| 【発明の名称】 |
排ガス処理方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】熊 涼慈 【住所又は居所】兵庫県姫路市網干区興浜字西沖992番地の1 株式会社日本触媒内
【氏名】正木 信之 【住所又は居所】兵庫県姫路市網干区興浜字西沖992番地の1 株式会社日本触媒内
【氏名】杉島 昇 【住所又は居所】兵庫県姫路市網干区興浜字西沖992番地の1 株式会社日本触媒内
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| 【要約】 |
【課題】窒素酸化物と金属水銀とを含む排ガスを効率よく処理することができ、大容量の排ガス処理にも適用可能な新たな排ガス処理方法を提供する。
【解決手段】本発明にかかる排ガス処理方法は、窒素酸化物と金属水銀とを含む排ガスを処理するにあたり、Ti−V系触媒を用いて、ハロゲン化合物の存在下で金属水銀をハロゲン化水銀に変化させる反応と、窒素酸化物の処理とを行なうようにする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 窒素酸化物と金属水銀とを含む排ガスを処理するにあたり、Ti−V系触媒を用いて、ハロゲン化合物の存在下で金属水銀をハロゲン化水銀に変化させる反応と、窒素酸化物の処理とを行なうようにする、排ガス処理方法。 【請求項2】 前記Ti−V系触媒が、ケイ素、ジルコニウム、アルミニウム、タングステンおよびモリブデンからなる群より選ばれる1種または2種とチタンとの二元系または三元系複合酸化物を含有するものである、請求項1に記載の排ガス処理方法。 【請求項3】 前記ハロゲン化水銀は吸収液で捕捉することによって排ガスから除去する、請求項1または2に記載の排ガス処理方法。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、窒素酸化物とともに金属水銀をも含む排ガスを効率よく処理することができる、排ガス処理方法に関する。 【背景技術】 【0002】 従来、排ガス中の窒素酸化物(NOx)を処理する方法として、アンモニアまたは尿素などの還元剤を用いて排ガス中の窒素酸化物を脱硝活性を有する触媒上で接触還元し、無害な窒素と水とに分解する選択的触媒還元法(いわゆるSCR法)が知られており、これを採用した排ガス処理システムが実用化されている。 しかし、排ガス中には、窒素酸化物(NOx)とともに、有害物質である水銀が、金属水銀(Hg0)もしくは塩化水銀(HgCl2)のようなハロゲン化水銀として含まれていることがある。水銀は、ハロゲン化水銀として存在する場合には、水に容易に吸収されるために捕捉・除去することは比較的容易であるが、金属水銀として存在する場合には、水にほとんど吸収されないため除去が困難である。このため、窒素酸化物とともに水銀をも含む排ガスを従来の前記SCR法による排ガス処理システムで処理した場合、金属水銀が蒸気として大気中に排出される恐れがあった。 【0003】 これまで、排ガス中から水銀(金属水銀を含む)を除去する技術としては、例えば、活性炭吸着法や次亜塩素酸ソーダ吸収法が知られている(例えば、特許文献1、2など参照)。詳しくは、活性炭吸着法としては、例えば、排ガス中に活性炭粉末を吹き込んでバグフィルターで回収する方法が実用化されており、一方、次亜塩素酸ソーダ吸収法としては、例えば、排ガス処理システムにおける冷却塔の冷却水、脱硫吸収塔の吸収液、湿式電気集じん機の供給水や循環水等に、次亜塩素酸ソーダを直接添加する方法が実用化されている。 しかしながら、排ガス中から水銀(金属水銀を含む)を除去するための前記活性炭吸着法は、水銀を吸着させた活性炭を再生して繰り返し使用することができないので、活性炭に多大なコストがかかるものであり、しかも使用済み活性炭の処分も問題となる。一方、前記次亜塩素酸ソーダ吸収法は、排ガス処理システムの主要機器に次亜塩素酸ソーダを加えるものであるので、装置内の腐食が懸念されると同時に、次亜塩素酸ソーダに多大なコストがかかるものであり、しかも該次亜塩素酸ソーダによる2次公害の恐れがあり、生じた排水の処分も問題となる。そのため、活性炭吸着法および次亜塩素酸ソーダ吸収法はいずれも、ゴミ焼却排ガス等の少量の排ガス処理においてのみ実用化されているものであり、発電所排ガス等の大容量ガスの処理には適用し難いものであった。 【0004】 したがって、水銀(金属水銀を含む)除去のために活性炭や次亜塩素酸ソーダを用いることなく、大容量の排ガス処理にも適用することができ、窒素酸化物とともに金属水銀をも処理することができる新たな方法が求められている。 【特許文献1】特開平5−31323号公報 【特許文献2】特公昭47−46270号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 そこで、本発明は、窒素酸化物と金属水銀とを含む排ガスを効率よく処理することができ、大容量の排ガス処理にも適用可能な新たな排ガス処理方法を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0006】 本発明者は上記課題を解決するべく、鋭意検討を行った。その結果、金属水銀とハロゲン化合物の反応に関して、例えばハロゲン化合物がHClである場合、下記(1)式 Hg0+2HCl+1/2O2⇔HgCl2+H2O (1) に示す平衡反応において、HCl存在下、触媒を用いることにより平衡が右へ移動することに着目し、この反応を利用して金属水銀を捕捉・除去が容易なハロゲン化水銀に変換すれば、排ガス中から容易に金属水銀を除去することができると考えた。さらに、前記金属水銀をハロゲン水銀に変化させる反応における触媒を改良し、該触媒に高い脱硝活性を持たせることができれば、金属水銀と窒素酸化物とを少ない触媒量で効果的に処理することが可能となり、排ガス処理システムの簡略化や処理コストの低減が図れるため、好ましいと考えた。そして、前記ハロゲン化水銀への変換反応における触媒について検討を重ねた結果、特定の触媒が金属水銀のハロゲン化に有効に機能しうるとともに、高い脱硝活性をも有することを見出し、該特定の触媒を用いた方法によれば、前記課題を一挙に解決しうることを確認して、本発明を完成した。 【0007】 すなわち、本発明にかかる排ガス処理方法は、窒素酸化物と金属水銀とを含む排ガスを処理するにあたり、Ti−V系触媒を用いて、ハロゲン化合物の存在下で金属水銀をハロゲン化水銀に変化させる反応と、窒素酸化物の処理とを行なうようにする。 【発明の効果】 【0008】 本発明の新たな排ガス処理方法によれば、窒素酸化物と金属水銀とを含む排ガスを効率よく処理することができる。しかも、本発明の排ガス処理方法は、水銀除去のために活性炭や次亜塩素酸ソーダを用いる必要がないので、大容量の排ガス処理にも適用することができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0009】 以下、本発明にかかる排ガス処理方法について詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更実施し得る。 本発明の排ガス処理方法は、窒素酸化物と金属水銀とを含む排ガスを処理する方法であって、Ti−V系触媒を用いて、ハロゲン化合物の存在下で金属水銀をハロゲン化水銀に変化させる反応と、窒素酸化物の処理とを行なうものである。 本発明の排ガス処理方法において、窒素酸化物の処理(以下「脱硝」と称することもある)は、排ガスをアンモニアや尿素などの還元剤の存在下でTi−V系触媒と接触させることにより排ガス中の窒素酸化物を還元するものである。なお、前記脱硝は、Ti−V系触媒を備えた装置に排ガスを通すことによって行なうことができる。 【0010】 本発明の排ガス処理方法において、ハロゲン化合物の存在下で金属水銀をハロゲン化水銀に変化させる反応(以下「水銀ハロゲン化反応」と称することもある)は、排ガスをハロゲン化合物の存在下でTi−V系触媒と接触させることにより排ガス中の金属水銀を捕捉・除去が容易なハロゲン化水銀に変換するものである。なお、前記水銀ハロゲン化反応は、Ti−V系触媒を備えた装置に排ガスを通すことによって行なうことができる。 前記水銀ハロゲン化反応は、具体的には、例えば、前記ハロゲン化合物がHClである場合には、前記(1)式に示される平衡反応を右へ移動させるものである。詳しくは、前記ハロゲン化合物としては、HCl、HBr等が挙げられ、前記水銀ハロゲン化反応において、金属水銀は、ハロゲン化合物がHClである場合には塩化水銀に、ハロゲン化合物がHBrである場合は臭化水銀に、変換されることになる。 【0011】 前記水銀ハロゲン化反応において、前記ハロゲン化合物の量は、化学量論量以上、すなわち排ガス中の金属水銀1モルに対して2モル以上とすることが好ましい。なお、通常、排ガス中にはガス状ハロゲン化合物が存在していることが多く、処理に供する排ガスが前記範囲の量のガス状ハロゲン化合物を含む場合には、該ガス状ハロゲン化合物を水銀ハロゲン化反応に利用すればよい。一方、処理に供する排ガスがガス状ハロゲン化合物を含まない場合もしくは含む場合であってもその量が前記範囲に満たない場合には、水銀ハロゲン化反応を行なう際に、装置内にハロゲン化合物をガス状もしくは液状で供給するようにすればよい。 【0012】 本発明において、前記Ti−V系触媒とは、チタン(Ti)およびバナジウム(V)を必須とする触媒を意味する。このようなTi−V系触媒は、高い脱硝活性を有するとともに、前記水銀ハロゲン化反応の触媒として優れた機能を発揮することができるのである。 前記Ti−V系触媒中に占めるチタン(Ti)の含有量は、特に限定されないが、例えば、Ti−V系触媒の全重量に対し、酸化物換算重量比で、15〜99.9重量%であることが好ましく、30〜99重量%であることがより好ましい。15重量%未満であると、比表面積の低下などにより充分な効果が得られないことがあり、一方、99.9重量%を超えると、充分な触媒活性が得られない恐れがある。 【0013】 前記Ti−V系触媒中に占めるバナジウム(V)の含有量は、特に限定されないが、例えば、Ti−V系触媒の全重量に対し、酸化物換算重量比で、0.1〜25重量%であることが好ましく、1〜20重量%であることがより好ましい。0.1重量%未満であると、充分な触媒活性が得られないおそれがあり、一方、25重量%を超えると、触媒成分の凝集が起こり充分な性能が得られない恐れがあるとともに、触媒自体のコストが高くなり、排ガス処理コストの高騰に繋がったりする。 前記Ti−V系触媒は、チタン(Ti)およびバナジウム(V)のほかに、ケイ素(Si)、ジルコニウム(Zr)、アルミニウム(Al)、タングステン(W)およびモリブデン(Mo)からなる群より選ばれる1種以上の遷移金属をも含有することが好ましい。これら遷移金属は、独立した金属酸化物として含有されていてもよいが、チタンとの複合酸化物を形成して含有されていることがより好ましい。すなわち、前記Ti−V系触媒は、ケイ素、ジルコニウム、アルミニウム、タングステンおよびモリブデンからなる群より選ばれる1種または2種とチタンとの二元系または三元系複合酸化物を含有するものであることがより好ましいのである。具体的には、例えば、Ti−Si、Ti−Zr、Ti−Al、Ti−W、Ti−Mo等の二元系複合酸化物;Ti−Si−Mo、Ti−Si−W、Ti−Si−Zr、Ti−Si−Al、Ti−Zr−Al、Ti−Zr−Mo、Ti−Zr−W、Ti−Al−Mo、Ti−W−Mo等の三元系複合酸化物;等が、安定な構造を維持でき水銀に対する高い耐性を発揮しうる点で好ましい。これらの中でも、Ti−Si、Ti−Moのような二元系複合酸化物や、Ti−Si−Mo、Ti−Zr−Mo、Ti−Al−Mo、Ti−Si−W、Ti−Mo−W等のような三元系複合酸化物など、ケイ素(Si)および/またはモリブデン(Mo)を必須とする遷移金属とチタン(Ti)との二元系または三元系複合酸化物が、脱硝活性がより高いことから、より好ましい。さらに好ましくは、これらの中でも、Ti−Moのような二元系複合酸化物や、Ti−Si−Mo、Ti−Zr−Mo、Ti−Al−Mo、Ti−Mo−W等の三元系複合酸化物のように、モリブデン(Mo)を必須とする遷移金属とチタン(Ti)との二元系または三元系複合酸化物が特に好ましい。なお、ここで、複合酸化物とは、X線回折パターンにおいてTiO2以外の物質に帰属される明らかな固有のピークを示さず、TiO2についてはアナターゼ型酸化チタンに帰属される固有のピークを示さないか、もしくは示してもアナターゼ型酸化チタンの回折ピークよりもブロードな回折ピークを示すものを言う。 【0014】 前記二元系または三元系複合酸化物における各元素の組成は、特に制限されるものではないが、例えば、チタン(Ti)以外の遷移金属(ケイ素(Si)、ジルコニウム(Zr)、アルミニウム(Al)、タングステン(W)およびモリブデン(Mo)からなる群より選ばれる1種以上)の含有量は、各元素の酸化物換算重量比で、0.5〜30重量%であることが好ましく、1〜30重量%であることがより好ましく、1〜25重量%であることがさらに好ましい。 前記二元系または三元系複合酸化物の調製方法としては、特に制限はなく、例えば、沈殿法(共沈法)、沈着法、混練法などの従来公知の方法を採用することができる。具体的には、例えば、チタン(Ti)とモリブデン(Mo)との二元系複合酸化物は、パラモリブデン酸アンモニウムやモリブデン酸等のモリブデン化合物をアンモニア水溶液に分散させて水溶液(A)を得、この水溶液(A)に攪拌下でチタン化合物の水溶液を徐々に滴下し、得られたスラリー濾過、洗浄し、さらに乾燥した後、300〜600℃の高温で焼成することにより、得ることができる。また、チタン(Ti)とモリブデン(Mo)と遷移金属(Si、Zr、Al、Wのうちのいずれか)との三元系複合酸化物は、例えば、前記水溶液(A)に、さらに遷移金属(Si、Zr、Al、Wのうちのいずれか)塩の水溶液を加え、得られた水溶液に攪拌下でチタン化合物の水溶液を徐々に滴下し、得られたスラリー濾過、洗浄し、さらに乾燥した後、300〜600℃の高温で焼成することにより、得ることができる。 【0015】 前記Ti−V系触媒の調製方法は、特に限定されないが、例えば、チタンと前記遷移金属(ケイ素(Si)、ジルコニウム(Zr)、アルミニウム(Al)、タングステン(W)およびモリブデン(Mo)からなる群より選ばれる1種以上)とを含む前記二元系または三元系複合酸化物、チタン酸化物、チタン酸化物と前記遷移金属(ケイ素(Si)、ジルコニウム(Zr)、アルミニウム(Al)、タングステン(W)およびモリブデン(Mo)からなる群より選ばれる1種以上)酸化物との混合物のうちのいずれか(1種でも2種以上でもよい)をチタン含有成分とし、該チタン含有成分の粉末に、バナジウム源を含む水溶液を、一般にこの種の成形を行う際に用いられる有機または無機の成形助剤とともに加え、混合、混錬しつつ加熱して水分を蒸発させ、押出し可能なペースト状とし、これを押出し成形機でハニカム状等に成形した後、乾燥し空気中にて高温(好ましくは200〜600℃)で焼成する方法等が挙げられる。また、別の方法として、前記チタン含有成分を予め球状、円柱状のペレット、格子状のハニカムなどの形に成形し、焼成した後、バナジウム源を含む水溶液を含浸担持させる方法も採用することができる。また、前記チタン含有成分の粉末を、酸化バナジウム粉体と直接混練する方法で調製することもできる。 【0016】 なお、前記Ti−V系触媒を調製する際に用いる各元素の供給源は、特に制限されない。例えば、チタン(Ti)源としては、無機および有機のいずれの化合物も使用可能であり、例えば、四塩化チタン、硫酸チタンなどの無機チタン化合物または蓚酸チタン、テトライソプロピルチタネートなどの有機チタン化合物を用いることができる。バナジウム(V)源としては、バナジウム酸化物のほか、焼成によってバナジウム酸化物を生成するものであれば、無機および有機のいずれの化合物も用いることができ、具体的には、バナジウムを含む水酸化物、アンモニウム塩、蓚酸塩、ハロゲン化物、硫酸塩などを用いることができる。モリブデン(Mo)源としては、無機および有機のいずれの化合物でもよく、例えば、モリブデンを含む酸化物、水酸化物、アンモニウム塩、ハロゲン化物などから適宜用いることができ、具体的には、パラモリブデン酸アンモニウム、モリブデン酸等が挙げられる。ケイ素(Si)源としては、コロイド状シリカ、水ガラス、微粒子ケイ素、四塩化ケイ素、シリカゲルなどの無機ケイ素化合物およびテトラエチルシリケートなどの有機ケイ素化合物から適宜選択して使用することができる。ジルコニウム(Zr)源としては、例えば、塩化ジルコニウム、硫酸ジルコニウムなどの無機系ジルコニウム化合物や、シュウ酸ジウコニウムなどの有機系ジルコニウム化合物から適宜選択して使用することができる。アルミニウム(Al)源としては、例えば、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウムなどの無機系アルミニウム化合物や、酢酸アルミニウムなどの有機系アルミニウム化合物から適宜選択して使用することができる。タングステン(W)源としては、例えば、酸化タングステン、パラタングステン酸アンモニウム、メタタングステン酸アンモニウム、タングステン酸などから適宜選択して使用することができる。 【0017】 前記Ti−V系触媒の形状は、特に限定されるものではなく、ハニカム状、板状、網状、円柱状、円筒状など所望の形状に成形して使用することができる。 前記Ti−V系触媒のBET比表面積は、特に制限されないが、20〜300m2/gであることが好ましく、より好ましくは30〜250m2/gである。 前記Ti−V系触媒の全細孔容積は、特に制限されないが、水銀圧入法により測定される全細孔容積が0.20〜0.80cm3/gであることが好ましく、より好ましくは0.25〜0.75cm3/g、さらに好ましくは0.30〜0.60cm3/gである。前記全細孔容積が小さすぎると、触媒内部へのガスの拡散が不充分になり、脱硝や水銀ハロゲン化反応を効率よく進行させることができず、その結果、脱硝効率や水銀除去効率が低下することになる。一方、前記全細孔容積が大きすぎると、触媒の機械的強度が低下して僅かな衝撃で形状がくずれやすく、触媒としての使用に耐えないこととなる。 【0018】 本発明の排ガス処理方法において、前記脱硝および前記水銀ハロゲン化反応は、前記Ti−V系触媒を備えた1つの触媒装置を用いて1段で行なうこともできるし、各々に前記Ti−V系触媒を備えた2つ以上の触媒装置を用いて2段以上に分けて行なうこともできる。なお、前記脱硝と前記水銀ハロゲン化反応とを2つ以上の触媒装置で2段以上に分けて行なう場合には、各々の装置に用いるTi−V系触媒は、同種であってもよいし、異種であってもよい。 前記脱硝および前記水銀ハロゲン化反応を行なうに際しては、前記Ti−V系触媒を備えた触媒装置における触媒温度は150〜550℃とすることが好ましく、より好ましくは150〜450℃、さらに好ましくは150〜300℃とするのがよい。また、前記Ti−V系触媒を備えた触媒装置における排ガスの空間速度は、特に制限されないが、100〜100000Hr−1とするのが好ましく、より好ましくは200〜50000Hr−1である。100Hr−1未満では、装置が大きくなりすぎるため非効率となり、一方、100000Hr−1を超えると、脱硝および水銀ハロゲン化反応の効率が低下する傾向がある。なお、前記脱硝と前記水銀ハロゲン化反応とを2つ以上の触媒装置で2段以上に分けて行なう場合には、触媒装置における触媒温度や空間速度などの処理条件は、各々の装置で異なるよう設定してもよいし、同じになるよう設定してもよい。 【0019】 本発明の排ガス処理方法において、前記水銀ハロゲン化反応で生じたハロゲン化水銀は、吸収液で捕捉することによって排ガスから除去するようにすることが好ましい。ハロゲン化水銀は、吸収液中に溶解させることが容易であり、吸収液に溶解させることで排ガス中から除去することができる。前記吸収液としては、例えば、水、アルカリ水溶液(具体的には、炭酸カルシウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液など)等を用いればよい。 本発明の排ガス処理方法においては、吸収液に吸収された水銀(ハロゲン化水銀)を回収し、回収した水銀を資源として再利用することが好ましい。具体的には、例えば、ハロゲン化水銀を吸収させたのちの吸収液を加熱して水銀蒸気を発生させ、これを急冷することにより、水銀を回収することができる。 【0020】 本発明の排ガス処理方法において、処理に供する排ガスは、少なくとも窒素酸化物および金属水銀を含むものであるが、勿論、例えばハロゲン化水銀など、窒素酸化物および金属水銀以外の成分(化合物)を含むものであってもよい。 本発明の排ガス処理方法においては、処理に供する排ガス中の水銀(金属水銀およびハロゲン化水銀)濃度は100mg/m3N以下であることが好ましく、50mg/m3N以下であることがより好ましく、40mg/m3N以下であることがさらに好ましい。なお、一般に、排ガス中に存在する除去対象物の濃度が低すぎると、除去効果が充分に認められないことがあるが、本発明の排ガス処理方法においては、10μg/m3N以下のような極めて低い水銀(金属水銀およびハロゲン化水銀)濃度であっても、充分に除去効果を発揮することができる。 【実施例】 【0021】 以下に、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。 〔製造例1−触媒(1)の製造〕 まず、Ti−Si−Mo複合酸化物を次のように調製した。シリカゾル(「スノーテックス−30」日産化学社製、SiO2換算30wt%含有)6.7kg、工業用アンモニア水(25wt%NH3含有)103kg、および水58リットルの混合溶液に、モリブデン酸2.25kgを加えてよく攪拌し、均一溶液を調製した。この溶液に、硫酸チタニルの硫酸溶液(テイカ社製:TiO2として70g/リットル、H2SO4として287g/リットル含有)228リットルを攪拌しながら徐々に滴下し、沈殿を生成させた後、適量のアンモニア水を加えてpHを4に調整した。この共沈スラリーを約40時間静置したのち、濾過し、水で充分洗浄した後、150℃で1時間乾燥させた。さらに、空気雰囲気下、500℃で5時間焼成し、Ti−Si−Mo複合酸化物粉体を得た。該Ti−Si−Mo複合酸化物粉体の組成は、酸化物換算重量比で、チタン酸化物:ケイ素酸化物:モリブデン酸化物=80:10:10であった。 【0022】 次いで、上記Ti−Si−Mo複合酸化物にバナジウムを次のようにして添加した。8リットルの水に、メタバナジン酸アンモニウム1.29kg、シュウ酸1.67kg、およびモノエタノールアミン0.4kgを混合して溶解させ、均一なバナジウム含有溶液を調製した。上記で得られたTi−Si−Mo複合酸化物粉体19kgをニーダーに投入後、有機バインダー(デンプン1.5kg)を含む成形助材とともに上記バナジウム含有溶液全量を加え、よく攪拌した。さらに適量の水を加えつつブレンダーでよく混合した後、連続ニーダーで充分混練りし、ハニカム状に押し出し成形した。得られた成形物を60℃で乾燥後、450℃で5時間焼成して、触媒(1)を得た。 【0023】 得られた触媒(1)の組成は、酸化物換算重量比で、Ti−Si−Mo複合酸化物:バナジウム酸化物=95:5(酸化物換算重量比で、チタン酸化物:ケイ素酸化物:モリブデン酸化物:バナジウム酸化物=76:9.5:9.5:5)であった。 なお、触媒(1)のX線回折パターンを図1に示す。図1において、TiO2以外の物質に帰属される明らかな固有のピークは認められず、かつ、アナターゼ型酸化チタンに帰属されるブロードなピークが認められることから、触媒(1)は複合酸化物であることが確認できた。参考として、TiO2のX線回折パターンを図5に示す(なお、以下の製造例でも該図5を参考とする)。 【0024】 〔製造例2−触媒(2)の製造〕 まず、Ti−Mo複合酸化物を次のように調製した。工業用アンモニア水(25wt%NH3含有)120kgおよび水140リットルの混合溶液に、モリブデン酸1.6kgを加えてよく攪拌し、モリブデン酸を完全に溶解させ、均一溶液を調製した。この溶液に、硫酸チタニルの硫酸溶液(テイカ社製:TiO2として70g/リットル、H2SO4として287g/リットル含有)266リットルを攪拌しながら徐々に滴下し、沈殿を生成させた後、適量のアンモニア水を加えてpHを4に調整した。この共沈スラリーを約40時間静置したのち、濾過し、水で充分洗浄した後、150℃で1時間乾燥させた。さらに、空気雰囲気下、500℃で5時間焼成し、Ti−Mo複合酸化物粉体を得た。該Ti−Mo複合酸化物粉体の組成は、酸化物換算重量比で、チタン酸化物:モリブデン酸化物=93:7であった。 【0025】 次いで、上記Ti−Mo複合酸化物にバナジウムを次のようにして添加した。8リットルの水に、メタバナジン酸アンモニウム1.29kg、シュウ酸1.67kg、およびモノエタノールアミン0.4kgを混合して溶解させ、均一なバナジウム含有溶液を調製した。上記で得られたTi−Mo複合酸化物粉体19kgをニーダーに投入後、有機バインダー(デンプン1.5kg)を含む成形助材とともに上記バナジウム含有溶液全量を加え、よく攪拌した。さらに適量の水を加えつつブレンダーでよく混合した後、連続ニーダーで充分混練りし、ハニカム状に押し出し成形した。得られた成形物を60℃で乾燥後、450℃で5時間焼成して、触媒(2)を得た。 【0026】 得られた触媒(2)の組成は、酸化物換算重量比で、Ti−Mo複合酸化物:バナジウム酸化物=95:5(酸化物換算重量比で、チタン酸化物:モリブデン酸化物:バナジウム酸化物=88.4:6.6:5)であった。 なお、触媒(2)のX線回折パターンを図2に示す。図2において、TiO2以外の物質に帰属される明らかな固有のピークは認められず、かつ、アナターゼ型酸化チタンに帰属されるブロードなピークが認められることから、触媒(2)は複合酸化物であることが確認できた。 〔製造例3−触媒(3)の製造〕 まず、Ti−Si複合酸化物を次のように調製した。シリカゾル(「スノーテックス−30」日産化学社製、SiO2換算30wt%含有)10kg、工業用アンモニア水(25wt%NH3含有)104kg、および水73リットルを混合し、均一溶液を調製した。この溶液に、硫酸チタニルの硫酸溶液(テイカ社製:TiO2として70g/リットル、H2SO4として287g/リットル含有)243リットルを撹拌しながら徐々に滴下した。得られたスラリーを20時間静置したのち、濾過し、水で充分洗浄した後、続いて150℃で1時間乾燥した。さらに、空気雰囲気下、550℃で5時間焼成し、Ti−Si複合酸化物粉体を得た。該Ti−Si複合酸化物粉体の組成は、酸化物換算重量比で、チタン酸化物:ケイ素酸化物=85:15であった。 【0027】 次いで、上記Ti−Si複合酸化物にバナジウムとタングステンを次のようにして添加した。8リットルの水に、メタバナジン酸アンモニウム1.29kg、パラタングステン酸アンモニウム1.12kg、シュウ酸1.67kg、およびモノエタノールアミン0.85kgを混合して溶解させ、均一なバナジウムおよびタングステン含有溶液を調製した。上記で得られたTi−Si複合酸化物粉体18kgをニーダーに投入後、有機バインダー(デンプン1.5kg)を含む成形助材とともに上記バナジウムおよびタングステン含有溶液全量を加え、よく攪拌した。さらに適量の水を加えつつブレンダーでよく混合した後、連続ニーダーで充分混練りし、ハニカム状に押し出し成形した。得られた成形物を60℃で乾燥後、450℃で5時間焼成して、触媒(3)を得た。 【0028】 得られた触媒(3)の組成は、酸化物換算重量比で、Ti−Si複合酸化物:バナジウム酸化物:タングステン酸化物=90:5:5(酸化物換算重量比で、チタン酸化物:ケイ素酸化物:バナジウム酸化物:タングステン酸化物=76.5:13.5:5:5)であった。 なお、触媒(3)のX線回折パターンを図3に示す。図3において、TiO2以外の物質に帰属される明らかな固有のピークは認められず、かつ、アナターゼ型酸化チタンに帰属されるブロードなピークが認められることから、触媒(3)は複合酸化物であることが確認できた。 【0029】 〔製造例4−触媒(4)の製造〕 製造例3と同様にして得られたTi−Si複合酸化物にバナジウムを次のようにして添加した。8リットルの水に、メタバナジン酸アンモニウム1.29kg、シュウ酸1.67kg、およびモノエタノールアミン0.4kgを混合して溶解させ、均一なバナジウム含有溶液を調製した。製造例3と同様にして得られたTi−Si複合酸化物粉体19kgをニーダーに投入後、有機バインダー(デンプン1.5kg)を含む成形助材とともに上記バナジウム含有溶液全量を加え、よく攪拌した。さらに適量の水を加えつつブレンダーでよく混合した後、連続ニーダーで充分混練りし、ハニカム状に押し出し成形した。得られた成形物を60℃で乾燥後、500℃で5時間焼成して、触媒(4)を得た。 【0030】 得られた触媒(4)の組成は、酸化物換算重量比で、Ti−Si複合酸化物:バナジウム酸化物=95:5(酸化物換算重量比で、チタン酸化物:ケイ素酸化物:バナジウム酸化物=80.75:14.25:5)であった。 なお、触媒(4)のX線回折パターンを図4に示す。図4において、TiO2以外の物質に帰属される明らかな固有のピークは認められず、かつ、アナターゼ型酸化チタンに帰属されるブロードなピークが認められることから、触媒(4)は複合酸化物であることが確認できた。 〔比較製造例1−触媒(C1)の製造) 製造例4において、Ti−Si複合酸化物の代わりに市販のγ−Al2O3を用いるように変更したこと以外は、製造例4と同様にして、比較用の触媒(C1)を得た。 【0031】 得られた触媒(C1)の組成は、酸化物換算重量比で、Al2O3:V2O5=95:5であった。 〔実施例1〕 図6に示す排ガス処理システムにて、触媒(1)を用いて脱硝と水銀ハロゲン化反応とを1段で(1つの触媒装置で)行ない、下記ガス組成の模擬排ガスを処理した。触媒装置2における処理条件は、空間速度7000Hr−1、触媒温度240℃とした。 [ガス組成] NOx:200ppm NH3:200ppm HCl:4ppm Hg:25μg/m3N(内、金属水銀(Hg0)は15μg/m3N) O2:11% H2O:9% 詳しくは、まず、排ガス容器1に入れた模擬排ガスを、触媒(1)を備えた触媒装置2に導き、該装置にて前記処理条件での処理を行なった。このとき、触媒装置2の触媒温度は、温度制御装置3によって制御した。触媒装置2を通った模擬排ガスは、吸収瓶4中の吸収液(3%炭酸カルシウム水溶液)5の中に導いた後、回収瓶6に回収した。 【0032】 そして、処理を開始して20時間後および1000時間後に、排ガス容器1と触媒装置2の間に設けたガスサンプリング口7aから採取した処理前のガスaと、吸収瓶4と回収瓶6の間に設けたガスサンプリング口7bから採取した処理後のガスbとについて、それぞれに含まれるNOx濃度およびHg濃度(Hg0およびHgCl2)を測定し、下記式に従って脱硝率および水銀除去率を求めた。結果を表1に示す。 <脱硝率> 脱硝率(%)={(ガスaのNOx濃度)−(ガスbのNOx濃度)}÷(ガスaのNOx濃度)×100 <水銀除去率> 水銀除去率(%)={(ガスaのHg濃度)−(ガスbのHg濃度)}÷(ガスaのHg濃度)×100 〔実施例2〜4および比較例1〕 触媒(1)の代わりに表1に示す各触媒を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例1と同様の模擬排ガスを処理した。そして、実施例1と同様に脱硝率および水銀除去率を求めた。結果を表1に示す。 【0033】 〔実施例5〕 図7に示す排ガス処理システムにて、触媒(1)を用いて脱硝と水銀ハロゲン化反応とを2段で(2つの触媒装置で)行ない、実施例1と同様の模擬排ガスを処理した。1段目の触媒装置21における処理条件は、空間速度25000Hr−1、触媒温度240℃とし、2段目の触媒装置22における処理条件は、空間速度10000Hr−1、触媒温度150℃とした。 詳しくは、まず、排ガス容器1に入れた模擬排ガスを、触媒(1)を備えた1段目の触媒装置21に導き、該装置にて前記1段目の処理条件での処理を行なった。次いで、模擬排ガスを1段目の触媒装置21から触媒(1)を備えた2段目の触媒装置22に導き、該装置にて前記2段目の処理条件での処理を行なった。このとき、触媒装置21および触媒装置22の各触媒温度は、温度制御装置3によって制御した。2段目の触媒装置22を通った模擬排ガスは、吸収瓶4中の吸収液(3%炭酸カルシウム水溶液)5の中に導いた後、回収瓶6に回収した。 【0034】 そして、処理を開始して20時間後および1000時間後に、排ガス容器1と触媒装置21の間に設けたガスサンプリング口7aから採取した処理前のガスaと、吸収瓶4と回収瓶6の間に設けたガスサンプリング口7bから採取した処理後のガスbとについて、それぞれに含まれるNOx濃度およびHg濃度(Hg0およびHgCl2)を測定し、実施例1と同様にして脱硝率および水銀除去率を求めた。結果を表1に示す。 〔実施例6〕 1段目の触媒装置21における処理条件を、空間速度10000Hr−1、触媒温度150℃とし、2段目の触媒装置22における処理条件を、空間速度25000Hr−1、触媒温度240℃とするよう変更したこと以外は、実施例5と同様にして、実施例5と同様の模擬排ガスを処理した。そして、実施例5と同様に脱硝率および水銀除去率を求めた。結果を表1に示す。 【0035】 【表1】
【産業上の利用可能性】 【0036】 本発明にかかる排ガス処理方法は、例えば、ボイラ、焼却炉、ガスタービン、ディーゼルエンジンおよび各種工業プロセスから排出される各種排ガスの処理に適用することができる。 【図面の簡単な説明】 【0037】 【図1】触媒(1)のX線回折パターンである。 【図2】触媒(2)のX線回折パターンである。 【図3】触媒(3)のX線回折パターンである。 【図4】触媒(4)のX線回折パターンである。 【図5】TiO2のX線回折パターンである。 【図6】本発明の実施例1〜4および比較例1において用いた排ガス処理システムの模式図である。 【図7】本発明の実施例5および6において用いた排ガス処理システムの模式図である。 【符号の説明】 【0038】 1 排ガス容器 2 触媒装置 21 1段目の触媒装置 22 2段目の触媒装置 3 温度制御装置 4 吸収瓶 5 吸収液 6 回収瓶 7 ガスサンプリング口
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| 【出願人】 |
【識別番号】000004628 【氏名又は名称】株式会社日本触媒 【住所又は居所】大阪府大阪市中央区高麗橋4丁目1番1号
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| 【出願日】 |
平成15年10月22日(2003.10.22) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100073461 【弁理士】 【氏名又は名称】松本 武彦
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| 【公開番号】 |
特開2005−125211(P2005−125211A) |
| 【公開日】 |
平成17年5月19日(2005.5.19) |
| 【出願番号】 |
特願2003−362596(P2003−362596) |
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