| 【発明の名称】 |
プラス鎖RNAを遺伝情報に持つウイルスに対する治療剤 |
| 【発明者】 |
【氏名】曽根 三郎 【住所又は居所】神奈川県鎌倉市手広1111番地 東レ株式会社基礎研究所医薬研究所内
【氏名】藤井 登茂子 【住所又は居所】神奈川県鎌倉市手広1111番地 東レ株式会社基礎研究所医薬研究所内
【氏名】尾見 法昭 【住所又は居所】神奈川県鎌倉市手広1111番地 東レ株式会社基礎研究所医薬研究所内
|
| 【要約】 |
【課題】
【解決手段】本発明は、抗高脂血症薬とインターフェロンとを有効成分として含有するプラス鎖RNAを遺伝情報に持つウイルスに対する治療剤(以下「抗ウイルス剤」という。)を提供する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 抗高脂血症薬とインターフェロンとを有効成分として含有するプラス鎖RNAを遺伝情報に持つウイルスに対する治療剤。 【請求項2】 抗高脂血症薬がフィブラート類である請求項1記載の治療剤。 【請求項3】 フィブラート類がクリノフィブラート、クロフィブラート、シンフィブラート、フェノフィブラート、またはベザフィブラートである請求項2記載の治療剤。 【請求項4】 インターフェロンが天然型インターフェロン−α、遺伝子組換え型インターフェロン−α、コンセンサスインターフェロン、ペグ化インターフェロン−α、またはペグ化コンセンサスインターフェロンである請求項1乃至3記載の治療剤。 【請求項5】 インターフェロンが天然型インターフェロン−β、遺伝子組換え型インターフェロン−β、またはペグ化インターフェロン−βである請求項1乃至3記載の治療剤。 【請求項6】 プラス鎖RNAを遺伝情報に持つウイルスがC型肝炎ウイルスである請求項1乃至5に記載の治療剤。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、抗高脂血症薬とインターフェロンとを有効成分として含有するプラス鎖RNAを遺伝情報に持つウイルスに対する治療剤に関する。 【0002】 【従来の技術】 インターフェロン類(IFNs)は天然に存在するタンパク質であり、抗ウイルス活性、増殖抑制活性、免疫制御活性を有する。4つのクラスのインターフェロンがヒトに存在していることが知られている(非特許文献1)。1型インターフェロン(インターフェロン−α、インターフェロン−βなど)の抗ウイルス効果は、ウイルス自身に対する直接的な作用ではなく、ウイルス感染に対する防御という意味での標的細胞への作用により成し遂げられる。 【0003】 このインターフェロンの抗ウイルス作用に着目し、インターフェロンは様々なウイルス性疾患に応用されている。特に、C型肝炎ウイルスの感染により引き起こされる、C型肝炎には、治療手段の第一選択と成っている。しかしながら、その有効性は3〜4割程度に留まり、未だ十分な治療法とは言えない状況にある。 【0004】 このような背景から、インターフェロンとリバビリンなど、他の薬物との併用治療の試みが進んでいる。しかし、インターフェロンとリバビリンとの併用療法の有効性も高くなく、未だ新たな併用薬が望まれている。 【0005】 また、高脂血症薬であるベザフィブラートについては、ベザフィブラートが投与されたC型肝炎患者のウイルス量を測定した結果、ウイルス量に対して、ベザフィブラートは影響を及ぼさないとの報告がなされており(非特許文献2)、ベザフィブラート単独での使用では抗ウイルス効果は期待出来ない。 【0006】 一方、インターフェロン自体の効果を増強する目的で、インターフェロンにポリエチレングリコールを付加したペグ化インターフェロンが開発されている。ペグ化インターフェロン−αについては既に臨床応用され、その有用性が証明されている。更に、ペグ化コンセンサスインターフェロンやペグ化インターフェロン−βについても、基礎検討段階に入っている。 【0007】 しかし、ペグ化インターフェロンによっても、C型肝炎の治療は十分では無く、C型肝炎に対する治療成績も、長期的には、インターフェロン単独療法成績と比較して若干の有効性の向上は期待できるが、満足できる状況には無い。 【0008】 このような背景から、世界的に、C型肝炎治療に対し、インターフェロンと併用する新たな薬物を見出す検討がなされている。 【0009】 【非特許文献1】Pestkaら,「Interferons and their actions.」,Annual Review of Biochemistry,1987年,第56巻,p.727−777 【0010】 【非特許文献2】栗原ら,「Study of effectiveness of bezafibrate in the treatment of chronic hepatitis C」,American Journal of Gastroenterology,2001年,第96巻,p.1659−1660 【0011】 【発明が解決しようとする課題】 本発明の目的は、プラス鎖RNAを遺伝情報に持つウイルスに対し、従来のインターフェロンよりも治療効果の高い新規な治療剤を提供することである。 【0012】 【課題を解決するための手段】 本願発明者は、インターフェロンと抗高脂血症薬との併用により相乗的に効果が発揮され、プラス鎖RNAを遺伝情報に持つウイルスに対する優れた治療効果が発揮されることを見出し、本発明を完成させた。 【0013】 すなわち、本発明は、抗高脂血症薬とインターフェロンとを有効成分として含有するプラス鎖RNAを遺伝情報に持つウイルスに対する治療剤(以下「抗ウイルス剤」という。)を提供する。 【0014】 【発明の実施の形態】 本発明の抗ウイルス医薬に含まれる抗高脂血症薬としては、特に限定されないが、その中でも用いる薬物としてはフィブラート類、さらにはベザフィブラートが好ましい。ベザフィブラート自体は高脂血症薬として周知であり、市販もされているので市販品を用いることができる。 【0015】 本発明の抗ウイルス剤に含まれるインターフェロンとしては、特に限定されないが、インターフェロン−βおよびインターフェロン−αが好ましく、天然型であっても遺伝子組換え型であってもよい。更に、インターフェロンにポリエチレングリコール(ペグ)などの高分子体を結合させたペグ化インターフェロン−αおよびペグ化インターフェロン−βであってもよい。これらのインターフェロンは、ともにI型インターフェロンとして分類され、細胞表面上にある共通の受容体に結合し作用することが知られている。インターフェロン自体は、周知であり、市販もされているので、ヒトの治療に対し市販のインターフェロンを好ましく用いることができる。コンセンサスインターフェロン、ペグ化インターフェロン−αについては、周知であり市販されているので市販のインターフェロンを好ましく用いることができる。ペグ化コンセンサスインターフェロンやペグ化インターフェロンーβについても現在基礎検討段階だが、将来的には同様に用いることができると考えられる。 【0016】 投与量は、RNAに遺伝情報をもつウイルスによる疾患の治療又は予防に有効な量であればよく、疾患の種類や程度、投与経路等により適宜選択されるが、例えば、C型肝炎ウイルスの感染による疾患であるC型肝炎に対しては、通常、成人1日当たり、インターフェロンが10万〜1,000万国際単位(IU)、好ましくは100〜600万IU程度である。、高脂血症薬については、通常、成人1日当たり、10〜10,00mg、好ましくは200〜2,000mg程度である。 【0017】 インターフェロンの投与経路は、特に限定されないが、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、腹腔内投与等の非経口投与が好ましい。高脂血症薬の投与経路は、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、腹腔内投与等のいずれの投与経路でもよいが、経口投与が好ましい。 【0018】 本発明の抗ウイルス剤は、上記した2種の有効成分を1つの組成物中に含む1剤系の薬剤であってもよいし、2種の有効成分を別々の組成物中に含む2剤系の薬剤であってもよい。 【0019】 本発明の抗ウイルス剤は、上記した有効成分のみを含むものであってもよいが、一般に製剤分野において用いられている各種の賦形剤や添加剤と共に製剤することが好ましい。例えば生理緩衝液中に上記の有効成分を含むものを例示することができる。また、他の薬剤、例えば他の抗ウイルス剤や、炎症に対する対症療法剤等を添加してもよい。 【0020】 本発明の抗ウイルス剤は、プラス鎖のRNAを遺伝情報に持つウイルス、例えば、ポリオウイルス、コクサッキーウイルス、エコーウイルス、エンテロウイルス、ライノウイルス、A型肝炎ウイルス、E型肝炎ウイルス、風疹ウイルス、東部馬脳炎ウイルス、西部馬脳炎ウイルス、黄熱ウイルス、デング熱ウイルス、セントルイス脳炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、G型肝炎ウイルス、コロナウイルス、西ナイルウイルスあるいは水胞性口内炎ウイルス(Vvesicular Stomatits Vvirus)に対して有効である。特に、C型肝炎ウイルスに対して有効である。 【0021】 これらのウイルスは共通の方法により増殖する。即ち、ウイルスが細胞に感染後、細胞内に、ウイルスRNAが侵入する。侵入したウイルスRNAから、直接、ウイルス蛋白質が読まれ、ウイルスRNAが複製するために必要なRNA依存的RNAポリメラーゼなどの蛋白質が作られる。この作られた蛋白質により、侵入したRNAを鋳型として、ウイルスRNAが複製される。複製されたウイルスRNAは、自ら作った蛋白質に取り込まれ、ウイルスとなって細胞外に放出される。 【0022】 インターフェロンの抗ウイルス作用機序としては、次のように考えられている。即ち、インターフェロンが細胞表面上の受容体に結合した後、細胞内に抗ウイルス作用を示す蛋白質が誘導される。例えば、インターフェロンにより誘導された2’−5’アデニル酸合成酵素により、オリゴ2’−5’アデニル酸が作られる。これが、RNA依存的RNAaseを活性化し、活性化したRNA依存的RNAaseによりウイルスRNAが分解されることによりインターフェロンが抗ウイルス作用を示すと考えられている。 【0023】 以上の作用機序から、プラス鎖のRNAを遺伝情報に持つウイルスに対しては、本発明の抗ウイルス剤は十分に効果を示すと考えられる。 【0024】 【実施例】 以下、本発明を実施例に基づきより具体的に説明する。 実施例1 Vesicular Stomatitis Virus(VSV)に対する効果: ヒト羊膜由来であるFL細胞に、1,000IU/mLのインターフェロン(ヒトインターフェロン−β:東レ株式会社製)あるいは高脂血症薬であるベザフィブラート(7.5〜30μg/mL)を単独あるいは、併用処理し、その後、C型肝炎ウイルス(HCV)と同じプラス鎖のRNAを遺伝情報にもつウイルスであるVSVを感染させた。ウイルス感染後、生き残った細胞をクリスタルバイオレットにより染色し、抗ウイルス活性を評価した。 【0025】 その結果、ベザフィブラート単独では抗ウイルス作用はみられなかった。しかし、ベザフィブラート、7.5〜15μg/mLという生理学上の範囲にある濃度で、インターフェロン単独での抗ウイルス作用に対し、併用により、統計的有意に、20%上昇させた(図1)。 【0026】 【発明の効果】 本発明により、抗高脂血症薬とインターフェロンとの併用により、プラス鎖のRNAを遺伝情報に持つウイルスに対して優れた治療効果をもつことが確認された。 【図面の簡単な説明】 【図1】インターフェロン−βとベザフィブラートとの併用による抗ウイルス活性を示す図である。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000003159 【氏名又は名称】東レ株式会社 【住所又は居所】東京都中央区日本橋室町2丁目2番1号
|
| 【出願日】 |
平成15年7月18日(2003.7.18) |
| 【代理人】 |
|
| 【公開番号】 |
特開2005−35913(P2005−35913A) |
| 【公開日】 |
平成17年2月10日(2005.2.10) |
| 【出願番号】 |
特願2003−198965(P2003−198965) |
|