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【発明の名称】 寝台移動式MRI向けのスライス選択磁化プリパレーションの方法及び装置
【発明者】 【氏名】オジット・シャンカラナラヤナン

【氏名】ジーン・エイチ・ブリテン

【要約】 【課題】寝台移動式MRI向けのスライス選択磁化プリパレーションを達成させることが可能なシステム及び方法を提供する。

【解決手段】本発明は、撮像過程中の患者移動または並進を考慮に入れているような磁化プリパレーションの方法(100)を含む。本発明は、プリパレーション・パルス(72)を空間的にオフセットさせるために磁化プリパレーション・パルスを印加させる周波数(108)を調整または修正している。これによって、プリパレーション・パルス(72)を撮像パルスと交互配置させることが可能となり、また具体的なMR検査向けに規定されるその他の撮像変数またはパラメータを犠牲にしていない磁化プリパレーションが可能となる。このため、再構成画像内のコントラストが改善される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
寝台移動式MRI向けのスライス選択磁化プリパレーションの方法であって、
固定の撮像スライスを規定するステップと、
前記固定の撮像スライスの外部にある関心領域に対するプリパレーションのためにプリパレーションRFパルス(72)を印加するステップと、
前記プリパレーションした関心領域を前記固定の撮像スライスまで並進させるステップと、
前記固定の撮像スライスに撮像RFパルス(74)を印加し、前記プリパレーションした関心領域のMRデータを収集するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記関心領域は前記固定の撮像スライスと同じ幅を有している、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記固定の撮像スライスと異なる関心領域にプリパレーションRFパルスを印加し、かつ前記固定の撮像スライスの位置に存在する関心領域からMRデータを収集するステップをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
プリパレーションRFパルスの印加を並進方向の関数としてオフセットさせるステップ(110)をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
プリパレーションRFパルスの印加を並進と反対方向にオフセットさせるステップ(110)をさらに含む請求項4に記載の方法。
【請求項6】
ユーザ規定のTIにおける並進距離、撮像ボリュームに加えるスライス選択傾斜の振幅、及び磁気回転比の積からオフセット値を決定するステップ(108)をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項7】
撮像ボリュームを通過させて被検体を連続的に並進させるステップをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項8】
スピンを空間エンコードするためにマグネット(54)のボアの周りに位置決めした複数の傾斜コイル(50)、並びにRFコイル・アセンブリ(50)にRF信号を送信してMR画像を収集するようにパルスモジュール(38)によって制御を受けているRF送受信器システム(58)及びRFスイッチ(62)を有する磁気共鳴イメージング(MRI)システム(10)と、
コンピュータ(20a)であって、
撮像ボリュームを通過させて連続的に並進させている被検体のデータを収集するパルスシーケンス向けのプリパレーション間隔TIを規定しているユーザ入力を受け取ること(104)、
前記プリパレーション間隔から、前記パルスシーケンスのプリパレーションRFパルスに与える周波数オフセット値foffを決定すること(108)、
撮像ボリュームを通過する被検体の並進を考慮するように前記プリパレーションRFパルスの印加を修正すること(110)、
前記プリパレーションRFパルスが前記オフセット値だけ修正を受けているような修正版パルスシーケンスを作成すること(112)、
を実行するようにプログラムされたコンピュータ(20a)と、
を備えるMRI装置。
【請求項9】
前記オフセット値が、γを磁気回転比、AssをプリパレーションRFパルスの間に加えられるスライス選択傾斜の振幅、vを並進させる被検体の速度、またTIをプリパレーション間隔として次式、
off=γ*Ass*v*TI、
によって規定される、請求項8に記載のMRI装置。
【請求項10】
前記コンピュータ(20a)がさらに、被検体の並進方向を決定し、かつ該被検体並進と反対の方向で前記オフセット値をプリパレーションRFパルスに与えるようにプログラムされている、請求項8に記載のMRI装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、全般的にはMRイメージングに関し、さらに詳細には、寝台移動式MRI向けのスライス選択磁化プリパレーションの方法及び装置に関する。より具体的には、本発明は、MRシステムの撮像ボリュームを通過させて移動式寝台によって並進させる患者に関する全身アキシャル撮像のためのパルスシーケンスにおける、例えば反転回復パルスなどのプリパレーションRFパルスのタイミング及び配置に関する。
【背景技術】
【0002】
人体組織などの物質を均一な磁場(偏向用磁場B0)にかけると、組織中のスピンの個々の磁気モーメントはこの偏向用磁場と整列しようとして、この周りをラーモアの特性周波数で無秩序に歳差運動することになる。この物質(または、組織)に、x−y平面内にありラーモア周波数に近い周波数をもつ磁場(励起磁場B1)がかけられると、正味の整列モーメントまたは「縦方向磁化」Mzは、x−y平面内に来るように回転させられ(すなわち、「傾けられ(tipped)」)、正味の横方向磁気モーメントMtが生成される。励起信号B1を停止させた後、励起したスピンにより信号が放出され、さらにこの信号を受信し処理して画像を形成することができる。
【0003】
これらの信号を用いて画像を作成する際には、磁場傾斜(Gx、Gy及びGz)が利用される。典型的には、撮像しようとする領域は、使用する具体的な位置特定方法に従ってこれらの傾斜を変更させている一連の計測サイクルによりスキャンを受ける。結果として得られる受信NMR信号の組は、ディジタル化され処理され、よく知られている多くの再構成技法のうちの1つを用いて画像が再構成される。
【0004】
寝台移動式MRIは、比較的短時間での全身撮像を可能にするようなMR撮像技法の1つである。理想的には、撮像ボリュームを通過させた患者の連続並進を用いれば、胸部、腹部及び骨盤部に関するMRデータを単一の呼吸停止により収集することが可能である。さらに、寝台移動式のMR検査は、固定式すなわち寝台移動式でない検査に匹敵するような画質、コントラスト及び分解能を提供できることが好ましい。寝台固定式検査は、再構成画像におけるコントラストを向上させるために、反転回復(IR)や飽和回復などのコントラスト−プリパレーション技法を実施することが多い。これらの撮像技法は、撮像RFパルス及び読み出し傾斜磁場パルスを印加する前に、空間選択性のRFパルス、あるいは空間及びスペクトル選択性のRFパルスを、ある固定の時間間隔で利用している。しかし、これら従来の撮像プロトコルは、寝台移動式MRIでは最適ではない。
【0005】
その名称が示すように、寝台移動式MRIは、撮像過程の間に撮像ボリュームを通過するように患者を並進させるために寝台を使用している。この寝台は、MRシステムの撮像ボアを通過させるように患者を漸増式や連続式で移動させることがある。寝台移動式MRIでは、寝台固定式の撮像技法と異なり、データの収集中に患者を並進または移動させている。このため、撮像ボアに対して固定した患者のある具体的なスライスまたはスラブにプリパレーション用RFパルスをある一瞬加えると、プリパレーション用パルスを受けた組織が時間の経過と共に寝台移動方向に動くことになる。したがって、データ収集のための標識付けを受けた関心領域または関心対象ボリュームは、スライスまたはスラブから外れるように移動し、このために収集用データを提示しないことがある。
【0006】
静止した寝台上に位置決めした患者のT1強調画像を取得するための標準的なIRパルスシーケンス2を、図4においてグラフで表している。周知のように、組織内のスピンの磁気モーメントは、均一なB0磁場に患者を配置させることによって均一に整列させている。次いで、この磁化3は、RF反転パルス4(すなわち、180度のフリップ角)を撮像ボリュームに与えることによって反転させている。この反転回復パルスの印加と同時に、撮像ボリュームを選択的にエンコードするスライス選択傾斜5を与えている。IRパルス4を印加した後、その組織を特徴付けるT1及びT2に従ったこの磁化3の回復及び減衰を可能にさせる反転回復時間TIを観測する。TIがより長いほど、磁化の回復及び減衰はそれだけ大きくなる。TIが経過した時点で、別のRFパルス6並びにスライス選択傾斜7を加える。このRFパルス6のことは一般に、撮像パルスと云う。RFパルス6は、組織内のスピンの磁化を横断面まで戻すように駆動させるために印加している。RFパルス6はTIの時点で印加されることが好ましいため、ゼロ磁化を有していたスピンはヌル(nulled)となる。図示したように、T1強調イメージングでは、非ヌルの磁化からMRデータを収集するためのRFパルス6後に比較的速やかに、撮像モジュール8(すなわち、位相エンコード及び周波数エンコード傾斜)を印加している。
【0007】
寝台移動式MRIに適用する場合、IRパルスが向けられた先のスピンは、TIの間に平衡な縦磁化の方向に回復するだけではなく、寝台移動方向への移動もしている。その具体的な撮像セッション及び寝台並進速度に合わせて設定されたスライス/スラブ厚に応じて、そのスピンは、TIが経過した時点ではもはや関心対象のスライス、スラブまたはボリュームの内部にないことがあり、このため、読み出しの間で検出できないことがある。
【0008】
可能な解決法の1つは、TI周期を変更させるように、プリパレーションRFパルスを基準として撮像RFパルスのタイミングを調節することである。しかし、ユーザは適当なTI周期を、典型的には目標となる組織のT1値の関数として選択している。反転RFパルスなどのプリパレーションRFパルスは横断面下にを駆動させるため、この磁化は、逆すなわち負の磁化から正の磁化の方向に向かって増加することになる。このためTIを調整すると、プリパレーションRFパルスで求められる結果が達成されず、これによって画像コントラスト並びに画像強度に影響を及ぼすことになるが、このいずれの場合も再構成画像の診断価値にマイナスの影響を及ぼす可能性がある。
【0009】
提唱されている別の解決法は、TIの間、すなわち磁化が回復するのに連れて撮像データを収集することである。しかし、磁化が反転から完全な回復まで近づく間に撮像ボリュームからデータを収集する場合、画像コントラストはスライスごとに変化することになる。画像コントラストがスライスごとに変動することも再構成画像の診断価値にマイナスの影響を及ぼす。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、寝台移動式MRI向けのスライス選択磁化プリパレーションを達成させることが可能なシステム及び方法があることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上述の欠点を克服している、撮像ボリュームを通過するように移動式寝台によって並進させている患者を撮像するためのスライス選択磁化プリパレーションのシステム及び方法を提供する。
【0012】
寝台移動式MRIは、全身検査を比較的短時間で完了することが可能である。本発明は、寝台移動式MRI向けのスライス選択磁化プリパレーションを目的としている。本発明は、傾斜エコーまたはスピンエコー撮像技法に適しており、撮像過程の間の患者の移動または並進を考慮に入れているような磁化プリパレーションの方法を含む。この点において、本発明は、磁化プリパレーション・パルスを印加する周波数を、当該のMR検査に関して規定しているその他の撮像変数やパラメータを犠牲にすることなく調整または修正している。このため、再構成画像内のコントラストが改善される。
【0013】
したがって、本発明の一態様によれば、寝台移動式MRI向けのスライス選択磁化の方法は固定の撮像スラブを規定するステップを含む。この方法はさらに、この固定の撮像スラブの外部にある関心領域に対するプリパレーションのためにプリパレーションRFパルスを印加するステップを含む。次いで、このプリパレーションした関心領域は、固定の撮像スラブまで並進させ、ここにおいてプリパレーションした関心領域のMRデータを収集するためにこの固定の撮像スラブに撮像RFパルスを印加している。
【0014】
本発明の別の態様によれば、MRI装置は、偏向磁場を加えてスピンを空間エンコードするようにマグネットのボアの周りに位置決めした複数の傾斜コイルを有するMRIシステムを含んでいる。RF送受信器システム及びRFスイッチは、MR画像を収集するためにRF信号をRFコイル・アセンブリに送信しかつRFコイル・アセンブリからRF信号を受信するようにパルスモジュールによって制御されている。このMRI装置はさらに、撮像ボリュームを通過させて連続的に並進させている被検体のデータを収集するためのパルスシーケンス用のプリパレーション間隔(例えば、TI)を特定しているユーザ入力を受け取るようにプログラムされたコンピュータを含んでいる。コンピュータは、このプリパレーション間隔から、撮像ボリュームを通過する被検体の並進を考慮するようにプリパレーションRFパルスの印加を修正するために、そのパルスシーケンスのプリパレーションRFパルスに与えるオフセット値(foff)を決定するようにプログラムされている。このコンピュータはさらに、そのプリパレーションRFパルスの印加がオフセット値だけ修正を受けているような修正版パルスシーケンスを作成するようにプログラムされている。
【0015】
本発明の別の態様によれば、本発明は、コンピュータ読み取り可能記憶媒体上に格納されていると共に、コンピュータによって実行させたときに、撮像ボリュームを通過するように移動式寝台によって患者を並進させる間に患者のプリパレーションした組織のスピンを移動させる距離をそのコンピュータに決定させる命令を有しているようなコンピュータ・プログラムの形で具現化される。このコンピュータに対してはさらに、この距離から、関心対象のプリパレーション・ボリュームを決定させている。これらの命令はさらに、コンピュータに対して、関心対象のプリパレーション・ボリュームを固定の撮像ボリューム内に来る前にプリパレーションさせるようにして、固定の撮像ボリュームを通過するように並進させている患者からデータを収集するための撮像シーケンスを生成させている。
【0016】
本発明のその他の様々な特徴、目的及び利点は、以下の詳細な説明及び図面より明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図面では、本発明を実施するように目下のところ企図されている好ましい実施の一形態を図示している。
【0018】
撮像ボリュームを通過するように連続的に並進させている患者を基準として位置を固定させたスライス、スラブまたはボリュームの磁化をプリパレーションするようなシステムを表している。当業者であれば、本発明が単一スライス型のプリパレーション、多重スライス型または多重スラブ型のプリパレーション、あるいはボリューム・プリパレーションと共に利用可能であることを理解されよう。このため、これらの用語は本明細書の全体を通じて区別なく使用することがある。反転回復、傾斜エコー・パルスシーケンスに関連して本発明を記載することにするが、本発明は、スピンエコー・シーケンスと同様に、別のタイプのプリパレーションRFパルスにも同様に適用可能である。
【0019】
図1を参照すると、本発明を組み込んでいる好ましい磁気共鳴イメージング(MRI)システム10の主要コンポーネントを表している。本システムの動作は、キーボードその他の入力デバイス13、制御パネル14及び表示画面16を含むオペレータ・コンソール12から制御を受けている。コンソール12は、オペレータが画像の作成及び表示画面16上への画像表示を制御できるようにする独立のコンピュータ・システム20と、リンク18を介して連絡している。コンピュータ・システム20は、バックプレーン20aを介して互いに連絡している多くのモジュールを含んでいる。これらのモジュールには、画像プロセッサ・モジュール22、CPUモジュール24、並びに当技術分野でフレーム・バッファとして知られている画像データ・アレイを記憶するためのメモリ・モジュール26が含まれる。コンピュータ・システム20は、画像データ及びプログラムを記憶するためにディスク記憶装置28及びテープ駆動装置30とリンクしており、さらに高速シリアル・リンク34を介して独立のシステム制御部32と連絡している。入力デバイス13は、マウス、ジョイスティック、キーボード、トラックボール、タッチ作動スクリーン、光学読取り棒、音声制御器、あるいは同様な任意の入力デバイスや同等の入力デバイスを含むことができ、また入力デバイス13は対話式の幾何学的指定をするために使用することもある。
【0020】
システム制御部32は、バックプレーン32aにより互いに接続させたモジュールの組を含んでいる。これらのモジュールには、CPUモジュール36や、シリアル・リンク40を介してオペレータ・コンソール12に接続させたパルス発生器モジュール38が含まれる。システム制御部32は、実行すべきスキャンシーケンスを指示するオペレータからのコマンドをリンク40を介して受け取っている。パルス発生器モジュール38は、各システム・コンポーネントを動作させて所望のスキャンシーケンスを実行させ、発生させるRFパルスのタイミング、強度及び形状、並びにデータ収集ウィンドウのタイミング及び長さを指示しているデータを発生させている。パルス発生器モジュール38は、スキャン中に発生させる傾斜パルスのタイミング及び形状を指示するために一組の傾斜増幅器42と接続させている。パルス発生器モジュール38はさらに、患者に接続した多数の異なるセンサからの信号(例えば、患者に装着した電極からのECG信号)を受け取っている生理学的収集制御器44から患者データを受け取ることができる。また最終的には、パルス発生器モジュール38はスキャン室インタフェース回路46と接続させており、スキャン室インタフェース回路46はさらに、患者及びマグネット系の状態に関連する様々なセンサからの信号を受け取っている。このスキャン室インタフェース回路46を介して、患者位置決めシステム48はスキャンのために患者を所望の位置に移動させるコマンドを受け取っている。
【0021】
パルス発生器モジュール38が発生させる傾斜波形は、Gx増幅器、Gy増幅器及びGz増幅器を有する傾斜増幅器システム42に加えられる。各傾斜増幅器は、収集した信号の空間的エンコードに使用する磁場傾斜を生成させるように傾斜コイル・アセンブリ(全体を番号50で示す)内の物理的に対応する傾斜コイルを励起させている。傾斜磁場コイル・アセンブリ50は、偏向用マグネット54及び全身用RFコイル56を含んでいるマグネット・アセンブリ52の一部を形成している。システム制御部32内の送受信器モジュール58は、RF増幅器60により増幅を受け送信/受信スイッチ62によりRFコイル56に結合するようなパルスを発生させている。患者内の励起された原子核が放出して得た信号は、同じRFコイル56により検知し、送信/受信スイッチ62を介して前置増幅器64に結合させることができる。増幅されたMR信号は、送受信器58の受信器部分で復調され、フィルタ処理され、さらにディジタル化される。送信/受信スイッチ62は、パルス発生器モジュール38からの信号により制御し、送信モードではRF増幅器60をコイル56と電気的に接続させ、受信モードでは前置増幅器64をコイル56と電気的に接続させる。送信/受信スイッチ62によりさらに、送信モードと受信モードのいずれに関しても同じ単独のRFコイル(例えば、表面コイル)を使用することが可能となる。
【0022】
RFコイル56により取り込まれたMR信号は送受信器モジュール58によりディジタル化され、システム制御部32内のメモリ・モジュール66に転送される。未処理のk空間データのアレイをメモリ・モジュール66に収集し終わると、1回のスキャンが完了となる。この未処理のk空間データは、各画像を再構成させるように別々のk空間データ・アレイの形に配置し直している。さらに、これらの各々は、データをフーリエ変換して画像データのアレイにするように動作するアレイ・プロセッサ68に入力される。この画像データはシリアル・リンク34を介してコンピュータ・システム20に送られ、コンピュータ・システム20において画像データはディスク記憶装置28内などのメモリ内に記憶される。この画像データは、オペレータ・コンソール12から受け取ったコマンドに応じて、テープ駆動装置30上などの長期記憶内にアーカイブしたり、画像プロセッサ22によりさらに処理してオペレータ・コンソール12に伝達したりディスプレイ16上に表示させたりすることができる。
【0023】
本発明は、寝台移動式MRI向けの磁化プリパレーションの方法及びシステムを目的としている。本発明は特に全身アキシャル撮像に関して適用可能であるが、別の撮像プロトコルに関しても同様に適用可能である。さらに、本発明を、患者の連続した並進に関連して記載することにするが、増分式の患者並進にも適用可能である。さらに、反転回復プリパレーション・シーケンスという特定の例に関して本発明を記載することにするが、別のタイプの磁化プリパレーションに関しても同様に適用可能である。
【0024】
パルスシーケンスのプリパレーションRFパルス及び撮像励起RFパルスは一般に、MRシステムのマグネットを基準とした同じスライスまたはボリュームを励起するものと理解される。すなわち、寝台移動式MRIでは、MRマグネットを基準として固定に保たれたスライスまたはスラブが、撮像軸すなわちz軸に沿って規定される。このため、この撮像軸に沿って患者を並進または移動させると、異なる解剖領域が異なる時点において関心対象のスライスまたはスラブを通過することになる。このため、例えば、患者の骨盤部、腹部及び胸部領域を単一の呼吸停止で撮像することができる。しかし上で指摘したように、関心対象の組織または領域(あるいは、その一部分)は、プリパレーションRFパルスの印加後でありかつデータ収集前に、固定のスライスまたはスラブを通過することがあり、このためその関心領域が(まったく撮像されないのではないにしても)完全には撮像されないことがある。
【0025】
したがって、本発明に従った図2を参照すると、寝台移動式MRI向けの磁化プリパレーションのための磁化プリパレーション及び撮像RFパルスによって選択されるスライスの空間的関係を表した図70を示している。標準的な撮像シーケンスの場合と同様に、図70は、IRモジュールすなわちプリパレーション・モジュール72と、メインモジュールすなわち撮像モジュール74と、を含んでいる。IRモジュール72は、プリパレーションRFパルス、すなわち180度のフリップ角を有する反転回復パルス、並びに横断面内まで誤って傾けられた磁化をすべてディフェーズさせるためのスポイラ傾斜の印加を意味している。このプリパレーションRFパルスは、空間選択性のRFパルスや、空間及びスペクトル選択性のRFパルスとすることができる。モジュール74は、撮像RFパルス、並びにこれに続くエンコード及び読み出し傾斜を意味している。本発明は、エコープラナー・イメージング、らせんイメージング、投影再構成、及び高速スピンエコーなどの高速型イメージングの変形形態を含むような傾斜及びスピンエコーの撮像技法に適用可能であることに留意すべきである。
【0026】
図2に示すように、IRモジュール72は、空間的と時間的の両方に関して撮像モジュール74の前に発生している。すなわち、寝台が患者を並進方向に移動させると、先ず、撮像ボリュームと異なる関心対象ボリューム(いずれも、MRマグネットを基準とする)を反転させるためにIRモジュールのパルスが印加され、続いて撮像モジュールのパルスがその後、事前規定のある時間周期TIにおいて印加される。患者は寝台移動方向と平行に移動させているため、患者の組織内のスピンは、これらのスピンが撮像ボリュームに到達するより時間的かつ空間的に前の点においてプリパレーションを受ける(すなわち、反転される)ことになる。以下で記載するように、これらのスピンには回復時間TIの関数であるような時点でプリパレーションRFパルスが加えられることになる。寝台が固定のスライスまたはスラブを通過するように患者を移動させる速度、並びにこの回復時間TIによって、撮像ボリュームからプリパレーション・ボリュームを離間させる距離が決定される。
【0027】
より詳細には以下に記載することにするが、IRモジュールは、IRパルスの印加時点においてMRマグネットを基準として固定された撮像ボリューム内にないような組織のスピンの組に対して印加される。すなわち、IRモジュールは、撮像ボリュームと異なる反転を受けたボリュームに印加される。患者はMRマグネットのボアを通るように連続的に並進させているため、反転させたボリュームのスピンが回復する間に撮像ボリュームに関するMRデータを収集することができる。このため、撮像ボリュームのスピンは、MRマグネットを基準として固定に保たれた撮像ボリュームに到達する前にプリパレーションを受けることができる。これによって、撮像ボリュームを通過するように患者を並進させるに従って患者の概ね連続したデータ収集が可能となり、一方同時に(すなわち、直ぐ後に撮像される組織が撮像ボリュームに入る前に)この直ぐ後に撮像される組織または反転ボリュームに対するプリパレーションが可能となる。このプリパレーション・シーケンスは、撮像シーケンスとで時間的に交互配置させることができる。この点において、この撮像ボリュームのデータ収集は反転回復時間TIによる影響が最小限となる。
【0028】
寝台連続移動式のMRIでは、ある特定のスピンを単一の回復時間TI内に移動させる距離Distは、寝台または患者の速度vと、ユーザがそのスキャン検査の指定の際に設定したTIの値とに基づいて決定することができる。すなわち、IRパルスの印加に続くスピンによる移動距離は次式となる。
【0029】
ist=v・TI (式1)
回復時間と寝台の移動速度の積から、パルス周波数オフセット値foffは、次式に従って決定することができる。
【0030】
off=γ・Ass・Dist (式2)
上式において、γは42.58×106Hz/Tの磁気回転比を意味し、AssはプリパレーションRFパルスの間に印加されるスライス選択傾斜の振幅を意味している。パルス周波数オフセット値は、寝台移動がない場合に印加されるプリパレーションRFパルスの標準周波数に対して与えられる。例えば、オペレータが100msのTIと1.25cm/秒の寝台速度を選択した場合には、このIRプリパレーションRFパルスに対する特定の周波数オフセット値となるようにDistは12.5mmとすることになる。反転パルスの印加は、対応するデータ組を収集する時刻と比べてTI時間だけ前になる。反転パルスシーケンスは撮像パルスシーケンスと交互配置させていること、並びに適当なデータ組の収集が開始されるとプリパレーションを受けたボリュームが寝台移動によって撮像ボリュームに入れられること、に留意すべきである。このオフセットは寝台移動と反対方向に与えているため、これによって、MRマグネットを基準として固定したスライスまたはスラブによって画定される撮像ボリュームまで寝台が空間的に移動するのに連れて反転を受けたボリュームは時間的に回復することができる。TI周期は同じに保つ。MRスキャナの最適ボリュームのサイズによって、プリパレーション・パルス及び撮像パルスによって選択するボリューム間の最大距離が制限を受けることに留意すべきである。したがって、Distは、その最適撮像ボリュームの寝台移動方向におけるサイズと比べてより小さくすべきである。さらに、プリパレーションRFパルスを撮像パルスと交互配置させているため、所望のコントラストを達成させながら効率のよいデータ収集とさせるような概ね連続したデータ収集が得られることにも留意すべきである。
【0031】
プリパレーションRFパルスをオフセットさせた周波数値で印加すると、データ収集の対象となるスピンが反転を受けた磁化からTIの間で回復できるだけではなく、プリパレーションを受けた磁化が、データ収集のための時間周期において現れるように、このスピンをこの同じTIの空間周期中に並進させることが可能となる。この点において、実施の一形態では、プリパレーションRFパルスは撮像RFパルスと同じスライス厚によって印加する(すなわち、繰り出す)ことがあり、また患者を1スライス厚分だけ並進させるのに寝台が要する時間量と一致させた間隔でこのプリパレーションRFパルスを反復させることがある。
【0032】
しかし、当業者であれば、プリパレーション・パルスの反復間隔、すなわち、プリパレーションRFパルスの印加の間の時間は、患者を1スライス厚分だけ並進させるのに寝台が要する時間とは異なる値に設定することも可能であることが理解されよう。さらに、プリパレーション・パルスと撮像RFパルスのスライス厚は異なることがあり、またこうすると反復間隔に影響が及ぶ可能性がある。さらに、プリパレーション・パルスの反復間隔は、具体的なMR検査向けに所望により変更することができる。コントラスト差並びに寝台移動式MRIの堅牢性をさらに強化するためには、異なるコントラスト特性や異なる画質が得られるように、寝台を移動させるに連れてそのプリパレーション・パルスの種類を変更することが可能である。また別の実施形態では、具体的な検査の目的に応じて、そのオフセットをTRごとに変更することが可能である。このため、解剖構造の様々な部分の撮像を異ならせることが可能である。この点において、本発明は、寝台移動式MRIのコントラスト及び有効性を向上させるだけではなく、その柔軟性及び画像コントラストの品質も向上させている。
【0033】
ここで図3を参照すると、本発明を実現している撮像方法の各ステップを表している。本方法100は、MRイメージングのために寝台上に患者を位置決めするステップ102において開始となる。このしばらく後に、MR技師または放射線医がステップ104において、目標組織のTR、T1及びT2値、撮像シーケンスの種類、印加するプリパレーション用パルスの種類、TI、フリップ角、寝台速度、スライス厚、k空間寸法、その他を含む可能性がある一連の撮像パラメータ識別子を入力する。入力された寝台速度及びTI値(あるいは、別の種類のコントラスト・プリパレーションではアナログ・パラメータ)から、特定された寝台速度でTI中にスピンを移動させる距離が、ステップ106において(式1)に従って決定される。(式1)によって決定された距離から、与えようとする周波数オフセットがステップ108において(式2)に従って決定される。プリパレーション・パルスの反復間隔及びタイミングはステップ110において決定される。ステップ104におけるユーザ入力、ステップ108における磁化プリパレーション・パルスのオフセット、並びにステップ110におけるプリパレーションRFパルスのタイミング及び反復間隔に従って、ステップ112において、ステップ104で特定した撮像パラメータに当てはまるパルスシーケンスを生成させている。次いでこのパルスシーケンスは、データ収集のために撮像ボリュームを通過させて患者を連続的に並進させながら、ステップ114において印加することができる。
【0034】
したがって、本発明の実施の一形態によれば、寝台移動式MRI向けのスライス選択磁化プリパレーションの方法は、固定の撮像スラブを規定するステップを含む。この方法はさらに、この固定の撮像スラブの外部にある関心領域に対するプリパレーションのためにプリパレーションRFパルスを印加するステップを含む。次いで、このプリパレーションした関心領域は、固定の撮像スラブまで並進させ、ここにおいてプリパレーションした関心領域のMRデータを収集するためにこの固定の撮像スラブに撮像RFパルスを印加している。
【0035】
本発明の別の実施形態によれば、MRI装置は、偏向磁場を加えてスピンを空間エンコードするようにマグネットのボアの周りに位置決めした複数の傾斜コイルを有するMRIシステムを含んでいる。RF送受信器システム及びRFスイッチは、MR画像を収集するためにRF信号をRFコイル・アセンブリに送信しかつRFコイル・アセンブリからRF信号を受信するようにパルスモジュールによって制御されている。このMRI装置はさらに、撮像ボリュームを通過させて連続的に並進させている被検体のデータを収集するためのパルスシーケンス用のプリパレーション間隔(例えば、TI)を特定しているユーザ入力を受け取るようにプログラムされたコンピュータを含んでいる。コンピュータは、このプリパレーション間隔から、撮像ボリュームを通過する被検体の並進を考慮するようにプリパレーションRFパルスの印加を修正するために、そのパルスシーケンスのプリパレーションRFパルスに与えるオフセット値(foff)を決定するようにプログラムされている。このコンピュータはさらに、そのプリパレーションRFパルスの印加がオフセット値だけ修正を受けているような修正版パルスシーケンスを作成するようにプログラムされている。
【0036】
本発明の別の実施形態によれば、本発明は、コンピュータ読み取り可能記憶媒体上に格納されていると共に、コンピュータによって実行させたときに、撮像ボリュームを通過するように移動式寝台によって患者を並進させる間に患者のスピンを移動させる距離をそのコンピュータに決定させる命令を有しているようなコンピュータ・プログラムの形で具現化される。このコンピュータに対してはさらに、この距離から、関心対象のプリパレーション・ボリュームを決定させている。これらの命令はさらに、コンピュータに対して、関心対象のプリパレーション・ボリュームを固定の撮像ボリューム内に来る前にプリパレーションさせるようにして、固定の撮像ボリュームを通過するように並進させている患者からデータを収集するための撮像シーケンスを生成させている。
【0037】
本発明を好ましい実施形態について記載してきたが、明示的に記述した以外に等価、代替及び修正が可能であり、これらも添付の特許請求の範囲の域内にあることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明と共に使用するためのMRイメージング・システムのブロック概要図である。
【図2】本発明によるパルスシーケンスの一部分の概要図である。
【図3】本発明による撮像パルスを表している流れ図である。
【図4】周知の反転回復パルスシーケンスの概要図である。
【符号の説明】
【0039】
2 IRパルスシーケンス
3 磁化
4 RF反転パルス、IRパルス
5 スライス選択傾斜
6 RFパルス
7 スライス選択傾斜
8 撮像モジュール
10 MRIシステム
12 オペレータ・コンソール
13 入力デバイス
14 制御パネル
16 表示画面、ディスプレイ
18 リンク
20 コンピュータ・システム
20a バックプレーン
22 画像プロセッサ・モジュール
24 CPUモジュール
26 メモリ・モジュール
28 ディスク記憶装置
30 テープ駆動装置
32 システム制御部
32a バックプレーン
34 高速シリアル・リンク
36 CPUモジュール
38 パルス発生器モジュール
40 シリアル・リンク
42 傾斜増幅器
44 生理学的収集制御器
46 スキャン室インタフェース回路
48 患者位置決めシステム
50 傾斜磁場コイル・アセンブリ
52 マグネット・アセンブリ
54 偏向用マグネット
56 RFコイル
58 送受信器モジュール
60 RF増幅器
62 送信/受信スイッチ
64 前置増幅器
66 メモリ・モジュール
68 アレイ・プロセッサ
72 IRモジュール、プリパレーション・モジュール
74 メインモジュール、撮像モジュール
【出願人】 【識別番号】300019238
【氏名又は名称】ジーイー・メディカル・システムズ・グローバル・テクノロジー・カンパニー・エルエルシー
【出願日】 平成16年7月7日(2004.7.7)
【代理人】 【識別番号】100093908
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 研一

【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博

【識別番号】100106541
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 信和

【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久

【公開番号】 特開2005−28139(P2005−28139A)
【公開日】 平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願番号】 特願2004−200351(P2004−200351)