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【発明の名称】 加熱装置
【発明者】 【氏名】神内 直寛
【住所又は居所】神奈川県横須賀市長坂二丁目2番1号 富士電機アドバンストテクノロジー株式会社内

【氏名】保川 幸雄
【住所又は居所】神奈川県横須賀市長坂二丁目2番1号 富士電機アドバンストテクノロジー株式会社内

【氏名】堀 元人
【住所又は居所】神奈川県横須賀市長坂二丁目2番1号 富士電機アドバンストテクノロジー株式会社内

【要約】 【課題】容器入り飲料を所望の温度状態に加熱することができるとともに、該容器入り飲料を回転させる場合の負荷を低減させることができる加熱装置を提供すること。

【解決手段】商品Wを起立した姿勢で保持する容器保持手段30と、容器保持手段30により保持した商品Wを回転させる回転手段と、回転手段により回転させた商品Wに対して温水を噴射することにより容器の表面に衝突噴流を形成する熱媒体噴射手段40とを備え、商品Wを所望の温度状態に加熱するための加熱装置において、容器保持手段30は、商品Wを保持するための保持力を付与する保持力付与機構32と、回転手段に従動して回転し、かつ商品Wを支持する支持部材31と、保持力付与機構32と支持部材31とを係合するスラスト軸受39とを備え、スラスト軸受39は、支持部材31の回転に保持力付与機構32による保持力が作用することを規制するものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の内部に飲料を封入した容器入り飲料を起立した姿勢で保持する容器保持手段と、
前記容器保持手段により保持した容器入り飲料を回転させる回転手段と、
前記回転手段により回転させた容器入り飲料に対して熱媒体を噴射することにより容器の表面に衝突噴流を形成する熱媒体噴射手段と
を備え、
前記容器入り飲料を所望の温度状態に加熱するための加熱装置において、
前記容器保持手段は、
前記容器入り飲料を保持するための保持力を付与する保持力付与機構と、
前記回転手段に従動して回転し、かつ前記容器入り飲料を支持する支持部材と、
前記保持力付与機構と前記支持部材とを係合する係合手段と
を備え、
前記係合手段は、前記支持部材の回転に前記保持力付与機構による保持力が作用することを規制することを特徴とする加熱装置。
【請求項2】
前記保持力付与機構は、付勢手段の付勢力を保持力として付与することを特徴とする請求項1に記載の加熱装置。
【請求項3】
前記係合手段は、スラスト軸受を備えて成るものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の加熱装置。
【請求項4】
前記容器保持手段は、前記スラスト軸受に前記熱媒体が進入することを抑制するための流体進入抑制手段を備えたことを特徴とする請求項3に記載の加熱装置。
【請求項5】
前記熱媒体噴射手段は、
前記熱媒体を噴射するための噴射管と、
前記噴射管に前記熱媒体を供給する熱媒体供給機構と
を備え、
前記熱媒体供給機構は、前記容器入り飲料の容器の大きさに応じて前記熱媒体の供給量を調整する供給量調整手段を備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の加熱装置。
【請求項6】
前記熱媒体供給機構は、
前記熱媒体を貯留するためのタンクと、
前記タンクから前記噴射管に熱媒体を供給するための熱媒体供給配管と
を備えたことを特徴とする請求項5に記載の加熱装置。
【請求項7】
前記熱媒体供給機構は、
前記噴射管に連設された供給配管と、
前記噴射管に向かって前記供給配管を流れる流体を加熱して前記熱媒体にするヒータと
を備えたことを特徴とする請求項5に記載の加熱装置。
【請求項8】
前記供給量調整手段は、熱媒体の流量を一定にして噴射時間を調整して熱媒体の供給量を調整することを特徴とする請求項5〜7のいずれか一つに記載の加熱装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱装置に関し、より詳細には、缶入り飲料、ボトル入り飲料、瓶入り飲料、ペットボトル入り飲料、紙パック入り飲料等の容器入り飲料を所望の温度状態に加熱するための加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、缶入り飲料、ボトル缶入り飲料、瓶入り飲料、ペットボトル入り飲料、紙パック入り飲料等の容器入り飲料を所望の温度状態に加熱するための加熱装置の一例として、前面に開口した投入口を有し、該投入口を通じて投入された容器入り飲料を収容するための収容室を備えたものが知られている。この収容室の内部において、容器入り飲料を起立した姿勢で回転テーブルに載置し、上方からバネ等の付勢力により容器入り飲料を押圧して該容器入り飲料を保持する。そして、この保持した状態で回転テーブルを回転させて容器入り飲料を回転させ、該容器入り飲料に対して熱媒体を噴射して容器の表面に衝突噴流を形成することにより該容器入り飲料を所望の温度状態に加熱するものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、上記加熱装置では、バネ等の付勢力により押圧されて保持された容器入り飲料を回転させるので、バネ等の付勢力(保持力)が、容器入り飲料の回転に作用し、該容器入り飲料を回転させる場合に負荷になっていた。このようにバネ等の付勢力が容器入り飲料を回転させる場合の負荷になると、かかる回転の駆動源となる駆動モータ等の使用寿命の低下を招来することになっていた。
【0004】
本発明は、上記実情に鑑みて、容器の内部に飲料を封入した容器入り飲料を所望の温度状態に加熱することができるとともに、該容器入り飲料を回転させる場合の負荷を低減させることができる加熱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る加熱装置は、容器の内部に飲料を封入した容器入り飲料を起立した姿勢で保持する容器保持手段と、前記容器保持手段により保持した容器入り飲料を回転させる回転手段と、前記回転手段により回転させた容器入り飲料に対して熱媒体を噴射することにより容器の表面に衝突噴流を形成する熱媒体噴射手段とを備え、前記容器入り飲料を所望の温度状態に加熱するための加熱装置において、前記容器保持手段は、前記容器入り飲料を保持するための保持力を付与する保持力付与機構と、前記回転手段に従動して回転し、かつ前記容器入り飲料を支持する支持部材と、前記保持力付与機構と前記支持部材とを係合する係合手段とを備え、前記係合手段は、前記支持部材の回転に前記保持力付与機構による保持力が作用することを規制することを特徴とする。
【0006】
また、本発明の請求項2に係る加熱装置は、上記請求項1において、前記保持力付与機構は、付勢手段の付勢力を保持力として付与することを特徴とする。
【0007】
また、本発明の請求項3に係る加熱装置は、上記請求項1または上記請求項2において、前記係合手段は、スラスト軸受を備えて成るものであることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の請求項4に係る加熱装置は、上記請求項3において、前記容器保持手段は、前記スラスト軸受に前記熱媒体が進入することを抑制するための流体進入抑制手段を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の請求項5に係る加熱装置は、上記請求項1〜4のいずれか一つにおいて、前記熱媒体噴射手段は、前記熱媒体を噴射するための噴射管と、前記噴射管に前記熱媒体を供給する熱媒体供給機構とを備え、前記熱媒体供給機構は、前記容器入り飲料の容器の大きさに応じて前記熱媒体の供給量を調整する供給量調整手段を備えたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項6に係る加熱装置は、上記請求項5において、前記熱媒体供給機構は、前記熱媒体を貯留するためのタンクと、前記タンクから前記噴射管に熱媒体を供給するための熱媒体供給配管とを備えたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項7に係る加熱装置は、上記請求項5において、前記熱媒体供給機構は、前記噴射管に連設された供給配管と、前記噴射管に向かって前記供給配管を流れる流体を加熱して前記熱媒体にするヒータとを備えたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項8に係る加熱装置は、上記請求項5〜7のいずれか一つにおいて、前記供給量調整手段は、熱媒体の流量を一定にして噴射時間を調整して熱媒体の供給量を調整することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の加熱装置によれば、係合手段が、支持部材の回転に保持力付与機構による保持力が作用することを規制するので、容器入り飲料を加熱することができるとともに、該容器入り飲料を回転させる場合の負荷を低減させることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る加熱装置の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施の形態に係る加熱装置を概念的に示したものであり、適宜一部を断面で示している。この図1において、加熱装置は、収容室10を備えて構成してある。
【0016】
収容室10は、直方状に構成したものであり、缶入り飲料、ボトル缶入り飲料、瓶入り飲料、ペットボトル入り飲料、紙パック入り飲料等々、容器の内部に飲料を封入した容器入り飲料(以下、単に商品Wと称する)を収容するためのものである。この収容室10は、例えば繊維強化プラスチック(FRP;Fiberglass Reinforced Plastics)、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の断熱性樹脂材により構成したものであり、特に透明性を有する樹脂材により構成したものであることが好ましい。また、収容室10の前壁には、内部に商品Wを投入するための開口である投入口11が設けてある。この投入口11には、該投入口11の全開口域を開閉するための扉体12が設けてある。
【0017】
この収容室10の内部には、回転テーブル21、容器保持手段30および熱媒体噴射手段40が設けてある。回転テーブル21は、商品Wよりも充分に大径の円板状を成すもので、その中心部底面から下方に延在する回転ロッド22を介して鉛直方向に沿った軸心回りに回転可能に配設してある。この回転ロッド22には、その下端部に回転モータ23が連結してある。
【0018】
容器保持手段30は、収容室10に収容された商品Wを保持するためのもの、より詳細には、回転テーブル21に載置された商品Wを起立した姿勢で保持するためのもので、支持部材31と、保持力付与機構32とを備えて構成してある。
【0019】
支持部材31は、図2に示したように、商品Wよりも充分に大径の略円板状を成すもので、その中心部から上方に延在する支持ロッド33を介して鉛直方向に沿った軸心回りに回転可能に配設してある。この支持部材31は、その中心部が上記回転テーブル21の軸心を通る鉛直軸上にある。また、支持部材31の上面には、支持ロッド33から所定の距離だけ離間した位置に、上方に突出し、かつ支持ロッド33の外周方向に沿って延設された突出壁31aが形成してある。これにより、支持部材31の上面には、突出壁31aの内方にスペースS1が形成されることになる。
【0020】
支持ロッド33は、収容室10の内部に設けた中空の円環状の分岐管42(詳細は後述)の中心を挿通し、上下方向に沿って移動可能な態様で該分岐管42の上面に設けた支持プレート34に配設してある。従って、支持部材31も支持ロッド33と一体的に上下方向に沿って移動可能になっている。ここで、分岐管42は、図3および図4に示したように、搬送ロッド1に連結してある。搬送ロッド1は、リンク機構2を介して操作レバー3に接続してあり、図3中の矢印L1方向に操作レバー3を揺動させると搬送ロッド1を介して分岐管42は上方に向かって移動し、図3中の矢印L2方向に操作レバー3を揺動させると搬送ロッド1を介して分岐管42は下方に向かって移動することになる。
【0021】
保持力付与機構32は、商品Wを保持するための保持力を付与するためのもので、コイルバネ35と、保持部材36とを備えて構成してある。コイルバネ35は、支持ロッド33を巻回する態様で、基端部が支持プレート34に連結してあり、先端部が保持部材36に連結してある。このコイルバネ35は、保持部材36を下方に向かって付勢する付勢手段として作用するものである。
【0022】
保持部材36は、支持部材31よりも小径の略円板状を成すものであって、その中心部に形成された貫通孔36aに支持ロッド33が貫通した態様で配設してある。保持部材36の下面には、支持部材31の突出壁31aと対応する位置に、下方に突出する突出部36bが支持ロッド33の外周方向に沿って延設してある。これにより、保持部材36の下面には、突出部36bの内方にスペースS2が形成されることになる。この突出部36bの外端部分には、下方に延在する外側抑止部37が延設してある。この外側抑止部37は、支持部材31の突出壁31aよりも外側に位置している。一方、保持部材36の上面の内縁部近傍には、上方に突出する態様の基壁部36cが設けてあり、該基壁部36cから内方に延在する複数の内側抑止部38が形成してある。この基壁部36cは、支持ロッド33のフランジ部33aよりも下方に位置している。
【0023】
このような保持部材36は、次のようにして支持部材31に係合している。すなわち、保持部材36の下面に形成されたスペースS2と、支持部材31の上面に形成されたスペースS1とで形成される領域に係合手段であるスラスト軸受39が配設されることにより、保持部材36は、該スラスト軸受39を介して支持部材31に係合している。スラスト軸受39は、上部が保持部材36に接合してあり、下部が支持部材31に接合してある。このスラスト軸受39は、詳細は後述するが、支持部材31の回転にコイルバネ35の付勢力が作用することを規制するものである。
【0024】
熱媒体噴射手段40は、収容室10の内部で容器保持手段30に保持された商品Wに対して熱媒体である温水を噴射するためのもので、複数(例えば4つ)の噴射管41を備えている。噴射管41は、それぞれ上下方向に沿った中空の有底円筒状を成すもので、個々の上端部が上記した分岐管42を介して互いに連通している。
【0025】
分岐管42は、後端部が導水管43に連結してある。導水管43は、可撓性を有する材料から形成されたものであり、給水ポンプおよび給水バルブ(ともに図示せず)を介して分岐管42を温水タンク44に接続するものである。温水タンク44は、タンク用ヒータ(図示せず)を適宜駆動することにより、その内部に予め設定した温度(例えば90℃)の温水を貯留するものである。
【0026】
各噴射管41は、回転テーブル21の軸心からの距離が同一で、互いに等間隔となる角度位置(例えば90°間隔)に配設してあり、それぞれ回転テーブル21の軸心を通過する鉛直軸に向かう部位に複数のノズル孔41aを有している。
【0027】
上記のように構成した熱媒体噴射手段40では、給水ポンプを駆動するとともに、給水バルブを開成させると、温水タンク44に貯留した温水が導水管43および分岐管42を通じて各噴射管41に供給され、それぞれのノズル孔41aから噴射供給されることになる。
【0028】
また、収容室10の内部には、水位検出センサ51、排水口52および商品容積検出手段53(図6参照)が設けてある。水位検出センサ51は、例えば超音波センサ、光センサ等であり、収容室10の後壁の内面に配設してあり、商品Wの加熱に供された温水の水位が投入口11の下縁より僅かに下の部分に達した場合にその旨を検出するものである。
【0029】
排水口52は、商品Wの加熱に供された温水を温水タンク44に戻すためのものであり、収容室10の底壁の前面側に設けてある。より詳細に説明すると、図5に示したように、収容室10の底壁の前面側には凹所54が形成してあり、この凹所54の底部から内部に突出する排水管52aが配設されて、排水口52が設けてある。つまり、排水口52は、排水管52aの開口部である。この排水管52aは、温水タンク44に繋がっており、排水口52と温水タンク44とは連通している。このような排水口52を覆う態様でカバー部材55が設けてある。
【0030】
カバー部材55は、排水管52aより大径の円板状の天壁55aを有した円筒状を成すものであり、天壁55aと排水口52とが僅かに離間して設けてある。このカバー部材55の側壁55bには、排水口52の位置よりも下方に排水孔55cが複数形成してある。
【0031】
このようなカバー部材55により、商品Wの加熱に供された温水は、各排水孔55cを通ってから排水口52および排水管52aを介して温水タンク44に流れることになる。一方、温水タンク44の内部で発生した蒸気が排水管52aおよび排水口52を通って流れても、該カバー部材55の天壁55aに接触して冷却され、あるいは凹所54に残留している温水に接触して冷却されることになり、該蒸気が収容室10の内部に噴出することはない。つまり、カバー部材55は、排水口52に温水が進入することを許容する一方、温水タンク44の内部で発生した蒸気が収容室10の内部に噴出すことを規制するものである。
【0032】
商品容積検出手段53は、回転テーブル21に載置された商品Wの容積、すなわち商品Wの大きさを検出するためのものである。具体的には、商品Wが缶入り飲料であった場合には、該商品Wが350ml缶(太缶)、250ml缶もしくは190ml缶(細缶)のいずれであるかを検出するためのものである。このような商品容積検出手段53は、収容室10の内壁面に互いに対向する態様で配設した投光器および受光器(ともに図示せず)を用いて、光学的に検出するものを適用している。具体的には、投光器から照射された光がそのままの強度で受光器に入射した場合には、「商品Wは無い」と検出し、投光器から照射された光が僅かに遮られて低い強度で受光器に入射した場合には、「商品Wは250ml缶もしくは190ml缶」と検出し、投光器から照射された光が商品Wによって遮られ、受光器に入射されなかった場合には、「商品Wは350ml缶」と検出するようにしている。商品容積検出手段53の検出結果は、後述する制御ユニット60の主制御部61に与えられることになる。
【0033】
図6は、図1に示した加熱装置の制御ユニットの構成を示したブロック図である。この図6において、制御ユニット60は、主制御部61、回転モータ駆動制御部62、給水系制御部63、ヒータ制御部64、並びにセンサ監視部65を備えて構成してある。
【0034】
主制御部61は、メモリ66に格納されたプログラムやデータに基づいて制御ユニット60の動作を統括的に制御するためのものである。回転モータ駆動制御部62は、回転モータ23の駆動を制御するためのものである。給水系制御部63は、給水ポンプの駆動の制御、給水バルブの開閉動作の制御を行うためのものである。ヒータ制御部64は、温水タンク44中のタンク用ヒータの運転を制御するためのものである。センサ監視部65は、水位検出センサ51が水位を検出したか否かを監視するためのものである。
【0035】
以上のような構成を有する加熱装置は、次のようにして商品Wを所望の温度状態に加熱することができる。
【0036】
利用者が、図7に示したように、商品Wを開成状態になっている投入口11を通じて収容室10の内部に投入し、回転テーブル21に商品Wを起立した姿勢で載置する。その後、扉体12を閉動作させ、投入口11を閉成した状態にし、操作レバー3を図3中の矢印L2方向(前方向)に揺動させ、搬送ロッド1を介して分岐管42を下方に移動させる。これにより、商品Wの外周方向に噴射管41が等間隔に配置されることになるとともに、コイルバネ35の付勢力により保持部材36を介して支持部材31が商品Wを下方に押圧する。これにより、回転テーブル21と支持部材31とにより商品Wを起立した姿勢で挟装保持することができる。
【0037】
利用者が収容室10の内部に商品Wを起立した姿勢で収容した後、加熱装置の所定の位置に配設してある加熱押ボタン(図示せず)を押すことにより、加熱指令が発せられる。加熱指令が発せられると、加熱装置は次のように動作する。
【0038】
図8は、制御ユニットの主制御部の処理内容を示したフローチャートである。以下、図8を参照しながら、加熱装置の動作について説明する。主制御部61は、加熱指令が発せられたか否かを確認し(ステップS101)、加熱指令が発せられたことを確認した場合には、回転モータ駆動制御部62を通じて回転モータ23を駆動することにより、回転ロッド22を通じて回転テーブル21とともに商品Wを回転させ、容器の内部に封入した飲料の撹拌を行う(ステップS102)。回転テーブル21および商品Wの回転方向は、いずれか一方向に継続的に行っても良いし、交互に変更するようにしても良い。
【0039】
この場合、上述したように、支持部材31は、軸心回りに回転可能に配設してあるため、支持ロッド33とともに、図9に示したように回転テーブル21および商品Wの回転に従動して回転することになる。一方、保持力付与機構32の保持部材36は、スラスト軸受39を介して支持部材31に係合しているため、支持部材31の回転にコイルバネ35の付勢力が作用することは規制されることになる。そのため、コイルバネ35の付勢力は、支持部材31の回転には作用せずに該支持部材31を下方に押圧することになる。従って、回転テーブル21および商品Wの回転により支持部材31が支持ロッド33とともに回転することになっても、コイルバネ35の付勢力が保持力として働いて商品Wを起立した姿勢で保持することができる。
【0040】
そして、主制御部61は、内蔵するタイマーによって計時を開始し、商品容積検出手段53により与えられた検出結果に応じて定められた加熱時間だけ、給水系制御部63を通じて、給水ポンプを駆動するとともに、給水バルブを開成することにより、図10に示したように、ノズル孔41aを通じた温水の噴射を行う(ステップS103)。
【0041】
ここで、温水の噴射を行う加熱時間は、次のように定められている。商品容積検出手段53の検出結果が「商品Wは250ml缶もしくは190ml缶」の場合には、加熱時間は例えば12〜18秒間、好ましくは15秒間であり、検出結果が「商品Wは350ml缶」の場合には、加熱時間は例えば21〜25秒間、好ましくは22秒間である。尚、この加熱時間は、一例であって必ずしもこの時間に限定されるものではない。
【0042】
また、噴射管41の各ノズル孔41aから噴射供給される温水は、回転する商品Wの容器表面に対してそれぞれ衝突し、容器の表面に対して衝突噴流を形成することになる。衝突噴流の流れの様相は、図11に示したように、自由噴流領域J1、衝突噴流領域J2、壁噴流領域J3の3領域に大別される。自由噴流領域J1は、衝突物体の影響を受けない流れの領域であり、流れの場の構造は一般的な自由噴流のものとほぼ同一である。衝突噴流領域J2は、噴流が自由噴流から壁噴流に移行する領域で、流れの方向が急激に変化するため大きな圧力勾配ができる。従って、流れの様相は、非常に複雑である。壁噴流領域J3は、乱流強度の極めて高い流れを形成する。
【0043】
衝突噴流による熱伝達特性は、衝突噴流領域J2のよどみ点J4近傍、つまり商品Wの容器表面において最も高くなり、また、容器表面に対する温水の入射方向が直角に近いほど高くなる。上述したように、この実施の形態で示す加熱装置では、噴射管41の各ノズル孔41aから噴射供給される温水が、回転テーブル21の軸心を通過する鉛直軸に向かって進行するものであるため、回転する商品Wの容器表面に対してそれぞれ直角に衝突することになる。従って、容器の内部に封入された飲料も急速に加熱されることになる。
【0044】
しかも、回転テーブル21とともに商品Wを回転させているため、商品Wの容器から飲料に対して熱をより効率よく伝えることができる。つまり、商品Wが回転している場合には、容器と飲料との間に相対速度が生じ、きわめて強い強制対流熱伝達を生じさせることができる。また、容器との間の摩擦力により、飲料が容器とともに同一方向に流動するため、撹拌による乱流熱伝達も促進されることになる。
【0045】
これらの結果、収容室10に投入された商品Wは、短時間のうちにホット飲料の最適販売温度である55℃程度の温度状態となる。
【0046】
一方、このようにノズル孔41aを通じた温水の噴射を行った場合において、上述したように、保持部材36には、外側抑止部37および内側抑止部38が形成してあるため、保持部材36の外部からスラスト軸受39が配設してある個所(スペースS2)に至るまでを迷路構造、いわゆるラビリンス構造に構成してある。そのため、図12に示したように、ノズル孔41aより噴射した温水がスラスト軸受39の配設個所に進入することを抑制することができる。
【0047】
上記ステップS103において温水を噴射した後、主制御部61は、タイマーにより計時した時間、すなわち温水噴射時間が、所定の加熱時間を経過したか否かを確認する(ステップS104)。温水噴射時間が加熱時間を経過したことを確認した場合には、主制御部61は、給水系制御部63を通じて、給水ポンプを停止するとともに、給水バルブを閉成することにより、ノズル孔41aを通じた温水の噴射を停止する(ステップS105)。
【0048】
主制御部61は、内蔵するタイマーで温水の噴射を停止した時点から計時を開始し、予め設定された設定時間だけ、回転テーブル21および商品Wをそのまま回転させる後回転処理を行う(ステップS106)。このような後回転処理を行うことにより、図13に示したように、遠心力により商品Wの表面に付着した温水を飛散させることができる。
【0049】
ここに、後回転処理を行う設定時間は、予めメモリ66に格納してあり、本実施の形態では例えば3秒間である。そして、主制御部61は、後回転処理が設定時間を経過したか否かを確認し(ステップS107)、後回転処理が設定時間を経過したことを確認した場合には、回転モータ駆動制御部62を通じて回転モータ23の駆動を停止させ(ステップS108)、今回の処理を終了する。
【0050】
その後、利用者が、操作レバー3を図3中の矢印L1方向(後方向)に揺動させると、図14に示したように、搬送ロッド1を介して分岐管42は上方に移動する。そして、扉体12を開動作して投入口11を開成状態にし、該投入口11を通じて、所望の温度状態に加熱した商品Wを収容室10の内部から取り出すことができる。
【0051】
一方、上記ステップS103のようにノズル孔41aを通じて温水を噴射している場合、商品Wの加熱に供された温水は排水口52および排水管52aを通じて温水タンク44に戻ることになるが、排水管52aが詰まった場合等には、図15に示したように、収容室10に温水が貯留してしまうことがある。そして、水位検出センサ51が貯留した温水の水位を検出した場合、すなわち、貯留した温水の水位が投入口11の下縁より僅かに下の部分に達した場合には、加熱装置は次のような動作を行う。
【0052】
制御ユニット60の主制御部61は、センサ監視部65を通じて水位検出センサ51が貯留した温水の水位を検出したことを入力すると、貯留した温水が閾値を超えたものと判断し、給水系制御部63を通じて、給水ポンプを停止するとともに、給水バルブを閉成することにより、ノズル孔41aを通じた温水の噴射を強制的に停止する。
【0053】
以上、本実施の形態を総括して説明すると、制御ユニット60、回転モータ23、回転ロッド22および回転テーブル21により商品Wを回転させるための回転手段を構成しており、制御ユニット60、給水ポンプおよび給水バルブにより温水の供給量を調整する供給量調整手段を構成しており、制御ユニット60、水位検出センサ51、給水ポンプおよび給水バルブにより収容室10に貯留した温水の量が閾値を超えた場合に温水の噴射を強制的に停止する媒体噴射停止手段を構成している。
【0054】
以上説明したような本発明の実施の形態に係る加熱装置によれば、支持部材31と、保持力付与機構32の保持部材36とを係合するスラスト軸受39が、支持部材31の回転に該保持力付与機構32のコイルバネ35の付勢力(保持力)が作用することを規制するので、回転テーブル21および商品Wを回転させる場合の負荷を低減させることができる。これにより、回転モータ23の使用寿命の長期化を図ることができる。
【0055】
上記加熱装置によれば、保持部材36に外側抑止部37および内側抑止部38を形成することにより、保持部材36の外部からスラスト軸受39が配設してある個所に至るまでを迷路構造(ラビリンス構造)に構成してあるため、ノズル孔41aより噴射した温水がスラスト軸受39の配設個所に進入することを抑制することができ、これにより、スラスト軸受39に水分が付着することを抑制することができ、使用寿命の長期化を図ることができる。
【0056】
また、上記加熱装置によれば、回転手段が後回転処理を行うので、すなわち、温水の噴射が停止した後も特定の設定時間だけ商品Wを回転させるので、遠心力により商品Wの表面に付着した温水を飛散させることができる。従って、短時間で商品Wを所望の温度状態に加熱することができるとともに、利用者が該商品Wに触れる際に温水によって火傷等を負う虞れがなく、安全性を向上させることができる。
【0057】
更に、上記加熱装置によれば、収容室10が断熱性樹脂材により構成したものであるので、該収容室10の内部を外部から断熱することができ、これにより、温水の熱が収容室10の周囲に逃げてしまうことを防止することができる。従って、商品Wの加熱効率の向上を図ることができる。また、収容室10が高温になる虞れがないので、利用者が収容室10に触れて火傷等を負う虞れがなく、安全性の向上を図ることもできる。特に、断熱性樹脂材が透明性を有するものである場合には、収容室10の内部を目視することができ、視認性に優れたものになる。
【0058】
また、上記加熱装置によれば、媒体噴射停止手段が収容室10に貯留した温水の量が閾値を超えた場合に温水の噴射を強制的に停止するので、すなわち水位検出センサ51が収容室10に貯留した温水の水位を検出した場合に温水の噴射を強制的に停止するので、収容室10の外部に温水が漏れることを防止することができる。
【0059】
また更に、上記加熱装置によれば、カバー部材55が、排水口52に温水が進入することを許容する一方、温水タンク44の内部で発生した蒸気が収容室10の内部に噴出すことを規制するので、利用者が収容室10の内部に手を入れて商品Wを取り出す際に火傷等を負う虞れがなく、安全性の向上を図ることができる。
【0060】
以上、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。すなわち、図16に示したように、熱媒体噴射手段40’の導水管47は、給水ポンプおよび給水バルブ(ともに図示せず)を介して分岐管42を水道の蛇口48に接続するものであっても良い。この場合、かかる導水管47を流れる水を加熱するためのヒータ49が所定の個所に配設してある。このような構成によっても、上記実施の形態に係る加熱装置と同様の効果を奏することができる。
【0061】
また、上述の実施の形態では、水位検出センサ51が温水の水位を検出するとその旨が制御ユニット60に与えられることになっていたが、本発明では、水位検出センサが温水の水位を検出した場合には、周囲に報知しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0062】
以上のように、本発明は、缶入り飲料、ボトル入り飲料、瓶入り飲料、ペットボトル入り飲料、紙パック入り飲料等の容器入り飲料を所望の温度状態に加熱するための加熱装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の実施の形態に係る加熱装置を概念的に示したものであり、適宜一部を断面で示した側面断面図である。
【図2】図1に示した加熱装置の要部を拡大して示した拡大断面側面図である。
【図3】図1に示した加熱装置の全体を簡単に示した断面側面図である。
【図4】図3に示した加熱装置の断面正面図である。
【図5】図1に示した加熱装置の要部を拡大して示した拡大断面側面図である。
【図6】図1に示した加熱装置の制御ユニットの構成を示したブロック図である。
【図7】図1に示した加熱装置の要部を拡大して示した拡大断面側面図である。
【図8】制御ユニットの主制御部の処理内容を示したフローチャートである。
【図9】図1に示した加熱装置の要部を拡大して示した拡大断面側面図である。
【図10】図1に示した加熱装置の要部を拡大して示した拡大断面側面図である。
【図11】衝突噴流の流れの様相を示す説明図である。
【図12】図1に示した加熱装置の要部を拡大して示した拡大断面側面図である。
【図13】図1に示した加熱装置の要部を拡大して示した拡大断面側面図である。
【図14】図1に示した加熱装置の要部を拡大して示した拡大断面側面図である。
【図15】図1に示した加熱装置の要部を拡大して示した拡大断面側面図である。
【図16】本発明に係る加熱装置の変形例を概念的に示した側面断面図である。
【符号の説明】
【0064】
10 収容室
11 投入口
12 扉体
21 回転テーブル
22 回転ロッド
23 回転モータ
30 容器保持手段
31 支持部材
32 保持力付与機構
33 支持ロッド
34 支持プレート
35 コイルバネ
36 保持部材
36a 貫通孔
36b 突出部
36c 基壁部
37 外側抑止部
38 内側抑止部
39 スラスト軸受
40 熱媒体噴射手段
41 噴射管
41a ノズル孔
42 分岐管
43 導水管
44 温水タンク
51 水位検出センサ
52 排水口
52a 排水管
53 商品容積検出手段
54 凹所
55 カバー部材
60 制御ユニット
61 主制御部
62 回転モータ駆動制御部
63 給水系制御部
64 ヒータ制御部
65 センサ監視部
66 メモリ
J1 自由噴流領域
J2 衝突噴流領域
J3 壁噴流領域
J4 よどみ点
S1,S2 スペース
W 商品(容器入り飲料)
【出願人】 【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機ホールディングス株式会社
【住所又は居所】神奈川県川崎市川崎区田辺新田1番1号
【出願日】 平成16年3月29日(2004.3.29)
【代理人】 【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明

【公開番号】 特開2005−278865(P2005−278865A)
【公開日】 平成17年10月13日(2005.10.13)
【出願番号】 特願2004−96707(P2004−96707)