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【発明の名称】 ユニバーサルデザインによる手摺り、ユニバーサルデザインによるトイレユニット、及びユニバーサルデザインによるトイレユニット用手摺りの使用方法
【発明者】 【氏名】青木 弘行

【氏名】鈴木 淳子

【氏名】坂田 麻智

【氏名】宮崎 有希子

【要約】 【課題】一般家庭のトイレ室などにおいて、杖を離せない高齢者や車椅子使用の身障者であっても充分な余裕を持って安心して使用できるようにすることを目的とする。

【解決手段】使用者が車椅子に乗った状態でトイレ室に設けられた開き扉を開放して、前記トイレ室に入室する。次いで、前記使用者が部材が格子状に組み合わされてなる手摺りを掴んで、前記車椅子から前記トイレ室内に設けられた便器に乗り移る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者が把持して使用する手摺りであって、前記手摺りは部材が格子状に組み合わされてなることを特徴とする、ユニバーサルデザインによる手摺り。
【請求項2】
前記部材は45度の角度で傾斜して正方形部材を構成し、この正方形部材が横方向において複数レージトング様に連結して前記格子状を呈することを特徴とする、請求項1に記載のユニバーサルデザインによる手摺り。
【請求項3】
前記手摺りは、前記正方形部材が少なくとも3つ横方向に連結されて前記格子状を呈することを特徴とする、請求項2に記載のユニバーサルデザインによる手摺り。
【請求項4】
前記手摺りの上端に位置する角部において、掴み部を設けたことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一に記載のユニバーサルデザインによる手摺り。
【請求項5】
前記手摺りは、その中心線に対して左右対称であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一に記載のユニバーサルデザインによる手摺り。
【請求項6】
前記手摺りは、トイレユニット用手摺りであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一に記載のユニバーサルデザインによる手摺り。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか一に記載の手摺りを具えることを特徴とする、ユニバーサルデザインによるトイレユニット。
【請求項8】
前記トイレユニットは、平面方形のトイレ室内において所定の便器と前記手摺りとを具え、
前記便器は、前記トイレ室の隅部においてその幅方向の中心線が各壁面に対して傾斜した状態で配置されているとともに、前記手摺りは、前記トイレ室の、前記便器の斜め前方に位置する壁面に配置したことを特徴とする、請求項7に記載のユニバーサルデザインによるトイレユニット。
【請求項9】
前記トイレユニットは、前記トイレ室の前記手摺りが配置された壁面と対向する位置において開き扉を具えることを特徴とする、請求項8に記載のユニバーサルデザインによるトイレユニット。
【請求項10】
身障者である使用者のトイレユニット用手摺りの使用方法であって、
前記使用者が車椅子に乗った状態でトイレ室に設けられた開き扉を開放して、前記トイレ室に入室する工程と、
前記使用者が部材が格子状に組み合わされてなる手摺りを掴んで、前記車椅子から前記トイレ室内に設けられた便器に乗り移る工程と、
を具えることを特徴とする、ユニバーサルデザインによるトイレユニット用手摺りの使用方法。
【請求項11】
前記使用者が前記手摺りを掴んで、前記便器から前記車椅子に乗り移る工程を具えることを特徴とする、請求項10に記載のユニバーサルデザインによるトイレユニット用手摺りの使用方法。
【請求項12】
前記手摺りの前記部材は45度の角度で傾斜して正方形部材を構成し、この正方形部材が横方向において複数レージトング様に連結して前記格子状を呈することを特徴とする、請求項10又は11に記載のユニバーサルデザインによるトイレユニット用手摺りの使用方法。
【請求項13】
前記手摺りは、前記正方形部材が少なくとも3つ横方向に連結されて前記格子状を呈することを特徴とする、請求項12に記載のユニバーサルデザインによるトイレユニット用手摺りの使用方法。
【請求項14】
前記手摺りの上端に位置する角部において、掴み部を設けることを特徴とする、請求項10〜13のいずれか一に記載のユニバーサルデザインによるトイレユニット用手摺りの使用方法。
【請求項15】
前記手摺りは、その中心線に対して左右対称であることを特徴とする、請求項10〜14のいずれか一に記載のユニバーサルデザインによるトイレユニット用手摺りの使用方法。
【請求項16】
前記便器は、前記トイレ室の隅部においてその幅方向の中心線が各壁面に対して傾斜した状態で配置するとともに、前記手摺りは、前記トイレ室の、前記便器の斜め前方に位置する壁面に配置することを特徴とする、請求項10〜15のいずれか一に記載のユニバーサルデザインによるトイレユニット用手摺りの使用方法。
【請求項17】
前記トイレ室の前記手摺りが配置された壁面と対向する位置において前記開き扉を設けることを特徴とする、請求項10〜16のいずれか一に記載のユニバーサルデザインによるトイレユニット用手摺りの使用方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、年齢、体格、人種、障害などに拘わらず、全ての人にとって差別なく便利に
且つ安全に使用することができる、ユニバーサルデザインによる手摺り、この手摺りを有するトイレユニット及び前記手摺りをトイレユニットに取り付けた際の、その使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、杖を離すことができない高齢者や車椅子使用の障害者に対してバリアフリー住宅などが提案されて現実に実施されているが、それらは健常者基準の住宅において段差をなくしたり手摺りをつけたりするものが殆どであり全ての人々を満足させるものではなかった。
【0003】
特に、日常の生活に必須で最も快適さを必要とするトイレは図9に示すように便器1を例えばトイレ室2の奥側の壁面31を背にして側方の壁面32、33に平行になるように配置するのが一般的であり、規格の住宅用のトイレ室は限られた空間を有することから車椅子を持ち込む余裕がなく、車椅子が使用可能な広い空間を有する介護用トイレを設けるにはきわめて大掛かりな工事が必要であった。
【0004】
また、従来、介護用トイレには、壁面に手摺り設置されているが、便器1がトイレ室2の奥側の壁面31を背にして側方の壁面32,33に平行になるように配置されているので手摺り4,4が前記側方の壁面32,33に配置されることになり、使用者は側方に配置されている手摺りを掴むこととになり体格の違いや使用状態(体位)によっては非常に使用しづらいものであった。
【0005】
一方、従来から介護用の手摺りとして図10に示したようにL字型の手摺り4が用いられているが、この手摺り4は、垂直部4aと水平部4bとからなり、使用者が立ち上がるときに力を掛けにくく無理な力や姿勢を強いている。特に、このL字型の手摺り4は直線的な垂直4aと水平部4bとを掴んで使用するものであることから壁面32への取り付けの高さや左右方向位置を使用者に合わせて設置する必要があり、他の使用者にとっては満足に対応することができない、という問題がある。
【0006】
また、L字型の手摺り4は正しい方向で取り付けた場合に効果を発揮するものであり、たとえば左右の方向を取り違えて取り付けた場合などには当初の目的を達成できないという問題もある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであり、一般家庭のトイレ室などにおいて、杖を離せない高齢者や車椅子使用の身障者であっても充分な余裕を持って安心して使用できるようにすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成すべく、本発明は、
使用者が把持して使用する手摺りであって、前記手摺りは部材が格子状に組み合わされてなることを特徴とする、ユニバーサルデザインによる手摺りに関する。
【0009】
本発明の手摺りは格子状を呈するので、従来のL字型の手摺りなどと比較して、屈んだり立ち上がったりする際の様々な体位に対して対応可能であり、力が入れやすく無理な姿勢を強いることもない。この結果、このような手摺りを例えば一般家庭のトイレ室などに取り付けた場合、高齢者や身障者などによる前記トイレ室などの使用が極めて容易になる。また、幅広い体格の使用者総てに対して使用が容易になる。
【0010】
本発明の一態様において、前記手摺りを構成する前記部材を45度の角度で傾斜させて正方形部材を構成し、この正方形部材が横方向において複数レージトング様に連結することによって前記格子状を呈するようにすることができる。この際、前記正方形部材の数は特に限定されないが、例えば3つとすることができる。
【0011】
本発明の他の態様において、前記手摺りの上端に位置する角部において、掴み部を設けることができる。この場合、使用者が掴まり歩きをする際に、前記手摺りをより簡易に掴むことができるようになる。
【0012】
本発明のその他の態様において、前記手摺りは、その中心線に対して左右対称とすることができる。この場合、前記手摺りの取り付け方向を誤る心配がない。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明の手摺りによれば、一般家庭のトイレ室などにおいて、杖
を離せない高齢者や車椅子使用の身障者など、年齢、体格、人種、障害などに拘わらず、
全ての人にとって差別なく便利に且つ安全に使用することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明のその他の特徴及び利点について、発明を実施するための最良の形態に基づいて詳述する。なお、前記従来例と同一部分については同一の符号を用いて説明する。
【0015】
図1〜図8は、本発明の手摺りをトイレユニットに取り付け、トイレユニット用手摺りとして使用した場合の一例を示すものである。本例では、便器1が平面長方形のトイレ室2の1つの隅部21においてその幅方向の中心線Aが各壁面31,32,33,34に対して傾斜した状態で配置されているとともに、便器1の斜め前方に位置する壁面32に本発明の斜め格子状の手摺り4が配置されている。また、壁面32に対向する壁面33にはその前方側に開き扉5が配置されている。
【0016】
そして、壁面32に配置されている斜め格子状の手摺り4は、図3に示すように、たとえば木材、ステンレスなどの金属或いはこれらを組み合わせた素材などの棒或いはパイプ材で形成され、45度の角度に傾斜した3つの正方形が、互いに隣接する横方向の角部をレージトング様に連結して一体的に形成された、例えば高さが40cm程度の手摺り本体41が、それらの両端及び上下に位置する角部においてそれぞれ付設された取付具42により壁面32から所定の距離(例えば6cm程度)を隔てて取り付けられている。
【0017】
また、手摺り4は、図3に示すように左右対称に形成されている。したがって、従来のL字型のものと異なり取り付け方向を誤る心配がない。尚、本実施の形態では3つの正方形が互いに隣接する形状としたが、正方形の数はこれに限るものではなく壁面の長さなどに応じて変化させてもよい。
【0018】
また、特に上端に位置する3つの角部には球状の所定形状を有する例えば直径が5.5cm程度の掴み部43が付設されている。
【0019】
また、壁面32に対向する壁面33に配置されている開き扉5は、全体の形状は通常トイレ室などに使用されているものとほぼ同様であるが、図4に示すように、開放側の端縁51に沿って形成された縦長方形状の開口部52を有しており、縦方向へ延びる棒状の把手6を有する開口部52と同形状の子扉53が上下方向に延びる回転軸54、54を中心として180度にわたって回転可能となるように開口部52内に配置されている点で異なる。なお、子扉53の表面並びに裏面が開き扉5の表面と互いに面一な状態を形成できるようになっている。
【0020】
本例では、子扉53の表面55は開き扉5の表面56と同様な模様や色彩が施され、子扉53の裏面57は開き扉5の表面56と異なる模様や色彩が施されている。したがって、子扉53が表面55を向いているのか、裏面57を向いているのかが視覚により簡単に区別できる。また、子扉53の表面55には把手6を設置しているので、上述した模様や色彩の有無に拘わらず、把手6が室外に露出しているか否かでも子扉53が表面55を向いているのか、裏面57を向いているのかが視覚により簡単に識別することができる。
【0021】
なお、図1および図2中、符号7は壁面31,33に配置された縦方向へ延びる短尺棒状の補助手摺りである。
【0022】
次に、上述した手摺りの使用方法について詳細に説明する。
【0023】
図5は車椅子8を使用している身障者である使用者9が上述した本発明の手摺りを有するトイレユニットを使用する場合についての使用態様の概略を経時的に示したものである。最初に、身障者である使用者9は、図5(a)に示すように開き扉5に近づき把手6を掴み、図5(b)に示すように手前側に引く。次いで、図5(c)に示すように車椅子8がトイレ室2内に入れるだけの開口部が形成されたら、図5(d)に示すように車椅子8ごとトイレ室2内に進行する。
【0024】
このとき、本例では子扉53が上下方向に延びる回転軸54、54を中心として回転可能に配置されている。そのため、使用者9は最初に図5(a)に示した状態で掴んだ把手6をそのまま離すことなしに、つまり、持ち替えることなしに図5(d)および図5(e)に示すようにトイレ室2内に進行し、開き扉5を閉じる状態まで進むことができる。したがって、使用者9の開き扉5の開閉操作に伴う負担を軽減することができる。
【0025】
また、開き扉5の表面側に露呈する子扉53の裏面57には、開き扉5の表面56と異なる模様や色彩が施されているとともに、把手6が消失しているので、トイレ室2が使用者9によって使用されている(使用中)であることが一目瞭然となる。したがって、別途に鍵を設ける必要がなく、或いは設けたとしても通常は掛けなくてもよく、事故への迅速な対応ができる。
【0026】
さらに、デザイン的には好ましくないが、子扉53の裏面57に予め「使用中」の様な識別標記を施しておいてもよい。この場合、上述した模様や色彩などを施さなくても、子扉53が裏面を向いていることが明確となり、トイレ室2が使用中であることを明確に把握することができる。
【0027】
図6は開き扉5の開閉操作を更に詳しく説明したものである。図6(a)に示すように、把手6を掴み、図6(b)に示すように把手6を掴んだまま身体を開口部に向く位置に動かす。このとき、図6(c)に示すように把手6を掴むことにより子扉53が回転するので、図6(d)に示したようにトイレ室2に入って開き扉5を閉じるまで把手6を掴んだままの状態を無理なく保つことができる。
【0028】
トイレ室2内に進入した身障者である使用者9は図5(c)に示すように、トイレ室2内に入るが、このとき、便器1が平面長方形のトイレ室2の1つの隅部21においてその幅方向の中心線Aが各壁面31,32,33,34に対して傾斜した状態で配置されている。したがって、トイレ室2の空間を有効に生かし、一般家庭用のトイレ室の寸法においても車椅子8の使用を可能にすることができるとともに、最も使い勝手のよい便器の斜め前方に位置する壁面33に手摺り4を設けることができる。
【0029】
次いで、使用者9は図5(e)〜(g)に示すように、手摺り4を掴んで車椅子8から便器1へと乗り移ることになるが、実験的に乗り移り易い車椅子8の中心線と便器1の中心線とのなす角度は90度以下であり、図7に示すように本実施の形態では、ほぼ65度程度となり、有効な角度であるといえる。
【0030】
特に、車椅子8から便器1へと乗り移る時に使用する手摺り4は、斜め格子状であり、単に横方向へ延びる直線的なものと異なり掴む位置に幅があるので、子供から高齢者まで幅広い体格に適応可能である。さらに、屈んだり立ち上がったりする際の様々な体位に対しても対応可能であるばかりか、図8(a)および(b)に直線的な比較例とともに示したように、手首が楽に上下するので、力を入れやすい。また、図8(c)に示すように、手摺り4が身体の全面に位置するので掴み易いとともに身体の回転がし易く便器への着座が楽に行える。
【0031】
また、本実施の形態では手摺り4の3つの頂角には球状の掴み部43が付設されているので掴まり歩きをする際にも掴み易い。
【0032】
そして、用を足した後は、図5(g)から図5(a)へと逆の動作により退室することになるが、図6(d)に示すように、出るときには入るときと反対の動きになり、把手6を掴んだまま押し開ければよい。
【0033】
以上、本発明を具体例を挙げながら詳細に説明してきたが、本発明は上記内容に限定されるものではなく、本発明の範疇を逸脱しない限りにおいてあらゆる変形や変更が可能である。
【0034】
例えば、上記具体例においては、本発明の手摺りを家庭規格のトイレ室2に付いて実施した場合を示したが、ユニバーサルデザインを念頭においていることから、駅や高齢者介護施設、或いは各種のパブリックスペースなど不特定多数の人々が使用する場所のトイレユニットに設置可能であることはいうまでもない。また、本発明の手摺りは、上述したトイレユニットなどの他に、各種施設や住宅などにおいても好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の開き扉を具えたトイレ室の一例を示す平面図である。
【図2】図1に示したトイレ室の側面図である。
【図3】図1に示したトイレ室の手摺りを示すもので、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は側面図である。
【図4】図1に示したトイレ室における開き扉の正面図であり、(a)は子扉の表面が露出している状態、(b)は子扉が180度回転して裏面が露出している状態、(c)は子扉が90度回転した状態を示している。
【図5】図1に示したトイレ室における前記開き扉の使用態様を経時的に示す説明図である。
【図6】同じく、図1に示したトイレ室における前記開き扉の使用態様を経時的に示す説明図である。
【図7】図1に示したトイレ室の使用状態を示す平面図である。
【図8】図3に示した手摺りの使用状態を従来例と比較して示した説明図である。
【図9】従来のトイレ室の一例を示す平面図である。
【図10】図9に示すトイレ室における従来の手摺りの態様を説明するための図である。
【符号の説明】
【0036】
1 便器
2 トイレ室
4 手摺り
5 開き扉
6 把手
31,32,33,34 壁面
53 子扉
54 回転軸
【出願人】 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
【出願日】 平成17年7月15日(2005.7.15)
【代理人】 【識別番号】100072051
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 興作

【識別番号】100110180
【弁理士】
【氏名又は名称】阿相 順一

【公開番号】 特開2005−334673(P2005−334673A)
【公開日】 平成17年12月8日(2005.12.8)
【出願番号】 特願2005−207346(P2005−207346)