| 【発明の名称】 |
化粧料およびその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】上田 隆子 【住所又は居所】神奈川県相模原市西橋本1−17−89 アサヌマ コーポレーション株式会社化粧品研究所内
|
| 【要約】 |
【課題】透明性が高くて艶があり且つ染料によって優れた発色性が付与され、しかも、染料の皮膚への染着が防止された化粧料を提供する。
【解決手段】少なくとも、油剤、デキストリン脂肪酸エステル、染料および変性シリコーンを含む化粧料。斯かる化粧料は、少なくとも、油剤と、デキストリン脂肪酸エステルと、染料の変性シリコーン溶液とを混合することにより製造することが出来る。化粧料の種類としては、リップスティック、リップクリーム、リップグロス、フレグランススチック等の他、薬用スチック等の消炎沈痛剤などが挙げられ、形態としては、クリームの他、固形または液状であってもよい。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 少なくとも、油剤、デキストリン脂肪酸エステル、染料および変性シリコーンを含むことを特徴とする化粧料。 【請求項2】 染料が、使用する変性シリコーンに対して0.005重量%以上溶解する請求項1に記載の化粧料。 【請求項3】 変性シリコーンが、ポリエーテル変性シリコーン又はアルキル・ポリエーテル変性シリコーンである請求項1又は2に記載の化粧料。 【請求項4】 変性シリコーンが、使用する染料を0.01重量%濃度で溶解して測定した各染料の極大吸収波長の吸光度が0.2以上である請求項1〜3の何れかに記載の化粧料。 【請求項5】 少なくとも、油剤と、デキストリン脂肪酸エステルと、染料の変性シリコーン溶液とを混合することを特徴とする化粧料の製造方法。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、化粧料およびその製造方法に関し、詳しくは、透明性が高くて艶があり且つ染料によって優れた発色性が付与され、しかも、染料の皮膚への染着が防止された化粧料およびその製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】 発色性に優れた化粧料を得るためには染料を使用する必要があるが、染料を使用した場合は、染料の皮膚への染着が問題となる。そこで、染料の皮膚への染着を防止する手段として、ヒドロキシステアリン酸(特に12−ヒドロキシステアリン酸)とポリエーテル変性シリコーン及び/又は長鎖アルキル含有ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンから成る透明基材を配合する方法が知られている(例えば特許文献1参照) 【0003】 しかしながら、上記の様な透明基材の配合では、染料の皮膚への染着は防止されるが、化粧料の透明性、艶、発色性が不充分である。 【0004】 【特許文献1】 特開2003−55130号公報 【0005】 【発明が解決しようとする課題】 本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、透明性が高くて艶があり且つ染料によって優れた発色性が付与され、しかも、染料の皮膚への染着が防止された化粧料およびその製造方法を提供することにある。 【0006】 【課題を解決するための手段】 本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、特定のゲル化剤と変性シリコーンとを組合せて使用することにより、上記の目的を容易に達成し得るとの知見を得、本発明の完成に至った。 【0007】 すなわち、本発明の第1の要旨は、少なくとも、油剤、デキストリン脂肪酸エステル、染料および変性シリコーンを含むことを特徴とする化粧料に存し、本発明の第2の要旨は、少なくとも、油剤と、デキストリン脂肪酸エステルと、染料の変性シリコーン溶液とを混合することを特徴とする化粧料の製造方法に存する。 【0008】 【発明の実施の形態】 以下、本発明を詳細に説明する。本発明の化粧料は、少なくとも、油剤、デキストリン脂肪酸エステル、染料および変性シリコーンを含む。 【0009】 上記の油剤としては、従来公知の油剤を任意に使用することが出来る。斯かる油剤の具体例としては、マカデミアナッツ油、アーモンド油、オリーブ油、ヒマシ油、サフラワー油、大豆油、椿油、液状ラノリン等の動植物油;流動パラフィン、イソパラフィン、スクワラン等の炭化水素油分;メチルフェニルポリシロキサン等のシリコン油;パーフルオロアルキルエーテル等のパーフルオロ油;イソステアリン酸トリグリセライド、ミリスチン酸イソプロピル、2−エチルヘキサン酸トリグリセライド、リンゴ酸ジイソステアリル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、2−エチルヘキサン酸セチル等の高級脂肪酸エステル類;オレイン酸、エルカ酸、リノール酸、リノレイン酸、イソステアリン酸などの高級脂肪酸;オレイルアルコールやイソステアリルアルコール等の高級アルコール類など挙げられる。 【0010】 上記のデキストリン脂肪酸エステル(油剤のゲル化剤)としては、デキストリンと炭素数12〜22の高級脂肪酸とのエステルが使用され、具体的には、ラウリン酸デキストリン、ミリスチン酸デキストリン、パルミチン酸デキストリン、ステアリン酸デキストリン、ベヘン酸デキストリン、ヤシ油脂肪酸デキストリン等が挙げられる。これらの中では、安定性および使用性の面からパルミチン酸デキストリンが好ましい。これらのデキストリン脂肪酸エステルは、一般に市販されており、例えば、千葉製粉株式会社製の商品「レオパールKL」、「レオパールTT」等として容易入手することが出来る。 【0011】 上記の染料としては、化粧料分野において従来使用されている酸性染料、油溶性染料、塩基性染料、建染染料などを使用することが出来るが、これらの中では、色数が多く、耐候性の高い染料が多くある酸性染料が好適である。また、使用する変性シリコーンに対して0.005重量%以上溶解する染料が好ましい。以下の表1及び表2は、各種の変性シリコーンに対する各種の染料の溶解性を示すデータである。表中、×は染料が不溶であり発色しない場合、△は発色するが染料が全部溶解せずに残存する場合、○は染料が完全に溶解して発色する場合を表す。 【0012】 【表1】
【0013】 【表2】
【0014】 前記の変性シリコーンとしては、特に制限されないが、ポリエーテル変性シリコーン又はアルキル・ポリエーテル変性シリコーンが好適に使用される。変性シリコーンは、シロキサン鎖に対する変性基の位置により各種の構造のものが知られている。例えば、片末端型、両末端型、直鎖型:(AB)n型、分岐型、側鎖型(ペンダント型、櫛型)、両端・側鎖型などがある。本発明においては、何れの構造の変性シリコーンであってもよい。 【0015】 上記の変性シリコーンの市販品としては次のものが挙げられる。例えば、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体としては、東レ・ダウコー二ング・シリコーン社製の商品「SH3775M」、信越化学工業製の商品「KF6017」等、ポリオキシエチレン・ブチレン・メチルポリシロキサン共重合体としては、日本ユニカー社製の商品「FZ2207」等、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体としては、東レ・ダウコー二ング・シリコーン社製の商品「SH3749」等、メチルポリシロキサン・セチルメチルポリシロキサン・ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体としては、ゴールドシュミット社製の商品「EM90」等、メチルポリシロキサン・ポリオキシプロピレンオレイルメチルポリシロキサン・ポリオキシエチレンメチルポリシロキサン共重合体としては、信越化学工業製の商品「KF6026」等が挙げられる。 【0016】 本発明においては、特に、使用する染料を0.01重量%濃度で溶解して測定した各染料の極大吸収波長の吸光度が0.2以上である変性シリコーンが好適である。以下の表3及び表4は、各種の変性シリコーンに対する各種の染料の溶解性を示すデータである。表中、×は吸光度が0.2未満の場合、○は吸光度が0.2以上の場合を表す。 【0017】 【表3】
【0018】 【表4】
【0019】 本発明の化粧料の種類としては、リップスティック、リップクリーム、リップグロス、フレグランススチック等の他、薬用スチック等の消炎沈痛剤などが挙げられ、形態としては、クリームの他、固形または液状であってもよい。例えば、ステイックグロスでも液状グロスでもよい。 【0020】 本発明の化粧料における前記の各成分の配合割合は、化粧料の種類や形態などによって異なるが、例えば、固形化粧料の場合の一般的な配合処方は次の通りである。すなわち、油剤の配合量は、固形化粧料全量に対し、通常30〜90重量%、好ましくは40〜90重量%、更に好ましくは50〜80重量%である。デキストリン脂肪酸エステルの配合量は、固形化粧料全量に対し、通常1〜50重量%、好ましくは10〜40重量%、更に好ましくは15〜30重量%である。染料は、後述する様に、変性シリコーン溶液として使用されるが、染料の変性シリコーン溶液の配合量は、固形化粧料全量に対する染料の濃度として、通常0.0001〜1重量%、好ましくは0.001〜0.5重量%、更に好ましくは0.01〜0.5重量%である。 【0021】 本発明においては、前記の成分の他に、本発明の目的を損なわない限り、使用目的により、固形状または半固形状の炭化水素類やエステル油類、動植物油類およびその硬化油、高級脂肪酸類や高級アルコール類、各種高分子樹脂類、着色色材、色素、疎水化処理顔料、体質顔料、増粘剤、界面活性剤、保湿剤、抗酸化剤、紫外線吸収剤、防腐剤、その他の薬剤、香料などを適宜選定して配合することが出来る。 【0022】 次に、本発明の化粧料の製造方法について説明する。本発明においては、少なくとも、油剤と、デキストリン脂肪酸エステルと、染料の変性シリコーン溶液とを混合する。すなわち、本発明においては、予め、染料と変性シリコーンとを混合して染料の変性シリコーン溶液を調製する点を除き、各成分の添加順序は任意である。通常、染料の変性シリコーン溶液に、加熱撹拌下、油剤、デキストリン脂肪酸エステル、その他の添加成分の必要量を添加する。そして、固形化粧料の場合は、適宜の温度に加熱して混合した後、型に注入して冷却・固化して固形化粧料とされる。 【0023】 【実施例】 以下、実施例により、本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の諸例において、染着性テストは次の要領で行った。 【0024】 (1)染着性テスト: 前腕屈側部に15×15mmの面積に試料のリップスティックを塗布し、4時間放置後、石鹸で洗い流した。そして、同一の染料を使用して比較のために調製したリップスティックと比し、色の残り具合を目視で判定し、以下の基準で評価した。10人のパネラーによる平均値を結果とした。 【0025】 【表5】
【0026】 比較例1〜4及び実施例1〜9 表6〜表8に示す配合処方(各成分に関する数字は重量部を表す)のリップスティックを次の要領で製造した。 【0027】 比較例1〜4の場合は、変性シリコーンを使用せず、85℃で表6に染料と表8に示す他の成分を添加して混合し、型に注入し、冷却・固化・脱型してリップスティックを得た。得られたリップスティックの評価結果を表6に示した。 【0028】 表6に示す各比較例は、染着性評価のための基準(変性シリコーン使用せず)であり、比較例1は実施例1〜6の基準であり、比較例2〜4は、それぞれ、実施例6〜8の基準である。 【0029】 実施例1〜9の場合は、85℃に加熱した変性シリコーンに染料を溶解し(表7)、これに、同温度で表8に示す他の成分を添加して混合し、型に注入し、冷却・固化・脱型してリップスティックを得た。得られたリップスティックの評価結果を表7に示した。 【0030】 【表6】
【0031】 【表7】
【0032】 【表8】
【0033】 表7に示す様に、実施例1〜9のリップスティックは、変性シリコーンの使用により、染着防止性が著しく改善された。また、これらのリップスティックは、波長650nmで測定した場合の透過率が何れも40%以上であり、高い透明性を有していた。更に、発色性および艶の点でも極めて良好であった。 【0034】 比較例5 先ず、85℃に加熱した変性シリコーン(EM90)3.0重量部に染料(赤色218号)0.1重量部を溶解した。これに表8に示す他の成分(但し、デキストリン脂肪酸エステル20.0重量部に代えて12−ヒドロキシステアリン酸20.0重量部を使用)を添加して混合した。その後に型に注入し、冷却・固化・脱型してリップスティックを得た。得られたリップスティックは、透明性に欠け(波長650nmで測定した場合の透過率が10%以下)、艶および発色性も不充分であったため、染着防止性の評価を行わなかった。 【0035】 【発明の効果】 以上説明した本発明によれば、透明性が高くて艶があり且つ染料によって優れた発色性が付与され、しかも、染料の皮膚への染着が防止された化粧料およびその製造方法が提供され、本発明の工業的価値は顕著である。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】500470840 【氏名又は名称】アサヌマ コーポレーション株式会社 【住所又は居所】東京都中野区南台3丁目37番19号
|
| 【出願日】 |
平成15年7月17日(2003.7.17) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100097928 【弁理士】 【氏名又は名称】岡田 数彦
|
| 【公開番号】 |
特開2005−35905(P2005−35905A) |
| 【公開日】 |
平成17年2月10日(2005.2.10) |
| 【出願番号】 |
特願2003−198380(P2003−198380) |
|