| 【発明の名称】 |
トイレ装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】石崎 勝義
【氏名】斉藤 寛
【氏名】高辻 俊宏
【氏名】田辺 秀二
【氏名】正木 晴彦
【氏名】石崎 輝子
【氏名】大宮 司聡
【氏名】三浦 真慈
【氏名】小林 将也
【氏名】西村 善久仁
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| 【要約】 |
【課題】アンモニアが外部へ飛散しにくいトイレ装置を提供する。
【解決手段】本発明に係るトイレ装置は、糞と尿とを分離して排出する便器と、便器から排出された尿を貯留する尿容器と、尿容器内の尿を冷却する第一ペルチエ素子と、を備える。これによれば、尿容器内の尿が冷却されるため、尿容器内での尿素の酸化分解が起こりにくくなり尿容器内の尿におけるアンモニア生成量が低減される。さらに、尿が冷却されるために尿からのアンモニアの揮発を抑制することができる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 糞と尿とを分離して排出する便器と、 前記便器から排出された尿を貯留する尿容器と、 前記尿容器内の尿を冷却する第一ペルチエ素子と、 を備えるトイレ装置。 【請求項2】 前記尿容器内の物理量を測定する尿容器内センサと、 前記尿容器内センサによって測定された物理量に基づいて、前記第一ペルチエ素子に供給する電力を制御する制御装置と、 を有する請求項1のトイレ装置。 【請求項3】 前記尿容器内センサは、前記物理量として、前記尿容器内の温度及び前記尿容器内のアンモニア濃度の少なくとも一方を測定する請求項2のトイレ装置。 【請求項4】 前記便器から排出された糞を貯留する糞容器と、 前記糞容器内の糞を攪拌する攪拌装置と、を有し、 前記第一ペルチエ素子は、その一方の面で前記尿容器を冷却すると共に、その他方の面で前記糞容器を加熱するように配置された請求項1〜3の何れか一項に記載のトイレ装置。 【請求項5】 前記便器から排出された糞を貯留する糞容器と、 前記糞容器内の糞を攪拌する攪拌装置と、を有し、 前記第一ペルチエ素子は、その一方の面で前記尿容器を冷却すると共に、その他方の面で前記糞容器を加熱するように配置され、さらに、 前記第一ペルチエ素子とは異なる第二ペルチエ素子と、 前記糞容器内の物理量を測定する糞容器内センサと、を有し、 前記第二ペルチエ素子は、前記尿容器内の尿の冷却又は前記糞処理槽内の糞の加熱の何れかが可能となるように設けられ、 前記制御装置は、前記尿容器内センサによって測定された物理量及び前記糞容器内センサによって測定された物理量に基づいて、前記第一ペルチエ素子及び第二ペルチエ素子に供給する電力を制御する請求項2又は3に記載のトイレ装置。 【請求項6】 前記糞容器内センサは、前記物理量として、前記糞容器内の温度、前記糞容器内の有臭ガスの濃度、及び、前記糞容器内の水分濃度の少なくともいずれかを測定する請求項5のトイレ装置。 【請求項7】 前記糞容器内のガスを、前記尿容器内を通して外部に排出させるガス排出手段を有する請求項4〜6の何れか一項に記載のトイレ装置。 【請求項8】 多孔質材が貯留される多孔質材容器を有し、 前記ガス排出手段は、前記糞容器内のガスを、さらに、前記多孔質材容器内を通して外部に排出させる請求項7の何れか一項に記載のトイレ装置。 【請求項9】 前記糞容器内の内容物を包装容器内に収容する固体排出手段をさらに有する請求項4〜8の何れか一項に記載のトイレ装置。 【請求項10】 前記尿容器内の尿のpH値を3〜5に調節するpH調節装置を備える請求項1〜9の何れか一項に記載のトイレ装置。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、トイレ装置に関する。 【背景技術】 【0002】 従来より、例えば、非水洗のトイレ装置用等として、人が排泄した糞及び尿を分離して排出する便器が知られている(例えば、非特許文献1、2参照)。このような、いわゆる、糞尿分離型の便器として、例えば、前方に尿を排出する開口が、後方に糞を排出する開口が設けられ、これらの開口間に仕切壁が設けられた便器が知られている。 【0003】 そして、前方の開口から排出される尿は尿容器内に貯留される一方、後方の開口から排出される糞は糞容器内に貯留されるようになっている。 【非特許文献1】石崎勝義、他5名、「資源循環型トイレットの可能性」、環境システム研究論文集、(社)土木学会、2000年、Vol.28、p.295−302 【非特許文献2】Ralf Otterpohl, "Technological Aspects of DESAR: Design of highly efficient source control sanitation and practical experiences", Decentralised Sanitation and Reuse: Concepts, Systems and Implementation, Edited by Piet Lens et al., P164-180, (2001) IWA Publishing, UK 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 しかしながら、糞と分離されて貯留される尿は、尿中の尿素の酸化分解によってアンモニアを生成し、さらに生成されたアンモニアが尿から揮発して尿容器から外部に飛散し、トイレ装置の利用者やトイレ装置の近隣にいる者がアンモニア臭を感じる場合がある。 【0005】 本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、アンモニアが外部へ飛散しにくいトイレ装置を提供することを目的としている。 【課題を解決するための手段】 【0006】 本発明に係るトイレ装置は、糞と尿とを分離して排出する便器と、便器から排出された尿を貯留する尿容器と、尿容器内の尿を冷却する第一ペルチエ素子と、を備える。 【0007】 これによれば、尿容器内の尿を冷却することができるため、尿容器内での尿素の酸化分解を起こしにくくして尿容器内の尿におけるアンモニア生成量を低減できる。さらに、尿が冷却されるために尿からのアンモニアの揮発も抑制することができる。したがって、尿容器からのアンモニアの飛散量が大いに低減される。また、ペルチエ素子は、アンモニア、フロン、CO2等の冷媒を用いる冷却設備よりもイニシャルコストが十分低く、また、ランニングコストも同等以下とでき、さらに、小型軽量化が図れ、静音性も高い。 【0008】 ここで、尿容器内の物理量を測定する尿容器内センサと、この物理量に基づいて、第一ペルチエ素子に供給する電力を制御する制御装置と、を有することが好ましい。 【0009】 これによれば、尿容器内の物理量に基づいて、第一ペルチエ素子による尿容器内の尿の冷却度合いを適切に制御することができる。したがって、尿容器内の冷却が不十分になったり、過度な冷却がなされたりすることを抑制できるので、エネルギー効率よく、アンモニアの飛散量を抑制できる。 【0010】 また、尿容器内センサは、その物理量として、尿容器内の温度及び尿容器内のアンモニア濃度の少なくとも一方を測定することが好ましい。 【0011】 例えば、尿容器内の温度を測定する場合には、尿容器内の尿の温度を所望の範囲に維持すように第一ペルチエ素子を制御できるので、尿容器内でのアンモニア生成や尿からのアンモニア揮発を確実に抑制することができる。ここで、アンモニアの発生や揮発を十分に抑制する観点から、第1制御手段は尿容器内の尿の温度が10℃以下になるように第一ペルチエ素子に供給する電力を制御することが好ましく、5℃以下になるように電力を制御することがより好ましい。 【0012】 また、例えば、尿容器内のアンモニア濃度を測定する場合には、尿容器内のアンモニア濃度を所定の範囲に維持するように第一ペルチエ素子による冷却を制御できる。従って、尿容器からのアンモニアの飛散量を、トイレ装置の使用状態の変化等に応じてエネルギー効率よく低減できる。 【0013】 また、便器から排出された糞を貯留する糞容器と、糞容器内の糞を攪拌する攪拌装置と、を有し、第一ペルチエ素子は、一方の面で尿容器を冷却すると共に、他方の面で糞容器を加熱するように配置される事が好ましい。 【0014】 これにより、糞容器内の糞等の温度を十分に高くした状態で、この糞等をおがくず等の多孔質材と共に攪拌することができる。従って、糞等の水分を効率よく低減できると共に、菌の活性を高めて糞の分解・発酵等を効率よく起こすことができ、したがって糞の堆肥化等の処理を好適に行える。さらに、第一ペルチエ素子を駆動することによって、尿容器内から除去された熱が糞処理槽内を加熱する熱として用いられるので、尿容器の冷却及び糞容器の冷却をエネルギー効率よく行うことができる。 【0015】 ここで、尿容器内の温度が所望の温度となるように第一ペルチエ素子の熱移動の能力を制御する場合、糞処理槽内の温度を任意の温度に維持することが難しい場合がある。 【0016】 そこで、さらに、第一ペルチエ素子とは異なる第二ペルチエ素子と、糞容器内の物理量を測定する糞容器内センサと、を有し、第二ペルチエ素子は、尿容器内の尿の冷却又は糞処理槽内の糞の加熱の何れかが可能となるように設けられ、制御装置は、尿容器内センサによって測定された物理量及び糞容器内センサによって測定された物理量に基づいて、第一ペルチエ素子及び第二ペルチエ素子に供給する電力を制御することが好ましい。 【0017】 これによれば、尿容器内の尿の冷却または糞処理槽内の糞の加熱のいずれか一方が可能な第二ペルチエ素子をさらに有するので、尿容器内の物理量と、糞容器内センサによって測定された糞処理槽内の物理量とに基づいて、第一ペルチエ素子と第二ペルチエ素子との駆動割合を変えることにより、尿容器内の温度と、糞容器内の温度等の状態とを、個別に所定の範囲内に維持することが可能となる。従って、尿容器内からのアンモニアの飛散量の低減と、糞容器内で糞の水分の低減及び糞の好適な発酵・分解とを好適に両立することができる。 【0018】 また、糞容器内センサは、物理量として、糞容器内の温度、糞容器内の有臭ガスの濃度、及び、糞容器内の水分濃度の少なくともいずれかを測定することが好ましい。 【0019】 これらによれば、糞容器内の温度、攪拌度合い等状態を好適に把握できるので、これに応じて、糞容器内での処理が好適に行われるように各ペルチエ素子を好適に制御することができる。 【0020】 また、糞容器内のガスを、尿容器内を通して外部に排出させるガス排出手段を有することが好ましい。 【0021】 これにより、糞容器内のガスが尿容器内で冷却され、当該ガス中の水分が凝縮し除去される。したがって、排ガスから水分が除去されるので、このようなトイレ装置を屋内等に設置した場合に、結露等の水蒸気による不具合を低減できる。また、水分が除去される際に糞から発生する有臭ガスも水側に回収されるので、排出ガスのにおいを低減することができる。 【0022】 また、多孔質材が貯留される多孔質材容器を有し、ガス排出手段は、糞容器内のガスを、さらに、多孔質材容器内を通して外部に排出させることが好ましい。 【0023】 多孔質材容器は、糞容器内に供給・補充等すべき多孔質材の貯蔵容器である。そして、多孔質材容器内に貯留される多孔質材としては、例えば、おがくず、わら、籾殻、椰子殻等の植物系材料や、活性炭やゼオライト等の無機材料等が挙げられる。 【0024】 そして、糞容器内のガスが、さらに、多孔質材容器内を通して外部に排出されるので、排出されるガス中の有臭ガスが、多孔質材に吸着され、排出されるガスをより無臭化することができる。 【0025】 また、糞容器内の内容物を包装容器内に収容する固体排出手段をさらに有することが好ましい。 【0026】 これによれば、糞容器内の内容物を人手にふれずに、紙パック等の包装容器内に包装して処分することができ、より衛生的なトイレ装置の使用が可能となる。 【0027】 また、尿容器内の尿のpH値を3〜5に調節するpH調節装置を備えることが好ましい。 【0028】 これによれば、尿のpHが適度な酸性に維持されるので、尿からのアンモニアの揮発をより低減させることが可能となる。 【発明の効果】 【0029】 本発明によれば、トイレ装置の尿容器からのアンモニアの飛散量を低減できるので、トイレ装置周りの環境を改善できる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0030】 以下、図面を参照しながら本発明のトイレ装置について、その好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同一または相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。 【0031】 (第一実施形態) 図1は、本実施形態に係るトイレ装置1の側面概略模式図である。図2は、トイレ装置1の斜視図、図3は、便器10の斜視図である。 【0032】 本実施形態に係るトイレ装置1は、主として、筐体5と、筐体5の上面に形成された糞尿分離型の便器10、便器10からの尿を受ける尿タンク(尿容器)20、便器10からの糞を受ける糞容器としての糞処理槽30、尿タンク20を冷却すると共に糞処理槽30を加熱する第一ペルチエ素子40、糞処理槽(糞容器)30内の糞等を攪拌する攪拌翼(攪拌装置)50、補充用のおがくずが貯留されている多孔質材容器60と、電源70と、第一ペルチエ素子40に所定の電力を供給するコントローラ(制御装置)80と、糞処理槽内の内容物を排出する固体排出装置(固体排出手段)95と、を備えている。 【0033】 筐体5は、プラスチック製であり、丸みを帯びた箱型形状を呈し、トイレ装置1の外郭を形成している。 【0034】 便器10は、筐体5の上面に形成されている。この便器10は、使用者2がその上に座って、糞や尿を排出するものである。 【0035】 具体的には、便器10の前側(図示右側)及び後側(図示左側)には各々窪み部11,12が各々形成されており、窪み部11と窪み部12との間には、前後方向と直交する水平幅方向に延び、窪み部11と窪み部12とを隔てる分離壁13が形成されている。使用者2が、便器10上に座って、糞や尿を排泄すると、窪み部12は、使用者2の後側から排泄される糞3を受ける一方、窪み部11は、使用者2から前方に排出される尿4を受ける。窪み部11及び窪み部12の略中央には、各々開口部14及び開口部15が形成されている。前側の開口部14は、使用者2から排泄された尿4を下方に供給する一方、後側の開口部15は使用者2から排泄された糞3を下方に供給する。 【0036】 開口部14の下方には、尿タンク室25が設けられており、尿タンク室25内には、プラスチック製又はステンレス製等の取り外し可能な尿タンク20を備えている。 【0037】 尿タンク20は、便器10の前側の開口部14から排出される尿4をホース18を介して受け入れる。尿タンク20の上部には、アダプタ21が設けられており、ホース18をアダプタ21と接続することにより、便器10の窪み部11からの尿4がもれなく尿タンク20内に導入されるようになっている。 【0038】 尿タンク20内には、温度計(尿容器内センサ)27が設けられており、この温度計27は、尿タンク20内の尿24の温度を測定する。 【0039】 糞処理槽30は、便器10の窪み部12の開口部15から排出される糞3を受け入れる、ステンレス製又はプラスチック製等の容器である。糞処理槽30内の下部には、水平に延在するスクリュー状の攪拌翼50が設けられている。この攪拌翼50は、糞処理槽30の側方に設けられたモータ52によって回転される。そして、この攪拌翼50は、糞処理槽30内において、おがくずと、排泄された糞と、を攪拌・混合する。 【0040】 糞処理槽30には、さらに、糞処理槽30内の内容物33を排出する固体排出装置95が設けられている。この固体排出装置95は、糞処理槽30内の内容物33を外部に送り出すロータリーバルブ90と、紙パック等の包装容器92を保持する保持部93とを有しており、糞処理槽30内の内容物33は、包装容器92内に収容されて外部に排出されるようになっている。ロータリーバルブ90は、便器10の開口部15から離れた位置に設けられており、使用者2から開口部15を介して供給された新鮮な糞3が、直接ロータリーバルブ90を介して外部に排出されにくくなるようになっている。また、スクリュー状の攪拌翼50も、新鮮な糞3がそのままロータリーバルブ90側に運ばれにくくなるような回転方向とされている。 【0041】 多孔質材容器60は、おがくず62が貯留される容器であり、供給バルブ63を介して糞処理槽30の上部と連結されている。 【0042】 供給バルブ63が閉の時には、おがくず62は糞処理槽30内に供給されない。一方、供給バルブ63を開にした場合には、おがくず62が糞処理槽30内に所定量供給される。供給バルブ63は、必要に応じて、人等によって操作される。 【0043】 多孔質材容器60に貯留される多孔質材は、多孔質であればおがくず62に限られず、わら、籾殻、椰子殻等の植物系材料や、活性炭やゼオライト等の無機材料等を利用できる。ここで、多孔質材として、おがくず、わら、籾殻、椰子殻等の植物系材料や、活性炭やゼオライト等の無機材料を利用することにより、処理済み糞を畑等に肥料として散布することができる。なお、トイレ装置1における糞3の処理量が多い場合には、おがくず62等に対して、おがくず62よりも比表面積の高い活性炭等を添加することが好ましい。 【0044】 そして、本実施形態において、トイレ装置1は、特に、尿タンク20内を冷却すべく第一ペルチエ素子40を備えている。この第一ペルチエ素子40は、尿タンク室25と糞処理槽30との間に設けられている。そして、第一ペルチエ素子40の冷却面40bが、尿タンク室25の壁面に接触していると共に、第一ペルチエ素子40の冷却面40bと反対側の加熱面40aが、糞処理槽30の壁面に接触している。 【0045】 この第一ペルチエ素子40は、図2に示すように、複数のP型半導体41と複数のN型半導体42とが交互に直列に電極43で各々接続され、これらの電極43が一つおきに上方側、下方側に交互に配置された冷却デバイスである。そして、上方側に配置された電極43上に熱伝導性の良い熱伝導板45が設けられ、この表面が冷却面40bとされている。一方、下方側に配置された電極43上にも熱伝導性の良い熱伝導板45が設けられ、この表面が加熱面40aとされている。本実施形態の第一ペルチエ素子40においては、第一ペルチエ素子40の厚み方向の中央部において、p形半導体41やn形半導体42が、樹脂性等の保持部材48で支持されている。このような熱伝導板45としては、鉄及び鉄を主成分とする合金板、銅及び銅を主成分とする銅合金板、アルミニュム及びアルミニュムを主成分とする各種合金板等が使用できる。また、熱伝導板45として、表面に銅等がメッキされた金属板等を用いても良い。 【0046】 このような第一ペルチエ素子40に、直流電流を流すと、冷却面40bから加熱面40aに向かって熱の移動が起き、冷却面40bが冷却される一方、加熱面40aが加熱される。なお、電圧印加の極性を代えることにより、加熱面40aと冷却面40bとを入れ替え可能である。このような第一ペルチエ素子40によれば、加熱面40aの温度にもよるが、冷却面40bの温度を−40℃程度にまで冷却することができる。 【0047】 この第一ペルチエ素子40はコントローラ80に接続されている。また、温度計27もコントローラ80に接続されている。コントローラ80は、電源70からの直流電流を、第一ペルチエ素子40に供給する。このとき、コントローラ80は、第一ペルチエ素子40に駆動する電力を制御することにより、尿タンク20内の尿の温度が所定の温度範囲に維持されるように、冷却面40bから加熱面40aへの熱の移動量すなわち、冷却面40bの冷却温度を制御する。 【0048】 また、コントローラ80は、攪拌用のモータ52と接続されており、コントローラ80は、所定時間毎に糞処理槽30内の内容物33が攪拌されるようにモータ52の駆動を制御する。 【0049】 次に、本実施形態に係るトイレ装置1における作用を説明する。 【0050】 まず、使用者2が、便器10に座って糞3及び尿4を排泄すると、排泄された糞3が便器10の後側の開口部15を介して糞処理槽30内に供給される一方、尿4が便器10の前側の開口部14を介して尿タンク20内に供給される。したがって、糞処理槽30内には糞3が、尿タンク20内には尿24が貯留されることとなる。なお、尿24には尿素、カリウム、リンなどの栄養分が含まれ、また尿の96%は水分である。また、尿24は無菌であるため、単独では生物学的な腐敗や分解は生じにくい。一方、糞3には腸内細菌群によって分解された消化物、未消化の繊維質、上皮細胞、腸内細菌が含まれている。ここで、本実施形態のトイレ装置1では、使用者2から分離して排出される糞3と尿4とを分離して貯留することにより、糞3と尿4とが混合されておこる腐敗的な分解が起こりにくくなっている。 【0051】 そして、本実施形態に係るトイレ装置1においては、第一ペルチエ素子40によって、尿タンク室25が冷却されるので、尿タンク20内の尿24が冷却される。したがって、尿タンク20内の尿24に含まれる尿素が酸化され難くなり、尿タンク20内でのアンモニアの発生量が抑制される。また、尿タンク20内の尿24の温度が低く保たれるので、尿24からのアンモニアの揮発が抑制される。したがって、尿タンク20からトイレ装置1の外部へのアンモニアの発散量を低減できる。したがって、このような非水洗トイレにおける悪臭問題を好適に解決することができ、水が不足している地域のトイレや、非常用のトイレ、発展途上国用のトイレ等へ本実施形態に係るトイレ装置の適用が期待される。また、水が不足していない場所、すなわち、先進国の一般家庭、病院、公的施設においても、このような悪臭の発生しにくいトイレ装置を採用しやすくなり、節水効果が高くなり、さらに、資源循環社会の構築に資する点が大きい。 【0052】 また、第一ペルチエ素子40は、アンモニア、フロン、CO2等の冷媒を用いる冷却設備よりもイニシャルコストが十分低く、また、ランニングコストも同等以下とでき、さらに、小型軽量化が図れ、静音性も高い。 【0053】 さらに、温度計27及びコントローラ80によって、尿タンク20内の尿24の温度を所定の低温に維持するようにしているので、尿タンク20からのアンモニアの飛散の抑制効果は非常に高いものとなっている。ここで、アンモニアの飛散量をより確実に低減するためには、コントローラ80によって、尿タンク20内の尿24の温度を10℃以下に維持することが好ましく、5℃以下に維持することがより好ましい。 【0054】 一方、糞処理槽30内には、多孔質材容器60から供給バルブ62を介して、あらかじめ、あるいは、使用中等に適宜、おがくず62が投入される。そして、所定時間毎に、攪拌翼50が作動することにより、糞処理槽30内で糞3とおがくず62とが攪拌され、糞の水分が適切におがくずに吸収されると共に、さらに、このおがくずが担体となって好気性の菌が効率よく増殖する。従って、糞を発酵・分解させてにおいの少ないかつ減容、減重量された状態の有機物としての内容物33とすることができる。この有機物は、有機肥料として使用可能である。なお、このような水分の少ない状態に所定期間おかれることにより有機物は減菌された状態となる。また、糞から発生するアンモニア等の臭気ガスもおがくずによって吸着される。 【0055】 ここで、本実施形態においては、糞処理槽30が第一ペルチエ素子40の加熱面40aによって加熱されるので、糞処理槽30内の糞3やおがくず62等の温度が高くなる。したがって、糞処理槽30内での糞3からの水分除去がより好適に行われる。さらに、温度が高くなることにより、好気性菌の繁殖もより効率よくなされ、糞3の発酵分解効率が高くなる。 【0056】 また、第一ペルチエ素子40の冷却面40bが尿タンク20を冷却すると同時に、この第一ペルチエ素子40の加熱面40aが糞処理槽30を加熱するので、尿タンク20から除去した分の熱が糞処理槽30に与えられることになり、別々のペルチエ素子を用いて、別々に冷却・加熱を行うことに比べてエネルギー効率を高くできる。 【0057】 また、糞処理槽30内での処理によって、分解発酵されて生成した有機物としての内容物33が、固体排出装置95によって、機械的に紙パック92内に包装されて排出されるので、内容物33がこぼれたりしにくくなり、内容物33を人手にふれずにより衛生的に処理することが可能となっている。なお、分解発酵されることにより処理後の内容物33は減菌がなされるが、病原性の細菌等が残存している可能性がある場合にはこのような自動排出処理は特に効果的である。 【0058】 (第二実施形態) 続いて、第2実施形態に係るトイレ装置101について図3を参照して説明する。 【0059】 本実施形態に係るトイレ装置101が第一実施形態に係るトイレ装置1と異なる第一の点は、第二ペルチエ素子140と、温度計(糞容器内センサ)57と、を有する点である。 【0060】 第二ペルチエ素子140は、尿タンク室25の下面に設けられている。第二ペルチエ素子140の冷却面140bが尿タンク室25に接触されている一方、第二ペルチエ素子140の加熱面140aは糞処理槽30には接触されておらず、第二ペルチエ素子140が駆動されても、尿タンク20内の尿24が冷却されるだけで糞処理槽30内の糞3等は加熱されない。第二ペルチエ素子140は、コントローラ80に接続され、駆動される。 【0061】 また、温度計57は、糞処理槽30に設けられており、糞処理槽30内の内容物の温度を測定する。この温度計57は、コントローラ80に接続されている。 【0062】 そして、これらに対応して、コントローラ80は、尿タンク20内の尿24の温度と、糞処理槽30内の糞33等の温度と、に基づいて、尿タンク20内の温度が所定の温度範囲内となり、かつ、糞処理槽30の温度も所定の温度範囲内となるように、第一ペルチエ素子40及び第二ペルチエ素子140への通電をコントロールする。このような構成にすれば、尿タンク20内の尿24の温度範囲と、糞処理槽30内の糞33等の温度範囲とを異なる条件に維持することができる。 【0063】 例えば、通常は、第一ペルチエ素子40のみを駆動し、尿タンク20内の尿を所定の温度範囲に冷却すると同時に、糞処理槽30の加熱を行って省エネルギー化を目指す。一方、糞処理槽30における糞33の発酵等が進んで、糞処理槽30内の温度が高くなりすぎた場合には、主として、第二ペルチエ素子140を駆動する。これにより、尿タンク20内を十分に冷却しつつ糞処理槽30内が過熱されないようにすることができる。したがって、尿タンク20内の尿24の温度調節と、糞処理槽30内の糞33等の温度調節とを、使用状態や外部環境等の変化が起きても容易に両立できて好ましい。 【0064】 なお、糞処理槽30内の温度としては、−20〜45℃、より好ましくは、−5〜30℃に維持することが好ましい。 【0065】 本実施形態のトイレ装置101がトイレ装置1と異なる第二の点は、糞処理槽30内のガスを好適に外部に排出させるガス排出装置(ガス排出手段)150を備えている点である。具体的には、ガス排出装置150は、連通管111、連通管113、連通管117、及び、ファン119により構成されている。 【0066】 連通管111は、糞処理槽30と尿タンク20とを連通する。連通管113は、尿タンク20と多孔質材容器60とを連通する。さらに、連通管117は、多孔質材容器60と筐体5の外部とを連通する。ファン119は、連通管117に接続され、ガスを多孔質材容器60から連通管117を介して筐体5の外に向けて排気する。従って、糞処理槽30内の水蒸気を比較的多く含むガスは、尿タンク20内を通り、多孔質材容器60内を通って外部に排出されこととなる。また、このとき、尿タンク20内のガスも、多孔質材容器60内を通って外部に排出されることとなる。 【0067】 ここで、糞処理槽30内の水蒸気を比較的多く含むガスが、冷却されている尿タンク20内を通ると、ガス中の水蒸気が凝縮され、この水蒸気は液体の水として尿タンク20内に回収される。したがって、外部に排出されるガスの露点が下がるので、このようなトイレ装置1を屋内等に設けた場合に排出ガスによって結露等が生ずることが抑制されている。また、水蒸気が凝縮する際に、ガス中に微少に残る有臭ガス成分も凝縮水と共に回収されるので排出ガスのにおいがより少なくなる。なお、このよう糞処理槽30からの有臭ガスは、糞処理槽30内の隅部等の攪拌が行われにくいデッドスペースにおける糞33の腐敗分解などにより生ずる場合がある。 【0068】 さらに、このようにして水分が低減されたガスは、さらに多孔質材容器60内を通り、残りの水蒸気や有臭ガス成分がさらに多孔質材容器60内のおがくず等の多孔質材に吸着されるので、水蒸気量や有臭成分のきわめて少ない排気ガスが、外部に排出される。 【0069】 また、尿タンク20内のガスも、同時に多孔質材容器60内を通って排出されるので、尿24からごくわずかに揮発するアンモニア等も多孔質材に吸着されて、さらなるアンモニア飛散量の低減が実現されている。 【0070】 また、ファン119、連通管111、連通管113、連通管117によって、糞処理槽30内のガス及び尿タンク20内のガスを当該容器内から外部に引き出しているので、糞処理槽30内のガスが、便器10の開口部15から上部に漏れ出しにくくされ、また、尿タンク20内のガスが便器10の開口部14から上部に漏れ出しにくくされており、トイレ装置1の使用者2が糞処理槽30からの暖かく湿ったガスや、尿タンク20からのガスにさらされにくくなり、より一層快適なトイレ装置1の使用ができる。 【0071】 なお、本発明に係るトイレ装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形態様をとることが可能である。 【0072】 例えば、便器10は、上述の物に限定されず、使用者2が排泄した糞と尿とを分離して排出できる便器であれば種々のタイプの物を利用できる。たとえば、機械的な弁等によって、糞3と尿4とを分離する物でも良い。また、図4に示すような、いわゆる和式の便器でも良い。この便器10は、使用者2が、幅方向に便器10の上をまたぐようにして使用するものである。 【0073】 また、第一及び第二実施形態では、尿タンク20内の物理量を測定するセンサとして温度計27が設けられていたが、これに代えて、尿タンク20内の尿24中や気相中のアンモニア濃度を測定するセンサ等でも良い。尿タンク20内のアンモニア濃度を測定した場合でも、尿タンク20内のアンモニア濃度を所定の範囲に維持するように第一ペルチエ素子40による尿タンク20内の冷却を制御できる。従って、尿タンク20からのアンモニアの飛散を、トイレ装置1の使用状態の変化等に応じてきめ細やかに制御できる。もちろん、尿タンク20内に多種のセンサを設けて、これらの測定値に基づいてコントローラ80が第一ペルチエ素子40の制御を行ってもよい。 【0074】 また、第二実施形態では、糞処理槽30内の物理量を測定するセンサとして温度計57が設けられていたが、これに代えて、アンモニアガス濃度センサ等の有臭ガスセンサ、水分センサ等が設けられていてもよい。これらのセンサを用いた場合でも、糞処理槽30内の各種条件が所定の範囲に維持されるように第一ペルチエ素子40による加熱を制御でき、所望の条件で糞処理槽30における糞33の処理が可能となる。もちろん、糞処理槽30内に多種のセンサを設け、これらの測定値に基づいてコントローラ80が第一ペルチエ素子40の制御を行ってもよい。 【0075】 また、第二実施形態では、第二ペルチエ素子140を糞処理槽30を加熱することなく尿タンク20を冷却するように設けているが、これに代えて、第二ペルチエ素子140を尿タンク20を冷却することなく糞処理槽30を加熱するように設けてもよく(図3仮想線の第二ペルチエ素子140参照)、特に、尿タンク20が十分冷えるものの、糞処理槽30内の温度が上がりにくい場合に効果的である。 【0076】 また、本発明においては、ペルチエ素子を用い尿の温度制御をすることにより尿のアンモニア臭を低減することに関して述べたが、図3に示すように、尿のpHを3〜5に調節するpH調節装置200を備えることによっても、尿からのアンモニアの揮発をより低減させることができる。このように、ペルチエ素子140等による尿の冷却と、pH調節装置200による尿のpHの調節と、を組み合わせると、アンモニア臭抑制の効果が高い。 【0077】 尿のpHを3〜5に調節する方法としては、尿タンク20内の尿に対して、無機酸、有機酸及びミネラルを溶出する岩石を添加することが有効である。無機酸としては、塩酸、炭酸、硫酸等を利用でき、有機酸としては、酢酸、蟻酸、乳酸等を利用でき、ミネラルを溶出する岩石としては麦飯石等を利用できる。 【図面の簡単な説明】 【0078】 【図1】図1は、第一実施形態に係るトイレ装置の側面概略模式図である。 【図2】図2は、ペルチエ素子の概略模式図である。 【図3】図3は、第二実施形態に係るトイレ装置の側面概略模式図である。 【図4】図4は、便器の他の形態を示す斜視図である。 【符号の説明】 【0079】 1,101…トイレ装置、10…便器、20…尿タンク(尿容器)、40…第一ペルチエ素子、27…温度計(尿容器内センサ)、80…コントローラ(制御装置)、30…糞処理槽(糞容器)、50…攪拌翼(攪拌装置)、140…第二ペルチエ素子、57…温度計(糞容器内センサ)、150…ガス排出装置(ガス排出手段)、60…多孔質材容器、95…固体排出装置(固体排出手段)、200…pH調節装置。
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| 【出願人】 |
【識別番号】503360115 【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
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| 【出願日】 |
平成15年9月10日(2003.9.10) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100088155 【弁理士】 【氏名又は名称】長谷川 芳樹
【識別番号】100124291 【弁理士】 【氏名又は名称】石田 悟
【識別番号】100124062 【弁理士】 【氏名又は名称】三上 敬史
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| 【公開番号】 |
特開2005−81003(P2005−81003A) |
| 【公開日】 |
平成17年3月31日(2005.3.31) |
| 【出願番号】 |
特願2003−318821(P2003−318821) |
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