トップ :: B 処理操作 運輸 :: B01 物理的または化学的方法または装置一般




【発明の名称】 抽出装置
【発明者】 【氏名】石井 守
【住所又は居所】東京都品川区北品川五丁目9番11号 住友重機械工業株式会社内

【氏名】長島 実
【住所又は居所】東京都品川区北品川五丁目9番11号 住重環境プラント設計株式会社内

【要約】 【課題】界面の付近に固形物層が形成されるのを抑制することができ、処理能力を高くすることができるようにする。

【解決手段】抽出塔の高さ方向において延在させて形成され、原料と抽剤とを攪拌(かくはん)する攪拌体が配設された胴部25と、第1の集液部と、第2の集液部27と、前記第1の集液部及び第2の集液部27のうちの少なくとも一方に配設され、泡層が形成されるのを抑制する泡層形成抑制部61とを有する。この場合、第1の集液部及び第2の集液部27のうちの少なくとも一方に泡層形成抑制部61が配設されるので、界面S上に液滴層を均等に形成することができる。したがって、液滴層の重みによって、液滴71が粗大化することがなく、液滴71の再合一が促進され、仮に界面Sの付近に固形物が集まっても、泡層が形成されるのを抑制することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)抽出塔の高さ方向において延在させて形成され、原料と抽剤とを攪拌する攪拌体が配設された胴部と、
(b)該胴部より上方に形成された第1の集液部と、
(c)前記胴部より下方に形成された第2の集液部と、
(d)前記第1、第2の集液部のうちの少なくとも一方に配設され、泡層が形成されるのを抑制する泡層形成抑制部とを有することを特徴とする抽出装置。
【請求項2】
(a)前記第1の集液部に原料が、前記第2の集液部に抽剤が供給され、
(b)前記第1、第2の集液部のうちの少なくとも第1の集液部に前記泡層形成抑制部が配設される請求項1に記載の抽出装置。
【請求項3】
(a)前記第1の集液部に抽剤が、前記第2の集液部に原料が供給され、
(b)前記第1、第2の集液部のうちの少なくとも第2の集液部に前記泡層形成抑制部が配設される請求項1に記載の抽出装置。
【請求項4】
前記泡層形成抑制部は、分散させられた液滴の流れを整流する整流装置である請求項1に記載の抽出装置。
【請求項5】
前記整流装置はテーパ状の整流板から成る請求項4に記載の抽出装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、抽出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、液液抽出装置、回転円板塔、交互反転式抽出塔等の抽出装置が提供されているが、例えば、前記液液抽出装置においては、原料(抽料)及び抽剤がいずれも液体の状態で抽出塔に供給され、該抽出塔内において原料中に含有される所定の成分、すなわち、抽質が他の成分から分離させられ、抽出されるようになっている。
【0003】
図2は従来の液液抽出装置の概念図である。
【0004】
図において、11は架構、12は該架構11に取り付けられた抽出塔であり、該抽出塔12に原料及び抽剤がいずれも液体の状態で供給される。前記抽剤は、原料と比重を異ならせて選択され、例えば、抽剤の比重が原料の比重より小さい場合、原料は重液とされて抽出塔12の塔頂に、抽剤は軽液とされて抽出塔12の塔底に供給される。そして、原料は、塔頂から塔底に向けて下方に移動し、抽剤は塔底から塔頂に向けて上方に移動し、その間に、原料中の前記抽質が抽剤に溶解させられる。
【0005】
前記抽出塔12内には、複数の図示されない多孔板を備えたプレートスタック14が塔頂から懸架させられ、モータ15を駆動することによって前記プレートスタック14を上下方向(矢印A方向)に移動させると、例えば、前記抽出塔12内において前記抽剤は原料中に液滴となって分散させられ、塔底の近傍において、原料と抽剤との界面が活性化される。
【0006】
そして、前記抽質が溶解させられた抽剤は、塔頂から抽出液として排出され、原料の残りの成分は、塔底から抽残液として排出される(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2002−58903号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記従来の液液抽出装置においては、原料中に抽質以外にわずかに含有される種々の成分が、前記抽質を抽出する操作、すなわち、抽出操作が進行するのに伴って固形物として析出される。
【0008】
そして、前述されたように、塔頂から抽出液が、塔底から抽残液がそれぞれ排出される場合、抽出塔12内において塔底の近傍で原料と抽剤との界面が形成され、界面の付近に前記固形物が集まると、該固形物が界面汚染物としてロックウール状に堆(たい)積し、泡層を形成してしまう。さらに、該泡層が塔壁本体13の内周面に付着すると、塔壁本体13の壁面において最も厚く、抽出塔12の中心に近くなるほど薄い擂(すり)鉢状の固形物層が形成されてしまう。
【0009】
また、前記液液抽出装置において、抽剤の比重が原料の比重より大きい場合には、原料は抽出塔12の塔底に供給され、塔底から塔頂に向けて上方に移動し、抽剤は抽出塔12の塔頂に供給され、塔頂から塔底に向けて下方に移動するので、塔頂の近傍に前記泡層が形成され、さらに、前記固形物層が形成されてしまう。
【0010】
その結果、該固形物層においては、分散させられた液滴の表面に固形物が蓄積されるので、液滴を再合一させることができなくなり、抽出操作を適正に行えず、液液抽出装置の処理能力が低くなってしまう。
【0011】
また、前記固形物層が拡大して、前記プレートスタック14が配設された分散部に到達すると、分散部に擬似フラッディング状態が形成され、液液抽出装置の連続運転を安定して行うことができなくなってしまう。
【0012】
本発明は、前記従来の液液抽出装置の問題点を解決して、界面の付近に固形物層が形成されるのを抑制することができ、処理能力を高くすることができ、連続運転を安定して行うことができる抽出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
そのために、本発明の抽出装置においては、抽出塔の高さ方向において延在させて形成され、原料と抽剤とを攪拌(かくはん)する攪拌体が配設された胴部と、該胴部より上方に形成された第1の集液部と、前記胴部より下方に形成された第2の集液部と、前記第1、第2の集液部のうちの少なくとも一方に配設され、泡層が形成されるのを抑制する泡層形成抑制部とを有する。
【0014】
本発明の他の抽出装置においては、さらに、前記第1の集液部に原料が、前記第2の集液部に抽剤が供給される。そして、前記第1、第2の集液部のうちの少なくとも第1の集液部に前記泡層形成抑制部が配設される。
【0015】
本発明の更に他の抽出装置においては、さらに、前記第1の集液部に抽剤が、前記第2の集液部に原料が供給される。そして、前記第1、第2の集液部のうちの少なくとも第2の集液部に前記泡層形成抑制部が配設される。
【0016】
本発明の更に他の抽出装置においては、さらに、前記泡層形成抑制部は、分散させられた液滴の流れを整流する整流装置である。
【0017】
本発明の更に他の抽出装置においては、さらに、前記整流装置はテーパ状の整流板から成る。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、抽出装置においては、抽出塔の高さ方向において延在させて形成され、原料と抽剤とを攪拌する攪拌体が配設された胴部と、該胴部より上方に形成された第1の集液部と、前記胴部より下方に形成された第2の集液部と、前記第1、第2の集液部のうちの少なくとも一方に配設され、泡層が形成されるのを抑制する泡層形成抑制部とを有する。
【0019】
この場合、第1、第2の集液部のうちの少なくとも一方に泡層形成抑制部が配設されるので、界面上に液滴層を均等に形成することができる。したがって、液滴層の重みによって、液滴が粗大化することがなく、液滴の再合一が促進され、仮に界面の付近に固形物が集まっても、泡層が形成されるのを抑制することができる。また、液滴の再合一が促進されるので、界面の付近に液滴が滞留することがない。
【0020】
その結果、抽出操作を適正に行うことができ、抽出装置の処理能力を高くすることができる。
【0021】
また、液滴が界面の全体にわたって均等に分布するので、液滴が塔壁本体の内周面に付着しても、上方にせり上がることがなく、擂鉢状の固形物層が形成されるのを抑制することができる。その結果、抽出操作を一層適正に行うことができ、抽出装置の処理能力を一層高くすることができる。
【0022】
さらに、前記固形物層が形成されるのを抑制することができるので、固形物層が拡大することがなく、分散部に擬似フラッディング状態が形成されるのを防止することができる。その結果、抽出装置の連続運転を安定して行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。この場合、抽出装置としての液液抽出装置について説明する。
【0024】
図1は本発明の実施の形態における液液抽出装置の要部を示す断面図、図3は本発明の実施の形態における液液抽出装置の斜視図、図4は本発明の実施の形態におけるプレートスタックの詳細図である。
【0025】
図において、22は図示されない架構に取り付けられた抽出塔であり、該抽出塔22は、高さ方向における中央に、所定の距離にわたって延在させて形成された胴部25、該胴部25より上方の塔頂の近傍に形成された第1の集液部26、及び前記胴部25より下方の塔底の近傍に形成された第2の集液部27を備える。なお、抽出塔22は自立式であってもよい。
【0026】
また、31は円筒形の形状を有する塔壁本体であり、該塔壁本体31は、前記胴部25に位置し、所定の径を有する小径部33、前記第1の集液部26に位置し、前記小径部33の上端から斜め上方に延び、上方になるほど径が大きくされるテーパ部34、前記第1の集液部26に位置し、前記テーパ部34の上端から上方に延び、前記小径部33より大きい径を有する大径部35、前記第2の集液部27に位置し、前記小径部33の下端から斜め下方に延び、下方になるほど径が大きくされるテーパ部36、及び前記第2の集液部27に位置し、前記テーパ部36の下端から下方に延び、前記小径部33より大きい径を有する大径部37を有する。
【0027】
そして、前記抽出塔22の塔頂の近傍、本実施の形態においては、テーパ部34の上端部及び大径部35の上端部に、それぞれ第1の入口41及び第1の出口43が形成され、抽出塔22の塔底の近傍、本実施の形態においては、小径部33の下端部、及び大径部37の上端部に、それぞれ第2の入口42及び第2の出口44が形成される。
【0028】
ところで、液液抽出装置において、原料及び抽剤は、いずれも、図示されない原料タンク及び抽剤タンクからポンプによって吸引され、各水槽内において所定の温度に調整された後、液体の状態で抽出塔22に供給され、該抽出塔22内において、原料中の抽質が抽剤に溶解させられて抽出されるようになっている。
【0029】
そのために、抽剤は、原料と比重を異ならせて選択され、本実施の形態においては、抽剤の比重が原料の比重より小さく、原料は重液とされて第1の入口41に、抽剤は軽液とされて第2の入口42に供給される。そして、抽出塔22内において、原料は、塔頂から塔底に向けて下方に移動し、抽剤は塔底から塔頂に向けて上方に移動し、その間に、原料中の前記抽質が抽剤に溶解させられる。このようにして、原料中の抽質を抽出することができる。
【0030】
そして、該抽質が溶解させられた抽剤は、第1の出口43から抽出液として排出され、図示されない抽出液タンクに収容され、原料の残りの成分は、第2の出口44から抽残液として排出され、図示されない抽残液タンクに収容される。
【0031】
このように、抽剤の比重が原料の比重より小さい場合、第1の入口41は原料入口として、第2の入口42は抽剤入口として、第1の出口43は抽出液出口として、第2の出口44は抽残液出口として機能する。
【0032】
なお、抽剤の比重が原料の比重より大きい場合、原料は軽液とされて第2の入口42に、抽剤は重液とされて第1の入口41に供給される。そして、抽出塔22内において、原料は、塔底から塔頂に向けて上方に移動し、抽剤は塔頂から塔底に向けて下方に移動し、その間に、原料中の前記抽質が抽剤に溶解させられる。
【0033】
前記抽質が溶解させられた抽剤は、第2の出口44から抽出液として排出され、抽出液タンクに収容され、原料の残りの成分は、第1の出口43から抽残液として排出され、抽残液タンクに収容される。
【0034】
このように、抽剤の比重が原料の比重より大きい場合、第1の入口41は抽剤入口として、第2の入口42は原料入口として、第1の出口43は抽残液出口として、第2の出口44は抽出液出口として機能する。
【0035】
なお、抽出塔22、原料タンク、抽剤タンク、抽出液タンク、抽残液タンク等によって前記液液抽出装置が構成される。
【0036】
ところで、前記塔壁本体31内には、塔壁本体31の内周面に近接させて、攪拌体としての円柱状の形状を有するプレートスタック14が塔頂から懸架され、上下(矢印)方向に移動自在に配設される。そして、駆動部としてのモータ15を駆動することによって、前記プレートスタック14を所定のストロークで上下方向に移動させると、前記抽出塔22内の胴部25が分散部を形成し、該分散部において原料と抽剤とが攪拌され、例えば、前記抽剤は原料中に液滴71となって分散させられ、抽出塔22内において塔底の近傍で原料と抽剤との界面が活性化される。
【0037】
前記第1の集液部26は、胴部25と比べて断面積が大きくされて第1の静置部を形成し、該第1の静置部において抽出液の流れが乱れるのが抑制され、前記第2の集液部27は、胴部25と比べて断面積が大きくされて第2の静置部を形成し、該第2の静置部において分散させられた液滴71が再合一するのが促進される。
【0038】
なお、本実施の形態においては、プレートスタック14は上下方向に移動させられて原料及び抽剤を攪拌するようになっているが、塔壁本体31内において攪拌体を回転自在に配設して、該攪拌体を回転させることによって原料及び抽剤を攪拌することもできる。また、本実施の形態においては、抽剤が原料中に液滴71となって分布させられ、抽剤によって分散相が、原料によって連続相が形成されるようになっているが、抽剤及び原料に含まれる各成分によっては、原料を抽剤中に液滴として分布させ、原料によって分散相を、抽剤によって連続相を形成することもできる。
【0039】
そのために、前記プレートスタック14は、最も上端及び最も下端に配設され、網状の形状を有する第1、第2のスパイダープレート51、52、該第1、第2のスパイダープレート51、52間に配設され、円形の形状を有する複数(例えば、15〜60枚)の多孔板45、並びに第1のスパイダープレート51と最も上の多孔板45との間、第2のスパイダープレート52と最も下の多孔板45との間、及び所定の枚数(本実施の形態においては、5枚)の多孔板45ごとに配設された環状のバッフルプレート47を備える。
【0040】
前記各多孔板45には多数の穴が形成され、多孔板45の開口率が50〜60〔%〕にされる。また、各多孔板45は、炭素鋼、高合金鋼、ステンレス等の金属材料から成り、原料、抽剤等の性状に対応させて適正な材質のものが選択される。なお、前記各バッフルプレート47の外径は、前記各多孔板45の外径より大きくされる。
【0041】
前記各多孔板45は、中央に配設された筒状のスペーサsp1、及び多孔板45の円周方向における複数の箇所に等ピッチで配設された複数の筒状のスペーサsp2によって、所定の距離を置いて積層され、前記各多孔板45及びバッフルプレート47内を貫通して延びるタイロッド53によって連結され、ユニット化される。各多孔板45とバッフルプレート47との間、最も下のバッフルプレート47と第2のスパイダープレート52との間、最も下の多孔板45と第2のスパイダープレート52との間等にも、スペーサsp3〜sp5が配設される。なお、前記スペーサsp1、sp2の長さは等しくされ、各スペーサsp1〜sp5の長さを変更することによって、プレートスタック14の各種の使用条件に対応させることができる。また、各バッフルプレート47のうちの数枚おきに配設されたバッフルプレート47は、他のバッフルプレート47よりわずかに径が大きくされ、フッ素樹脂によって形成される。必要に応じて所定の箇所にスパイダープレートを挿入することもできる。
【0042】
前記プレートスタック14の中央には、前記スペーサsp1を貫通してシャフト48が配設される。該シャフト48は、下端において前記第2のスパイダープレート52に固定され、上方に延び、上端において駆動機構55と連結される。
【0043】
該駆動機構55は、モータ15を駆動することによって発生させられた回転の回転運動を往復運動に変換する運動方向変換部として機能し、偏心軸、コネクティングロッド、調心軸受等を備える。
【0044】
前記モータ15を駆動すると、駆動機構55は回転運動を往復運動に変換し、プレートスタック14を上下方向に移動させる。これに伴って、各多孔板45の各穴内を原料及び抽剤が通過し、抽剤の液滴71を細かくする。また、各バッフルプレート47は、小径部33の内周面と各多孔板45の外周縁との間を抜けようとする原料及び抽剤を中央側に偏向させて流し、原料と抽剤とを攪拌する。
【0045】
ところで、原料中に抽質以外にわずかに含有される種々の成分が、抽出操作が進行するのに伴って固形物として析出する。
【0046】
そして、前述されたように、抽出塔22内において塔底の近傍で原料と抽剤との界面が形成されるが、該界面の付近に前記固形物が集まり、該固形物が界面汚染物としてロックウール状に堆積すると、泡層を形成する恐れがある。さらに、該泡層が塔壁本体31の内周面に付着すると、塔壁本体31の壁面において最も厚く、抽出塔22の中心に近くなるほど薄い擂鉢状の固形物層が形成される恐れがある。
【0047】
一方、前記液液抽出装置において、抽剤の比重が原料の比重より大きい場合には、前述されたように、原料は抽出塔22の塔底に供給され、塔底から塔頂に向けて上方に移動し、抽剤は抽出塔22の塔頂に供給され、塔頂から塔底に向けて下方に移動するので、塔頂の近傍で原料と抽剤との界面が形成されるが、該界面の付近に前記固形物が集まり、該固形物が界面汚染物としてロックウール状に堆積すると、前記泡層を形成する恐れがある。さらに、該泡層が塔壁本体31の内周面に付着すると、擂鉢状の固形物層が形成される恐れがある。
【0048】
そこで、第1、第2の静置部のうちの、少なくとも抽出操作中に界面が形成される静置部、本実施の形態においては、第2の静置部に、図1に示されるような複数の整流板から成り、液滴71の流れを整流する整流装置としての泡層形成抑制部61が形成される。
【0049】
該泡層形成抑制部61は、テーパ部36の径方向内方において、テーパ部36のほぼ上端から斜め下方に延び、下方になるほど径が大きくされるテーパ状の第1の整流板62、及び該第1の整流板62より径方向内方において、第1の整流板62よりわずかに上方から第1の整流板62の高さ方向におけるほぼ中央にかけて、斜め下方に延び、下方になるほど径が大きくされるテーパ状の第2の整流板63を備える。
【0050】
前記第1の整流板62は、下端において、径方向外方に、かつ、放射状に延びる支持体64によってテーパ部36に対して支持され、前記第2の整流板63は、下端において、径方向外方に、かつ、放射状に延びる支持体65によって第1の整流板62に対して支持される。
【0051】
この場合、前記第1、第2の整流板62、63は、いずれも、テーパ部36に対して同心状に配設され、テーパ部36と第1の整流板62との間に、下方になるほど径が大きくされるテーパ状の第1の流路66が、第1、第2の整流板62、63間に、下方になるほど径が大きくされるテーパ状の第2の流路67が、第2の整流板63内に、下方になるほど径が大きくされる円錐(すい)形の形状を有する第3の流路68が形成される。
【0052】
したがって、プレートスタック14によって分散させられた液滴71は、胴部25内を降下し、第1、第2の整流板62、63によって矢印方向に分離させられ、第1〜第3の流路66〜68内を流れる間に整流され、下方に形成された界面Sに向けて均一に降下する。
【0053】
その結果、液滴71が界面Sの中央部だけでなく、界面Sの全体にわたって均等に分布するので、界面S上に分散された液滴71の層、すなわち、液滴層が形成され、該液滴層によって分散相が構成される。
【0054】
前記液滴71が第1、第2の整流板62、63及び支持体64、65に付着するのを抑制するために、前記第1、第2の整流板62、63及び支持体64、65は、剥(はく)離性の高い材料、例えば、四フッ化エチレン樹脂(PTFE)等のフッ素樹脂によって形成される。剥離性の高い材料として、前記フッ素樹脂に代えて、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン等の材料を使用することもできる。その場合、液滴71との剥離性をパイロットテスト機又は他の適切な手段によって検査し、検査結果に基づいて材料を選択することが好ましい。
【0055】
さらに、前記第1、第2の整流板62、63及び支持体64、65の本体を金属材料で形成し、本体に剥離性の高い材料を被覆することもできる。
【0056】
このように、本実施の形態においては、第2の集液部27に泡層形成抑制部61が配設されるので、界面S上に液滴層を均等に形成することができる。したがって、液滴層の重みによって、液滴71が粗大化することがなく、液滴71の再合一が促進され、仮に界面Sの付近に固形物が集まっても、泡層が形成されるのを抑制することができる。また、液滴71の再合一が促進されるので、界面Sの付近に液滴71が滞留することがない。
【0057】
その結果、抽出操作を適正に行うことができ、液液抽出装置の処理能力を高くすることができる。
【0058】
そして、液滴71が界面Sの全体にわたって均等に分布するので、液滴71が塔壁本体31の内周面に付着しても、上方にせり上がることがなく、擂鉢状の固形物層が形成されるのを抑制することができる。その結果、抽出操作を一層適正に行うことができ、液液抽出装置の処理能力を一層高くすることができる。
【0059】
また、前記第1、第2の整流板62、63及び支持体64、65は、剥離性の高い材料で形成されるので、液滴71が、前記第1、第2の整流板62、63及び支持体64、65に付着するのが抑制される。したがって、液滴71が上方にせり上がるのを一層防止することができる。
【0060】
しかも、液滴71が界面Sの全体にわたって均等に分布するので、界面Sが明瞭な状態で形成される。その結果、界面Sの制御が容易になるとともに、界面Sの制御の信頼性を向上させることができる。
【0061】
さらに、前記固形物層が形成されるのを抑制することができるので、固形物層が拡大することがなく、分散部に擬似フラッディング状態が形成されるのを防止することができる。その結果、液液抽出装置の連続運転を安定して行うことができる。
【0062】
なお、塔頂の近傍に界面が形成される場合には、第1、第2の静置部のうちの、少なくとも抽出操作中に界面が形成される静置部、すなわち、第1の静置部に泡層形成抑制部が形成される。その場合、泡層形成抑制部において、第1、第2の整流板及び支持体の取付構造が上下逆にされる。
【0063】
また、本実施の形態において、前記泡層形成抑制部61は、第1、第2の整流板62、63を備えるようになっているが、分散部及び第1、第2の静置部の内径に対応させて一つだけの整流板を配設したり、三つ以上の整流板を配設したりすることもできる。
【0064】
なお、前記液液抽出装置における抽出操作には、以下の操作が含まれる。
(1)合成繊維の製造工程における紡糸用の溶剤の回収、粗製品の精製、副生物の分離等
(2)医薬中間体の製造工程における製品の分離精製
(3)各種の化学製品(中間製品を含む)の製造工程における製品の分離精製、粗製品の精製、副生物の分離等
(4)排触媒からの、触媒作用を有する白金、パラジウム、その他の金属等の回収
(5)半導体、コンピュータ部品、その他の電子部品からの金、白金等の貴金属の回収
(6)金属の精錬における各種の金属の精製分離
(7)排水中に含有される有機物の回収
また、前記液液抽出装置における液−液分散のほかに、液−液攪拌の操作に適用したり、他の抽出装置における固−液分散、固−液攪拌、気−液分散、気−液攪拌の各操作に適用することもできる。
【0065】
そして、抽剤には、以下の処理液が含まれる。
(1)ノルマル・ヘプタン、ノルマル・ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ビフェニールナフタリン等の炭化水素類
(2)塩化メチル、塩化メチレン、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類
(3)アセトン、メチル・エチル・ケトン、メチル・イソブチル・ケトン等のケトン類
(4)イソプロピルエーテル、ノルマル・ブチルエーテル、エチル・ベンジルエーテル等のエーテル類
(5)エピクロルヒドリン、ジオキサン、トリオキサン、フルフラール、テトラヒドロフラン等のアセタール類
(6)酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、アクリル酸ブチル等のエステル類
(7)酢酸、プロピオン酸、酪酸、高級アルコール類等の脂肪酸類
(8)フェノール、クレゾール、キシレノール等のフェノール類
(9)ジメチルアミン、トリメチルアミン、アニリン、ピリジン、ピコリン、キノリン等の窒素化合物類
(10)アンスラニル酸メチル、安息香酸メチル、イソオイゲノール、カプロン酸エチル、オイゲノール、グラニオール等の香料
(11)N−メチル−2−ピロリドン、テトラ・メチレン・スルフォン(スルフォラン)等の複素環状化合物
(12)白金、金、銀等の貴金属を含む酸性溶液
(13)ニッケル、バナジウム、亜鉛、銅等の卑金属を含む酸性溶液
(14)NaOH、Ca(OH)2、KOH等の無機化合物を含む溶液
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の実施の形態における液液抽出装置の要部を示す断面図である。
【図2】従来の液液抽出装置の概念図である。
【図3】本発明の実施の形態における液液抽出装置の斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態におけるプレートスタックの詳細図である。
【符号の説明】
【0067】
14 プレートスタック
22 抽出塔
25 胴部
26、27 第1、第2の集液部
61 泡層形成抑制部
62、63 第1、第2の整流板
71 液滴
【出願人】 【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
【住所又は居所】東京都品川区北品川五丁目9番11号
【出願日】 平成15年10月27日(2003.10.27)
【代理人】 【識別番号】100096426
【弁理士】
【氏名又は名称】川合 誠

【識別番号】100089635
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 守

【識別番号】100116207
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 俊明

【公開番号】 特開2005−125274(P2005−125274A)
【公開日】 平成17年5月19日(2005.5.19)
【出願番号】 特願2003−365761(P2003−365761)