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【発明の名称】 涙道内挿管器具
【発明者】 【氏名】栗橋 克昭

【要約】 【課題】涙道内に挿入しやすく、挿入後チューブの清潔を保つためチューブの内腔を洗浄することができ、チューブの半分が残りの半分と区別できる涙道内挿管器具を提供する。

【解決手段】柔らかい材質でできているチューブの腔面に段や波や凹凸がついており、両端が開放していることを特徴とする涙道内挿管器具。中央の細い方の部分がロッドでなく内腔を有する細いチューブ40であり、その内腔が両側の太い方のチューブ42の内腔に連結していることを特徴とするヌンチャク型の涙道ステントである。本発明の挿管器具は、柔らかい材質例えばプラスチックチューブでできていて、腔面に段や波や凹凸があるので金属ブジーが段、波、凹凸に当りチューブを涙道内に押し込みやすい。さらに、両端が盲端になっていないので中央部の切れ目や孔48から洗浄針62を挿入してチューブの内腔を洗浄することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
柔らかい材質でできているチューブの腔面に段や波や凹凸がついており、チューブの両端が開いていることを特徴とする涙道内挿管器具。
【請求項2】
中央部が細いチューブからなり、その両側に太いチューブが連結しているものからなるヌンチャク型の請求項1に記載の涙道内挿管器具。
【請求項3】
中央部が肉薄になっていて、その両側が中央部と同じ外径か少し小さい外径で肉厚になっていることを特徴とする請求項1に記載の涙道内挿管器具。
【請求項4】
チューブ全長の半分の色が残りの半分の色と異なることを特徴とする請求項1、2、3のいずれか一項に記載の涙道内挿管器具。
【請求項5】
チューブの壁に薬物を染み込ませ、ドラッグデリバリーシステムとしても使用できることを特徴とする請求項1、2、3、4のいずれか一項に記載の涙道内挿管器具。
【発明の詳細な説明】【発明の属する技術分野】
この発明は涙道閉塞の治療のための涙道内挿管器具で清潔を保つためチューブの内腔を洗浄することができ、さらに、挿入しやすいように工夫されている涙道内挿管器具に関する。
【従来の技術】
涙道閉塞再建手術には、いずれも本発明者の発明であるが、図1に示されるように上下涙点から挿入するヌンチャク型シリコーンチューブが使用されている。(栗橋克昭著:ダクリオロジー、メディカル葵出版1998、栗橋克昭:ヌンチャク型シリコーンチューブ。眼科診療プラクティス52:100−112、1999。参照)。ヌンチャク型シリコーンチューブは米国特許No.5,437,625、米国特許No.US6,383,192B1、特許番号第2539325号(特開平6−142129)、特許番号第2811283号(特開平8−24285)、特願平8−110618(特開平9−276318)、特願平8−214093(特開平10−33584)、特願平11−170456に示されている。
【発明が解決しようとする課題】
本発明者による発明であるヌンチャク型シリコーンチューブはわが国で最も普及している涙道ステントである。ヌンチャクとは中国の武術に用いる武具で両側の太い部分と中央の細い部分からなる。ヌンチャク型シリコーンチューブは中央部が細いチューブまたはロッドからなり、その両側に太いチューブが連結しているヌンチャク型の涙道ステントである。ヌンチャク型シリコーンチューブは涙道内の安定性がよく、正しく挿入されていると涙点から5mmほど引き出してもまばたきをすることにより元の位置に戻る。以上のように安定性がよいだけでなく挿入しやすく抜去しやすいためヌンチャク型シリコーンチューブはわが国で最も使用されている。現在普及しているヌンチャク型シリコーンチューブは両端が盲端になっており、挿入後、洗浄針をチューブに挿入してチューブの内腔を洗うことが困難である。従って、ヌンチャク型シリコーンチューブは涙道内に挿入後、チューブの中に血液が入り細菌が増殖することがある。また、ヌンチャク型シリコーンチューブの腔面が平滑であり、プローブが滑って挿入しにくいことがある。本発明者はヌンチャク型シリコーンチューブの腔面に段や隆起を付けプローブがチューブの中ですべりにくくした涙道ステントを発明した(例えば米国特許 Patent No.US6,383,192 B1参照)。図1に示されるように上涙点1及び下涙点2から上下涙小管水平部7、8、総涙小管9、涙嚢11及び鼻涙管12を経てヌンチャク型シリコーンチューブを正しく挿入すると、下鼻道に2本のチューブが出るがそれらを内視鏡で観察できる。内視鏡で観察しながら小さな鉗子(例えばハートマン鉗子)で下鼻道に出ている2本のチューブのうち1本を引っ張ることによりチューブの中央が上下涙点の間にくるようにセンターリングを行うことがあるが、どちらも同じ色や形態をしており、上涙点から挿入されたものか下涙点から挿入されたものかすぐに判別しにくい。
本発明の目的は挿入しやすく、挿入後チューブの内腔を清潔に保つために洗浄することができ、挿入後、下鼻道に出ているヌンチャク型シリコーンチューブの両側が上涙点から挿入されたものか下涙点から挿入されたものかを色や印を付けることにより識別できるようにした挿管器具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
本発明の詳しい解決手段は請求項1又は2に記載された挿管器具である。
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態においては、挿管器具は柔らかいプラスチックチューブで作られている。本発明はすでに本発明者が発明したヌンチャク型シリコーンチューブと外観は同じであるが、図2に示されるようにブジーで涙道内に押し込みやすいように腔面に段gが付けられており、さらに挿入後、ヌンチャクチューブの中央に設けられている切れ目又は孔から洗浄針を挿入して内腔を洗浄できるように内腔54が両端53に及び両端53が開いている。図3に示されるように、ヌンチャク型チューブの太いチューブの壁が中央に近づくにつれて、段々と肉薄になるとプローブの先がチューブの腔面に強く当たるようになり挿入しやすくなる。図4に示されるように、図3に示されるチューブの腔面に凹凸や波などを付け、ざらつくようにするとさらに挿入しやすくなる。
本発明の挿管器具は、柔らかい材質例えばプラスチックチューブでできているので、生体にやさしく、チューブの腔面に段や波や凹凸があるのでそこに金属ブジーの先が当りチューブを涙道内に押し込みやすくなる。さらに、両端は開いているのでチューブの中央の切れ目又は孔48から内腔54に薬液や洗浄液を流し、チューブの内腔54を洗浄し清潔に保つことができる。図5に示されるようにヌンチャク型チューブの半分の色が残りの半分の色と異なるときは、内視鏡で鼻腔に出ているヌンチャク型チューブの両側を観察できるが、チューブが上涙点から挿入したものか下涙点から挿入したものかを簡単に色により識別でき、小さな鉗子例えばハートマン鉗子で引っ張って容易にセンターリングを行うことができる。着色する代わりにチューブに線や点などの印を付けて区別できるようにしてもよい。単一の太さで腔面がなめらかな通常のチューブもヌンチャク型シリコーンチューブに比較し安定性はよくないが、涙道再建に使用されている。図6に示されるように単一の太さのチューブの腔面に段や波や凹凸をつけると内腔に挿入した金属プローブで涙道内にチューブを押し込みやすくなる。
【実施例】
図2や図4に示されるように、本発明はヌンチャク型をしており、細いチューブの両側に連結している太いチューブの腔面に段や波や凹凸が付けられている。本発明はヌンチャク型チューブの中にブジーを挿入してチューブを涙道内に押し込むが図2、4、6、7、8、9、10に示されるようにチューブの腔面に段gや波や凹凸58が付いているとそこにブジーの先が当り、効果的にチューブを涙道内に押し込むことができる。
本発明の器具を正しく留置すると、中央部をピンセットでつまんで5mmほど引き出しても、瞬目をさせることにより元の状態に戻る。さらに、チューブの両端53は開いているので、チューブの中央に設けられている切れ目や孔48から洗浄針62を挿入して洗浄液を注入しチューブの内腔54を洗浄することができる。図2に示されるように、チューブの両端の内径56はチューブに挿入するプローブ61の外径より小さくなっている。例えばプローブ61の太さが0.4mmのときはチューブの両端の内径56は0.3mmとなっている。
以上のように本発明のヌンチャク型の挿管器具は、涙道内における安定性が極めてよく、自然に抜け出してくることはなく、涙道内に留置後、洗浄できるので清潔を保つことができる。ヌンチャク型チューブを上下涙点から挿入したときに、内視鏡でチューブの両側が下鼻道から出ているのを観察することができる。図2、3、4、5、7、9、10に示されるように、ヌンチャク型チューブの半分の色が残り半分の色と異なるとチューブの中心がどこにあるかを容易に知ることができるだけでなく、下鼻道に出ている2本のチューブが上涙点から挿入されたものか下涙点から挿入されたものかを内視鏡で容易に判別することができる。そして、下鼻道に出ている2本のチューブの一方を内視鏡下で小さな鉗子で引っ張ることによりチューブのセンターリングを容易に行うことができる。図8に示されるように、チューブを着色する代わりにチューブに異なる数の線や点を付けて識別できるようにしてもよい。例えば図8に示されるようにチューブの一方の先端から10mmと15mmの点に2本線を入れ、もう一方の先端から10mmと15mmの点に一本線を入れる。線はチューブの壁が線状に少し盛り上がるようにして付けてもよい。
図7に示されるように本発明の腔面にオリーブオイルなどの潤滑剤を配置しておくとさらに挿入しやすくなる(例えば米国特許 Patent No.US6,383,192 B1を参照)。また、図8に示されるように本発明においてはチューブ壁の一部または全部に薬液を染み込ませてドラッグデリバリーシステムとして使用することができる。
ヌンチャク型チューブは中央部が細く両側部より柔らかくなっているので持ち上げると逆U字型になる。中央部の細いチューブは涙小管の中を走り、涙嚢に達する。細いチューブに連結している太いチューブは涙嚢−鼻涙管の中に含まれ、下方に向って走り、重力により涙小管の中の細いチューブを引っ張っている。従って、涙道内に挿入したとき安定性がよいのである。この安定性のためにはヌンチャク型チューブの中央部が細いということよりも柔らかく、涙点から涙嚢に届くほどの十分な長さ(例えば30mmの長さ)があるということが重要である。図9に示すように中央部の外径がその両側部分と同じでも中央部が肉薄で十分な長さがあればヌンチャク型シリコーンチューブと同じく逆U字型になり、安定性がよい。図10に示すように中央部の外径が両側部分より少し太くても十分に肉薄で必要な長さがあれば、ヌンチャク型シリコーンチューブと同じく逆U字型になり安定性がよい。
本発明は一般的な症例に単独でよく使用されるが、図11のように涙丘を移動しないで行う難治症例に対する涙道再建手術にもジョーンズチューブと共に使用される。図12に示されるように、程度の強い難治症例のときは涙丘移動を行ってからジョーンズチューブなどと共に挿入することで涙道を再建することができる。
【発明の効果】
本発明による涙道内挿管器具は挿入しやすく、挿入後、チューブの清潔を保つため洗浄することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のヌンチャク型チューブの説明図
【図2】本発明の1つの実施例による挿管器具を示す断面図
【図3】本発明の他の実施例による挿管器具を示す断面図
【図4】本発明の他の実施例による挿管器具を示す断面図
【図5】本発明のヌンチャク型チューブの説明図
【図6】本発明の他の実施例による挿管器具を示す断面図
【図7】本発明の他の実施例による挿管器具を示す断面図
【図8】本発明の他の実施例による挿管器具を示す断面図
【図9】本発明の他の実施例による挿管器具を示す断面図
【図10】本発明の他の実施例による挿管器具を示す断面図
【図11】本発明のヌンチャク型チューブの使用法を示す説明図
【図12】本発明のヌンチャク型チューブの使用法を示す説明図
【符号の説明】
1 上涙点
2 下涙点
7 上涙小管水平部
8 下涙小管水平部
9 総涙小管
11 涙嚢
12 鼻涙管
31 涙丘
32 鼻腔
33 鼻粘膜前弁
34 鼻粘膜後弁
35 涙嚢粘膜前弁
36 涙嚢粘膜後弁
40 細いチューブ
42 太いチューブ
48 中央部に設けられた小さな切れ目又は孔
49 小さな切れ目
53 先端部
54 チューブの内腔
55 オリーブ油(潤滑剤)
56 先端部の内径
57 平滑な腔面
58 腔面に付けられた凹凸や波
61 プローブ
62 涙洗針
91 ジョーンズチューブ
腔面に付けられた段
【出願人】 【識別番号】593092035
【氏名又は名称】有限会社エム・エル・シー
【出願日】 平成15年6月28日(2003.6.28)
【代理人】
【公開番号】 特開2005−13698(P2005−13698A)
【公開日】 平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願番号】 特願2003−205566(P2003−205566)