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【発明の名称】 磁気共嗚イメージング装置用勾配コイル
【発明者】 【氏名】拝師 智之

【氏名】松田 善正

【要約】 【課題】この発明は,小動物の磁気共鳴イメージング撮像において,撮像効率の飛躍的向上を達成するために,同時に多数の試料の撮像を可能とする磁気共鳴イメージング装置のための勾配コイルを実現することを目的とする.

【解決手段】勾配磁場を発生するための電流のほとんどの部分が,勾配磁場の発生に有効に利用されるような電流配置のうち,静磁場に平行な開口を有するものを考案し,これにより,生きたマウスなどの小動物の同時撮像を可能とする.
【特許請求の範囲】
【請求項1】
均一な静磁場中の磁場に垂直な平面内において,正方形の繰り返しによって生成される二次元正方格子の頂点の位置と,そのすべての頂点の位置を,正方形の対角線方向に,その正方形の対角線の長さの半分だけ移動させた位置を,それぞれ中心として,その中心の周りに,その面内において,その中心の近傍を通過するような電流を流し,さらに,このような平面電流を,静磁場方向に離して平行に二つ配置することにより,その平面間の複数の位置に,静磁場強度が静磁場に垂直な方向に線形的に変化する勾配磁場を発生することを特徴とする,磁気共鳴イメージング装置用勾配コイル.
【請求項2】
前記勾配コイルの平面電流の対を,静磁場方向に離して複数平行に配置することによって,静磁場強度が静磁場に垂直な方向に線形的に変化する勾配磁場が発生する位置を,静磁場方向に離れた複数の位置に生成し,さらにその電流の向きを,隣り合う対において逆向きとすることにより,その平面電流による電流ループを形成して,電流の利用効率を高めたことを特徴とする,請求項1記載の磁気共鳴イメージング装置用勾配コイル.
【請求項3】
均一な静磁場中の磁場に垂直な平面内において,正方形の繰り返しによって生成される二次元正方格子の頂点の位置と,そのすべての頂点の位置を,正方形の対角線方向に,その正方形の対角線の長さの半分だけ移動させた位置を,それぞれ中心として,環状の電流を発生させ,この平面と,その環状の電流の向きを逆とした平面を,静磁場方向に間隔を置いて平行に配置することにより,静磁場強度が静磁場に平行な方向に線形的に変化する勾配磁場を発生させるコイルにおいて,隣接するコイルの電流の向きが,互いに逆になるようにすることによって,その勾配磁場の発生効率の高めたことを特徴とする,磁気共鳴イメージング装置用勾配コイル.
【発明の詳細な説明】【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は,磁気共鳴イメージング装置用勾配コイル,特に,多数の試料を同時に撮像する磁気共鳴イメージング装置用勾配コイルに関する.
【背景技術】
【0002】
従来の磁気共鳴イメージング装置では,均一な静磁場中に,NMR用高周波(RF)コイルと,測定試料の位置に線形勾配磁場を発生させる勾配コイルを装備することにより,試料の二次元ないし三次元の核磁化分布(磁気共鳴イメージング画像)を計測していた.そして,このような装置を用いて,大量の試料を撮像する場合には,一つの試料を撮像する時間を短縮することにより対応していた.
【0003】
ところが,撮像の高速化そのものには限界があり,また撮像を高速化すると,一般的に,得られる画像の信号対雑音比(SNR)と画像コントラストは低下するため,実用的な撮像時間には,別の制限が存在していた.よって,このような状況の下で,大量の試料を撮像するためには,撮像の並列化,すなわち,同時に複数の試料を撮像することが有効であると考えられ,これまで,これに関して,いくつかの方式が提案されている.
【0004】
まず,口径の大きなRFコイルに多数の試料を挿入し,同時に撮像する方式が提案された.この方式は,簡便な方法であるが,試料毎のSNRが低く,結果的には,大量の試料の撮像の高速化には結びつかない場合が多かった.次に提案された方式は,個々の試料の大きさに最適化されたRFコイルを,互いに干渉しないように高周波シールドを施した上で,静磁場と勾配磁場の中に入れ,同時に撮像する方式である.この方式では,試料毎のSNRを最適化することが可能であったが,試料の数が増えて,勾配コイルのサイズが大きくなった場合に,それを駆動する電力が飛躍的に増大するため,試料を増やせないという欠点があった.
【0005】
この問題に対し,個々のRFコイルに対し,専用の局所的勾配コイルを配置し,これらの勾配コイルを協調的かつ同時に動作させることにより,試料数の増大に対して,勾配磁場コイルを駆動する電力が試料数に比例する方式が提案された.また,この方式において,従来は,静磁場方向に対して垂直な開口を有する勾配磁場コイルのみが提案されていた.
【発明が解決しようとする課題】
この発明は,静磁場に平行な開口を有することによって,マウスなどの生きた小動物の撮像に適した配置を有し,同時に多数の試料の撮像を可能とする磁気共鳴イメージング用勾配コイルを構築することを目的とする.
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため,均一な静磁場中の磁場に垂直な平面内において,正方形の繰り返しによって生成される二次元正方格子の頂点の位置と,そのすべての頂点の位置を,正方形の対角線方向に,その正方形の対角線の長さの半分だけ移動させた位置を,それぞれ中心として,その中心の周りに,その面内において,その中心の近傍を通過するような電流を流し,さらに,このような平面電流を,静磁場方向に離して平行に二つ配置することにより,その平面間の複数の位置に,静磁場強度が静磁場に垂直な方向に線形的に変化する勾配磁場を発生する勾配コイルを用いる.また,この勾配コイルを,平面内で90度回転させたコイルを用いることにより,静磁場に垂直な面内において,二次元的な位置の分解を可能とする.
【0007】
さらに,前記勾配コイルの平面電流の対を,静磁場方向に離して複数平行に配置することによって,静磁場強度が静磁場に垂直な方向に線形的に変化する勾配磁場が発生する位置を,静磁場方向に離れた複数の位置に生成し,さらにその電流の向きを,隣り合う対において逆向きとすることにより,その平面電流による電流ループを形成して,電流の利用効率を高めた勾配コイルを用いる.これにより,静磁場に沿った方向にも,複数の撮像位置を生成することができる.
【0008】
また,均一な静磁場中の磁場に垂直な平面内において,正方形の繰り返しによって生成される二次元正方格子の頂点の位置と,そのすべての頂点の位置を,正方形の対角線方向に,その正方形の対角線の長さの半分だけ移動させた位置を,それぞれ中心として,環状の電流を発生させ,この平面と,その環状の電流の向きを逆とした平面を,静磁場方向に間隔を置いて平行に配置することにより,静磁場強度が静磁場に平行な方向に線形的に変化する勾配磁場を発生させるコイルにおいて,隣接するコイルの電流の向きが,互いに逆になるようにすることによって,その勾配磁場の発生効率の高めることができる.
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1に,この発明の磁気共鳴イメージング装置用勾配コイルにおける,静磁場と垂直な方向に静磁場の線形的な変化を与えるコイルの,一断面における電流分布を示す.このように,電流は進行方向に蛇行するが,この電流は,その曲がった部分の曲率の中心部分に生成される勾配磁場の発生に主に寄与する.しかも,この電流のほとんどあらゆる部分が,勾配磁場の発生に寄与しており,きわめて効率が良い.
【0010】
図2に,図1に示した電流分布を,静磁場に平行な方向に配置した例を示す.このように,図1の平面電流が対になって,その平面電流間に,線形勾配磁場発生領域が生成されるが,この平面電流対は,静磁場に沿って複数並べることができるため,均一静磁場中に,さらに多数の撮像領域を生成することができ,さらに,その電流の向きを,隣り合う対において逆向きにすることにより,電流のループを生成し,実装上の問題点を解決することができる.
【0011】
図3に,静磁場に平行な方向に静磁場強度が線形に変化する勾配磁場を発生する平面電流の配置を示す.この平面電流と,この電流を逆転した平面電流を,マックスウェルペアの配置条件(環状の電流の直径と電流間の間隔が2対約1.7とする)とすることにより,これらの平面間の多数の位置に,静磁場に平行な方向に静磁場強度が線形に変化する勾配磁場を発生することができる.
【発明の効果】
【0012】
この勾配コイルは,静磁場と平行な開口を有する多数の線形勾配磁場領域を,非常に高い密度で,しかも,高い電流利用効率で実現することができる.よって,広い静磁場均一空間を利用して,多数の生きた小動物を同時に撮像する場合に,極めて有用である.これにより,新規薬剤の開発における動物実験の効率が,飛躍的に向上する.
【発明の実施例】
【0013】
図4に,本発明によって製作した勾配コイルの外観を示す.8本のアクリルパイプ(外形4cm)の上に,被覆銅線で作成された平面状のコイルが固定されている.また,そのアクリルパイプの内部には,高周波シールド板が貼り付けられており,勾配磁場が印加される位置に挿入されるRFコイル間の高周波的な干渉を防いでいる.
【0014】
図5に,図4の勾配コイルを,静磁場強度2.34T,均一領域16cm球の超伝導磁石の中に入れ,勾配コイルを同時にドライブしながら,4カ所の勾配磁場印加位置で,水ファントムを個々に撮像した画像を示す.
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】 この発明の磁気共鳴イメージング装置用勾配コイルにおける,静磁場と垂直な方向に静磁場の線形的な変化を与えるコイルの,静磁場に垂直な一断面における電流分布を示す.線形勾配磁場発生領域は,円形の領域で示す.
【図2】 この発明の磁気共鳴イメージング装置用勾配コイルにおける,静磁場と垂直な方向に静磁場の線形的な変化を与えるコイルの,静磁場に平行な一断面における電流分布を示す.線形勾配磁場発生領域は,円形の領域で示す.
【図3】 この発明の磁気共鳴イメージング装置用勾配コイルにおける,静磁場と平行な方向に静磁場の線形的な変化を与えるコイルの,静磁場に垂直な一断面における電流分布を示す.線形勾配磁場発生領域は,円形の領域で示す.
【図4】 この発明の磁気共鳴イメージング装置用勾配コイルの実施例を示す.
【図5】 この発明の磁気共鳴イメージング装置用勾配コイルを用いて撮像した,磁気共嗚イメージング画像を示す.
【符号の説明】
1 勾配コイルに流れる電流
2 線形勾配磁場発生領域
3 勾配コイルに流れる電流
4 線形勾配磁場発生領域
5 線形勾配磁場発生領域(下の面)
6 勾配コイルに流れる電流
7 線形勾配磁場発生領域
8 環状電流の向き
【出願人】 【識別番号】500445000
【氏名又は名称】株式会社エム・アール・テクノロジー
【出願日】 平成16年5月12日(2004.5.12)
【代理人】
【公開番号】 特開2005−323965(P2005−323965A)
【公開日】 平成17年11月24日(2005.11.24)
【出願番号】 特願2004−170563(P2004−170563)