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【発明の名称】 体腔内観察装置
【発明者】 【氏名】三宅 洋一

【氏名】五十嵐 辰男

【氏名】牧野 治文

【氏名】中口 俊哉

【氏名】藤田 寛

【要約】 【課題】術者を少人数化することができる体腔内観察装置を提供する。

【解決手段】処置具12の鉗子部34に、体色とは全く異なる色のマーカMを付ける。そして、マーカ追尾制御部90による画像処理において、マーカ位置検出部84によりマーカMの位置を検出する。次に、このマーカMが画像の中心部に位置するように画像をトリミング部86によって所定の領域にトリミングする。次いで、その画像領域を拡大部88によってモニタ20に所定の倍率で拡大表示する。このような画像処理によって、本当に観察したい部位の画像をモニタ20に大きく表示することができるので、臨床に不都合なく術者を削減できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者の体腔内に挿通具をガイドとして挿入される処置具と、
被検者の体壁開口部に固定されるとともに観察光学系が設けられた観察ユニットと、
前記観察ユニットの前記観察光学系によって撮像された前記体腔内を表示するモニタと、
前記観察ユニットの前記観察光学系によって撮像された体腔内を示す画像のうち必要な画像領域を選択して拡大表示させる画像領域選択拡大表示手段と、
を備えたことを特徴とする体腔内観察装置。
【請求項2】
前記画像領域選択拡大表示手段は、
前記観察ユニットによって撮像された画像から、前記処置具又は挿通具に付されたマーカ部の位置を検出するマーカ位置検出部と、
前記マーカ部が画像の中心部に位置するように画像を所定の領域にトリミングするトリミング部と、
トリミングした画像領域をモニタに所定の倍率で拡大表示させる拡大部と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の体腔内観察装置。
【請求項3】
被検者の体腔内に挿通具をガイドとして挿入される処置具と、
被検者の体壁開口部に挿入されるとともに観察光学系が設けられた腹腔鏡と、
前記腹腔鏡の前記観察光学系によって撮像された前記体腔内を表示するモニタと、
前記腹腔鏡の前記観察光学系によって撮像された体腔内を示す画像のうち必要な画像領域を選択して拡大表示させる画像領域選択拡大表示手段と、
を備えたことを特徴とする体腔内観察装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は体腔内観察装置に係り、特に被検者の体腔内をモニタ表示しながら各種処置を施す体腔内観察装置に関する。
【背景技術】
【0002】
体腔内観察装置である腹腔鏡装置は、患者の腹部表面からトラカール(挿通具)を体腔内に穿刺した後、このトラカールをガイドとして腹腔鏡の挿入部を体腔内に挿入し、体腔内の癒着の有無、卵巣腫瘍、子宮筋腫等の被観察体をモニタ表示しながら癒着治療等の各種処置を施す装置である。また、腹腔鏡は、臨床時において固定部に取り付けられた可動ホルダに保持され、固定状態に維持されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
ところで、腹腔鏡装置による臨床時には、腹部に通常3〜4箇所の孔を開口し、これらの孔から複数の処置具をそれぞれトラカールを介して挿入することにより処置が行われる。また、処置具を操作する術者は、腹腔鏡によって得られたモニタの被観察体映像を見ながら処置具を操作する。このため、処置具を操作する術者の指示により、腹腔鏡の位置がその都度変更されて被観察体の撮影位置が変えられる。すなわち、腹腔鏡装置による臨床時には、処置具を操作する1〜2名の術者の他、腹腔鏡の位置を変える術者、及び臨床全般を補助する1〜2名の術者が携わっている。
【特許文献1】特開2003−265402号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の腹腔鏡装置は、臨床に携わる術者が4〜5名と多く、術者を少なくすることも望まれていた。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、術者を少人数化することができる体腔内観察装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、前記目的を達成するために、被検者の体腔内に挿通具をガイドとして挿入される処置具と、被検者の体壁開口部に固定されるとともに観察光学系が設けられた観察ユニットと、前記観察ユニットの前記観察光学系によって撮像された前記体腔内を表示するモニタと、前記観察ユニットの前記観察光学系によって撮像された体腔内を示す画像のうち必要な画像領域を選択して拡大表示させる画像領域選択拡大表示手段と、を備えたことを特徴としている。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、観察光学系を有する観察ユニットを被検者の体壁開口部に固定し、観察ユニットの観察光学系により撮像された体腔内映像をモニタに表示する。観察ユニットの観察光学系は、観察ユニットが体壁開口部に固定されるため、体腔内全体を見渡すことが必要になり、広い観察視野を有するものが使用される。しかしながら、観察視野の広い観察光学系によって撮像された撮像領域の全領域をモニタに全表示した場合、本当に観察したい部位の画像が小さくなるという不具合が生じる。この不具合を解消するため本発明は、観察ユニットの観察光学系によって撮像された画像のうち必要な画像領域を選択して拡大表示させる画像領域選択拡大表示手段を有している。これにより、必要な画像がモニタで拡大表示されるので、必要な画像を得るために観察ユニットの位置を変更する術者、すなわち従来の腹腔鏡を操作する術者が不要になる。したがって、臨床に不都合を与えることなく術者を少人数化することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1の体腔内観察装置において、前記画像領域選択拡大表示手段は、前記観察ユニットによって撮像された画像から、前記処置具又は挿通具に付されたマーカ部の位置を検出するマーカ位置検出部と、前記マーカ部が画像の中心部に位置するように画像を所定の領域にトリミングするトリミング部と、トリミングした画像領域をモニタに所定の倍率で拡大表示させる拡大部と、を備えたことを特徴としている。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、本当に観察したい部位に相当する、処置具又は挿通具の先端に、例えば体色とは全く異なる色のマーカを付け、画像処理においてマーカ位置検出部によりマーカの位置を検出し、このマーカが画像の中心部に位置するように画像を所定の領域にトリミングした後、その画像領域を拡大手段によってモニタに所定の倍率で拡大表示する。このような画像処理によって、本当に観察したい部位の画像を人手を要することなく容易に拡大表示することができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、被検者の体腔内に挿通具をガイドとして挿入される処置具と、被検者の体壁開口部に挿入されるとともに観察光学系が設けられた腹腔鏡と、前記腹腔鏡の前記観察光学系によって撮像された前記体腔内を表示するモニタと、前記腹腔鏡の前記観察光学系によって撮像された体腔内を示す画像のうち必要な画像領域を選択して拡大表示させる画像領域選択拡大表示手段と、を備えたことを特徴としている。請求項3に記載の発明によれば、腹腔鏡を観察ユニットに代えて使用したものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る体腔内観察装置によれば、観察光学系を有する観察ユニットを体壁開口部に固定し、観察ユニットの観察光学系により撮像された体腔内映像をモニタに表示するとともに、画像領域選択拡大表示手段によって必要な画像領域を選択し拡大表示させたので、臨床に不都合を与えることなく術者を少人数化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、添付図面に従って本発明に係る体腔内観察装置の好ましい実施の形態について説明する。
【0013】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る体腔内観察装置10のシステム構成図が示され、図2は体腔内観察装置10による臨床状況が示されている。
【0014】
図1、図2に示すように体腔内観察装置10は処置具12、トラカール(挿通具)14、観察ユニット16、映像信号処理機18、及びモニタ20等から構成される。
【0015】
処置具12は、手術台22に寝かされた被検者24の体腔26内の患部を処置するものであり、術者28が操作する操作部30が設けられている。また、この処置具12は、操作部30の先端に挿入部32が接続され、挿入部32の先端には鉗子部34が設けられている。
【0016】
処置具12の挿入部32は、図2の如く被検者24の腹部42の表面から穿刺されたトラカール14をガイドとして体腔26内に挿入される。トラカール14は、先端が先鋭状に形成された金属性の中空管44と、この中空管44の基端に設けられた軟性の把持管46とから構成される。このように構成されたトラカール14は、術者28が把持管46を把持し、中空管44の先鋭状先端を先頭にして腹部42を穿刺することにより中空管44が体腔26内に挿入される。
【0017】
観察ユニット16は図1に示すように略円柱状に形成され、トラカール14の穿刺位置の近傍で腹部42を切除して広げられた開口部43に固定されている。観察ユニット16は、略円柱状に形成されたユニット本体48と、ユニット本体48の雄ねじ部49に螺合されて腹壁(腹皮)をユニット本体48との間で挟圧するナット部50とから構成される。この挟圧保持によって観察ユニット16が開口部43に固定される。
【0018】
ユニット本体48には、複数の発光ダイオード52、バッテリ54、レンズ56とCCD58とを備えた観察光学系60、及び映像信号を無線により送信する映像信号送信部62が内蔵されている。LED52、52…は、ユニット本体48の中心軸を中心とする同一円周上に等間隔で配置されている。また、LED52を収納する収納凹部64が、透明板又は散光板等のプレート66によって密閉されている。更に、観察光学系60は、ユニット本体48の中心軸にその光軸が合致するように配置されている。観察光学系60のレンズ56の前方には透明板68が配置され、この透明板68によって観察光学系60の収納凹部70が密閉されている。
【0019】
バッテリ54は、小型軽量を考慮してボタン電池が用いられる。このバッテリ54は、ユニット本体48の上面に着脱自在に取り付けられたキャップ72を取り外すことにより、新たなバッテリ54と交換される。バッテリ54は図3の如くLED52、CCD58、及び映像信号送信部62に電力を供給するとともに、CCD58からの出力信号を映像信号に処理する映像信号処理部74にも電力を供給する。この映像信号処理部74も図2に示したユニット本体48に内蔵されている。
【0020】
このように構成された観察ユニット16によれば、LED52、52…によって被観察体36が照明され、その被観察体の光像がレンズ56を介してCCD58に結像される。そして、CCD58からの出力信号は、映像信号処理部74によって映像信号に処理された後、映像信号送信部62のアンテナ76から図1に示した映像信号処理機18に送信される。すなわち、観察ユニット16は、内蔵されたバッテリ54によって照明、撮像、映像信号を送信するという機能を兼ね備えている。
【0021】
映像信号処理機18に送信された映像信号は、図3に示すように映像信号受信部78のアンテナ80によって受信される。そして、受信された映像信号は、歪曲補正制御部82によってレンズ56が持つ歪曲特性が補正される。歪曲特性が補正された映像信号は、マーカ位置検出部84、トリミング部86、及び拡大部88からなるマーカ追尾制御部(画像領域選択拡大表示手段)90に出力される。
【0022】
ここでマーカ追尾制御部90について説明する。
【0023】
図2に示した観察ユニット16の観察光学系60は、観察ユニット16が体壁開口部43に固定されるため、体腔26全体を見渡せることができる広い観察視野を有するものが適用される。しかしながら、観察視野の広い(例えば視野角170°)観察光学系60によって撮像された撮像領域の全領域をモニタ20に全表示した場合、処置具又はトラカール14の先端部近傍の本当に観察したい部位の画像が小さくなるという不具合が発生する。
【0024】
この不具合を解消するために、図2の如く処置具12の鉗子部34に、体色とは全く異なる色(例えば:青)のマーカMを付ける。そして、マーカ追尾制御部90による画像処理において、図3のマーカ位置検出部84によりマーカMの位置を検出する。次に、このマーカMが画像の中心部に位置するように画像をトリミング部86によって所定の領域にトリミングする。次いで、その画像領域を拡大部88によってモニタ20に所定の倍率で拡大表示する。拡大倍率は、映像信号処理機18の倍率調整ツマミ19を操作することによって調整する。このような画像処理によって、本当に観察したい部位の画像をモニタ20に大きく表示することができるので、観察視野の広い観察光学系を用いた場合の前記不具合を解消できる。すなわち、観察ユニットを術者が何も操作することなく体壁開口部43に固定した状態で使用することができるので、臨床に不都合なく術者を少人数化できる。また、処置具12の操作によってマーカMの位置が変わっても、マーカ位置検出部84によってマーカMを常に追尾しているので、マーカM近傍の画像を常に拡大して観察することができる。なお、マーカMはトラカール14の先端に付してもよい。
【0025】
実施の形態の映像信号処理機18は、切替スイッチ92を有している。この切替スイッチ92は、モニタ20に出力する映像信号を、歪曲特性が補正されただけの映像信号又はマーカMを自動追尾して拡大した映像信号のうち、一つの映像信号を選択的に切り替えるものである。後者に切り替えた場合には、モニタ20においてマーカM近傍の画像を拡大して観察することができ、前者に切り替えた場合には、観察視野の広い観察光学系60によって撮像された撮像領域の全領域をモニタ20で観察することができる。体腔26全体における処置具12の鉗子部34の位置を把握する場合に便利である。
【0026】
以上の如く構成された体腔内観察装置10によれば、LED52、バッテリ54、観察光学系60、及び映像信号送信部62を有する観察ユニット16を体壁開口部43に固定し、観察ユニット16の観察光学系60により撮像された体腔26内映像の映像信号を映像信号送信部62により無線にてモニタ20側の映像信号処理機18に送信する。これにより、観察ユニット16を操作する術者、すなわち従来の腹腔鏡を操作する術者が不要になる。また、観察ユニット16は、内蔵のバッテリ54によりLED52を駆動するのでライトガイドケーブルが不要になり、更に、観察ユニット16によって撮像した映像信号を無線により送信するので送信用ケーブルが不要になる。したがって、実施の形態の体腔内観察装置10によれば、臨床に不都合なく術者を少人数化できるとともに手術台22の周りに引き回されるケーブルの本数を削減することができる。
【0027】
また、実施の形態では、観察ユニット16の照明部16としてLED52を使用したので、電球を使用する照明部よりも省電力で小型化でき、観察ユニット16がコンパクトになる。したがって、体壁開口部43に固定される小型軽量の観察ユニット16を提供できる。また、発熱量も電球と比較して低いので、発熱による影響も防止できる。LED52の発光色は特に問わないが、前述したマーカMの色は、マーカMを正しく検出するために、LED52の発光色とは異なる色が選択される。例えば、LED52の発光色が赤の場合には、マーカMの色は青を選択すればよい。
【0028】
なお、実施の形態では、画像領域選択拡大表示手段としてマーカ追尾制御部90を例示したが、これに限定されるものではない。例えば、図4に示す視線入力式システム100によれば、赤外カメラ(アイモニタ)102によって術者28の眼球像を取り込むとともに、赤外線(微弱レーザなど直進性のよいもの)によって術者28の角膜反射点を読み取る。そして、その情報に基づき術者28の視線方向を換算し、術者28とモニタ20との距離情報を考慮して、現在注視している画像位置を検出器104により検出する。この後、現在注視している画像位置が画像の中心部に位置するように画像をトリミングし、その画像領域をモニタ20に所定の倍率で拡大表示する。これにより、処置具12やトラカール14にマーカを付すことなく、本当に観察したい被観察体の映像を拡大表示することができる。
【0029】
実施の形態の体腔内観察装置10では、体壁開口部43に固定される観察ユニット16について説明したが、この観察ユニット16に代えて、図5の如くトラカール14と観察光学系を有する腹腔鏡110とを用いた腹腔鏡装置を使用してもよい。前記腹腔鏡装置が硬性の場合、従来は腹腔鏡をトラカールの中で傾けたり、トラカールを腹壁に対して傾けたりして視野方向を変えていた。しかし、トラカールと腹腔鏡との隙間はわずかであり、また、トラカールと腹壁とは密着しているため、必要な方向への視野を向けるのは困難であった。そこで本発明を利用すれば、腹腔鏡はトラカールに挿入した状態で動かす必要はなく、必要な視野方向と拡大像を得ることができる。
【0030】
なお、実施の形態では、体腔内観察装置10につて説明したが、胸腔鏡装置においても、実施の形態の観察ユニット16を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】観察光学系が一体となった観察ユニットを有する体腔内観察装置のシステム構成図
【図2】図1に示した体腔内観察装置による臨床状況を示す説明図
【図3】図1に示した体腔内観察装置の構成を示すブロック図
【図4】視線入力式システムの構成図
【図5】腹腔鏡の使用状態を示す説明図
【符号の説明】
【0032】
10…体腔内観察装置、12…処置具、14…トラカール、16…観察ユニット、18…映像信号処理機、20…モニタ、26…体腔、48…ユニット本体、52…LED、54…バッテリ、58…CCD、60…観察光学系、62…映像信号送信部、74…映像信号処理部、100…視線入力式システム
【出願人】 【識別番号】000005430
【氏名又は名称】フジノン株式会社
【出願日】 平成16年5月12日(2004.5.12)
【代理人】 【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三

【公開番号】 特開2005−323681(P2005−323681A)
【公開日】 平成17年11月24日(2005.11.24)
【出願番号】 特願2004−142604(P2004−142604)