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【発明の名称】 セメント製造設備の集塵装置及び集塵方法
【発明者】 【氏名】山本 繁実
【住所又は居所】東京都千代田区六番町6番地28 住友大阪セメント株式会社内

【氏名】中島 辰夫
【住所又は居所】東京都千代田区六番町6番地28 住友大阪セメント株式会社内

【氏名】池澤 和則
【住所又は居所】東京都千代田区六番町6番地28 住友大阪セメント株式会社内

【氏名】山川 泰伸
【住所又は居所】東京都千代田区六番町6番地28 住友大阪セメント株式会社内

【氏名】荒木 泰輔
【住所又は居所】東京都千代田区六番町6番地28 住友大阪セメント株式会社内

【要約】 【課題】有機化合物および/または炭素成分を含む廃棄物をセメント原料の一部として用いる際に、この廃棄物中の油分や炭素分等が排ガス中に揮散した場合であっても、この排ガス中の塵埃の捕集を完全に成すことが可能なセメント製造設備の集塵装置及び集塵方法を提供する。

【解決手段】本発明のセメント製造設備の集塵装置は、セメント製造設備からの排ガスに含まれる塵埃を捕集する集塵装置であり、排ガスに含まれる塵埃を捕集する電気集塵機13と、この電気集塵機13より排出される排ガス中に残存する塵埃を捕集するバグフィルタ41と、排ガスの流動を制御するファン42と、排ガス中に脱臭剤を投入する脱臭剤投入装置43とにより構成したことを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セメント製造設備からの排ガスに含まれる塵埃を捕集する集塵装置であって、
前記排ガスに含まれる塵埃を捕集する電気的集塵手段または力学的集塵手段と、
この電気的集塵手段または力学的集塵手段の下流側に設けられ、これより排出される排ガス中に残存する塵埃を捕集する濾過式集塵手段とを備えてなることを特徴とするセメント製造設備の集塵装置。
【請求項2】
前記電気的集塵手段または力学的集塵手段、または、その下流側に、前記排ガス中に脱臭剤を投入する脱臭剤投入手段を備えてなることを特徴とする請求項1記載のセメント製造設備の集塵装置。
【請求項3】
前記濾過式集塵手段は、バグフィルタであることを特徴とする請求項1または2記載のセメント製造設備の集塵装置。
【請求項4】
前記力学的集塵手段は、慣性集塵機または遠心力集塵機であることを特徴とする請求項1、2または3記載のセメント製造設備の集塵装置。
【請求項5】
前記セメント製造設備は、有機化合物および/または炭素成分を含む廃棄物をセメント原料の一部として用いることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項記載のセメント製造設備の集塵装置。
【請求項6】
有機化合物および/または炭素成分を含む廃棄物をセメント原料の一部として投入し、この廃棄物を含むセメント原料を焼成しクリンカとするセメント製造設備の集塵方法であって、
前記セメント製造設備からの排ガスに含まれる塵埃を電気的集塵手段または力学的集塵手段を用いて捕集する第1の集塵工程と、
前記第1の集塵工程より排出される排ガス中に残存する塵埃を濾過式集塵手段を用いて捕集する第2の集塵工程とを有することを特徴とするセメント製造設備の集塵方法。
【請求項7】
前記第1の集塵工程中または該第1の集塵工程後に、前記排ガス中に脱臭剤を投入することを特徴とする請求項6記載のセメント製造設備の集塵方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、セメント製造設備の集塵装置及び集塵方法に関し、更に詳しくは、有機化合物および/または炭素成分を含む廃棄物をセメント原料の一部として使用する際に、従来の電気集塵機等では完全に集塵し難い有機化合物および/または炭素成分を含む廃棄物からの塵埃の捕集を可能とするセメント製造設備の集塵装置及び集塵方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、セメント原料としては、天然に存在する鉱石を掘削採取して得られる石灰石、粘土質原料、珪石等の珪酸質原料、酸化鉄等を微粉砕混合したものが用いられていたが、近年における社会的な廃棄物減少の要請、各種廃棄物の再利用の高まり等により、各種廃棄物をセメント原料の一部あるいは燃料の一部として用いることが社会的に要請されている。
セメント原料を焼成するロータリーキルンは、1400℃以上の高温になるために、廃棄物に含まれる有機化合物および/または炭素成分が完全燃焼し、かつ高温燃焼するために、ダイオキシンの発生量が極めて少なく、また、焼成により発生する灰分等はセメント原料の一部として取り込まれるために、2次的な廃棄物を発生させる虞がない等により、各種廃棄物の使用量も年々増加しており、それに伴って、処理される廃棄物の種類も広範囲となっている。
【0003】
各種廃棄物としては、無機系廃棄物と有機系廃棄物がある。
無機系廃棄物としては、石炭灰、高炉スラグ、焼却灰等があり、これらは粘土質原料に替わるものとして用いられる。
これらの無機系廃棄物は、主に従来のセメント原料と同等に扱われ、従来のセメント原料と共に所定の割合で配合され乾燥粉砕された後、ロータリーキルンにて焼成され、セメントクリンカとされる。
また、有機系廃棄物としては、例えば、従来のロータリーキルンや仮焼成炉の燃料の一部として用いられる廃プラスチック、廃タイヤ、廃油等がある。
この有機系廃棄物は、セメント製造設備で処理される廃棄物の中では比較的処理が容易なもので、上述した廃プラスチックや廃タイヤ等については、裁断もしくは粗砕された後、燃料の一部として直接ロータリーキルンまたは仮焼炉に投入され、燃焼処理される。
【0004】
また、下水汚泥、工場廃棄汚泥物等の処理が困難な多量の水分を含む有機系廃棄物や、油汚染土壌等についても、セメント製造ラインでの処理が検討され、実施されつつある。
例えば、下水汚泥の場合、何ら前処理を行うことなく含水汚泥のまま密閉輸送し、この含水汚泥を直接、乾式キルン(セメント製造設備)の窯尻部分または仮焼炉に導入し、焼却する汚泥処理方法が提案されている(特許文献1参照)。
また、加熱により悪臭を発生する廃棄物の場合、この廃棄物を生石灰を含む物質と混合し、セメント製造設備のサスペンションプレヒータの下方部とロータリーキルンの口元の間に投入する廃棄物の処理方法が提案されている(特許文献2参照)。
【0005】
図2は従来のセメント製造設備を示す模式図であり、図において、符号1は原料ミル(セメント原料乾燥粉砕機)、2はサイクロン(セメント原料粉分離機)、3はセメント原料貯蔵庫、4は有機系廃棄物を含む原料を貯蔵するサイロ、5は下水汚泥(有機系廃棄物)を含む原料を貯蔵するサイロ、6は廃タイヤ(有機系廃棄物)を含む原料を貯蔵する貯蔵設備、7は廃プラスチックス(有機系廃棄物)を含む燃料を貯蔵するサイロ、8はロータリーキルン(セメント焼成設備)、9はロータリーキルン8内に燃焼用ガスを噴出させるバーナー部(燃焼装置)、10は仮焼炉、11はサスペンションプレヒータ、12はクリンカクーラ、13は電気集塵機、14は排気煙突である。
【0006】
また、21はセメント原料供給ライン、22は有機系廃棄物を含む原料供給ライン、23はセメント原料粉供給ライン、24はセメントクリンカ搬送ライン、25は下水汚泥供給ライン、26は廃タイヤ供給ライン、27は廃プラスチックス供給ラインである。
また、31はサスペンションプレヒータ11から排出される排ガスの流れ、32は原料ミル1から排出される排ガスの流れ、33は電気集塵機13から排出される排ガスの流れ、34はクリンカクーラ12から排出される冷却用空気を仮焼炉10の燃焼用空気として用いるための二次空気の流れである。
【0007】
ここで、有機系廃棄物として、例えば、廃タイヤを焼成用燃料として用いる場合、廃タイヤ貯蔵設備6に貯蔵された前処理をしない状態、または裁断もしくは粗砕された状態の廃タイヤを、ロータリーキルン8の窯尻部に直接投入し、ロータリーキルン8内にて燃焼処理を行う。また、廃プラスチックスを燃料として用いる場合、サイロ7に貯蔵され通常20〜30mm以下に粗砕された廃プラスチックスを、バーナー部9からロータリーキルン8内に、もしくは仮焼炉10内に噴出燃焼させ、処理を行う。
【0008】
一方、下水汚泥を処理する場合、ロータリーキルン8の窯尻部にポンプ圧送し直接投入する方法がとられる。具体的には、下水汚泥等の原料は、サイロ5から密閉型の供給ライン25にてロータリーキルン8に送られ、このロータリーキルン8内にて900〜1100℃の高温の排ガスと接触することにより、下水汚泥に含まれる水分は瞬時に蒸発し、有機系化合物は燃焼する。
したがって、下水汚泥に含まれる臭気性物質は燃焼分解し、排ガスに含まれることはない。また、排ガスに含まれる有機物は殆ど無くなるので、後段に設置する電気集塵機13での集塵効率を悪化させる虞も無い。
【特許文献1】特開平08−276199号公報
【特許文献2】特開2001−192247号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、従来のセメント製造設備においては、下水汚泥等の高含水有機系汚泥をロータリーキルン内に直接投入すると、汚泥中の水分の蒸発に伴い、ロータリーキルンの窯尻部のガスの温度低下や、原料の持つ顕熱を低下させるために、ロータリーキルン内の温度プロファイルが不安定になり、セメント原料粉の焼成温度が変化することとなる。したがって、生成するセメントクリンカの特性が一定せず、セメントの品質の低下を来すことになる。
このように、多量の下水汚泥等の高含水有機系汚泥をロータリーキルンに直接投入した場合、得られるセメントの品質に悪影響を及ぼす虞があるので、下水汚泥等の高含水有機系汚泥の投入量を制限する必要がある。例えば、下水汚泥の場合、セメントクリンカの焼成量に対してせいぜい数重量%が上限である。したがって、瞬時の高温燃焼が絶対条件でなく、水分を多量に含み、しかも有機化合物および/または炭素成分を含む廃棄物、例えば、パルプ系有機物を含む汚泥や、炭素成分を含む焼却灰等は、ロータリーキルン以外の設備を用いて処理することが好ましい。
【0010】
また、このセメント製造設備における有機物を含む廃棄物の処理量を、セメントクリンカの焼成能力を低下させずに、しかも、得られたセメントの品質を低下させることなく増加させるには、上述したパルプ系有機物を含む汚泥や、炭素成分を含む焼却灰等は、セメント原料とともに乾燥粉砕する工程を経てロータリーキルン内に投入する方法が効果的である。
しかしながら、この方法では、上述の廃棄物中に含まれる有機化合物や炭素成分が乾燥粉砕工程で一部揮散し、排ガス中のダストの電気抵抗を不安定化させるために、後段の電気集塵機での集塵効率を悪化させる虞がある。
通常、電気集塵機における排ガスの集塵効率は、排ガス中における粉塵の有する電気抵抗値により変化し、集塵効率が高く保てる電気抵抗値の範囲は10〜5×1010Ω・cmの範囲とされている。ここで、有機物を含まない原料を使用した場合の乾燥粉砕工程で排出される排ガス中のダストの電気抵抗値は10〜1011Ω・cmであるが、電気抵抗値が上昇し1011Ω・cmを超えてくると、電気集塵機内部で逆電離現象やダストに帯電している電荷がスパーク放電等の現象を起こし、集塵が悪化する虞がある。
【0011】
例えば、上記のセメント原料乾燥粉砕工程で無機系廃棄物として石炭灰を、有機系廃棄物として油分等の有機物を含む廃棄物を、それぞれ使用した場合、これらの廃棄物がセメントクリンカ焼成工程からの300℃以下の排ガスと接触することにより、有機物の一部が揮散するが、油分等の有機物は、通常電気抵抗値が低いのに対し、石炭灰等のボイラー飛散ダストの電気抵抗値は1013〜1014Ω・cmと高い。したがって、これらの廃棄物を同時に処理した場合、ダスト中に電気抵抗値の高い物質と低い物質が混在した状態となり、電気集塵機の内部にて逆電離現象が生じたり、集塵されたダストが電気保持力を失ってしまうために極板から再飛散したり等により、電気集塵機の集塵性能が低下することになる。
【0012】
このように、従来のセメント原料乾燥粉砕工程では、有機物を含む廃棄物の使用を制限せざるを得ない。
したがって、瞬時の燃焼が絶対条件でない水分を多量に含みかつ有機物を含む廃棄物の使用量を制限することなく、しかも、この有機物を含む廃棄物からの塵埃の捕集を容易に行うことができる様な集塵装置及び集塵方法が望まれていた。
また、これらの有機物を含む廃棄物は臭気性物質を含むこともあるために、この臭気性物質を含む廃棄物を上記のセメント原料乾燥粉砕工程にて添加した場合には、この臭気性物質が揮散し大気中に排出されてしまうという虞があり、この臭気性物質を脱臭処理する必要がある。
【0013】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、有機化合物および/または炭素成分を含む廃棄物をセメント原料の一部として用いる際に、この廃棄物中の油分や炭素分等が排ガス中に揮散した場合であっても、この排ガス中の塵埃の捕集を完全に成すことが可能なセメント製造設備の集塵装置及び集塵方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、排ガス中の塵埃を捕集する電気集塵機や慣性集塵機の下流側に、排ガス中に残存する塵埃を捕集する濾過式集塵機を設ければ、集塵効率の低下を防止することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0015】
すなわち、本発明のセメント製造設備の集塵装置は、セメント製造設備からの排ガスに含まれる塵埃を捕集する集塵装置であって、前記排ガスに含まれる塵埃を捕集する電気的集塵手段または力学的集塵手段と、この電気的集塵手段または力学的集塵手段の下流側に設けられ、これより排出される排ガス中に残存する塵埃を捕集する濾過式集塵手段とを備えてなることを特徴とする。
【0016】
このセメント製造設備の集塵装置では、セメント製造設備からの排ガスに含まれる塵埃を捕集する電気的集塵手段または力学的集塵手段の下流側に、これより排出される排ガス中に残存する塵埃を捕集する濾過式集塵手段を備えたことにより、上記の電気的集塵手段または力学的集塵手段では完全に捕集されずに排出されてしまった塵埃、例えば、電気抵抗値が10〜5×1010Ω・cmの範囲外の塵埃、帯電し難い塵埃、非イオン性の塵埃等についても濾過式集塵手段により捕集されることとなり、塵埃が排ガスと共に外部へ排出される虞がない。これにより、電気的集塵手段または力学的集塵手段では捕集しきれなかった塵埃についても、濾過式集塵手段により効率よく捕集され、塵埃の捕集効率が向上し、したがって、廃棄物を原料の一部として用いたセメントの生産性が向上する。
【0017】
前記電気的集塵手段または力学的集塵手段、または、その下流側に、前記排ガス中に脱臭剤を投入する脱臭剤投入手段を備えた構成としてもよい。
この様な構成とすることにより、脱臭剤投入手段により排ガス中に投入された脱臭剤が排ガスに含まれる臭気性物質を吸着し、排ガスを無臭化する。これにより、排ガスに臭気性物質が含まれた場合であっても、この臭気性物質が大気中に排出される虞がなくなる。
【0018】
前記濾過式集塵手段は、バグフィルタであることが好ましい。
前記濾過式集塵手段をバグフィルタとすることにより、より高い集塵効率が得られる。
前記力学的集塵手段は、慣性集塵機または遠心力集塵機であることが好ましい。
【0019】
前記セメント製造設備は、有機化合物および/または炭素成分を含む廃棄物をセメント原料の一部として用いることが好ましい。
有機化合物および/または炭素成分を含む廃棄物をセメント原料の一部として用いることにより、この廃棄物に起因する電気的集塵手段では完全に捕集できない電気抵抗値の範囲の塵埃についても、濾過式集塵手段により捕集されることとなり、外部へ排出される虞がない。これにより、有機化合物および/または炭素成分を含む廃棄物をもセメント製造設備で用いることが可能になり、使用可能な廃棄物の種類が拡大するとともに、その使用量も増大する。
【0020】
本発明のセメント製造設備の集塵方法は、有機化合物および/または炭素成分を含む廃棄物をセメント原料の一部として投入し、この廃棄物を含むセメント原料を焼成しクリンカとするセメント製造設備の集塵方法であって、前記セメント製造設備からの排ガスに含まれる塵埃を電気的集塵手段または力学的集塵手段を用いて捕集する第1の集塵工程と、前記第1の集塵工程より排出される排ガス中に残存する塵埃を濾過式集塵手段を用いて捕集する第2の集塵工程とを有することを特徴とする。
【0021】
このセメント製造設備の集塵方法では、第1の集塵工程により、有機化合物および/または炭素成分を含む廃棄物をセメント原料の一部として用いるセメント製造設備からの排ガスに含まれる塵埃を電気的集塵手段または力学的集塵手段を用いて捕集し、第2の集塵工程により、排ガス中に残存する塵埃を濾過式集塵手段を用いて捕集する。
これにより、電気的集塵手段または力学的集塵手段では捕集しきれなかった塵埃、例えば、電気抵抗値が10〜5×1010Ω・cmの範囲外の塵埃、帯電し難い塵埃、非イオン性の塵埃等についても、濾過式集塵手段により効率よく捕集され、塵埃の捕集効率が向上し、したがって、廃棄物を原料の一部として用いたセメントの生産性が向上する。
【0022】
前記第1の集塵工程中または該第1の集塵工程後に、前記排ガス中に脱臭剤を投入することとしてもよい。
この排ガス中に投入された脱臭剤が排ガスに含まれる臭気性物質を吸着し、排ガスを無臭化する。これにより、排ガスに臭気性物質が含まれた場合であっても、この臭気性物質が大気中に排出される虞がなくなる。
【発明の効果】
【0023】
本発明のセメント製造設備の集塵装置によれば、セメント製造設備からの排ガスに含まれる塵埃を捕集する電気的集塵手段または力学的集塵手段の下流側に、これより排出される排ガス中に残存する塵埃を捕集する濾過式集塵手段を備えたので、電気的集塵手段または力学的集塵手段では完全に捕集されずに排出されてしまった塵埃、例えば、電気抵抗値が10〜5×1010Ω・cmの範囲外の塵埃、帯電し難い塵埃、非イオン性の塵埃等についても、濾過式集塵手段により効率よく捕集することができ、外部への塵埃の排出を防止することができる。したがって、塵埃の捕集効率を向上させることができ、廃棄物を原料の一部として用いたセメントの生産性を向上させることができる。
【0024】
前記電気的集塵手段または力学的集塵手段、または、その下流側に、前記排ガス中に脱臭剤を投入する脱臭剤投入手段を備えたので、排ガスを無臭化することができる。したがって、排ガスに臭気性物質が含まれた場合であっても、この臭気性物質が大気中に排出される虞はない。
【0025】
前記濾過式集塵手段をバグフィルタとしたので、より高い集塵効率を得ることができる。
【0026】
前記セメント製造設備は、有機化合物および/または炭素成分を含む廃棄物をセメント原料の一部として用いたので、この廃棄物に起因する電気的集塵手段では完全に捕集できない電気抵抗値の範囲の塵埃についても、濾過式集塵手段により捕集することができ、外部へ排出される虞もない。したがって、有機化合物および/または炭素成分を含む廃棄物をセメント製造設備でセメント原料として用いることができ、使用可能な廃棄物の種類を拡大させることができ、その使用量も増大させることができる。
【0027】
本発明のセメント製造設備の集塵方法によれば、セメント製造設備からの排ガスに含まれる塵埃を電気的集塵手段または力学的集塵手段を用いて捕集する第1の集塵工程と、この第1の集塵工程より排出される排ガス中に残存する塵埃を濾過式集塵手段を用いて捕集する第2の集塵工程とを有するので、電気的集塵手段または力学的集塵手段では捕集しきれなかった塵埃、例えば、電気抵抗値が10〜5×1010Ω・cmの範囲外の塵埃、帯電し難い塵埃、非イオン性の塵埃等についても、濾過式集塵手段により効率よく捕集することができる。したがって、塵埃の捕集効率を向上させることができ、廃棄物を原料の一部として用いたセメントの生産性を向上させることができる。
【0028】
前記第1の集塵工程中または該第1の集塵工程後に、前記排ガス中に脱臭剤を投入することとすれば、排ガスを無臭化することができる。したがって、排ガスに臭気性物質が含まれた場合であっても、この臭気性物質の大気中への排出を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明のセメント製造設備の集塵装置及び集塵方法の一実施の形態について説明する。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0030】
図1は、本発明の一実施形態のセメント製造設備を示す模式図であり、有機化合物および/または炭素成分を含む廃棄物をセメント原料の一部として用いるセメント製造設備の例である。この図1においては、図2と同一の構成要素には同一の符号を付してある。
図において、符号41は電気集塵機(電気的集塵手段)13の下流側に設けられたバグフィルタ、42はバグフィルタ41の下流側に設けられた排ガスの流動を制御するためのファン、43は電気集塵機13の下流側に設けられ排ガス中に脱臭剤を投入する脱臭剤投入装置(脱臭剤投入手段)、44はバグフィルタ41から排出される排ガスの流れである。
これら電気集塵機13、バグフィルタ41、ファン42および脱臭剤投入装置43により本実施形態の集塵装置が構成される。
【0031】
電気集塵機13は、比較的低圧損にて微細な塵埃を捕集するもので、排ガス中の微粒子である塵埃を効果的に除去することができればよく、この電気集塵機13の替わりに慣性集塵機や遠心力集塵機を用いてもよい。
バグフィルタ41は、電気集塵機13では完全に捕集しきれずに排出されてしまった排ガス中に含まれる微粒子である塵埃、例えば、電気抵抗値が10〜5×1010Ω・cmの範囲外の塵埃、帯電し難い塵埃、非イオン性の塵埃等を捕集するもので、耐熱性材料からなるフィルタが好ましい。
【0032】
ファン42は、制御装置(図示せず)により電気集塵機13およびバグフィルタ41を通過する排ガスの流量、ガス圧力等を塵埃除去に効果的な最適な量に制御するもので、特に、電気集塵機13やバグフィルタ41の流量や流速を一定値に保つ機能を有する。
脱臭剤投入装置43は、排ガスに臭気性物質が含まれている場合に、この排ガス中に脱臭剤を投入するもので、脱臭剤の投入は、出発原料に臭気性物質が含まれている有機物を含む廃棄物を用いた場合には、設備の稼働当初から排ガス中に連続的あるいは断続的に投入する方法が用いられる。
【0033】
このセメント製造設備において使用することができる原料としては、天然に存在する鉱石を掘削採取して得られる石灰石、粘土質原料、珪石等の珪酸質原料、酸化鉄等を微粉砕混合したセメント原料の他、無機系廃棄物、有機化合物および/または炭素成分を含む廃棄物、無機系廃棄物および有機化合物および/または炭素成分を含む廃棄物の1種または2種以上を用いることができる。
無機系廃棄物としては、残留炭素を含む石炭灰、高炉スラグ、高炉ダスト、未燃灰等が用いられ、これらの無機系廃棄物は粘土質原料の代替品として好適である。
【0034】
有機化合物および/または炭素成分を含む廃棄物としては、例えば、廃プラスチック、廃タイヤ、廃油等の有機物を含む廃棄物が用いられる。これらの廃棄物は、セメント製造設備で処理される廃棄物の中では比較的処理が容易であり、例えば、廃プラスチック、廃タイヤ等については、裁断もしくは粗砕された後、燃料の一部として直接ロータリーキルン8または仮焼炉10に投入され燃焼処理される。
【0035】
また、セメント原料粉砕工程に有機物を含む廃棄物を用いた場合、排ガス中に臭気性物質を含むこともあるが、この場合においても、排ガス中に脱臭剤を投入することで、該排ガス中の臭気性物質が効果的に除去され、排ガスが無臭化される。このように、脱臭剤の投入により、排ガス中の臭気性物質が効果的に除去され、その結果、排ガスの脱臭効果がより発揮されることとなる。
【0036】
この脱臭作用は、原料ミル1内でのセメント原料による臭気性物質の吸着、バグフィルタ41の濾材による臭気性物質の吸着等によっても行われるものであるが、本実施形態では、電気集塵機13から排出される排ガス中に脱臭剤を投入することにより、脱臭効果を大幅に高めることができる。さらに、電気集塵機13内に脱臭剤を投入することとすれば、脱臭効果をさらに高めることができる。
脱臭剤としては、排ガスに対して脱臭効果を有するものであればよく、特に限定されないが、例えば、粉末薫炭、ゼオライト粉末等が好適に用いられる。これらの脱臭剤は循環再利用が可能なことから、特に好ましいものである。
【0037】
本実施形態では、排ガス中に臭気性物質が含まれていた様な場合、大量の脱臭剤を必要とする場合もある。この場合には、脱臭剤の代替品としてセメント原料粉末を用いることもできる。
例えば、バグフィルタ41の濾材の表面にセメント原料粉末を堆積したセメント原料粉末層を形成し、この粉末層に臭気性物質を含む排ガスを通過させると、排ガス中の臭気性物質はセメント原料粉末に吸着され、排ガスから除去される。このように、原料ミル1にて脱臭されずに残された僅かな臭気性物質は、このセメント原料粉末層にて吸着され除去される。
したがって、サイクロン2で分離されたセメント原料粉末の一部を用い、このセメント原料粉末によりバグフィルタ41の濾材の表面にセメント原料粉末層を形成することにより、臭気性物質を含んだ排ガスの脱臭が可能となる。
【0038】
このセメント製造設備では、上述した廃棄物のセメント原料への調合は、セメント原料と所望の配合になるようにセメント原料貯蔵庫3またはサイロ4から供給ライン21に供給され、原料ミル1内にて調合される。調合された原料は原料ミル1にて乾燥粉砕された後、サイクロン2にて所定の粒度分布を有するセメント原料粉とされ、サスペンションプレヒータ11に供給され、仮焼炉10およびロータリーキルン8により焼成され、セメントクリンカとされる。得られたセメントクリンカは、クリンカクーラ12にて所定の温度まで冷却され排出される。
【0039】
この製造過程においては、無機系廃棄物は、セメント原料貯蔵庫3より他のセメント原料とともに供給ライン21に供給されるが、有機化合物および/または炭素成分を含む廃棄物は、サイロ4から供給ライン21に供給される。
この有機化合物および/または炭素成分を含む廃棄物は、原料ミル1を用いたセメント原料乾燥粉砕工程において含まれる有機物の一部が揮発し、サイクロン2から排出される排ガス中に混入して電気集塵機13に送られる。
【0040】
この電気集塵機13では、排ガス中に混入する塵埃の大部分は捕集されるが、例えば、電気抵抗値が10〜5×1010Ω・cmの範囲外の塵埃、帯電し難い塵埃、非イオン性の塵埃等については捕集しきれずにそのまま排出される。
この捕集しきれずに残った塵埃は、バグフィルタ41により捕集され、また、排ガス中に含まれる臭気性物質は、バグフィルタ41の濾材の表面に形成されたセメント原料粉末層により吸着され、よりクリーンになった排ガスは、排気煙突14から大気中に放出される。
【0041】
バグフィルタ41による脱臭効果を高めるためには、バグフィルタ41の濾材の表面に、例えば、粉末薫炭、ゼオライト粉末等からなる脱臭剤層を絶えず形成しておくことが有効である。なお、この脱臭剤層の替わりにセメント原料粉末層を形成した構成としてもよい。
この脱臭剤層を形成するためには、脱臭剤を電気集塵機13またはその下流側にて投入するのが好ましい。この場合、脱臭剤層をバグフィルタ41の濾材の表面に保持するために、電気集塵機13の集塵率を高くすることが好ましい。
【0042】
本実施形態のセメント製造設備の集塵装置によれば、電気集塵機13の下流側に、排ガス中に含まれる電気抵抗値が10〜5×1010Ω・cmの範囲外の塵埃、帯電し難い塵埃、非イオン性の塵埃等を捕集するバグフィルタ41を設けたので、電気集塵機13では完全に捕集しきれずに排出されてしまった排ガス中に含まれる塵埃を効果的に捕集し、塵埃が除去されたクリーンな排ガスを大気中に排出することができる。
したがって、有機化合物および/または炭素成分を含む廃棄物を含んだセメント原料を使用しても、従来の電気集塵機13のみを用いた場合と比較してセメント焼成系の排ガスの集塵を効果的に行うことができ、したがって、廃棄物のセメント製造設備での処理能力を向上させることができ、大気中に排出される排ガスも極めてクリーン度の高いものとすることができる。
【0043】
本実施形態のセメント製造設備の集塵方法によれば、セメント製造設備からの排ガスに含まれる塵埃を、電気集塵機13およびバグフィルタ41により2段階で捕集するので、電気集塵機13では捕集しきれなかった塵埃についてもバグフィルタ41により効率よく捕集することができる。したがって、塵埃の捕集効率を向上させることができ、廃棄物を用いたセメントの生産量を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明のセメント製造設備の集塵装置及び集塵方法は、セメントクリンカの製造に使用されるセメント製造プラントはもちろんのこと、例えば、マグネシアクリンカ、石灰等の無機材料の製造に使用されるプラントへも適用することができ、その工業上の効果は極めて大である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の一実施形態のセメント製造設備を示す模式図である。
【図2】従来のセメント製造設備を示す模式図である。
【符号の説明】
【0046】
1 原料ミル
2 サイクロン
3 セメント原料貯蔵庫
4 有機系廃棄物を含む原料用サイロ
5 下水汚泥を含む原料用サイロ
6 廃タイヤを含む原料用貯蔵設備
7 廃プラスチックスを含む燃料用サイロ
8 ロータリーキルン(セメント焼成設備)
9 バーナー部(燃焼装置)
10 仮焼炉
11 サスペンションプレヒータ
12 クリンカクーラ
13 電気集塵機(電気的集塵手段)
14 排気煙突
21 セメント原料供給ライン
22 有機系廃棄物を含む原料供給ライン
23 セメント原料粉供給ライン
24 セメントクリンカ搬送ライン
25 下水汚泥供給ライン
26 廃タイヤ供給ライン
27 廃プラスチックス供給ライン
31 サスペンションプレヒータからの排ガスの流れ
32 原料ミルから排出される排ガスの流れ
33 電気集塵機から排出される排ガスの流れ
34 クリンカクーラから排出される二次空気の流れ
41 バグフィルタ
42 ファン
43 脱臭剤投入装置(脱臭剤投入手段)
44 バグフィルタから排出される排ガスの流れ
【出願人】 【識別番号】000183266
【氏名又は名称】住友大阪セメント株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区六番町6番地28
【出願日】 平成15年10月23日(2003.10.23)
【代理人】 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武

【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男

【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆

【識別番号】100101465
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 正和

【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義

【識別番号】100107836
【弁理士】
【氏名又は名称】西 和哉

【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦

【公開番号】 特開2005−125234(P2005−125234A)
【公開日】 平成17年5月19日(2005.5.19)
【出願番号】 特願2003−363604(P2003−363604)