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【発明の名称】 移動型X線装置
【発明者】 【氏名】高村 祥司
【住所又は居所】京都府京都市中京区西ノ京桑原町1番地株式会社島津製作所内

【氏名】中原 忠彦
【住所又は居所】京都府京都市中京区西ノ京桑原町1番地株式会社島津製作所内

【要約】 【課題】操舵力を大幅に軽減することで使い勝手を格段に向上させることができる移動型X線装置を提供する。

【解決手段】X線照射装置3を支持する本体5を車輪11により床面F上で移動可能に支持する。操舵機構12は車輪11の向きを本体5の移動方向が変化するように変化させる。車輪浮上機構は車輪11を床面Fから上方に浮上させる。車輪11を床面Fから上方に離間させた状態で、操舵機構12により車輪11の向きを変化させることが可能とされている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線照射装置と、
前記X線照射装置を支持する本体と、
前記本体を床面上で移動可能に支持する車輪と、
前記車輪の向きを本体の移動方向が変化するように変化させる操舵機構と、
前記車輪を前記床面から上方に浮上させる車輪浮上機構とを備え、
前記車輪を前記床面から上方に離間させた状態で、前記操舵機構により前記車輪の向きを変化させることが可能とされている移動型X線装置。
【請求項2】
前記操舵機構は、使用位置と非使用位置との間で変位可能な操作部材と、前記使用位置に位置する前記操作部材の動きを前記車輪の向きが変化するように前記車輪に伝達すると共に、前記操作部材が前記非使用位置に位置する時に前記車輪の向きが変化するのを阻止する伝動機構とを有し、
前記車輪浮上機構は、前記操作部材の位置を検知する検知機構と、前記車輪を前記床面から上方に離間した浮上位置と前記本体を支持する支持位置との間で変位させるアクチュエータと、前記操作部材が使用位置に位置するのが検知された時に前記車輪が前記浮上位置に変位すると共に前記非使用位置に位置するのが検知された時に前記車輪が前記支持位置に変位するように前記アクチュエータを制御する制御装置とを有する請求項1に記載の移動型X線装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、床面を車輪を介して移動する移動型X線装置に関し、例えば外科手術に際して患者のX線透視画像をモニタテレビ等に表示するために用いられる。
【0002】
【従来の技術】
床面を車輪を介して移動する移動型X線装置においては、車輪の向きを変化させることで本体の移動方向を変化させている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−177251号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
移動型X線装置を使用する病院等の床材が柔軟なものであると、車輪の向きを変化させる際の床面との間の摩擦抵抗が増大し、大きな操舵力を要するという問題がある。
本発明は上記問題を解決することのできる移動型X線装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の移動型X線装置は、X線照射装置と、前記X線照射装置を支持する本体と、前記本体を床面上で移動可能に支持する車輪と、前記車輪の向きを本体の移動方向が変化するように変化させる操舵機構と、前記車輪を前記床面から上方に浮上させる車輪浮上機構とを備え、前記車輪を前記床面から上方に離間させた状態で、前記操舵機構により前記車輪の向きを変化させることが可能とされている。
本発明によれば、操舵により車輪の向きを変化させる時に、その車輪は床面から上方に離間するので床面との間の摩擦はなく、操舵力を大幅に軽減することができる。
【0006】
前記操舵機構は、使用位置と非使用位置との間で変位可能な操作部材と、前記使用位置に位置する前記操作部材の動きを前記車輪の向きが変化するように前記車輪に伝達すると共に、前記操作部材が前記非使用位置に位置する時に前記車輪の向きが変化するのを阻止する伝動機構とを有し、前記車輪浮上機構は、前記操作部材の位置を検知する検知機構と、前記車輪を前記床面から上方に離間した浮上位置と前記本体を支持する支持位置との間で変位させるアクチュエータと、前記操作部材が使用位置に位置するのが検知された時に前記車輪が前記浮上位置に変位すると共に前記非使用位置に位置するのが検知された時に前記車輪が前記支持位置に変位するように前記アクチュエータを制御する制御装置とを有するのが好ましい。
これにより、操舵のために操作部材を使用位置に変位させると自動的に車輪を床面から離間させることができる。また、操作部材が非使用位置に位置する時は車輪の向きが変化するのが阻止されるので、操舵時のみ車輪を床面から離間させることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
図1〜図3に示す手押し式の移動型X線装置1は、例えば図示のように手術台T上の被検体HのX線透視画像をモニタテレビ(図示省略)に表示するのに用いられるもので、X線照射装置3と受像装置2はアーム4を介して本体5により支持される。X線照射装置3は、本実施形態ではX線管と高電圧発生装置を有するモノタンクにより構成されるが、被検体HにX線を照射するものであればよい。受像装置2は、本受像装置2ではイメージインテンシファイアにより構成され、X線透視画像に対応する画像信号をモニタテレビに出力するが、被検体Hを透過したX線により形成されるX線透視画像を受像して出力するものであればよい。また、受像装置2が本体5とは別体とされていてもよい。モニタテレビは、受像装置2から送られる信号に対応するX線透視画像を表示し、その画像をオペレータ(図示省略)が確認しながら手術を行えるように、例えばX線装置1とは別の台車上に配置される。アーム4は、X線照射装置3を支持する一端部4bと、受像装置2を支持する他端部4aと、両端部4a、4bを連結する連結部4cとを有し、その連結部4cが円弧に沿うC型とされているが、その形状は特に限定されない。
【0008】
本体5はアーム支持機構5bを介してアーム4を変位可能に支持する。アーム支持機構5bは、支柱6、スライダー7、およびアームガイド8を有する。支柱6は本体5に図中矢印Aで示すように上下移動可能かつ上下方向軸6a中心に図中矢印Bで示すように回転可能に取り付けられ、本体5に内蔵されたバネ(図示省略)により上方に向かう弾力を受ける。その弾力はX線照射装置3、受像装置2、アーム4およびアーム支持機構5bの重量と釣り合う大きさとされている。スライダー7は支柱6により横方向に移動可能に取り付けられている。スライダー7の横移動方向は図中矢印Cで示すように円弧に沿うC型アーム4の径方向に沿う。アームガイド8はスライダー7に横軸8a中心に図中矢印Dで示すように回転可能に取り付けられている。その横軸8aはC型アーム4の径方向に沿う。アーム4はアームガイド8に横軸4o中心に図中矢印Eで示すように回転可能に取り付けられている。その横軸4oはC型アーム4が沿う円弧の中心軸に沿い、横軸8aに対して直角とされている。
【0009】
本体5は、前方車輪10と本体5の左右に一対ずつ配置される後方車輪11とにより床面F上で移動可能に支持される。
【0010】
後方車輪11の向きを本体5の移動方向が変化するように変化させる操舵機構12が設けられている。操舵機構12は手動操作される操作部材13と伝動機構14とを有する。操作部材13は本体5の後部上面右方に取り付けられ、本体5の後部上面左方に取り付けられるハンドル15と同一形状を有する。
【0011】
操作部材13は使用位置と非使用位置との間で変位可能とされている。すなわち図4に示すように、本体5に上下方向軸心の固定筒21がボルト(図示省略)により固定されている。その固定筒21に伝動シャフト22が回転可能に挿入されると共に止め輪23、24により抜け止めされている。その伝動シャフト22にガイド筒25がキー26を介して同行回転可能かつ上下相対移動可能に嵌め合わされている。そのガイド筒25に操作部材13がボルト(図示省略)により固定されている。これにより、操作部材13はガイド筒25および伝動シャフト22と同行回転可能とされている。図5に示すように、本体5に固定された固定筒21の端部から上方に突出する凸部21aが、ガイド筒25に形成された下向き開口の凹部25aに嵌合される。その凸部21aと凹部25aとが嵌合すると、操作部材13とガイド筒25と伝動シャフト22の本体5に対する回転は阻止され、この時の操作部材13の位置が非使用位置とされる。非使用位置から操作部材13を上方に引き上げると、凸部21aと凹部25aとの嵌合が解除され、操作部材13とガイド筒25と伝動シャフト22は本体5に対して回転可能となり、この時の操作部材13の位置が使用位置とされる。
【0012】
伝動機構14は、使用位置に位置する操作部材13の動きを車輪11の向きが変化するように車輪11に伝達すると共に、操作部材13が非使用位置に位置する時に車輪11の向きが変化するのを阻止する。すなわち図6に示すように、本体5の左右位置それぞれにおいて、後方車輪11は車輪ホルダー30に連結プレート36を介して固定される車軸31により回転自在に支持される。各車輪ホルダー30は、本体5に固定される支持筒32にベアリング33を介して上下方向軸O中心に回転自在に連結される。これにより、車輪11の向きは本体5の移動方向が変化するように変化可能とされている。図2〜図4に示すように、伝動シャフト22の下端に取り付けられるスプロケット40と、本体5に回転可能に取り付けられるシャフト41の上端に取り付けられるスプロケット42に、チェーン43が巻き掛けられる。図6に示すように、各車輪ホルダー30に上下方向軸Oと同心にスプロケット45が取り付けられる。図3に示すように、両スプロケット45に巻き掛けられるチェーン46に、シャフト41の下端に取り付けられるスプロケット44が噛み合わされる。これにより、使用位置における操作部材13の操作による伝動シャフト22の回転により、各車輪ホルダー30と共に車輪11が上下方向軸O中心に旋回し、車輪11の向きが変化する。また、非使用位置に位置する操作部材13と伝動シャフト22の回転は阻止されるので、車輪11の向きが変化することはない。
【0013】
図4に示すように、操作部材13の位置を検知する検知機構51が設けられている。本実施形態の検知機構51は操作部材13の端部により操作されるリミットスイッチにより構成され、操作部材13が使用位置と非使用位置の何れか一方に位置する時にオンし、他方に位置する時にオフとなる。図6に示すように、各支持筒32を貫通する油圧あるいは空圧等の流体圧シリンダにより構成されるアクチュエータ52が設けられている。その流体圧シリンダの伸縮ロッド52aがシリンダ筒52bから伸長することで本体5が押し上げられ、車輪11が床面Fから僅かに(図中eだけ)浮上し、伸縮ロッド52が縮小することで車輪11は床面Fに接する。なお、シリンダ筒52bの中心は車輪11の旋回中心である上下方向軸Oと同心とされている。検知機構51からの信号により操作部材13が使用位置に位置する時に伸縮ロッド52aを伸長させ、操作部材13が非使用位置に位置する時に伸縮ロッド52aを縮小させる制御装置(図示省略)が本体5に内蔵されている。これにより、車輪11を床面Fから上方に浮上させる車輪浮上機構50が構成され、車輪浮上機構50は、操作部材13の位置を検知する検知機構51と、車輪11を床面Fから上方に離間した浮上位置と本体5体を支持する支持位置との間で変位させるアクチュエータ52と、操作部材13が使用位置に位置するのが検知された時に車輪11が浮上位置に変位すると共に非使用位置に位置するのが検知された時に車輪11が支持位置に変位するようにアクチュエータ52を制御する制御装置とを有する。車輪11を床面Fから上方に離間させた状態で操作部材13は使用位置に位置することから、操舵機構12により車輪11の向きを変化させることができる。
【0014】
上記移動型X線装置1によれば、操舵により車輪11の向きを変化させる時に、その車輪11は床面Fから上方に離間するので床面Fとの間の摩擦はなく、操舵力を大幅に軽減することができる。また、操舵のために操作部材13を使用位置に変位させると自動的に車輪11を床面Fから離間させることができる。さらに、操作部材13が非使用位置に位置する時は車輪11の向きが変化するのが阻止されるので、操舵時のみ車輪11を床面Fから離間させることができる。
【0015】
本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、操舵される車輪の数や配置、操作部材の形状や動きは特に限定されない。また、操作部材の動きの伝達は巻き掛け伝動機構によるものに限定されず、例えばリンクやギヤを用いるものでもよい。さらに、車輪浮上機構は本体を持ち上げることで車輪を床面から浮上させるものに限定されず、例えば車輪を車輪ホルダーを介して本体に流体圧シリンダを介して上下動可能に取り付け、車輪ホルダーを本体に対して上方移動させることで車輪を床面から浮上させるようにしてもよい。
【0016】
【発明の効果】
本発明の移動型X線装置によれば、操舵力を大幅に軽減することで使い勝手を格段に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態のX線装置の側面図
【図2】本発明の実施形態のX線装置の要部の側面図
【図3】本発明の実施形態のX線装置の要部の平面図
【図4】本発明の実施形態のX線装置における操舵機構の要部の断面図
【図5】本発明の実施形態のX線装置における操舵機構の部分構成説明図
【図6】本発明の実施形態のX線装置における車輪浮上機構の要部の断面図
【符号の説明】
1 X線装置
3 X線照射装置
5 本体
11 車輪
12 操舵機構
13 操作部材
14 伝動機構
50 車輪浮上機構
51 検知機構
52 アクチュエータ
F 床面
【出願人】 【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
【住所又は居所】京都府京都市中京区西ノ京桑原町1番地
【出願日】 平成15年6月25日(2003.6.25)
【代理人】 【識別番号】100095429
【弁理士】
【氏名又は名称】根本 進

【公開番号】 特開2005−13411(P2005−13411A)
【公開日】 平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願番号】 特願2003−181174(P2003−181174)