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【発明の名称】 バルーン付きアブレーションカテーテル
【発明者】 【氏名】高岡 元紀
【住所又は居所】滋賀県大津市大江1丁目1番1号 東レ株式会社瀬田工場内

【氏名】山崎 善治
【住所又は居所】滋賀県大津市大江1丁目1番1号 東レ株式会社滋賀事業場内

【要約】 【課題】カテーテル侵襲に起因する患者の負担を軽減する。

【解決手段】本発明のアブレーションカテーテルは、電位検出用電極17と検出電位取り出し用リード線18とからなる電位検出機構16と電位検出用電極20と検出電位取り出し用リード線21とからなる電位検出機構19が付設されていて、標的病変部位の焼灼後、アブレーションカテーテルを引き出さずに付設の電位検出機構16,19で焼灼施療済部位まわりの電位を検出して焼灼の適当・不適当を判定し、判定結果が不適当な時は、直ちにバルーン2を再び膨らませて焼灼プロセスを繰り返し行えるので、電位検出用カテーテルの導入や焼灼が不適当な時のアブレーションカテーテルの再導入が不要になり、電位検出用カテーテルの導入やアブレーションカテーテルの再導入による侵襲負担が全くなくなる。その結果、カテーテル侵襲に起因する患者の負担を軽減することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテルの先端側に取り付けられていると共に焼灼対象の標的病変部位に押し当てられる膨張・収縮可能なバルーンと、バルーン内に設置されている高周波通電用内電極と、バルーン内に設置された温度センサとを備えているバルーン付きアブレーションカテーテルにおいて、前記カテーテルの先端部表面に取り付けられている焼灼施療部位まわりの電位を検出する電位検出用電極と、カテーテルの後端側からカテーテルの内を引き通されて電位検出用電極に接続されている検出電位取り出し用リード線とからなる電位検出手段を備えていることを特徴とするバルーン付きアブレーションカテーテル。
【請求項2】
請求項1に記載のバルーン付きアブレーションカテーテルにおいて、電位検出手段は、バルーンの前端より先に取り付けられている電位検出用電極であるバルーン付きアブレーションカテーテル。
【請求項3】
請求項1に記載のバルーン付きアブレーションカテーテルにおいて、電位検出手段は、バルーンの後端の手前に取り付けられている電位検出用電極であるバルーン付きアブレーションカテーテル。
【請求項4】
請求項1に記載のバルーン付きアブレーションカテーテルにおいて、電位検出手段は、バルーンの前端より先に取り付けられている電位検出用電極と、バルーンの後端の手前に取り付けられている電位検出用電極とであるバルーン付きアブレーションカテーテル。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載のバルーン付きアブレーションカテーテルにおいて、カテーテルは、外筒シャフトと内筒シャフトが軸方向に移動可能なかたちで同心的に通し合わされている二重筒式カテーテルであって、バルーンの前端部が内筒シャフトの先端部に固定されていて、バルーンの後端部が外筒シャフトの先端部に固定されており、かつ、高周波通電用内電極がコイル状に整形されていると共に内筒シャフトに同心的に外挿されているバルーン付きアブレーションカテーテル。
【請求項6】
請求項5に記載のバルーン付きアブレーションカテーテルにおいて、検出電位取り出し用リード線は、電気絶縁性保護被膜で覆われた状態で、外筒シャフトと内筒シャフトとの間隙を通って導出されるバルーン付きアブレーションカテーテル。
【請求項7】
請求項6に記載のバルーン付きアブレーションカテーテルにおいて、検出電位取り出し用リード線の電気絶縁性保護被覆が、ポリ塩化ビニルより比誘電率の小さい材料からなるバルーン付きアブレーションカテーテル。
【請求項8】
請求項5に記載のバルーン付きアブレーションカテーテルにおいて、検出電位取り出し用リード線は、外筒シャフトおよび内筒シャフトの少なくともいずれかのシャフトの肉厚部内を通って導出されるバルーン付きアブレーションカテーテル。
【請求項9】
請求項5に記載のバルーン付きアブレーションカテーテルにおいて、バルーンの前端より先に取り付けられている電位検出用電極に接続されている検出電位取り出し用リード線は、内筒シャフトの肉厚部内を通って導出され、バルーンの後端の手前に取り付けられている電位検出用電極に接続されている検出電位取り出し用リード線は、外筒シャフトの肉厚部内を通って導出されているバルーン付きアブレーションカテーテル。
【請求項10】
請求項5から9のいずれかに記載のバルーン付きアブレーションカテーテルにおいて、高周波通電用内電極は内筒シャフトを拘束しないかたちで内筒シャフトに外挿されていると共に外筒シャフト側に固定されているのに加えて、温度センサが高周波通電用内電極に固定されているバルーン付きアブレーションカテーテル。
【請求項11】
請求項1から10のいずれかに記載のバルーン付きアブレーションカテーテルにおいて、高周波通電用内電極に高周波電力を送給する電力送給用リード線と温度センサから測温信号を取り出すセンサ用リード線とが、いずれも、電気絶縁性保護被覆付きでカテーテルに引き通されているバルーン付きアブレーションカテーテル。
【請求項12】
請求項11に記載のバルーン付きアブレーションカテーテルにおいて、電力送給用リード線の電気絶縁性保護被覆がポリ塩化ビニルより比誘電率の小さい材料からなるバルーン付きアブレーションカテーテル。
【請求項13】
請求項11に記載のバルーン付きアブレーションカテーテルにおいて、センサ用リード線の電気絶縁性保護被覆がポリ塩化ビニルより比誘電率の小さい材料からなるバルーン付きアブレーションカテーテル。
【請求項14】
請求項1から13のいずれかに記載のバルーン付きアブレーションカテーテルにおいて、カテーテルの強制冷却機構が配備されていないバルーン付きアブレーションカテーテル。
【請求項15】
請求項1から14のいずれかに記載のバルーン付きアブレーションカテーテルにおいて、バルーンの内にカテーテル経由で液体を送給する液体送給手段と、温度センサの測温結果に応じた供給量で高周波電力を供給する電力供給手段を備えているバルーン付きアブレーションカテーテル。
【請求項16】
請求項15に記載のバルーン付きアブレーションカテーテルにおいて、液体送給手段により送給される液体が外筒シャフトと内筒シャフトの間のクリアランスを通るバルーン付きアブレーションカテーテル。
【請求項17】
請求項15または16に記載のバルーン付きアブレーションカテーテルにおいて、液体送給手段によって送り込まれた液体により膨張状態にあるバルーンの内の液体をカテーテルとバルーンの間で出入りさせてバルーンの内の液体を攪拌する液体攪拌手段を備えているバルーン付きアブレーションカテーテル。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、カテーテルの先端側に配置されているバルーンを患者体内の標的病変部位へ密着させた状態でバルーンの内の高周波通電用内電極と患者体表に対電極として配置される高周波通電用外電極の間の高周波通電による高周波誘電加熱およびジュール熱による加熱を行って標的病変部位を加温することにより標的病変部位を焼灼(アブレーション)するバルーン付きアブレーションカテーテルに係り、特に患者体内の標的病変部位に対する焼灼治療においてカテーテル侵襲に起因する患者の負担を減らすための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2002−78809号公報に記載の肺静脈電気的隔離用バルーン付きアブレーションカテーテルは、心臓不整脈治療を行う為のアブレーションカテーテルである。このバルーン付きアブレーションカテーテルを使って肺静脈の電気的隔離を行う場合、図8に示すように、カテーテル51の先端側に配置されている膨張・収縮可能なバルーン52を経皮的に下大静脈QAへ導入し、カテーテル51で後押ししながら心臓HAの右心房Haから心房中隔Hwを刺貫して左心房Hbへとバルーン52を到達せしめる。そして、バルーン内への造影剤を含む液体の送給でしっかり膨らんだバルーン52を肺静脈口Qaに当てがって密着させてから、バルーン52内に設置したコイル状の高周波通電用内電極53に高周波電源55より高周波電力を与え、高周波通電用内電極53の対電極として患者体表にセットした面状の高周波通電用外電極54との間で高周波通電を行わせる。
【0003】
高周波通電用内電極53と高周波通電用外電極54との間の高周波通電に伴って起こる高周波誘電加熱およびジュール熱による加熱で肺静脈口Qaの環状周縁部が全体的に加温されて焼灼される。肺静脈口Qaに対する焼灼に引き続き、左心房Hbの内壁に開いている残りの3個の肺静脈口Qb〜Qdに対する焼灼を順次同様にして実施する。各肺静脈口Qa〜Qdの環状周縁部が焼灼されることで4個の各肺静脈が全て電気的隔離状態となる。各肺静脈口Qa〜Qdの環状周縁部が焼灼されて、4個の各肺静脈がそれぞれ電気的隔離のかたちになると、不整脈を引き起こす電気信号が遮断され、心臓不整脈がほぼ解消される。
【0004】
このように、特開2002−78809号公報に記載のバルーン付きアブレーションカテーテルによれば、各肺静脈口Qa〜Qdの環状周縁部が全体的に焼灼されるので、何度も焼灼を繰り返さずに済むと共に、焼灼されるのが各肺静脈口Qa〜Qdの環状周縁部だけであるので、余分な処(例えば健常部分)まで焼灼せずに済む。
【特許文献1】特開2002−78809号公報(詳細な説明の全頁、図1−図6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の患者体内の標的病変部位に対する焼灼治療の場合、カテーテル侵襲に起因する患者の負担が少なくない、時として非常に大きいという問題がある。それは、上記公報記載のバルーン付きアブレーションカテーテルによって焼灼を行った後、バルーン付きアブレーションカテーテルを引き出してから、焼灼施療部位まわりの電位を検出する別の電位検出用カテーテル(図示省略)を導入して、焼灼が適切になされたか否かをチェックしなければならず、電位検出用カテーテルの侵襲による負担が加わるからである。もし、焼灼が適切になされていなければ、再び、バルーン付きアブレーションカテーテルと電位検出用カテーテルの導入が繰り返されることになり、バルーン付きアブレーションカテーテル再導入というカテーテルの侵襲による負担がさらに加わり、患者の負担は非常に大きくなってしまう。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、患者体内の標的病変部位に対する焼灼治療においてカテーテル侵襲に起因する患者の負担を軽減することができるバルーン付きアブレーションカテーテルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
【0008】
即ち、請求項1に記載のバルーン付きアブレーションカテーテルは、カテーテルの先端側に取り付けられていると共に焼灼対象の標的病変部位に押し当てられる膨張・収縮可能なバルーンと、バルーンの内に設置されている高周波通電用内電極と、バルーンの内に設置された温度センサとを備えているバルーン付きアブレーションカテーテルにおいて、前記カテーテルの先端部表面に取り付けられている焼灼施療部位まわりの電位を検出する電位検出用電極と、カテーテルの後端側からカテーテルの内を引き通されて電位検出用電極に接続されている検出電位取り出し用リード線とからなる電位検出手段を備えていることを特徴とするものである。
【0009】
(作用・効果)請求項1の発明のバルーン付きアブレーションカテーテル(以下、適宜「アブレーションカテーテル」と略記)を用いて患者体内の標的病変部位を焼灼する場合、カテーテルの先端側に配置されている膨張・収縮可能なバルーンを収縮させた状態で経皮的に患者体内に導入しカテーテルで後押ししながら標的病変部位までバルーンを到達せしめると共に、カテーテル経由でバルーンの内に液体を導入してしっかり膨張させる。続いて、焼灼対象の標的病変部位に膨張したバルーンを押し当て密着させた状態で、高周波電力を供給し、高周波通電用内電極(以下、適宜「内電極」と略記)の対電極として患者体表の適当な位置に別途セットした面状の高周波通電用外電極との間で高周波通電を行わせる。高周波誘電加熱およびジュール熱による加温実行中、加温温度がバルーン内の温度センサによって検出されると共に、温度センサの測温結果に応じた供給量で高周波電力が供給されることで、高周波誘電加熱およびジュール熱の加温温度がコントロールされる。この高周波通電による高周波誘電加熱およびジュール熱による加熱がバルーンまわりで起こるのに伴って、標的病変部位のバルーン密着個所がバルーン共々加温されて局所的に焼灼されてゆく。
【0010】
そして、請求項1の発明のアブレーションカテーテルの場合、標的病変部位の焼灼が済むと、アブレーションカテーテルを引き出さずに、必要に応じてバルーンを収縮させたりしておいて、電位検出手段用の電位検出用電極を焼灼施療部位まわりの近傍に位置させると同時に検出電位取り出し用リード線によって取り出される検出電位にしたがって焼灼の適当・不適当を判定する。判定結果が適当であるという場合はアブレーションカテーテルを引き出す。判定結果が不適当であるという場合は再びバルーンを膨らませて標的病変部位の焼灼プロセスを繰り返し行う。
【0011】
このように、請求項1の発明のアブレーションカテーテルは、焼灼施療部位まわりの電位を検出する電位検出手段が付設されていて、標的病変部位の焼灼が済むと、アブレーションカテーテルを引き出さないまま付設の電位検出手段によって焼灼施療部位まわりの電位を検出して焼灼の適当・不適当を判定すると共に、判定結果が不適当な場合は直ちにバルーンを再び膨らませて焼灼プロセスを繰り返し行うことができるので、電位検出用カテーテルの導入や焼灼が不適当な場合のアブレーションカテーテルの再導入が不要となり、電位検出用カテーテルの導入やアブレーションカテーテルの再導入による侵襲負担は全くかからなくなる。 よって、請求項1の発明のバルーン付きアブレーションカテーテルによれば、患者体内の標的病変部位に対する焼灼治療においてカテーテル侵襲に起因する患者の負担を軽減することができる。
【0012】
また、従来のアブレーションカテーテル(先端に数mmの電極があり、点状に何回も焼灼するもの)を用いた焼灼では、電位の確認は複数の位置で行わなければならない。そうしないと、焼灼不良個所の特定ができず、焼灼ポイントの特定ができないからである。また、多くの点の電位を一度に確認しようとすると、電位測定用カテーテルに多くの電位検出用電極を取り付ける必要があり、そうするとカテーテルのコスト高や大型化を招く。
【0013】
これに対して、請求項1の発明のバルーン付きアブレーションカテーテルは、一度の焼灼でバルーンの全周囲に沿って輪状に広範囲の焼灼が行われるので、焼灼異常の個所を従来例のように特定する必要が無く、焼灼された領域で「異常があるか否か(電位が検出されたか否か)」を判断するだけでよい。異常があればその領域をもう一度焼灼すればよい。したがって、従来例のように、カテーテルに電位検出用電極を多数設ける必要がない。また、異常個所を特定する必要がないから、従来例のように、電極を特定個所に当てがう(接触させる)必要もなく、輪状に焼灼された領域の近傍に電極を位置させるだけでもよい。したがって、請求項1記載の発明によれば、高価な電位検出用電極の設置個数を減らすことができ、カテーテルのコスト低減および小型化を計ることもできる。
【0014】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載のバルーン付きアブレーションカテーテルにおいて、電位検出手段は、バルーンの前端より先に取り付けられている電位検出用電極である。
【0015】
(作用・効果)請求項2の発明によれば、電位検出用電極がバルーンの前端より先の位置に取り付けられているので、焼灼施療部位まわりの内でもバルーンの前端より先の場所の電位が容易に検出できる。例えば、肺静脈の奥深くにカテーテルを挿入することなくその部位の電位を検出することができるので、肺静脈の深部の損傷を回避することができる。
【0016】
また、請求項3の発明は、請求項1に記載のバルーン付きアブレーションカテーテルにおいて、電位検出手段は、バルーンの後端の手前に取り付けられている電位検出用電極である。
【0017】
(作用・効果)請求項3の発明によれば、電位検出用電極がバルーンの後端の手前の位置に取り付けられているので、焼灼施療部位まわりの内でもバルーンの後端の手前の場所の電位が容易に検出できる。
【0018】
また、請求項4の発明は、請求項1に記載のバルーン付きアブレーションカテーテルにおいて、電位検出手段は、バルーンの前端より先に取り付けられている電位検出用電極と、バルーンの後端の手前に取り付けられている電位検出用電極とである。
【0019】
(作用・効果)請求項4の発明によれば、電位検出用電極がバルーンの前端より先の位置とバルーンの後端の手前の位置の両方に取り付けられているので、焼灼施療部位まわりの内のバルーンの前端より先の場所とバルーンの後端の手前の場所のいずれの電位でも容易に検出できる。
【0020】
また、請求項5の発明は、請求項1から4のいずれかに記載のバルーン付きアブレーションカテーテルにおいて、カテーテルは、外筒シャフトと内筒シャフトが軸方向に移動可能なかたちで同心的に通し合わされている二重筒式カテーテルであって、バルーンの前端部が内筒シャフトの先端部に固定されていて、バルーンの後端部が外筒シャフトの先端部に固定されており、かつ、高周波通電用内電極がコイル状に整形されていると共に内筒シャフトに同心的に外挿されているものである。
【0021】
(作用・効果)請求項5の発明によれば、外筒シャフトあるいは内筒シャフトを軸方向に移動させることにより、バルーンの形状を多様に変化させることができるのに加え、高周波通電用内電極が内筒シャフトに同心的に外挿されることで、高周波通電用内電極が実質的に内筒シャフトに一体化したかたちとなるので、バルーンの導入がよりスムーズとなる。
【0022】
また、請求項6の発明は、請求項5に記載のバルーン付きアブレーションカテーテルにおいて、検出電位取り出し用リード線は、電気絶縁性保護被膜で覆われた状態で、外筒シャフトと内筒シャフトとの間隙を通って導出されるものである。
【0023】
(作用・効果)請求項6の発明によれば、カテーテルに検出電位取り出し用リード線の導出のための配管を兼ねさせるので、リード線が焼灼処理の邪魔になることがない。
【0024】
また、請求項7の発明は、請求項6に記載のバルーン付きアブレーションカテーテルにおいて、検出電位取り出し用リード線の電気絶縁性保護被覆が、ポリ塩化ビニルより比誘電率の小さい材料からなるものである。
【0025】
(作用・効果)請求項7の発明によれば、検出電位取り出し用リード線の電気絶縁性保護被覆がポリ塩化ビニルより比誘電率の小さい材料からなり、電気絶縁性保護被覆の電気絶縁性が向上するので、高周波電力の漏れ・侵入がいっそう抑えられ、高周波電力の漏れ・侵入によるカテーテルの発熱が十分抑えられる。
【0026】
また、請求項8の発明は、請求項5に記載のバルーン付きアブレーションカテーテルにおいて、検出電位取り出し用リード線は、外筒シャフトおよび内筒シャフトの少なくともいずれかのシャフトの肉厚部内を通って導出されるものである。
【0027】
(作用・効果)請求項8の発明によれば、検出電位取り出し用リード線は、外筒シャフトおよび内筒シャフトの少なくともいずれかのシャフトの肉厚部内を通って導出されるので、リード線を容易に電気的に絶縁することができる。
【0028】
また、請求項9の発明は、請求項5に記載のバルーン付きアブレーションカテーテルにおいて、バルーンの前端より先に取り付けられている電位検出用電極に接続されている検出電位取り出し用リード線は、内筒シャフトの肉厚部内を通って導出され、バルーンの後端の手前に取り付けられている電位検出用電極に接続されている検出電位取り出し用リード線は、外筒シャフトの肉厚部内を通って導出されるものである。
【0029】
(作用・効果)請求項9の発明によれば、2つの検出電位取り出し用リード線が内・外筒シャフトの肉厚部内を通って個別に導出されるので、各リード線の電気的絶縁を一層確実なものにすることができる。
【0030】
また、請求項10の発明は、請求項5から9のいずれかに記載のバルーン付きアブレーションカテーテルにおいて、高周波通電用内電極は内筒シャフトを拘束しないかたちで内筒シャフトに外挿されていると共に外筒シャフト側に固定されているのに加えて、温度センサが高周波通電用内電極に固定されているものである。
【0031】
(作用・効果)請求項10の発明によれば、内筒シャフトが高周波通電用内電極の拘束を受けずにスムーズに移動できる。さらに、バルーンの後端部が固定されている外筒シャフトに高周波通電用内電極が固定されていると共に、温度センサが高周波通電用内電極に固定されているので、バルーン内での高周波通電用内電極と温度センサの設置位置が安定する。
【0032】
また、請求項11の発明は、請求項1から10のいずれかに記載のバルーン付きアブレーションカテーテルにおいて、高周波通電用内電極に高周波電力を送給する電力送給用リード線と温度センサから測温信号を取り出すセンサ用リード線とが、いずれも、電気絶縁性保護被覆付きでカテーテルに引き通されているものである。
【0033】
(作用・効果)請求項11の発明によれば、温度センサから測温信号を取り出すセンサ用リード線と高周波通電用内電極に高周波電力を送給する電力送給用リード線とがカテーテルに引き通されているので、カテーテルにリード線の配管を兼ねさせられる。また、センサ用リード線と電力送給用リード線が共に電気絶縁性保護被覆付きであるので、リード線同士のショート(短絡)が起こる心配がなくなると同時に、高周波電力の漏れ・侵入が抑えられる結果、高周波電力の漏れ・侵入に伴うカテーテルの発熱が抑えられ、カテーテルの強制冷却機構を省くことを可能とする。
【0034】
また、請求項12の発明は、請求項11に記載のバルーン付きアブレーションカテーテルにおいて、電力送給用リード線の電気絶縁性保護被覆がポリ塩化ビニルより比誘電率の小さい材料からなるものである。
【0035】
(作用・効果)請求項12の発明によれば、電力送給用リード線の電気絶縁性保護被覆がポリ塩化ビニルより比誘電率の小さい材料からなり、電気絶縁性保護被覆の電気絶縁性が向上するので、高周波電力の漏れ・侵入がいっそう抑えられ、高周波電力の漏れ・侵入によるカテーテルの発熱が十分抑えられる。
【0036】
また、請求項13の発明は、請求項11に記載のバルーン付きアブレーションカテーテルにおいて、センサ用リード線の電気絶縁性保護被覆がポリ塩化ビニルより比誘電率の小さい材料からなるものである。
【0037】
(作用・効果)請求項13の発明によれば、センサ用リード線の電気絶縁性保護被覆がポリ塩化ビニルより比誘電率の小さい材料からなり、電気絶縁性保護被覆の電気絶縁性が増すので、高周波電力の漏れ・侵入によるカテーテルの発熱が十分抑えられる。
【0038】
また、請求項14の発明は、請求項1から13のいずれかに記載のバルーン付きアブレーションカテーテルにおいて、カテーテルの強制冷却機構が配備されていないものである。
【0039】
(作用・効果)請求項14の発明によれば、カテーテルの強制冷却機構が省かれているので、その分、カテーテルを細くして、カテーテルを患者体内へ挿入し易くすることができる。
【0040】
また、請求項15の発明は、請求項1から14のいずれかに記載のバルーン付きアブレーションカテーテルにおいて、バルーンの内にカテーテル経由で液体を送給する液体送給手段と、温度センサの測温結果に応じた供給量で高周波電力を供給する電力供給手段を備えているものである。
【0041】
(作用・効果)請求項15の発明によれば、液体送給手段によりカテーテル経由でバルーンの内に液体を送給させることによってバルーンをしっかり膨張させられる。また、電力供給手段によって温度センサの測温結果に応じた供給量で高周波電力を供給させることで、高周波誘電加熱およびジュール熱の加温温度を的確にコントロールすることができる。
【0042】
また、請求項16の発明は、請求項15に記載のバルーン付きアブレーションカテーテルにおいて、液体送給手段により送給される液体が外筒シャフトと内筒シャフトの間のクリアランスを通るものである。
【0043】
(作用・効果)請求項16の発明によれば、外筒シャフトと内筒シャフトの間のクリアランスを液体送給手段による液体送給用の流路として使用することができる。
【0044】
また、請求項17の発明は、請求項15または16に記載のバルーン付きアブレーションカテーテルにおいて、液体送給手段によって送り込まれた液体により膨張状態にあるバルーンの内の液体をカテーテルとバルーンの間で出入りさせてバルーンの内の液体を攪拌する液体攪拌手段を備えているものである。
【0045】
(作用・効果)請求項17の発明によれば、高周波誘電加熱およびジュール熱による加温実行中、液体の導入で膨張状態にあるバルーンの内の液体を液体攪拌手段によってカテーテルとバルーンの間で出入りさせてバルーンの内の液体を攪拌すると、温度の違う液体が交じり合ってバルーンの内の液温が均一となり、高周波誘電加熱およびジュール熱による加温ムラを抑えることができる。
【発明の効果】
【0046】
以上に述べたように、本発明のバルーン付きアブレーションカテーテルの場合、カテーテルの先端部表面に取り付けられている焼灼施療部位まわりの電位を検出する電位検出手段が付設されていて、標的病変部位の焼灼が済むと、アブレーションカテーテルを引き出さないままで付設の電位検出手段を使って焼灼施療部位まわりの電位を検出して焼灼の適当・不適当を判定すると共に、判定結果が適当であるという場合は直ちにバルーンを再度膨らませて焼灼プロセスを繰り返し行うことができるので、電位検出用カテーテルの導入や焼灼が不適当な場合のアブレーションカテーテルの再導入が不要となり、電位検出用カテーテルの導入やアブレーションカテーテルの再導入による侵襲負担はかからなくなる。よって、本発明のバルーン付きアブレーションカテーテルによれば、患者体内の標的病変部位に対する焼灼治療においてカテーテル侵襲に起因する患者の負担を軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
以下、本発明のバルーン付きアブレーションカテーテルの実施形態を説明する。図1は実施形態に係るアブレーションカテーテルの全体の構成を示す平面図、図2は実施形態のアブレーションカテーテルのバルーンの内部を示す断面図、図3は実施形態のアブレーションカテーテルのバルーンの膨張時の外形を示す正面図である。本実施形態のアブレーションカテーテルは、肺静脈電気的隔離用に好適なものである。
【0048】
実施形態のアブレーションカテーテルでは、カテーテル1の先端側に膨張・収縮可能なバルーン2が配置されている。カテーテル1は、外筒シャフト3と内筒シャフト4を軸方向の移動が可能に同心的に通し合わせた二重筒式カテーテルであって、バルーン2の前端部が内筒シャフト4の先端部に固定されていて、バルーン2の後端部が外筒シャフト3の先端部に固定されており、バルーン後端には液体導入口2Aが設けられている。二重筒式のカテーテル1の場合、外筒シャフト3あるいは内筒シャフト4を軸方向に移動させることにより、バルーン2の形状を多様に変化させることができる。したがって、本発明では、カテーテル1が二重筒式カテーテルであることが好ましいが、カテーテル1は必ずしも二重筒式カテーテルに限られるものではなく、治療の種類によっては単一管式カテーテルが好ましいこともある。
【0049】
外筒シャフト3と内筒シャフト4の長さは、1m前後〜1m数十cm程度である。外筒シャフト3の外径は3mm〜5mm程度であり、内径は2mm〜4mm程度である。内筒シャフト4の外径は1mm〜3mm程度であり、内径は0.5mm〜2mm程度である。外筒シャフト3や内筒シャフト4の材料は、抗血栓性に優れる可撓性のある材料が用いられる。具体的には、例えばフッ素樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられる。
【0050】
バルーン2は、図3に示すように、膨張状態において先端側で直径が小さくなる円錐状(先すぼみ円錐状)の外形を有している。バルーン2は、長さ(バルーン前端とバルーン後端を仮想的に結ぶバルーン中心軸2aに沿う長さd)が、20mm〜40mm程度であって、後端側の最大外直径が10mm〜40mm程度であり、膜厚みが100μm〜300μmである。バルーン2の外径が先すぼみの円錐状の外形である場合、バルーンが肺静脈内部に入り込むのを防止できるうえ、バルーン2の先端を肺静脈口に少し挿し込むことによりバルーンを肺静脈口にきっちり密着させられるので、肺静脈口の環状周縁部の全体を確実に焼灼することができる。バルーン2の膨張時の形状は円錐状に限られるものではなく、胴長の俵状など他の形状であっても構わない。バルーン2の材料は、抗血栓性に優れた伸縮性のある材料が用いられる。特にポリウレタン系の高分子材料が好ましく、具体的には、熱可塑性ポリエーテルウレタン、ポリエーテルポリウレタンウレア、フッ素ポリエーテルウレタンウレア、ポリエーテルポリウレタンウレア樹脂、ポリエーテルポリウレタンウレアアミド等が挙げられる。
【0051】
さらに、実施形態のアブレーションカテーテルの場合、バルーン2の内に電線を巻き回してコイル状に整形した高周波通電用内電極(以下、適宜「内電極」と略記)5が設置されていると共に、バルーン2の内に液体導入口2Aから液体をカテーテル1経由で送給する液体送給装置(液体送給手段)6がカテーテル1の末端側に四方コネクタCNを介して接続配設されている。内電極5の電線としては、銀線や金線、プラチナ線、銅線などの高導電率金属線が用いられる。
【0052】
内電極5は内筒シャフト4を拘束しない状態で内筒シャフト4に同心的に外挿されている。内電極5の内径が内筒シャフト4の外径より僅かに大きくて、内電極5の内面と内筒シャフト4の外面の間に少し隙間が明いている。このように内電極5が内筒シャフト4を拘束しない状態で内筒シャフトに同心的に外挿されていると、内電極5が実質的に内筒シャフト4に一体化したかちとなって邪魔にならず、内筒シャフト4を非常にスムーズに移動させられる。
【0053】
また、実施形態のアブレーションカテーテルは、内電極5の対電極として面状の高周波通電用外電極7を備えており、この外電極7は患者体表の適当な位置に、例えば両面テープ(図示省略)で貼り付けられてセットされる。高周波誘電加熱およびジュール熱による加温実行中、内電極5と外電極7の間で高周波通電が行われて加温が起こる。高周波誘電加熱およびジュール熱の加温による際の組織焼灼の適温は、通常、50℃〜70℃の範囲にある。外電極7の材料には、例えば、銅やアルミニウム等の高電気導電性金属からなる薄板またはシートが用いられる。
【0054】
一方、液体送給装置6は、送液用ローラポンプ(図示省略)を備えていて、送液用ローラポンプによって送給される液体が外筒シャフト3と内筒シャフト4の間のクリアランスを通って液体導入口2Aからバルーン2の内に送り込まれる。液体送給装置6からの液体がバルーン2の内に送り込まれるのに伴ってバルーン2はしっかり膨張する。つまり、外筒シャフト3と内筒シャフト4の間のクリアランスが、液体送給装置6による液体送給用の流路として利用されているのである。
【0055】
また、実施形態のアブレーションカテーテルの場合、液体送給により膨張状態にあるバルーン2の内の液体をカテーテル1経由でバルーン2を出入りさせることによりバルーンの内の液体を攪拌するダイヤフラム式攪拌機構(液体攪拌手段)8が配設されている。この攪拌機構8による攪拌で、温度の違う液体が交じり合ってバルーンの内の液温が均一となり、高周波誘電加熱およびジュール熱による加温ムラを抑えることができる。
【0056】
さらに、実施形態のアブレーションカテーテルでは、バルーン2の内に設置されている温度センサ9と、温度センサ9の測温結果に応じた供給量で高周波通電用内電極より高周波電力を供給する高周波電源(電力供給手段)10とを備えている。高周波電力の周波数は、数MHz〜数百MHzの範囲であり、通常、10MHz前後である。高周波誘電加熱およびジュール熱による加温実行中、加温温度がバルーン2内の温度センサ9によって検出されて高周波電源10へフィードバックされると共に、高周波電源10により温度センサ9の測温結果に応じた供給量で高周波電力が供給されることによって、高周波誘電加熱およびジュール熱による加温温度がコントロールされる。加えて、内電極5はバルーン2の後端部が取り付けられている外筒シャフト3に固定されていると共に、温度センサ9が内電極5に固定されている。その結果、バルーン2の内での内電極5と温度センサ9の設置位置が安定する。なお、温度センサ9としては、熱電対が例示されるが、熱電対に限られるものではなく、例えば半導体タイプの測温素子なども使用可能である。
【0057】
また、図4にも示すように、温度センサ9から測温信号を取り出すセンサ用リード線11と高周波通電用内電極に高周波電力を送給する電力送給用リード線12は共に電気絶縁性保護被覆13,14付きでカテーテル1の外筒シャフト3と内筒シャフト4の間のクリアランスに引き通されている。つまり、外筒シャフト3と内筒シャフト4の間のクリアランスをセンサ用リード線11や電力送給用リード線12の配管として利用されているのである。それにセンサ用リード線11と電力送給用リード線12は共に電気絶縁性保護被覆13,14付きであるので、リード線同士のショート(短絡)が起こる心配がなくなると同時に、高周波電力の漏れ・侵入が抑えられ、高周波電力の漏れ・侵入による外筒シャフト3や内筒シャフト4の発熱が抑えられる結果、実施形態のアブレーションカテーテルの場合、カテーテル1の強制冷却機構が省かれている。しかし、必要に応じてカテーテル1の強制冷却機構をカテーテル1に内設してもよい。
【0058】
センサ用リード線11や電力送給用リード線12の材料としては、銅、銀、白金、タングステン、合金などの線材が挙げられる。また、電気絶縁性保護被覆13,14がポリ塩化ビニルより比誘電率の小さい材料からなる場合は、電気絶縁性保護被覆13,14の電気絶縁性が向上するので、高周波電力の漏れ・侵入がいっそう抑えられ、高周波電力の漏れ・侵入による外筒シャフト3や内筒シャフト4の発熱がしっかり抑えられる。また、外筒シャフト3や内筒シャフト4がポリ塩化ビニルより比誘電率の小さい材料からなることも、高周波電力の漏れ・侵入による外筒シャフト3や内筒シャフト4の発熱を防止する上で有効である。なお、実施形態の場合、電力送給用リード線12も内電極5と同一の銅線を用いて形成されているが、内電極5に別途作製の電力送給用リード線12を接続するようにしてもよい。
【0059】
ポリ塩化ビニルより比誘電率の小さい材料としては、10MHzの比誘電率が3以下、さらに好ましくは10MHzの比誘電率が1以下のものが挙げられる。この比誘電率εは、以下のようにして測定できる。
【0060】
ε=Cx/Co
但し、Cxはブリッジが平衡になった時の測定用コンデンサCsの容量
Coは主電極の面積及び試験片の厚さから算出したε=1の静電容量で次の式で算出する。
【0061】
Co=r2 /3.6t
r:主電極の半径(cm),t:試験片の厚さ(cm)
ポリ塩化ビニルより比誘電率の小さい材料の具体的なものには、ポリ4フッ化エチレン(PTFE)や4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体(FEP)などのフッ素系高分子化合物の他、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂などが挙げられる。なお、比誘電率εの測定に用いられる機器としては、例えばヒューレットパッカード社製のRFインピーダンス/マテリアルアナライザ(HP4291A)が挙げられる。
【0062】
また、外筒シャフト3と内筒シャフト4の先端には、放射線遮蔽性金属パイプ3A,4Aが取り付けられており、バルーン2の前端部と後端部は各金属パイプ3A,4Aにそれぞれ取り付けられて外筒シャフト3と内筒シャフト4に固定されている。放射線遮蔽性金属パイプ3A,4Aを具備することにより、X線透視を行った場合、X線透視画像上に放射線遮蔽性金属パイプ3A,4Aが出現するので、患者体内におけるバルーン2の位置を正確に把握することが可能となる。放射線遮蔽性金属パイプ3A,4Aの材料としては、金,プラチナ,ステンレス等が挙げられる。
【0063】
そして、実施形態のアブレーションカテーテルは、内筒シャフト4の先端部表面に取り付けられている焼灼施療部位まわりの電位を検出する電位検出用電極17と、カテーテル1の後端側からカテーテル1の内を引き通されて電位検出用電極17に接続されている検出電位取り出し用リード線18とからなる電位検出機構16と、外筒シャフト3の先端部表面に取り付けられている焼灼施療部位まわりの電位を検出する電位検出用電極20と、カテーテル1の後端側からカテーテル1の内を引き通されて電位検出用電極20に接続されている検出電位取り出し用リード線21とからなる電位検出機構19とを備えている。
【0064】
電位検出用電極17は、3mm前後の高さ(長さ)の短円筒形に整形されており、内筒シャフト4の先端部では放射線遮蔽性金属パイプ4Aの先に合成樹脂製パイプ22が継ぎ足されていて、電位検出用電極17が合成樹脂製パイプ22の外周にぴったり嵌着されている。電位検出用電極20も、3mm前後の高さ(長さ)の短円筒形に整形されていて、外筒シャフト3の外周に直接ぴったり嵌着されている。電位検出用電極17,20の材料としては、プラチナや銀,あるいは銀メッキ付き銅などが用いられる。
【0065】
電位取り出し用リード線18,21も、図4に示すように、電気絶縁性保護被覆18A,21A付きで外筒シャフト3と内筒シャフト4の間のクリアランスに引き通されていて、電気絶縁性保護被覆18A,21Aはやはりポリ塩化ビニルより比誘電率の小さい材料からなることが好ましい。この場合、電気絶縁性保護被覆の電気絶縁性が十分なので、高周波電力の迷入が十分に抑えられる。なお、リード線18を内筒シャフト4の肉厚部に形成した細長い孔を通して導出してもよく、同様に、リード線21を外筒シャフト3の肉厚部に形成した細長い孔を通して導出してもよい。この場合、各シャフト4,3の肉厚部でリード線18,21を電気的に絶縁するようにすれば、必ずしもリード線18,21を電気絶縁性保護被覆18A,21Aで覆う必要ない。
【0066】
なお、電位検出用電極17,20によって検出される電位のチェックは、図1に示すように、検出電位取り出し用リード線18,21を通常の心電計23に接続して検出電位をチャート(又は表示モニタ)に表示してチェックする。
【0067】
以上に述べた構成を有する実施形態のアブレーションカテーテルの使い方を、心臓の肺静脈口の周縁を焼灼する場合を例にとって説明する。図5に示すように、先に経皮的に患者体内に導入したガイドワイヤGWに沿って収縮状態のバルーン2をカテーテル1で押し進めながら下大静脈QAから心臓HAの右心房Haへ到達させた後、肺静脈口Qaの周縁にバルーン2を当てがって密着させる。一方、患者体表に面状の外電極7を両面粘着テープ(図示省略)等で貼り付け、外電極7と高周波電源10を電力送給用リード線15で接続しておく。そして、内電極5と外電極7の間で高周波通電を行わせて肺静脈口Qaの周縁を加温し焼灼する。残りの3個の肺静脈口の周縁も同様にして焼灼する。
【0068】
肺静脈口の周縁の焼灼が済むと、電位検出機構16や電位検出機構19を用いて、焼灼の適当・不適当を判定する。電位検出機構16を用いる場合は、図6に示すように、アブレーションカテーテルを引き出さないまま(必要に応じてバルーン2を収縮させたりして)、電位検出用電極17を焼灼施療部位まわり(例えば肺静脈の内面)の近傍に位置させると同時に検出電位取り出し用リード線18によって取り出し心電計23のチャート上に表示する。チャート上に表示された検出結果から焼灼の適当・不適当を判定し、判定結果が不適当な時は、直ちに再度バルーン2を膨らませて焼灼プロセスを繰り返し行う。
【0069】
電位検出機構19を用いる場合も、図7に示すように、アブレーションカテーテルを引き出さないまま(必要に応じてバルーン2を収縮させたりして)、電位検出用電極20を焼灼施療部位まわり(例えば心房の内面)の近傍に位置させると同時に検出電位取り出し用リード線21によって取り出し心電計23のチャート上に表示する。チャート上に表示された検出結果から焼灼の適当・不適当を判定し、判定結果が不適当な時は、直ちに再度バルーン2を膨らませて焼灼プロセスを繰り返す。なお、電位を検出する部位によっては、電位検出機構16と電位検出機構19を同時に作動させて二つの部位の電位を同時に検出・チェックすることも可能である。焼灼が全て適当と判定されると、アブレーションカテーテルを引き出し治療を終える。
【0070】
このように、実施形態のアブレーションカテーテルは、焼灼が済むと、アブレーションカテーテルを引き出さないままでカテーテル1に付設されている電位検出機構16や電位検出用電極20によって焼灼施療部位まわりの電位を検出して焼灼の適当・不適当を判定すると共に、判定結果が不適当な時は、直ちにバルーン2を再び膨らませて焼灼プロセスを繰り返し行うことができるので、電位検出用カテーテルの導入や焼灼が不適当な場合のアブレーションカテーテルの再導入が不要となり、電位検出用カテーテルの導入やアブレーションカテーテルの再導入による侵襲負担は全くかからなくなる。その結果、カテーテル侵襲に起因する患者の負担を軽減することができる。
【0071】
続いて、本発明のアブレーションカテーテルの具体的な実施例について説明する。
【0072】
〔実施例〕 先ず、バルーン先端とバルーン後端の長さが30mm、後端側の最大外直径が30mm、膜厚みが160μmの先すぼみの円錐形状を有するバルーン2を次のようにして作成した。即ち、所望のバルーン形状に対応する型面を有するガラス製バルーン成形型を濃度13%のポリウレタン溶液に浸漬し、熱をかけて溶媒を蒸発させて、成形型表面にウレタンポリマー被膜を形成するディッピング法によりバルーン2を作製した。
【0073】
一方、カテーテル1の外筒シャフト3として外径3.8mm、内径2.7mm、全長80cmのポリアミド樹脂製チューブを用い、直径3.1mm、長さ7mmでサンドブラスト仕上げの外表面を有するステンレスパイプを金属パイプ3Aとしてチューブの先端に内挿嵌着した後、0.1mmのナイロン製糸で縛り固定すると共に、外径4.0mm,内径3.8mm,高さ3mmの電位検出用電極20を先端部に外挿し接着剤で固定すると共に、電気絶縁保護被覆付きの検出電位取り出し用リード線21を、電位検出用電極20で覆われた部分の外筒シャフト3の内側から貫通させて接続してから後端に四方コネクタCNを内挿嵌合した後0.1mmのナイロン製糸で縛り固定した。
【0074】
他方、内筒シャフト4として外径1.5mm、内径1.1mm、全長90cmのポリアミド樹脂製チューブを用い、直径1.2mm、長さ6mmでサンドブラスト仕上げの外表面を有するステンレスパイプを金属パイプ4Aとしてチューブの先端に内挿嵌着後、0.1mmのナイロン製糸で縛り固定した。さらに、外径2.0mm、内径1.1mm、長さ約10mmの合成樹脂製パイプ22を金属パイプ4Aに外挿接着して継ぎ足した後、内径2.0mm、外径2.5mm、高さ3mmの電位検出用電極17を合成樹脂製パイプ22の先端部に外挿し、接着剤で固定すると共に電気絶縁保護被覆付きの検出電位取り出し用リード線18を接続した。そして、検出電位取り出し用リード線18,21をカテーテル1の後端側に引き出すようにしながら、内筒シャフト4を四方コネクタCNを介して挿入してから四方コネクタCNのキャップを締め付けて二重筒式のカテーテル1を作製した。
【0075】
また銀メッキを0.1μm施した直径0.5mmの電気用軟銅線の先端部分を螺旋状に長さ10mmにわたって巻き回してコイル状に整形して内電極5とすると共に、4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体(FEP)を用いて他の部分に電気絶縁性保護被覆14を施し電力送給用リード線12とした。さらに、温度センサ9として、ポリ4フッ化エチレンを用いて電気絶縁性保護被覆13を施した極細熱電対ダブル(銅−コンスタンタン)線をセンサ用リード線11付きのものとして作製した。
【0076】
温度センサ9を内電極5に固定した後、内電極5を内筒シャフト4の先端に嵌挿してから、センサ用リード線11と電力送給用リード線12を外筒シャフト3と内筒シャフト4の間のクリアランスを引き通してセンサ用リード線11と電力送給用リード線12の後端を四方コネクタCNより引っ張り出し、さらにセンサ用リード線11と電力送給用リード線12の先端のところをアラミド繊維製の固定具でもって金属パイプ3Aに固定した。最後に、バルーン2の前端部を金属パイプ4Aに0.1mmのナイロン製糸で縛り固定すると共に、バルーン2の後端部を金属パイプ3Aに0.1mmのナイロン製糸で縛り固定し、実施例のアブレーションカテーテルを完成した。
【0077】
〔電位検出テスト〕 続いて実施例のアブレーションカテーテルについて、電位検出機構16と電位検出機構19の電位検出機能をチェックする電位検出テストを実施した。電位検出対象の被試験者(人間)を一人あらかじめ用意すると共に、検出電位取り出し用リード線18,21を心電計23に接続した。
【0078】
先ず電位検出機構16の方の電位検出用電極17を被試験者の心臓近傍の体表に当てて、心電計23で検出電位をチャート上に記録した。次に電位検出機構19の方の電位検出用電極20を被試験者の心臓近傍の体表に当てて、心電計23で検出電位をチャート上に記録した。
【0079】
チャート上の記録結果はいずれも正常であった。この電位検出テストは、被試験者の体表の電位を検出するようにしたが、被試験者の体表の電位が正常に検出できれば、被試験者の体内の電位も正常に検出できるので、電位検出機構16と電位検出機構19はいずれも患者体内の電位を適正に検出できるものであることを確認することができた。
【0080】
本発明は、上記の実施例に限られるものではなく、以下のように変形実施することも可能である。
【0081】
(1)実施形態のアブレーションカテーテルは、液体送給装置6や高周波電源10あるいは外電極7も全て備えた構成であったが、液体送給装置6や高周波電源10あるいは外電極7は実際に使用する際に別途調達することが可能であるので、本発明のアブレーションカテーテルは、液体送給装置6や高周波電源10あるいは外電極7は備えていないカテーテル1であってもよい。
【0082】
(2)実施形態においては、電位検出用電極17の取り付け位置がバルーン2の前端より先になっている電位検出機構16と、電位検出用電極20がバルーン2の後端の手前となっている電位検出機構19の両方が配備された構成であったが、電位検出機構16と電位検出機構19のどちらか一方だけが配備されている他は実施形態と同一の構成であるアブレーションカテーテルが、それぞれ変形態様として挙げられる。
【0083】
また、実施形態の場合、電位検出機構16と電位検出機構19は、それぞれ各1個だけ配備された構成であったが、電位検出機構16や電位検出機構19は、1個に限らず、複数個配備されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】実施形態のアブレーションカテーテルの全体の構成を示す平面図である。
【図2】実施形態に係るバルーンの内部を示す断面図である。
【図3】実施形態に係るバルーンの膨張時の外形を示す正面図である。
【図4】実施形態に係るカテーテルの横断面図である。
【図5】実施形態のアブレーションカテーテルによる肺静脈口の焼灼時の状況を示す模式図である。
【図6】実施形態のアブレーションカテーテルに付設された電位検出機構による電位検出時の状況を示す模式図である。
【図7】実施形態のアブレーションカテーテルに付設された他の電位検出機構による電位検出時の状況を示す模式図である。
【図8】バルーン付きアブレーションカテーテルによる肺静脈口の焼灼状況を示す模式図である。
【符号の説明】
【0085】
1 … カテーテル
2 … バルーン
3 … 外筒シャフト
4 … 内筒シャフト
5 … 高周波通電用内電極
6 … 液体送給装置(液体送給手段)
7 … 高周波通電用外電極
8 … ダイヤフラム式攪拌機構(液体攪拌手段)
9 … 温度センサ
10 … 高周波電源(電力供給手段)
11 … センサ用リード線
12 … 電力送給用リード線
13,14 … 電気絶縁性保護被覆
15 … 電力送給用リード線
16,19 … 電位検出機構(電位検出手段)
17,20 … 電位検出用電極
18,21 … 検出電位取り出し用リード線
18A,21A … 電気絶縁性保護被覆

【出願人】 【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
【住所又は居所】東京都中央区日本橋室町2丁目2番1号
【出願日】 平成15年8月13日(2003.8.13)
【代理人】 【識別番号】100093056
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 勉

【公開番号】 特開2005−58506(P2005−58506A)
【公開日】 平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願番号】 特願2003−293099(P2003−293099)