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【発明の名称】 |
睡眠障害治療用の非アロステリックGABAAアゴニスト |
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【氏名】ランセル,マリケ |
【課題】重大な副作用がなく、本質的に生理的な睡眠と一致する睡眠のプロフィールを生じさせるような効果的な睡眠薬。
【解決手段】GABAAアゴニストのムシモールおよびTHIP(4,5,6,7−テトラヒドロ(5,4−C)ピリジンー3−オール)、GABAAトランスアミナーゼ阻害剤のビガバトリン、GABAA取り込み阻害剤のチアガビンを睡眠薬として使用。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 非アロステリックGABAAアゴニストを含む睡眠障害治療用の医薬組成物。 【請求項2】 非アロステリックGABAAアゴニストがGABAA受容体に直接効果を及ぼすものである、請求項1記載の医薬組成物。 【請求項3】 GABAAアゴニストが部分的アゴニストである、請求項2記載の医薬組成物。 【請求項4】 GABAAアゴニストが間接的GABAアゴニストである、請求項1記載の医薬組成物。 【請求項5】 非アロステリックGABAAアゴニストがGABA取り込み阻害剤である、請求項4記載の医薬組成物。 【請求項6】 非アロステリックGABAAアゴニストがGABAトランスアミナーゼ阻害剤である、請求項4記載の医薬組成物。 【請求項7】 非アロステリックGABAAアゴニストがGABAプロドラッグである、請求項4記載の医薬組成物。 【請求項8】 非アロステリックGABAAアゴニストがムシモール、チオムシモール、THIP、チオTHIPまたはイソグバシンである、請求項4記載の医薬組成物。 【請求項9】 非アロステリックGABAAアゴニストがプロガビドである、請求項7記載の医薬組成物。 【請求項10】 非アロステリックGABAAアゴニストがチアガビンである、請求項5記載の医薬組成物。 【請求項11】 患者が年輩者である、請求項1記載の医薬組成物。 【請求項12】 睡眠障害が入眠困難である、請求項1記載の医薬組成物。 【請求項13】 睡眠障害が夜間の頻繁な覚醒である、請求項1記載の医薬組成物。 【請求項14】 投与するアゴニストの量が、1日あたり5〜50mgである、請求項1記載の医薬組成物。 【請求項15】 非アロステリックGABAAアゴニストの、請求項1-14のいずれか1項に定義された医薬組成物の製造への使用。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は非アロステリックGABAAアゴニストを睡眠障害の治療の目的で使用することに関する。 【背景技術】 【0002】 睡眠障害の治療のために最も頻繁に処方される催眠薬は、古典的なベンゾジアゼピン化合物、および、ゾルピデム(zolpidem)およびゾピクロン(zopiclone)のような化合物である。これらの化合物は、睡眠の潜伏時間を短縮し、総睡眠時間を増加させる。これらの化合物の薬理学的な効果は、GABAA受容体(γ-アミノ酪酸A受容体)のモジュレーションによるものと考えられているが、これらの化合物は、ニューロンからのGABAの放出の増加も、放出されたGABAの再取り込みの遮断もおこなわない。これらはまた、直接的なGABAA作動作用も持たない。反対に、これらは、とりわけベンゾジアゼピンおよび塩素イオンチャンネルに対するさまざまな異なるモジュレートリー受容体である、GABA受容体からなる複合体に属する特定の結合部位と反応し、これによりGABAA受容体にアロステリックな変化を引き起こす。このアロステリックな変化が、塩素イオンチャンネルの開放を促進するGABAの効力に影響を与える。 【0003】 しかしながら、このようなGABAA受容体モジュレーターは重大な副作用を有する。特に、ベンゾジアゼピンを使用すると、すぐに耐性および依存性が生じ、使用を中止すれば、反動の不眠症が不安および睡眠障害として現れる。 【0004】 さらに、上記のGABAA受容体モジュレーターにより誘導される睡眠の質は生理的なものではない。レム睡眠(=急速眼球運動睡眠)およびノンレム睡眠(徐波睡眠)の深い相が妨げられる。 【0005】 たとえば、ベンゾジアゼピンおよび他のすべての一般的な催眠薬は、次のような睡眠のプロフィールをもたらす。 1) レム睡眠を抑制する。 2) ノンレム睡眠を促進する。 3) a) ノンレム睡眠発生開始時にデルタ活動の出現速度を減少させる b) ノンレム睡眠発生時の最大のデルタ活動を減少させる ことにより、ノンレム睡眠中のEEGにおけるデルタ活動(0.5-4Hz)を減少させる。 【0006】 メンデルソンら(Mendelson, et al., Life Sci 47, (1990) 99, 101; Life Sci 53 (1993) 81-87)は、二つの研究のうちの一つで、GABA類似物で選択的なGABAAのアゴニストであるムシモール(muscimol)が、睡眠の潜伏時間のわずかな減少をもたらすが、睡眠自体には影響を及ぼさないことを見いだした。この知見は、ベンゾジアゼピン類以外のGABAAアゴニストは睡眠障害に対して臨床的に有益な効果を持たないという一般的な見解に沿う結果であった。さらに、ある物質が副作用として鎮静効果を有する場合、または睡眠の潜伏時間のわずかな減少をもたらす場合に、そのことによってその物質を催眠薬として分類するのは正当ではないということが、この技術分野において一般的に受け入れられている。 【0007】 Pharmacol. Biochem. and Behaviour (1993), vol 45, pp881-887において、鈴木らは、3mg/kgのムシモールをラットの異なる近交系(Fischer344およびLewis)に腹腔内投与し、回復反射(righting reflex)の消失および持続時間を測定することによりその効果を研究した。この文書の著者らは回復反射の消失の持続時間が催眠効果(睡眠時間)を示すものと考えた。しかしながら、行動の指標である“回復反射”と睡眠とは関係がないということは十分に証明されたことである。ラットにおいて、3mg/kgといった非常に高用量のムシモールはてんかん性欠神を喚起することが知られている。実際、認められた沈静(“回復反射の消失”)は、病理学的にてんかんの性質を有する状態を表しているように思われる(“GABAトランスアミナーゼ阻害剤およびピクロトキシンにより生じる過同調および沈静:GABAは睡眠制御に関与しているか?”Waking and Sleeping(1979), 3: 245-254参照)。 【0008】 US-A-5,185,446にはシクロアルキルイミダゾピリミジン誘導体が開示されており、これらはGABAAの脳受容体に対する選択的なアゴニスト、アンタゴニストまたは逆アゴニストであって、不安、睡眠および他の障害の診断および治療に使用し得ることが記載されている。しかし、これらの化合物はすべて、アロステリックなGABAA-受容体モジュレーターである。Pharmacol. Biochem. and Behaviour (1988), vol 29, pp 781-783には、アロステリックなGABAA-受容体モジュレーターの催眠効果について記載されている。 【0009】 本発明の目的は、重大な副作用がなく、本質的に生理的な睡眠と一致する睡眠のプロフィールを生じさせるような、効果的な催眠薬を提供することである。 【発明の開示】 【0010】 本発明は、催眠効果を有する量の非アロステリックGABAAアゴニストを投与することを含む、治療を必要とする患者の睡眠障害を治療する方法を提供するものである。 【発明を実施するための最良の形態】 【0011】 本発明は、GABAAアゴニストのムシモールおよびTHIP(4,5,6,7-テトラヒドロイソオキサゾロ(5,4-C)ピリジン-3-オール)が睡眠に対して非常に有益な効果を有するという予期せぬ発見に基づくものである。ムシモールおよびTHIPにより誘発される睡眠の活動のプロフィールは、以下のように要約することができる。 【0012】 1) ムシモールおよびTHIPがノンレム睡眠を増加させた後に、ノンレム睡眠とレム睡眠の総持続時間が増加する。 【0013】 2) ノンレム睡眠の発生と同様にレム睡眠の発生を延長させ、それにより睡眠の連続性を維持する。 【0014】 3) ノンレム睡眠中のEEG-デルタ活動が増加する。これは以下のことにより達成される。 a) それぞれのノンレム睡眠の発生開始時におけるデルタ活動の出現速度の増加、 b) ノンレム睡眠発生時の最大のデルタ活動の増加、 c) ノンレム睡眠の発生の延長(2参照)。 【0015】 上に要約した変化はすべて、たとえば長時間起きていた後のように、生理的に睡眠の必要性が増加した場合に観察される睡眠のプロフィールと一致している。このことは、非アロステリックGABAAアゴニストは、ベンゾジアゼピンおよび他のすべての一般的な催眠薬と異なり、自然な睡眠の特徴を有する睡眠を誘発できることを示している。 【0016】 完全なGABAAアゴニストであるムシモールおよび部分的なGABAAアゴニストであるTHIPを用いたときに観察される結果と同様の結果が、他の非アロステリックGABAAアゴニスト、ビガバトリン(vigabatrin)のようなGABAトランスアミナーゼ阻害剤、および、チアガビン(tiagabine)のようなGABA取り込み阻害剤を用いても達成できた。このように、GABAAアゴニストの投与により直接的に、あるいは、GABAプロドラッグ、GABA取り込み阻害剤またはGABAトランスアミナーゼ阻害剤を用いて内因性のGABA濃度を増加させることにより間接的に、GABAA受容体のGABA結合部位を薬理学的に刺激することにより、睡眠障害の治療において注目に値する治療上の利益を得られることが見いだされた。 【0017】 以上のように、本発明は、GABAA受容体のGABA結合部位を直接または間接的に刺激するような物質を催眠効果を有する量で投与することを含む、治療を必要とする患者の睡眠障害を治療する方法に関する。GABAA受容体のGABA結合部位を刺激する物質は、ここでは非アロステリックGABAAアゴニストと呼ぶ。 【0018】 このような化合物の例としては、特に以下のようなものが含まれる。 【0019】 GABAA受容体に直接影響を及ぼすGABAAアゴニスト、たとえば、ムシモール、チオムシモール(thiomuscimol)、THIP、チオTHIP、イソグバシン(isoguvacine)、 GABAプロドラッグ、たとえば、プロガビド(progabide)、 GABA取り込み阻害剤、たとえば、チアガビン、および、 GABAトランスアミナーゼ阻害剤、たとえば、ビガバトリン。 【0020】 部分的アゴニストはGABAA受容体の急速な脱感作を起こさないので、部分的アゴニストを用いることが特に好ましい。 【0021】 その薬理学的な特性のために、GABAA受容体に対する直接または間接的な非アロステリック作動効果を有する上記の物質は、広い範囲の睡眠障害、たとえば、入眠困難、夜間の頻繁な覚醒、早朝の目覚めおよび/または睡眠の強度に対する不満を治療するのに有益である。 【0022】 これらの化合物は、年輩の患者の治療に特に適している。 【0023】 本発明の方法によって睡眠障害に悩まされる患者に対して治療を行う場合、非アロステリックGABAAアゴニストは、当技術分野において公知の方法で、通常の製薬用の補助薬を用い、必要に応じて他の活性な物質と組み合わせて、通常のガレン製薬、たとえば、錠剤、糖衣錠、カプセル、粉末、懸濁剤、注射用溶液または坐剤を形成するように製剤化することができる。 【0024】 本発明の構成によれば、化合物は、効果を有する量で、経口または非経口の経路を含む、化合物を生体に適用できるような任意の形態または方式で投与することができる。たとえば、化合物は、経口、皮下、筋内、静脈内、経皮、鼻腔内、直腸、局所等の投与法により投与することができる。一般的に経口投与が好ましい。調剤の分野における当業者は、使用する化合物、治療すべき疾病の状態、疾病の期、および他の関係ある要因の個々の特性に応じて適切な投与形態および方式を容易に選択することができる。 【0025】 化合物は単独で投与してもよいし、あるいは、製剤学的に許容される担体または賦形剤と組み合わせて医薬組成物の形で投与してもよく、これらの担体や賦形剤の比率および性質は、使用する化合物の溶解性および化学的特性、使用する投与経路、および薬剤学の標準的技術により決定される。本発明の化合物はそれ自体でも効果を有するが、安定性、結晶化の便宜、溶解度の増加等の目的のために、製剤学的に許容される酸付加塩の形に製剤化し、投与してもよい。 【0026】 投与する用量は、患者の年齢および体重並びに、睡眠障害の程度および性質に依存する。好ましくは、本発明に従って使用される非アロステリックGABAAアゴニストは、1日あたり5mg〜50mgの用量で投与される。投与法は、静脈内または筋内投与であってもよい。しかし、経口投与が好ましい。 【0027】 “催眠効果を有する量”という用語は、ここでは、睡眠の潜伏時間の減少、レム睡眠の延長、ノンレム睡眠の延長、総睡眠時間の延長、または睡眠中のEEG-デルタ活動の増大に十分な量という意味で使われる。 【0028】 以下の実施例は、発明をさらに詳細に説明するために記載するものである。これらの実施例は例示的なものに過ぎず、いかなる意味でも発明の範囲を制限するものではないと理解される。 【実施例1】 【0029】 プラシーボ(発熱物質の入っていない生理食塩水)またはムシモール(0.2および0.4mg/kg)を腹腔内投与した後、成体ラットのEEG、EMGおよび脳温度を連続的に記録した。 【0030】 ムシモールを投与すると、用量に依存してノンレム睡眠およびレム睡眠が増加し、レム睡眠およびノンレム睡眠の発生が延長する結果が得られた。EEGスペクトルによるノンレム睡眠の発生の分析から、ムシモールは、特に高用量の場合に、すべての周波数帯において、とりわけ低い周波数(0.5から4Hz)においては顕著に、EEG活動を増加させることが明らかになったが、これは睡眠の強度を反映していると考えられる。 【実施例2】 【0031】 プラシーボ(発熱物質の入っていない生理食塩水)またはTHIP(2および4mg/kg)を腹腔内投与した後、成体ラットのEEG、EMGおよび脳温度を連続的に記録した。 【0032】 THIPは、用量に依存してノンレム睡眠の総量を増加させ、ノンレム睡眠およびレム睡眠の発生の持続時間を延長した。高用量のTHIPはノンレム睡眠中のデルタ活動を上昇させたが、これは一般的にノンレム睡眠の強度の増加を反映しているものと信じられている。 【0033】 ビガバトリンを用いた場合にもこれと一致する結果が得られた。 【実施例3】 【0034】 プラシーボを対照とした二重盲検法による研究で、10人の若い健康な男性被験者にゼラチンカプセルに入れた20mgのTHIPを就寝に際して22時30分に投与してその効果を調べた。被験者は23時00分に床に入り、床にいる時間は制限しなかった。プラシーボを与えた場合と比較して、THIPは睡眠の効率を顕著に増加させ、徐波睡眠(3および4期)に費やす合計時間を約30分増加させた。ノンレム睡眠(2、3、および4期)中のEEGのスペクトル分析により、THIPはデルタ活動(0.78と4.30Hzの間の周波数ビンの累積強度)を顕著に上昇させ、シグマ活動(12.50と14.83Hzの間の周波数ビンの累積強度、紡錘周波数帯)を低下させることが判明した。ノンレム睡眠の発生時最初の30分間にわたってデルタおよびシグマ活動の発達を分析した結果、THIPを投与すると、デルタ活動はより迅速に増加してより高いレベルに達するのに対して、シグマ活動はプラシーボの値よりも低い値にとどまることが明らかになった。これらの効果は、ヒトにおいて睡眠妨害により誘発されるものと非常に類似している。 【0035】 若いヒト被験者に対して睡眠を妨げずにおこなった実験におけるTHIPの睡眠に対する効果は、ラットにおけるGABAAアゴニストに関する知見を立証および拡張し、THIPが、現存する催眠薬とは異なり、睡眠妨害と同様にレム睡眠を抑制することなく深いノンレム睡眠を促進することを示した。 【実施例4】 【0036】 糖衣錠 1. 錠剤は以下のものを含む THIP 40.00mg 微結晶セルロース 100.00mg ラクトース 80.00mg コロイドケイ酸 25.00mg タルク(コア中) 4.50mg ステアリン酸マグネシウム 0.50mg ヒドロキシプロピルメチルセルロース 12.00mg 酸化鉄色素 0.10mg タルク(コーティング中) 0.50mg 糖衣錠1錠の重量 約262.60mg
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| 【出願人】 |
【識別番号】504334245 【氏名又は名称】マックス−プランク−ゲゼルシャフト ツール フェルデルング デル ヴィッセンシャフテン エー.ヴェー.
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| 【出願日】 |
平成16年9月2日(2004.9.2) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100091096 【弁理士】 【氏名又は名称】平木 祐輔
【識別番号】100096183 【弁理士】 【氏名又は名称】石井 貞次
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| 【公開番号】 |
特開2005−47925(P2005−47925A) |
| 【公開日】 |
平成17年2月24日(2005.2.24) |
| 【出願番号】 |
特願2004−256133(P2004−256133) |
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