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【発明の名称】 抗菌剤およびそれを用いた抗菌製品
【発明者】 【氏名】駒木 亮一
【住所又は居所】神奈川県小田原市寿町5丁目3番28号 カネボウ株式会社化粧品研究所内

【氏名】鈴木 靖
【住所又は居所】神奈川県小田原市寿町5丁目3番28号 カネボウ株式会社化粧品研究所内

【氏名】奥井 美保
【住所又は居所】神奈川県小田原市寿町5丁目3番28号 カネボウ株式会社化粧品研究所内

【氏名】染谷 厚子
【住所又は居所】千葉県野田市船形1573−4曽田香料株式会社野田支社内

【氏名】加藤 豊
【住所又は居所】千葉県野田市船形1573−4曽田香料株式会社野田支社内

【要約】 【課題】

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式


(式中、Rは炭素数1〜11のアルキル基を示し、破線は単結合もしくはいずれか一方が二重結合であることを示す)で示されるγ−ラクトン類を有効成分とする抗真菌剤。
【請求項2】
一般式


(式中、Rは炭素数1〜11のアルキル基を示し、破線は単結合もしくはいずれか一方が二重結合であることを示す)で示されるγ−ラクトン類を有効成分とする、ふけ症の予防剤または治療剤。
【請求項3】
4−ペンタノリド、4−ヘキサノリド、4−ヘプタノリド、4−オクタノリド、4−ノナノリド、4−デカノリド、4−ウンデカノリド、4−ドデカノリド、4−トリデカノリド、4−テトラデカノリド、4−ペンタデカノリド、5−メチル−2(3H)−フラノン、5−メチル−2(5H)−フラノンから選ばれる少なくとも1種を有効成分とする抗真菌剤。
【請求項4】
4−ペンタノリド、4−ヘキサノリド、4−ヘプタノリド、4−オクタノリド、4−ノナノリド、4−デカノリド、4−ウンデカノリド、4−ドデカノリド、4−トリデカノリド、4−テトラデカノリド、4−ペンタデカノリド、5−メチル−2(3H)−フラノン、5−メチル−2(5H)−フラノンから選ばれる少なくとも一種を有効成分とするふけ症の予防剤または治療剤。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の抗真菌剤、ふけ症の予防剤または治療剤を配合してなる毛髪用化粧品。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚常在真菌の増殖を抑制によりふけを抑制する、ふけ症の予防剤または治療剤、およびそれを含有する毛髪用化粧品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
頭皮には、ニキビの原因となるアクネ桿菌のように、正常な皮膚に存在する皮膚常在菌が生息している。同じように皮膚常在真菌である、ふけ原因菌のマラセチア属フルフル(Malassezia furfur)も生息している。ふけの発生は、脂分の好きな皮膚常在真菌が大きく関与しており、皮脂腺が多く皮脂量も多い頭皮は住み易く増殖するのに絶好の住処となっている。ふけは、新陳代謝によって古くなった角質がはがれ落ちたもので、誰にでも生理的に発生する。しかし、ふけの量が異常に多い場合をふけ症といい、放っておくとかゆみを伴い、爪でかいたりし、頭皮に炎症を起こす場合もある。また、ふけ症には、パラパラ落ちる乾性とベタベタした湿性があり、一般に、ふけ症の多くは皮脂の分泌が過剰な湿性が多いとされている。その多くは、脂漏性皮膚炎の先行型または軽症型と考えられており、女性よりも男性に多く発生すると言われている。このように、皮脂の多い頭皮に、ふけ原因菌のマラセチア属フルフル(Malassezia furfur)が増殖および活性増大することにより、ふけやかゆみを悪化させる要因であることが知られている。更に、ふけの発生は、脱毛の原因としても知られている。
【0003】
その対策として従来、これらの原因菌に対して抗菌、静菌作用のあるジンクピリチオンやオクトピロックス、ピロクトンオラミンなどが配合されたシャンプー剤などで洗髪すると効果的とされている。しかしながら、ジンクピリチオンは国立環境研究所の調べで、環境ホルモンの疑いがあると発表されており、今後の動向が注目されている。
【0004】
そこで、上記問題を解決するために、天然抽出物を用いた抗菌剤がいくつか提案されている。例えば、特許文献1では、銀杏内種皮抽出物を有効成分として含有させた抗菌性組成物が、また、特許文献2では、有効成分としてラン科植物のエビネ属またはガンゼキラン属の1種以上を含有する頭皮への抗ふけ菌効果、血行促進効果、止痒効果および頭髪への発毛効果が、特許文献3では、海藻原料、例えばワカメ、コンブ、ホンダワラなどの褐藻類を灰化することにより得られる海藻灰、あるいは、その抽出液を有効成分とする抗ふけ菌剤、さらに特許文献4では、シトラス系果実の果皮から得られるクマリン類縁体混合物、とくにシトラスコールドプレスオイルから得られるクマリン類縁体混合物を有効成分とする抗菌剤がそれぞれ提案されている。
【0005】
しかしながら、こうした天然由来の抗菌剤は、添加される対象の香りに影響を及ぼすなどの問題を抱えている。
【0006】
一方、一部のラクトンが特定のグラム陽性菌に対して増殖抑制能を示すことは、特許文献5および6などに報告されているが、皮膚常在真菌であるふけ原因菌のマラセチア属フルフル(Malassezia furfur)に対する抗菌性については何ら提案されていない。また、洗髪用化粧品、育毛剤、毛髪仕上げ用化粧品剤、パーマネントウエーブ用剤、染毛剤およびヘアブリーチに快い香りを与える目的で香料化合物が使用されているものの、これら化合物の皮膚常在真菌に対する抗菌性については明記されていない。
【特許文献1】特開平10−27316号公報
【特許文献2】特開平11−279033号公報
【特許文献3】特開2000−344678号公報
【特許文献4】特開2002−275007号公報
【特許文献5】特願2003−123893号公報
【特許文献6】特願2003−139466号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、皮膚常在真菌であるふけ原因菌の増殖を抑制するための各種用途に使用できる抗菌剤、特にふけ発生予防に効果のある安全な毛髪用化粧品類に好適な抗菌剤を提供することにある。
【0008】
また、本発明の他の目的は、上記抗菌剤を含有した快い芳香を有する毛髪用化粧品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、香料化合物の中から、ラクトン系の合成香料である特定のγ−ラクトン類が、皮膚常在真菌に対して抗菌性を示すことを見い出し本発明に至った。
【0010】
すなわち、本発明は上記目的を達成するものであって、下記一般式
【0011】


(式中、Rは炭素数1〜11のアルキル基を示し、破線は単結合もしくはいずれか一方が二重結合であることを示す)で示されるγ−ラクトン類を有効成分とする、抗真菌剤またはふけ症の予防剤または治療剤である。
【0012】
さらに好ましくは、4−ペンタノリド、4−ヘキサノリド、4−ヘプタノリド、4−オクタノリド、4−ノナノリド、4−デカノリド、4−ウンデカノリド、4−ドデカノリド、4−トリデカノリド、4−テトラデカノリド、4−ペンタデカノリド、5−メチル−2(3H)−フラノン、5−メチル−2(5H)−フラノンから選ばれる少なくとも1種を有効成分とする抗真菌剤またはふけ症の予防剤または治療剤である。
【0013】
さらに、本発明の他の態様は、前記の抗真菌剤、ふけ症の予防剤または治療剤を配合してなる毛髪用化粧品である。
【発明の効果】
【0014】
本発明のγ−ラクトン類は、ふけ原因菌に対して優れた抗菌作用が得られた。これらγ−ラクトン類を配合することで、ふけ及びふけによるかゆみなどを抑制する毛髪用化粧品類などを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明は、本発明の下記一般式
【0016】


(式中、Rは炭素数1〜11のアルキル基を示し、破線は単結合もしくはいずれか一方が二重結合であることを示す)で示されるγ−ラクトン類を有効成分として含有するふけ症の予防剤または治療剤である。本発明のラクトン類は、皮膚常在真菌である、ふけ原因菌のマラセチア属フルフル(Malassezia furfur)に対して強い抗菌性を示し、これらの菌の増殖を抑制することによりふけの発生を抑えるものである。しかも、本発明で用いられる選択された上記一般式で示されるγ−ラクトン類は、ふけの発生を抑えることから、抜け毛予防も期待できる。
【0017】
本発明におけるγ−ラクトン類としては、4−ペンタノリド、4−ヘキサノリド、4−ヘプタノリド、4−オクタノリド、4−ノナノリド、4−デカノリド、4−ウンデカノリド、4−ドデカノリド、4−トリデカノリド、4−テトラデカノリド、4−ペンタデカノリド、5−メチル−2(3H)−フラノン、5−メチル−2(5H)−フラノンが挙げられる。
【0018】
これらのγ−ラクトン類は、香料化合物として市場に流通しており入手が極めて容易であるため、好ましく用いられる。
【0019】
さらに本発明で用いられるγ−ラクトン類は、生分解性が良好で毒性も認められていないことから、環境中に放出された場合でも悪影響を与えることがなく、また人体に対しても安全である。
【0020】
本発明におけるγ−ラクトン類は、市販されているものを利用することができる。また、これら化合物は製造方法が確立されており、公知の方法に従って合成することもできる。
【0021】
本発明の抗真菌剤は、特に皮膚常在真菌に作用して、ふけ原因菌の増殖抑制能を示すため、毛髪用化粧品に好ましく用いられる。本発明の毛髪用化粧品としては、洗髪用化粧品、育毛剤、毛髪仕上げ用化粧品剤、パーマネントウエーブ用剤、染毛剤およびヘアブリーチが挙げられる。より具体的には、洗髪用化粧品としては、シャンプー、リンス、コンディショナー、リンスインシャンプー、トリートメントなどが挙げられる。また、毛髪仕上げ用化粧品剤としては、ヘアフォーム、ヘアムース、ヘアスプレー、ヘアミスト、ヘアジェル、ウォーターグリース、セットローション、カラーローション、ヘアリキッド、ポマード、チック、ヘアクリーム、ヘアブロー、枝毛コート、ヘアオイル、ヘアトニック、染毛剤としては、カラースティック、カラースプレー、液状タイプ、ジェルタイプ、酸化染毛剤などが挙げられる。これら洗髪用化粧品、育毛剤、毛髪仕上げ用化粧品剤、パーマネントウエーブ用剤、染毛剤およびヘアブリーチへの配合量は、製品の種類や使用目的等によって異なることがあるが、全量に対し好ましくは0.01〜5質量%であり、より好ましくは0.025〜1質量%である。
【0022】
本発明の抗真菌剤は、その他、シャワーキャップ、ヘアーバンド等の合成樹脂成型品、抗菌繊維、抗菌紙および着色材等に配合され抗菌性製品とすることができる。
【0023】
また、本発明の抗真菌剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、他の抗菌剤、殺菌剤、鎮痛消炎剤、冷感剤などの活性成分や、界面活性剤、増粘剤、色素、香料およびアルコールなどの補助成分と併用することができる。
【0024】
次に、試験例および実施例に基づいて本発明を説明する。
【0025】
(試験例1)
次の(a)香料化合物、(b)1種の菌株および(c)1種の培地を使用して、抗真菌性試験を行なった。
(a)香料化合物:
・4−ペンタノリド
・4−ヘキサノリド
・4−ヘプタノリド
・4−オクタノリド
・4−ノナノリド
・4−デカノリド
・4−ウンデカノリド
・4−ドデカノリド
・4−トリデカノリド
・4−テトラデカノリド
・4−ペンタデカノリド
(b)使用菌株:
マラセチア属フルフル NBRC 0656(Malassezia furfur)
(生物遺伝資源センターより入手)
(c)使用培地:
生物遺伝資源センター(NBRC)復元培養基・103
【0026】
500ml容三角フラスコに、上記の培地100mlを入れ、菌体懸濁液を10CFU/mlになるように接種し、その中に前記の各香料化合物濃度が250ppmになるように添加し、シリコン製通気栓をした後、28℃、48時間、80rpm往復振盪培養を行った後、培養液の濁度(660nmにおける吸光度)を測定した。その結果、表1に示すように、試験したγ−ラクトン類全てに強い増殖抑制効果が認められた。
【0027】
【表1】


【0028】
(試験例2)
次の(a)香料化合物、(b)1種の菌株および(c)1種の培地を使用して、抗真菌性試験を行なった。
(a)香料化合物:
・5−メチル−2(3H)−フラノン
(b)使用菌株:
マラセチア属フルフル NBRC 0656(Malassezia furfur)
(生物遺伝資源センターより入手)
(c)使用培地:
生物遺伝資源センター(NBRC)復元培養基・103
【0029】
500ml容三角フラスコに、上記の培地100mlを入れ、菌体懸濁液を10CFU/mlになるように接種し、その中に前記香料化合物濃度が250ppmになるように添加し、シリコン製通気栓をした後、28℃、48時間、80rpm往復振盪培養を行った後、培養液の濁度(660nmにおける吸光度)を測定した。その結果、表2に示すように、試験した5−メチル−2(3H)−フラノンに強い増殖抑制効果が認められた。
【0030】
【表2】


【実施例1】
【0031】
透明シャンプー
1).ラウリルポリエキシエチレン
(3)硫酸エステルナトリウム塩(30%水溶液) 30.0 (質量%)
2).ラウリル硫酸エステルナトリウム塩(30%水溶液) 10.0
3).ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 4.0
4).グリセリン 1.0
5).4−ウンデカノリド 0.025
6).香料 0.375
7).色素 0.01
8).金属イオン封鎖剤,pH調整剤 0.01
9).精製水 54.58
製法:(1)〜(8)を順次(9)に添加して均一に混合、溶解する。
【実施例2】
【0032】
リンス
1).シリコーン油 3.0 (質量%)
2).流動パラフィン 1.0
3).セチルアルコール 1.5
4).ステアリルアルコール 1.0
5).塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 0.7
6).グリセリン 3.0
7).4−ウンデカノリド 0.025
8).香料 0.375
9).色素 0.01
10).精製水 89.39
製法:(1)〜(9)を順次(10)に添加して均一に混合、溶解する。
【0033】
実施例1および実施例2の処方に、4−ウンデカノリドを配合しないものを調製し、比較例1および比較例2とした。
【0034】
ふけ抑制評価およびかゆみ抑制評価
実施例1、実施例2および比較例1、比較例2を用い、ふけ症およびふけ症に伴うかゆみを有する成人男子10名を一群として、1ヶ月間、毎朝、普段使用しているシャンプーおよびリンスの代わりに使用してもらい、ふけ抑制およびかゆみ抑制試験を行った。なお、評価基準は次に示した通りで、各評価を回答した人数を表3に示した。
【0035】
ふけ抑制効果およびかゆみ抑制効果
有効:抑制された, やや有効:やや抑制された, 無効:効果無し
【0036】
【表3】


【0037】
表3に示した通り、ふけ抑制評価の結果、本実験の実施例1および実施例2で有効と回答したパネラーが70%、かゆみ抑制評価の結果、本実験の実施例1および実施例2で有効と回答したパネラーが80%とふけの抑制とかゆみの改善がみられ、比較例1および比較例2と比べても、非常に良好な結果が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明の抗真菌剤は、特に皮膚常在真菌に作用してその増殖を抑制するため、毛髪用化粧品に好ましく用いられる。またその他、シャワーキャップ、ヘアーバンド等の合成樹脂成型品、抗菌繊維、抗菌紙および着色材等に配合され抗菌性製品とすることができる。
【出願人】 【識別番号】000201733
【氏名又は名称】曽田香料株式会社
【住所又は居所】東京都中央区日本橋本町4丁目15番9号
【識別番号】000000952
【氏名又は名称】カネボウ株式会社
【住所又は居所】東京都墨田区墨田五丁目17番4号
【出願日】 平成15年7月15日(2003.7.15)
【代理人】
【公開番号】 特開2005−35929(P2005−35929A)
【公開日】 平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願番号】 特願2003−274480(P2003−274480)