| 【発明の名称】 |
X線撮影装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】植木 広則 【住所又は居所】東京都国分寺市東恋ヶ窪一丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内
【氏名】鱒沢 裕 【住所又は居所】東京都国分寺市東恋ヶ窪一丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内
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| 【要約】 |
【課題】
【解決手段】 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 異なる2種類のエネルギースペクトルを有するX線を発生するX線発生手段と、被写体透過後の前記2種類のX線を検出するX線検出手段とを有し、前記X線検出手段で検出された2種類の検出信号に基づいて前記被写体のデュアルエネルギー像を生成するX線撮影装置において、仮想X線源より発生されるX線のエネルギースペクトルの情報を格納するスペクトル格納手段と、前記スペクトル格納手段に格納されたエネルギースペクトルと前記デュアルエネルギー像に基づいて前記仮想X線源に対する前記被写体のX線透過像を計算するX線透過像計算手段を有することを特徴とするX線撮影装置。 【請求項2】 前記仮想X線源より発生されるX線のエネルギースペクトルを計算するスペクトル計算手段を有し、前記スペクトル計算手段にて計算されたエネルギースペクトルの情報を前記スペクトル格納手段に格納することを特徴とする請求項1に記載のX線撮影装置。 【請求項3】 前記仮想X線源としてX線管を想定して前記X線管の管電圧を設定する管電圧設定手段と、前記管電圧設定手段にて設定された管電圧に対応するエネルギースペクトルを前記スペクトル情報格納手段より選択して読み出すスペクトル選択手段とを有し、前記選択されたエネルギースペクトルと前記デュアルエネルギー像に基づいて前記被写体のX線透過像を計算することを特徴とする請求項1又は2に記載のX線撮影装置。 【請求項4】 異なる2種類のエネルギースペクトルを有するX線を発生するX線発生手段と、被写体透過後の前記2種類のX線を検出するX線検出手段とを有し、前記X線検出手段で検出された2種類の検出信号に基づいて前記被写体のデュアルエネルギー像を生成するX線撮影装置において、仮想X線源より発生されるX線のエネルギースペクトルを計算するスペクトル計算手段と、前記スペクトル計算手段にて計算されたエネルギースペクトルと前記デュアルエネルギー像に基づいて前記仮想X線源に対する前記被写体のX線透過像を計算するX線透過像計算手段とを有することを特徴とするX線撮影装置。 【請求項5】 前記仮想X線源としてX線管を想定して前記X線管の管電圧を設定する管電圧設定手段を有し、前記管電圧設定手段にて設定された管電圧に対応して前記スペクトル計算手段にて計算されたエネルギースペクトルと前記デュアルエネルギー像に基づいて前記被写体のX線透過像を計算することを特徴とする請求項4に記載のX線撮影装置。 【請求項6】 前記仮想X線源として単色X線源を想定して前記単色X線源より発生する単色X線のエネルギーを設定する単色エネルギー設定手段を有し、前記単色エネルギー設定手段にて設定されたエネルギーと前記デュアルエネルギー像に基づいて前記被写体のX線透過像を計算することを特徴とする請求項4に記載のX線撮影装置。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、X線撮影技術に係り、特にデュアルエネルギー法に基づいて取得した被写体の情報を表示するためのX線撮影装置に関するものである。 【背景技術】 【0002】 デュアルエネルギー法は、異なる2つのエネルギースペクトルを有するX線によって取得された被写体のX線透過像に基づいて、被写体中における光電効果によるX線減衰量およびコンプトン効果によるX線減衰量を計算する方法である。X線診断装置の分野においては、デュアルエネルギー法により人体の骨部等を強調した画像(光電効果像)と軟部組織等を強調した画像(コンプトン効果像)の両方が取得できるため、従来の一回の撮影に比べて多くの被写体情報を検者に提供し、検者の診断能を向上できる利点がある。 【0003】 デュアルエネルギー法を用いたX線診断装置の従来例として、例えば、J. M. Sabol等の“The development and Characterization of a Dual-Energy Subtraction Imaging System for Chest Radiography Based on CsI:TI Amorphous Silicon Flat-Panel Technology”, Proc. SPIE, Vol. 4320, pp399-408, 2001等がある。 【0004】 米国特許第4,029,963号によれば、デュアルエネルギー撮影において得られた撮影画像の信号強度は、(数1)および(数2)で示される。 【0005】 【数1】
【0006】 【数2】
ただし、kp、 kcは比例定数、εはX線のエネルギー、S1(ε)、S2(ε)は被写体に入射するX線のエネルギースペクトルである。また、LpおよびLcはそれぞれ光電効果によるX線減衰量、コンプトン効果によるX線減衰量であり、それぞれ(数3)、(数4)で示される。 【0007】 【数3】
【0008】 【数4】
ただし、sをX線ビームライン上の位置とし、ρ(s)、w(s)、およびZ(s)をそれぞれ位置sにおける被写体の密度、原子量、および原子番号とする。更に、(数1)および(数2)において、fKN(ε)は単一電子に対するコンプトン散乱確率あり、(数5)に示すKlein-Nishinaの式で与えられる。 【0009】 【数5】
ただし、α=ε/mc2(mは電子の静止質量、cは光速)とする。デュアルエネルギー法は異なるエネルギースペクトルS1(ε)、S2(ε)を有するX線に対して得られた2つの検出信号I1、I2に基づいて、Lp、Lcを計算する方法である。なお以下では、全ての画素においてLp、Lcを計算して得た画像をそれぞれ光電効果像、コンプトン効果像と呼ぶ。 【0010】 上記計算方法の従来例として、例えば、米国特許第4,029,963号やH. Neale等の“An accurate method for direct dual-energy calibration and decomposition”, Med. Phys. 17 (3), pp 327-341、 1990等がある。原子量wは原子番号Zにほぼ比例することを考慮すると、(数3)よりLpはρZ3にほぼ比例する。従って、光電効果像中では人体内部の骨やカテーテル等、原子番号の比較的大きな対象物が強調される。一方、(数4)よりLcはρに比例するため、コンプトン効果像中では人体内部の軟部組織の密度変化等が強調される。 【0011】 【非特許文献1】J. M. Sabol, et al: “The development and Characterization of a Dual-Energy Subtraction Imaging System for Chest Radiography Based on CsI:TI Amorphous Silicon Flat-Panel Technology”, Proc. SPIE, Vol. 4320, pp 399-408, 2001 【0012】 【特許文献1】米国特許第4,029,963号 【非特許文献2】H. Neale, et al.:“An accurate method for direct dual-energy calibration and decomposition”, Med. Phys. 17 (3), pp 327-341, 1990 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0013】 デュアルエネルギー法を用いたX線診断装置では、従来光電効果像およびコンプトン効果像が個別に表示されている。このため、検者は2枚の画像を見比べる必要があり、診断に時間がかかるという課題があった。またそれぞれの画像中に含まれる注目部位に対して、両者の位置関係の把握が困難であるという課題があった。更に、検者は2枚の画像の中間的な画像を任意に選択できないという課題があった。 【0014】 本発明の目的は、デュアルエネルギー撮影機能を有するX線撮影装置において、光電効果像およびコンプトン効果像を効果的に表示し得るX線撮影装置を提供する。 【0015】 本発明の目的および新規な特徴の詳細は、以下の記述および添付図面によって明らかになるであろう。 【課題を解決するための手段】 【0016】 上記目的を達成するために、本発明では、光電効果像およびコンプトン効果像を合成して1枚の画像を作成するために、仮想X線源を仮定して(数6)で合成画像を作成することを基本構成とする。 【0017】 【数6】
ただし、S(ε)は仮想X線源より発生するX線のエネルギースペクトルとする。 【0018】 一例として、仮想X線源として単色X線を想定すると、S(ε)=εとなる。このときεをパラメータとして、光電効果像とコンプトン効果像を種々の割合で合成できる。εが小さい場合、(数6)においてLp/ε3の項が大きくなり、合成画像は光電効果像に近づく。一方εが大きい場合、(数6)においてLp/ε3の項が小さくなり、合成画像はコンプトン効果像に近づく。従って、検者がεの値を自由に変えることにより、合成画像における光電効果像とコンプトン効果像の割合を任意に選択できる。 【0019】 仮想X線源の他の例としてX線管を想定すると、エネルギースペクトルは管電圧Vに依存して変化するためS(ε)=SV(ε)と表現できる。このときSV(ε)は、公知の方法(例えば、R.Birch等の“Computation of Bremsstrahlung X-ray Spectra and Comparison with Spectra Measured with a Ge(Li) Detector”, Phys. Med. Biol., Vol. 24、 No. 3, pp 505-517, 1979(以下、参照文献1))等により計算できる。 【0020】 Vが小さい場合、X線のエネルギーが小さくなるため、合成画像は光電効果像に近づく。一方、Vが大きい場合、X線のエネルギーが大きくなるため、合成画像はコンプトン効果像に近づく。従って、検者がVの値を自由に変えることにより、合成画像における光電効果像とコンプトン効果像の割合を任意に選択できる。しかも、中間のV(50kV〜120kV程度)においては、合成画像は該当する管電圧にて撮影した通常のX線像と同等の画像となるため、検者は光電効果像〜通常撮影像〜コンプトン効果像の間で合成画像を任意に変化できる。 【0021】 なお、X線管のエネルギースペクトルSV(ε)の値は、実測データや参照文献1に記載の方法で計算した結果を予めメモリに記録しておいてもよいし、画像合成の際に計算してもよい。 【0022】 また、(数6)で計算される合成画像は、フォトンカウンタ型のX線検出器による検出画像を想定しているが、一般的な電荷蓄積型のX線検出器を模擬する場合は(数6)の代わりに(数7)を用いてもよい。 【0023】 【数7】
(数7)では、X線のエネルギーεに比例した強度の信号が検出される。 【0024】 以上の方法を用いれば、例えば画像診断において、検者は注目部位の位置情報を損なうことなく、合成画像を同一画面上で種々変化させながら診断できる。その結果、従来のように複数の画像を見比べる必要がなくなるため、診断を効率化できる。 【0025】 以下、本発明の代表的な構成例について述べる。 【0026】 (1)本発明のX線撮影装置は、異なる2種類のエネルギースペクトルを有するX線を発生するX線発生手段と、被写体透過後の前記2種類のX線を検出するX線検出手段とを有し、前記X線検出手段で検出された2種類の検出信号に基づいて前記被写体のデュアルエネルギー像を生成するX線撮影装置において、仮想X線源より発生されるX線のエネルギースペクトルの情報を格納するスペクトル格納手段と、前記スペクトル格納手段に格納されたエネルギースペクトルと前記デュアルエネルギー像に基づいて前記仮想X線源に対する前記被写体のX線透過像を計算するX線透過像計算手段を有することを特徴とする。 【0027】 (2)前記(1)のX線撮影装置において、前記仮想X線源より発生されるX線のエネルギースペクトルを計算するスペクトル計算手段を有し、前記スペクトル計算手段にて計算されたエネルギースペクトルの情報を前記スペクトル格納手段に格納することを特徴とする。 【0028】 (3)前記(1)又は(2)のX線撮影装置において、前記仮想X線源としてX線管を想定して前記X線管の管電圧を設定する管電圧設定手段と、前記管電圧設定手段にて設定された管電圧に対応するエネルギースペクトルを前記スペクトル情報格納手段より選択して読み出すスペクトル選択手段とを有し、前記選択されたエネルギースペクトルと前記デュアルエネルギー像に基づいて前記被写体のX線透過像を計算することを特徴とする。 【0029】 (4)本発明のX線撮影装置は、異なる2種類のエネルギースペクトルを有するX線を発生するX線発生手段と、被写体透過後の前記2種類のX線を検出するX線検出手段とを有し、前記X線検出手段で検出された2種類の検出信号に基づいて前記被写体のデュアルエネルギー像を生成するX線撮影装置において、仮想X線源より発生されるX線のエネルギースペクトルを計算するスペクトル計算手段と、前記スペクトル計算手段にて計算されたエネルギースペクトルと前記デュアルエネルギー像に基づいて前記仮想X線源に対する前記被写体のX線透過像を計算するX線透過像計算手段とを有することを特徴とする。 【0030】 (5)前記(4)のX線撮影装置において、前記仮想X線源としてX線管を想定して前記X線管の管電圧を設定する管電圧設定手段を有し、前記管電圧設定手段にて設定された管電圧に対応して前記スペクトル計算手段にて計算されたエネルギースペクトルと前記デュアルエネルギー像に基づいて前記被写体のX線透過像を計算することを特徴とする。 【0031】 (6)前記(4)のX線撮影装置において、前記仮想X線源として単色X線源を想定して前記単色X線源より発生する単色X線のエネルギーを設定する単色エネルギー設定手段を有し、前記単色エネルギー設定手段にて設定されたエネルギーと前記デュアルエネルギー像に基づいて前記被写体のX線透過像を計算することを特徴とする。 【発明の効果】 【0032】 本発明によれば、デュアルエネルギー撮影機能を有するX線撮影装置にて取得された光電効果像およびコンプトン効果像に基づいて、これらの合成画像を同一画面上で種々変化させながら表示できる。その結果、従来のように複数の画像を見比べる必要がなくなり、診断を効率化できる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0033】 以下、本発明の実施例について、図面を参照して詳細に説明する。 【0034】 図1は、本発明の一実施例に係るX線撮影装置の構成を説明するための図である。本実施例に係るX線撮影装置は、X線管1、コリメータ2、X線グリッド3、X線検出器4、支柱5、寝台天板7、寝台8、モニタ9、コンソール10、画像メモリ100、信号処理手段101、エネルギースペクトル記録メモリ102、画像記録手段105等から構成される。またコンソール10にはX線撮影を指示するための公知の指示機構、および撮影条件を設定するための公知の設定機構の他に、仮想X線源選択手段103および仮想X線条件設定手段104が設けられている。 【0035】 以下では、X線管1、コリメータ2、X線グリッド3、およびX線検出器4からなる構成を撮影系と呼ぶ。撮影系の各構成要素には公知のデバイスが使用される。コリメータ2はX線管1の前面に固定されており、被検体6に対するX線の照射範囲を制限する機能を有する。またX線グリッド3はX線検出器4の前面に固定されており、被検体6中で発生した散乱X線を低減する機能を有する。撮影系全体は支柱5により支持されている。 【0036】 X線管1のX線発生点とX線検出器4の入力面との距離の代表例は110[cm]である。X線検出器4には公知のFPD(Flat Panel Detector)等が使用される。X線検出器4の仕様の代表例は入力面サイズ307.2[mm]×307.2[mm]、画素数2048[ピクセル]×2048[ピクセル]である。またX線検出器4は撮影モードと透視モードを有しており、透視モードにおけるフレームレートの代表例は30[フレーム/秒]である。X線グリッド3の仕様の代表例は、グリッド比(格子比)12:1、グリッド密度70[本/cm]である。なお、上記各仕様はこれらの値に限定されるものではなく、X線撮影装置の構成に応じて種々変更可能である。 【0037】 次に、本実施例に係るX線撮影装置の動作手順を説明する。なお本X線撮影装置は、一般的なX線透視・撮影機能の他に、デュアルエネルギーX線透視・撮影機能を有している。以下では、本発明が活用される対象となるデュアルエネルギーX線透視・撮影時における動作手順を説明する。なお、上記一般的なX線透視・撮影時における動作手順は、公知のX線透視・撮影装置における動作手順と同一のものが使用できる。 【0038】 デュアルエネルギーX線透視・撮影は、透視モード、撮影モード、および再生モードから成り、以下各モードにおける動作手順を説明する。 【0039】 透視モードでは、まず検者はコンソール10を介してX線透視の開始を指示し、X線管1よりX線が放射される。なおX線透視中はパルス状のX線が時系列に放射される。上記パルスはX線検出器4のフレームレートと同期しており、個々のパルスに対するX線透過像がX線検出器4によって検出される。X線管1の管電圧は、パルス毎に高電圧(VH)と低電圧(VL)が交互に繰り返される。上記VHとVLの値は、透視に先立って検者が予め設定する。VH、VLの設定値の代表例はそれぞれ120[kV]、70[kV]である。なおVHおよびVLの値は、公知のX線条件制御機構によって自動的に設定してもよい。X線検出器4でパルス毎に検出された被写体6のX線透過像のデータは、画像メモリ100に記録される。画像メモリ100中にはVH時のX線透過像(以下、VH透過像とする)のデータを記録する領域100Hと、VL時のX線透過像(以下、VL透過像とする)のデータを記録する領域100Lが個別に設けられており、各パルスで新たに取得されたデータは、対応する記憶領域に上書きされる。なお、検者が指定すれば、時系列に取得される上記VH透過像およびVL透過像の動画データを、画像記録手段105に記録しておくことも可能である。画像記録手段105には、例えばハードディスク等の公知の記録デバイスが使用できる。信号処理手段101は、画像メモリ100に新しいデータが記録される度に画像メモリ100よりVH透過像およびVL透過像のデータを読み出して、後述する方法で被検体6のデュアルエネルギー画像(光電効果像およびコンプトン効果像)を作成する。また、信号処理手段101は、後述する方法で上記デュアルエネルギー画像の合成画像を作成し、モニタ9に表示する。X線透過像の取得から合成画像のモニタ9への表示までの一連の動作はX線透過像が取得される度に繰り返され、検者は合成画像の動画をモニタ9上で観察できる。また、上記一連の動作は検者がコンソール10を通してX線透視の終了を指示するまで繰り返される。 【0040】 撮影モードでは、まず検者はコンソール10を用いてX線撮影の開始を指示し、X線管1よりX線が放射される。このときパルス状のX線が短い時間間隔で2回繰り返し放射される。なお上記パルス間隔の代表例は200[ms]である。各パルスにおいて、X線管1の管電圧は高電圧(VH)と低電圧(VL)に設定される。上記VHとVLの値は、撮影に先立って検者が予め設定する。VH、VLの設定値の代表例はそれぞれ140[kV]、80[kV]である。なおVHおよびVLの値は、公知のX線条件制御機構によって自動的に設定してもよい。上記2回のパルスにおいて、X線検出器4で取得されたVH透過像およびVL透過像は、それぞれ画像メモリ100中の領域100Hおよび領域100Lに記録される。なお検者が得に指示しなければ、上記VH透過像およびVL透過像のデータは、画像記録手段105にも記録される。信号処理手段101はVH透過像およびVL透過像が画像メモリ100に記録されると同時にこれらを読み出して、後述する方法で被検体6のデュアルエネルギー画像を作成する。また信号処理手段101は、後述する方法で上記デュアルエネルギー画像の合成画像を作成し、モニタ9に表示する。 【0041】 再生モードでは、画像記録手段105に記録されている透視データおよび撮影データに基づいて合成画像を作成する。検者はコンソール10を用いて画像記録手段105に記録されているデータの中から再生したいデータを選択する。選択された再生データは読み出されて、画像メモリ100に記録される。信号処理手段101は上記再生データが画像メモリ100に記録されると同時にこれらを読み出して、後述する方法で被検体6のデュアルエネルギー画像を作成する。また信号処理手段101は、後述する方法で上記デュアルエネルギー画像の合成画像を作成し、モニタ9に表示する。なお選択された再生データが透視データの場合、再生データの読み出しから合成画像のモニタ9への表示までの一連の動作は1フレーム毎繰り返し行われ、検者は合成画像の動画をモニタ9上で観察できる。 【0042】 合成画像作成時において、検者は合成画像の作成条件を仮想X線源選択手段103および仮想X線条件設定手段104を介して設定できる。仮想X線源選択手段103および仮想X線条件設定手段104は、選択ボタンやつまみ等の公知の設定器具か、モニタ9上に表示された設定バー等によって実現できる。検者は仮想X線源選択手段103を介して、仮想X線源を単色X線源とするかX線管とするか選択する。また、検者は仮想X線条件設定手段104を介して、仮想X線源として単色X線源が選択された場合の単色X線のエネルギー、およびX線管が選択された場合の管電圧を設定できる。上記単色X線エネルギーの設定範囲の代表例は30[keV]〜120[keV]である。また上記管電圧の設定範囲の代表例は30[kV]〜160[kV]である。なお上記合成画像作成条件は、透視画像のような動画の表示中や、撮影画像のような静止画の表示中において種々変更可能である。またX線透視中に合成画像作成条件を変更することもできる。後述する方法を用いれば、合成画像作成条件の変化に合わせて合成画像を動的に変えながら表示できる。 【0043】 仮想X線源選択手段103によりX線管が選択された場合、信号処理手段101は仮想X線条件設定手段104を通して設定された管電圧に対応するエネルギースペクトルのデータをエネルギースペクトル記録メモリ102から読み出して、後述する方法を用いて合成画像を作成する。エネルギースペクトル記録メモリ102に記録されるエネルギースペクトルのデータは、X線管1に対して予め種々の管電圧で実測したデータを使用してもよいし、公知の文献(例えば、Birch等の“Catalogue of Spectral Data for Diagnostic X-rays”, Hospital Physicists' Association, 1979(以下、参照文献2))に記載された値を使用してもよい。 【0044】 また、先述した参照文献1に記載の方法等を用いれば、任意の管電圧に対してエネルギースペクトルのデータを計算できる。従って、種々の管電圧に対する計算値を予めエネルギースペクトル記録メモリ102に記録しておいてもよいし、エネルギースペクトル記録メモリ102を設けずに、仮想X線条件設定手段104で設定された管電圧に応じてその都度エネルギースペクトルを計算してもよい。 【0045】 図2は、信号処理手段101おける合成画像作成手順を説明するためのブロック図である。以下、本ブロック図に基づいて信号処理手段101の処理手順を説明する。なお、信号処理手段101による以下の処理は、専用演算器や公知の汎用演算器に対するプログラム制御で実現できる。 【0046】 ステップ200において、検者がコンソール10を介して透視モードにおけるX線透視、または撮影モードにおけるX線撮影、あるいは再生モードにおける画像再生を指定すると同時に、信号処理手段101による以下の処理が開始される。ステップ201において、画像メモリ100を参照して、記録されている画像を読み出す。ステップ202において、画像メモリ100に記録されている画像が新規の画像かそうでないかを判断する。新規画像の場合はステップ204に進み、そうでない場合はステップ203に進む。ステップ203において、仮想X線源選択手段103または仮想X線条件設定手段104を介して合成画像作成条件に変更が加えられていないかどうかを判断する。変更有りの場合はステップ205に進み、変更無しの場合はステップ210に進む。ステップ204において、画像メモリ100に記録されていた新規画像に対してデュアルエネルギー変換演算を行い、デュアルエネルギー画像を作成する。なお、デュアルエネルギー画像の作成には、先述した特許文献1や非特許文献2に記載の方法が使用できる。ステップ205において、仮想X線源選択手段103によって選択されているX線源の種類を判断する。単色X線源が選択されている場合はステップ206に進み、X線管が選択されている場合はステップ207に進む。ステップ206において、仮想X線条件設定手段104を介して指定された単色X線のエネルギー値を参照する。ステップ207において、仮想X線条件設定手段104を介して指定されたX線管の管電圧を参照する。ステップ208において、指定されたX線管の管電圧に対して該当するエネルギースペクトルを、エネルギースペクトル記録メモリ102から読み出す。ステップ209において、デュアルエネルギー画像および指定された合成画像作成条件に基づき、(数7)を用いて合成画像を作成する。なお、検者による指定があった場合は(数6)を用いて合成画像を作成してもよい。ステップ210において、作成した合成画像をモニタ9に表示する。ステップ211において、検者がコンソール10を介してX線透視、またはX線撮影、あるいは画像再生の終了を指定したかどうかを判断する。終了が指定されている場合はステップ212へ進み、指定されていない場合はステップ201へ戻る。ステップ212において、信号処理手段101による上記一連の処理を終了する。 【0047】 なお透視画像のような動画を表示する際には、ステップ201からステップ210に至るまでの一連の処理は、上記動画のフレームレートに同期して繰り返し行われる。これにより、上記動画中の個々のフレームの画像に対して合成画像を作成できるため、合成画像を動画表示できる。また動画表示中に合成画像作成条件が変化した場合も、上記条件変化に動的に対応しながら合成画像を作成および表示できる。一方撮影画像のような静止画を表示する際にも、ステップ201からステップ210に至るまでの一連の処理を繰り返すことにより、合成画像作成条件の変化に動的に対応しながら合成画像を作成および表示できる。 【0048】 ステップ209において、(数6)または(数7)を用いて合成画像を作成する際には、光電効果によるX線吸収係数定数項kpと、コンプトン効果によるX線吸収係数定数項kcの値が用いられる。kp、kcは理想的には被写体の組成やX線のエネルギーに依存しない定数項であるが、実際にはある程度の依存性を持つ。従って精度良く合成画像を作成するためには、kp、kcとして予め適当な値を設定しておく必要がある。被検体6として、例えば人体を想定すると、その組成を水等で近似できる。 【0049】 図3および図4は、水のkp、kcとエネルギーの関係を示したものである。図3および図4に示されるように、kp、kcはエネルギー依存性を持つので、これらをkp(ε)、kc(ε)と表して数6および数7を計算すれば、比較的精度良く合成画像を計算できる。また計算を簡単にするには、kp、kcを定数で近似してもよい。例えば、仮想X線源で使用されるX線エネルギーの範囲を30[keV]〜160[keV]とすると、kp=13、kc=0.11程度に設定すれば、近似精度を大きく損なうことなく合成画像を計算できる。 【0050】 以上、本実施例に示したX線撮影装置を用いれば、デュアルエネルギー法を用いて取得された2枚の画像(光電効果像およびコンプトン効果像)に基づいて、仮想X線源に対するX線透過像としての合成画像を作成できる。また仮想X線源のエネルギーや管電圧を変化させることで、上記合成像の合成比率を種々変更可能である。特に仮想X線源としてX線管を使用した場合、光電効果像〜通常撮影像〜コンプトン効果像の間で合成画像を任意に変化できるため、検者は注目部位の位置情報を損なうことなく、同一画面上で合成画像を種々変化させながら診断できる。その結果、従来のように複数の画像を見比べる必要がなくなるため、診断を効率化できる。 【0051】 以上、本発明の実施例を示したが、本発明は本実施例のみに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。例えば、透視機能を持たないX線撮影装置や、画像再生・加工機能のみを有する画像処理装置、工業用のX線撮影装置等にも本発明を適用できることはいうまでもない。 【0052】 本発明によれば、デュアルエネルギー撮影機能を有するX線撮影装置にて取得された光電効果像およびコンプトン効果像に基づいて、注目部位の位置情報を損なうことなく、これらの合成画像を同一画面上で種々変化させながら表示できる。その結果、従来のように複数の画像を見比べる必要がなくなり、診断を効率化できる。 【図面の簡単な説明】 【0053】 【図1】本発明の一実施例に係るX線撮影装置の構成を説明するための図である。 【図2】図1に示す信号処理手段おける合成画像作成手順を説明するためのブロック図である。 【図3】水の光電効果によるX線吸収係数定数項kpとエネルギーの関係を示す図である。 【図4】水のコンプトン効果によるX線吸収係数定数項kcとエネルギーの関係を示す図である。 【符号の説明】 【0054】 1…X線管、2…コリメータ、3…X線グリッド、4…X線検出器、6…被検体、9…モニタ、10…コンソール、100…画像メモリ、101…信号処理手段、102…エネルギースペクトル記録メモリ、103…仮想X線源選択手段、104…仮想X線条件設定手段、105…画像記録手段。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000153498 【氏名又は名称】株式会社日立メディコ 【住所又は居所】東京都千代田区内神田1丁目1番14号
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| 【出願日】 |
平成16年3月3日(2004.3.3) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100068504 【弁理士】 【氏名又は名称】小川 勝男
【識別番号】100086656 【弁理士】 【氏名又は名称】田中 恭助
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| 【公開番号】 |
特開2005−245657(P2005−245657A) |
| 【公開日】 |
平成17年9月15日(2005.9.15) |
| 【出願番号】 |
特願2004−58556(P2004−58556) |
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