| 【発明の名称】 |
真空二重構造の加熱容器 |
| 【発明者】 |
【氏名】植田 博 【住所又は居所】大阪府門真市速見町3番1号 タイガー魔法瓶株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】ゲッターが加熱時の磁界や熱により活性化されて、ゲッターに吸着したガスを排出するようなことがなく、真空断熱層における真空度の低下を防止して断熱効果を長期間にわたって維持できるようにすると共に、ゲッターの延命化を図る加熱容器を提供する。
【解決手段】容器側部が金属製の内筒20と外筒21の二重構造にされ、これら内筒と外筒の間に真空断熱層22が形成され、少なくとも上記内筒20の下部に一重の金属製の底板10が設けられ、この底板10を加熱源により加熱する構成であり、上記真空断熱層22内にはこの層内のガスを吸着させるゲッター5が配設され、このゲッター5の配設位置は、加熱源からの熱や磁界の影響を受けず、ゲッター5に吸着されたガスが排出されない高さに設けられていることを特徴とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 容器側部が金属製の内筒と外筒の二重構造にされ、これら内筒と外筒の間に真空断熱層が形成され、少なくとも上記内筒の下部に一重の金属製の底板が設けられ、この底板を加熱源により加熱する構成であり、上記真空断熱層内にはこの層内のガスを吸着させるゲッターが配設され、このゲッターの配設位置は、加熱源からの熱や磁界の影響を受けず、ゲッターに吸着されたガスが排出されない高さに設けられていることを特徴とする真空二重構造の加熱容器。 【請求項2】 ゲッターの下端は、加熱容器の最下面から所定の高さ離れた位置に設けられている請求項1に記載の真空二重構造の加熱容器。 【請求項3】 ゲッターは内筒、外筒または真空断熱層の底部に直接接することなく、これらとの間に真空部を介在している請求項1または2に記載の真空二重構造の加熱容器。 【請求項4】 ゲッターはゲッターカバーを介して内筒に取付けられている請求項1から3までのいずれかに記載の真空二重構造の加熱容器。 【請求項5】 ゲッターの上端は、加熱容器における満水位置より下方位置に設けられている請求項1から4までのいずれかに記載の真空二重構造の加熱容器。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、電磁調理器や電熱器などによって加熱されるマグカップ、鍋、ケトル、ポット、コップ等に用いられ、少なくとも容器側部の一部が二重構造でその間が真空に保たれる真空二重構造の加熱容器であり、この二重構造部分にガスを吸着するゲッターを配設したものに関する。 【背景技術】 【0002】 ホテルや旅館などには、例えば湯沸かし用の電磁調理器や電熱器(コイル状ヒータのものやセラミックヒータなどを含む)が置かれており、これらの上にマグカップやポットなどの加熱容器を載置し、容器内に満たされた水やお茶などの液体を加熱できる。 【0003】 上記加熱容器は一重のステンテス鋼製の容器が採用されており、そのため加熱を行うと、容器全体が熱くなり、容器側面などに誤って手を触れると火傷を負うといった事故を引き起こしていた。 【0004】 また、このステンレス鋼製の加熱容器は底面から加熱された熱が、側面を経て容器全体に伝導して放熱されるので、保温力が劣り熱効率が低かった。 【0005】 この改善策としては、特開平7−290175号公報の図16に示された真空二重構造の加熱容器が採用され、上記欠点を解消している。 【0006】 ところが、加熱容器における少なくとも側部を二重構造として、その間を真空断熱層とするものであっても、期間の経過にともなってこの真空断熱層に残存していた不純なガスや金属材料などから発生するガスによって真空度に支障をきたし、期待された断熱効果を得られなくなることがあった。 【0007】 そこで、真空断熱層の内部に予めチタン合金やジルコニウム合金製(例えばZr−V−Fe三元合金系非蒸発性ゲッターなど)で、不純なガス分子を吸着する性能を有するゲッターを配設することが考えられている(例えば特開2004−16741号公報)。 【0008】 【特許文献1】特開平7−290175号公報(図16) 【特許文献2】特開2004−16741号公報(第5頁) 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0009】 前記真空断熱層内におけるゲッターの配設位置は、製造工程において配設しやすい任意の位置に設けられてきたため、電磁調理器などの加熱源から熱的または電磁的な影響を受けることがあり、高温となってゲッターが活性化され、せっかく吸着したガス分子を真空断熱層内へ再び放出して真空断熱性を阻害することとなっていた。 また、ゲッターが幾度も高温に晒されると、寿命の低下を引き起し、ガス分子の吸着に支障をきたして真空断熱層内の真空度の劣化を生じる。 【0010】 そこで、本発明の目的は、ゲッターが加熱時の磁界や熱により活性化されて、ゲッターに吸着したガスを排出するようなことがなく、真空断熱層における真空度の低下を防止して断熱効果を長期間にわたって維持できるようにすると共に、ゲッターの延命化を図る加熱容器を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0011】 上記目的を達成するため、本発明は、容器側部が金属製の内筒と外筒の二重構造にされ、これら内筒と外筒の間に真空断熱層が形成され、少なくとも上記内筒の下部に一重の金属製の底板が設けられ、この底板を加熱源により加熱する構成であり、上記真空断熱層内にはこの層内のガスを吸着させるゲッターが配設され、このゲッターの配設位置は、加熱源からの熱や磁界の影響を受けず、ゲッターに吸着されたガスが排出されない高さに設けられていることを特徴とする(請求項1参照)。 【0012】 すなわち、ゲッターは電熱器や電磁調理器から発せられる熱や磁気の影響を強く受けることのない位置に配設されるので、ゲッター自体が高い温度に加熱されて活性化されるのを防止し、吸着されたガス分子が排出されて真空断熱層の内部に滞留しないようにする。これにより、真空断熱層内の真空度を高度に保ち断熱性能を長期間にわたって維持し続けることができるとともに、ゲッターの延命化が図られる。 【0013】 また、本発明においては、ゲッターの下端は、加熱容器の最下面から所定の高さ離れた位置に設けられていることを特徴とする(請求項2参照)。 【0014】 所定の高さとは、加熱容器の最下面(面に限らず、条状または点状突起の集合も含み、主として底板の下面または底部材の下面のこと)からゲッターの下端までの距離のことを言い、この距離は好ましくは5mm以上とし、さらに好ましくは10mm以上とすることが推奨される。 上記加熱容器の最下面は電磁調理器や電熱器の載置面と接する面であり、最下面と前記載置面は同じレベルにある。 【0015】 すなわち、上述の距離を隔てることにより、電磁調理器の磁気や電熱器の加熱面から乖離され、磁気や加熱の影響を高く受けることはなく、ゲッターが活性化されることは無い。 【0016】 他方、本発明においては、ゲッターは内筒、外筒または真空断熱層の底部に直接接することなく、これらとの間に真空部を介在することもできる(請求項3参照)。 【0017】 加熱された底板から内筒、外筒または真空断熱層の底部に熱が伝導されることになるが、ゲッターは直接これらの部材に接触することなく、ゲッターカバーを介して取付けられることになるので、熱がこれらの部材を介してゲッターに直接的に伝導されず、高い温度に加熱されることはない。 【0018】 この場合、ゲッターはゲッターカバーを介して内筒に取付けることもできる(請求項4参照)。 【0019】 これによれば、ゲッターは内筒の内側に満たす液体(主に冷水や温水)に直接接しているので、内筒の温度は沸点(摂氏約100度)以上に加熱されることはなく、仮にゲッターがこの温度まで熱せられても、チタン合金やジルコニウム合金製のゲッターはこの程度の温度では活性化されることはない。 また、ゲッターカバーは熱伝導性の低い304系ステンレス鋼やセラミック材、熱硬化性合成樹脂材を用いれば、さらに熱伝導を抑制することになる。 【0020】 本発明においては、ゲッターの上端は加熱容器における満水位置より下方位置に設けられている(請求項5参照)。 【0021】 すなわち、容器内に水が満たされる満水位置より、下方位置にゲッターを配置すれば、前述と同様の理由からゲッターは水の沸点以上は加熱されず、活性化される恐れはない。 【発明の効果】 【0022】 請求項1の発明によれば、ゲッターは加熱源から熱や磁界の影響を受けることがないので、ゲッターが活性化されて吸着したガス分子が真空断熱層内へ排出されることはなく、高い真空度を長い期間維持して優れた断熱保温効果を発揮できる。 また、ゲッターが加熱されて活性化されることにより該ゲッターに吸着したガスの排出を行うことがなくなり、ゲッター自体の寿命の低下を引き起こすことがなくなる。 【0023】 請求項2の発明によれば、ゲッターは加熱源から離れた位置に設けられ熱や磁界の影響を受けることがないので、ゲッターが活性化されて吸着したガス分子が真空断熱層内へ排出されることはなく、高い真空度を長い期間維持し続けることができるとともに、ゲッターの延命化が図られる。 【0024】 請求項3の発明によれば、内筒、外筒、真空断熱層の底部からの熱伝導によってゲッターが高い温度に加熱されることがないので、ゲッターが活性化されて吸着したガス分子が真空断熱層内へ排出されることはなく、高い真空度を長い期間維持し続けることができるし、ゲッターの延命化も図られる。 【0025】 請求項4の発明によれば、ゲッターは少なくとも内筒の温度よりも高い温度に上昇されることはなく、また内筒自体は容器内部に収容する液体の沸点以上に加熱されることがないので、ゲッターが活性化されて吸着したガス分子が真空断熱層内へ排出されることはなく、高い真空度を長い期間維持し続けることができる。 【0026】 請求項5の発明によれば、ゲッターは容器内部に収容する液体の沸点以上に加熱されることがないので、ゲッターが活性化されて吸着したガス分子が真空断熱層内へ排出されることはなく、高い真空度を長い期間維持し続けることができるし、ゲッターの延命化が図られる。 【実施例】 【0027】 図1は本発明の一実施例を示す断面図である。この例においては加熱容器としてはマグカップを示しているが、ポット、コップ、鍋などにも適用される。鎖線に示す電磁調理器2の収容凹部2a上に加熱容器1が載置される(符号68は誘導加熱コイルを示す)。この加熱容器1の側部は内筒20と外筒21の二重構造に形成され、これらの間に真空断熱層22が形成されると共に、内筒20の下端と外筒21の下端は真空断熱層の底部23を介して密封される(相互に溶接接合される)。 これら内筒20と外筒21は、本実施例では、一枚の金属板によって一体的に形成され、この製法は後述する図4において詳しく説明する。これら内筒20と外筒21は非磁性の金属板(例えば304系ステンレス鋼)で形成することが望ましい。 【0028】 また、上記内筒20の下端は底板10と全周接合(溶接接合)され、その内部に水Wを収容する空間を形成する。この底板10は誘導加熱される磁性体(例えば430系ステンレス鋼)によって形成されることが好ましい(電熱器を用いる場合には磁性/非磁性は考慮の対象とはならず、熱伝導性を考慮する)。上記内筒20の下端は底板10との接合は溶接接合し、全周に溶接部29を形成する。 【0029】 前記真空断熱層の底部23と底板10の外周には環状段部31を形成し、この環状段部31に熱硬化性合成樹脂製の底部材40が嵌合される。この底部材40は図中右側のビス孔45を介して図示しない把手をビスによって取り付ける。また、この底部材40の最下面は底板10の下面より下側に配設され、金属製の底板10が直接に電磁調理器2の載置面に接して傷つくのを防止する。すなわち、合成樹脂製の底部材40の最下面が上記載置面に接触するようにしてある。なお、底板10の下面が平滑で柔軟な構造のときは、底部材40の下面と同一平面となるようにしても良いし、或いは底部材40そのものを設けないものであっても実施できる。 【0030】 真空断熱層22には、この層内のガスを吸着するためのゲッター5と、真空断熱層22を形成するために真空引きするための排気孔28が設けられている。 排気孔28は外筒21の一部に設けられ、加熱容器(底部材40は省く)1を真空加熱炉(図示せず)において真空排気した後、この排気孔28をろう材などの封止材によって塞いで、真空断熱層22を真空に保っている。 【0031】 ゲッタ−5は、図2または図3に示すように、円柱形に形成されたチタン合金やジルコニア合金等によって形成される。その表面を真空断熱層内に多く露出させるため、帯状部材の組み合わせで構成されたゲッターカバー51によって保持されて内筒20に取付けられる。 上記ゲッターカバー51は、十字形で屈曲された上片部材52と下片部材53によって構成され、下片部材53と上片部材52は取付部54a,54aにおいて溶接接合され(符号54c,54cにおいても接合可能)、上片部材52の他の屈曲部は取付部54b,54bにおいて溶接接合によって内筒20に取付られる。 なお、上記例においては、ゲッター5およびゲッターカバー51は内筒20に取り付ける例を示したが、外筒21または真空断熱層の底部23に取り付けることもできる。 【0032】 このようにゲッターカバー51を介することにより、ゲッター5は内筒20(外筒21や真空断熱層の底部23を含む)に直接接触しないように設けられる(真空部を介している)ので、これら部材から直接熱伝導を受けることがなく、熱や磁界の影響を高く受けることがない。 また、ゲッターカバー51を熱伝導率の低い金属材料(例えば304系ステンレス鋼)や熱硬化性合成樹脂(フェノール樹脂、メラミン樹脂など)、セラミック材料を用いれば、これら部材からの熱伝導をさらに低くすることができる。 【0033】 このゲッター5の真空断熱層22内における配設高さは、図1に示すように加熱容器1の最下面(電磁調理器の載置面)を基準面として、この基準面からゲッター5の下端までの距離Hとしてあらわす。 誘導加熱コイル68(または電熱器のヒータ)からの磁界および(または)熱の影響を受けない距離Hは好ましくは5mm以上とし、さらに好ましくは10mm以上とするとが推奨される。図1のように前記載置面と底板10が直接接しない場合、この底板10は載置面から離れ過ぎると加熱効率が低下するため、この離間距離は1−3mm以内となるので、加熱される底板10から5mm以上離れた位置にゲッター5を設けることが推奨される。 また、図1のように外筒21の下側に環状段部31が設けられ、この環状段部31の高さ(載置面から底部23の下面までの距離)を5mm以上と設定する場合には、ゲッター5の下端は真空断熱層の底部23の上面から2mm以上離間させることが望ましい。 ただし、上記ゲッター5の取付位置は、上述の数値に限定されるものではなく、適宜選定できる。 【0034】 ゲッター5の配設上端位置は、加熱容器1に収容する液体(主として水W)の満水位置Fより下に設けることが望ましい。すなわち、ゲッター5の上端が上記満水位置Fより下方になるように設けることで、ゲッター5の温度が当該液体の沸点を越えて加熱されないようにする。 【0035】 図4(A)から(E)は金属製の筒50によって内筒20および外筒21を一体形成する例を示す工程説明図である。(A)においてロール加工や押し出し加工よって両端開口の金属製の筒50を用意し、そして筒50の外側所定位置にゲッタカバー51を介してゲッター5を取り付ける。 ついで、筒50の下端を固定治具で保持すると共に、上端を押し込み治具に当ててこの押し込み治具を降下させ、筒20の上端を外側へ巻き込み、さらに押し込み治具を下降させて(B)のように内筒20と外筒21を一体的に形成する。 【0036】 次いで、内筒20の下端に底板10を突き合わせて(C)のように溶接部29を全周に施して接合する。そして外筒21の下端と内筒20の外側壁を環状の底部23によって覆うように密封するために相互に溶接接合する。 【0037】 上述の図4の例においては、筒50は外側へ巻き込む例を示したが、反対に筒50の内側へ巻き込む工法を採用しても良く、このときゲッターは筒の内面側の所定位置に取り付けておけば、最終的に外筒の内側にゲッターが固定されたものに形成できる。 【産業上の利用可能性】 【0038】 本発明は、マグカップ、鍋、ケトル、ポット、コップなどにおける側部の少なくとも一部に二重構造の真空断熱層が形成されたものを含む。 【図面の簡単な説明】 【0039】 【図1】本発明の実施例の断面図である。 【図2】ゲッターとゲッターカバーを示す正面図である。 【図3】図2の左側面図である。 【図4】(A)から(E)は本発明品の製造工程例を示す説明図である。 【符号の説明】 【0040】 1 加熱容器 2 電磁調理器(加熱源) 5 ゲッター 10 底板 20 内筒 21 外筒 22 真空断熱層 23 真空断熱層の底部 28 排気孔 31 環状段部 40 底部材 50 筒 51 ゲッターカバー 52 上片部材 53 下片部材 54a,54b,54c 取付部
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003702 【氏名又は名称】タイガー魔法瓶株式会社 【住所又は居所】大阪府大阪市城東区蒲生2丁目1番9号
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| 【出願日】 |
平成16年4月6日(2004.4.6) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100077470 【弁理士】 【氏名又は名称】玉利 冨二郎
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| 【公開番号】 |
特開2005−296083(P2005−296083A) |
| 【公開日】 |
平成17年10月27日(2005.10.27) |
| 【出願番号】 |
特願2004−112604(P2004−112604) |
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