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【発明の名称】 トイレ設備
【発明者】 【氏名】松田 宏
【住所又は居所】愛知県常滑市鯉江本町5丁目1番地 株式会社INAX内

【氏名】曽我部 伸雄
【住所又は居所】愛知県常滑市鯉江本町5丁目1番地 株式会社INAX内

【氏名】高羽 利明
【住所又は居所】愛知県常滑市鯉江本町5丁目1番地 株式会社INAX内

【氏名】尾野 久雄
【住所又は居所】東京都港区芝浦4丁目12番33号 ユピテル工業株式会社内

【氏名】澤田 元司
【住所又は居所】東京都港区芝浦4丁目12番33号 ユピテル工業株式会社内

【要約】 【課題】使用者の接近,離反等の移動運動を検知することができるとともに、使用者(男性)が小用のために便器の直前位置でほぼ静止状態となった場合においても、良好にこれを検知することのできるトイレ設備を提供する。

【解決手段】ドップラセンサ28を用いて使用者の検知を行うトイレ設備において、便器の便座が開くとドップラセンサ28による検知の感度を高感度に切り替えるようにする。その感度の切替えはアンプ46,48,54から利得の高いアンプ58への切替えにより行う。またアンプ58は他のアンプ46,48,54に対してより低い周波数のドップラセンサ信号を高感度で抽出すべく周波数特性の異なったものを用いる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドップラセンサを用いて使用者の検知を行うトイレ設備において、
便器の便座が開くとドップラセンサによる検知の感度を高感度に切り替えるようになしてあることを特徴とするトイレ設備。
【請求項2】
請求項1において、前記検知の感度の切替えは利得の高いアンプへの切替えにより行うようになしてあることを特徴とするトイレ設備。
【請求項3】
請求項1において、前記検知の感度の切替えはコンパレータのしきい値を下げることにより行うようになしてあることを特徴とするトイレ設備。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明はトイレ設備に関し、詳しくはドップラセンサを用いて使用者の検知を行うものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、トイレ設備において使用者の有無を人体検知センサで検知し、これに基づいて制御手段により各種機器を動作制御することが広く行われている。
【0003】
例えば便器の使用者を検知することで便蓋を自動的に開いたり、使用後において使用者が検知エリアから離れることで洗浄水を自動的に流したり、便座や便蓋を自動的に閉じたりすることが行われている。
【0004】
従来、かかるトイレ設備における人体検知センサとしては赤外線式センサが主として用いられており、使用者が検知エリアに入ったときに使用者によって反射される反射光の受光に基づいて使用者を検知するようにしていた。
【0005】
しかしながらこの赤外線式センサの場合、反射光量の大小に基づいて使用者の有無を検知するものであることから、検知エリア内に使用者がいるかいないかを判別できるのみであり、使用者の細かな挙動については検知することができず、誤った検知に基づいて機器を誤動作させてしまうという場合も生じていた。
【0006】
またこの赤外線式センサを用いる場合、例えば洗浄タンクその他の箇所に透光性の窓部を設けて、その窓部に臨むように赤外線式センサを埋設するといったことが必要であり、この場合その窓部によって洗浄タンクその他便器周りの美観が損われたり、或いは便器その他のデザインの自由度が制限されるといった問題があった。
【0007】
このようなことから、近年トイレ設備において使用者検知のためにドップラセンサを用いることが提案されている(例えば下記特許文献1,特許文献2,特許文献3,特許文献4,特許文献5,特許文献6,特許文献7)。
ドップラセンサの場合、電波が透過する樹脂製品や木製品の内部に隠れた状態にこれを設置しておくことが可能であり、便器周りの美観を良好となし或いはデザイン上の制約がなくなるなどの利点が得られる。
またこのドップラセンサを用いた人体検知の場合、使用者が接近しているのか又は離反しているのかなども検知することができる。
【0008】
しかしながらドップラセンサを用いた従来の人体検知、即ち使用者の検知は、単にドップラ効果を利用して使用者が接近しているか離反しているかを判定するに過ぎないものであり、使用者の挙動を必ずしも正確に検知できるものではなかった。
【0009】
ドップラセンサを用いた使用者の検知は、ドップラ効果を利用するものであることから使用者が接近或いは離反等の動きを生じているときにはその検知ができるものの、使用者が静止状態となったとき、その検知をすることが難しかったのである。
【0010】
例えば男性が小用をする際、その動きは便器に向って接近移動して来た後、便器の直前位置である時間ほぼ静止した状態となる。
ドップラセンサは、このほぼ静止状態にある使用者を良好に検知することができず、場合によって使用者がいなくなったものと誤判定して便蓋を閉じてしまったり、洗浄水を流してしまったりなどの誤動作を生じる恐れがある。
【0011】
【特許文献1】特開2001−305220号公報
【特許文献2】特開2002−71824号公報
【特許文献3】特開2002−70119号公報
【特許文献4】特開2003−21677号公報
【特許文献5】特開2002−285624号公報
【特許文献6】特開2001−311773号公報
【特許文献7】特開2001−231716号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明はこのような事情を背景とし、使用者の接近,離反等の移動運動を検知することができるとともに、使用者(男性)が小用のために便器の直前位置でほぼ静止状態となった場合においても良好にこれを検知することのできるトイレ設備を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
而して請求項1のものは、ドップラセンサを用いて使用者の検知を行うトイレ設備において、便器の便座が開くとドップラセンサによる検知の感度を高感度に切り替えるようになしてあることを特徴とする。
【0014】
請求項2のものは、請求項1において、前記検知の感度の切替えは利得の高いアンプへの切替えにより行うようになしてあることを特徴とする。
【0015】
請求項3のものは、請求項1において、前記検知の感度の切替えはコンパレータのしきい値を下げることにより行うようになしてあることを特徴とする。
【発明の作用・効果】
【0016】
以上のように本発明は、ドップラセンサを用いて使用者の検知を行うトイレ設備において、便器の便座が開くとドップラセンサによる検知の感度を高感度に切り替えるようになしたものである。
前述したように男性の使用者が小用を行う際、先ず便座を開いて小用を行う。このとき使用者はある時間ほぼ静止状態を維持するため、ドップラセンサによる検知の感度を、使用者の接近又は離反を検知するために設定した感度に維持しておくと、誤って使用者がいないものと判定してしまう恐れがある。
そこで本発明では、このような場合に検知の感度を高感度に切り替えるようになしたものである。
【0017】
小用中の使用者は、ほぼ静止状態にあるとは言っても、呼吸をしたり、頭を動かしたり、体を捻ったり、手を動かしたりなど僅かな動きを行う。
この場合ドップラセンサによる検知の感度を高感度としておくと、そのような微小の動きによって発生するドップラ信号を確実に捉えることができ、このことによって便器の直前位置に使用者が存在していることを、またその動きは小さいものであること等を認識することができ、使用者が小用中であることを判断することができる。
これによって、ドップラセンサによる使用者の検知に基づいて便器の各種機器を正確に動作制御することが可能となる。
【0018】
この場合において検知の感度の切替えは、利得の高いアンプへの切替えにより行うようになすことができる(請求項2)。
或いは信号処理回路におけるコンパレータのしきい値を下げることにより行うようになすことができる(請求項3)。
これらの場合において、更に感度の切替えは、周波数特性の異なるアンプへの切替えにより行うようになすことができる。
【0019】
使用者の、ほぼ静止状態での微小な動きはゆっくりとした動きであり、それを検出するには低い周波数に高い利得を持つアンプを用いるのが好都合である。
一方便器に向っての接近移動又は離反移動は、人が歩く速度で発生するドップラ信号の周波数に利得を持つアンプを用いるのが好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
図1において、10はトイレ室12内に設置されたトイレ設備で、14は洋風便器本体、16,18はそれぞれ開閉可能な便座及び便蓋、20は便器洗浄水を貯える洗浄タンクである。
この例の洗浄タンク20は、樹脂製のタンクカバー22と内部タンク(図示省略)とを有しており、洗浄水を貯えた内部タンクをタンクカバー22で覆った形態をなしている。
【0021】
この例のトイレ設備10は、洗浄ノズル23から洗浄水をシャワー噴射して人体局部を洗浄する局部洗浄装置付きのもので、壁Wに各種機器、具体的には図3に示す便蓋開閉モータ24-1,便座開閉モータ24-2,便器洗浄機構24-3,シャワーバルブ24-4,便座ヒータ24-5,脱臭ファン24-6,温水ヒータ24-7等の各種機器を遠隔操作するためのリモコン26が取り付けられている。
【0022】
この例のトイレ設備10はまた、人体検知即ち使用者の検知に基づいて自動的に便蓋18を開閉動作させ、また便座16を閉動作させる機能を有するもので、タンクカバー22の内側の隠れた位置に使用者検知のためのドップラセンサ28を含むドップラセンサユニット(以下センサユニット)29及びドップラセンサ28からの信号に基づいて各種制御を行うマイコン30を搭載した基板32が設けられている(図2,図3参照)。
尚ドップラセンサ28は、これから発するビームが便器から見て正面方向を向くようにその取付けの向きが選ばれている。
【0023】
通常、ドップラセンサとしては送信周波数と反射波の受信周波数との差の周波数を出力するものが用いられるが、ここではかかるドップラセンサ28として2出力センサ、即ち使用者で反射された反射波を受信する第1受信部と第2受信部とを有し、第1受信部を基準としたときに第2受信部からのドップラ信号が、使用者が接近する場合と離反する場合とで逆転する(逆位相となる)ことを利用したもの、即ち接近と離反とで逆位相の信号を出力する2出力式センサが用いられている。
【0024】
図4はこのドップラセンサ28を模式的に表している。
同図において34は発振器で、アンテナ36(送信部)から検知対象38(ここでは使用者)に向けてマイクロ波(ここでは10GHz程度の高周波数の送信波)が送信される。
40,42は第1受信部及び第2受信部で、検知対象38からの反射波が共通のアンテナ36を通じて、これら第1受信部40と第2受信部42とで受信される。
【0025】
ここで第2受信部42は、第1受信部40に対し、発振器からの発振波の波長のドップラ信号のλ/4(π/2)分だけ検知対象38から遠い側(図中右側)に位置をずらせて配置してある(λ:波長)。
但しこの例において、第1受信部40と第2受信部42とは導線43で連絡されており、この導線43を通じて第2受信部42で受信されるドップラ信号が、第1受信部40に対して丁度λ/4分だけ位相がずれた状態となるように、その第2受信部42の第1受信部40に対する相対位置が選ばれている。
但し第2受信部42は、第1受信部40に対して±λ/4+n・λ(n=0,±1,±2,±3・・・)ずらしておけば良い。
尚図4において41は位相差を与えるための位相器である。
【0026】
この例において、アンテナ36は送信用のアンテナと受信用のアンテナとを共通のアンテナが兼用している。
またこのアンテナ36は、ここから発せられる送信波のビームの放射角が、上下方向に大きく左右方向に小さい楕円形のビームとなるようにパターンアンテナの素子39(図5参照)が配置されている。
【0027】
このように縦長の楕円形でビームを正面方向に照射するようにしているのは、出入口の左右の可動物(人体を除く)をできるだけ検知エリアから外す一方、使用者が大人であっても子供であっても、また背の高い人であっても小さい人であっても確実に検知できるようにするためである。
【0028】
前記送信部としてのアンテナ36からの送信波は、これら第1受信部40,第2受信部42にも直接受信される。
具体的にはここでは発振器34からの発振波が直接第1受信部40,第2受信部42にも受信される。
【0029】
このドップラセンサ28では、これら第1受信部40,第2受信部42にて受信された送信波と反射波とが、それぞれミキサ44-1,44-2によって重ね合わせ処理され、それらの重ね合せによって生じた低周波のうなりの波がドップラ信号として取り出される。
【0030】
これらミキサ44-1,44-2から出力された第1受信部40,第2受信部42からのドップラ信号は、それぞれ図2のセンサユニット29における低周波アンプ46,48に通され、使用者を検出する以外の不要な周波数成分(例えば換気扇等の影響)を除去して出力される。
【0031】
第1受信部40を通じて取り出されたドップラ信号(受信部1信号)と、第2受信部42を通じて取り出されたドップラ信号(受信部2信号)とは、図6(イ),(ロ),(ハ)に示しているようにその波形が丁度λ/4(λ:波長)だけ位相がずれた波形となる。
詳しくは、(イ)に示す受信部1信号の波形に対し(ロ),(ハ)に示す受信部2信号の波形がλ/4分だけ位相が進み或いは遅れた波形となる。
【0032】
この受信部2信号の波形は、(ロ),(ハ)に示すように検知対象(使用者)38が接近する場合と離反する場合とで丁度反転した波形となる。
本例では、この受信部2信号の波形に基づいて使用者が接近移動しているのか、離反移動しているのか、即ちその移動方向を判別する。
【0033】
その移動方向の判別はここでは次のようにして行う。
即ちこの例では、受信部1信号及び受信部2信号はそれぞれ図2のセンサユニット29におけるコンパレータ50,52によって信号処理され、ぞれぞれ図6(ニ),(ホ),(ヘ)に示す矩形波に波形変換される。
尚各矩形波は、図6(イ),(ロ),(ハ)に示す正弦波のピークが設定した第1レベル(しきい値)を超えたときに生ずる。
【0034】
そして図2及び図6(ニ),(ホ),(ヘ)に示すように、それら矩形波がコンパレータ50,コンパレータ52からカウント出力A,カウント出力B1,B2(B1:接近時カウント出力B,B2:離反時カウント出力B)として出力され、図3に示すマイコンへと入力される。
そしてマイコン30は、次のようにして使用者が接近移動しているのか離反移動しているのかの移動方向の判定を行う。
【0035】
図6(イ),(ロ),(ハ)に示しているように、受信部1信号の波形がマイナスレベルにあるとき、接近時の受信部2信号は、(ロ)に示しているように立上り波形となり、また逆に離反時における受信部2信号は、(ハ)に示しているように立下り波形となる。
【0036】
従ってこれらをコンパレータ50,52にて矩形波に波形変換した信号は、(ニ),(ホ),(ヘ)に示しているようにカウント出力AがLレベルであるときに、カウント出力B1がL→Hレベルに変化し、またカウント出力B2がH→Lレベルに変化する。
【0037】
従ってカウント出力A且つそのL信号を基準として、カウント出力Bの立上り信号又は立下り信号の出る回数をカウントすることによって、「ドップラ信号の波数」を知ることができる。
即ちカウント出力Bの立上り信号又は立下り信号の発生回数はそのまま「ドップラ信号の波数」ということになる。
【0038】
そしてこのとき立上り信号の発生回数(カウント出力B1の立上り信号の発生回数)が使用者の接近方向の移動距離を表し、また立下り信号の発生回数(カウント出力B2の立下り信号の発生回数)が離反方向の移動距離を表すことになる。
【0039】
ここで送信波の波長が例えば2.8cm程度の波長であるとき、1波長を位相の変化で考えると、位相が360度変化するのに2.8cm必要であることになる。一方ドップラ信号は送信波と反射波の位相差がその出力に現われるため、反射波の位相が360度変化すればドップラ信号の位相も360度変化することになる。
即ち、ドップラ信号が1波長発生するということは反射波の移動距離が2.8cm分変化したこと、言い換えれば使用者が1.4cm移動したことと等しい。
従ってドップラ信号の波数をカウントする(数える)ことによって、検知対象である使用者の移動距離を知ることができる。
そして移動方向判別手段からの移動方向の情報、詳しくは使用者が接近移動しているのか離反移動しているのかの情報と組み合わせることによって検知対象、即ち使用者の移動距離を正確に検知することができる。
【0040】
従って立上り信号の発生回数と立下り信号の発生回数とを加減算した結果の波数は、接近及び離反移動の距離を加減算した結果の、全体の接近方向又は離反方向の移動距離を表すことになる。
マイコン30は以上のような演算処理を行って、使用者の最終的な移動距離及び方向を判別する。
【0041】
受信部1信号はまた、図2に示しているように低周波アンプ54及びコンパレータ56によって信号処理され、図7(A)に示すような矩形波(レベル出力A)に変換される。
低周波アンプ54は、低周波アンプ46,48に比べてその感度が低くされており、従って受信部1信号の波形が上記第1レベルよりも高いレベルに設定された第2レベル以上の信号強度となったときにのみ、図7(A)に示す矩形波、即ちそのHレベル信号が出力される(そのようにしきい値が設定されている)。
【0042】
この図7(A)に示す波形のレベル出力Aは、使用者がドップラセンサ28に対して正面方向から接近せず、側方から接近したときにこれを検知するためのもので、このレベル出力Aは常時マイコン30へと入力されるようになっている。
【0043】
一方受信部2信号は、低周波アンプ46,48よりも更に利得の高い高感度の低周波アンプ58及びコンパレータ60にて信号処理され、図7(B)に示す矩形波(レベル出力B)に波形変換される。
この高感度の低周波アンプ58を通って出力された図7(B)のレベル出力Bは、便座16が開動作したときに便器の直前位置に立っている使用者の僅かな動きを検知するためのもので、このレベル出力Bもまた、常時マイコン30へと入力されるようになっている。
【0044】
ここで高感度の低周波アンプ58は、図12に示す便器直前でほぼ静止した状態の使用者の僅かな動きが、便器に向けての接近或いは離反移動に対し動きの遅いものであることから、そのような遅い動きの僅かな動きを正しく検知するため、低周波アンプ46,48よりも更に低い周波数のドップラ信号を良好に抽出できるように、その周波数特性が低周波アンプ46,48と異なったものが用いられている。
【0045】
本例のトイレ設備10では、使用者が正面方向から接近して来ると、発生するドップラ信号の波数のカウント値に基づいてマイコン30が便蓋18を自動的に開動作させる。
また使用後において使用者が便器からその正面方向に立ち去ると、同じくドップラセンサ28による検知に基づいて、即ちドップラ信号の波数カウント値に基づいて所定時間後に便蓋18及び便座16(便座16が開いているとき)を閉動作させる。
【0046】
また一方、トイレの出入口が便器の側面にあって、使用者が側方から接近したときにはレベル出力Aに基づいて便蓋18の開動作を行い、また使用後において使用者が立ち去ると所定時間後に便蓋18及び便座16を閉動作させる。
【0047】
その制御内容が図8に具体的に示してある。
先ず使用者が便器に向って正面方向から接近すると、ステップS10において移動方向の判別が行われるとともに、ステップS12において発生するドップラ信号の波数、具体的には図6(ホ),(ヘ)に示す矩形波の立上り信号の発生回数或いは立下り信号の発生回数がカウントされる。
【0048】
このとき接近方向のカウント値をプラス、離反方向のカウント値をマイナスとして、ステップS14においてそれらの加減算が行われ、トータルとしてのカウント値Kが算出される。
このKの値がプラスであれば全体として接近であり、またマイナスであれば全体として離反である。
【0049】
そしてそのKの値がカウント基準値n(n=20)を超えたときには(ステップS18)、ステップS20において便蓋の開動作を行う。
ここでnの値は、使用者がドップラセンサ28の検知エリアに入ってから便器の使用位置、即ち便器の直前位置に到るまでの接近移動距離に対応した値で選定されている。
また一方カウント値Kがnに達しない間は、ステップS22においてレベル出力AがHレベルであるかの判定を行う。
【0050】
そしてステップS22においてレベル出力AがHレベルになったと判定されたとき、ここにおいて使用者有りと判定されてステップS24において便蓋開動作が行われる。
他方ステップS22においてレベル出力AがHレベルでないとき、ステップS10に戻って再び後続の各ステップが実行される。
【0051】
ここで第1レベルよりも高い第2レベル以上の強度のドップラ信号、つまりレベル出力Aに基づいて便蓋開動作を行う際、先ずカウント値Kがn未満であるかどうかを判定しているのは、使用者の接近移動が側方からの接近移動か正面からの接近移動かを正しく判定するためである。
【0052】
例えば図12に示しているように使用者が正面から便器に向って接近した場合、ドップラ信号が第2レベルを超えるまでにかなりの距離接近移動しなければならず、その間にドップラ信号の波は多数発生する。
そのときの波数がnを超えていれば、その使用者の挙動が正面からの接近移動と判定でき、従ってこの場合には、単にドップラ信号の波数のカウント値のみに基づいて使用者の接近を検知することで、十分正確にこれを検知することができる。
【0053】
一方側方から使用者が接近して来た場合には、第2レベルを超える強い強度のドップラ信号が出力されるまで、即ちレベル出力AがHレベルとなるまでのドップラ信号の波数は少ないものであり(n未満)、その状態でレベル出力AがHレベルとなったときには、これは使用者が側方から便器に接近したことによるものと判定でき、その場合にはそのレベル出力Aに基づいてステップS24において便蓋開動作を行うのである。
【0054】
尚、使用後において便器の使用者が正面方向に立ち去ったときには、カウント値Kに基づいて一定時間後に便蓋18を閉動作させる。
またそのとき便座16が開状態であれば、便蓋18と併せて便座18を閉動作させる。
一方使用者が側方に立ち去ったときにはカウント値Kに基づかないで、レベル出力AがLレベルとなることによって、便蓋18或いは便蓋18と便座16とを閉動作させる。
【0055】
尚本例においては低周波アンプ46,48、コンパレータ50,52及びマイコン30によって移動方向判別手段が構成され、またマイコン30によりカウント手段が構成されている。
更に低感度の低周波アンプ54とコンパレータ56とにより信号強度検出手段が構成されている。
【0056】
以上のような本例によれば、使用者が便器を使用する目的を持って接近移動しているのか、離反移動しているのかを正確に検知することができ、これに基づいてトイレ設備10の各機器を正しく動作制御することができる。
【0057】
次に図9は他の例を示している。
この例は、トイレ室における出入口が正面位置か側面位置かを示すドア位置スイッチ66(図3参照)を設けて、トイレ室の出入口が正面位置か側面位置かを表し、これをマイコン30へと信号入力するようになすとともに、そのドア位置スイッチ66からの信号に基づいて、マイコン30がその実行内容を切り替えるようになした例である。
【0058】
図9に示しているようにこの例では、ステップS25においてドア位置スイッチ66にて指定されるドア位置が正面位置か側面位置かを判定し、そしてドア位置、即ち出入口の位置が正面位置であるときには第1モード、即ちステップS26,S27,S28,S29,S30を実行して、ドップラ信号の波数のカウントにより便蓋開動作を行う。
【0059】
また一方出入口の位置が側面位置である場合には第2モード、即ちステップS25に続いてステップS32,S34を実行し、レベル出力AがHレベルとなったか否かをもって便蓋開動作(ステップS34)を行う。
【0060】
本例に従えば、マイコン30における制御動作を簡単化することができ、尚且つ正面から使用者が接近した場合にも、また側方から使用者が接近した場合にも確実にこれを検知することができる。
【0061】
次に図10は更に他の例を示している。
ここではマイコン30自体に学習機能を持たせ、第1モードと第2モードとの実行頻度に応じて、第1モードの実行と第2モードの実行とを切り替えるようになした例である。
詳しくは、何れか実行頻度の高い方のモードに制御の実行を切り替えるようにしたものである。
【0062】
ここではステップS52,S56においてそれぞれ第1モードと第2モードとの実行の回数をカウントし、そしてステップS54,S58においてそれぞれのカウントが、即ち第1モードと第2モードとの実行頻度が10回以上となったと判定されたときには、それ以後の制御を第1モード又は第2モードに切り替えて固定し、それら第1モード,第2モードを以後実行する。
【0063】
尚、図10においてステップS36〜S46は図8におけるステップS10〜S20と同様であり、またS48〜S50は図8におけるS22,S24と同様である。
【0064】
次に図11は便座開に基づいてドップラセンサ28による検知の感度を高く切り替える例を示したもので、ここではリモコン26のスイッチ60(図1参照)の操作等により便座16が開動作したところで、便座開信号に基づいて(ステップS62)、それまでのカウント出力A,カウント出力B又はレベル出力Aからレベル出力Bに検出信号を切り替えて制御を行う(ステップS64,S66)。
【0065】
例えば男性小用の場合には、便座16を開動作した後所定時間使用者は便器の直前位置に立姿勢でほぼ静止した状態となる。
従って上記第1レベル以上の信号強度のドップラ信号に基づいて使用者の有無及び挙動を検知しようとすると、正しくこれを検知することが難しくなる。
そこでここではレベル出力Bに基づいて、即ちドップラセンサ28からの信号の増幅率を高めた上で、その高感度のレベル出力Bに基づいて使用者の検知を行うものである。
【0066】
小用のために便器の直前位置に立姿勢でほぼ静止した状態の使用者は、小用中にも指や頭や顔等を僅かに動かしたり、また呼吸動作をしたりする。
そこでここでは検知の感度を高め、更には周波数特性の異なる低周波アンプ58を用いることにより、ドップラセンサ28からのより低い周波数のドップラ信号を高精度で抽出し、以って便器に向けての使用者の接近移動或いは便器からの離反移動に比べて、便器直前位置での使用者の動きの遅い微小な動きをも検知し、これにより使用者の有無及びその挙動を検知するようになしたもので、このようにすることにより、ほぼ静止した状態にある使用者をも正しく検知することができ、便器の前に使用者が存在していることを正しく認識することができる。
【0067】
尚、図2におけるコンパレータ60のしきい値を下げることによって、ドップラセンサ28による検知の感度を高めるようになすこともできる。
従って小用中の便器使用者がいるにも拘わらず、誤って使用者がいないものと判定して便座16や便蓋18を閉じてしまうといったことを防止することができる。
即ちここでは、レベル出力BがHレベルであるときには小用中の便器使用者がいるものと判定して、便座,便蓋の閉動作を行わず、レベル出力BがLレベルとなったところで、一定時間後に便座,便蓋の閉動作を行う(ステップS68,S70)。
【0068】
以上本発明の実施形態を詳述したがこれはあくまで一例示である。
例えば上記カウント基準値n=20はあくまで一例であって、このカウント基準値はトイレ空間の大きさその他に応じて適宜の値に変更することが可能である。
【0069】
また例えば上例では低感度の低周波アンプ54を用いてレベル出力Aを出力するようにしているが、場合によってコンパレータ56でのしきい値を高くすることによって、レベル出力Aを出力させるようになすことも可能である。
その他本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の一実施形態のトイレ設備を示す図である。
【図2】同実施形態におけるドップラセンサからの信号処理のための回路ブロック図である。
【図3】同実施形態における制御手段としてのマイコンを含むブロック図である。
【図4】同実施形態におけるドップラセンサの模式図である。
【図5】図4におけるアンテナの具体的構成を示す図である。
【図6】図2の低周波アンプから出力される信号波と、コンパレータから出力される矩形波を示す図である。
【図7】図2のレベル出力A,レベル出力Bの矩形波形を示す図である。
【図8】図3のマイコンによる制御の内容をフローチャートで示す図である。
【図9】図3とは異なった制御の内容をフローチャートで示す図である。
【図10】図8,図9とは異なった制御の内容をフローチャートで示す図である。
【図11】便座開後の制御の内容をフローチャートで示す図である。
【図12】便器使用に際しての使用者の動きを示す説明図である。
【符号の説明】
【0071】
10 トイレ設備
16 便座
18 便蓋
28 ドップラセンサ
46,48,58 低周波アンプ
【出願人】 【識別番号】000000479
【氏名又は名称】株式会社INAX
【住所又は居所】愛知県常滑市鯉江本町5丁目1番地
【識別番号】391001848
【氏名又は名称】ユピテル工業株式会社
【住所又は居所】東京都港区芝浦4丁目12番33号
【出願日】 平成15年9月11日(2003.9.11)
【代理人】 【識別番号】100089440
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 和夫

【公開番号】 特開2005−81034(P2005−81034A)
【公開日】 平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願番号】 特願2003−319262(P2003−319262)