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【発明の名称】 キャピラリー採血具
【発明者】 【氏名】山崎 浩樹
【住所又は居所】神奈川県横浜市都筑区仲町台5丁目5番1号 株式会社テクノメデイカ内

【要約】 【課題】安全で、かつ、作業性の良いキャピラリー採血具を提供すること、及び常に一定量の血液を採血することができ、かつ、採血作業を簡単化でき、さらに、感染の危険を抑えることができるキャピラリー採血具を提供すること。

【解決手段】本発明に係るキャピラリー採血具は、採取すべき成分を毛細管現象を利用して吸引する筒状本体を有するキャピラリー採血具であって、前記筒状本体が高分子材料から成り、かつ、筒状本体の内面が親水性に処理されていることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
採取すべき成分を毛細管現象を利用して吸引する筒状本体を有するキャピラリー採血具であって、
前記筒状本体が高分子材料から成り、かつ、
筒状本体の内面が親水性に処理されている
ことを特徴とするキャピラリー採血具。
【請求項2】
前記筒状本体内に、吸引すべき成分を所定の位置で止めるための液体封止用樹脂を設けた
ことを特徴とする請求項1に記載のキャピラリー採血具。
【請求項3】
前記筒状本体の少なくとも一方の端部の内面が外側に向かうに従って広がるテーパー状に形成されている
ことを特徴とする請求項2に記載のキャピラリー採血具。
【請求項4】
前記液体封止用樹脂が、多孔性樹脂から成る
ことを特徴とする請求項2又は3に記載のキャピラリー採血具。
【請求項5】
前記液体封止用樹脂が、各孔に水膨張性材料を備えた多孔性樹脂本体から成る
ことを特徴とする請求項2又は3に記載のキャピラリー採血具。
【請求項6】
前記筒状本体の外形が断面多角形である
ことを特徴とする請求項1〜5何れか一項に記載のキャピラリー採血具。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の採血に使用するキャピラリー採血具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、シリンジによる採血のできない患者から採血を行うためにキャピラリー採血具が使用されている。シリンジ採血のできない患者とは、具体的には乳児や老人等で、血液量が少ない場合や、血管が細く針を刺すことができない場合がある。
従来のキャピラリー採血具は、ガラス製の管から成る。このように、キャピラリー採血具の材料としてガラスを用いる理由は、作製が容易であり、かつ、ガラスが親水性で毛細管現象なので容易にキャピラリー管内に血液を吸引できるからである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、ガラス製キャピラリー採血具は、ガラスであることから割れやすく、実用上の作業性が悪いという問題がある。このように割れやすい採血具は、割れた時に、採血した血液が飛散するため血液感染の危険があり、また、破片により患者や採血作業者が傷つく可能性もあるので問題である。
本発明は、上記した問題点に鑑みて、安全で、かつ、作業性の良いキャピラリー採血具を提供することを目的としている。
また、上記した従来のガラス製キャピラリー採血具は、単なるガラス製の管から成り、使用時に採血作業者がキャピラリー採血具の一端を血液に接触させて毛細管現象で血液を吸引させ、適当な量の血液を吸い上げた時に、キャピラリー採血具の他端を指で押さえて吸引(採血)を完了する。そして、採血作業者は、採血後のキャピラリー管の他端を指で押さえたままの状態で、キャピラリー採血具を分析装置まで運び、分析装置にキャピラリー採血具をセットする。抗凝固作用を施すことが必要な場合には、キャピラリー管内に鉄心をいれて、両端をゴム製のキャップで栓をして、あらかじめキャピラリー管内にコーティングされていた抗凝固剤と均一になるように磁石を使用してキャピラリーの外から鉄心を移動させて撹拌する作業工程も必要となる。
しかし、このように、キャピラリー採血具への血液を吸上量(採血量)を採血作業者の指で調節していると、採血量が安定しないという問題がある。また、指で押さえるタイミングが遅いと、キャピラリー採血具から血液が漏れ出す可能性があり、さらに、その状態でキャピラリー採血具を指で押さえると指に血液が触れてしまうという問題もある。さらにまた、採血作業者が、採血後のキャピラリー採血具を分析装置に運ぶ過程で指がずれてキャピラリー採血具が血液が漏れてしまう可能性もあり、これらのことはキャピラリー内の血液を撹拌するときのも発生する可能性がある。そしてなにより、このような作業を採血作業者に強いるのは酷であるという問題もある。また、このような従来のキャピラリー採血具を用いていると、複数の患者から連続して採血を行うことは不可能である。
本発明の他の目的は、上記した従来の問題点を解決し、常に一定量の血液を採血することができ、かつ、採血作業を簡単化でき、さらに、感染の危険を抑えることができるキャピラリー採血具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記した目的を達成するために本発明に係るキャピラリー採血具は、採取すべき成分を毛細管現象を利用して吸引する筒状本体を有するキャピラリー採血具であって、前記筒状本体が高分子材料から成り、かつ、筒状本体の内面が親水性に処理されていることを特徴とする。
好ましくは、前記筒状本体内に、吸引すべき成分を所定の位置で止めるための液体封止用樹脂が設けられ得る。
また、前記筒状本体の少なくとも一方の端部の内面は、外側に向かうに従って広がるテーパー状に形成され得る。
また、前記液体封止用樹脂は、多孔性樹脂から成ってもよく、また、各孔に水膨張性材料を備えた多孔性樹脂本体から成ってもよい。
必要に応じて、前記筒状本体の外形は、多角形に成形され得る。
【発明の効果】
【0005】
本発明に係るキャピラリー採血具は、採取すべき成分を毛細管現象を利用して吸引する筒状本体を有するキャピラリー採血具であって、前記筒状本体が高分子材料から成り、かつ、筒状本体の内面が親水性に処理されているので、ガラス製のキャピラリー採血具のように割れることがなく安全で、かつ、作業性が良い。
また、前記筒状本体内に、吸引すべき成分を所定の位置で止めるための液体封止用樹脂を設けることにより、採血作業者が指で採血量を調整する必要がなくなるので、常に一定量の血液を採血することができるようになる。また、このように構成し、液体封止用樹脂を採血した血液に対して下方に位置させることで、採血作業者が指でキャピラリー採血具を押さえる必要がなくなるので、採血作業が楽になることは勿論のこと、感染の危険性もなくなる。抗凝固作用を施すことが必要な場合にも、キャピラリー管内に鉄心をいれて、そのまま抗凝固剤と均一になるように磁石を使用してキャピラリーの外から鉄心を移動させることもできる。さらに、採血後のキャピラリー採血具を採血の都度運ぶ必要がなくなるので、連続して複数の患者から採血を行うことが可能になり、かつ、採血後のキャピラリー採血具の移送中に血液が漏れることもない。
前記筒状本体の一端の内面を、外側に向かうに従って広がるテーパー状に形成することにより、前記した液体封止用樹脂を管状本体に挿入することが容易になる。尚、このように筒状本体の一端の内面をテーパー状に形成するのはガラス製のキャピラリー採血具では非常に困難であるが、本発明に係るキャピラリー採血具は、高分子材料で形成されているので、このような加工も安価に、容易にできる。
さらに、前記液体封止用樹脂を多孔性樹脂で形成した場合には、採血後であっても、多孔性樹脂を空気が通過することができるので、分析装置が、キャピラリー採血具の管状本体内に、管を挿入して血液を吸上げる形式の分析装置であっても、負圧をかけてキャピラリー採血具から血液を吸引する形式の分析装置であっても、問題なく利用可能である。
また、前記液体封止用樹脂を各孔に水膨張性材料を備えた多孔性樹脂本体で形成した場合には、採血後に多孔性樹脂は空気も水も通過できない状態になる。このため、例えば、キャピラリー採血具内の液体封止用樹脂を押すことにより、血液を押し出す形式の分析装置であっても、問題なく利用可能である。
さらに、前記筒状本体の外形を断面多角形に成形することにより、筒状本体の剛性を高めることができる。
プラスチック材料であることから着色することも容易に行うことができ、抗凝固剤の異なる複数種類のキャピラリーが有る場合には色で区別することで取り違いのミスを防止する効果も付与できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、添付図面に示した一実施例を参照して本発明に係るキャピラリー採血具の実施の形態について説明していく。
【0007】
図1は本発明に係るキャピラリ−採血具の一実施例の断面図、図2は図1に示したキャピラリー採血具の横断面図、図3は図1に示したキャピラリー採血具の端部の拡大図である。
このキャピラリー採血具は、図1及び図2に示すように、外形が断面矩形の筒状本体1から成る。
この筒状本体1は、その両端部2及び3の内面が外側に向かって広がるテーパ−状に加工されている(図3参照)。
上記した構成の筒状本体は、プラスチック樹脂で成形された後、適当な方法で、その内面が親水性になるよう処理される。
この親水性処理は、例えば、水に、界面活性剤0.5%を溶かした溶液を、筒状本体1内に、一度吸い上げて排出した後、乾燥させることにより行われる。
また、筒状本体1は、必要に応じて、その内面に抗凝固剤が施される。この抗凝固剤処理は、例えば、水に、抗抗凝固剤(例えば、ヘパリンリチウム)1.5%(W/W)を溶かした溶液を、筒状本体1内に、一度吸い上げて排出した後、乾燥させることにより行われる。
上記した親水性処理及び抗凝固剤処理は、必要に応じて、同時に行うことができる。具体的には、水に、界面活性剤0.5%及び抗抗凝固剤(例えば、ヘパリンリチウム)1.5%(W/W)を溶かした溶液を、筒状本体1内に、一度吸い上げて排出した後、乾燥させることにより二つの処理を同時に行うことができる。これにより、製造時の処理工程が減るので、製造が容易になるという効果を奏する。
上記したように構成された、筒状本体1の内部には、液体封止用樹脂4が挿置される。
この液体封止用樹脂4は、図1に示すように、筒状本体1の全長の3分の1の位置に挿置される。このように、全長の3分の1の位置に液体封止用樹脂4を挿置することにより、図1における上側の端部から血液を吸引した時の採血量の2倍の量の血液を図1における下側の端部から血液を吸引した時に得ることができる。これにより、例えば、分析装置における検査項目数に応じて、50μLの血液が必要な場合には、図1における上側の端部から血液を吸引し、100μLの血液が必要な場合には、図1における下側の端部から血液を吸引するように一つのキャピラリ−採血具を採血量に応じて使い分けることができる。
上記した液体封止用樹脂4は、多孔性樹脂であっても、多孔性樹脂の各孔に水膨張性材料を入れ込んだものであってもよい。
前者(即ち、多孔性樹脂)の場合には、血液を吸い上げた後でも空気が通過することができる。このため、分析装置が、キャピラリー採血具の管状本体内に、管を挿入して血液を吸上げる形式の分析装置であっても、負圧をかけてキャピラリー採血具から血液を吸引する形式の分析装置であっても、問題なく利用可能である。
また、後者(多孔性樹脂の各孔に水膨張性材料を入れ込んだ液体封止用樹脂)の場合には、血液を吸い上げた後は、空気も血液も通過できない状態になる。このため、例えば、キャピラリー採血具内の液体封止用樹脂を押すことにより、血液を押し出す形式の分析装置であっても、問題なく利用可能である。
【0008】
上記したキャピラリ−採血具は、筒状本体の外形を断面矩形に形成しているので、プラスチック樹脂で筒状本体を成形しても、キャピラリ−採血具が撓むことがない。前述したように、キャピラリー採血具を適用する分析装置は、キャピラリー採血具内に管を挿入して血液を吸い上げる形式の分析装置があり、このような分析装置でキャピラリー採血具を使用する場合には、管が挿入できなくなるので、撓む程度の剛性しかないキャピラリー採血具は使用できないが、上記した実施例に係るキャピラリー採血具は、このような分析装置でも問題なく利用可能である。
また、上記したキャピラリーは外形が矩形形状をしているためにその一面にバーコードを印刷もしくは貼り付けることも可能となり、患者誤認を防ぐこともできる。
さらに、上記したキャピラリー採血具は、筒状本体1の両端部2及び3をテーパ−状に形成している。このため、液体封止用樹脂4をどちらの端部からでも容易に挿入することができるため製造が非常に簡単である。また、端部をテーパ−状に形成することにより、毛細管現象による血液の吸い上げが良好なる。このため、上記したキャピラリー採血具は、どちらの端部からでも血液の吸い上げ性が良いという効果を有する。
【0009】
以上説明した実施例では、筒状本体の外形を断面矩形に形成しているが、これは本実施例に限定されることなくどのような形状でもよいが、所定の剛性を確保する必要がある場合には、断面多角形であることが好ましい。
上記した実施例では、液体封止用樹脂4を筒状本体1の全長の3分の1の位置に挿置しているが、液体封止用樹脂4の位置は本実施例に限定されることなく、キャピラリー採血具により採血すべき血液量に応じて任意に決めることができる。例えば、一方側からは30μLの血液を、他方側からは120μLの血液を吸い上げる必要がある場合には、液体封止用樹脂4は、筒状本体の全長の5分の1の位置に挿置され得、また、一方側からしか血液を吸い上げない場合には、液体封止用樹脂4は、その必要量に応じた位置に挿置され得る。
上記した実施例では、筒状本体の抗凝固作用を保持させるために抗凝固剤としてヘパリンリチウムを例として挙げているが、ヘパリンリチウムに限定されるものではなく、抗凝固作用を持つ試薬であれば使用することができ、血液中の電解質濃度とのバランスを取るために複数の試薬を混合しても良い。そして、その濃度は使用目的に応じて変更することもできる。
また、上記した実施例では、筒状本体の親水性処理を界面活性剤溶液を用いて行う化学薬品処理を例を挙げて説明しているが、それは界面活性を持つ物質をはじめとして酸化力のある物質であれば特に限定されるものではなく、また界面活性剤の濃度は臨界ミセル濃度以下であれば良い。さらに親水性処理の方法は、本実施例に限定されることなく、例えば、
コロナ放電処理、グロー放電処理、低温プラズマ処理及びプラズマ重合処理に代表される放電処理、
蒸着処理、
火炎処理、
オゾン処理、
UV処理、電子線処理及び放射線処理に代表される電離放射線処理、
イオン処理、
粗面化処理、
レーザー処理、
ラビング処理、
プライマー処理、
薄層塗工処理、
電着処理、又は
グラフト処理
等の処理方法で処理してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係るキャピラリ−採血具の一実施例の断面図
【図2】図1に示したキャピラリー採血具の横断面図
【図3】図3は図1に示したキャピラリー採血具の端部の拡大図
【符号の説明】
【0011】
1 筒状本体
2 端部
3 端部
4 液体封止用樹脂


【出願人】 【識別番号】591086854
【氏名又は名称】株式会社テクノメデイカ
【住所又は居所】神奈川県横浜市都筑区仲町台5丁目5番1号
【出願日】 平成16年6月3日(2004.6.3)
【代理人】 【識別番号】100064388
【弁理士】
【氏名又は名称】浜野 孝雄

【識別番号】100067965
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 哲二

【識別番号】100088236
【弁理士】
【氏名又は名称】平井 輝一

【公開番号】 特開2005−342198(P2005−342198A)
【公開日】 平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願番号】 特願2004−165256(P2004−165256)