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【発明の名称】 血圧・血液粘度測定方法および血圧・血液粘度測定装置
【発明者】 【氏名】平田 英之

【氏名】三原 豊

【氏名】大平 文和

【氏名】松尾 志郎

【氏名】多田 薫

【氏名】守屋 宏一

【要約】 【課題】外部静水圧と血流量とから血圧および血液粘度を測定することができる血圧・血液粘度測定装置。

【解決手段】空気ポンプ2を制御して、指Fに巻かれたカフ1により2段階のカフ圧を与え、各カフ圧における血流量を血流量センサ5により検出する。カフ圧は圧力センサ4により検出される。一方、コントローラ7の記憶部7bには、予めシミュレーションにより求められた血圧・血液粘度演算プログラムが格納されている。演算部7aは、検出された2段階のカフ圧およびそのときの血流量を用いて、血圧・血液粘度演算プログラムにより血圧および血液粘度を算出する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の身体の一部に第1の外部静水圧を負荷したときに外部静水圧負荷領域またはその近傍領域で第1の血流量を測定する第1の工程と、
前記被験者の身体の一部に第2の外部静水圧を負荷したときに前記外部静水圧負荷領域またはその近傍領域で第2の血流量を測定する第2の工程と、
予め定められた血圧と血流量との関係を表す関係式を、前記第1および第2の外部静水圧と前記第1および第2の血流量とにより算出される血液粘度変化および外部静水圧の変化に基づいて補正する第3の工程と、
前記第1および第2の外部静水圧と前記第1および第2の血流量と前記第3の工程の補正された関係式とに基づいて血圧値および血液粘度情報を算出する第4の工程を有することを特徴とする血圧・血液粘度測定方法。
【請求項2】
請求項1に記載の血圧・血液粘度測定方法において、
前記血液粘度情報は相対的な血液粘度変化であることを特徴とする血圧・血液粘度測定方法。
【請求項3】
請求項1に記載の血圧・血液粘度測定方法において、
前記血液粘度情報は、前記第1および第2の外部静水圧と、前記第1および第2の血流量と前記第3の工程の補正された関係式と、少なくとも既知の血液粘度とに基づいて算出される血液粘度であることを特徴とする血圧・血液粘度測定方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の血圧・血液粘度測定方法において、
外部静水圧変化に対する血流量変化の比率と粘度変化との関係を表す血流量・粘度相関を求め、計測された2つの血流量間の変化と計測された2つの外部静水圧間の変化との比と前記血流量・粘度相関に基づいて血液粘度の変化を算出することを特徴とする血圧・血液粘度測定方法。
【請求項5】
被験者の身体の一部に外部静水圧を負荷する外部静水圧負荷手段と、
前記外部静水圧負荷手段により負荷された外部静水圧を測定する外部静水圧測定手段と

前記外部性水圧負荷領域またはその近傍領域における血流量を測定する血流量測定手段
と、
前記外部静水圧測定手段により測定された外部静水圧および外部静水圧負荷時に前記血流量測定手段により測定される血流量を請求項1〜4のいずれかに記載の血圧・血液粘度測定方法に適用して、血圧値および血液粘度情報を演算する演算手段とを備えたことを特徴とする血圧・血液粘度測定装置。
【請求項6】
請求項5に記載の血圧・血液粘度測定装置において、
前記血流量測定手段は、被験者の身体の一部に光を照射し、その反射光を受光して血流量を測定することを特徴とする血圧・血液粘度測定装置。
【請求項7】
請求項5または6に記載の血圧・血液粘度測定装置において、
前記外部静水圧負荷手段は前記被験者の指に巻回するリング状部材であって、前記指に外部静水圧を負荷し、
前記血流量測定手段は前記指の血流量を測定することを特徴とする血圧・血液粘度測定装置。
【請求項8】
請求項7に記載の血圧・血液粘度測定装置において、
前記外部静水圧負荷手段は、指の曲げ伸ばしの際の指の膨らみを利用して外部静水圧を負荷することを特徴とする血圧・血液粘度測定装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、血圧・血液粘度測定方法および血圧・血液粘度測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、血圧測定装置としては種々のものがあり、手首、腕、指などに測定装置を装着するものや(例えば、特許文献1,2参照)、血圧値を連続的に監視するもの(例えば、特許文献3参照)が知られている。
【0003】
【特許文献1】特開平8−580号公報
【特許文献2】特開平1−214339号公報
【特許文献3】特開平7−284479号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、検査項目として血圧だけでなく血液粘度の測定が必要な場合がある。しかしながら上述した装置では血圧しか測定できないので、血圧測定に加えて血液粘度測定を別途行う必要があった。従来は、血液粘度測定を行う場合には患者の血液を採血し、粘度測定装置で検査するのが一般的である。そのため、検査工程が2工程となり、患者への負担が増加するとともに、検査を何回も行って粘度の時間的変化を観察するということは実際上困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明による血圧・血液粘度測定方法は、被験者の身体の一部に第1の外部静水圧を負荷したときに外部静水圧負荷領域またはその近傍領域で第1の血流量を測定する第1の工程と、被験者の身体の一部に第2の外部静水圧を負荷したときに外部静水圧負荷領域またはその近傍領域で第2の血流量を測定する第2の工程と、予め定められた血圧と血流量との関係を表す関係式を、第1および第2の外部静水圧と第1および第2の血流量とにより算出される血液粘度変化および外部静水圧の変化に基づいて補正する第3の工程と、第1および第2の外部静水圧と第1および第2の血流量と第3の工程の補正された関係式とに基づいて血圧値および血液粘度情報を算出する第4の工程を有することを特徴とする。
例えば、後述する実施の形態では、予め定められた血圧ξと血流量ηとの関係を表す関係式は近似式η=aξ+bに対応している。ここで、係数a,bは外部静水圧の変化xおよび血液粘度変化yに依存しており、関数f(x、y),g(x、y)を用いてa=a0・f(x、y),b=b0・g(x、y)のように表される。すなわち、関係式はη=a0・f(x、y)・ξ+b0・g(x、y)のように表される。そして、第3の工程では、式η=a0・f(x、y)・ξ+b0・g(x、y)の係数a.bとして、測定された外部静水圧変化x=P01/P001および血液粘度変化y=μ/μ0を代入したものを補正された関係式とする。補正された係数a,bをa1,b1とすれば、これらのa1,b1と測定された血流量Qmax1を用いて関係式から「(最高血圧)=(Qmax1−b1)/a1」のように最高血圧が算出される。また、粘度比μ/μ0は関数hを用いてμ/μ0=h(C)により算出される。ただし、C=(Qmax1−Qmax2)/C0(P01−P02)である。
請求項2の発明は、請求項1に記載の血圧・血液粘度測定方法において、血液粘度情報が相対的な血液粘度変化である。
請求項3の発明による血圧・血液粘度測定装置は、請求項1に記載の血圧・血液粘度測定方法において、血液粘度情報は、第1および第2の外部静水圧と、第1および第2の血流量と第3の工程の補正された関係式と、少なくとも既知の血液粘度とに基づいて算出される血液粘度である。
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の血圧・血液粘度測定方法において、外部静水圧変化に対する血流量変化の比率と粘度変化との関係を表す血流量・粘度相関を求め、計測された2つの血流量間の変化と計測された2つの外部静水圧間の変化との比と血流量・粘度相関に基づいて血液粘度の変化を算出するようにしたものである。
請求項5の発明による血圧・血液粘度測定装置は、被験者の身体の一部に外部静水圧を負荷する外部静水圧負荷手段と、外部静水圧負荷手段により負荷された外部静水圧を測定する外部静水圧測定手段と、外部性水圧負荷領域またはその近傍領域における血流量を測定する血流量測定手段と、外部静水圧測定手段により測定された外部静水圧および外部静水圧負荷時に血流量測定手段により測定される血流量を請求項1〜4のいずれかに記載の血圧・血液粘度測定方法に適用して、血圧値および血液粘度を演算する演算手段とを備えたことを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項5に記載の血圧・血液粘度測定装置において、血流量測定手段は、被験者の身体の一部に光を照射し、その反射光を受光して血流量を測定するものである。
請求項7の発明は、請求項5または6に記載の血圧・血液粘度測定装置において、外部静水圧負荷手段は被験者の指に巻回するリング状部材であって、指に外部静水圧を負荷し、血流量測定手段は指の血流量を測定するものである。
請求項6の発明は、請求項5に記載の血圧・血液粘度測定装置において、外部静水圧負荷手段は、指の曲げ伸ばしの際の指の膨らみを利用して外部静水圧を負荷するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、被験者の身体の一部に負荷される外部静水圧とそれを負荷した際の血流量とから、血圧値および血液粘度を測定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図を参照して本発明を実施するための最良の形態について説明する。まず、本実施の形態の血圧・血液粘度測定装置は、被験者の最高・最低血圧値を予め別の血圧計で測定しておき、その測定結果を被験者の初期データとして記憶しておくものである。そして、本実施の形態の装置を被験者に装着した後は、初期データに基づいて血圧データおよび相対的な血液粘度変化を断続的に測定することができる。さらに、被験者の血液粘度を予め測定し、既知の初期データとして記憶しておくことにより、血液粘度変化に加えて血液粘度そのものも算出することができる。
【0008】
図1は本発明による血圧・血液粘度測定装置の概略構成を示すブロック図である。カフ1はリング状の袋であり、被験者の指Fに巻回されるように装着される。カフ1は血圧・血液粘度測定の際に指Fに外部静水圧(以下ではカフ圧を呼ぶ)を負荷するものであり、配管3を介して接続された電動の空気ポンプ2によりカフ1内に空気を送り込むことによって指Fを圧迫する。図示していないが、配管3には切換弁が設けられていて、その切換弁を制御することによりカフ1へ空気の供給および排気を切り換えることができる。
【0009】
配管3には圧力センサ4が接続されており、この圧力センサ4によりカフ1に供給される空気の圧力、すなわち、カフ圧を検出することができる。圧力センサ4には例えば静電容量型のダイアフラム式センサが用いられ、シリコン基板上に微小ダイアフラムを形成して成る半導体センサを用いれば、圧力センサ4をカフ1自体に装着することができる。
【0010】
また、カフ1には血管内の血流量を検出する血流量センサ5が指Fに密着するように設けられており、血流量センサ5からの信号は血流量計6に入力され、そこで血流量が演算される。血流量計6には、例えば、レーザ光を皮膚に指に照射して血流を検出するレーザドップラー血流計等が用いられる。
【0011】
圧力センサ4からのカフ圧信号および血流量計6からの血流量信号は、装置全体の制御を行うコントローラ7に入力される。コントローラ7には血圧や血液粘度を演算する演算部7aと、検出結果、演算に必要なパラメータ、演算結果などが記憶される記憶部7bとを備えている。演算部7aはCPUで構成され、記憶部7bはROM,RAM等で構成される。
【0012】
また、コントローラ7には送信機8が接続され、演算結果や各種データを送信することができるので、離れた場所において血圧の変化や血液粘度の変化をモニタすることができる。本実施の形態の装置は、例えば、被験者の血圧および血液粘度を継続的に観察するような場合に適しており、指Fに装着されるカフ1や血流量センサ5を除く二点鎖線で囲まれた各装置は一つの筐体(不図示)内に収納され、その筐体は被験者の手首等に装着される。
【0013】
《血圧算出方法》
次に、本実施の形態の血圧・血液粘度測定装置における血圧および血液粘度の算出方法について説明する。まず、血圧の算出方法について説明する。本実施の形態の血圧・血液粘度測定方法では、一般的な「円管内流れモデル」および「内外圧を受ける円筒の変形モデル」を用いた流量−内圧シミュレーションにより、流量ηを内圧ξの一次式(1)で近似する。
η=aξ+b …(1)
【0014】
式(1)の係数a,bは、血管に対応する円管に加わる外圧、および血液粘度に対応する流体の粘度によって異なる。そこで上述したモデルで近似式(1)の係数a,bのシミュレーションを行ったところ、図2,3に示すような結果が得られた。図2は係数aに関するシミュレーション結果を示したものであり、図3は係数bに関するシミュレーション結果を示したものである。
【0015】
図2,3において、P0は外圧でP00は外圧の初期値であり、μは粘性でμ0は粘性の初期値である。例えば、被験者の最高血圧Pmaxおよび最低血圧Pminと、それらに対応する最高血流量Qmaxおよび最低血流量Qminが測定された場合、それらを近似式(1)に適用することにより、被験者のその測定時における係数a0,b0が式(2),(3)により得られる。これらの値を初期値とし、図2,3のシミュレーション結果から外圧および粘度が変化したときの係数a,bを求めることができる。
a0=(Qmax−Qmin)/(Pmax−Pmin) …(2)
b0=Qmin−a0・Pmin …(3)
【0016】
図2,3から分かるように、P0/P00とμ/μ0とはa,bと一定の関係を有している。すなわち、x=P0/P00、y=μ/μ0としたとき、式(4),(5)に示すような関数f(x、y)、g(x、y)が存在する。したがって、これらの内圧と粘性とに依存する関数f(x、y)、g(x、y)を用いることにより、外圧の変化量と粘性の変化量とが分かれば近似係数a,bが決定でき、式(1)より血流量から血圧(内圧)を算出することができる。
a/a0=f(x、y) …(4)
b/b0=g(x、y) …(5)
【0017】
ここで、関数f(x、y)、g(x、y)は最小二乗法を用いて式(6),(7)のように近似する。
f(x、y)=c1x+c2x+c3xy+c4y+c5y+c6 …(6)
g(x、y)=d1x+d2x+d3xy+d4y+d5y+d6 …(7)
【0018】
f(x、y)に関する式(6)の各係数c1〜c6を求めるために、x(外圧)、y(粘性)の条件を変化させてシミュレーションをn回行う。そして、それぞれについて次式(8)のような一次近似を行い、得られたa,bを初期値a0,b0で除してa/a0およびb/b0を求める。
(流量)=a×(内圧)+b …(8)
【0019】
ここでz=a/a0とおくと、シミュレーションをn回行っているので、n組のデータ(x1,y1,z1),(x2,y2,z2),………,(xn,yn,zn)が得られることになる。次式(9)のような行列を考えた場合、係数c1〜c6を最小二乗法により決定するには、式(10)に示すような方程式を解いてそれらを決定すればよい。式(10)を解くにはLU分解法を用いれば良く、その結果、係数c1〜c6が求まる。式(7)の関数g(x、y)についても、同様にして係数d1〜d6が求まる。
【数1】


【数2】


【0020】
《血液粘度の算出方法》
次に、血液粘度、すなわち粘性の算出方法について説明する。粘性は常に変動するので、血管に対応する配管に2段階の外圧P01,P02を加え、そのときの流量Q1,Q2との関係から求めることにする。ここでは、式(11)で算出される値Cと粘性との関係をシミュレーションする。なお、シミュレーションに用いたデータは下記の通りである。
C=(Q1−Q2)/(P01−P02) …(11)
外圧…30,40(mmHg)
内圧…200(mmHg)
密度…1200(kg/m
縦弾性係数…20(MPa)
粘性…20.0〜30.0(Pa・s)
心拍数…60(回/min)
【0021】
図4はシミュレーションの結果を表す図であり、縦軸はμ/μ0、横軸はCである。図4から粘性比μ/μ0とCとの間に一定の関係が有ることが分かり、シミュレーション結果から式(12)を決定することができる。よって、二段階外圧を負荷したときに測定される血流量から、式(11)を用いてCを算出し、算出されたCを式(12)に代入することにより粘性の相対値を求めることができる。
μ/μ0=h(C) …(12)
【0022】
なお、図4では関数hは式(11)で算出されるCを変数とする関数としたが、予め別の測定器具を用いて測定した被験者の特定血圧・血流量データから算出したCをC0、その後に本発明による装置を用いて測定した被験者の血圧・血流量データから算出されるCをC1とし、それらの比C1/C0を変数とする関数としても良い。以下では、関数h(C)は比C1/C0=Cを変数とする関数として扱う。
【0023】
《測定手順の説明》
次いで、図1の装置を用いた血圧および血液粘度の測定手順について、図5のフローチャートを参照しながら説明する。関数f、g、hは上述したシミュレーションにより予め算出され、図1の記憶部7bに格納されている。本実施の形態では、上述したように被験者の最高血圧値Pmax,最低血圧値Pminおよび血液粘度μ0を予め別の器具で測定し、それらの値を記憶部7bに記憶しておく。
【0024】
図5において、ステップS1〜ステップS3の処理は、血圧・血液粘度算出に必要な初期値を被験者自身の血圧・血流量データに基づいて算出するキャリブレーション処理に関するものである。そして、ステップS4〜ステップS10の処理により最高血圧値、最低血圧値および血液粘度が算出される。
【0025】
(ステップS1)
ステップS1では、図1のカフ1に空気を供給して被験者の指Fに異なるカフ圧P001およびP002を順に負荷し、心拍と同期して発生する最高血流量および最低血流量を血流量計6により計測する。カフ圧P001における最高血流量および最低血流量をQmax01,Qmin01とし、カフ圧P002における最高血流量および最低血流量をQmax02,Qmin02とする。血圧および血流量は心拍と同期して脈動しており、血流量が最高となったときに最高血圧が測定され、反対に血流量が最低となったときに最低血圧が測定される。なお、これらのデータP001,P002,Qmax01,Qmin01およびQmax02,Qmin02は記憶部7bに記憶される。
【0026】
(ステップS2)
ステップS2では、ステップS1で測定された最高血流量Qmax01および最低血流量Qmin01と、記憶部7bに予め記憶されている最高血圧値Pmaxおよび最低血圧値Pminとを用いて、上述した式(2)、(3)により近似係数a0,b0を算出する。なお、式(2),(3)のQmaxにはQmax01を用い、QminにはQmin01を用いる。
【0027】
(ステップS3)
ステップS3では、ステップS1で測定したカフ圧P001のときの最高血流量Qmax01とカフ圧P002のときの最高血流量Qmax02を式(11)に代入して、Cの初期値C0を算出する。上述したステップS1〜S3の処理によって、装置を装着している被験者に関する初期値a0,b0,C0が設定される。以下のステップS4〜S10の処理で算出される血圧・血液粘度は、被験者のデータから算出される初期値a0,b0,C0に基づいて演算されるので、被験者の血圧および血液粘度をより精度良く算出することができる。
【0028】
(ステップS4)
ステップS4では、カフ1によりカフ圧P01,P02を順に負荷して、カフ圧P01における最高および最低血流量Qmax1,Qmin1およびカフ圧P02における最高および最低血流量Qmax2,Qmin2を測定し、記憶部7bに記憶する。
【0029】
(ステップS5)
ステップS5では、ステップS4で測定されたデータに基づいて、上述した式(11)と同様の式(13)によりC1を算出する。
C1=(Qmax1−Qmax2)/(P01−P02) …(13)
【0030】
(ステップS6)
ステップS6では、ステップS5で算出されたC1とステップS3で算出されたCの初期値C0との比C=C1/C0を算出する。
【0031】
(ステップS7)
ステップS7では、上述した式(12)の関数h(C)にステップS6で算出したCを代入して、血液粘度の比μ/μ0を算出する。得られた比μ/μ0は初期値μ0に対する変化を表しており、この値に記憶部7bに予め記憶されている血液粘度の初期値μ0を乗算することにより、血流量測定時のリアルタイムな血液粘度μが算出される。
【0032】
(ステップS8)
ステップS8では、ステップS7で算出された値μ/μ0と、ステップS1およびステップS4で測定されたデータに基づく値P01/P001とをそれぞれ式(4),(5)のx、yに代入し、a/a0およびb/b0の値を算出する。
【0033】
(ステップS9)
ステップS9では、ステップS8で算出されたa/a0,b/b0に記憶部7bに記憶された初期値a0,b0をそれぞれ乗算してa1,b1を算出する。算出されたa1,b1は血流量測定時における近似式(1)の係数を表している。
【0034】
(ステップS10)
ステップS10では、ステップS9で算出されたa1,b1を近似式(1)の対応する係数a,bに代入し、ηにステップS4で測定された最高血流量Qmax1を代入することにより、最高血圧値が「(最高血圧)=(Qmax1−b1)/a1」のように算出される。同様に、a1,b1および最低血流量Qmin1を近似式(1)に代入することにより、最低血圧値が「(最高血圧)=(Qmin1−b1)/a1」のように算出される。
【0035】
ステップS10の処理が終了したならばステップS4に戻り、ステップS4からステップS10までの処理が繰り返し実行される。その結果、ステップS4からステップS10までの処理が実行される毎に新しい最高および最低血圧値と血液粘度とが得られ、それらの時間的変化を観察することができる。特に、血液粘度については採血を必要としないため、被験者に負担をかけることなく血液粘度の変化を時系列的に測定することが可能となる。また、前述したように、測定結果は記憶部7bに保存され、さらに、それらのデータを送信機8を介して送信することができる。
【0036】
上述した実施の形態では、カフ1を被験者の指Fに装着する構成としたが、腕に巻回する構成としても良い。上述した実施の形態の変形例であり、図1のカフ1をラバー等のリング状弾性体で形成し、指Fの曲げ伸ばしした際の指Fの膨らみを利用してカフ圧P001,P002を負荷するような構成とする。この場合、空気ポンプ2は不要となり、圧力センサ4には前述したような半導体センサが用いられる。圧力センサ4は図1の血流量センサ5のようにカフ1に組み込まれる。
【0037】
また、形状記憶合金をラバー等の弾性体でモールドしたものをカフ1として用いても良い。例えば、ヒータを内蔵して形状記憶合金の温度を変え、そのときの形状記憶合金の変形により指Fにカフ圧を負荷する。なお、図1では血流量センサ5はカフ1に組み込まれているが、カフ1と別個に装着するようにしても良い。
【0038】
上述したように、本実施の形態では被験者の指Fに外部静水圧を与えたときの血流量を測定することで、容易に血圧および血液粘度を測定することができる。さらに、従来のように採血することなく血液粘度を測定できるので、連続的に複数回の測定を行っても被験者に負担をかけることがなく、血液粘度の経時変化を容易に測定することができる。また、指Fに異なる2つの外部静水圧P001,P002を負荷するだけで良いので、僅かなカフ圧で血圧値と血液粘度が測定できる。そのため、上述したような形状記憶合の変形を利用することにより、カフ1を指輪等のように非常に小型化することができ、また、装着感に優れたカフ1を構成できる。
【0039】
以上説明した実施の形態と特許請求の範囲の要素との対応において、カフ1は外部静水圧負荷手段を、圧力センサ4は外部静水圧測定手段を、血流量センサ5は血流量測定手段を、演算部7aは演算手段を構成する。また、本発明の特徴を損なわない限り、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではない。
【0040】
さらに、第1の外部静水圧を負荷したときの第1の血流量と、第2の外部静水圧を負荷したとき第2の血流量とをそれぞれ測定し、さらに、予め定められた血圧と血流量との関係を表す関係式を、第1および第2の外部静水圧と第1および第2の血流量とにより算出される血液粘度変化および外部静水圧の変化に基づいて補正し、第1および第2の外部静水圧と第1および第2の血流量と第3の工程の補正された関係式とに基づいて血圧値および血液粘度情報を算出するものであるならば、シミュレーションに用いるモデルや、血圧−血流量に関する近似式は上述したものに限らず、本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明による血圧・血液粘度測定装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】係数aに関するシミュレーション結果を示した図である。
【図3】係数bに関するシミュレーション結果を示した図である。
【図4】シミュレーションの結果を表す図である。
【図5】血圧および血液粘度の算出方法を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0042】
1 カフ
2 空気ポンプ
4 圧力センサ
5 血流量センサ
6 血流量計
7 コントローラ
7a 演算部
7b 記憶部
8 送信機
【出願人】 【識別番号】304028346
【氏名又は名称】国立大学法人 香川大学
【識別番号】398036977
【氏名又は名称】葵機工株式会社
【識別番号】390022471
【氏名又は名称】アオイ電子株式会社
【識別番号】000002325
【氏名又は名称】セイコーインスツル株式会社
【出願日】 平成16年2月3日(2004.2.3)
【代理人】
【公開番号】 特開2005−218501(P2005−218501A)
【公開日】 平成17年8月18日(2005.8.18)
【出願番号】 特願2004−26858(P2004−26858)