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【発明の名称】 断層画像撮影方法および装置
【発明者】 【氏名】千代 知成
【住所又は居所】神奈川県足柄上郡開成町宮台798番地 富士写真フイルム株式会社内

【要約】 【課題】断層画像の撮影において、被写体に照射するX線、磁場、超音波及び光等の照射量を少なくし、撮影時間を短縮して被写体の被曝量を抑制する。

【解決手段】被写体を撮影して得られた画像から注目領域Rを抽出し、画像中に基準点P1を設定して、注目領域Rの位置を基準点P1からの相対位置情報として記憶する。被写体の断層画像を撮影する前に、前記被写体における、基準点P1に対応する参照点P2を認識させ、被写体の参照点P2を基準として、前記相対位置情報により求められる医用画像中の注目領域Rに対応する被写体の断層画像を詳細に撮影する詳細撮影領域Rdを求め、詳細撮影領域Rdを詳細撮影する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮影して得られた医用画像から注目領域を抽出する第1のステップと、
前記被写体の断層画像を撮影する前に、前記注目領域に対応する前記被写体の断層画像を詳細撮影する詳細撮影領域を求める第2のステップと、
前記被写体を撮影する断層画像撮影手段を、前記詳細撮影領域を詳細撮影するように制御する第3のステップとを有することを特徴とする断層画像撮影方法。
【請求項2】
前記第2のステップが、
前記医用画像中に基準点を設定する基準点設定ステップと、
前記注目領域の位置を前記基準点からの相対位置情報として記憶する相対位置情報記憶ステップと、
前記被写体の断層画像を撮影する前に、前記被写体における、前記基準点に対応する参照点を認識する参照点認識ステップと、
前記被写体の前記参照点を基準として、前記相対位置情報に基づき前記詳細撮影領域を求めるものであることを特徴とする請求項1記載の断層画像撮影方法。
【請求項3】
前記基準点設定ステップが、前記被写体の基準点とする位置にマーカを付して前記医用画像中に撮影された該マーカを検出して基準点を設定するものであり、
前記参照点認識ステップが、前記断層画像を撮影する前に、前記被写体に付した前記マーカを認識して前記参照点とするものであることを特徴とする請求項2記載の断層画像撮影方法。
【請求項4】
前記第3のステップが、前記詳細撮影領域のスキャンピッチを小さくするように制御して詳細撮影をするものであることを特徴とする請求項1から3いずれか記載の断層画像撮影方法。
【請求項5】
前記第3のステップが、前記詳細撮影領域の照射量を多くするように制御して詳細撮影をするものであることを特徴とする請求項1から3いずれか記載の断層画像撮影方法。
【請求項6】
被写体を撮影して得られた医用画像から注目領域を抽出する抽出手段と、
前記注目領域に対応する前記被写体の断層画像を詳細撮影する詳細撮影領域を求める詳細撮影領域取得手段と、
前記被写体を撮影する断層画像撮影手段に対し、前記詳細撮影領域取得手段により求めた前記詳細撮影領域を詳細撮影するように撮影指示する撮影指示手段とを有することを特徴とする断層画像撮影装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体に対する負担が少なくなるように断層画像を撮影する断層画像撮影方法および装置並びにそのためのプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
CT(Computerized Tomography;コンピュータ断層撮影)やMRI(Magnetic Resonance Imaging;磁気共鳴映像法)では、所定のスキャンピッチ(スライス厚)で患者(被写体)をスキャンして複数の断層画像を得て病変部を発見し、また、その病変部の状態を観察して、疾病の有無や進行状況の診断を行うことが行われている。このような複数の断層画像は、従来の2次元の放射線画像に比べて、被写体についてより多くの情報を有しているため、精度の高い診断が可能である。そのため、一旦2次元の放射線画像を撮影した後に、2次元の放射線画像で発見された病変部と思われる部分は、さらにCTやMRIを用いて断層画像を撮影し、組織の状態や内部構造を詳しく観察して診断が行われている。
【0003】
しかし、CTやMRIでは多くの断層画像を撮影するため、X線や磁場を被写体に照射する量は多くなり、被写体はかなり被曝することになる。また、多くの断層画像を撮影するために撮影時間もかかり被写体にとって非常に負担である。
【0004】
そこで、被曝量をなるべく少なくして撮影を行うことができるように、X線量を決定するX線管に与える管電流値を被写体のスキャン位置に応じて自動的に算定するAuto mAという技術が知られている。X線の減衰量は被写体の体型や部位によって異なり、例えば、胸部においては肺が大部分を占めるためX線の減衰量が小さいのに対して、腹部は臓器が多く存在するのでX線の減衰量は大きくなる。そのため、同じX線量で撮影を行っても撮影を行う部位や被写体の体型により常に良好な断層画像が得られるとは限らない。また、被写体の被曝量を抑えるためには、X線量をなるべく少なくした方がよいが、X線の減衰量が小さい部位に与えるX線量と同じX線量を、X線の減衰量が大きい部位に与えたのでは良好な断層画像が得られないが、X線の減衰量が大きい部位に与えるX線量と同じX線量を、X線の減衰量が小さい部位に与えると、必要以上の被曝がなされる。Auto mAでは、このようなX線の減衰量が異なる被写体の部位に応じた適切なX線量の算定を行うので、Auto mAの算定結果を用いればX線減衰量が異なる被写体の部位に応じて適切なX線量を設定することが可能になる。
【0005】
しかしながら、Auto mAによって算定された管電流値を個々の部位についてみると、必ずしも適当でない値を含んでいる場合がある。また、CTやMRI等で断層画像の撮影を行う場合には、診断部位や診断目的に合わせてスキャン条件や画像再構成処理の条件について計画(スキャン計画)が立てられ、そのシステムを操作するオペレータが操作コンソールから、その計画に沿った撮影条件を入力して撮影が行われる。そこで、Auto mA機能により算定されたX線管のX線量を制御する管電流値と各スキャン位置との関係を表すグラフを、被検体透視像(スカウト画像)に重畳表示し、表示されたグラフをマウス等を用いてドラッグして管電流値を調整することができるようにして、各部位を適切なX線量で撮影しつつ、被曝量をできるだけ少なくするものがある(例えば、特許文献1)。
【0006】
また、注目部位を所定のスキャンピッチでスキャンして断層画像を撮影する前に、アキシャル像とサジタル像の2枚の画像を撮影し、まず、アキシャル像を表示装置に表示して、オペレータにエンコード方向とリード方向の撮影領域を指定させ、さらに、サジタル像を表示してスライス方向の撮影領域(スライス枚数など)を指定させて、指定された枚数分アキシャル像の撮影を行うようにすることにより、撮影したい範囲を確実に撮影しながらも余分な部位の撮影を行わないようにして被曝量を少なくし、さらに撮影時間も短縮することを可能にしたものもある(例えば、特許文献2)。
【特許文献1】特開2002−177261号公報
【特許文献2】特開平5−269113号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
2次元の放射線画像で病変らしい陰影が発見された場合には、その陰影部分を詳しく観察するために、その陰影部分の断層画像の撮影を行うが、X線や磁場の照射量をなるべく少なくし、撮影時間を短縮して撮影することが望まれる。
【0008】
しかしながら、特許文献1の方法では、良好な断層画像を得ることが可能なX線量のうち最も少ないX線量で撮影を行うことができるが、陰影部分など詳しく観察する必要のある部位についてのみ詳細な情報が得られるような撮影をすることはできない。
【0009】
一方、特許文献2の方法では、表示画面に表示されたアキシャル像とサジタル像から、断層画像を撮影する領域を指定することが可能であるが、オペレータがマウス等で指示しなければならず自動的に断層画像の撮影領域が決められるものではない。また、断層画像を撮影する範囲や撮影条件は、観察者の経験や画像読影能力の高低によって左右され、撮影に必要な領域が的確に指示されるとは限らない。
【0010】
そこで、本発明は上記事情に鑑み、詳しく観察する必要がある部位の断層画像を詳細な情報が得られるように撮影を行う際に、被写体の被曝量を抑制し、あるいは、撮影時間を短縮することが可能な断層画像撮影方法および装置並びにそのためのプログラムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の断層画像撮影方法は、被写体を撮影して得られた医用画像から注目領域を抽出する第1のステップと、
前記被写体の断層画像を撮影する前に、前記注目領域に対応する前記被写体の断層画像を詳細撮影する詳細撮影領域を求める第2のステップと、
前記被写体を撮影する断層画像撮影手段を、前記詳細撮影領域を詳細撮影するように制御する第3のステップとを有することを特徴とするものである。
【0012】
「医用画像」には、CR(Computed Radiography)等で撮影された2次元の画像や、CT、MRI、US(ultrasonography:超音波撮影)、光CT等で撮影した断層画像が含まれる。
【0013】
「注目領域」は、医用画像上に現れる陰影等、断層画像を撮影する必要があると判断される領域であり、陰影には、頭部や胸部等の様々な部位で観察される腫瘍、腫瘤、癌等種々の症状を示す陰影や、腫瘍、腫瘤、癌等種々の症状を示す陰影であるか否かが明確でない陰影を含む。また、「注目領域の抽出」は、例えば、コンピュータ診断支援(CAD:Computer aided diagnosis)で、医用画像から腫瘍、腫瘤、癌等の通常のでは観察されない異常陰影の候補領域を注目領域として抽出する。
【0014】
また、「断層画像」には、CT、MRI、US、光CT等で撮影されたものを含む。
【0015】
「詳細撮影」とは、他の撮影領域より詳細な情報が得られるように断層画像の撮影を行うことであり、例えば、スキャンピッチを小さくして断層画像を撮影したり、X線等の照射量を多くして明瞭な断層画像が得られるように撮影することである。
【0016】
また、第2のステップは、
前記医用画像中に基準点を設定する基準点設定ステップと、
前記注目領域の位置を前記基準点からの相対位置情報として記憶する相対位置情報記憶ステップと、
前記被写体の断層画像を撮影する前に、前記被写体における、前記基準点に対応する参照点を認識する参照点認識ステップと、
前記被写体の前記参照点を基準として、前記相対位置情報に基づき前記詳細撮影領域を求めるものであってもよい。
【0017】
「基準点」とは、注目領域の位置を計測する基準となる医用画像上の点であり、例えば、被写体の特徴的な場所である鎖骨、肋骨間、脇、鳩尾等に設定する。
【0018】
「参照点」とは、医用画像の基準点に対応する点であり、断層画像を撮影する被写体上における注目領域を算出する基準となる点である。例えば、医用画像で鎖骨の位置に基準点を設定した場合には、断層画像を撮影するために撮影台に横たわった被写体の鎖骨の位置を参照点として認識する。具体的に、参照点の位置は、撮影台に横たわった被写体の頭部からの距離や、被写体に付着させた金属片等の患部計測用マーカを検出して認識する。
【0019】
さらに、基準点設定ステップは、前記被写体の基準点とする位置にマーカを付して前記医用画像中に撮影された該マーカを検出して基準点を設定するものであり、
参照点認識ステップでは、前記断層画像を撮影する前に、前記被写体に付した前記マーカを認識して前記参照点とするものであってもよい。
【0020】
「マーカ」は、CRやCTやMRI等で撮影を行うと人の組織と異なるコントラストで撮影されるものを用いることができる。例えば、鉛等の金属片や微小な容器中にマーカ材を入れたもの等が上げられる。
【0021】
また、第6のステップは、詳細撮影領域のスキャンピッチを小さくするように制御して詳細撮影をするものであってもよい。
【0022】
また、第6のステップは、詳細撮影領域の照射量を多くするように制御して詳細撮影をするものであってもよい。
【0023】
また、本願発明の断層画像撮影装置は、被写体を撮影して得られた医用画像から注目領域を抽出する抽出手段と、
前記注目領域に対応する前記被写体の断層画像を詳細撮影する詳細撮影領域を求める詳細撮影領域取得手段と、
前記被写体を撮影する断層画像撮影手段に対し、前記詳細撮影領域取得手段により求めた前記詳細撮影領域を詳細撮影するように撮影指示する撮影指示手段とを有することを特徴とするものである。
【0024】
「撮影指示する」とは、CT、MRI、US、光CT等の断層画像撮影装置に、撮影範囲や、スキャンピッチやX線量等の撮影条件の指示を与えることで、例えば、断層画像撮影装置で撮影範囲や撮影条件等を指示して撮影部を制御することや、CAD装置等のコンピュータから撮影範囲や撮影条件等の情報を断層画像撮影装置に送信して指示することを含むものである。
【発明の効果】
【0025】
本発明の断層画像撮影方法および装置によれば、被写体をCRで撮影して得られた2次元の放射線画像に現れた陰影などをCAD等で注目領域として抽出して、CTやMRI等の断層画像撮影装置で断層画像を撮影する際、注目領域に対応する領域のみ詳しい情報が得られるようにスキャンピッチを小さくしたり、X線や磁場の照射量を大きくしたりして撮影を行うものであるから、被写体のトータルの被爆量を抑制することが出来る。また、注目領域に対応する領域のみ詳しい情報が得られるようにスキャンピッチを小さくした場合には、撮影時間の短縮を図ることができる。
【0026】
また、医用画像中に被写体の特徴的な場所である鎖骨、肋骨間、脇、鳩尾等に基準点を設定し、被写体の断層画像を撮影する前に、被写体上に基準点に対応する参照点を認識して詳細撮影領域を求めるようにすれば、医用画像(例えば、CR等で撮影して得られた2次元の放射線画像)と断層画像の撮影を行う被写体の位置と医用画像上の位置とを正確に位置合わせすることができる。
【0027】
また、被写体にマーカを付して撮影を行うようにしたときには、医用画像上のマーカの位置と断層画像の撮影を行う被写体のマーカの位置の位置合わせを行うことでより正確な位置合わせが可能になる。
【0028】
また、詳細撮影領域のスキャンピッチを小さくして断層画像を撮影するようにすれば、陰影部分等の内部の組織の状態を詳細に観察することが可能になる。
【0029】
あるいは、詳細撮影領域の照射量を多くして断層画像を撮影するようにすれば、陰影部分の内部を明瞭に撮影することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態について説明する。まず、断層画像撮影システムについて説明する。
【0031】
断層画像撮影システム1は、図1に示すように、コンピュータ診断支援(CAD:Computer aided diagnosis)装置2とMRI装置等の撮影装置(断層画像撮影手段)3と医用画像を保管する画像保管サーバ4とがネットワーク5で接続されている。
【0032】
画像保管サーバ4は、CR装置等で患者(被写体)を撮影して得られた2次元の医用画像に患者ID、氏名、性別、生年月日等の被写体情報が付帯されて保管される。
【0033】
CAD装置2は、画像保管サーバ4に保管されている医用画像から、例えば、腫瘍、腫瘤、癌等の通常では観察されない異常陰影の候補領域を注目領域として抽出する抽出手段21を備える。また、医用画像中から人体の特徴のある部位(例えば、胸部画像では鎖骨、肋骨間、脇、鳩尾等)を検出して基準点を設定する基準点設定手段22と、抽出した注目領域の位置を基準点からの相対位置として求め、相対位置と医用画像とを関連付けて画像保管サーバ4(記憶手段)に記憶する相対位置情報記憶手段23とを備える。
【0034】
撮影装置3は、被写体情報に基づいて、撮影する被写体の医用画像とその医用画像中の注目領域とその領域の基準点から相対位置を画像保管サーバ4から読み取る読取手段31と、断層画像を撮影する前に被写体における基準点に対応する参照点を認識する参照点認識手段32と、参照点を基準とし、相対位置情報より医用画像中の注目領域に対応する被写体の撮影領域を詳細撮影領域として求める詳細撮影領域取得手段33と、被写体の注目領域に対応する領域を詳細撮影領域とし、例えば、スキャンピッチを小さくしたり、照射するX線量や磁場を多くして詳細な情報が得られるように詳細撮影を行うように撮影部35に指示する撮影指示手段34とを備えている。
【0035】
ここで、本実施の形態の断層画像撮影システム1で患者の断層画像を撮影する場合の手順について、図2のフローチャートに基づいて説明する。本実施の形態では胸部を撮影する場合について説明する。
【0036】
まず、CR装置等で被写体の医用画像の撮影を行う(S100)。撮影された医用画像は、患者ID、氏名、性別、生年月日等の被写体情報を付帯して画像保管サーバ4に保管される(S101)。
【0037】
CAD装置2は、医用画像を画像保管サーバ4から読み出して、抽出手段21で癌化した部分等の通常では観察されない異常陰影の候補領域を注目領域として抽出する(S102)。このような候補領域を抽出することができる手法は種々あり、具体的な手法として次のようなものが上げられる。
【0038】
例えば、CR装置等で撮影された医用画像に撮影された腫瘤等の異常陰影は、おおむね丸味をおびた輪郭を持ち、かつ、画像上では周囲に比べて画素値が大きな領域として観測される。このような異常陰影は、同じ濃度が同心円状に広がる形状の領域で、濃度値の分布が周縁部から中心部に向かうにしたがって濃度値が低くなるという濃度値の勾配が認められる。その勾配線はその異常陰影の領域の中心方向に向かって集中するもので、濃度値の勾配を勾配ベクトルとして算出し、その勾配ベクトルの集中度から異常陰影の候補領域を検出するものがある。このような集中度を評価して抽出した異常陰影の候補領域を注目領域とする。勾配ベクトルの集中度を評価する代表的なものとして、アイリスフィルタや適応リングフィルタが挙げられる(詳細は、例えば、特開平8−294479号公報を参照)。
【0039】
さらに、アイリスフィルタ等のフィルタを用いて異常陰影の候補領域を抽出し、抽出された異常陰影の候補領域の内部に現れる画素値の濃度のヒストグラムを求め、このヒストグラムに基づいて複数の特徴量、例えば分散値、コントラスト、角モーメント等を算出し、さらに各特徴量を所定の重み付け関数で定義した評価関数値に基づいて候補領域が腫瘤陰影であるか否かを判定するものもある(詳細は、例えば、特開平9−167238号公報を参照)。この場合、抽出された領域が腫瘤陰影である可能性が高い場合のみ、抽出された領域を注目領域としてもよい。あるいは、抽出された陰影の形状扁平度、領域周囲の不明瞭度、領域周囲の崩れ方等から悪性腫瘤陰影であるか否かを判定することも可能で、悪性の場合には特に詳細な観察をする注目領域として撮影条件を決めてもよい。
【0040】
さらに、CAD装置2は、基準点設定手段22で医用画像に撮影された被写体の特徴のある位置を基準点として設定する(S103)。例えば、胸部を撮影した医用画像の場合には、鎖骨の位置を検出し、この位置に基準点を設定する。基準点を設定する手法の具体例として、基準となる平均的な心胸郭(胸郭と心臓を合わせた領域)の輪郭と略相似形のテンプレートを用意して、医用画像に撮影されている心胸郭の輪郭とテンプレートマッチング処理を行うことにより心胸郭の輪郭を検出し(詳細は、本出願人出願の特開2002−109550を参照)、検出した心胸郭の輪郭から鎖骨のおおよその位置を求め、この点に基準点P1を設定することができる(図3参照)。あるいは、医用画像を表示装置に表示し、表示された胸部画像をオペレータが視認して基準点P1をマウス等のポインティングデバイスなどで指定してもよい。
【0041】
そこで、相対位置情報記憶手段23で注目領域Rの位置を基準点からの相対位置として求め、その相対位置情報を医用画像と関連付けて画像保管サーバ4に記憶する。例えば、図3では、注目領域Rの範囲を基準点から体軸方向Aの相対位置(d1、d2)を求め、これを相対位置情報として記憶する(S104)。
【0042】
CR装置等で患者(被写体)を撮影して得られた医用画像に病変と疑われるような陰影(注目領域)が撮影されている場合には、CT等の断層画像撮影手段3を用いて被写体の注目領域に対応する部位を撮影する。以下、断層画像撮影手段3をCT装置として、注目領域に対応する部位の断層画像を撮影する場合について説明する。
【0043】
まず、図4に示すように、参照点認識手段32でCT装置の撮影台Sに横たわった被写体の頭頂から鎖骨までの距離D(例えば、体軸方向Aに沿った距離)を計測し、その位置を記憶して参照点P2として認識する(S105)。例えば、被写体の頭頂からの距離を計測する計測装置をCT装置に設けて頭頂の位置から鎖骨の位置までの距離を自動計測する。あるいは、CT装置を操作するオペレータが頭頂の位置から鎖骨の位置までの距離Dを計測して操作コンソールから入力することも可能である。
【0044】
そこで、読取手段31では断層画像の撮影を行う被写体の患者IDに基づいて画像保管サーバ4からその被写体の医用画像と注目領域の相対位置情報を読み取り、詳細撮影領域取得手段33で参照点と相対位置情報からCT装置で撮影する被写体上の注目領域Rを詳細撮影領域Rdとして求める(S106)。具体的には、参照点P2に相対位置(d1、d2)を加えて、詳細撮影領域Rdを算出する。また、癌などの病変部は医用画像に撮影された注目領域Rよりも拡がっている場合があるため、図4に示すように、撮影台Sに横たわった被写体上の注目領域Rに対応する領域の前後にαほど加算した領域を詳細撮影領域Rdとして求めてもよい。
【0045】
ここで、オペレータは、詳細撮影領域RdのスキャンピッチやX線量等の撮影条件(スキャン条件)を、撮影する部位や病状等に応じて操作コンソールからを入力する(S107)。詳細撮影領域Rdの撮影条件を被写体の他の撮影領域とは撮影条件を変えて撮影し、例えば、詳細撮影領域Rdのみスキャンピッチを小さく設定したり、X線量の照射量を多くして明瞭な像が撮影できるように設定する。撮影指示手段34は、設定された撮影条件で撮影するように撮影部35を指示して制御し、詳細撮影領域Rdのみスキャンピッチを小さくして撮影したり、X線量の照射量を多くして撮影する。あるいは、詳細撮影領域Rdのみの撮影を行うようにして、他の部位は撮影しないようにしてもよい(S108)。
【0046】
また、断層画像を撮影した後、CAD装置2で医用画像を解析した結果と、断層画像を撮影した詳細撮影領域Rdとの対応がわかるように表示を行う。
【0047】
例えば、図5に示すように、被検体透視像(スカウト画像)を表示したものと、医用画像を表示しその医用画像上にCAD装置2で抽出した注目領域Rを表示したものを並べて表示をする。このとき、断層画像を撮影したときの参照点P2と、医用画像を撮影したときの基準点P1とが対応するように表示し、詳細撮影領域Rdも合わせて表示する。図5は、詳細撮影領域Rdを黒矢印でポインティングした例であるが、この詳細撮影領域Rdの色を変えて表示してもよい。さらに、断層画像をスタック表示し、表示されている断層画像とスカウト画像上の位置(図5の例では白矢印)が対応付くように表示する。このように表示することで、医用画像で抽出された注目領域Rの位置と断層画像の位置との対応が付くため、注目領域Rとして抽出された陰影が異常陰影であるか否かの判定や、異常陰影である場合には病状の判定等が行い易くなる。
【0048】
以上、基準点P1をCAD装置4で被写体の鎖骨等の特徴的な場所に設定し、対応する参照点P2をCT装置等で計測して対応させる場合について説明したが、被写体の特徴的な場所、例えば、鎖骨、肋骨間、脇、鳩尾等に人の組織と異なるコントラストで撮影されるマーカを付して撮影を行ってもよい。例えば、マーカは、鉛等の金属片や、微小な容器中にマーカ材(例えば、水や油等の液体)を入れ、その容器を被写体の特徴的な場所に付着させて(具体的なマーカ材料については、例えば、特表平8−5056744を参照)、X線撮影とCT撮影とで被写体を撮影する。マーカは人体の組織の異なるコントラストで撮影されるため、撮影した画像からその位置を基準点として抽出することできる。
【0049】
そこで、基準点設定手段22でマーカを付着させた被写体を医用画像からマーカの位置をCAD装置4で検出して基準点P1を設定する。また、被写体に医用画像を撮影した時と同じ位置にマーカを付してCT装置で断層画像を撮影し、CT装置では、例えば、プレスキャンしてマーカの位置を検出して、その点を参照点認識手段32で参照点P2として認識するようにしてもよい。
【0050】
あるいは、詳細撮影領域Rdの断層画像の撮影を行う前に、被写体をプレスキャンして作成されたスカウト画像を表示し、そのスカウト画像上に参照点P2を表示して、参照点P2と基準点P1が対応するように医用画像を表示して、基準点P1の位置と参照点P2の位置とが一致しているか否かを確認できるようにしてもよい。またこのとき、表示された画面上で基準点P1の位置と参照点P2の位置にズレが生じていると確認された場合には、参照点P2の位置をマウス等のポインティングデバイスで指示して調整するようにしてもよい。このように調整を行った後に詳細撮影領域Rdの断層画像の撮影を行うことで、正確に撮影を行うことが可能である。
【0051】
以上、断層画像撮影手段がCTの場合について説明したが、MRIやUSや光CT等の装置でも同様に行うことができる。また、病変部はCTやMRIやUSや光CT等のモダリティを複数用いて撮影したものから患部の診断を行うことが望まれるが、複数のモダリティを用いて撮影を行うと、X線や磁場等の被曝量が多く、その上撮影時間も係るため被写体にとって非常に負担となる。そこで、上述のように各モダリティで画像保管サーバ4からCAD装置で抽出した注目領域Rの位置(基準点からの相対位置)を読み取り、詳細に撮影をおこなう詳細撮影領域Rdを求めて撮影を行うようにすれば、複数のモダリティで同じ部位のみ詳細に撮影することが可能となるので、被曝量の抑制や撮影時間の短縮が図れるため被写体の負担が軽減する。
【0052】
上述では、医用画像をCRで撮影した2次元の医用画像として説明したが、CT、MRI、US、光CTなどでスキャンピッチを粗くして撮影した断層画像を医用画像とし、断層画像から注目領域Rを抽出し、注目領域Rを詳細撮影領域Rdとして、その領域のスキャンピッチを小さくして再度撮影を行ったり、X線量や磁場や超音波等の照射量を多くして詳細な撮影を行ってもよい。
【0053】
以上、基準点に対応する参照点を認識して注目領域に対応する詳細撮影領域を求める場合について説明を行ったが、例えば、医用画像をスキャンピッチを粗くして撮影した断層画像とし、医用画像から抽出した注目領域を同じモダリティで再度詳細に撮影する場合には、基準点の設定や参照点の認識を行わないでも注目領域の位置と詳細撮影領域の位置とが一致するため、そのまま注目領域の位置を詳細撮影領域の位置として撮影条件を変えて詳細に撮影を行うようにしてもよい。
【0054】
また、上述では、撮影装置で詳細撮影領域を求め、詳細撮影領域の撮影条件を変える場合について説明したが、CAD装置側に詳細撮影領域取得手段と撮影指示手段を設け、詳細撮影領域取得手段では、詳細撮影領域の位置を撮影装置で認識される参照点から相対位置値を求め、撮影指示手段で求めた相対位置と撮影条件とを撮影装置に送信するようにしてもよい。この送信された撮影指示に従って、撮影装置では、マーカ等の被写体の参照点を認識すると、この参照点からの相対位置の部位を指示された撮影条件で撮影を行うようにしてもよい。
【0055】
また、CAD装置は、1台のコンピュータに限定されるものではなく、複数台のコンピュータで構成され、CAD装置の各機能を分散するようにしてもよい。
【0056】
上述の各実施の形態では、医用画像を画像保管サーバに保管して読み出す場合について説明したが、DVD、CD−ROM等の可搬型の記録媒体から読み取ってもよい。あるいは、LAN等のネットワークを介してCADから医用画像を直接読み取るようにしてもよい。
【0057】
以上詳細に説明したように、CAD装置で抽出した注目領域のみスキャンピッチを小さくして撮影することにより、撮影時間を短縮することが可能である。また、注目領域のみX線量や磁場や超音波等の照射量を多くして撮影することで被写体の被曝量を抑制することができる。
【0058】
また、撮影時間を短縮することが可能であるので、被写体である患者に負担を掛けることなく、複数のモダリティの断層画像を撮影して患部を正確に判定することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】断層画像撮影システムの構成図
【図2】断層画像の撮影手順を説明するためのフローチャート図
【図3】胸部を撮影した医用画像の一例を表す図
【図4】参照点の設定を説明するための図
【図5】撮影結果を表示した画面の一例を表す図
【符号の説明】
【0060】
1 断層画像撮影システム
2 コンピュータ診断支援(CAD)装置
3 断層画像撮影手段
4 画像保管サーバ
5 ネットワーク
21 抽出手段
22 基準点設定手段
23 相対位置情報記憶手段
31 読取手段
32 参照点認識手段
33 詳細撮影領域取得手段
34 撮影指示手段
P1 基準点
P2 参照点
R 注目領域
Rd 詳細撮影領域
【出願人】 【識別番号】000005201
【氏名又は名称】富士写真フイルム株式会社
【住所又は居所】神奈川県南足柄市中沼210番地
【出願日】 平成15年8月14日(2003.8.14)
【代理人】 【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史

【識別番号】100090468
【弁理士】
【氏名又は名称】佐久間 剛

【公開番号】 特開2005−58526(P2005−58526A)
【公開日】 平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願番号】 特願2003−293467(P2003−293467)