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【発明の名称】 便器装置
【発明者】 【氏名】古田 祐一
【住所又は居所】福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1号 東陶機器株式会社内

【氏名】村瀬 陽一
【住所又は居所】福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1号 東陶機器株式会社内

【氏名】永石 昌之
【住所又は居所】福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1号 東陶機器株式会社内

【氏名】加邉 直樹
【住所又は居所】福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1号 東陶機器株式会社内

【氏名】辻田 正実
【住所又は居所】福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1号 東陶機器株式会社内

【氏名】藤井 庄吉
【住所又は居所】福岡県北九州市小倉南区舞ケ丘1丁目1番1号 株式会社パンウォシュレット内

【要約】 【課題】本発明の課題は、電波を利用した物体検知手段により、トイレの入室口の位置の影響を受けずに、使用者の入室を確実に検知できるとともに、1つの物体検知手段で複数の検知領域内の物体を検知可能な、安価でコンパクトな物体検知手段を備えた便器装置を提供することである。

【解決手段】本発明では、使用者が着座する便座部と、電波を送信波として送信し、物体によって跳ね返された反射波を受信波として受信し、前記送信波と前記受信波により得られるドップラ信号または干渉により生じる定在波を検波して得られた検波信号に基づいて使用者を検知する物体検知手段を少なくとも備えた便器装置において、
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トイレ室内に設置され、使用者が着座する便座部と、電波を送信波として送信し、物体によって跳ね返された反射波を受信波として受信し、前記送信波と前記受信波により得られるドップラ信号または干渉により生じる定在波を検波して得られた検波信号に基づいて使用者を検知する物体検知手段を少なくとも備えた便器装置であって、
前記物体検知手段は、前記便座部中央よりも後方に、前記便座部先端方向に向けて配置され、前記物体検知手段の指向性は、水平方向に広い偏平なパターンとしたことを特徴とする便器装置。
【請求項2】
前記便器装置を側方から見た際に、前記物体検知手段の電波の送受信を行うアンテナ面の中心点と、水平方向の最長検知距離における床面から上方1mの点とを結ぶ線と、前記物体検知手段の鉛直方向の指向方向とのなす角よりも、前記物体検知手段の指向性を示す鉛直方向の半値角の1/2が狭いことを特徴とする請求項1記載の便器装置。
【請求項3】
前記便器装置を側方から見た際に、前記物体検知手段は前記便座部よりも上方に配設し、前記物体検知手段の電波の送受信を行うアンテナ面の中心点から引かれる前記便座部の前方先端上面に接する接線と、前記物体検知手段の鉛直方向の指向方向とのなす角よりも、前記物体検知手段の指向性を示す鉛直方向の半値角の1/2が狭いことを特徴とする請求項1または請求項2記載の便器装置。
【請求項4】
前記物体検知手段の前記水平方向の最長検知距離1.5m以内、水平方向の半値角を40°〜100°とすることで、トイレ室内への使用者の入室と、前記便器装置の使用者が、前記便座部に着座して利用する領域と、前記便座部前方に立って利用する領域とを、各々検知可能に構成されていることを特徴とする請求項1〜請求項3いずれかに記載の便器装置。
【請求項5】
前記物体検知手段の前記鉛直方向の半値角は35°以内であることを特徴とする請求項1〜請求項4いずれかに記載の便器装置。
【請求項6】
前記便器装置を側方から見た際に、前記物体検知手段の鉛直方向の指向方向の延長線と、前記水平方向の最長検知距離における鉛直線との交点が床面から80cm以下であることを特徴とする請求項1〜請求項5いずれかに記載の便器装置。
【請求項7】
前記便器装置を上方から見た際に、前記便器装置の前後方向に引かれる中心線に対して、前記物体検知手段はいずれかの方向にずれて配置されるとともに、電波の指向方向を前方かつ前記中心線に向けて配置されており、前記電波の指向方向の延長線と前記中心線の延長線の交点が、前記便座部先端より前方、かつ最長検知距離よりも前記便器装置側に位置するよう配置されていることを特徴とする請求項1〜請求項6いずれかに記載の便器装置。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレ空間に設置される便器装置に係り、特に人体等の物体を検知して所有する機能を制御する多機能な便器装置に係り、トイレの入室口の位置に関わらず、トイレ内への入室を確実に検知するのに好適な便器装置の物体検知手段の指向性の配置に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
従来、トイレ空間に設置される便器装置の物体検知手段は光電式のものが多く採用されてきている。一方で水周りの機器では、自動機能の普及が進んできており、より遠い領域から使用者等を検知する必要性がでてきている。
しかしながら光電式の場合、焦点距離の問題で検知距離が異なる場合には、その検知したい領域毎に物体検知手段を用意する必要があり、また赤外線を利用するという特性上、赤外線を透過可能なフィルタ部を外観に露出させる必要があり、便器装置に物体検知手段を組み込む穴を設ける必要があり、被水や結露等対策のために、組み込む穴の周囲にパッキン等の便器装置内部への水の浸入を防止する構造が必要である。
【0003】
これに対して、トイレへの入室から便器装置の利用までの使用者を1つの物体検知手段で実現可能な電波を利用したものが提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2および特許文献3参照)。
これらの場合において、無指向性で配置した場合には検知したい領域に対して、不要な周囲にまで同様な電波を送信してしまったり、トイレ外への電波の送信を防止するため、指向性を持たせるために、鉛直方向と水平方向は同等もしくは水平方向を狭くしている。 このような場合において、トイレへの入室方向が正面であれば、いずれの検知領域でも確実に使用者を検知することは可能であるが、側面に入室口があるトイレの場合には、いずれも検知のタイミングが遅れ、さらに使用者のアプローチの仕方が斜めであった場合には、いきなり近距離の人体検知に至ってしまうため、適切な便器装置の制御ができなくなるという問題点があった。
【0004】
上記のようなトイレ状況の影響の対策として、指向角や指向方向を調整可能なものも提案されている(例えば、特許文献4および特許文献5参照。)。
しかしこの場合においては、物体検知手段の構成が複雑となる上、さらにその制御も同様に煩雑となりやすく、安価でコンパクトなものを実現することができないという問題があった。
【特許文献1】特開2001−258799号公報(第1−5頁、第2、3、6、7図)
【特許文献2】特表2001−510900号公報(第31−33頁、第8A−8E図)
【特許文献3】特開2003−268849号公報(第1−6頁、第5図)
【特許文献4】特開2002−285624号公報(第1−5頁、第1、3、5、7図)
【特許文献5】特開2001−227041号公報(第1−4頁、第4−6図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、本発明の課題は、電波を利用した物体検知手段により、トイレの入室口の位置の影響を受けずに、使用者の入室を確実に検知できるとともに、1つの物体検知手段で複数の検知領域内の物体を検知可能な、安価でコンパクトな物体検知手段を備えた便器装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために請求項1記載の発明によれば、トイレ室内に設置され、使用者が着座する便座部と、電波を送信波として送信し、物体によって跳ね返された反射波を受信波として受信し、前記送信波と前記受信波により得られるドップラ信号または干渉により生じる定在波を検波して得られた検波信号に基づいて使用者を検知する物体検知手段を少なくとも備えた便器装置であって、前記物体検知手段は、前記便座部中央よりも後方に、前記便座部先端方向に向けて配置され、前記物体検知手段の指向性は、水平方向に広い偏平なパターンとしたことを特徴としている。
【0007】
このような構成することにより、物体検知手段の電波の指向性が水平方向に広い指向性となっているため、入室方向の異なるいずれのトイレにおいても同様な検知性能が得られるとともに、もう一方で鉛直方向に狭い指向性となっているため、大人から子供までの使用者の身長等の体形の違いがあっても、使用者のトイレ内への入退室や便座部上への着座等を確実に検知することができ、使用者やトイレといった使用環境の影響を抑え、安定した検知性能を確保することを可能としている。
【0008】
また請求項2記載の発明によれば、前記便器装置を側方から見た際に、前記物体検知手段の電波の送受信を行うアンテナ面の中心点と、水平方向の最長検知距離における床面から上方1mの点とを結ぶ線と、前記物体検知手段の鉛直方向の指向方向とのなす角よりも、前記物体検知手段の指向性を示す鉛直方向の半値角の1/2が狭いことを特徴としている。
【0009】
ここで言うアンテナ面の中心点とは、アンテナ面上に設けられている複数の平面アンテナが配置され、アンテナとして有効な領域の中心点をさしている。また指向方向とは、等距離において最も強い送信波を送ることがきる方向であり、通常はアンテナ面に対して法線方向となっている。また一方で半値角とは、前記指向方向の送信波の強さに対して、等距離において半分の強さとなる角度の幅を意味している。またさらに最長検知距離とは、物体検知手段の前記アンテナ面の中心から指向方向における検知対象としている領域の最も遠い位置までの距離である。
【0010】
便器装置を自分1人で使用することが可能な低年齢の子供の身長は、おおよそ1mであり、このような構成することにより、無駄に上方に抜けてしまうことを防止することができ、背の低い子供から大人まで、どのような背の使用者にも主たる送信波を確実に当てることができ、より安定した検知性能を確保することを可能としている。
【0011】
また請求項3記載の発明によれば、前記便器装置を側方から見た際に、前記物体検知手段は前記便座部よりも上方に配設し、前記物体検知手段の電波の送受信を行うアンテナ面の中心点から引かれる前記便座部の前方先端上面に接する接線と、前記物体検知手段の鉛直方向の指向方向とのなす角よりも、前記物体検知手段の指向性を示す鉛直方向の半値角の1/2が狭いことを特徴としている。
【0012】
便座部にはヒータ部材が内装されており、このヒータ部材にはアルミ箔等の均熱化しやすいようにする部材が用いられている。このアルミ箔のような金属材料は、電波を全反射してしまうため、送信波の一部が便座部に一旦反射した後、使用者に届いてしまうことがあり、この到達経路の異なる電波が干渉して検知性能に影響を与えてしまうことがある。しかし、このような構成することにより、便座部に到達する可能性のある送信波を十分に弱くすることができるため、便座部に反射して使用者に届く送信波の影響を小さく抑えることができ、安定した検知性能を確保することを可能としている。
【0013】
また請求項4記載の発明によれば、前記物体検知手段の前記水平方向の最長検知距離1.5m以内、水平方向の半値角を40°〜100°とすることで、トイレ室内への使用者の入室と、前記便器装置の使用者が、前記便座部に着座して利用する領域と、前記便座部前方に立って利用する領域とを、各々検知可能に構成されていることを特徴としている。
【0014】
このように構成することにより、着座して利用する領域においては、便座部上方の空間内に送信波の広がりを抑えて、着座して利用する領域を確実に検知できるだけでなく、その前方に対しては便座部の幅よりも広く、十分な送信波の広がりを持たせることができ、さらに遠いトイレの入室口近辺に対しても、同程度の送信波を到達させることができるため、トイレの入室口が便器装置に対して前方3方向いずれの方向にあっても、確実に使用者の入室を検知可能としている。
【0015】
また請求項5記載の発明によれば、前記物体検知手段の前記鉛直方向の半値角は35°以内であることを特徴としている。
【0016】
さらに請求項6記載の発明によれば、前記便器装置を側方から見た際に、前記物体検知手段の鉛直方向の指向方向の延長線と、前記水平方向の最長検知距離における鉛直線との交点が床面から80cm以下であることを特徴としている。
【0017】
先に記載したように、便器装置を1人で使用することが可能な低年齢の子供の身長はおおよそ1mであり、さらに面積の広い肩部の高さは80cm程度である。また一般的なトイレの大きさから入室を検知するための検知距離は便器装置先端から1m程度前方が想定される。これに対してこのように構成することにより、背の低い子供でも無駄に上方に抜けてしまうことを防止するとともに、背の低い子供から大人まで、どのような背の使用者にも最も強い送信波を確実に当てることができる。また同時に、鉛直方向の半値角を狭くしておくことで、便座部に到達する可能性のある送信波を十分に弱くすることもでき、便座部に反射して使用者に届く送信波の影響を小さく抑えることもできるため、より安定した検知性能を確保することを可能としている。さらに前記鉛直方向の半値角は25°以内とし、胸部中央の高さ程度である70cm程度を狙う方がより望ましい。
【0018】
また請求項7記載の発明によれば、前記便器装置を上方から見た際に、前記便器装置の前後方向に引かれる中心線に対して、前記物体検知手段はいずれかの方向にずれて配置されるとともに、電波の指向方向を前方かつ前記中心線に向けて配置されており、前記電波の指向方向の延長線と前記中心線の延長線の交点が、前記便座部先端より前方、かつ最長検知距離よりも前記便器装置側に位置するよう配置されていることを特徴としている。
【0019】
ここで言う前後方向に引かれる中心線とは、前記便器装置が備える便座部の中央には開口部が存在しており、この部分は上方から見た場合左右方向に対称な形となっており、この左右対称な部分を分割する前後方向の中心線をさしている。
【0020】
便器装置内に物体検知手段を収納する際、必ずしも中央の空間が確保できるわけではなく、正面から見て左右いずれかの方向に若干ずらして配置することがある。このような場合にも、このように構成することにより、ずれによって生じる左右のバランスの悪さを極力抑えることができ、トイレの入室口がある便器装置に対して前方のいずれの方向にも、同程度の送信波を到達させることができ、確実に使用者の入室を検知可能としている。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、トイレの入室口の位置の影響を受けずに、使用者の入室を確実に検知できるとともに、1つの物体検知手段で複数の検知領域内の物体を検知可能な、安価でコンパクトな物体検知手段を備えた便器装置を提供することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施例について、図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の第1実施例の便器装置を示す外観斜視図であり、図2は、便器装置の全体構成を示すブロック図である。
【0023】
本発明の第1実施例の便器装置1は、便座部1aおよび便蓋部1cと、これら2つを回転自在に固定し、図2に示す局部洗浄手段Bや脱臭手段Gといった様々な機能生成手段と前記機能生成手段を制御する制御手段Aおよび物体検知手段Sを収納する本体部1bと、さらに便器部1dが一体となったものである。
【0024】
また前記制御手段Aは、電源部Aaを備え、各機能生成手段への通電制御を行うとともに、通常に前記便器装置1を使用可能な通常動作モードと、使用者を物体検知手段Sで検知していない状態で、暖房便座手段Fによる便座部1aの保温温度を下げたり切り状態として待機状態とする節電モード等の複数の動作モードを切り替える動作モード切替手段Abを備えることで、トータル的な通電制御を可能に構成されている。
【0025】
特にフローは図示していないが、先に述べた節電モード時に前記物体検知手段Sにて使用者の入室を検知した場合には、直ちに節電モードから通常動作モードに移行し、前記暖房便座手段Fを機能させ、設定温度に向けて前記便座部1aの保温温度を昇温開始するようにしている。
【0026】
一方で前記便座部1aは、保温温度の立ち上がりに多少時間を要するため、少しでも早く使用者が検知できる方が望ましく、入室直後からとしている。
本発明の第1実施例の便器装置1に組み込んだ物体検知手段Sは、使用者の入室、入室後の便器装置1に接近して便器装置1前に立った状態、および便器装置1の便座部1aに着座する状態を検知可能に配置されており、さらには便器装置1前に立った状態の男性使用者が放出する尿を検知可能に構成されている。
【0027】
このように複数の検知対象物を1つの物体検知手段Sで検知可能とするために、本発明の物体検知手段Sは、電波を利用したものを採用している。
【0028】
前記物体検知手段Sは、電波を送信波として送信し、物体によって跳ね返された反射波を受信波として受信し、前記送信波と前記受信波との干渉により生じる定在波を検波して得られた検波信号を適正な増幅率とフィルタによる通過帯域の設定により、使用者に対して3つの検知領域と、使用者の動きとは周波数帯域の異なる使用者が放出する尿を検知することが可能となっている。
【0029】
図3は、本発明の第1実施例の便器装置内に設けた物体検知手段の平面アンテナの1例を示すパターン図であり、便器装置1内に配置される際の、上下左右の方向は一致させている。また図4は、図2に示した平面アンテナの一定距離における角度に対する送信波の電力レベルを無次元化表現した指向特性のグラフである。図中の実線は、便器装置内に配置した際の鉛直方向、破線は水平方向の指向特性のグラフである。
【0030】
物体検知手段S内部から発振された電波は、アンテナ面裏側から給電ラインSdを介して4分割され、2×2を構成する各平面アンテナSbより送信波として放射される。この時、各平面アンテナSbから放射される送信波が重ね合わされて、図4に示すような指向特性が得られる。
【0031】
ここで、2枚のアンテナ間のピッチが広ければ指向性を示す半値角は狭く、狭くなれば逆に、半値角は広がる傾向にあり、図3に示すようなアンテナ間が左右つまり水平方向に狭く、上下つまり鉛直方向に広ければ、図4に示すように、水平方向の半値角θhは広く、鉛直方向の半値角θvは狭くなる。この例では水平方向の半値角θhは約54°、鉛直方向の半値角θvは約24°である。
【0032】
この場合において、アンテナとして有効な領域Saは、2×2を構成する各平面アンテナの外周側をつないで構成する領域であり、アンテナ面の中心Scは前記領域の中心点である。またここで述べている半値角とは、前記指向方向の送信波の強さに対して、等距離において半分の強さとなる角度の幅を意味している。
【0033】
次に、上記の指向特性の物体検知手段Sが便器装置1内にどのように配置されているかを説明する。
【0034】
図5は、本発明の第1実施例の便器装置内に設けた際の物体検知手段の鉛直方向における指向方向を示す側面図である。
図4に示した指向特性を持つ前記物体検知手段Sは、便座部1aおよび便蓋部1cの回転自在に固定しているヒンジ部間の中央に、アンテナ面の中心Scの位置Pが床面からの高さHの位置に配置され、便器装置1の便座部1a先端からL1離れた位置に立つ、一人で小用利用可能な子供Hucの胸部中央付近に主たる送信波が到達するよう、仰角δにてやや上向きに配置されている。
【0035】
一人で小用利用可能な子供Hucの身長Hは約1m、肩の高さHは約80cm、さらに胸部中央の高さHは70cm弱である。一方で、便器装置1はローシルエットスタイルのため、アンテナ面の中心Scの位置Pが床面からの高さHは、45cm程度である。またアンテナ面の中心Scの位置Pから便座部1a先端までの距離Lは、42cm程度である。現在の標準的なトイレの内寸法は、奥行きが1.6m強で横幅が80cm強であることが多く、また前記便器装置1は、設置時の奥行き寸法が70cmとコンパクトな設計となっているため、前記便座部1a先端からの入室位置における検知距離Lは90cm程度である。
【0036】
これらの寸法から、一人で小用利用可能な子供Hucの胸部中央付近に主たる送信波が到達するように仰角δを10°として配置することで、アンテナ面の中心Scの位置Pと最長検知距離上方1mの点Pとを結ぶ線と前記物体検知手段Sの鉛直方向の指向方向とのなす角αは、前記物体検知手段Sの鉛直方向の半値角θvの1/2である12°を超えるため、一人で小用利用可能な子供Hucの身長内に、物体検知に有効な半値角内に放射する送信波を確実に到達させることが可能となっている。
【0037】
また一方で、前記便器装置1の便座部1aの先端部の高さHは40cm強で、アンテナ面の中心Scの位置Pから延長した前記先端部上面と接する接線は、水平よりも6〜7°程度下向きであるため、前記接線と前記物体検知手段の鉛直方向の指向方向とのなす角βは16〜17°程度と、前記物体検知手段Sの鉛直方向の半値角θvの1/2である12°を十分に超えるため、前記便座部1aに、均熱化のために用いられる電波を全反射してしまうようなアルミ箔を備えたヒータ部材が内装されていても、前記便座部1aに到達する可能性のある送信波を十分に弱く抑えることができているため、前記便座部1aに反射して使用者に届く送信波は極めて少なく、安定した検知性能を確保することを可能としている。
【0038】
このように前記物体検知手段Sを配置することによって、大人から一人で小用利用可能な子供までどのような身長の使用者であっても、確実に入室位置から検知することが可能となっている。もちろん前記物体検知手段Sは、前記便座部1a先端前方に立つ使用者も着座位置の使用者もともに、物体検知に有効な半値角内に放射する送信波を確実に到達させることが可能となっているため、いずれの位置においても確実に検知可能であることは言うまでもない。
【0039】
次に、水平方向について説明する。
図6は、標準的なトイレ内に設置した際の物体検知手段から送信される送信波の水平方向の到達レベルを示す等高線図である。
図4に示した指向特性では任意の等距離における角度に対する送信波の到達レベルをグラフとして表現しているが、この図では、同じレベルの送信波が到達可能な距離がどのようになるかを示す等高線的に表現している。ただし、半値角より外側については説明に不要なため省略している。
【0040】
また図5の説明で記述したように、前記物体検知手段Sは便座部1aおよび便蓋部1cの回転自在に固定しているヒンジ部間の中央に配置されており、前記便器装置の前後方向の中心線CL上に前記アンテナ面の中心Scの位置Pが位置しており、前記物体検知手段の鉛直方向の指向方向は、前記中心線CLと重なる方向となっている。
【0041】
図6で示した前記便器装置1が設置されるトイレとしては、奥行きDが1.6m強で横幅Wが80cm強の標準的なものを想定している。入室口は前記便器装置1が設置される位置より前方の3方向が考えられ、その3箇所を斜線で示している。
【0042】
等距離であれば、半値角の方向における送信波の到達レベルは、その名のとおり、主たる送信波の指向方向の送信波の到達レベルの半分である。また一方で、送信波の到達レベルは距離の2乗に反比例することが知られており、半値角の方向における送信波の到達レベルが、主たる送信波の水平方向の指向方向の送信波の最長検知距離LMAXにおける到達レベルと同等となる距離Lθh/2は、最長検知距離LMAX/√2となる。
【0043】
実際に図のトイレと前記便器装置1の各寸法および前記物体検知手段Sの水平方向の指向特性である54°の半値角θhに基づいて計算していくと、最長検知距離LMAXは、便座部1a先端までの距離Lと前記便座部1a先端からの入室位置における検知距離Lとの和であり132cm程度である。また最長検知距離LMAXにおける到達レベルと同等となる距離Lθh/2は93cm程度となる。この距離は半値角の半分の角度である27°方向の距離であり、これを奥行き方向と横幅方向の寸法に分割すると、奥行き方向が83cmで横幅方向は42cmとなる。横幅方向はほぼトイレの横幅の半分であり、また一般的に入室口の幅Wは70〜80cm程度であり、前記便器装置1に対して前方左右方向に入室口がある場合のその中央位置よりもやや便器装置1側の位置が、送信波の到達レベルが最長検知距離LMAXにおける到達レベルと同等となるポイントとなる。
【0044】
使用者Huaには20cm〜45cm程度の幅Wがあるため、前記のポイントであれば、前記便器装置1に対して前方左右方向に入室口がある場合と正面に入室口がある場合の送信波の到達レベルを同等とすることができ、入室口がいずれの方向にあっても同等の検知性能を確保できている。
【0045】
また同時に、半値角θhの範囲内がすべて、前記便座部1a上を通過しており、着座位置における使用者を検知できるだけでなく、便座部1a先端前方の領域に対しても、正面に立つ使用者を確実に検知できるのは言うまでもない。
【0046】
さらに、水平方向の送信波に半値角θhのある程度の広がりを持っているため、男性の立ち姿勢での小用時の尿が、物体検知に有効な半値角内を確実に通過させることが可能となっており、尿を確実に検知可能であり、略静止状態になりやすい男性の立ち姿勢での小用利用時の使用者の検知をより確実なものにするとともに、前記前記装置1が備える便器洗浄手段Wの動作を適切なタイミングで実行することが可能となっている。
【0047】
次に物体検知手段Sが便器装置1に対して中央に配置できない場合の、配置方法について説明する。
【0048】
図7は、本発明の第1実施例の便器装置内に設けた物体検知手段が便器装置の中心ラインよりもずれて配置された場合の、標準的なトイレ内に設置した際の物体検知手段から送信される送信波の水平方向の到達レベルを示す等高線図である。
【0049】
この図においても、トイレは図6で述べた標準的なものを想定しているが、物体検知装置Sは、便器装置1に向かって左側にずれた配置となっている。この場合において、図6で述べた送信波の到達レベルが最長検知距離LMAXにおける到達レベルと同等となるポイントが、前方左右方向の入室口の位置する範囲内に、左右いずれのポイントも満足できるように、前記便座部1a先端より前方で、前記最長検知距離LMAXよりも前記便器装置1方向に、前記便器装置1の中心ラインとの交点が位置する方向に向けて配置されている。
【0050】
このような向きにすることで、着座位置、前記便座部1a先端の前方位置および入室口における使用者といった複数の検知領域を、一つの物体検知手段Sで検知可能な状態とすることが可能である。
【0051】
最後に別の便器装置に配置した1例を述べる。
【0052】
図8は、本発明の第2実施例の便器装置を示す外観斜視図である。
第2実施例の便器装置2は、第1実施例の便器装置1と同様、便座部2aおよび便蓋部2cと、これら2つを回転自在に固定し、様々な機能生成手段と前記機能生成手段を制御する制御手段Aおよび物体検知手段Sを収納する本体部2bと、さらに便器部2dが一体となったものである。さらに後方には収納部2eを備えている。前記収納部2eは、便器部2dの洗浄タンクを隠蔽するフロントパネル2m、掃除ブラシ等の小物を収納する収納部2fやスポット的に点灯する間接照明部2gを組み込んだサイドパネル2nと天板2tから構成されている。前記間接照明部2gは夜中等に使用者が入室した際に、物体検知手段Sで検知し、床等を照らして明るい天井照明を点灯しなくても良いようにするためのものである。この実施例では、前記物体検知手段Sは前記フロントパネル2m内に配置しており、前記第1実施例よりも高い、前記便座部2aを開放状態にした際に開口内を送信波が通り抜けられる程度の位置に配置しており、正面を向けて、主たる送信波の指向方向を水平に向けて配置している。この場合、前記第1実施例の場合よりも最大検知距離LMAが長く設定されるため、前記物体検知手段Sの水平方向の半値角θhは、やや狭く設定するのが望ましい。その他の具体的な配置の考え方は第1実施例と同様である。
【0053】
なお実施例では、平面アンテナを1例のみ紹介しているが、1×4や2×4といった組合せも可能であり、本発明で示した指向特性を満足できれば特に限定するものではない。
【0054】
また便器装置についても、実施例としてはタイプの異なる2例を紹介したが、便器洗浄タンクを一体としたものや、便器部とは独立に構成される便座装置であっても同様な効果が得られるものである。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の第1実施例の便器装置を示す外観斜視図である。
【図2】本発明の第1実施例の便器装置の全体構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1実施例の便器装置内に設けた物体検知手段の平面アンテナの1例を示すパターン図である。
【図4】図2に示した平面アンテナの一定距離における角度に対する送信波の電力レベルを無次元化表現した指向特性のグラフである。
【図5】本発明の第1実施例の便器装置内に設けた際の物体検知手段の鉛直方向における指向方向を示す側面図である。
【図6】本発明の第1実施例の便器装置を標準的なトイレ内に設置した際の物体検知手段から送信される送信波の水平方向の到達レベルを示す等高線図である。
【図7】本発明の第1実施例の便器装置内に設けた物体検知手段が便器装置の中心ラインよりもずれて配置された場合の、標準的なトイレ内に設置した際の物体検知手段から送信される送信波の水平方向の到達レベルを示す等高線図である。
【図8】本発明の第2実施例の便器装置を示す外観斜視図である。
【符号の説明】
【0056】
1…第1実施例の便器装置
1a…便座部、1b…本体部、1c…便蓋部、1d…便器部
S…物体検知手段、Sa…アンテナとして有効な領域
Sb…平面アンテナ、Sc…アンテナ面の中心点、Sd…給電ライン
θh…水平方向の半値角、θv…鉛直方向の半値角
…アンテナ面の中心Scの位置、
…最長検知距離上方1mの点
Huc…一人で小用利用可能な子供
…床面からの高さ
…一人で小用利用可能な子供の身長
…一人で小用利用可能な子供の肩の高さ
…一人で小用利用可能な子供の胸部中央の高さ
…便座部1aの先端部の高さ
…Pから便座部1a先端までの距離
…便座部1a先端からの入室位置における検知距離
δ…仰角
α…PとPとを結ぶ線と鉛直方向の指向方向とのなす角
β…Pから延長した便座部先端上面と接する接線と鉛直方向の指向方向とのなす角
…トイレ奥行き
…トイレ横幅
MAX…最長検知距離
θh/2…LMAXにおける到達レベルと同等となる距離
CL…中心線
Hua…使用者
…入室口の幅、W…使用者の幅
2…第2実施例の便器装置
2a…便座部、2b…本体部、2c…便蓋部、2d…便器部、2e…収納部
2m…フロントパネル、2f…収納部、2g…間接照明部
2n…サイドパネル、2t…天板
【出願人】 【識別番号】000010087
【氏名又は名称】東陶機器株式会社
【住所又は居所】福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1号
【出願日】 平成16年3月26日(2004.3.26)
【代理人】
【公開番号】 特開2005−278713(P2005−278713A)
【公開日】 平成17年10月13日(2005.10.13)
【出願番号】 特願2004−93565(P2004−93565)