| 【発明の名称】 |
免疫力強化活性剤 |
| 【発明者】 |
【氏名】夏目 文雄
【氏名】村井 吉和
|
| 【要約】 |
【課題】複数種類の菌類を玄米培地で培養して得られた複数の菌類培養物をその培地ごと組み合せて用い、これによって免疫力強化活性が相乗的に発現し、優れた免疫力強化活性を有する加工製剤品であって、医薬品、特定保健用食品、及び健康補助食品等の用途に有用な免疫力強化活性剤を提供する。
【解決手段】アガリクス、メシマコブ、冬虫夏草、マイタケ、及び霊芝からなる群から選ばれた少なくとも2種以上の複数の菌類をそれぞれ玄米培地で個別に培養し、得られた複数の菌類培養物をその培地ごと加工素材として組み合せて得られた加工製剤品からなる免疫力強化活性剤、又は、複数の菌類培養物のうち霊芝培養物を霊芝子実体に替えて得られた加工製剤品からなる免疫力強化活性剤である。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 アガリクス、メシマコブ、冬虫夏草、マイタケ、及び霊芝からなる群から選ばれた少なくとも2種以上の複数の菌類をそれぞれ玄米培地で個別に培養し、得られた複数の菌類培養物をその培地ごと加工素材として組み合せて得られた加工製剤品であることを特徴とする免疫力強化活性剤。 【請求項2】 加工素材が、アガリクス、メシマコブ、冬虫夏草、及び霊芝の菌類をそれぞれ玄米培地で個別に培養して得られた4種の菌類培養物からなる請求項1に記載の免疫力強化活性剤。 【請求項3】 加工素材が、アガリクス、メシマコブ、冬虫夏草、霊芝、及びマイタケの菌類をそれぞれ玄米培地で個別に培養して得られた5種の菌類培養物からなる請求項1に記載の免疫力強化活性剤。 【請求項4】 加工素材が、ヤマブシタケ及び/又はチャーガの菌類を玄米培地で個別に培養し、得られた菌類培養物をその培地ごと含む請求項1〜3のいずれかに記載の免疫力強化活性剤。 【請求項5】 加工素材が、霊芝培養物に替えて、又は、霊芝培養物と共に、霊芝子実体を含む請求項1〜4のいずれかに記載の免疫力強化活性剤。 【請求項6】 加工素材が、グルタチオン高含有酵母エキス、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンB6、無臭ニンニク、及び鮫軟骨エキスから選ばれた1種又は2種以上を含む請求項1〜5のいずれかに記載の免疫力強化活性剤。 【請求項7】 加工製剤品が、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、又はエキス剤である請求項1〜6のいずれかに記載の免疫力強化活性剤。
|
【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 この発明は、玄米培地で培養された複数の菌類の培養物をその培地ごと加工素材とし、免疫力強化活性が相乗的に高められた加工製剤品に係り、医薬品、特定保健用食品、及び健康補助食品等の用途に有用な免疫力強化活性剤に関する。 【背景技術】 【0002】 免疫は、人間が生命を維持する上で必須とされるシステムであり、単に病原菌やウイルス等の侵入を防いでいるだけでなく、老廃物の処理、老化した細胞やガン化した細胞の排除等、その働きは多岐に亘っている。しかしながら、この免疫力は20歳位をピークとして徐々に低下することが知られており、中高年者は感染症にかかり易くなり、また、ガンの発症率も高くなるほか、加齢に伴う生活習慣病の増加も免疫力の衰えと密接な関係があると考えられている。 【0003】 高齢化社会となった日本では、健康な状態で老後を過ごすためには免疫力を如何に維持するかが鍵と言われており、また、食品により免疫力を強化する研究も盛んに行われている。そして、これまでの研究結果によると、免疫力を強化する食品はキノコや酵母、海藻等に代表される多糖体を含む食品と、野菜、果物に代表される抗酸化物質を含む食品との2つに大別される〔食品と開発、35巻、3号、5〜8頁(2000)〕。 【0004】 このうち、キノコはもっとも効果の高い食品として知られており、シイタケ、カワラタケ、スエヒロタケからは免疫賦活作用のある医薬品が創られているほどである。しかしながら、これらの医薬品は医療行為の中でしか使用することができず、また、静脈注射によって投与するものには心臓や腎臓の機能に障害を与える副作用も知られている。 【0005】 ところで、感染症やガンの予防、生活習慣病の予防という観点からすると、日常的に摂取する食品によって安全に免疫力を高めることが望ましいが、効果の点からは高い評価が得られている食品は少ない。 これまで、安全でより効果の高いキノコ類の素材としては、アガリクス、メシマコブ、マイタケ、冬虫夏草、チャーガ、ヤマブシタケ、霊芝、ハタケシメジ、ハナビラタケ等が知られており、子実体、又はタンク培養された菌糸体の形で提供されている。 【0006】 また、このようなキノコ類における免疫力を高めるための工夫として他の素材と組み合せたり、複数のキノコ類を組み合せることも行われており、他の素材との組合せとしては、例えば、麦若葉由来の素材とアガリクス、霊芝、マイタケ、シイタケ、マツタケ、エノキタケ、冬虫夏草等の菌類由来の素材とを含む免疫賦活食品(特開2002-65,206号公報)、クロレラ由来の多糖体とアガリクス茸、メシマコブ、シイタケ、冬虫夏草等の担子菌類由来の多糖体とを含む抗癌性物質(特開2002-145,796号公報)、アブラナ科植物及び/又は甘草由来の素材とヒメマツタケ、ハラタケ、シイタケ、霊芝、チョレイマイタケ、カワラタケ、マツホド、マイタケ、マツタケ、ヒラタケ、エノキタケ、ホンシメジ、ハナビラタケ等の担子菌類由来の素材とを含む栄養補助食品(特開2002-191,323号公報)、ケール加工物とアガリクス、霊芝、マイタケ、シイタケ、マツタケ、エノキタケ、冬虫夏草等の菌類由来の素材とを含む免疫賦活食品(特開2002-209,552号公報)、及び薬用人参類とマンネンタケやカワラタケ等の担子菌類とを有効成分として含む生理活性組成物(特開2003−171,306号公報)等が提案されており、また、複数のキノコ類の組合せとしては、例えば、椎茸菌糸体抽出物、霊芝菌糸体抽出物、エノキ茸菌糸体抽出物を含む免疫活性調節剤(特開2002-371,004号公報)等が提案されている。 【0007】 更に、玄米を培地として培養したキノコ菌糸体を培地ごと食品素材としたものとして、マンネンタケ属に属する担子菌と、玄米等の穀類又はイモ類と、豆類とよりなり、β-D-グルカンと、サポニンと、エルゴステロールとを含有する発酵食品を肝機能障害患者用として用いる肝機能障害患者用食品(特開昭62−234,026号公報)、上記と同じ発酵食品を高脂血症患者用として用いる高脂血症患者用食品(特開昭62−234,027号公報)、上記と同じ発酵食品を糖尿病患者用として用いる糖尿病患者用食品(特開昭62−234,028号公報)や、メシマコブを玄米等の容易に得られる穀物類を培地として培養し、培地成分と共に菌糸体を用いること(特開2001−17,158号公報)が提案されている。しかし、これらの提案については、これまで積極的に利用されたことはなかった。 【0008】 【特許文献1】特開2002-65,206号公報 【特許文献2】特開2002-145,796号公報 【特許文献3】特開2002-191,323号公報 【特許文献4】特開2002-209,552号公報 【特許文献5】特開2003−171,306号公報 【特許文献6】特開2002-371,004号公報 【特許文献7】特開昭62−234,026号公報 【特許文献8】特開昭62−234,027号公報 【特許文献9】特開昭62−234,028号公報 【特許文献10】特開2001−17,158号公報 【非特許文献1】食品と開発、35巻、3号、5〜8頁(2000) 【非特許文献2】Int. Immunotherapy, 14, pp89-99(1998) 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0009】 ところで、玄米培地で培養されたキノコは、菌体外に酵素を放出し、玄米の細胞壁やデンプン質、たんぱく質を分解し、可溶化した栄養分を菌糸体表面から吸収して生活している。従って、玄米培地で培養して得られた菌類培養物には、菌糸体成分のみならず、菌体外に放出された酵素、菌類代謝産物等も含まれていることが予想される。 【0010】 また、玄米培地で菌類を培養した場合、培地を構成する玄米の成分も菌体外酵素により分解され、免疫力強化作用を持つ有用な成分になることが知られている。例えば、玄米の細胞壁成分であるヘミセルロースを構成するアラビノキシランが分解され、免疫力強化作用を持つ有用な成分に変化することが報告されている(Int. Immunotherapy, 14, pp89-99(1998))。しかも、玄米にはγ-オリザノール(自律神経失調症の改善効果)やγ-アミノ酪酸(GABA、血圧降下作用、抗不安作用)等の機能性成分が多く含まれていることを考え合わせると、玄米培地で菌類を培養した後の培地には実に多くの機能性成分が存在していることが予想され、また、免疫力強化の活性も作用点の異なる成分による相乗効果が期待される。 【0011】 更に、培養するキノコの種類が異なれば、その菌糸体成分が異なるだけでなく、菌体外酵素の性質も異なることになり、玄米の分解産物も異なるものになることが予想される。 【0012】 このような観点から、本発明者らは、単に1種類の菌類を玄米培地で培養して得られた菌類培養物を用いるのではなく、複数種類の菌類を玄米培地で培養し、得られた複数の菌類培養物をその培地ごと組み合せて用いることにより、免疫力強化活性が相乗的に発現し、より優れた免疫力強化活性を有する加工製剤品を得ることができるとの考えに想到した。 【0013】 そこで、本発明者らは、係る考えの下に、菌類由来であって、安全で中高年者等が日常的に摂取可能であり、しかも、免疫力強化活性に優れていて医薬品、特定保健用食品、及び健康補助食品等の用途に有用な免疫力強化活性剤を開発すべく鋭意検討した結果、特定の菌類、すなわちアガリクス(Agaricus blazei)、メシマコブ(Phellinus linteus)、冬虫夏草(Cordyceps cinensis)、マイタケ(Grifola frondosa)、及び霊芝(Ganoderma lucidum)の5種の菌類を用い、そのいずれか複数の菌類を玄米培地で培養し、得られた複数の菌類培養物をその培地ごと加工素材として組み合せて加工製剤品を調製したところ、この加工製剤品が優れた免疫力強化活性を有することを見い出し、本発明を完成した。 【0014】 従って、本発明の目的は、複数種類の菌類を玄米培地で培養して得られた複数の菌類培養物をその培地ごと組み合せて用い、これによって免疫力強化活性が相乗的に発現し、優れた免疫力強化活性を有する加工製剤品であって、医薬品、特定保健用食品、及び健康補助食品等の用途に有用な免疫力強化活性剤を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0015】 すなわち、本発明は、アガリクス、メシマコブ、冬虫夏草、マイタケ、及び霊芝からなる群から選ばれた少なくとも2種以上の複数の菌類をそれぞれ玄米培地で個別に培養し、得られた複数の菌類培養物をその培地ごと加工素材として組み合せて得られた加工製剤品からなる免疫力強化活性剤である。 【0016】 本発明において、利用できる菌類については、上記のアガリクス(Agaricus blazei)、メシマコブ(Phellinus linteus)、冬虫夏草(Cordyceps cinensis)、マイタケ(Grifola frondosa)、及び霊芝(Ganoderma lucidum)を始め、ヤマブシタケ(Hericium erinaceum)及びチャーガ(Inonotus obliquus)を好適に挙げることができ、これらはそれぞれアガリクス、メシマコブ、冬虫夏草、マイタケ、霊芝、ヤマブシタケ及びチャーガに分類されるものであれば特に制限はなく、また、いずれも、例えば米国のFungi Perfecti社から容易に入手できるものを用いることができる。 【0017】 本発明においては、上記のアガリクス、メシマコブ、冬虫夏草、マイタケ、及び霊芝からなる群から選ばれた少なくとも2種以上の複数の菌類、あるいは、これらの菌類に加えてヤマブシタケ及び/又はチャーガをそれぞれ玄米培地で個別に培養し、得られた複数の菌類培養物をその培地ごと加工素材として用いるが、これら菌類の培養方法についても玄米培地を用いる方法であれば特に制限はなく、例えば、充分に水分を吸収させた玄米を耐熱ポリバッグに入れ、120℃以上で4時間以上加熱して滅菌し、冷却した後、クリーンルーム等で所定のキノコ菌類を植菌し、20〜30℃の培養室で植菌した菌類が培地全体に繁殖するまで、通常は40〜60日間培養することにより行われる。 【0018】 このようにして培養された菌類培養物は、通常、得られた菌類培養物中の菌糸体や胞子等を120℃で4時間加熱して不活化し、次いで充分に乾燥し、その玄米培地ごと種々の剤形の加工製剤品を製造するための加工素材として用いられる。そして、この加工素材は、例えば、粉砕して微粉末状にされ、あるいは、熱水等の抽出溶剤を用いて抽出することによりエキス状にされ、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、ドリンク剤、その他の加工製剤品にされて実用に供せられる。 【0019】 ここで、加工製剤品を製造するための加工素材として組み合せられる複数の菌類培養物としては、その使用に際して、アガリクス、メシマコブ、冬虫夏草、マイタケ、及び霊芝の菌類由来のものから選ばれた少なくとも2種以上を含むものであればよいが、充分なIL-12産生量を確保するという観点から、好ましくはアガリクス、メシマコブ、冬虫夏草、及び霊芝の菌類由来の4種の菌類培養物を含む組合せであるのがよく、前立腺ガンの治療効果を付与するという観点(Food Style 21, 4, p91 (2000))から、より好ましくはアガリクス、メシマコブ、冬虫夏草、霊芝、及びマイタケの菌類由来の5種の菌類培養物を含む組合せであるのがよく、更に好ましくは血液流動性を改善する効果を付与するという観点(Food Style 21, 7, p47 (2003))から、ヤマブシタケ及び/又はチャーガの菌類由来の菌類培養物を含む6種又は7種の菌類培養物を含む組合せであるのがよい。 【0020】 そして、本発明においては、上記の霊芝の培養物(霊芝培養物)に替えて、あるいは、霊芝培養物と共に、霊芝の子実体(霊芝子実体)を用いることができる。霊芝子実体は、100種類以上に及ぶテルペン系化合物を含み、多様な生理活性を発現するだけでなく(「キノコの化学・生化学」、学会出版センター、237頁(1995))、アガリクス、メシマコブ、冬虫夏草、及びマイタケ、更にはヤマブシタケ及びチャーガの菌類培養物と併用した場合、霊芝培養物と同様に、免疫力強化活性において優れた相乗効果を発揮する。この目的で用いられる霊芝子実体は、天然品であっても栽培品であってもよく、加工素材として使用するに際しては、菌類培養物と同様に、子実体や胞子等を不活化し、次いで充分に乾燥し、例えば、粉砕して微粉末状にし、あるいは、熱水等の抽出溶剤を用いて抽出することによりエキス状にして実用に供せられる。 【0021】 本発明において、加工素材として加工製剤品を製造するために組合せて用いられる上述した複数の菌類培養物、あるいは、これら菌類培養物と霊芝子実体における菌類培養物及び霊芝子実体の各々の配合割合については、配合される菌類培養物及び霊芝子実体の数や種類によっても異なるが、通常は5重量%以上95重量%以下、好ましくは10重量%以上90重量%以下である。この各々の配合割合が5重量%より少ないと、相乗効果の発現が認められない場合が生じる。 【0022】 本発明の免疫力強化活性剤においては、上記の菌類培養物及び霊芝子実体の組合せに加えて、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンB6等の抗酸化性のビタミンや、グルタチオン高含有酵母エキス、無臭ニンニク等の抗酸化物質を含む食品素材や、キノコ類とは異なる多糖類を含む鮫軟骨エキス等の1種又は2種以上を第三成分として配合してもよく、例えばインターロイキン-12の発現等において相乗効果の発現をより一層向上せしめることができる。 【発明の効果】 【0023】 本発明の免疫力強化活性剤は、特定の菌類の2種以上を玄米培地で個別に培養して得られた複数の菌類培養物、あるいは、霊芝培養物に替えて、又は、霊芝培養物と共に用いられる霊芝子実体を組合せて用いるので、配合される菌類培養物及び霊芝子実体の各々が有する免疫力強化活性が相乗的に発現し、菌類培養物又は霊芝子実体を単独で用いる場合に比べてより優れた免疫力強化活性効果を発揮する。 【0024】 しかも、本発明で用いる玄米培地の菌類培養物は、タンク培養の場合とは異なって大型の設備を必要としないので多額の投資を必要とせず、通常のキノコ栽培における施設で安価に容易に生産することができる。 加えて、組合せによる相乗効果が認められるため、個々の素材の摂取量が少量になり、アレルギーや胃腸障害等の副作用を引き起こす危険性も低減し、また、菌類培養物は少しこげた米飯の食味を有して、既存のキノコ素材にくらべて摂食し易いという利点もある。 【発明を実施するための最良の形態】 【0025】 以下、実施例及び試験例に基づいて、本発明の好適な実施の形態を具体的に説明する。 【0026】 〔実施例1〕 充分に水分を吸収させた玄米2kgを耐熱ポリバッグに入れ、オートクレーブ中120℃で4時間加熱した後、クリーンルーム中で冷却することにより、玄米培地を調製した。 【0027】 クリーンルーム中でアガリクス、メシマコブ、冬虫夏草、マイタケ、霊芝、ヤマブシタケ、及びチャーガの7種の菌類(米国Fungi Perfecti社製)をそれぞれ別個の玄米培地に植菌し、培養室に移して25℃で各菌類が培地全体に繁殖するまで培養した。 【0028】 各菌類の培養が終了した後、得られた各菌類培養物については、その玄米培地ごと120℃で4時間、オートクレーブで加熱処理して各菌類培養物中の菌糸体や胞子等を不活化し、次いで80℃の熱風還流の条件で充分に乾燥した後、旋回気流方式の粉砕機を用いて粉砕し、粉末状の加工素材とした。 【0029】 このようにして得られた各菌類培養物からなる粉末状の加工素材を等量ずつ秤量して混合し、菌類培養物の7種類が混合された実施例1の粉末状混合物(免疫力強化活性剤)を得た。 更に、得られた実施例1の免疫力強化活性剤に10重量倍の水を加え、オートクレーブ中で121℃に加熱して2時間抽出(熱水抽出)を行った。冷後、遠心分離法で抽出液を分離し、これに等量のエタノールを加え、沈殿したものを分離して乾燥し、試験例1〜3に用いる糊状の多糖体分画を得た。 【0030】 〔試験例1:マイトジェン活性の測定〕 上記のようにして実施例1の免疫力強化活性剤から得られた多糖体分画(以下、単に「実施例1の多糖体分画」という)について、Chem. Pharm. Bull., 32, p4165 (1984)及びMicrobiol. Immunol., 25, p929 (1981)に記載の方法に準じて、マイトジェン活性効果を調べた。また、各菌類培養物からなる粉末状の加工素材について、上記と同様にして熱水抽出して得られた多糖体分画(対照の多糖体分画)についても、対照として同様にマイトジェン活性効果を調べ、実施例1の多糖体分画と比較した。 【0031】 すなわち、体重29〜32gのC3H-NeNマウスより脾臓を摘出し、常法により脾臓細胞培養液を調製し、これに上記実施例1又は各対照の多糖体分画100μgを加え、72時間培養した。培養終了16時間前に1μCi(3H-)-thymidineを加え、培養終了後ミリポアフィルターで集細胞し、シンチレーションカウンターにより放射活性を測定し、(3H-)-thymidineの取込み量によってマイトジェン活性を評価した。 【0032】 図1に示す結果から明らかなように、実施例1の多糖体分画は、各菌類培養物単体から得られた対照の多糖体分画に比べてより強いマイトジェン活性を発現し、菌類培養物単体で最も強い効果を現したアガリクス培養物に比べて約2.3倍であった。このマイトジェン活性は免疫システムを担う白血球の増加をもたらす指標であり、この点において、実施例1の多糖体分画は顕著な相乗効果を示すことが確認された。 【0033】 〔試験例2:NK活性の測定〕 Advances in Immunology, 47, p187 (1989)に記載の方法に準じて、上記実施例1の多糖体分画及び対照としての各菌類培養物から得られた多糖体分画について、NK活性を測定した。 【0034】 すなわち、ヒト末梢血より遠心分離法によりNK細胞分画を調整し、生理食塩水のみを対照として、上記実施例1及び各菌類培養物から得られた多糖体分画50μgを投与し、51Crでラベルした標的細胞と共に培養し、標的細胞がNK細胞によって破壊されることにより培養液上澄に移行した放射活性を測定し、51Cr放出量(%)を算出した。 【0035】 51Cr放出量(%)は、a:各多糖体分画を試験したものの放射活性、b:NK細胞分画に代えて培養液のみを加えた場合の放射活性(自然放出)、c:NK細胞分画に代えて10%-トリトンX100(Triton X 100)溶液を加え、全ての標的細胞を破壊した場合の放射活性(最大放出)として、以下の計算式 51Cr放出量(%)={(a−b)×100/(c−b)} により計算される。 結果を図2に示す。 【0036】 図2に示す結果から明らかなように、実施例1の多糖体分画は他のどの対照の多糖体分画より強いNK活性を発現し、対照の多糖体分画で最も強いNK活性を示したマイタケ培養物由来の多糖体分画に比べて1.16倍であった。NK細胞はガン化した細胞を識別して攻撃を行う白血球であり、ガンの予防、ガンの治療には重要な働きをしている。このNK細胞の活性化についても実施例1の7種の菌類培養物の組合せが有効であることが判明した。 【0037】 〔試験例3:インターロイキン(IL-6 & IL-8)産生活性の測定〕 ヒト末梢血から遠心分離法によってリンパ球を分離し、実施例1の多糖体分画及び対照の多糖体分画1mgを加え、24時間培養してインターロイキン-6(IL-6)及びインターロイキン-8(IL-8)の産生量をELISA(enzyme-linked immunosorbent assay)法により測定した。 結果を図3及び図4に示す。 【0038】 図3及び図4に示す結果から明らかなように、実施例1の多糖体分画は他のどの対照の多糖体分画より強いインターロイキン活性を発現した。IL-6の場合には実施例1の多糖体分画は対照の多糖体分画で最も活性の強いアガリクス培養物由来の多糖体分画より1.6倍の活性を有し、また、IL-8の場合には実施例1の多糖体分画は対照の多糖体分画で最も活性の強いチャーガ培養物由来の多糖体分画より1.2倍の活性を有し、顕著な相乗効果が観察された。IL-6とIL-8はいずれも免疫作用を発現させるために放出される情報伝達物質(サイトカイン)であり、この点においても実施例1の7種の菌類培養物の組合せが有効であることが判明した。 【0039】 〔実施例2〕 霊芝子実体を100℃で1時間の条件で充分に乾燥した後、旋回気流方式の粉砕機を用いて粉砕し、粉末状の加工素材とした。 次いで、霊芝培養物由来の加工素材に替えて上で得られた霊芝子実体由来の加工素材を用いた以外は、上記実施例1と同様にして、アガリクス、メシマコブ、冬虫夏草、マイタケ、ヤマブシタケ、及びチャーガの6種の菌類培養物と霊芝子実体とを加工素材とする実施例2の粉末状混合物(免疫力強化活性剤)を得た。 【0040】 〔実施例3〕 アガリクス、メシマコブ、冬虫夏草、及びマイタケの4種の菌類培養物と霊芝子実体とを加工素材とした以外は、上記実施例2と同様にして、実施例3の粉末状混合物(免疫力強化活性剤)を得た。 【0041】 〔実施例4〕 アガリクス、メシマコブ、及び冬虫夏草の3種の菌類培養物と霊芝子実体とを加工素材とした以外は、上記実施例2と同様にして、実施例4の粉末状混合物(免疫力強化活性剤)を得た。 【0042】 〔試験例4:インターロイキン(IL-12)産生活性の測定〕 雌7週のBALB/cマウスの腹腔内に0.3ml/マウスのフロイント完全アジュバントを注射し、7日後に腹水から滲出マクロファージ(PEC)を得た。このPECの1×106/ml相当培養液に、リポポリサッカライド(LPS)刺激時、上記実施例1〜4の免疫強化活性剤から得られた熱水抽出液(各検体1mgに対し1mlの熱水で抽出した溶液、またはその5倍、50倍希釈液)を加え、24時間後の培養上清中のインターロイキン-12(IL-12)の産生量をELISA法により測定した。 結果を図5に示す。 【0043】 図5に示す結果から明らかなように、実施例1の霊芝培養物を霊芝子実体に替えた実施例2の免疫強化活性剤、実施例2のものからヤマブシタケ培養物及びチャーガ培養物を除いて得られた実施例3の免疫強化活性剤、更にこの実施例3のものからマイタケ培養物を除いて得られた実施例4の免疫強化活性剤は、そのいずれも実施例1の免疫強化活性剤と同等あるいはそれ以上のインターロイキン(IL-12)産生活性を有していることが判明した。免疫システムには、抗原−抗体反応を行う液性免疫と、老化した細胞やガン化した細胞の排除等を行う細胞性免疫とが存在するが、IL-12は細胞性免疫を活性化させるサイトカインである。液性免疫が優勢となっている現代人にとって、このIL-12の発現は免疫システムの正常化につながり、特に、ガンや生活習慣病の予防に大きな意味を持つほか、アトピー性皮膚炎や喘息等の改善にも寄与するものと考えられる。 【0044】 〔実施例5〕 実施例2の免疫強化活性剤(加工素材:アガリクス、メシマコブ、冬虫夏草、マイタケ、ヤマブシタケ、及びチャーガの6種の菌類培養物及び霊芝子実体)に、10wt%の鮫軟骨エキス末(マルハ株式会社製商品名:サメ軟骨エキスNB)、10wt%のグルタチオン高含有酵母エキス末(株式会社興人製商品名:酵母エキスYH-15)、6wt%の無臭ニンニク末(大蔵製薬株式会社製商品名:ムシューリックパウダーPS-II)、1wt%のビタミンB6、7wt%のビタミンC、5wt%のビタミンE末(ビタミンEを15wt%含有)を添加し、実施例5の粉末状混合物(免疫力強化活性剤)を得た。 【0045】 〔試験例5:インターロイキン(IL-12)産生活性の比較〕 実施例2及び5の免疫強化活性剤について、試験例4と同様にしてインターロイキン(IL-12)産生活性を測定し、抗酸化ビタミン、抗酸化物質、及び異種多糖類の添加による効果を調べた。 結果を図6に示す。 この図6に示す結果から明らかなように、IL-12の発現量はこれらの添加物の添加により相乗的に増加することが確認された。 【0046】 〔試験例6:MM46乳ガンマウス延命試験〕 アガリクス、マイタケ、霊芝、及びヤマブシタケの各子実体、チャーガの菌核、メシマコブ、冬虫夏草のタンク培養菌糸体の合計7種の素材の等量混合物(比較例1)とメシマコブのタンク培養菌糸体(比較例2)とを対照として、上記実施例2の免疫強化活性剤について、次の方法でMM46乳ガン腹腔内担ガンマウスの延命試験を行った。 【0047】 すなわち、MM46乳ガンを予め1週間前にC3H/Heマウス腹腔内に移植し、腹水ガンとしたものより腹水を採取し、各実験群マウス(1群5匹)に5×104cells/0.2mlの腹腔内接種を行い(0日目)、その後、1日目、3日目、及び5日目に、上記実施例2、比較例1及び2の各検体を蒸留水に懸濁させてマウス体重当り0.02g/kgとなるように経口投与し、また、対照群には蒸留水を経口投与し、生存日数に与える効果を調べた。 結果を表1に示す。 【0048】 【表1】
【0049】 表1に示す結果から明らかなように、対照群が18.6日の平均生存日数であるのに対し、比較例1では0.2日であって、比較例2では0.6日であり、共に危険率5%(p=0.05)でも統計的有意差は認められなかった。一方、実施例2の場合には2.0日の延長効果が認められ、これはP=0.018であり、顕著な統計的有意差が認められた。本試験は、免疫強化作用のみならず、ガン細胞に直接的に作用する効果も評価できる方法であるが、免疫力強化作用が期待される比較例1がほとんど無効であるという重篤な条件であるにもかかわらず、実施例2の免疫力強化活性剤が有意な効果を示したことは、6種の菌類培養物と霊芝子実体とに存在する多彩な成分が強力な免疫力強化作用を発揮したのか、あるいはガン細胞に直接作用したことを示している。 【0050】 〔試験例7:インターロイキン(IL-12)産生活性の比較〕 上記実施例1の免疫強化活性剤及び比較例1の混合物と、比較例1を構成するアガリクス子実体、メシマコブ菌糸体(タンク培養品)、冬虫夏草菌糸体(タンク培養品)、マイタケ子実体、霊芝子実体、ヤマブシタケ子実体、及びチャーガ菌核の各単体について、上記試験例4と同様にしてインターロイキン-12(IL-12)の産生量をELISA法により測定した。 結果を図7に示す。 【0051】 図7に示す結果から明らかなように、実施例1の免疫力強化活性剤は、子実体等の組合せ(比較例1)に比べてインターロイキン(IL-12)産生活性が顕著に強く、相乗効果が発現していることが判明した。これに対して、子実体等の組合せ(比較例1)では相乗効果はみられるものの、その効果が小さい。 【産業上の利用可能性】 【0052】 本発明の免疫力強化活性剤は、優れた免疫力強化活性効果を有することから、医薬品としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤等の加工製剤品の形で、例えば感染症の予防薬、ガン治療の副作用を軽減する免疫賦活薬、あるいはアトピー性疾患や喘息等の自己免疫疾患の改善薬として利用することができ、また、特定保健用食品や健康補助食品としては、錠剤タイプ、カプセルタイプ、顆粒タイプ、エキス剤タイプ等の加工製剤品の形で、例えばガン、感染症、生活習慣病等の予防や改善の効果が期待できる食品として、あるいは、一般食品への添加物として利用することができる。 【図面の簡単な説明】 【0053】 【図1】図1は、実施例1の免疫力強化活性剤から得られた多糖体分画(実施例1の多糖体分画)について、マイトジェン活性効果を調べたグラフ図である。 【図2】図2は、実施例1の多糖体分画について、NK活性効果を調べたグラフ図である。 【0054】 【図3】図3は、実施例1の多糖体分画について、インターロイキン(IL-6)産生活性効果を調べたグラフ図である。 【図4】図4は、実施例1の多糖体分画について、インターロイキン(IL-8)産生活性効果を調べたグラフ図である。 【0055】 【図5】図5は、実施例1〜4の免疫強化活性剤について、インターロイキン(IL-12)産生活性効果を調べたグラフ図である。 【図6】図6は、実施例2及び5の免疫強化活性剤について、インターロイキン(IL-12)産生活性効果を比較したグラフ図である。 【図7】図7は、実施例1の免疫強化活性剤及び比較例1の混合物並びにその構成素材について、インターロイキン(IL-12)産生活性効果を比較したグラフ図である。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】301054287 【氏名又は名称】株式会社バイオソリューションズ
|
| 【出願日】 |
平成15年9月25日(2003.9.25) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100082739 【弁理士】 【氏名又は名称】成瀬 勝夫
【識別番号】100087343 【弁理士】 【氏名又は名称】中村 智廣
【識別番号】100088203 【弁理士】 【氏名又は名称】佐野 英一
【識別番号】100108925 【弁理士】 【氏名又は名称】青谷 一雄
【識別番号】100110733 【弁理士】 【氏名又は名称】鳥野 正司
【識別番号】100114498 【弁理士】 【氏名又は名称】井出 哲郎
【識別番号】100120710 【弁理士】 【氏名又は名称】片岡 忠彦
|
| 【公開番号】 |
特開2005−97192(P2005−97192A) |
| 【公開日】 |
平成17年4月14日(2005.4.14) |
| 【出願番号】 |
特願2003−333569(P2003−333569) |
|