絞り装置14で減圧され、低温・低圧の気液二相冷媒となり、蒸発器15へと流れ込む。 蒸発器15に流れ込んだ気液二相流は、タンク内16のブラインから熱を吸収し、ガス冷媒となって、圧縮機11へ吸引される。タンク内16のブラインは、冷媒が蒸発することによって、冷やされる。冷やされたブラインは循環ポンプ17によって、ガソリン凝縮器18へ搬送される。ブラインはガソリン凝縮器18の周囲に存在するガソリンベーパと熱交換し、ブラインの温度は上昇し、液体のガソリンが得られる。温度が上昇したブラインは再びタンク16に送り込まれ、そこで再び冷却される。
【0019】
次に、回収ユニット9aについて説明する。第一の開閉弁1の上流よりガソリンベーパが吸引される。第2の開閉弁2は閉状態である。ガソリンベーパの吸引工程を行う。この時、ガソリンベーパが凝縮する速度より、吸引する速度の方が速い場合は、回収装置内の圧力が上昇する。吸引されたガソリンベーパは分離膜4を通り、そこで空気を排出し、濃縮されたガソリンベーパが気液分離器(ガソリン凝縮容器)5に送り込まれる。そこで、ブラインで冷却されているガソリン凝縮器18により、ガソリンベーパが冷却され、液化し、気液分離器5の低部にガソリン液が溜まる。数分程度、吸引工程を行った後、第二の開閉弁2を開き、ガソリン液を回収装置の外へ放出する(排出工程を行う)。
【0020】
この方式の特徴について説明する。実施の形態1と原理的には同じであるが、実施の形態1では周囲温度と熱交換し、液化させていた。このため、周囲温度に、ガソリン回収装置の性能が大きく依存していた。この実施の形態3では、周囲温度ではなく、ブラインにより、冷却しているためかなりの温度までガソリンベーパを冷却することができる。例えば、ブラインにより、ガソリンベーパの温度を−10℃まで低下させると、ガソリンベーパの蒸気圧は0.09[kgf/cm2abs]とかなり低く抑えることができるため、ガソリンベーパの回収量を大幅に改善させることができる。図9にガソリンベーパの温度とガソリン回収率の理論値を示す。図9中に示している温度はガソリンベーパが発生した時の温度(ガソリンベーパは飽和状態)、ガソリン回収装置内の圧力は1.5[kgf/cm2G]である。例えば、20℃における回収率(液化させたガソリン量[g]/ガソリン回収したガソリンベーパの量[g])は、61%程度(図9の点A)であるが、ガソリンベーパの温度を−10[℃](図9の点B)まで冷却すると、85%程度まで向上させることができる。
ブライン温度を−10℃程度にすることにより、今まで大気に放出されていたガソリンの約90%以上は回収することができ、環境への負荷を低減することが実現できる。
また、熱源機に蒸気圧縮式冷凍サイクル装置を用いることで、−10℃程度の温度帯を効率的かつ容易に得ることができるとともに、負荷変動への追従も良い。また、可燃性の無いHFC冷媒や自然冷媒を用いているので、環境への負荷が大変小さいとともに、安全性も確保される。また、比較的小さい加圧でガソリンを液化することができる。これにより、安全でなおかつ効率的にガソリンベーパを回収できる装置を提供できる。
【0021】
実施の形態4.
図10はこの発明の実施の形態4を示すガソリン回収装置の全体構成図である。
この実施の形態4の特徴は、ガソリンベーパを循環させ、なおかつ熱源機にてガソリンベーパを冷却させ、さらに分離膜4によりガソリン濃度を濃縮させているところである。実施の形態3と同じように、熱源ユニット10aと回収ユニット9bとから構成されている。回収ユニット9bは、実施の形態3の回収ユニット9aに比べて、配管7、および第三の開閉弁8が追加されている。
吸引ポンプ3でガソリンベーパを閉回路内で循環させる理由について説明する。ガソリンベーパを循環させると、ガソリン凝縮器18での接触時間が長くなるとともに、ある程度ガス流速が確保されているので、ガソリンベーパの熱伝性能が向上し、回収時間の低減を図ることが可能となるからである。逆に、ガソリンベーパを循環させない場合は、ガソリン凝縮器18での熱伝性能(自然対流的になる)が極端に悪くなるため、回収時間が大幅に長くなり、非常に効率が悪くなる。
また、分離膜4を用いているため空気の濃度が時間とともに低下する。実施の形態2で述べた様に、空気濃度を低減することを行っているので、ガソリンの凝縮熱伝達率が向上し、回収時間を大幅に短縮させることができる。
熱源ユニット10aを用いているため、ガソリンベーパの温度を低くすることが可能となり、回収率をアップさせることができる。原理的には、実施の形態3と同じである。
以上のことから、ガソリンベーパをガソリン回収装置内で循環させるとともに、分離膜4を用い、さらに熱源機に蒸気圧縮式冷凍サイクル装置を用いることで、ガソリン回収量を大幅にアップさせることができ、回収時間も大幅に短縮することができる。
熱源機に蒸気圧縮式冷凍サイクル装置を用いることで−10℃程度の温度帯を効率的かつ容易に得ることができるとともに、負荷変動への追従も良い。また、可燃性の無いHFC冷媒や自然冷媒を用いているので、環境への負荷が大変小さいとともに、安全性も確保される。また、比較的小さい加圧でガソリンを液化することができる。これにより、安全でなおかつ効率的にガソリンベーパを回収できる装置を提供できる。
【0022】
実施の形態5.
図11はこの発明の実施の形態5を示すガソリン回収装置の全体構成図である。
この回収ユニット9cの構成は、実施の形態4の回収ユニット9bに比べて、分離膜4の透過側に透過してきた空気を排出する手段として、排気ポンプ19が用いられている。動作については、実施の形態4と同じである。
排気手段19を用いる目的・効果について説明する。図4に示すように、分離膜4では、「空気+ガソリンベーパ」が流れ込み、「空気(窒素+酸素)」のみが分離膜4を透過する(厳密にはガソリンベーパも僅かながら透過する)。透過の原理は、分子サイズの差を用いて行うものである。空気はおよそ0.3nm、ガソリンはおよそ0.4nmで、この分子サイズの差を利用して、ふるい的に分離する。空気の方が小さいので、空気が分離膜4を透過することになる。透過量は、透過側と供給側との圧力差に比例するため、供給側圧力を高く、透過側圧力を低くし、両者の圧力差を大きくすると透過性能が向上する。この実施の形態5では、透過側の圧力を低くするために、排気ポンプ19として真空ポンプを用いている。理想的には、回収装置内の空気圧力(空気分圧)が透過側の圧力まで下げることが可能である。
以上のことから、真空ポンプ19を分離膜4の透過側に接続することにより、空気濃度を大幅に低減させることができ、ガソリンの凝縮性能(伝熱性能)を大幅に向上させることができるため、回収時間を短縮し、回収率アップを図ることができる。
図11に示すように、分離膜4は上流と下流、そして透過側に着脱可能な継ぎ手20が取り付けられている。分離膜4が経年的に劣化し、所定の性能が得られないときは、分離膜4をガソリン回収装置より取り外し、新しい分離膜をガソリン回収装置に取り付ける。分離膜を着脱可能としたことで、分離膜の経年劣化にも対応することができ、ガソリン回収装置の信頼性を向上させることができる。
【0023】
実施の形態6
図12はこの発明の実施の形態6を示すガソリン回収装置の全体構成図である。
この実施の形態6の回収ユニット9dは、実施の形態5の回収ユニット9cの構成に加えて、分離膜4をバイパスさせる回路24を設けたものである。バイパス回路24により、分離膜4が閉塞した場合、回収性能は悪化するが、回収装置を止めることなく運転できる。
【0024】
実施の形態7
図13はこの発明の実施の形態7を示すガソリン回収装置の全体構成図である。この実施の形態7の回収ユニット9eの特徴は、循環によりガソリンベーパを回収するのではなく、一過式(ワンスルー)でガソリンベーパを液化・回収するところが特徴である。
図13において、1は第一の開閉弁、2は第二の開閉弁、3は吸引・加圧ポンプ、4は空気とガソリンを分離する分離手段、22はガソリンベーパを凝縮・液化させるガソリン凝縮器、21はガソリンベーパを凝縮させ、気液分離を行うための容器であり、上部容器21aと下部容器21bに仕切られており、上部容器21aには冷却されたブラインが充填されており、下部容器21bは液化したガソリンと気体のままのガソリンを分離するための空間である。下部容器21bには、液化したガソリンを排出する配管と気体のままのガソリンと空気を排出するための配管25が接続されている。配管25にはガソリン回収装置内の圧力を一定にするための圧力調整弁23が取り付けられている。
【0025】
熱源ユニット10aは前記の実施の形態とは異なり、タンク16にて冷却されたブラインをポンプ17により、上部容器21a内を循環させている。
ワンスルーでガソリンを凝縮させるため、回転率の高いガソリンスタンドに対応できる。
【0026】
実施の形態8
図14はこの発明の実施の形態8を示すガソリン回収装置の全体構成図である。 図14に示すように、熱源ユニット10b側に蒸発器15を収納したタンク16を設けずに、回収ユニット9f側の上部容器21a部分に蒸発器15aを直接入れた方式である。このようなシステムにすると、ブラインを循環させるポンプ17とタンク16を省くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】この発明のガソリン回収装置の動作フローを示す図である。
【図2】この発明の実施の形態1を示すガソリン回収装置の全体構成図である。
【図3】ガソリンベーパ蒸気圧曲線の一例を示す特性図である。
【図4】この発明の実施の形態1を示すガソリン回収装置の分離膜の概略構造を示す拡大図である。
【図5】この発明の実施の形態2を示すガソリン回収装置の全体構成図である。
【図6】空気濃度とガソリンベーパ伝熱性能との関係を示す特性図である。
【図7】ガソリン回収量と運転時間との関係を示す特性図である。
【図8】この発明の実施の形態3を示すガソリン回収装置の全体構成図である。
【図9】ガソリンベーパ温度と回収率との関係を示す特性図である。
【図10】この発明の実施の形態4を示すガソリン回収装置の全体構成図である。
【図11】この発明の実施の形態5を示すガソリン回収装置の全体構成図である。
【図12】この発明の実施の形態6を示すガソリン回収装置の全体構成図である。
【図13】この発明の実施の形態7を示すガソリン回収装置の全体構成図である。
【図14】この発明の実施の形態8を示すガソリン回収装置の全体構成図である。
【符号の説明】
【0028】
1 第一の開閉弁、 2 第二の開閉弁、 3 吸引・加圧ポンプ、
4 分離手段(分離膜)、5 ガソリン凝縮器(気液分離手段)、 6安全弁、
4a 分離膜本体、 4b 分離膜ケーシング、 7 配管、 8 第三の開閉弁、 9a〜9f 回収ユニット、10a〜10b 熱源ユニット、 11 圧縮機、
12 凝縮器、 13 ファン、 14 絞り装置、 15 蒸発器、 16 タンク 17 循環ポンプ、 18 気液分離手段、19 真空ポンプ、 20 継ぎ手、
21 容器、 21a 上部容器、 21b 下部容器、 22 ガソリン凝縮器、
23 圧力調整弁、24 配管
【出願人】 【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内二丁目2番3号
【識別番号】000151346
【氏名又は名称】株式会社タツノ・メカトロニクス
【住所又は居所】東京都港区芝浦2丁目12番13号
【出願日】 平成15年11月28日(2003.11.28)
【代理人】 【識別番号】100082175
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 守

【識別番号】100106150
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 英樹

【公開番号】 特開2005−161115(P2005−161115A)
【公開日】 平成17年6月23日(2005.6.23)
【出願番号】 特願2003−399994(P2003−399994)