| 【発明の名称】 |
電気炊飯器 |
| 【発明者】 |
【氏名】長谷川 逸美 【住所又は居所】大阪府門真市速見町3番1号 タイガー魔法瓶株式会社内
|
| 【要約】 |
【課題】電気炊飯器で、使用水の温度の違いにかかわらず温泉卵を自動で首尾よく作れるようにする。
【解決手段】温泉卵を作る温泉卵モードと、温泉卵モードを選択する選択手段と、温泉卵モードの選択により、炊飯モードとは別の温泉卵を作る温泉卵モードにて加熱手段4を制御する温泉卵制御手段とを備え、温泉卵モードでの初期温度T0を検知し、その検知温度T0により以降の加熱制御を変えることで、上記の目的を達成する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 蓋閉じ状態の器体内で加熱により炊飯を行う飯器と、前記加熱を行う加熱手段と、飯器の温度を検出する温度センサと、温度センサが検出する飯器温度に基づき加熱手段を白米炊飯モードで制御して白米炊飯を行う白米炊飯制御手段とを備えた電気炊飯器において、 温泉卵を作る温泉卵モードと、温泉卵モードを選択する選択手段と、温泉卵モードの選択により、炊飯モードとは別の温泉卵を作る温泉卵モードにて加熱手段を制御する温泉卵制御手段とを備え、温泉卵モードでの初期温度を検知し、その検知温度により以降の加熱制御を変えることを特徴とする電気炊飯器。 【請求項2】 初期温度は、温泉卵モードの開始から所定時間経過後に検出する請求項1に記載の電気炊飯器。 【請求項3】 初期温度がその後の凝固工程温度の場合とそれよりも低い温度の場合とで加熱制御を変える請求項1、2のいずれか1項に記載の電気炊飯器。 【請求項4】 初期温度がその後の凝固工程温度の場合とそれよりも高い温度の場合とで加熱制御を変える請求項1、2のいずれか1項に記載の電気炊飯器。 【請求項5】 初期温度が凝固工程温度よりも低い場合、凝固工程温度を維持する加熱出力にて凝固工程温度まで昇温させるのに、初期温度が所定の温度よりも高い場合よりも低い場合の方が、加熱出力を高くする請求項2〜4のいずれか1項に記載の電気炊飯器。
|
【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明はヒータや電磁誘導などの電気的な加熱によって炊飯を行う電気炊飯器に関するものである。 【背景技術】 【0002】 電気炊飯器は、加熱方式の違いにかかわらずその基本構成は概ね共通している。本実施の形態を示す図1を参照して説明すると、蓋1で閉じた状態の器体2内で加熱されるかまたはおよび発熱されて加熱による炊飯を行う飯器3と、前記加熱を行う加熱手段4と、飯器3の温度を検出する温度センサ5と、温度センサ5が検出する飯器温度に基づき加熱手段4を炊飯モードで制御して炊飯を行う炊飯制御手段6とを備えている。電気炊飯器は古くから提供され美味しいご飯を炊くべく日進月歩してきた。例えば、近時では図7に示すように、弱火で米に吸水させる吸水工程、強火とファジーな火力で沸騰させてから水分が無くなり温度が急上昇し始めるまでの炊き上げ工程、130℃程度まで加熱して余分な水分をさらに飛ばす焼き工程、その後115℃までの降温を図って一定時間それを維持する高温蒸らしを経てさらに110℃まで降温させてそれを維持することにより余分な蒸気を飛ばしご飯のα化をさらに促進して甘味を増す蒸らし工程、を順次行い炊飯を終える。炊飯後は所定の保温温度にまで降温させてそれを維持する保温工程に移行する。 【0003】 また、電気炊飯器は高機能化、多機能化するなか、本発明の実施の形態を示す図2に例示しているように、炊飯に関しても白米、早炊き、分づき、発芽玄米、玄米、おかゆ、すしめし、炊込み、おこわ蒸しの別があり、水加減が同じでも普通、かため、やわらか、おこげ、の違いが設定できる。また、無洗米対応メニューや、パンの醗酵、焼き、飯器および蓋のクエン酸洗浄を行うクリーニングといった炊飯以外のメニューも設けられている。 【0004】 また、別に、ひたし炊き中に炊飯ヒータを断電する加熱停止期間を設けて、そのときの検出温度の降下温度と初期水温から炊飯量を正確に判定し、以降の安定制御第2段階における加熱量を変える制御を行うことも知られている(例えば、特許文献1参照。)。これにより炊飯量に応じた最適な加熱量が設定できる。 【0005】 ところで、電気炊飯器の多機能化は、調理機器を増やさずに自動調理できる種類数が多くなる利点があり、さらに進む傾向にある。例えば、炊く前のご飯の状態や出し汁の状態にかかわらず、ご飯から雑炊などを上手に炊き上げられるようにした電気炊飯器も既に知られている(例えば、特許文献2)。 【特許文献1】特開平7−008187号公報 【特許文献2】特開2001−333857号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 本発明者はさらに新たな自動調理について研究、開発を進めるなか、温泉卵は白身が凝固し切らず、黄身も適度に凝固したもので、黄身の凝固温度が68℃、白身の凝固温度が72℃と言われるが、温度設定や温度管理が難しく同じ状態を安定して得るのは困難であった。そこで、自動で安定して温泉卵が作れればユーザへの貢献度が高いことに着眼し、さらなる実験や検討の結果、電気炊飯器の構造を利用して温泉卵を作るのに、沸騰水を用いるのが好適なことが判明し、これを標準設定にしたいところ、ユーザによっては常温水を投入することも考えられ、初期温度の違いは温泉卵の凝固度合に大きく影響した。 【0007】 本発明の目的は、そのような新たな知見に基づき、使用水の温度の違いにかかわらず温泉卵を自動で首尾よく作れる電気炊飯器を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0008】 上記のような目的を達成するため、本発明の電気炊飯器は、蓋閉じ状態の器体内で加熱により炊飯を行う飯器と、前記加熱を行う加熱手段と、飯器の温度を検出する温度センサと、温度センサが検出する飯器温度に基づき加熱手段を白米炊飯モードで制御して白米炊飯を行う白米炊飯制御手段とを備えた電気炊飯器において、温泉卵を作る温泉卵モードと、温泉卵モードを選択する選択手段と、温泉卵モードの選択により、炊飯モードとは別の温泉卵を作る温泉卵モードにて加熱手段を制御する温泉卵制御手段とを備え、温泉卵モードでの初期温度を検知し、その検知温度により以降の加熱制御を変えることを1つの特徴としている。 【0009】 このような構成では、蓋閉じ状態の器体内に米と水を入れた飯器を収容して炊飯制御手段が加熱手段を炊飯モードで制御することで、本来の炊飯が行われる。しかし、卵と水を入れた飯器を収容して加熱手段を温泉卵モードで働かせることにより、温泉卵を自動で作れる状態となる。このような自動調理は温泉卵モード選択手段によるモード選択に従い温泉卵制御手段が、温度センサが検出する飯器温度に基づきながらも、炊飯モードとは別に、加熱手段を温泉卵モードで加熱することにより実行する。特に、温泉卵モードでの初期温度を検知することによりユーザが使用した水の温度が判明し、その検知温度、従ってユーザが使用した水の温度の違いによって以降の加熱制御を変えるので、使用水の温度の違いによる白身および黄身の凝固進行度の違いに対応した加熱により温泉卵が作れる。 【0010】 初期温度は、温泉卵モードの開始から所定時間経過後に検出する、さらなる構成では、 温泉卵モードはモード設定から始まるが、温度センサの検出温度がユーザが使用した水の温度を反映するのが極く短くても時間は掛かるし、水の温度が卵の影響で安定するのにしばしの時間が掛かるが、温泉卵モード開始から所定時間経過後に初期温度を検出することにより、温泉卵モードを実質的に開始するにあたっての水温の違いによる白身および黄身の凝固に与える影響の違いの関係を正しく判定することができ、それを以降の加熱制御に生かすことができる。 【0011】 初期温度がその後の凝固工程温度とそれよりも低い温度とで加熱制御を変える、さらなる構成では、 凝固工程温度での加熱制御にて白身および黄身が設定通りの凝固度となった温泉卵を作るのに、初期温度が凝固工程温度であれば卵がその温度に追いつくと凝固が実質的に進行するのに対し、初期温度が凝固工程温度よりも低い場合は卵がその温度に追いついても凝固の実質的な進行は得られないという温度の影響差を、その後の加熱制御を変えることで是正することができる。 【0012】 初期温度がその後の凝固工程温度とそれよりも高い温度とで加熱制御を変える、さらなる構成では、 凝固工程温度での加熱制御にて白身および黄身が設定通りの凝固度となった温泉卵を作るのに、初期温度が凝固工程温度であれば卵がその温度に追いつくと凝固が実質的に進行するのに対し、初期温度が凝固工程温度よりも高い場合は卵の白身の凝固が即時に進行しそれに黄身が幾分遅れて追随するという温度の影響差を、その後の加熱制御を変えることで是正することができる。 【0013】 初期温度がその後の凝固工程温度であればそのまま凝固工程温度維持の加熱制御を所定時間行い、凝固工程温度に対し高ければ、そのまま凝固工程温度維持の加熱制御を所定時間よりも短い時間行い、低ければ凝固工程温度維持の際の加熱出力よりも高い出力にて凝固工程温度まで昇温させて後、凝固工程温度維持の加熱制御を所定時間行う、さらなる構成では、 一定した凝固工程温度での加熱によって卵の白身および黄身の凝固を図りながら、初期温度が凝固工程温度の場合、それに対し高い場合、低い場合の違いに対応することができる。 【0014】 初期温度が凝固工程温度よりも低い場合、凝固工程温度を維持する加熱出力よりも高い出力にて凝固工程温度まで昇温させるのに、初期温度が所定の温度に対し高い場合よりも低い場合の方が、加熱出力を高くする、さらなる構成では、 黄身の凝固温度が白身の凝固温度よりも低いところ、低い初期温度の水を凝固工程温度維持の加熱出力よりも高い加熱出力にて急速に昇温させながらも黄身への熱影響を小さくして早期凝固を抑えられる上、さらに、凝固工程温度よりも低い初期温度が、所定温度よりも高いか低いかで前記加熱出力を違わせることにより、初期温度に対し加熱出力に過不足が生じて白身および黄身の凝固バランスが崩れるようなことを防止することができる。 【0015】 本発明のそれ以上の目的および特徴は、以下の詳細な説明および図面の記載によって明らかになる。本発明の各特徴は、可能な限りそれ単独で、または種々な組み合わせで複合して採用することができる。 【発明の効果】 【0016】 本発明の電気炊飯器の特徴によれば、ユーザが使用した水の温度の違いにかかわらず、設定通りの温泉卵が炊飯器の構造をそのまま利用して自動的に安定して作ることができる。 【0017】 初期温度は、温泉卵モードの開始から所定時間経過後に検出する、さらなる構成によれば、白身および黄身の凝固に影響を与える初期温度の違いを正しく反映させて、より安定して温泉卵が作れる。 【0018】 初期温度がその後の凝固工程温度と、それより低い温度とで加熱制御を変える、さらなる構成によれば、凝固工程温度で温泉卵を作るのに初期温度が低いかどうかによる凝固温度の違う白身および黄身への影響の違いを是正して、より安定して温泉卵を作れる。 【0019】 初期温度がその後の凝固工程温度である場合と、それより高い温度の場合とで加熱制御を変える、さらなる構成によれば、凝固工程温度で温泉卵を作るのに初期温度が高いかどうかによる凝固温度の違う白身および黄身への影響の違いを是正して、より安定して温泉卵を作れる。 【0020】 初期温度がその後の凝固工程温度に対し、同等であればそれを維持する加熱制御を所定時間行い、高ければ凝固工程温度維持の加熱制御を所定時間よりも短い時間行い、低ければ凝固工程温度維持の際の加熱出力よりも高い出力にて凝固工程温度まで昇温させて後、凝固工程温度維持の加熱制御を所定時間行う、さらなる構成によれば、一定した凝固工程温度での加熱によって、初期温度が凝固工程温度の場合、高い場合、低い場合の違いに対応して、より安定して温泉卵を作れる。 【0021】 初期温度が凝固工程温度よりも低い場合、凝固工程温度を維持する加熱出力よりも高い出力にて凝固工程温度まで昇温させるのに、初期温度が所定の温度に対し高い場合よりも低い場合の方が、加熱出力を高くする、さらなる構成によれば、黄身の凝固温度が白身の凝固温度よりも低いことに対応して、低い初期温度からの昇温の高い加熱出力に過不足が生じて白身および黄身の凝固バランスが崩れるようなことを防止し、さらに安定して温泉卵が作れる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0022】 以下、本発明に係る電気炊飯器の実施の形態について、図1〜図6を参照しながら詳細に説明し本発明の理解に供する。 【0023】 本実施の形態の電気炊飯器は、図1を参照して既述した基本的構成を有しているが、加熱手段4として、主に飯器3を電磁誘導にて発熱させて内容物を加熱する加熱コイル11を用いたものであり、加熱コイル11は飯器3の底部とその外まわり部を発熱させるように配置している。加熱手段4は他に飯器3の胴部を加熱する保温ヒータ12、器体2を閉じる蓋1の内側で飯器3の口部をシールパッキン13aにより閉じる金属製の内蓋13を器体2の肩部にて加熱する肩ヒータ14を組合せ備え、前記炊飯時の各種加熱工程や炊飯後の保温を行うようにしている。しかし、これに限られることはなく、飯器3および内蓋13の全体を各部に配置した加熱コイルからの電磁誘導にて発熱させ加熱を行うようにしてもよいし、全体をヒータにより加熱するものでもよい。 【0024】 加熱コイル11は駆動基板15によってそれに搭載したIGBT16のスイッチング機能を利用した高周波駆動を受け、その時々に必要な加熱容量で出力されるようにしている。駆動基板15上にはIGBT16を始めとする発熱素子が搭載されており、それらを冷却する冷却ファン17が器体2内に設けられている。また、特に発熱の大きなIGBT16等はその冷却効果を高めるためにヒートシンク18に接触させて冷却しやすくしている。保温ヒータ12および肩ヒータ14には電源回路19を通じて100Vの交流電流をそのまま給電し、駆動基板15および肩部の前部に設けた操作パネル31の内側に設けたマイクロコンピュータ22を搭載した制御回路23にはそれぞれに必要な直流電流を給電するようにしており、これらは制御手段6を構成している。 【0025】 器体2に施された蓋1は器体2の後部にヒンジピン131により起伏できるように枢支されたヒンジ片32に対し着脱できるように嵌め合わされ、ヒンジ片32と一体になった回動によって器体2の上端を開閉できるようになっている。ヒンジ片32には蓋1を開き方向に付勢するばね33が器体2との間に働かされている。ばね33の付勢による開き動作を制動する制動機構が必要に応じて設けられるし、蓋1が勝手に開かないように閉じ位置にロックするよう図示しないばねにて付勢したロック爪34が設けられ、ロック爪34をばねに抗して回動させることにより蓋1がばね33の付勢によって自動的に開かれる。 【0026】 肩ヒータ14は器体2の肩部上面に形成した溝35内に収容して金属カバー36が施され、蓋1の内側に設けた内蓋13の外周部が金属カバー36に当接して肩ヒータ14の熱を伝導されて飯器3の開口部全域を上方からむら無く加熱するようにしている。蓋1の中央部には蒸気を適度に外部に逃がす弁37が設けられ美味しいご飯が炊けるようにしている。器体2の外壁41と内壁42とはそれらの上端部が肩部材43によって連結一体化され合成樹脂製の器体を構成している。なお、合成樹脂は透磁性を有し、加熱コイル11などが飯器3を電磁誘導加熱させる範囲に設ければ有効であるが、他の部分にそのような有効性はなく、他の部材と代替することができる。 【0027】 蓋1は合成樹脂製の上板44と下板45の間の空間に断熱材46を充填した断熱構造をなし、その中央部の貫通孔47にその上側から前記弁37が挿入され、下側には内蓋13のツマミ兼用の蒸気逃がし筒48が弾性ブッシュ49によって着脱できるように弾性係合している。器体2にはさらに電源コードの巻取りリール51が内蔵され、手提げハンドル52が起伏できるように枢支して外付けされている。 【0028】 器体2の内壁42の底部まわりには、合成樹脂製の放射状をしたコイル台53が配置され、加熱コイル11を下方から保持するようにしている。コイル台53の各放射状部に形成した下向きの内にはフェライトコア54が設けられて加熱コイル11の働きを助けている。コイル台53の中央部には内壁42の中央穴55を前記温度センサ5が貫通して飯器3の底部に当接し飯器3の温度を検出するようにしている。 【0029】 操作パネル31には図2に示すように、炊飯や保温のメニューや動作状態、時刻、その他のメッセージを表示する液晶表示部61が中央部に設けられ、これの左右両側まわり、前側まわりに炊飯をスタートさせ、また無洗米炊飯を選択する炊飯/無洗米キー62、炊飯の時間予約を行う予約キー63、各種入力の取消キー64、保温を人為的にスタートさせ、また保温状態を選択する保温/選択キー65、炊飯のメニューを設定するメニューキー66、炊飯のたきわけを選択する炊きわけキー67、調理1、2、3や、パンの醗酵、焼き、クリーニング、予約吸水などのモードを選択するパン/調理キー68、時間設定用の時キー69、分キー70など、各種設定に必要な操作キーが設けられる。調理1、2、3の1つは、例えば、いわゆる温泉卵を標準モードで作る温泉卵モードであり、他は煮物類を行う煮込みモード、その他の調理モードなどとする。もっとも、温泉卵モードを選択した後、ユーザによる調理時間や温度の変更によって凝固度の違いなどを設定するようにもできる。液晶表示部61およびそのまわりには、設定モード、調理時間、予約時間、調理や予約の残り時間、調理状態などを記述表示、点灯表示、ローテーション表示などするようにしてある。 【0030】 マイクロコンピュータ22は図3に示すように、操作パネル31からの入力に従って、炊飯や温泉卵などの調理を行うべく、温度センサ5からの温度情報を基に、加熱コイル11、保温ヒータ12、肩ヒータ14、および冷却ファン17をそれぞれのドライバ71、72、73、74を介して駆動する。このために、マイクロコンピュータ22は内部機能として白米炊飯のための白米炊飯制御手段75や温泉卵作りのための温泉卵制御手段76などを有し、設定状態や動作状態、時間経過、残り時間などを操作パネル31上に表示するようにしている。これにより、蓋1を閉じた状態の器体2内に白米と水を入れた飯器3を収容して加熱手段4を働かせることにより白米炊飯ができる状態となり、これに代えて卵と水を入れた飯器3を収容して加熱手段4を働かせることにより、温泉卵を作ることができる状態となる。温泉卵は白身が凝固し切らないことを最低条件とし、その凝固度、および黄身の凝固度に種々な違いを持たせることができる。ここでは、白身および黄身が適当な凝固度となる標準状態を得るように実行する。 【0031】 温泉卵モードはパン/調理キー68の操作で選択され、炊飯/無洗米キー62によってスタートし、温泉卵制御手段76は温度センサ5が検出する飯器温度に基づきながらも、炊飯モードとは別に、温泉卵モードで加熱手段4を制御して温泉卵を作る。本実施の形態では、特に、例えば図4、図5に示すように温泉卵モードでの初期温度T0を検知し、その検知温度T0により以降の加熱制御を例えば、図4に示す例と図5に示す例との違いのように変える。このように温泉卵モードでの初期温度を検知することによりユーザが使用した水の温度が判明し、その検知温度、従ってユーザが使用した水の温度の違いによって以降の加熱制御を変えるので、使用水の温度の違いによる白身および黄身の凝固進行度の違いに対応した加熱により温泉卵が作れる。この結果、ユーザが使用した水の温度の違いにかかわらず、設定通りの温泉卵が電気炊飯器の構造をそのまま利用して自動的に安定して作ることができる。 【0032】 ここで、初期温度は、温泉卵モードの開始から所定時間t0の経過後に検出するようにする。これは、温泉卵モードがモード設定から始まるものの、温度センサ5の検出温度がユーザが使用した水の温度を反映するのが極く短くても時間は掛かるし、水の温度が卵の影響で安定するのにしばしの時間が掛かることに対応したもので、温泉卵モード開始から所定時間t0が経過後に初期温度T0を検出することにより、温泉卵モードを実質的に開始するにあたっての水温の違いがより正しく確定し、その違いによる白身および黄身の凝固に与える影響の違いの関係を正しく判定して、それを以降の加熱制御に生かすことができる。この結果、白身および黄身の凝固に影響を与える初期温度T0の違いを温泉卵モードでの加熱制御に正しく反映させて、より安定して温泉卵が作れる。ここに、初期温度T0の検出までは図4、図5の例で示すように、加熱コイル11、保温ヒータ12、および肩ヒータ14のいずれもオフしておく、つまりまだ加熱を開始しないことが適正な初期温度検出のために好適となる。 【0033】 そこで、初期温度T0がその後の凝固工程温度T1である場合とそれよりも低い温度である場合とで加熱制御を変えると、予め一律に設定した凝固工程温度T1での加熱制御にて白身および黄身が設定通りの凝固度となった温泉卵を作るのに、初期温度T0が凝固工程温度T1であれば卵がその温度に追いつくと凝固が実質的に進行するのに対し、初期温度T0が凝固工程温度T1よりも低い温度の場合は卵がその温度に追いついても凝固の実質的な進行は得られないという温度の影響差を、その後の加熱制御、つまり初期温度検出後の凝固工程温度維持を含めた加熱制御を図4、図5に一点鎖線と、実線とで区別して示すように変えることで是正することができる。図4、図5に示す例では初期温度T0が凝固工程温度T1と同等の場合はそのまま凝固工程温度T1を維持する加熱制御を所定時間t1行うのに対し、初期温度T0が凝固工程温度T1よりも低い場合は凝固工程温度T1を維持するときの加熱出力よりも高い加熱出力によって凝固工程温度T1に到達するまで早期昇温を図ってのち、凝固工程温度T1を維持する加熱制御を所定時間t1行うようにしている。この結果、凝固工程温度T1の加熱制御で温泉卵を作るのに初期温度T0が低いかどうかによる凝固温度の違う白身および黄身への影響の違いを是正して、より安定して温泉卵を作れる。 【0034】 また、逆に、初期温度T0がその後の凝固工程温度T1と同じである場合と、それよりも高い温度である場合とで加熱制御を図5に一点鎖線と破線とで区別して示すように変えると、予め一律に設定した凝固工程温度T1での加熱制御にて白身および黄身が設定通りの凝固度となった温泉卵を作るのに、初期温度T0が凝固工程温度T1であれば卵がその温度に追いつくと凝固が実質的に進行するのに対し、初期温度T0が凝固工程温度T1よりも高い場合は卵の白身の凝固が即時に進行しそれに黄身が幾分遅れて追随するという温度の影響差を、その後の加熱制御を変えることで是正することができる。図5に示す例では初期温度T0が凝固工程温度T1と同等の場合はそのまま凝固工程温度T1を維持する加熱制御を所定時間t1行うのに対し、初期温度T0が凝固工程温度T1よりも高い場合は凝固工程温度T1を維持する加熱制御を前記所定時間t1よりも短い時間t2の間行うようにしている。この結果、凝固工程温度T1で温泉卵を作るのに初期温度T0が高いかどうかによる凝固温度の違う白身および黄身への影響の違いを是正して、より安定して温泉卵を作れる。 【0035】 以上を集約すると、初期温度T0がその後の凝固工程温度であればそのまま凝固工程温度T1維持の加熱制御を所定時間t1行い、凝固工程温度T1に対し高ければ、そのまま凝固工程温度T1維持の加熱制御を所定時間t1よりも短い時間t2行い、低ければ凝固工程温度T1維持の際の加熱出力よりも高い出力にて凝固工程温度T1まで昇温させて後、凝固工程温度T1維持の加熱制御を所定時間t1行うことになる。これにより、一定した凝固工程温度T1での加熱によって卵の白身および黄身の凝固を図りながら、初期温度T0が凝固工程温度T1の場合、それに対し高い場合、低い場合の違いに対応することができる。 【0036】 また、本実施の形態では、初期温度T0が凝固工程温度T1よりも低い図4、図5に示すような場合で、既述したように凝固工程温度T1を維持する加熱出力(加熱コイル400W、保温ヒータおよび肩ヒータ6/16での70℃維持)よりも高い出力(加熱コイル800W、保温ヒータおよび肩ヒータ6/16での70℃に向けた昇温)にて凝固工程温度T1まで昇温させるのに、初期温度T0が図4、図5に示すある所定の温度T3に対し高い図5に示す場合の出力(加熱コイル400W、保温ヒータ、肩ヒータ6/16での70℃に向けた昇温)よりも、低い図4に示す場合の方が高い出力(加熱コイル800W、保温ヒータ、肩ヒータ6/16での70℃に向けた昇温)となるようにする。これにより、黄身の凝固温度が白身の凝固温度よりも低いところ、低い初期温度T0の水を凝固工程温度T1維持の加熱出力よりも高い加熱出力にて急速に昇温させながらも黄身への熱影響を小さくして早期凝固を抑えられる上、さらに、凝固工程温度T1よりも低い初期温度T0が、所定温度T3よりも高いか低いかで前記加熱出力を違わせることにより、初期温度に対し加熱出力に過不足が生じて白身および黄身の凝固バランスが崩れるようなことを防止することができる。この結果、さらに安定して温泉卵が作れる。 【0037】 以下、図6に示すフローチャートを参照しながらマイクロコンピュータ22によるさらに詳細な制御例について説明する。パン/調理キー68による調理1の選択によって温泉卵モードが設定され、炊飯/無洗米キー62の操作によって温泉卵モードでの制御がスタートする。まず、所定時間経過後、例えば60秒の間待ってから初期水温T0が例えば50℃未満かどうかを判定し、それによって加熱制御を変更する。これは、例えば、既述したように温泉卵を作る温度T1への立ち上がりが早いと有利であるし、殺菌の問題などから、沸騰水ないしは高温水を投入して温泉卵モードを実行することを標準設定して、販売側の説明、取り扱い説明書やカタログでの記載などで奨励しながらも、常温水や適当な湯が投入されることもあることについて対応したものであり、投入水の温度と投入卵の量との関係による初期温度差にも対応したことになる。つまり、初期水温が卵とそれが適度に没する程度の沸騰水を投入して前記60秒程度で温度センサ5の検出温度が落ち着く50℃以上70℃未満であるときを標準状態であるBとして、そのまま温泉卵タイマを標準時間t1である例えば30分の設定でスタートさせて標準の温泉卵が作れる設定とするのに対し、初期水温が70℃以上と高い場合Cであると、白身や黄身が凝固し過ぎないように前記温泉卵タイマの標準時間を30分よりも短い時間t2に設定してスタートさせる。また、逆に初期水温が50℃未満と低いAの場合であると、加熱コイル16/16、保温ヒータ6/16、肩ヒータ6/16の比率で、IH80%の高出力にて温泉卵を作る温度T1までの早期立ち上げを図って後、温泉卵タイマを標準設定の所定時間t1である30分のままでスタートさせる。 【0038】 このように温泉卵タイマがスタートして温泉卵を自動的に作る実質的制御に入り、時間表示を設定時間の表示から残時間への表示に移行し、温度T1以上で加熱コイルおよび保温ヒータのオフと、肩ヒータ14の6/16の比率での出力による加熱を行い、温度T1未満で加熱コイル8/16、保温ヒータおよび肩ヒータ6/16の比率での出力とし、IH70%駆動での加熱を行うことを繰り返して温度T1を温泉卵タイマがタイムアップするまで維持して温泉卵を自動的に作る。 【0039】 温泉卵タイマがタイムアップすると、温泉卵モード終了を標記表示、音や擬似音声などでの報知を行い、前記残時間の表示に代えて保温時間を累計表示し保温状態での経過時間を知らせる。これにより、過剰な長時間保温後に食するというような問題を回避できる。続いて、保温温度T2以上で加熱コイル11、保温ヒータ12および肩ヒータ14をオフとし、保温温度T2未満であると加熱コイル8/16、保温ヒータおよび肩ヒータ6/16の比率での出力とし、IH70%駆動での加熱を行うことを繰り返して保温温度T2を維持しながら、飯器3の有無、取消キー操作の有無を判定することを繰り返す。飯器無しの検知では鍋無し報知をして電源をオフする。また、取消キー操作ありの検知で保温モードを終了し待機中とする。 【0040】 本制御において温泉卵モードでの保温中炊飯/無洗米キーが操作されても受け付けられず、それに対応した動作は行われない。また、前記待機中に保温スイッチを操作しても受け付けず温泉卵保温には移行しないようにする。これはご飯の保温には適さないからである。 【0041】 また、図4、図5に示すように、できた温泉卵を60℃程度に保温することにより、時間が経過しても美味しく食されるようにすることができる。この、保温は白身や黄身の凝固が進行せず、また腐敗しない例えば60〜63℃程度として好適である。 【産業上の利用可能性】 【0042】 本発明は、電気炊飯器での温泉卵の自動調理に実用でき、使用水の温度が必ずしもきまらないことに対応して温泉卵が安定して得られる。 【図面の簡単な説明】 【0043】 【図1】本発明の実施の形態に係る電気炊飯器の断面図である。 【図2】図1の電気炊飯器の操作パネルを示す平面図である。 【図3】図1の電気炊飯器の制御回路を示すブロック図である。 【図4】図4の加熱制御の1つの例を示すタイムチャートである。 【図5】図6の加熱制御の1つの例を示すタイムチャートである。 【図6】本実施の形態での温泉卵モードのさらに詳細な加熱制御例を示すフローチャートである。 【図7】図1の電気炊飯器での炊飯モードの、加熱制御例を示すタイムチャートである。 【符号の説明】 【0044】 1 蓋 2 器体 3 飯器 4 加熱手段 5 温度センサ 6 制御手段 11 加熱コイル 12 保温ヒータ 13 内蓋 14 肩ヒータ 22 マイクロコンピュータ 31 操作パネル 62 炊飯/無洗米キー 68 パン/調理キー 61 液晶表示部 66 メニューキー 69 時キー 70 分キー
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000003702 【氏名又は名称】タイガー魔法瓶株式会社 【住所又は居所】大阪府大阪市城東区蒲生2丁目1番9号
|
| 【出願日】 |
平成16年4月13日(2004.4.13) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100080827 【弁理士】 【氏名又は名称】石原 勝
|
| 【公開番号】 |
特開2005−296368(P2005−296368A) |
| 【公開日】 |
平成17年10月27日(2005.10.27) |
| 【出願番号】 |
特願2004−117417(P2004−117417) |
|