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【発明の名称】 内視鏡の内圧調整用逆止弁
【発明者】 【氏名】大内 直哉
【住所又は居所】東京都板橋区前野町2丁目36番9号 ペンタックス株式会社内

【要約】 【課題】閉弁状態のときに内視鏡の内部と外部との間が確実に閉塞され、しかも開弁方向への動作が重くならない内視鏡の内圧調整用逆止弁を提供すること。

【解決手段】弁体18と弁座16との間に配置されたOリング20を押し潰す閉弁方向に弁体18を付勢するスプリング21の装備力量とOリング20のゴム硬度とを、内視鏡の内外に圧力差がない状態のときにOリング20の潰れ率が10〜30%の範囲になり、かつ、内視鏡外部の圧力が内部の圧力に比べて1気圧低くなる前(望ましくは0.3気圧程度低くなったとき)に弁体18が開方向に移動を始めてOリング20が弁体18と弁座16との対向面をシールしない状態になるように設定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部との間を仕切る隔壁がすべて気密に構成された内視鏡の内部と外部を連通させる内外連通孔と、上記内外連通孔の外部側口元付近に形成された弁座と、上記内外連通孔の軸線方向に移動自在に上記弁座に対して外方から対向するように配置された弁体と、上記弁体と上記弁座との対向面部分に配置された弾力性のある材料からなるOリングと、上記Oリングを上記弁体と上記弁座とにより挟み付けて押し潰す閉弁方向に上記弁体を付勢するスプリングとを有する内視鏡の内圧調整用逆止弁において、
上記スプリングの装備力量と上記Oリングのゴム硬度とを、上記内視鏡の内外に圧力差がない状態のときに上記Oリングの潰れ率が10〜30%の範囲になり、かつ、上記内視鏡外部の圧力が内部の圧力に比べて1気圧低くなる前に上記弁体が開弁方向に移動を始めて上記Oリングが上記弁体と上記弁座との対向面をシールしない開弁状態になるように設定したことを特徴とする内視鏡の内圧調整用逆止弁。
【請求項2】
上記スプリングの装備力量を、上記内視鏡外部の圧力が内部の圧力に比べて0.3気圧程度低くなったときに上記弁体が開弁方向に移動を始めて、上記Oリングが上記弁体と上記弁座との対向面をシールしない状態になるように設定した請求項1記載の内視鏡の内圧調整用逆止弁。
【請求項3】
上記Oリングのゴム硬度がデュロメータA40°程度に設定されている請求項2記載の内視鏡の内圧調整用逆止弁。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、オートクレーブ又はエチレンオキサイドガス(EOG)等によって滅菌されることのある内視鏡の内圧調整用逆止弁に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡を滅菌するためにエチレンオキサイドガス滅菌やオートクレーブ等を行うためには、内視鏡を収容した滅菌室内を一旦減圧する必要があり、内視鏡をそのような低圧環境に耐えられる構造にする必要がある。
【0003】
その際に問題になるのは、外部との間を仕切る隔壁がすべて気密に構成された内視鏡の外装のなかで最も柔軟な部分、例えば一般にゴムで形成されている湾曲部の被覆チューブ等が、減圧時に膨らんで破裂してしまう場合があることである。
【0004】
そこで、内視鏡内部から外部へは気体を通過させ、内視鏡外部から内部へは気体を通過させない内圧調整用逆止弁を設けることにより、減圧滅菌室内では内視鏡内の空気が外部へ抜けて内圧が下げられ、且つ滅菌時や洗浄時には蒸気、ガス又は洗浄水等が内視鏡内に侵入しないようにしている。
【0005】
そのような内視鏡の内圧調整用逆止弁の構成として、内視鏡の内部と外部を連通させる内外連通孔と、内外連通孔の外部側口元付近に形成された弁座と、内外連通孔の軸線方向に移動自在に弁座に対して外方から対向する位置に配置された弁体と、弁体と弁座との対向面部分に配置された弾力性のある材料からなるOリングと、Oリングを弁体と弁座とにより挟み付けて押し潰す閉弁方向に弁体を付勢するスプリングとを設けたものがある(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開平10−328132
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のような構成の内視鏡の内圧調整用逆止弁においては、弁座と弁体との対向面部分に配置されているOリングが、閉弁状態のときにスプリングの付勢力により押し潰されて内視鏡の内部と外部との間を確実に閉塞しており、Oリングの潰れ率が大きいほど閉塞状態が確実なものになる。
【0007】
したがって、閉弁状態を確実にするためには、Oリングがよく潰れるようにスプリングの装備力量を大きくすればよいが、そのようにすると、開弁方向への動作が重くなって内視鏡の内外圧力差が大きくなり過ぎてしまうおそれがある。
【0008】
そこで本発明は、閉弁状態のときに内視鏡の内部と外部との間が確実に閉塞され、しかも開弁方向への動作が重くならない内視鏡の内圧調整用逆止弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、本発明の内視鏡の内圧調整用逆止弁は、外部との間を仕切る隔壁がすべて気密に構成された内視鏡の内部と外部を連通させる内外連通孔と、内外連通孔の外部側口元付近に形成された弁座と、内外連通孔の軸線方向に移動自在に弁座に対して外方から対向するように配置された弁体と、弁体と弁座との対向面部分に配置された弾力性のある材料からなるOリングと、Oリングを弁体と弁座とにより挟み付けて押し潰す閉弁方向に弁体を付勢するスプリングとを有する内視鏡の内圧調整用逆止弁において、スプリングの装備力量とOリングのゴム硬度とを、内視鏡の内外に圧力差がない状態のときにOリングの潰れ率が10〜30%の範囲になり、かつ、内視鏡外部の圧力が内部の圧力に比べて1気圧低くなる前に弁体が開弁方向に移動を始めてOリングが弁体と弁座との対向面をシールしない開弁状態になるように設定したものである。
【0010】
なお、スプリングの装備力量は、内視鏡外部の圧力が内部の圧力に比べて0.3気圧程度低くなったときに弁体が開弁方向に移動を始めて、Oリングが弁体と弁座との対向面をシールしない状態になるように設定するのが最も好ましく、その場合、Oリングのゴム硬度がデュロメータA40°程度に設定されているとよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、弁体と弁座との間に配置されたOリングを押し潰す閉弁方向に弁体を付勢するスプリングの装備力量とOリングのゴム硬度とを、内視鏡の内外に圧力差がない状態のときにOリングの潰れ率が10〜30%の範囲になり、かつ、内視鏡外部の圧力が内部の圧力に比べて1気圧低くなる以前に弁体が開弁方向に移動を始めてOリングが弁体と弁座との対向面をシールしない開弁状態になるように設定したことにより、閉弁状態のときに内視鏡の内部と外部との間が確実に閉塞され、しかも開弁方向への動作が重くならずスムーズに動作することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
弁体と弁座との間に配置されたOリングを押し潰す閉弁方向に弁体を付勢するスプリングの装備力量とOリングのゴム硬度とを、内視鏡の内外に圧力差がない状態のときにOリングの潰れ率が10〜30%の範囲になり、かつ、内視鏡外部の圧力が内部の圧力に比べて0.3気圧程度低くなったときに弁体が開弁方向に移動を始めてOリングが弁体と弁座との対向面をシールしない状態になるように設定する。その時のOリングのゴム硬度はデュロメータA40°程度である。
【実施例】
【0013】
図面を参照して本発明の実施例を説明する。
図2は、内視鏡の全体構成を示しており、操作部1に連結された挿入部2の先端部分には、操作部1に設けられた操作レバー3による遠隔操作によって屈曲自在な湾曲部4が設けられている。湾曲部4は、柔軟なゴムチューブによって被覆されている。
【0014】
操作部1から延出する可撓性連結管6の先端には、図示されていない光源装置に着脱自在に接続されるコネクタ部7が取り付けられている。5は接眼部であり、電子内視鏡の場合には不要となる。
【0015】
この内視鏡は、パッキングやOリングなどによって、外部との間を仕切る隔壁がすべて気密に構成され、内部は各部が互いに連通している。そして、コネクタ部7には、エチレンオキサイドガスやオートクレーブなどによる滅菌時に内視鏡内部の圧力を調整するための逆止弁10が突設されている。
【0016】
逆止弁10は、内視鏡外部の圧力が内部の圧力よりある程度以上低くなると開弁状態になって内視鏡の内部から外部に気体を通過させ、それ以外のときは、内視鏡の外部から内部へ気体を通過させない閉弁状態になるように設定されている。
【0017】
図1は逆止弁10を示しており、コネクタ部7の外壁の外面部分に突出する状態に、段付き円筒状の台座筒11が螺合連結されていて、その連結部にはシール用のOリング12が装着されている。13は、図示されていない弁開放アダプタを接続する際のガイドになるガイドピンである。
【0018】
台座筒11に外面開口側から差し込まれてビス止め固定された筒状部材14は、部品加工と組み立ての都合上から台座筒11と別部品として形成されているが、機能的には台座筒11と一体的なものであり、台座筒11との嵌合面にはシール用のOリング17が装着されている。
【0019】
台座筒11の軸線位置と筒状部材14の軸線位置には、各々貫通孔15A,15Bが形成されてそれらが真っ直ぐにつながっており、内視鏡の内部と外部を連通させる内外連通孔15が、その二つの貫通孔15A,15Bにより形成されている。そして、その内外連通孔15の外部側口元にあたる筒状部材14の内周部に、テーパ面状の弁座16が形成されている。
【0020】
筒状部材14の軸線位置には、略きのこ状の形状に形成された弁体18が軸線方向に移動自在に配置されていて、その首部にあたる部分は弁座16に対向するテーパ面状に形成されている。
【0021】
弁体18の軸部にあたる部分は、弁座16の内側を通過して内外連通孔15内に差し込まれた状態になっている。ただし、内外連通孔15が弁体18によって塞がれることのないように、内外連通孔15内には通気のための隙間が全長にわたって確保されている。
【0022】
そして、弁座16と弁体18との対向面部分には弾力性のあるゴム材料等からなるOリング20が配置されている。なお、この実施例においては弁体18側に形成された環状溝にOリング20が装着されているが、Oリング20を装着する溝を弁座16側に形成しても差し支えない。
【0023】
このような構成により、Oリング20が弁体18と弁座16との間に挟み込まれて押し潰された状態になると、逆止弁10が閉じて内視鏡の内部と外部との間が閉塞された閉弁状態になる。なお、図1にはOリング20が潰れる前の正円形状の断面形状を示してある。
【0024】
そして、矢印Yで示されるように、弁体18が外方に移動してOリング20が弁座16から離れると、その隙間部分と内外連通孔15とを介して、内視鏡の内部と外部との間が連通した開弁状態になる。
【0025】
弁体18の軸部の内端部分には、筒状部材14の内側に配置されている圧縮コイルスプリング21の一端を受けるバネ受け筒22が駆動ピン23によって連結固定されている。このバネ受け筒22は、筒状部材14内に緩く嵌合しているが、弁体18と一体に軸線方向に進退自在であり、バネ受け筒22の外周部分には軸線と平行方向に複数の通気溝24が形成されている。
【0026】
圧縮コイルスプリング21は、Oリング20を弁体18と弁座16とにより挟み付けて押し潰す閉弁方向に弁体18を付勢しており、圧縮コイルスプリング21の装備力量(即ち、閉弁状態における付勢力)は、内視鏡外部の圧力が内部の圧力に比べて0.3気圧(0.03MPa)程度低くなったときに弁体18が開弁方向に移動を始めてOリング20が弁体18と弁座16との対向面をシールしない状態になる値に設定されている。なお、製造誤差等を考慮した場合に、0.3気圧程度とは0.2〜0.4気圧の範囲程度の意である。
【0027】
弁体18と弁座16との間に挟まれているOリング20は圧縮コイルスプリング21によって押し潰される方向に力を受けるが、内視鏡の内外に圧力差がなくて圧縮コイルスプリング21の装備力量だけを受ける時に、Oリング20の潰れ率(径方向の潰れ率であり、図1に示される(e/D)×100)が10〜30%になるように設定されている。なお、そのようにするために、Oリング20のゴム硬度をデュロメータA40°程度に設定するとよい。
【0028】
駆動ピン23は、圧縮コイルスプリング21の付勢力に抗して弁体18を押し上げて逆止弁10を外部から強制的に開弁状態にするためのものであり、バネ受け筒22と弁体18とにまたがって側方からねじ込まれている。
【0029】
そして、筒状部材14の側壁部分には、駆動ピン23を駆動するためのカム溝26が形成されていて、図示されていない弁開放アダプタが逆止弁10に取り付けられたときに、駆動ピン23がカム溝26により押し上げられて強制的に開弁状態になるようになっている。
【0030】
このように構成された逆止弁10は、通常は圧縮コイルスプリング21の装備力量による付勢力によって、弁体18と弁座16との間にOリング20が径方向に10〜30%程度押し潰される状態に挟み込まれた確実な閉弁状態になっている。
【0031】
そして、内視鏡外部の圧力が内部の圧力より0.3気圧程度以上低下すると、その差圧によって弁体18が外方向に押し出されて弁座16とOリング20との間に隙間ができた開弁状態になるので、内視鏡内の空気が外部に流出して内視鏡内圧が下がり、湾曲部ゴム等の破裂が防止される。
【0032】
なお、その際に、内視鏡外部の圧力が内部の圧力より0.1気圧(0.01MPa)程度で開弁状態になるように圧縮コイルスプリング21の装備力量が設定されていると、内視鏡を温かい薬液等に浸漬した程度の内圧上昇により開弁状態になって内視鏡内部への薬液浸入が発生するおそれがある等、安定した水密状態が得られない。
【0033】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、例えば圧縮コイルスプリング21の装備力量は、内視鏡外部の圧力が内部の圧力より0.3気圧程度以上低下したときに開弁状態になる程度に設定するのが最も好ましいが、少なくとも、内視鏡外部の圧力が内部の圧力に比べて1気圧低くなる前に(即ち、内外圧力差が1気圧未満で)開弁状態になるように設定すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施例の内視鏡の内圧調整用逆止弁の縦断面図である。
【図2】本発明の実施例の内視鏡の全体構成を示す外観図である。
【符号の説明】
【0035】
10 逆止弁
15 内外連通孔
16 弁座
18 弁体
20 Oリング
21 圧縮コイルスプリング
【出願人】 【識別番号】000000527
【氏名又は名称】ペンタックス株式会社
【住所又は居所】東京都板橋区前野町2丁目36番9号
【出願日】 平成16年2月6日(2004.2.6)
【代理人】 【識別番号】100091317
【弁理士】
【氏名又は名称】三井 和彦

【公開番号】 特開2005−218668(P2005−218668A)
【公開日】 平成17年8月18日(2005.8.18)
【出願番号】 特願2004−30077(P2004−30077)