| 【発明の名称】 |
機能性米糠油不ケン化物濃縮物 |
| 【発明者】 |
【氏名】築野 卓夫 【住所又は居所】和歌山県伊都郡かつらぎ町大字新田94番地 築野食品工業株式会社内
【氏名】加藤 浩司 【住所又は居所】和歌山県伊都郡かつらぎ町大字新田94番地 築野食品工業株式会社内
【氏名】築野 太賀彦 【住所又は居所】和歌山県伊都郡かつらぎ町大字新田94番地 築野食品工業株式会社内
【氏名】狩谷 哲也 【住所又は居所】和歌山県伊都郡かつらぎ町大字新田94番地 築野食品工業株式会社内
【氏名】金谷 由美 【住所又は居所】和歌山県伊都郡かつらぎ町大字新田94番地 築野食品工業株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】
【解決手段】 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 米糠油脱臭スカムを脱酸してなるステロール及びトリテルペンアルコールの脂肪酸エステルを含有することを特徴とする不ケン化物濃縮物。 【請求項2】 ステロール及びトリテルペンアルコールの脂肪酸エステル体含有量が3%以上70%以下である請求項1に記載の不ケン化物濃縮物。 【請求項3】 請求項1及び2においてアルカリ脱酸を実施する前に脂肪酸の蒸留留去を実施する工程を経ることによって得られる請求項1,2に記載の不ケン化物濃縮物。 【請求項4】 請求項1〜3において、不ケン化物の含量を減じることなく脱色または脱臭またはその両方を施すことによって得られる不ケン化物濃縮物。 【請求項5】 請求項1〜4項に記載の不ケン化物濃縮物の生理活性が糖尿病患者に併発する高脂血症の低減効果を有する高脂血症改善剤。 【請求項6】 請求項5項に記載の高脂血症改善剤を配合してなる食品組成物。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は米糠からの油を抽出製造し精製する上で実施する脱臭工程で発生する脱臭スカムを用いてステロール及びトリテルペンアルコールの脂肪酸エステルを含有する不ケン化物の濃縮物及びそれを用いた食品組成物を提供するものである。より具体的には脱臭スカムから脂肪酸を除去し生理作用を有するビタミンEやステロール及びその脂肪酸エステル体を濃縮した組成物に関する。 【背景技術】 【0002】 米糠からの油の抽出・精製において、脱臭工程は必要不可欠である。日本においては7万トンの米糠油が精製され米糠油脱臭スカムが副生成物として多量に発生している。米糠油脱臭スカムはビタミンEなどを含んでいるが含有量が低いため有効利用されておらず廃棄物扱いとなっている。実際はスクワレン、トコトリエノール、トコフェロール、植物ステロールなどの機能性食品素材として注目されている物質が含有されている。 スクワレンは、一般的には水素添加しスクワランとして、健康食品や化粧品素材に利用されている。従来はサメの肝油から得られるものが中心であったが、近年オリーブ油などからの植物性スクワランが広く利用されるようになってきており、植物性スクワランとしての規格も定められるようになってきた。また、トコトリエノールは、以前は単にビタミンE(トコフェロール)の類縁物質と考えられほとんど重要視されていなかった。ところが近年、強力な抗酸化作用や動脈硬化、乳ガンなどへの効果など独自の生理活性を持つことが明らかとなっており、新しいタイプの栄養補助食品素材として注目されてきている。 【0003】 米糠からの油からこれらの有用性成分を回収濃縮する方法については特開2002−316940に大腸癌予防剤として米のトコトリエノールの効果が記載されている。トコトリエノールの機能性としては特開2002−308768に血管新生阻害効果や特開平08−217681に痴呆予防、特表2003−524610に2型糖尿病の予防効果などが記載されている。ステロールについては特開2003−009810には高脂血症、高血圧の予防効果、特開2001−169753にはコレステロール上昇抑制効果、特表2002−529740、特表2002−504828にはコレステロールの低下効果が記載されている。 【特許文献1】特開2002−316940公報 【特許文献2】特開2002−308768公報 【特許文献3】特開平08−217681公報 【特許文献4】特表2003−524610公報 【特許文献5】特開2003−009810公報 【特許文献6】特開2001−169753公報 【特許文献7】特表2002−529740公報 【特許文献8】特表2002−514828公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 本発明においては従来の米糠油製造法を変更することなく通常の製造法によって得られる脱臭スカムから多量に含まれる脂肪酸を除去することによって得られより有用な生理活性を有する不ケン化物濃縮物の供給に関するものである。また本発明ではこれらの食品用途に使うことも可能な組成物を提供することにある。 【0005】 また、先行する特許についてはトコトリエノールやステロールを高濃度に濃縮するために従来の製造方法を変更し新たな設備が必要であったり高濃度化することによって機能成分がきわめて高価になるために使用上利用しにくいものがあった。 【0006】 また米糠油から得られる不ケン化物中に脂溶性生理活性成分の濃縮をするにはステロール類は通常の単体の形態である場合、結晶性が強く濃縮することによって結晶が生じる。使用上ソフトカプセル等に充填する場合、結晶性が強く油に溶解する上での溶解に時間がかかったり、不溶性物質の沈殿が発生したりする問題が残されていた。またこれらのスカム中の不ケン化物を食用油に溶解し使用する上でも結晶性が強く油から沈殿物が生じることが問題点としてあげられる。 【課題を解決するための手段】 【0007】 特に米糠油の製造工程を変更することなくまた得られた米糠中に含まれる脂溶性生理活性物質を濃縮し使用上結晶性の少ない不ケン化物濃縮物を得る方法として、米糠油を精製する上で脱臭スカムを用いることが考えられる。 【0008】 脱臭スカムは様々の脂溶性成分を含有しており酸価が高く脂肪酸を多量に含んでいる。これらの脂肪酸は米糠油の製油工程中に残存するものが濃縮されたものであり食品として用いる場合には除去することが望ましい。食品用途に用いられる上で色の改良や脂肪酸の除去は使用上の問題を解決する上で重要な課題である。 【0009】 脱臭スカム中のステロールは単体で含まれるものと脂肪酸のエステル体として含まれている。脱酸する上でアルカリを多く使い脂肪酸を除去しようとするとステロールの脂肪酸エステルは加水分解を受けてステロール単体と脂肪酸アルカリ塩に分解する。脂肪酸アルカリ塩を水洗して除去するとステロールの単体が残り不ケン化物中に結晶性の強い成分が多く残される。 【0010】 かかる実情において、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、通常の製造法を用いて米糠油を製造した後、脱臭工程で得られる脱臭スカムを用いて多量に含まれる脂肪酸を必要最小限のアルカリによって脱酸することで生理活性成分を多量に含み結晶性の少ない米糠に由来する脂溶性の不ケン化物濃縮物を製造することが可能となった。加えて、これらの不ケン化物含量を減じることなく脱色、脱臭処理を施すことも可能となった。またこれまで利用価値の少ない米糠油脱臭スカムを用いることと新たな濃縮工程を加えることがないため比較的安価に供給することが可能となり経済性の面でも有用である。 【発明の効果】 【0011】 米糠油を製造する上で生じる脱臭スカムから脂肪酸を脱酸除去し、脱色、脱臭処理を施すことによって生理活性成分を多量に含み結晶性の少ない、米糠に由来する脂溶性の不ケン化物濃縮物を製造する方法が提供された。これらの不ケン化物濃縮物は機能性食品分野において有効成分を分離することなく均一な油状物として利用することが可能となった。また本不ケン化物濃縮物は比較的安価に供給できるものとなった。 【発明を実施するための最良の形態】 【0012】 本発明の米糠油の生理作用に有効な不ケン化物濃縮物に用いられる米糠油脱臭スカムは通常の米糠油の製造工程において米糠油の脱臭を行う工程で発生する留出物を言う。通常米糠油は米糠からヘキサン抽出あるいは圧搾抽出することによって米糠粗油が得られる。この米糠粗油を脱ガム、脱蝋、脱酸(蒸留・アルカリ)、脱色、脱臭することによって米糠精製油が得られる。 【0013】 米糠スカムは他の植物油の脱臭スカムと同様にトコフェロールやトコトリエノールの混合物であるビタミンE類、植物ステロールであるステロール類、スクワレン、ジグリセリドと脂肪酸を多く含んでいる。原料の米糠粗油の抽出状況や加工工程の条件にもよるが通常脂肪酸として酸価が40〜100位でスカム中に20%〜50%の脂肪酸を含有している。ケン化価が80〜140位であり脂肪酸以外のジグセリドやステロールエステルを含んでいる。 【0014】 ビタミンEとしてのトコトリエノールはパーム油や米糠油に多く含まれ他の食用油のビタミン類中には認められない。大豆油やナタネ油などにはトコフェロールが含まれ米油にも多く含まれる。トコトリエノール、トコフェロールのビタミン類はα、β、γ、δの4種類がありαトコフェロールは人体内で抗酸化作用をになう重要な成分である。最近ではトコトリエノールの抗腫瘍効果や心臓の機能に対する効果が確認され注目されている。 【0015】 米糠油脱臭スカム中に含まれる植物ステロールにはβシトステロール、スチグマステロール、カンペステロール等がありそれ以外にトリテルペンアルコールとしてシクロアルテノールや24−メチレンシクロアルテノールなどが含まれている。これらは単体では米糠油に溶解性が悪く多量に含まれると結晶として析出してくる。 【0016】 米糠油スカムから脂肪酸を除去する方法としては通常アルカリにより脂肪酸を水溶性の石鹸にして脂溶性の成分から分離除去する方法がとられる。これらの過程で脂肪酸を蒸留することによってビタミンE類やステロール類と分離することは可能である。ビタミンEの製造工程においては脂肪酸類をエステル化したりして蒸留によって分離する。一部前処理として脂肪酸を蒸留により除去し脂肪酸の含有量を減らすことによって必要なアルカリを低減することも可能である。 【0017】 脱臭スカムから脂肪酸類を除くために用いられるアルカリを極力少なくすることによって得られる不ケン化物濃縮物の結晶性は低減する。米糠油スカム中に含まれるステロールは通常5〜20%であり単体と脂肪酸エステル体で存在する。これを強アルカリで処理するとトコフェロールの分解とステロール脂肪酸エステルの加水分解が起こり結晶性の強いステロールが遊離する。これらを避けるために、脂肪酸を中和し水溶化するだけのアルカリを用いて処理し、これらの不ケン化物含量を減じることなく脱色、脱臭処理を施すことで有効成分の多いかつ結晶しにくい不ケン化物濃縮物を得ることが出来る。 【0018】 以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。 【実施例1】 【0019】 脱臭スカムは下記の分析値のものを用いた。 酸価:67.5 ケン化価:120.9 不ケン化物 37.5 (%) トコフェロール、トコトリエノール:3.6 (%) スクワレン:5.0 (%) ステロール:9.7 (%) 脱臭スカム 50kg、水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウム水溶液(脱臭スカムのケン化価1.0倍量のKOH, NaOHを含む) 100L、溶剤(ヘキサン:エタノール 3:7) 300Lを反応タンクAに入れ、55℃に加熱、撹拌し、中和する。中和後撹拌をとめ、タンク内液が2層に分離するまで静置し、下層(石鹸層)を反応タンクBに送液する。 反応タンクBの石鹸層に溶剤を42Lいれて撹拌し、石鹸層中に残っている不ケン化物を再抽出する。撹拌をとめ、タンク内液が2層に分離するまで静置し、下層(石鹸層)を反応タンクCに送液し、上層は反応タンクAに送液する。反応タンクCの石鹸層を反応タンクにBに移し、再度同様に抽出する。計3回再抽出を繰り返し、上層はすべて反応タンクAに送液する。最後に石鹸層は反応タンクCに送液しておく。 中和後の上層と再抽出時の上層を合わせた分が反応タンクAに入っている。このタンクAに水を25L入れて撹拌し、残っている石鹸分やアルカリ分を洗浄する。撹拌をとめ、タンク内液が2層に分離するまで静置し、下層(水層)を反応タンクCに送液する。これを下層のpHが中性になるまで繰り返す。上層の溶媒を留去して得られた不ケン化物濃縮物に2.0%の活性白土を添加し、低温で脱色する。活性白土を除去後、150℃〜200℃、1〜3mmHgの条件で2時間脱臭処理を行うことで得られた不ケン化物を濃縮物Aとする。濃縮物Aの分析値は酸価:0.8、スクワレン:5.8%、フィトステロール:10.1%、トリテルペンアルコール:5.2%、トコフェロール:3.7%、トコトリエノール:3.0%であった。 【0020】 上記濃縮物Aのフィトステロールおよびトリテルペンアルコールの脂肪酸エステル含量は10.0%であった。 (比較例1) 【0021】 脱臭スカム 50kg、水酸化カリウム水溶液(脱臭スカムのケン化価10倍量のKOHを含む) 100L、溶剤(ヘキサン:エタノール 3:7) 300Lを反応タンクAに入れ、70℃に加熱、撹拌し、中和する。中和後撹拌をとめ、タンク内液が2層に分離するまで静置し、下層(石鹸層)を反応タンクBに送液する。 反応タンクBの石鹸層に溶剤を42Lいれて撹拌し、石鹸層中に残っている不ケン化物を再抽出する。撹拌をとめ、タンク内液が2層に分離するまで静置し、下層(石鹸層)を反応タンクCに送液し、上層は反応タンクAに送液する。反応タンクCの石鹸層を反応タンクにBに移し、再度同様に抽出する。計3回再抽出を繰り返し、上層はすべて反応タンクAに送液する。最後に石鹸層は反応タンクCに送液しておく。 中和後の上層と再抽出時の上層を合わせた分が反応タンクAに入っている。このタンクAに水を25L入れて撹拌し、残っている石鹸分やアルカリ分を洗浄する。撹拌をとめ、タンク内液が2層に分離するまで静置し、下層(水層)を反応タンクCに送液する。これを下層のpHが中性になるまで繰り返す。上層の溶媒を留去して得られた不ケン化物を濃縮物Bとする。濃縮物Bの分析値は酸価:0.5、スクワレン:6.1%、フィトステロール:10.8%、トリテルペンアルコール:5.7 %、トコフェロール:2.3%、トコトリエノール:2.0%であった。 【0022】 上記濃縮物Bのフィトステロールおよびトリテルペンアルコールの脂肪酸エステル含量は3.8%であった。 【0023】 得られた濃縮物AとBの保存安定性を比較するとAは長期間放置しても結晶が出ることはなかったがBは室温下で結晶を析出した。さらに米糠油に20%配合するとAでは沈殿物が生じることはなかったがBでは結晶性のものが析出した。 【実施例2】 【0024】 4週齢の糖尿病モデルのKKAyマウスを各5匹ずつにわけ通常飼料群、濃縮物Aを0.1%配合した飼料、濃縮物Bを0.1%配合した飼料の3群と4週齢の非糖尿病のC57BL5匹に通常食を与えた群の4群について6週間飼育した。非糖尿病群に比べHbA1c値は3群とも上昇し有意差はなかった。一方総コレステロールと中性脂肪値については糖尿病モデルの3群のうち通常食群では有意に高くなったが濃縮物A及びBで抑制された。また濃縮物Aについて中性脂肪値が有意ではないが濃縮物Bの添加群よりも抑制効果が大きいことが認められた。 【実施例3】 【0025】 実施例1によって得られた濃縮物A1700g、精製米糠油300gを窒素ガス雰囲気下で約40℃に加温し、十分に混合して均質な液状物とした。これをカプセル充填機に供給して1粒内容量が300mgのゼラチン被覆カプセル製剤を試作した。長期間保存しても結晶が出ることはなかった。これらの製剤は食品用組成物として利用できるものである。比較例1によって得られた濃縮物Bについても同様のカプセルを試作した。濃縮物Bを含むソフトカプセルは保存中に沈殿物を生じた。
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| 【出願人】 |
【識別番号】591066362 【氏名又は名称】築野食品工業株式会社 【住所又は居所】和歌山県伊都郡かつらぎ町大字新田94番地
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| 【出願日】 |
平成16年3月10日(2004.3.10) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2005−255563(P2005−255563A) |
| 【公開日】 |
平成17年9月22日(2005.9.22) |
| 【出願番号】 |
特願2004−66567(P2004−66567) |
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