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【発明の名称】 位置可変式MRIコイルにおいてループの分離を自動的に維持するための方法及び装置
【発明者】 【氏名】スティーブン・シー・デービス

【要約】 【課題】様々なコイル位置においてコイル分離を維持するようなRFコイルループ組み上げ技法を提供する。

【解決手段】コイルループ・アセンブリ(100、110)の各RFコイルループ(104、112、108、114)と直列に接続した相互インダクタンス補償回路(98、120)は、これらRFコイルループ間に形成される結合、すなわち相互インダクタンスを、実質的に最小限にしている。補償回路の相互インダクタンスは、RFコイルループを互いに対して移動または回転させるのに伴いこれらRFコイルループ間に形成される相互インダクタンスと実質的に等しく、かつ位相または極性が反対である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対して移動可能な一対のRFコイル(104、112、108、114)と、
RFコイルの一方と直列とした第1の誘導器アセンブリ(102、122)と、
RFコイルのもう一方と直列とした第2の誘導器アセンブリ(106、124)と、を備えるRFコイル・アセンブリ(100、110)であって、
前記誘導器アセンブリ(102、122、106、124)は、前記一対のRFコイル(104、112、108、114)の相互インダクタンスと極性が反対でありかつ大きさが実質的に等しい相互インダクタンスを有するように構成されている、RFコイル・アセンブリ(100、110)。
【請求項2】
前記誘導器アセンブリ(102、122、106、124)は、前記第1の誘導器アセンブリ(104、112)と前記第2の誘導器アセンブリ(106、124)が重複している限りにおいて、前記一対のRFコイル(104、112、108、114)の相対的位置が変化するのに伴って前記一対のRFコイル(104、112、108、114)の相互インダクタンスを相殺するように構成されている、請求項1に記載のRFコイル・アセンブリ(100、110)。
【請求項3】
前記一対のRFコイル(104、112、108、114)の前記RFコイル(104、112、108、114)はx軸、y軸及びz軸のうちの少なくとも1つに沿って移動可能である、請求項2に記載のRFコイル・アセンブリ(100、110)。
【請求項4】
前記一対のRFコイル(104、112、108、114)の前記RFコイル(104、112、108、114)は回転軸(116)の周りに回転可能である、請求項3に記載のRFコイル・アセンブリ(100、110)。
【請求項5】
前記一対のRFコイル(104、112、108、114)の前記RFコイル(104、112、108、114)は撮像面に沿って並進可能である、請求項3に記載のRFコイル・アセンブリ(100、110)。
【請求項6】
前記誘導器アセンブリ(102、122、106、124)は全体として、前記一対のRFコイル(104、112、108、114)の相互インダクタンスに対して位相が反対の相互インダクタンスを有している、請求項1に記載のRFコイル・アセンブリ(100、110)。
【請求項7】
前記誘導器アセンブリ(102、122、106、124)の相互インダクタンスは、前記一対のRFコイル(104、112、108、114)の相互インダクタンスを相殺させるような方式でRFコイルを位置決めすることによって変化させている、請求項1に記載のRFコイル・アセンブリ(100、110)。
【請求項8】
前記誘導器アセンブリ(102、122、106、124)の相互インダクタンスは、前記一対のRFコイル(104、112、108、114)間の距離が増加すると減少し、かつ前記一対のRFコイル(104、112、108、114)間の距離が減少すると増加している、請求項7に記載のRFコイル・アセンブリ(100、110)。
【請求項9】
前記誘導器アセンブリ(102、122、106、124)のインダクタンスは、コイルの位置に関わらず前記一対のRFコイル(104、112、108、114)の結合が低下するようにしている、請求項1に記載のRFコイル・アセンブリ(100、110)。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、全般的には磁気共鳴(MR)システムに関し、さらに詳細には、MRシステムのRFコイル・アセンブリの移動可能なコイル間の結合を制限するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
人体組織などの物質を均一な磁場(偏向磁場B0)にかけると、組織中のスピンの個々の磁気モーメントはこの偏向磁場と整列しようとして、この周りをラーモアの特性周波数で無秩序に歳差運動することになる。この物質(または組織)に、x−y平面内にありラーモア周波数に近い周波数をもつ磁場(励起磁場B1)がかけられると、正味の整列モーメント(すなわち、「縦方向磁化」)MZは、x−y平面内に来るように回転させられ(すなわち、「傾けられ(tipped)」)、正味の横方向磁気モーメントMtが生成される。励起信号B1を停止させた後、励起したスピンにより信号が放出され、さらにこの信号を受信し処理して画像を形成することができる。
【0003】
これらの信号を用いて画像を作成する際には、磁場傾斜(Gx、Gy及びGz)が利用される。典型的には、撮像しようとする領域は、使用する具体的な位置特定方法に従ってこれらの傾斜を変更させている一連の計測サイクルによりスキャンを受ける。結果として得られる受信NMR信号の組はディジタル化されかつ処理され、よく知られている多くの再構成技法のうちの1つを用いて画像が再構成される。
【0004】
互いに隣接して配置させたMRシステムのRFコイルループが相互インダクタンスによって強く結合していることは一般によく知られている。この結合は、コイルループの離調(detuning)、ループに対する荷重、及び画質の劣化を生じさせる。この結合を排除するためには、多くの技法及びコイル設計が開発されている。例えば、これらのループは、その結合を相殺させるように慎重に重複させる、結合を相殺させるように誘導性に結合させる、結合を相殺させるように容量性に結合させる、あるいは高インピーダンス共鳴回路によってループをオフにさせて小さくさせることがある。最初の3つの設計はループ近接の1つの方向に関してだけしか十分でないことが知られている。第4の設計は、ループ結合を相殺させるような十分な分離を提供できないことが知られている。
【0005】
さらに、コイルループが曲がりやすい、すなわち互いに対して移動することができると、上述した分離設計はうまく機能しないことが多い。すなわち、ループ近接の向きが変化すると、そのRFコイルループをこの新たな向きでの結合を最小限にするように再調整しなければならないか、あるいはこの新たな向きに合わせて調整した別のRFコイルループ・アセンブリを用いなければならない。したがって、MRIシステムのオペレータは、コイルループの再調整に時間をかけることによって、患者スループットを犠牲にしなければならない。さらに、新たな向きに合わせたすでに調整済みの別のRFコイルループ・アセンブリを選択することは、画像収集から離れた時間及び労力を必要とするだけではなく、診断データの収集に使用できる多くの向きを満足させるような多数のRFコイルループ・アセンブリの在庫をその撮像施設が維持しておくことも必要となる。大規模のRFコイルループ・アセンブリ在庫を維持しておくことは極めてコストがかかり、また十分なコストをかけても、必要なコイル・アセンブリを網羅することはできない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、ループの広範な位置や向きにわたってループ分離が維持されるようなRFコイル・アセンブリを提供できるシステムを設計できることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の欠点を解決している動的な相互インダクタンス補償回路を有するRFコイルループ・アセンブリを目的としている。本発明は、良好なコイル分離を維持しながら、コイルを互いに近づける、さらに遠ざける、または回転させることができるようなRFコイルループ・アセンブリを提供している。この相互インダクタンス補償回路は各RFコイルループと直列に接続し、そのRFコイルループ間で形成される結合または相互インダクタンスを実質的に最小限にしている。この補償回路の相互インダクタンスは、RFコイルループを互いに対して移動または回転させるに連れてそのRFコイルループ間に形成される相互インダクタンスと実質的に等しくかつ位相または極性が反対である。
【0008】
本発明の一態様では、RFコイル・アセンブリを開示している。本コイル・アセンブリは、互いに対して移動可能な一対のRFコイルを含んでいる。第1の誘導器アセンブリをRFコイルの一方と直列に接続させており、また第2の誘導器アセンブリをRFコイルのもう一方と直列に接続させている。これらの誘導器アセンブリは、この一対のRFコイルの相互インダクタンスに対して極性が反対でありかつ大きさが実質的に等しい相互インダクタンスを有している。
【0009】
本発明の別の態様では、MRI装置を開示している。本装置は、偏向磁場を印加するようにマグネットのボアの周りに位置決めした複数の傾斜コイルを有するMRIシステムを含んでいる。RF送受信器システム及びRFスイッチは、MR画像を収集するためにRFコイル・アセンブリとの間でRF信号を送受信するようにパルスモジュールによって制御を受けている。このRFコイル・アセンブリは、第1の移動可能コイルループ及び第2の移動可能コイルループを含んでいる。このRFコイル・アセンブリはさらに、第1の移動可能コイルループと第2の移動可能コイルループの結合を互いを基準としたコイルループ位置と無関係に最小限にさせるようなインダクタンスを発生させるための相互インダクタンス補償回路を含んでいる。
【0010】
本発明のさらに別の態様では、RFコイル・アセンブリを製造する方法を開示している。本方法は、第1の誘導器アセンブリを第1のRFコイルと直列に接続すること、並びに第2の誘導器アセンブリを第2のRFコイルと直列に接続すること、を含んでいる。本方法はさらに、第1の誘導器アセンブリ及び第2の誘導器アセンブリを、これらの間の相互インダクタンスによって第1のRFコイルと第2のRFコイルが互いを基準としたコイル位置と無関係に実質的に分離されるように較正することを含んでいる。
【0011】
本発明に関する別の様々な特徴、目的及び利点は、以下の詳細な説明及び図面から明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図面では、本発明を実施するために目下のところ企図されている好ましい実施の一形態を図示している。
【0013】
図1を参照すると、本発明を組み込んでいる好ましい磁気共鳴イメージング(MRI)システム10の主要コンポーネントを表している。このシステムの動作は、キーボードその他の入力デバイス13、制御パネル14及び表示スクリーン16を含むオペレータ・コンソール12から制御を受けている。コンソール12は、オペレータが画像の作成及び表示スクリーン16上への画像表示を制御できるようにする独立のコンピュータ・システム20と、リンク18を介して連絡している。コンピュータ・システム20は、バックプレーン20aを介して互いに連絡している多くのモジュールを含んでいる。これらのモジュールには、画像プロセッサ・モジュール22、CPUモジュール24、並びに当技術分野でフレーム・バッファとして知られている画像データ・アレイを記憶するためのメモリ・モジュール26が含まれる。コンピュータ・システム20は、画像データ及びプログラムを記憶するためにディスク記憶装置28及びテープ駆動装置30とリンクしており、さらに高速シリアル・リンク34を介して独立のシステム制御部32と連絡している。入力デバイス13は、マウス、ジョイスティック、キーボード、トラックボール、タッチ作動スクリーン、光学読取り棒、音声制御器、あるいは同様な任意の入力デバイスや同等の入力デバイスを含むことができ、また入力デバイス13は対話式の幾何学的指定をするために使用することができる。
【0014】
システム制御部32は、バックプレーン32aにより互いに接続させたモジュールの組を含んでいる。これらのモジュールには、CPUモジュール36や、シリアル・リンク40を介してオペレータ・コンソール12に接続させたパルス発生器モジュール38が含まれる。システム制御部32は、実行すべきスキャンシーケンスを指示するオペレータからのコマンドをリンク40を介して受け取っている。パルス発生器モジュール38は、各システム・コンポーネントを動作させて所望のスキャンシーケンスを実行させ、発生させるRFパルスのタイミング、強度及び形状、並びにデータ収集ウィンドウのタイミング及び長さを指示するデータを発生させている。パルス発生器モジュール38は、スキャン中に発生させる傾斜パルスのタイミング及び形状を指示するために一組の傾斜増幅器42と接続させている。パルス発生装置モジュール38はさらに、生理学的収集制御器44から患者データを受け取っており、この生理学的収集制御器44は、患者に装着した電極からのECG信号など患者に接続した異なる多数のセンサからの信号を受け取っている。また最終的には、パルス発生器モジュール38はスキャン室インタフェース回路46と接続させており、スキャン室インタフェース回路46はさらに、患者及びマグネット系の状態に関連付けした様々なセンサからの信号を受け取っている。このスキャン室インタフェース回路46を介して、患者位置決めシステム48はスキャンのために患者を所望の位置に移動させるコマンドを受け取っている。
【0015】
パルス発生器モジュール38が発生させる傾斜波形は、Gx増幅器、Gy増幅器及びGz増幅器を有する傾斜増幅器システム42に加えられる。各傾斜増幅器は、収集した信号の空間エンコードに使用する磁場傾斜を生成させるように全体を番号50で示す傾斜コイル・アセンブリ内の対応する物理的傾斜コイルを励起させている。傾斜コイル・アセンブリ50は、偏向用マグネット54及び全身用RFコイル56を含んでいるマグネット・アセンブリ52の一部を形成している。システム制御部32内の送受信器モジュール58は、RF増幅器60により増幅を受け送信/受信スイッチ62によりRFコイル56に結合するようなパルスを発生させている。患者内の励起された原子核が放出して得た信号は、同じRFコイル56により検知し、送信/受信スイッチ62を介して前置増幅器64に結合させることができる。増幅したMR信号は、送受信器58の受信器部分で復調され、フィルタ処理され、さらにディジタル化される。送信/受信スイッチ62は、パルス発生器モジュール38からの信号により制御し、送信モードではRF増幅器60をコイル56と電気的に接続させ、受信モードではコイル56に前置増幅器64を接続させている。送信/受信スイッチ62によりさらに、送信モードと受信モードのいずれに関しても同じ単独のRFコイル(例えば、表面コイル)を使用することが可能となる。
【0016】
RFコイル56により取り込まれたMR信号は送受信器モジュール58によりディジタル化され、システム制御部32内のメモリ・モジュール66に転送される。未処理のk空間データのアレイをメモリ・モジュール66に収集し終わると1回のスキャンが完了となる。この未処理k空間データは、各画像を再構成させるように別々のk空間データ・アレイの形に配置し直しており、これらの各々は、データをフーリエ変換して画像データのアレイにするように動作するアレイ・プロセッサ68に入力される。この画像データはシリアル・リンク34を介してコンピュータ・システム20に送られ、コンピュータ・システム20において画像データはディスク記憶装置28内などの記憶装置内に記憶される。この画像データは、オペレータ・コンソール12から受け取ったコマンドに応じて、テープ駆動装置30上などの長期記憶内にアーカイブしたり、画像プロセッサ22によりさらに処理してオペレータ・コンソール12に伝達しディスプレイ16上に表示させたりすることができる。
【0017】
本発明は、上で言及したMRシステムや、MR画像を取得するための同様または同等の任意のシステムと一緒に使用するのに適した方法及びシステムを含む。本発明は肩部コイル・アセンブリに関して記載することにするが、本発明は別のコイル・アセンブリを用いても同様に適用可能である。限定ではなく単に一例として、本発明は、膝部コイル・アセンブリを用いた適用が可能である。
【0018】
ここで図2を参照すると、RFコイル・アセンブリ70を表している。RFコイル・アセンブリ70は、患者の肩部からデータを収集するための表面コイル・アセンブリとすることがある。MR画像は、例えば、MRシステム10の撮像ボリューム内で患者の肩部のごく近傍にRFコイル・アセンブリ70を配置させることによって収集することがある。RFコイル・アセンブリ70は、x軸72、y軸74、及びz軸76によって表される3次元空間を占有している。RFコイル・アセンブリ70は、第1の移動可能コイルループ78及び第2の移動可能コイルループ80を含んでいる。第1の移動可能コイルループ78は、x軸72とz軸76によって形成される1つの面に沿って配置されているように表している。第2の移動可能なコイルループ80は第1の移動可能なコイルループ78と平行であり、x軸72とz軸76によって形成される第2の面に沿って配置されているように表している。
【0019】
この第1の移動可能コイルループ78と第2の移動可能コイルループ80に通電しかつ互いに近づけて配置させると、これらのコイルループの間に相互インダクタンスが形成される。この相互インダクタンスの大きさは第1の移動可能コイルループ78と第2の移動可能コイルループ80の間の距離(図示した例ではy軸74に沿った距離)が減少すると増加する。第1の移動可能コイルループ78と第2の移動可能コイルループ80の間に形成される相互インダクタンスは、これらの間の距離が増加するとその大きさが減少する。
【0020】
上述したRFコイル・アセンブリ70の向きは、記載した実施形態に限定されるものではない。例えば、そのコイルループの向きがx軸72とy軸74によって形成される1つの面に沿って位置しており、一方これらの間の距離がz軸76に沿って変化することがある。コイルループの向きはさらに、y軸74とz軸76によって形成される1つの面に沿って位置しており、一方これらの間の距離がx軸72に沿って変化することもある。さらに、コイルループの向きは、x軸72、y軸74及びz軸76からなる任意の組み合わせによって形成される1つの面に沿って位置することもある。
【0021】
図2に示すRFコイル・アセンブリでは、概して正方形をした第1の移動可能コイルループ78と第2の移動可能コイルループ80を表しているが、別の形状も可能でありこれらも企図されることは当業者であれば理解されよう。
【0022】
図3は、第1の移動可能コイルループ78と第2の移動可能コイルループ80の間にコイルループ離間の関数として形成されることがある相互インダクタンスの一例を表したグラフである。相互インダクタンスの曲線82は全体として、第1の移動可能コイルループ78と第2の移動可能コイルループ80の直線的離間を増大させるに従って相互インダクタンスの大きさが減少することを示すように表している。逆に、第1の移動可能コイルループ78と第2の移動可能コイルループ80の直線的離間が低下するのに従って、その相互インダクタンスの大きさは増加する。相互インダクタンスすなわち結合が増加すると、一方のコイルループの電流及び電圧の変化がもう一方のコイルループの電流及び電圧に及ぼす影響が増加する。上で述べたように、コイルループが結合すると、コイルループの離調、コイルループに対する荷重、及び画質の劣化を生じさせることがある。コイルループの結合を実質的に最小限にさせると、一方のコイルループの電流及び電圧の変化がもう一方に及ぼす影響が減少し、これによって画質が回復される。
【0023】
本発明による相互インダクタンス補償回路84を図4に表している。相互インダクタンス補償回路84は、x軸90、y軸92及びz軸94によって表される3次元空間を占有する第1の誘導器アセンブリ86及び第2の誘導器アセンブリ88を含んでいる。第1の誘導器アセンブリ86と第2の誘導器アセンブリ88を互いに重複させると、これらの誘導器アセンブリの結合がこれらの間に形成される。これらの誘導器アセンブリの相互インダクタンスは、その重複の量が減少すると低下する。第1の誘導器アセンブリ86と第2の誘導器アセンブリ88は、これら誘導器アセンブリが重複したときにこれらの間に位相が負の相互インダクタンスが形成されるように較正している。この位相が負の相互インダクタンスの大きさは、第1の移動可能コイルループ78と第2の移動可能コイルループ80を互いに対して移動させるのに伴ってこれらのコイルループ間に形成される相互インダクタンスの大きさと実質的に等しい。したがって、以下に記載するように、これら誘導器アセンブリに関する位相が負の相互インダクタンスは、RFコイルの位置によって変化し、これによって第1の移動可能コイルループ78と第2の移動可能コイルループ80の間に形成される相互インダクタンスを相殺させるか、実質的に最小限にすることができる。
【0024】
第1の誘導器アセンブリ86と第2の誘導器アセンブリ88の間に形成される相互インダクタンスを図5に表している。相互インダクタンスの曲線96で表しているように、これらの誘導器アセンブリに関する相互インダクタンスの大きさは、これらの間の重複を低下させるのに従って減少する。逆に、これらの誘導器アセンブリに関する相互インダクタンスの大きさは、これらの間の重複を増大させるのに従って増加する。すなわち、誘導器アセンブリの相対的変位は、これらの間の相互インダクタンスの量に対して逆の影響を及ぼしている。
【0025】
図6は、RFコイル・アセンブリ100に組み込まれた相互インダクタンス補償回路98の実施の一形態を表している。相互インダクタンス補償回路98の第1の誘導器アセンブリ102は、RFコイル・アセンブリ100の第1の移動可能コイルループ104と直列に接続し、かつこの第1の移動可能コイルループ104の面から第2の移動可能コイルループ108の方向に直角に延びるように製作している。第2の誘導器アセンブリ106は、RFコイル・アセンブリ100の第2の移動可能コイルループ108と直列に接続し、かつこの第2の移動可能コイルループ108の面から第1の移動可能コイルループ104の方向に直角に延びるように製作している。このRFコイル・アセンブリ100は、第1の移動可能コイルループ104が第2の移動可能コイルループ108と平行になるようにして製作している。この方式では、関心対象ボリュームの大きさが変化するのに伴って、これらコイルループの間の直線距離を関心対象ボリュームの大きさに応じて変化させることができる。
【0026】
誘導器アセンブリ102、106は、第1の移動可能コイルループ104と第2の移動可能コイルループ108の間の距離の変化に従って重複させるように製作している。相互インダクタンス補償回路98は、第1の誘導器アセンブリ102と第2の誘導器アセンブリ106を重複させるのに伴って、これらの間の相互インダクタンスの大きさが、第1の移動可能コイルループ104と第2の移動可能コイルループ108を互いに対して移動させるのに連れてこれらコイルループの間に形成される相互インダクタンスと実質的に等しくかつ位相及び極性が反対となるように較正している。第1の移動可能コイルループ104と第2の移動可能コイルループ108の間の距離が減少すると、これらの間に形成される相互インダクタンスは増加し、また第1の誘導器アセンブリ102と第2の誘導器アセンブリ106の重複は増加する。誘導器アセンブリの重複が増加することによって、これらの間に形成される相互インダクタンスの大きさは、コイルループの間の距離の減少に伴って増大したコイルループの大きさと実質的に等しくなるように増加する。第1の移動可能コイルループ104と第2の移動可能コイルループ108の間の距離が増加すると、これらの間に形成される相互インダクタンスが低下し、また第1の誘導器アセンブリ102と第2の誘導器アセンブリ106の重複が低下する。誘導器アセンブリの重複が減少することによって、これらの間に形成される相互インダクタンスの大きさは、コイルループの間の距離の増加に伴って減少したコイルループの大きさと実質的に等しくなるように減少する。
【0027】
図7はRFコイル・アセンブリ110の別の実施形態を表している。図6のコイル・アセンブリ100と同様のRFコイル・アセンブリ110は、第1の移動可能コイルループ112を、回転軸116の周りで第2の移動可能コイルループ114を基準として回転可能として含んでいる。第1の移動可能コイルループ112と第2の移動可能コイルループ114の間に形成される角度118の大きさは、より広角度の関心対象ボリュームに対応するように大きくし、またより狭角度の関心対象ボリュームに対応するように小さくしている。角度118の大きさが大きくなると、第1の移動可能コイルループ112と第2の移動可能コイルループ114の間に形成される相互インダクタンスの大きさが増加する。逆に、角度118の大きさが小さくなると、第1の移動可能コイルループ112と第2の移動可能コイルループ114の間に形成される相互インダクタンスの大きさは低下する。
【0028】
第1の移動可能コイルループ112と第2の移動可能コイルループ114の結合を実質的に最小限にするため、相互インダクタンス補償回路120は、第1の誘導器アセンブリ122と第2の誘導器アセンブリ124が重複するのに伴って、これらの間に形成される相互インダクタンスの大きさが、第1の移動可能コイルループ112と第2の移動可能コイルループ114が回転軸116の周りで互いに対して回転するのに伴ってこれらのコイルループの間に形成される相互インダクタンスと実質的に等しくかつ位相及び極性が反対となるようにして製作しかつ較正している。相互インダクタンス補償回路120はさらに、第1の誘導器アセンブリ122と第2の誘導器アセンブリ124の間の相互インダクタンスが、角度118の大きさが増加するのに伴って増加し、かつ角度118の大きさが減少するのに伴って低下するようにして製作している。
【0029】
図7の相互インダクタンス補償回路120は、第1の誘導器アセンブリ122及び第2の誘導器アセンブリ124を含んでいる。第1の誘導器アセンブリ122は、回転軸116の近傍で第1の移動可能コイルループ112と直列とし、かつ回転軸116から関心対象ボリュームの方向と反対の方向に延びるように製作している。第2の誘導器アセンブリ124は、回転軸116の近傍で第2の移動可能コイルループ114と直列とし、かつ回転軸116から関心対象ボリュームの方向と反対の方向に延びるように製作している。この第1の誘導器アセンブリ122と第2の誘導器アセンブリ124はさらに、これらの誘導器間の幅(すなわち、離間)がコイルループ回転の間に重複領域に関して実質的に一定に維持されるようにして、互いの方向に曲線式で延びている。
【0030】
本発明は、互いに対して移動可能な一対のRFコイルを含んだRFコイル・アセンブリを含む。本RFコイル・アセンブリは、RFコイルの一方と直列とした第1の誘導器アセンブリと、もう一方のRFコイルと直列とした第2の誘導器アセンブリと、を含んでいる。これらの誘導器アセンブリの間に形成される相互インダクタンスは、この一対のRFコイルの間に形成される相互インダクタンスと極性が反対でありかつ大きさが実質的に等しい。
【0031】
本発明の別の実施形態では、MRI装置は、偏向磁場を印加するようにマグネットのボアの周りに位置決めした複数の傾斜コイルを有する磁気共鳴イメージング(MRI)システムと、MR画像を収集するためにRFコイル・アセンブリにRF信号を送信するようにパルスモジュールによって制御を受けるRF送受信器システム及びRFスイッチと、を含んでいる。このRFコイル・アセンブリはさらに、第1の移動可能コイルループ及び第2の移動可能コイルループを含んでいる。また、RFコイル・アセンブリはさらに、第1及び第2の移動可能コイルループと接続させた相互インダクタンス補償回路を含んでおり、これによってこの補償回路は、第1のコイルループと第2のコイルループの結合を互いを基準としたコイルループ位置と無関係に最小限にさせるようなインダクタンスを発生させている。
【0032】
本発明のさらに別の実施形態では、RFコイル・アセンブリを製造する方法は、第1の誘導器アセンブリを第1のRFコイルと直列に接続する工程と、第2の誘導器アセンブリを第2のRFコイルと直列に接続する工程と、を含んでいる。本方法はさらに、第1の誘導器アセンブリ及び第2の誘導器アセンブリを、その間の相互インダクタンスによって第1のRFコイルと第2のRFコイルが互いを基準としたコイル位置と無関係に実質的に分離されるように較正することを含んでいる。
【0033】
本発明を好ましい実施形態について記載してきたが、明示的に記述した以外に等価、代替及び修正が可能であり、これらも添付の特許請求の範囲の域内にあることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明と共に使用するMRイメージング・システムの概要ブロック図である。
【図2】従来技術の肩部コイル・アセンブリの概要図である。
【図3】図2の肩部コイル・アセンブリの相互インダクタンスを、これらのコイル間の離間を変化させながら表したグラフである。
【図4】本発明による相互インダクタンス補償回路の概要図である。
【図5】図4の相互インダクタンス補償回路の相互インダクタンスを、誘導器アセンブリの相対的位置を変化させながら表したグラフである。
【図6】本発明の実施の一形態によるRFコイル・アセンブリの概要図である。
【図7】本発明によるRFコイル・アセンブリの別の実施形態の概要図である。
【符号の説明】
【0035】
10 磁気共鳴イメージング(MRI)システム
12 オペレータ・コンソール
13 入力デバイス
14 制御パネル
16 表示スクリーン、ディスプレイ
18 リンク
20 コンピュータ・システム
20a バックプレーン
22 画像プロセッサ・モジュール
24 CPUモジュール
26 メモリ・モジュール
28 ディスク記憶装置
30 テープ駆動装置
32 システム制御部
32a バックプレーン
34 高速シリアル・リンク
36 CPUモジュール
38 パルス発生器モジュール
40 シリアル・リンク
42 傾斜増幅器
44 生理学的収集制御器
46 スキャン室インタフェース回路
48 患者位置決めシステム
50 傾斜磁場コイル・アセンブリ
52 マグネット・アセンブリ
54 偏向用マグネット
56 RFコイル
58 送受信器モジュール
60 RF増幅器
62 送信/受信スイッチ
64 前置増幅器
66 メモリ・モジュール
68 アレイ・プロセッサ
70 RFコイル・アセンブリ
72 x軸
74 y軸
76 z軸
78 第1の移動可能コイルループ
80 第2の移動可能コイルループ
82 相互インダクタンス
84 相互インダクタンス補償回路
86 第1の誘導器アセンブリ
88 第2の誘導器アセンブリ
90 x軸
92 y軸
94 z軸
96 相互インダクタンス
98 相互インダクタンス補償回路
100 RFコイル・アセンブリ
102 第1の誘導器アセンブリ
104 第1の移動可能コイルループ
106 第2の誘導器アセンブリ
108 第2の移動可能コイルループ
110 RFコイル・アセンブリ
112 第1の移動可能コイルループ
114 第2の移動可能コイルループ
116 回転軸
118 角度
120 相互インダクタンス補償回路
122 第1の誘導器アセンブリ
124 第2の誘導器アセンブリ
【出願人】 【識別番号】300019238
【氏名又は名称】ジーイー・メディカル・システムズ・グローバル・テクノロジー・カンパニー・エルエルシー
【出願日】 平成16年7月8日(2004.7.8)
【代理人】 【識別番号】100093908
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 研一

【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博

【識別番号】100106541
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 信和

【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久

【公開番号】 特開2005−28141(P2005−28141A)
【公開日】 平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願番号】 特願2004−201254(P2004−201254)