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【発明の名称】 簡易便器
【発明者】 【氏名】鈴木 大二
【住所又は居所】大阪府高槻市梶原4丁目627番地2 アロン化成株式会社高槻事業所内

【要約】 【課題】本発明は、側方への移乗が容易な簡易便器を提供することを課題とする。

【解決手段】便器本体2の両側に肘掛け3を跳ね上げ可能に取り付け、更に、便器本体2の一側または両側には該肘掛け3よりも低い位置にアシストグリップ4を取り付けた簡易便器1を提供する。この場合、該アシストグリップ4は該便器本体2の一側に着脱可能に取り付けられており、更に、該便器本体2の他側には移乗板17が着脱可能に取り付けられ、該アシストグリップ4と該移乗板17とは左右取付け位置変更可能とされている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器本体の両側に肘掛けを跳ね上げ可能に取り付け、更に、便器本体の一側または両側には該肘掛けよりも低い位置にアシストグリップを取り付けたことを特徴とする簡易便器。
【請求項2】
該アシストグリップは該便器本体の一側に着脱可能に取り付けられており、更に、該便器本体の他側には移乗板が着脱可能に取り付けられ、該アシストグリップと該移乗板とは左右取付け位置変更可能とされている請求項1に記載の簡易便器。
【請求項3】
該肘掛けは高さ調節可能とされている請求項1または請求項2に記載の簡易便器。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は側方への移乗が容易な簡易便器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高齢者や体の不自由な使用者が、側方から簡易便器へ容易に移乗することができる簡易便器の肘掛け構造としては、便器本体の両側にアームレストを取付け、該アームレストの先端部分を支持棒を介して該便器本体上面両側部に支持させた構成であって、該アームレスト根端は該便器本体側に枢着され、更に該アームレストの先端は該支持棒上端に枢着され、該支持棒は該便器本体上面両側部の取付穴に着脱可能に嵌め込まれており、支持棒を取付穴から抜き出すとともに、アームレストを該支持棒とともに前端から跳ね上げることによって、該アームレストを便器側部から撤去することが出来る携帯用便器のアームレスト構造が提供されている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2000−51120号公報(第2−4頁、第12図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記従来の構成では、アームレストを支持棒とともに前端から跳ね上げて便器側部から撤去すると、使用者が側方から携帯用便器に移乗する際に手を置いて体を支える手掛かりがなくなるため、障害の程度の重い者にとっては、移乗の際の負担が大きく、介助者の助けが必要となるという問題があった。
一方、障害の程度の軽い者にとっては、介助者の助けを借りずに自力で移乗しようとする場合に、手掛かりとなるような何らかの補助具の提供が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記従来の課題を解決するための手段として、便器本体(2) の両側に肘掛け(3) を跳ね上げ可能に取り付け、更に、便器本体(2) の一側または両側には該肘掛け(3) よりも低い位置にアシストグリップ(4) を取り付けた簡易便器(1) を提供するものである。
該アシストグリップ(4) は該便器本体(2) の一側に着脱可能に取り付けられており、更に、該便器本体(2) の他側には移乗板(17)が着脱可能に取り付けられ、該アシストグリップ(4) と該移乗板(17)とは左右取付け位置変更可能とされていることが望ましい。
また、該肘掛け(3) は高さ調節可能とされていることが望ましい。
【0006】
本発明の簡易便器(1) では、使用者が移乗する向きにあわせて、移乗する側の肘掛け(3) を跳ね上げて撤去することができ、かつ、移乗する側とは反対側のアシストグリップ(4) を把持ことができるので、側方から簡易便器(1) へ容易に移乗することができる。
この場合、該アシストグリップ(4) が便器本体(2) の一側(移乗する側とは反対側)に取り付けられており、かつ、該便器本体(2) の他側(使用者が移乗する側)に移乗板(17)が取り付けられて側方のベッド等との間に差し渡されていれば、移乗する側とは反対側(便器本体(2) の一側)のアシストグリップ(4) を把持するとともに、使用者が移乗する側(便器本体(2) の他側)の移乗板(17)の上に体を乗せて、スムーズかつ安全に移乗することができる。また、該アシストグリップ(4) と該移乗板(17)とが左右取付け位置変更可能とされていれば、使用者が移乗する向きにあわせて、該アシストグリップ(4) と該移乗板(17)の左右取付け位置を変更することができる。
更に、肘掛け(3) が高さ調節可能とされていれば、該肘掛け(3) の高さを手掛かりとするのに適当な高さに調節することができるので、使用者は移乗する際に該肘掛け(3) に手を置いて体を支えることができる。
【発明の効果】
【0007】
従って本発明の簡易便器(1) では、高齢者や体の不自由な使用者であっても、容易に側方から簡易便器(1) へ移乗することができ、障害の程度の重い者であっても、移乗の際の負担が小さく、介助者の負担も軽減される。
また、障害の程度の軽い者は、該アシストグリップ(4) を手掛かりとすることによって、介助者の助けを借りずに自力で移乗することが出来、そのため自立への意識が強くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明を図1〜図6に示す一実施例によって説明する。
図1に示すように、簡易便器(1) は、木製の便器本体(2) と、該便器本体(2) の両側に跳ね上げ可能に取り付けられている左右一対の肘掛け(3) と、該便器本体(2) の一側において該肘掛け(3) よりも低い位置に着脱可能に取り付けられているアシストグリップ(4) とを有しており、該便器本体(2) の他側には移乗スペーサー(5) が着脱可能に取り付けられている。
また、該便器本体(2) の後縁部からはクッション(6) を差し渡した背もたれ(7) が立設されており、更に、該便器本体(2) の両側下部には左右一対の脚部ユニット(8) が高さ調節可能に取り付けられている。
更に、該便器本体(2) の上面中央には開口部(9) が設けられ、該開口部(9) には便容器(10)が取り出し可能に懸架されており、また、該開口部(9) の周囲には便座支持枠(11)を介して便座(12)が跳ね上げ可能に取り付けられており、その上には二つ折りにして後方へ跳ね上げ可能な座部(13)が載置されている(図2参照)。
【0009】
該アシストグリップ(4) は前後一対の取付けボルト(14)によって便器本体(2) の一方の側面に取り付けられており(図1参照)、該移乗スペーサー(5) も前後一対の取付けボルト(15)によって便器本体(2) の他方の側面に取り付けられている(図3参照)。
本実施例では、該アシストグリップ(4) の取付けボルト(14)と、該移乗スペーサー(5) の取付けボルト(15)は、便器本体(2) の同じボルト孔(図示せず)を使用するようにされており、したがって、該アシストグリップ(4) と該移乗板(17)とは左右取付け位置変更可能とされている。
また、該アシストグリップ(4) の把持部(16)の高さ位置は、便座(12)面から約10cmの高さに設定されている。
【0010】
更に、本実施例では、図2に示すように、便器本体(2) の他側には移乗スペーサー(5) を介して移乗板(17)が着脱可能に取り付けられている。移乗スペーサー(5) を介して便器本体(2) に移乗板(17)を取り付ける場合には、該移乗スペーサー(5) を上下反転させて便器本体(2) の他側に取り付け、該移乗スペーサー(5) に凹設されている前後嵌合孔(18)と中央嵌合凹部(19)に、移乗板(17)の下面に凸設されている前後嵌合突起(20)と中央嵌合凸部(21)を嵌合させる(図3参照)。
また、本実施例では、図2に示すように、便器本体(2) の一側に取り付けられたアシストグリップ(4) の先端部に、トイレットペーパー(図示せず)を保持するためのペーパーホルダー(22)が取り付けられている。
【0011】
図2に示すように、該肘掛け(3) は、下側短肘掛け(23)と、該下側短肘掛け(23)の上に重ねられる上側長肘掛け(24)とを有している。該上側長肘掛け(24)の根端部はヒンジブラケット(25)を介して該下側短肘掛け(23)の根端部に枢着されており、該上側長肘掛け(24)は前側から跳ね上げ可能とされている。
【0012】
上記のように、左右両側の肘掛け(3) の上側長肘掛け(24)は前側から跳ね上げ可能とされているので、使用者が移乗する向きにあわせて、移乗する側の上側長肘掛け(24)を跳ね上げて撤去することができる。また、使用者は移乗する側とは反対側のアシストグリップ(4) の把持部(16)を把持ことができるので、側方から簡易便器(1) へ容易に移乗することができる。
【0013】
本実施例では、該アシストグリップ(4) が便器本体(2) の一側(移乗する側とは反対側)に取り付けられており、かつ、該便器本体(2) の他側(使用者が移乗する側)に移乗板(17)が取り付けられて側方のベッド等との間に差し渡されているので、使用者は移乗する側とは反対側(便器本体(2) の一側)のアシストグリップ(4) の把持部(16)を把持するとともに、使用者が移乗する側(便器本体(2) の他側)の移乗板(17)の上に体を乗せて、スムーズかつ安全に移乗することができる。
この場合、該アシストグリップ(4) の把持部(16)の高さ位置が、便座(12)面から8cm〜12cmの高さに設定されていると、使用者が移乗する際に、該アシストグリップ(4) を把持しやすくなり、また、腕に力を入れやすくなる。
【0014】
また、該アシストグリップ(4) と該移乗板(17)とが左右取付け位置変更可能とされているので、使用者が移乗する向きにあわせて、該アシストグリップ(4) と該移乗板(17)の左右取付け位置を変更することができる。
【0015】
更に、簡易便器(1) と側方のベッド等との間隔が小さい場合には、移乗板(17)を使用することなく、図1に示すように移乗スペーサー(5) のみを使用して、該移乗スペーサー(5) を側方のベッド等との隙間に差し渡し、該移乗スペーサー(5) の上に体を乗せることによって、スムーズかつ安全に移乗することができる。
また、該移乗スペーサー(5) は、上下を反転させることによって、移乗板(17)の取付け部材としても兼用することができるため、移乗板(17)の取付け部材を別途用意する必要がなく、製品のコストを削減することができる。
【0016】
図4に示すように、該肘掛け(3) の下側短肘掛け(23)の下面の前後にはコの字形の取付けフレーム(26)が取り付けられている。取付けフレーム(26)の前側支柱(27)の中央部には縦スリット(28)が貫通して設けられており、該前側支柱(27)の裏面の中央部には縦凹溝(29)が凹設されている。また、該取付けフレーム(26)の後側支柱(30)の上部にはボルト挿通孔(31)が設けられている。
一方、便器本体(2) の左右両側面にはガイド凸条(32)が取り付けられており、該ガイド凸条(32)にはボルト孔(33)が設けられている。更に、背もたれ(7) の左右両側面には五個のボルト孔(34)が縦列して設けられている。
【0017】
本実施例において肘掛け(3) の高さを調節する場合には、該肘掛け(3) の取付けフレーム(26)の縦凹溝(29)を便器本体(2) のガイド凸条(32)に嵌合させ、該肘掛け(3) を上下にスライドさせて所望の高さに調節する。そして、該背もたれ(7) の五個のボルト孔(34)のうちの一つを選択して、該選択したボルト孔(34)に取付けフレーム(26)のボルト挿通孔(31)を介して位置決めボルト(35)を螺着して締め付けるとともに、該ガイド凸条(32)のボルト孔(33)に取付けフレーム(26)の縦スリット(28)を介して固定ボルト(36)を螺着して締め付けることによって、高さ調節した肘掛け(3) を便器本体(2) に取り付け固定する(図5参照)。
【0018】
本実施例では、図6に示すように、位置決めボルト(35)には抜止めリング(37)が嵌着されており、また、取付けフレーム(26)のボルト挿通孔(31)には係止段部(38)が設けられているので、該位置決めボルト(35)を緩めたときに、該位置決めボルト(35)の抜止めリング(37)が該ボルト挿通孔(31)の係止段部(38)に係止され、該位置決めボルト(35)が取付けフレーム(26)のボルト挿通孔(31)から外れることが防止される(図6(b)参照)。
更に、該位置決めボルト(35)はワッシャ(39)を介してボルト孔(34)に締着されるので、図6(a)に示すように該位置決めボルト(35)を締め付けたときに、該取付けフレーム(26)が該位置決めボルト(35)によって傷つくことが防止される。
【0019】
このように、肘掛け(3) が五段階に高さ調節可能とされているので、使用者の体型に応じて、使用者が腕を置きやすい高さに肘掛け(3) の高さを調節することが可能となる。また、使用者が側方のベッド等へ移乗する際には、該肘掛け(3) の高さを使用者が手掛かりとするのに適当な高さに調節することができ、使用者は移乗するときに該肘掛け(3) に手を置いて体を支えることができる。
【0020】
脚部ユニット(8) は、底板(40)と、該底板(40)から立設される脚板(41)とを有している。該脚板(41)の中央部には縦スリット(42)が貫通して設けられており、また、該脚板(41)の上部には前後一対のボルト挿通孔(43)が設けられている。
一方、便器本体(2) の左右両側面の下部中央には一個のボルト孔(44)が設けられており、更に、該便器本体(2) の左右両側面の所定箇所には五個のボルト孔(45)が縦列して設けられている。
【0021】
本実施例において脚部ユニット(8) の高さ位置を調節する場合には、肘掛け(3) の高さ調節の場合と同様、脚部ユニット(8) を所望の高さ位置に調節し、該便器本体(2) の五個のボルト孔(45)のうちの一つを選択して、該選択したボルト孔(45)に脚板(41)の上部の前後一対のボルト挿通孔(43)を介して位置決めボルト(46)を螺着して締め付けるとともに、該便器本体(2) の下部中央の一個のボルト孔(44)に脚板(41)の縦スリット(42)を介して固定ボルト(47)を螺着して締め付けることによって、高さ位置を調節した状態で脚部ユニット(8) を便器本体(2) に取り付け固定する(図5参照)。
【0022】
このように、脚部ユニット(8) の高さ位置を五段階で調節することができるので、使用者の体型に応じて、使用者が座りやすい高さに座面の高さを調節することが可能となる。また、使用者が側方のベッド等へ移乗する際には、使用者が移乗しやすい高さに座面の高さを調節することも可能である。
【0023】
また、便座支持枠(11)の左右両側には前後一対のボルト挿通孔(48)が設けられており、一方、便器本体(2) の左右両側の内面の前部には一個のボルト孔(49)が設けられ、便器本体(2) の左右両側の内面の後部には三個のボルト孔(50)が縦列して設けられている(図5参照)。
したがって、便器本体(2) の左右両側の内面後部の三個のボルト孔(50)のうちの一つを選択して、該選択したボルト孔(50)に傾斜角決めボルト(51)を螺着して締め付けることによって、便座(12)の前後傾斜角度を調節することができる。
【0024】
更に、該脚部ユニット(8) の脚板(41)の後端下部の内側面にはキャスター(52)が取り付けられている(図5参照)。したがって、簡易便器(1) を後ろに傾倒させることによって、該キャスター(52)を使用することができ、簡易便器(1) を容易に移動させることができる。
【0025】
また更に、便器本体(2) の背もたれ(7) に差し渡されているクッション(6) には、上下一対のボルト孔(53)が前後二箇所にそれぞれ設けられている(図5参照)。したがって、前後いずれかのボルト孔(53)を選択して取付けボルト(54)を締着することによって、使用者の体型に応じて、該背もたれ(7) のクッション(6) の前後位置を調節することができる。
【0026】
上記のように、本発明の簡易便器(1) では、高齢者や体の不自由な使用者であっても、容易に側方から簡易便器(1) へ移乗することができ、障害の程度の重い者であっても、移乗の際の負担が小さく、介助者の負担も軽減される。
また、障害の程度の軽い者は、該アシストグリップ(4) を手掛かりとすることによって、介助者の助けを借りずに自力で移乗することが出来、そのため自立への意識が強くなる。
【0027】
以上、本発明の実施の形態を実施例により説明したが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではなく、請求項に記載された範囲内において目的に応じて変更・変形することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は、側方への移乗が容易な簡易便器として、産業上利用することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】簡易便器の斜視図である。
【図2】簡易便器(肘掛け跳ね上げ状態)の斜視図である。
【図3】移乗板の取付け構造を示す分解斜視図である。
【図4】肘掛けの取付け構造を示す分解斜視図である。
【図5】簡易便器の説明側面図である。
【図6】肘掛けの取付け構造を示す部分拡大側断面図である。
【符号の説明】
【0030】
1 簡易便器
2 便器本体
3 肘掛け
4 アシストグリップ
17 移乗板
【出願人】 【識別番号】000000505
【氏名又は名称】アロン化成株式会社
【住所又は居所】東京都品川区東五反田一丁目22番1号
【出願日】 平成16年3月31日(2004.3.31)
【代理人】 【識別番号】100075476
【弁理士】
【氏名又は名称】宇佐見 忠男

【公開番号】 特開2005−287758(P2005−287758A)
【公開日】 平成17年10月20日(2005.10.20)
【出願番号】 特願2004−106909(P2004−106909)