トップ :: A 生活必需品 :: A61 医学または獣医学;衛生学

【発明の名称】 就寝中の身体反応情報検出システム
【発明者】 【氏名】時田 将義
【氏名】塩見 格一
【課題】被検者にストレスを与えない状態で、就寝中の被検者の呼吸音や鼾音などの呼吸器系の音から、身体反応情報を正確に収集することができるシステムを提供することである。

【解決手段】就寝中の呼吸器系の音を取り込む音の取り込み手段2と、この音の取り込み手段が取り込んだ音をデジタルデータに変換するデジタルデータ変換手段3と、上記デジタルデータを解析するデータ処理手段5とを備え、データ処理手段は、上記デジタルデータから経時的に揺らぎの安定度を算出する機能と、それを出力する機能とを備えた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
就寝中の呼吸器系の音を取り込む音の取り込み手段と、この音の取り込み手段が取り込んだ音をデジタルデータに変換するデジタルデータ変換手段と、上記デジタルデータを解析するデータ処理手段とを備え、データ処理手段は、上記デジタルデータから経時的に揺らぎの安定度を算出する機能と、それを出力する機能とを備えた就寝中の身体反応情報検出システム。
【請求項2】
データ解析手段は、デジタルデータに対して処理単位を設定して、その処理単位毎に第1リアプノフ指数を算出するアルゴリズムを適応して揺らぎの安定度を算出し、それを出力する機能を備えた請求項1に記載の就寝中の身体反応情報検出システム。
【請求項3】
データ処理手段は、デジタルデータを、就寝中の身体状態の変化に対応するように拡張した拡張カオス論的手法によって解析し、この拡張カオス論で定義した脳機能指数から揺らぎの安定度を算出し、それを出力する機能を備えた請求項1に記載の就寝中の身体反応情報検出システム。
【請求項4】
揺らぎの安定度の基準レベルや、揺らぎの安定度の経時変化の基準パターンなどを予め記憶させたデータ記憶手段を備え、データ処理手段は、音の取り込み手段から入力された音に基づいて算出した揺らぎの安定度と、上記データ記憶手段に記憶している基準レベルや基準パターンとを対比して、身体状態の変化を判定する請求項1〜3のいずれか1に記載の就寝中の身体反応情報検出システム。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、人が就寝中に発する呼吸器系の音から、生体情報を検出するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、就寝中の鼾や寝言などは、その人の身体のコンディションに関係すると考えられ、特に鼾についての研究が行われている。
例えば、鼾をかきやすい人は肥満気味の人が多いとか、同じ人でも、疲れているときや、寝苦しいときには鼾をかくといったことが言われている。それだけでなく、呼吸器や神経系の病気を持っている人が、ひどく大きな鼾をかくこともあり、鼾の測定から、隠された重大な病気や発作の予兆を発見しようとする試みもなされている。
【0003】
また、無意識な身体反応情報は、就寝時に表れやすい。なぜなら、覚醒時には、大脳機能による意識的な身体制御なされていたかめに、上記無意識な身体反応情報が隠されてしまうからである。上記意識的な身体制御は、無意識な身体反応に比べて、その動きの範囲やスピードなど、ダイナミックレンジがはるかに大きいため、覚醒時には、このような大きな変化によって、無意識の身体反応情報が隠されてしまう可能性がある。これに対して、就寝中は、大脳機能が休止あるいは低下しているため、無意識な身体反応が表れやすいはずである。そして、このような無意識な身体反応には、医学的に価値のある身体の本質的な情報が含まれていると考えられる。
【0004】
例えば、健康に係わる身体的な重要な問題に関連した身体反応情報も、覚醒時には、大脳機能による意識的な反応によって隠されてしまう可能性がある。このような、無意識下での身体反応情報を検出するために、鼾や寝息に関する研究が行われている。
そして、どのような鼾がどのような病気に関係するのかというようなことを研究するために、実際の鼾を収集し、それを解析して、被検者がどのような鼾をかいているのかを知る試みがなされている。具体的には、マイクロホンを用いて収録した鼾音を、人が聞いて判断したり、周波数分析したりして、鼾の種類を分類するというようなことを行っている。
このようなシステムについては、実際に行われているので、特に、先行技術文献調査は行っていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、鼾音を収集するために、被検者のベッドの近くにマイクロホンを設置しても、就寝中の被検者の顔が、マイクロホンとは反対方向に向いてしまった場合には、マイクロホンで取り込める鼾音が小さくなり、必要なデータを収集できないことがあった。
つまり、被検者の顔が、マイクロホンと反対側を向いたときには鼾の収録音が小さくなり、マイクロホン側に向いたときには鼾の収録音が大きくなるので、収録音の強弱からは、実際の鼾音の強弱を判断することはできない。また、就寝中には、寝返りの音や、寝具のすれる音などが発生し、それらが鼾の音と一緒に収録されることになるので、その中で、鼾音が、他の音にかき消されてしまうこともある。
【0006】
一方、鼾音の中には、通常の会話音声や、他の音にはほとんど含まれないような高周波数成分が含まれることがわかっている。そのため、収録した音声データの中から、鼾音以外の雑音を除去するために、高周波領域だけを残して、他の周波数量域の音声データを削除してしまうことも考えられる。しかし、高周波成分は、鼾音全体の中でも、わずかな割合であるうえ、上記したようにマイクロホンに対する被検者の顔の向きによって、収録できる音のレベルが低くなってしまうと、高周波成分を抽出し難くなる。特に、高周波音は、寝具などに吸収され易いので、顔の向きがマイクロホンから離れた場合には、ほとんど、マイクロホンによって高周波成分を収集することができないのが現実であった。
【0007】
また、寝返りを打つなどして、顔の向きを変える被検者を監視して、その動きに合わせてマイクロホンを移動させるようにしたり、顔の周りに、多数のマイクロホンを設置して、被検者がどちらを向いても鼾を収録できるようにした装置を用いることも考えられるが、そのためには、大がかりな装置が必要になってしまう。大がかりな装置を用いた場合、その装置コストが高くなるだけでなく、大げさな装置に取り囲まれた被検者は、緊張してしまって安眠できないこともある。また、被検者にマイクロホンを装着させた場合にも、被検者は安眠できない場合が多い。
【0008】
この発明の目的は、被検者にストレスを与えない状態で、就寝中の被検者の呼吸音や鼾音などの呼吸器系の音から、身体反応情報を正確に収集することができるシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明は、就寝中の呼吸器系の音を取り込む音の取り込み手段と、この音の取り込み手段が取り込んだ音をデジタルデータに変換するデジタルデータ変換手段と、上記デジタルデータを解析するデータ処理手段とを備え、データ処理手段は、上記デジタルデータから経時的に揺らぎの安定度を算出する機能と、それを出力する機能とを備えた点に特徴を有する。
上記呼吸器系の音は、鼻や口から肺までの気道から発する音で、被験者の寝息や鼾などである。
【0010】
第2の発明は、第1の発明を前提とし、データ解析手段は、デジタルデータに対して処理単位を設定して、その処理単位毎に第1リアプノフ指数を算出するアルゴリズムを適応して揺らぎの安定度を算出し、それを出力する機能を備えた点に特徴を有する。
【0011】
第3の発明は、第1の発明を前提とし、データ処理手段は、デジタルデータを、就寝中の身体状態の変化に対応するように拡張した拡張カオス論的手法によって解析し、この拡張カオス論で定義した脳機能指数から揺らぎの安定度を算出し、それを出力する機能を備えた点に特徴を有する。
【0012】
第4の発明は、上記1〜3の発明を前提とし、揺らぎの安定度の基準レベルや、揺らぎの安定度の経時変化の基準パターンなどを予め記憶させたデータ記憶手段を備え、データ処理手段は、音の取り込み手段から入力された音に基づいて算出した揺らぎの安定度と、上記データ記憶手段に記憶している基準レベルや基準パターンとを対比して、身体状態の変化を判定する点に特徴を有する。
【発明の効果】
【0013】
第1〜第4の発明によれば、被検者に、測定することによるストレスを与えないで、必要な身体反応情報を検出することができる。
【0014】
特に、第3の発明では、揺らぎの安定度の細かい変化を、リアルタイムに把握することができるようになる。従って、睡眠障害などを予測して、それを未然に防ぐこともできる。
第4の発明によれば、就寝中の身体反応情報を自動的に判定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1、図2を用いて、この発明の第1実施例を説明する。
このシステムは、コンピュータ1に、就寝中の生体音を取り込む音の取り込み手段であるマイクロホン2を接続している。このマイクロホン2は、被検者のベッドの枕元であって、被検者が寝返りを打つ際に、じゃまにならない位置に固定しておく。
【0016】
また、上記コンピュータ1には、マイクロホン2から入力された音をデジタル音データに変換するデジタルデータ変換手段3と、このデジタルデータ変換手段3で変換されたデジタル音データを記憶しておく音データ記憶手段4と、この音データを解析処理するデータ処理手段5とを備えている。データ処理手段5には、プログラム記憶手段6が接続されていて、このプログラム記憶手段6に記憶されている解析プログラムによって、上記音データを解析する。
【0017】
さらに、データ処理手段5には、データ出力手段としてディスプレイ7を接続している。
なお、上記音データを記憶する音データ記憶手段4を設けないで、デジタル変換前の収録音を記憶させておく生データ記憶手段をマイクロホン2とデジタルデータ変換手段3との間に設けるようにしても良い。また、音の取り込み手段とデジタルデータ変換手段とが一体になったものを用いてもよい。
【0018】
以下に、上記図1に示すシステムを用いて、被検者の就寝中の生体音を収集する手順を説明する。
まず、上記コンピュータ1およびマイクロホン2の電源をオンにすると、被検者の寝息や鼾音が、上記マイクロホン2によって、コンピュータ1へ入力される。
コンピュータ1ではデジタルデータ変換手段3によって、デジタルの音データを生成する。このデジタル音データを、音データ記憶手段4に記憶させ、さらにデータ処理手段5で解析処理する。
【0019】
データ処理手段5では、第1リアプノフ指数を算出するアルゴリズムを適用して、上記音データの揺らぎの安定度を算出する。第1リアプノフ指数とは、カオス性を有する時系列データから作成したアトラクタの広がりを表す指標である。そして、この第1リアプノフ指数を算出するカオス理論では、ダイナミクスが安定であると想定している。つまり、この第1実施例では、上記音データを発する身体の状態が安定であると想定しなければならない。
【0020】
しかし、この第1実施例におけるダイナミクス、すなわち、就寝中の被検者の身体状態は、カオス理論で想定するほど安定なものではなく、人が発する寝息などの音データは、もともと収束するデータではない。そのため、厳密には、上記音データから第1リアプノフ指数を算出することはできないことになる。そこで、この第1実施例では、上記経時的な音データを、予め設定した処理単位で区切って、その単位の範囲で、第1リアプノフ指数と全く同じ手法で算出した結果をこの発明の揺らぎの安定度としている。
【0021】
第1リアプノフ指数とは、カオス性を有する時系列データの揺らぎの程度を示すものである。ただし、就寝中に収集した音データは、完全にカオス性を有するものではなく、そのデータには、カオス的ではない様々なノイズが含まれる。本来、就寝中の呼吸は周期的なもので、その振る舞いをカオスと考える場合もあるが、詳細にみれば、騒音や気温などの外部環境や、被検者の体調などによって与えられる脳に対する刺激に基づいたノイズが付加されて、上記音データには、脳機能に基づく身体状況が反映すると考えられる。
【0022】
一方、ノイズが含まれたデータから、第1リアプノフ指数を算出すると、その値は、ノイズが無いときに比べて大きく算出されることが分かっている。従って、この第1実施例のシステムでは、第1リアプノフ指数の計算アルゴリズムを用いて算出した値を、カオスの指標としてではなく、揺らぎの安定度としている。この揺らぎの安定度の値が大きいほど、揺らぎは不安定で、ノイズが多いと見なす。
従って、この揺らぎの安定度を算出することによって、そのときの、被検者の身体反応情報として、脳にかかっている負荷を推測することができる。
安定度の値が大きな場合、カオス論的な揺らぎに多くのノイズが含まれていることになり、脳に負荷がかかっていると判断する。
【0023】
このことを検証する実験結果について、次に説明する。
上記のようにして、就寝中の被検者からマイクロホン2によって取り込んだ寝息や鼾音を解析処理して、揺らぎの安定度の値を算出した結果を図2のグラフAに示している。ただし、この実験においては、赤外線カメラとマイクロホンを用いて、被検者の動きや室内の音を、被検者が寝ている部屋とは別の監視室において、リアルタイムに監視している。そして、被検者の動きや、鼾の状態を記録し、その被検者の状態と揺らぎの安定度の値とを対応させることができるようにしている。
【0024】
なお、図2に示す実験結果は、サンプリング周波数44.1kHzの時の演算結果であり、この発明の処理単位を1秒間として、6分間の移動平均を算出したものである。つまり、上記揺らぎの安定度の値を算出することと、それを6分間の幅をもって平均処理することとを、1秒ずつずらして行っている。
このように、サンプリング周期よりもはるかに長い処理単位で処理する場合、その処理タイミングによって、算出された安定の値が変化してしまう恐れがある。そのため、6分間という長い幅で平均値を算出して、変化の傾向をみることにしている。
【0025】
図2のグラフAを、安定度の値が低い状態が続いている第1期(1)と、徐々に安定度の値が高くなっていく第2期(2)と、やや高い状態が安定している第3期(3)と、急激に上昇した第4期(4)とに区分している。
これらのグラフの変化に対応した被検者の状態は、第1期(1)と、第2期(2)のでは、特に変わった様子はなく、寝息も静かで、安眠しているように見えた。しかし、第3期(3)に入ったとたんに、鼾と無呼吸とが繰り返され、第4期(4)では、激しい鼾が続いた。つまり、第2期(2)と第3期(3)とは、算出した安定度の値ではなく、被検者の様子で区分している。
【0026】
上記のことから、揺らぎの安定度の値と、就寝中の被検者の様子には関連がありそうなことがわかる。
実際に、第4期(4)のように、安定度の値が、非常に高くなったときには、激しい鼾をかいている。ここでいう、激しい鼾とは、激しい呼吸のもとで発生した鼾のことで、録音レベルでの音の大小とは関係がない。つまり、揺らぎの値を算出することによって、就寝中の状態を、目視で観察していなくても、ある程度推測することができる。しかも、従来の、鼾音収集のように、音データの収録レベル、つまり録音の大小に関わりなく、身体状況を検出することができる。
【0027】
一方、第3期(3)では、実際には無呼吸と鼾とが交互に発生していて、第2期(2)とは、明らかに異なる状態である。しかし、第2期(2)の後半と、第3期(3)の安定度の値とでは、安定度の値はほとんど同じなので、第3期(3)での変化は、安定度のデータだけからは分かりにくい。
このように、第3期(3)の状態が、図2のグラフから読みとれないのは、以下の理由による。この第1実施例における揺らぎの安定度が、処理単位を決めて算出され、6分間という長い幅での平均値であるため、図2のグラフには、値の変化の傾向は表れても細かな変動が表れないためと考えられる。
【0028】
しかし、同様の実験を繰り返し、安定度の変化と被検者を観察した様子とを対応付けておけば、グラフAの第1期(1)のように、安定度の値が低く安定している時と比べて、値が上昇した時に、呼吸状態が変化していることを予測することもできるようになる。
呼吸音の収録レベルに係わらず、激しい鼾をかいた場合には、安定度の値が高くなり、脳の負荷が大きいといえる。このような状態が続けば、就寝時間が長くても、体が休まっていないことが想定できる。
【0029】
図3は、第2実施例のシステムによって、就寝中の呼吸音から揺らぎの安定度を算出した結果である。
第2実施例のシステムは、図1に示す第1実施例のシステムと全体構成は同じである。従って、この第2実施例の説明にも図1を用いる。
ただし、プログラム記憶手段6に記憶している解析プログラムが、第1実施例とは異なる。
この第2実施例でも、マイクロホン2から、寝息や鼾などの呼吸音を取り込んで、デジタル化したデータを音データ記憶手段4に取り込む方法は、上記第1実施例と同じである。
【0030】
この第2実施例の解析プログラムは、音データ記憶手段4に記憶している音データから、後で説明する脳機能指数を算出して、これを揺らぎの安定度の値として出力するプログラムである。
脳機能指数とは、本来、ダイナミクスが変化する現象を想定してないカオス理論を、ダイナミクスが変化する現象にも対応するように拡張した拡張カオス理論で定義した指数である。
なお、拡張カオス論は、この発明の発明者らが出願した特願2003−045386において定義されている。
【0031】
そして、上記脳機能指数をSiCECA(s(t))、音データをs(t)とすると、この脳機能指数は、数1で与えられる。
【数1】


【0032】
上記数1中のT(t)は、発話のダイナミクスと対応する値であるが、就寝中に関しては、一定と考えてもかまわない。ただし、被検者の就寝中の姿勢などによって、分類することも考えられる。
また、上記数1におけるεは、数2によって与えられるシセカ近傍距離である。
【数2】


【0033】
なお、脳機能指数、シセカ近傍距離についても、上記特願2003−045386内で詳細に説明している。
そして、第2実施例のシステムでは、データ処理手段5が、収集した音データに基づいて、上記脳機能指数を算出して出力する。その際、サンプリング周波数44.1kHzでサンプリングした全てのデータについて、上記シセカ近傍距離を演算し、脳機能指数を算出している。図3のグラフBは、算出した脳機能指数を移動平均幅30秒、移動間隔1秒として、平均処理した結果である。
【0034】
図3の実験結果は、上記第1実施例と同じ被検者から収集した音データを解析したものである。
図3のグラフBも、図2示す第1実施例の実験結果のグラフAと同様に、音データを基にして算出した揺らぎの安定度を示したグラフであり、4つの期に区分している。各期における被検者の外面的な様子は、第1実施例と同じである。
ただし、この第2実施例のグラフBでは、第1実施例のグラフAに比べて、揺らぎの安定度の細かい変化が表れている。このグラフBによれば、第1期(1)に比べて、高めに推移している第2期(2)と、全体のレベルは第2期(2)とそれほど代わらないが、変動が激しい第3期(3)と、非常に高いレベルで変化も激しい第4期(4)とが、明確に区別できる。
【0035】
特に、図2のグラフAでは、区別し難かった第2期(2)と第3期(3)とがはっきりと区別でき、第3期(3)と無呼吸が発生している状態とを対応付けることができる。
このように、グラフBには、グラフAに比べて細かい変化が表れている。このような結果になったのは、第2実施例でのデータ処理手段5の演算で、サンプリングした全てのデータについて解析を行い、小さな幅での平均処理をしているためである。
ここでは、実験なので、音データ記憶手段4に記憶させた音データを解析処理しているが、実際には、呼吸音を収集しながら、データ処理を行うようにしてもよい。呼吸音を収集しながらデータ処理を行うようにすれば、意味のあるデータをリアルタイムに得ることができるので、上記揺らぎの安定度の変化から、身体反応情報を検出して、先の状態を予測することもできる。
【0036】
例えば、第2期(2)は、被検者に対する目視観察では、寝息が静かで第1期(1)と変わっていない。しかし、図3に示すように、第2期(2)では、脳機能指数を基にした揺らぎの安定度が、そのレベルも変動幅も、第1期(1)とは異なる。
そして、上記脳機能指数は、音データの揺らぎに含まれるノイズであると考えている。このようなノイズが含まれるのは、被検者の脳に刺激が与えられて、安眠時の呼吸を制御する以外の信号が出ているためと考えられる。つまり、外見上は、安眠中のように見えても、第1期(1)と比べて、第2期(2)では、脳に負荷がかかっていると考えられる。
このような負荷が作用した状態が一定時間続くと、次に、無呼吸が起こる可能性が高いことがわかっていれば、鼾と無呼吸とを繰り返す第3期(3)の状態を、第2期(2)の段階で予測することもできる。
【0037】
上記第1、第2実施例のように、揺らぎの安定度を算出すれば、録音データの音量レベルに係わらずに、生体のカオス的な定性を乱すノイズを検出することができる。これによって、安眠時の寝息と、異常な鼾とを区別するとともに、身体反応情報を検出することができる。
従来のように、取り込んだ音データを周波数解析する場合には、音の大小が解析結果に影響してしまうので、就寝中の呼吸音から身体反応情報を収集することが困難であったが、この発明のシステムによれば、被検者にストレスを与えないで、身体反応情報を検出することができる。
【0038】
また、揺らぎの安定度を算出して、そのレベルから、寝息と鼾とを区別するだけでなく、各被検者の、安静時の寝息の揺らぎの安定度を予め算出しておいて、それと対比するようにすれば、特定個人の、就寝中の異常の発生を、より的確に予測することができる。従って、異常に対して予防策をとることもできるようになる。例えば、無呼吸状態に入る直前に、起こしてしまったり、ベッドを揺らして刺激を与えたりすれば、無呼吸状態に入るのを止めることができる。
【0039】
さらに、揺らぎの安定度の絶対値そのものだけでなく、揺らぎの安定度の変化パターンなどに応じて、就寝中の異常を判定することも考えられる。
従って、予め、病気などの異常に対応した揺らぎの安定度の基準レベルや、基準変化パターンなどを、データ処理手段5に連係して設けたデータ記憶手段に記憶させておけば、データ処理部5が、就寝中の被検者のデータと上記基準とを対比して異常をいち早く発見できるようになる。
【0040】
また、無呼吸や、激しい鼾などの睡眠障害は、本人も気が付かないことが多く、睡眠障害があった場合には、長時間睡眠をとっているのにもかかわらず、身体的な疲れがとれなかったっり、仕事中に、激しい眠気におそわれたりすることがある。しかし、この発明のシステムでは、被検者にストレスを与えないで、上記のような睡眠障害を、診断することができる。従って、特に、パイロットや列車の運転士など人命を預かる職業の人たちの適性判断やや健康管理に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】この発明の実施例のシステム構成図である。
【図2】第1実施例の音データの揺らぎの安定度を示したグラフである。
【図3】第2実施例の音データの揺らぎの安定度を示したグラフである。
【符号の説明】
【0042】
1 コンピュータ
2 マイクロホン
3 デジタルデータ変換手段
4 音データ記憶手段
5 データ処理手段
7 ディスプレイ
【出願人】 【識別番号】301076094
【氏名又は名称】テクサス株式会社
【識別番号】501152352
【氏名又は名称】独立行政法人電子航法研究所
【出願日】 平成15年8月25日(2003.8.25)
【代理人】 【識別番号】100076163
【弁理士】
【氏名又は名称】嶋 宣之

【公開番号】 特開2005−66027(P2005−66027A)
【公開日】 平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願番号】 特願2003−300090(P2003−300090)