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【発明の名称】 脈波センサ
【発明者】 【氏名】大崎 理江
【住所又は居所】愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会社デンソー内

【氏名】木村 禎祐
【住所又は居所】愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会社デンソー内

【氏名】深谷 直樹
【住所又は居所】愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会社デンソー内

【要約】 【課題】安定した脈波検出ができ、検出確率の高い脈波センサ1を提供する。

【解決手段】脈波センサ1は、検出部2とセンサ本体3とを有し、両者がそれぞれ専用のベルト10、14によって手首の甲側に固定されている。これにより、検出部の位置ずれを小さくでき、且つ体動の影響も小さくできるので、良好なS/N比を確保できる。また、検出部2の透光板8は、人体の皮膚に接触する表面側が凸曲面で構成されている。これにより、皮膚表面に対する透光板8の密着度が向上するため、皮膚表面からの反射光量や外乱光等のノイズ光の侵入を防止できるため、検出確率の高い脈波センサを実現できる。更に、検出部2の上部に重ねて配置されるセンサ本体3と検出部2との間には、スポンジやゲル状タイプの緩衝材15が挿入されている。これにより、センサ本体3に加わる力やセンサ本体3の動きが検出部2に伝わり難くなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子と受光素子を具備する検出部と、この検出部と信号線を介して接続された回路部を内蔵するセンサ本体とを備え、前記検出部を人体の手首または前腕部に取り付けて人体の脈波を検出する脈波センサであって、
前記検出部は第1のベルトによって手首または前腕部に固定され、
前記センサ本体は、前記検出部の上部に重ねて配置され、前記第1のベルトの外側に巻き付けられる第2のベルトによって手首または前腕部に固定されることを特徴とする脈波センサ。
【請求項2】
前記第1のベルトは伸縮性を有する素材を使用したことを特徴とする請求項1記載の脈波センサ。
【請求項3】
前記第1のベルトによる手首に加える圧力は、5〜15mmHgに制限したことを特徴とする請求項2記載の脈波センサ。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、人体の脈波を検出する脈波センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、例えば特開平11−70087号公報に開示された腕時計型脈波検出装置がある。この脈波検出装置は、人体の手首に装着して使用するもので、脈波を検出する検出部と表示部を有するセンサ本体とを有し、センサ本体に取り付けられたバンドを介して検出部を手首の腹側(裏側)に固定し、その検出部で検出された脈波情報を手首の甲側に設けたセンサ本体の表示部に表示することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、手首の腹側には、2本の骨(橈骨と尺骨)が通っているため、手首を動かした時等に、皮膚表面の動きが大きく、検出部が手首の検出部位からずれ易いという問題がある。また、検出部を手首の腹側に固定すると、橈骨や尺骨を圧迫するため、装着感が悪くなる。その結果、無意識に手首を動かすことが多くなり、安定した状態で脈波を検出することが困難となる。本発明は、上記事情に基づいて成されたもので、その目的は、安定した脈波検出ができ、検出確率の高い脈波センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
発光素子と受光素子を具備する検出部と、この検出部と信号線を介して接続された回路部を内蔵するセンサ本体とを備え、検出部を人体の手首または前腕部に取り付けて人体の脈波を検出する脈波センサであって、検出部は第1のベルトによって手首または前腕部に固定され、センサ本体は、検出部の上部に重ねて配置され、第1のベルトの外側に巻き付けられる第2のベルトによって手首または前腕部に固定されることを特徴とする。
【0005】
この構成によれば、センサ本体とは別に検出部を固定する専用のベルト(第1のベルト)を具備しているので、センサ本体の動きが検出部に伝わり難く、検出部で安定した脈波検出ができる。
【0006】
また、第1のベルトは伸縮性を有する素材を使用してもよい。
【0007】
さらに、第1のベルトによる手首に加える圧力は、5〜15mmHgに制限するようにしてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
次に、本発明の脈波センサの実施例を図面に基づいて説明する。図1は脈波センサの取付け状態を示す断面図である。本実施例の脈波センサ1は、人体の脈波を計測して医療診断や健康診断等に用いるもので、検出部2とセンサ本体3とを有し、図1に示すように、人体の手首4の甲側(背側)に取り付けて使用される。
【0009】
検出部2は、図2に示すように、開口部を有するパッケージ5と、このパッケージ5に収容される発光素子6と受光素子7、及びパッケージ5の開口部に取り付けられる透光板8等より構成される。パッケージ5の内部には、回路基板9が具備され、この回路基板9上に発光素子6(例えばLED)と受光素子7(例えばPD)とが並んで組み付けられている。透光板8は、光を透過できる例えばガラス板であり、人体の皮膚に接触する表面側が凸曲面で構成されている(図2参照)。
【0010】
この検出部2は、センサ本体3とは別に、検出部2に取り付けられた専用のベルト10によって手首4に固定される(図1参照)。ベルト10は、例えば伸縮性を有する素材を使用して、手首4に一定の圧力が加わるようにしても良い。これにより、透光板8の表面を皮膚表面に密着できるため、皮膚表面からの反射光や外乱光等の侵入を防止できる。但し、手首4に加える圧力が大きいと、圧迫感が増大して装着感が悪化するため、装着感が悪化しない程度の圧力、例えば5〜15mmHgの圧力に制限することが望ましい。
【0011】
なお、検出部2は、図2に示すように、発光素子6と受光素子7とが並んで配置されているため、発光素子6と受光素子7とが並ぶ方向(図2の左右方向)に長く設けられている。この場合、検出部2の長手方向(発光素子6と受光素子7とが並ぶ方向)を手首4の周方向に合わせて配置すると、検出部2のずれが大きくなり、且つ装着感も悪化する可能性があるため、検出部2の長手方向を腕の長手方向に合わせて配置した方が良い。従って、ベルト10を手首4に巻き付けた時に、検出部2の長手方向が腕の長手方向に合うように、検出部2にベルト10が取り付けられている。
【0012】
センサ本体3は、図2に示すように、発光素子6を駆動する駆動回路11および検出部2で検出された脈波情報から脈拍数を算出するマイクロコンピュータ12等を内蔵するとともに、計測された脈拍数等を表示するモニタ表示部(図示しない)を有し、検出部2とは信号線13によって接続されている。このセンサ本体3は、腕時計と同様に手首4に装着するもので、図1に示すように、検出部2の上部に重ねて配置し、センサ本体3に取り付けられた専用のベルト14によって手首4に固定される。但し、検出部2とセンサ本体3との間には、検出部2とセンサ本体3とが直接接触しない様に、例えばスポンジやゲル状タイプの緩衝材15が挿入されている。
【0013】
ここで、脈波センサ1により脈波を検出するメカニズムについて説明する。図2に示すように、発光素子6から手首4に向かって光が照射されると、光の一部が手首4の内部を通る毛細動脈16に当たって、毛細動脈16を流れる血液中のヘモグロビンに吸収され、残りの光が毛細動脈16で反射して散乱し、その一部が受光素子7に入射する。この時、血液の脈動により毛細動脈16を流れる血液中のヘモグロビンの量が波動的に変化するので、ヘモグロビンに吸収される光も波動的に変化する。その結果、毛細動脈16で反射して受光素子7に入射する受光量が変化するため、この受光量の変化を脈波情報として検出することができる。
【0014】
(本実施例の作用及び効果)本実施例の脈波センサ1は、図1に示したように、検出部2を手首4の甲側(背側)に配置して使用するため、手首4の腹側に検出部2を固定した場合と比較して、手首4が動いた時等に検出部2の位置ずれを小さくできる。また、手首4の甲側に検出部2を固定すれば橈骨や尺骨を強く圧迫することがないので、圧迫感により無意識に手首4を動かすことも少なく、検出部位に対し安定して検出部2を固定することができる。更に、手首4の甲側で脈波を測定する場合は、橈骨動脈や尺骨動脈が通っている腹側と比較して受光素子7に入射する受光量(つまり信号強度)は少なくなるが、検出部2の位置ずれに伴う信号強度の変化が小さいため、腹側で測定する場合に比べて体動の影響も小さいと言える。
【0015】
ここで、手首4の甲側で脈波を測定した場合と、手首4の腹側で脈波を測定した場合とで、体動の影響がどの様に現れるかを調べた。その結果、図3に示すように、完全静止している状態では、甲側でも腹側でも脈波を測定することが可能であるが、体動がある状態では、腹側で測定した場合(b)に体動の影響を大きく受けていることが分かる。この場合、脈波の測定は不可能である。これに対し、甲側で測定した場合(a)は、腹側と比較して体動の影響が小さく、脈波の測定が可能である。
【0016】
脈波センサ1の検出部2は、透光板8の表面が凸曲面で構成され、その凸曲面を皮膚表面に密着させて使用するため、皮膚表面に対する透光板8の密着度が向上する。これにより、発光素子6から照射された光が皮膚表面で反射して受光素子7に入射する反射光量(図2参照)の変動を抑制でき、且つ外乱光等のノイズの混入も防止できる。また、透光板8が皮膚表面に食い込むため、検出部2の位置ずれ防止効果を得ることもできる。
【0017】
ここで、表面が凸曲面の透光板8と、平面の透光板8とを用いてそれぞれ脈波を測定した結果を図4に示す。この場合、体動がある状態で脈波を測定した時に、表面が平面の透光板8を用いて測定した場合(b)は、体動の影響を大きく受けているが、表面が凸曲面の透光板8を用いて測定した場合(a)は、体動の影響が小さく、脈波の測定が可能であることが分かる。
【0018】
また、本実施例の脈波センサ1は、検出部2とセンサ本体3とをそれぞれ専用のベルト10、14で手首4に固定するため、センサ本体3の動きが検出部2に伝わり難く、検出部2を安定的に固定することができる。また、検出部2とセンサ本体3との間に緩衝材15が挿入されているので、センサ本体3に加わる力やセンサ本体3の動きが検出部2に伝わり難くなる。以上の結果、検出部2を安定して手首4に固定でき、且つ受光素子7に入射するノイズ光量を抑制できることから、安静時のみならず、日常生活や軽い運動時等でも良好なS/N比を得ることができ、検出確率の高い脈波センサ1を提供できる。
【0019】
(変形例)本実施例では、センサ本体3にマイクロコンピュータ12を内蔵して、脈波数を算出できる構成として説明しているが、検出部2の検出結果を外部の受信機に送信する送信機能だけを持たせても良い。この場合、センサ本体3を小型化でき、センサ本体3の重さを小さくできるので、センサ本体3に加わる力やセンサ本体3の動きを検出部2に伝え難くできる効果がある。本実施例では、検出部2及びセンサ本体3を手首4に装着する例を説明したが、手首4に限定する必要はなく、前腕部の甲側に取り付けても良い。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】脈波センサの取付け状態を示す断面図である。
【図2】脈波を検出するメカニズムの説明図である。
【図3】手首の甲側と腹側とで体動の影響を測定した脈波グラフである。
【図4】透光板の表面形状と体動の影響との関係を測定した脈波グラフである。
【符号の説明】
【0021】
1 脈波センサ
2 検出部
3 センサ本体
4 手首
6 発光素子
7 受光素子
8 透光板(透光部材)
10 ベルト(第1のベルト)
12 マイクロコンピュータ(回路部)
13 信号線
14 ベルト(第2のベルト)
15 緩衝材
【出願人】 【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
【住所又は居所】愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地
【出願日】 平成17年4月21日(2005.4.21)
【代理人】 【識別番号】100096998
【弁理士】
【氏名又は名称】碓氷 裕彦

【識別番号】100118197
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 大登

【識別番号】100123191
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 高順

【公開番号】 特開2005−246089(P2005−246089A)
【公開日】 平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願番号】 特願2005−123787(P2005−123787)