| 【発明の名称】 |
防水シーツ |
| 【発明者】 |
【氏名】小林 諭務
【氏名】黒川 和男
|
| 【要約】 |
【課題】失禁のおそれのある老人、病人等や夜尿症の子供が用いるマットレスや寝具の敷布団上に敷くシーツの有する問題点に対して、失禁や夜尿により漏れ出した尿を速やかに吸収して、使用者の体から尿を隔離するとともに、寝具や使用者の着衣、周囲を汚すことがないシーツを提供する。
【解決手段】表布に透水性かつ水分散性を有するとともに、優れた接触感を有するポリエステル加工糸を用いた織物を、裏布は防水性あるいは透湿防水性を有するポリエステル織物を用い、これら2枚を重ね合わせ、合わせ布地の一部分が開口でき、その部分を除いた周囲は閉口したもので、更に表布と裏布の間に、漏れた尿を速やかに吸収できる高分子吸収体や綿状パルプ、吸水紙等で構成されたシート状あるいは層状のものが、挿入や取り出すことができるもので、全体が表布、シート状又は層状の吸収体、裏布の3枚で構成されたシーツ。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 表布が透水性、通気性でかつ水分散性を有する布を、裏布に防水加工を施して不透水性を有する布又は透湿防水性を有する高密度織物を、それぞれ用い、表布と裏布の間に吸水性を有し、吸水した水分を保持できるシート状又は層状のものを配した防水シーツ。 【請求項2】 表布と裏布が分離した布間に、高分子吸収体等を含むシート状又は層状のものを挿入し、吸水後に、そのものを取り出すことができるもので、全体が表布、シート状又は層状の吸収体、裏布の3枚構造形式の請求項1記載の防水シーツ。 【請求項3】 表布に透水性かつ水分散性を有するとともに、優れた接触感を有するポリエステル加工糸を含む織物を用いること。
|
【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、失禁のおそれのある老人、病人等や夜尿症の子供が用いるマットレスや寝具の敷布団の上部に敷く防水シーツに関するものである。 【背景技術】 【0002】 従来、失禁のおそれのある老人、病人等や夜尿症の子供が用いるマットレスや寝具の敷布団の上部に敷く防水シーツは、布にゴム又は合成樹脂をラミネート加工したものやコーティング加工を施して不透水層を形成した表裏一体となったシート状のもので、これによって失禁時の漏れ出した尿がシーツの下の寝具類に浸透することを防止している。 【0003】 一般に防水シーツは、使用者が何らかの理由で離床できない状態にあって、やむを得ずマットレスや敷布団上に排尿行為をせざるを得ない状況において使用されるものである。通常、使用者は、排尿部には布製や紙製のおむつ類を装着しているものの、完全におむつ類に吸収されるとは限らず、漏れ出た尿が使用者の着衣を濡らしたり、蒸れが生じて使用者に不快感を与えるという。 しかしながら、上記従来の防水シーツにおいては、使用者との間に上記表布が介在するとはいえ、漏れた尿が吸収されずにシーツ上に溜まり、使用者の着衣を濡らしたり、蒸れが生じて使用者に不快感を与えるという問題を有する。又、溜まった尿がシーツを伝わって流れ出ることにより周囲を汚すという問題も有している。これらの問題は、漏れた尿をシーツ自体が速やかに吸収処理される構造になっていないことに起因する。 【0004】 防水シーツについては、特開平11−309183、特開平9−238803に開示されている。 【0005】 しかしながら、特開平11−309183に示される方法は、透水性で、かつ水拡散性を有する表側の布地と撥水加工を施すことにより不透水性で、かつ通気性を有する裏側の布地の間に吸水性を有し、吸水した水分の逆流を防止する中布を配して、それらが分離しないように縫着することを掲げている。しかも中布には、所要の厚みを有する不織布又は編布を用いて、それらに吸水させて保持しようとするもので、中布を取り出すというものではない。 【0006】 特開平9−238803に示される方法は、編地の表地と裏地の間に挿入糸を挿入せしめて所定の厚みの通気層を形成した経編ダブルラッセル編地の裏面に合成樹脂等の防水シートを貼着したものである。しかしながら、この方法は、使用者の体から尿を隔離するものの、尿が防水シート上に溜まることに変わりはない。このように、従来の方法においては、漏れ出た尿を速やかに吸収し、使用者の体から尿を隔離するとともに、寝具や使用者の着衣、周囲を汚すことなく処理できるものは見当たらない。 【特許文献1】特開平11−309183号公報 【特許文献2】特開平9−238803号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0007】 本発明は、上記従来の失禁のおそれのある老人、病人等や夜尿症の子供が用いるマットレスや敷布団の上部に敷くシーツの有する問題点に対して、失禁や夜尿により漏れ出した尿を速やかに吸収して、使用者の体から尿を隔離するとともに、寝具や使用者の着衣、周囲を汚すことがないシーツを提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0008】 上記目的を達成するため、本発明の防水シーツは、表布に透水性で、かつ水分散性を有する布地を、裏布は防水性あるいは透湿防水性を有する布地を用い、これら2枚を重ね合わせ、合わせ布地の一部分が開口でき、その部分を除いた周囲は閉口したもので、更に、表布と裏布の間に、漏れた尿を速やかに吸収できる高分子吸収体や綿状パルプ、吸水紙等で構成されたシート状あるいは層状のものが、挿入できるもので、全体が表布、シート状又は層状の吸収体、裏布の3枚で構成された機能分離型シーツである。 【0009】 又、合わせ布地の開口部分は、ファスナー等で閉口することが可能で、使用することにより、挿入されていたシート状あるいは層状の吸収体に尿が吸収された後は、適宜、取り出し、別のものと交換することができる。 【0010】 更に、その防水シーツの2辺には、補助布を設けることにより、マットレスや敷布団の周囲に巻き付けて装着できる。 【発明の効果】 【0011】 本発明の防水シーツは、表布、吸収体、裏布で構成され、3枚の各々の材料が独立した異なる機能性を有し、それらが有機的に働くことにより、漏れ出た尿が確実に処理されるものである。つまり、表布は使用者に最も近い側に位置し、漏れ出た尿をすばやく下方に浸透誘導させて、使用者と分離させる機能を有する。又、この表布は、寝心地感覚に大きい影響を及ぼすことから、通気性があり皮膚との接触感が良好で、しかも、体圧や体動に順応できる適度なストレッチ性を有することが必要である。現在、市場には多種多様の繊維が存在するが、天然繊維は、合成繊維に比して、それ自身のもつ吸水性が高い結果、水分に対する透水性、分散性が劣り、乾くまでに時間を要する。 【0012】 ちなみに、繊維の水分含有割合を示す公定水分率は、天然繊維では、綿では8.5%、羊毛では15%、絹では11%である。従って、これらの繊維を表布に用いた場合、漏れ出た尿の一定割合が、繊維に吸水されて、その後の使用者にべたつき感やむれ感等の不快感を生じしめる結果となる。これに対して、合成繊維の一つであるポリエステルは公定水分率が0.4%であり、前者とは大幅に数値が小さく、ポリエステルの吸水性が、いかに小さいかがわかる。 【0013】 このことは、表布にポリエステル繊維を用いれば、繊維自体の吸水やその繊維の周りに付着する水分量は僅かであることを示しており、従って大部分の水分は、布を透水、浸透し、下方に挿入配置されている高分子吸収体や綿状パルプ、吸水紙等の吸収体に吸収される。つぎに、ポリエステル繊維において、どのような糸の形態にすれば、使用者にとって使用感覚が良いかであるが、ポリエステル長繊維糸に仮撚り加工等を行うことにより、捲縮性を付与した糸を用いて、製織されたポリエステル加工糸織物が、手触り感に優れ、布の持つ風合いも良好であった。しかも、通気性、ストレッチ性、防シワ性等の面から使用感覚が最適であることがわかった。 【0014】 つぎに、表布と裏布の間に配する吸収体は、使用者から漏れ出た尿の全体を速やかに確実に吸収する能力があり、しかも、一旦吸収した尿分は逆流して外部に出ないことが必要である。大人の1回の平均尿量は、約100〜150ccと言われている。その内、紙おむつ等によって吸水される量を除き、漏れ出る尿量は、1回につき10〜100ccと想定される。しかも、夜間時の排尿回数を3回程度と想定した場合、合計30〜300ccになり、この尿量を十分吸収できることが求められる。これに対応可能な材料として、高分子吸収体1gに対する吸水量が100gの場合、漏れ出た尿量300ccを吸収するには3gあれば良いことになる。高分子吸収体は、吸水速度が速く、しかも一旦吸収すれば、体圧がかかっても逆流することはない。一般的に、高分子吸収体は、高分子吸水ポリマーを綿状パルプ、吸水紙等に混入したシート状になったものが多い。例えば、トーヨー衛材(株)製、白十字(株)製、ユニ・チャーム(株)製等があげられる。 【0015】 更に、裏布は、合成樹脂等のコーティング加工や防水性フイルムの貼り合わせにより防水性を付与したものや、あるいは、細繊度のポリエステル長繊維糸を用いた透湿防水性を有する高密度織物が用いられる。これらにより、溜まった尿が裏布から下方に漏れることを防ぐ機能を有する。 【発明を実施するための最良の形態】 【0016】 表布、吸収体、裏布の3枚で構成され、3枚の各々の持つ機能は互いに異なっている。表布は、縦糸、横糸ともにポリエステル加工糸で製織されたポリエステル加工糸100%の織物を用いる。糸の繊度は、おおよそ33デシテックス〜350デシテックスを使い、織物密度は、縦糸密度、横糸密度いずれも50本〜250本/2.54cmが適当である。この範囲の織物においては、漏れ出た尿を下方に透水、浸透を可能とするとともに、通気性が確保される。従って尿ばかりでなく使用者からの発汗にともなう水分についても織物内を移動できることから蒸れ感からの解消にも効果的である。 さらに、織物の風合いについても、使用者にとってポリエステル原糸に捲縮性を付与した織物は、ポリエステル原糸使いの織物に比して、使用時の接触感覚が良好である。しかも、この加工により得られた糸を用いることによって、ポリエステル原糸織物に比して5%〜30%のストレッチ性を付与された織物に仕上がるので、使用者の体圧、体型に応じた表布としての伸縮変形が可能である。又、表布としてメッシュ状の編物を用いることが考えられるが、これは使用者の体圧により、編物の編目が使用者の皮膚に、衣服を介してではあるが押圧されるので、使用者にとって良好な接触感覚が得られない。 【0017】 つぎに、吸収体であるが、漏れた尿を速やかに吸収できる高分子吸収体や綿状パルプ、吸水紙等が単独あるいは、それらを組み合わせた厚さが5mm以下のシート状あるいは層状の形態にしたものが適当である。 【0018】 又、裏布は、縦糸、横糸ともに疎水性繊維であるポリエステル糸で高密度に製織された織物を用いる。この織物は、縦糸と横糸の交錯が高密度であることから、水蒸気粒子は織物外部に通過可能な透湿性能を有しながら防水性能をも有する。又、そこまでに至らない織物密度の場合は、その織物に撥水加工や、合成樹脂フイルムのラミネート加工を行ったり、ゴム又は合成樹脂のコーティング加工を施して防水性能を付与すれば良い。糸の繊度は、おおよそ33デシテックス〜220デシテックスを使い、織物密度は、縦糸密度、横糸密度いずれも50本〜250本/2.54cmが適当である。 【0019】 これらの3枚の各々の持つ機能が効果的に作用することにより、使用者から漏れ出た尿が、防水シーツ上に溜まることなく速やかに吸収され、寝具や使用者の着衣、周囲を汚すことなく処理され、使用者が不快感を示すことなく最良の形態を示す。 【実施例】 【0020】 以下、本発明を実施例により具体的に説明する。 【0021】 「実施例1」 表布にポリエステル加工糸織物(縦糸330デシテックス、横糸330デシテックスで縦糸密度62本/2.54cm、横糸密度56本/2.54cm)を用い、吸収体はユニチャーム(株)製ふとん安心シーツ60cm×90cm、裏布はポリエステル加工糸織物(縦糸110デシテックス、横糸110デシテックスで縦糸密度150本/2.54cm、横糸密度81本/2.54cm)を用いた。表布と裏布の2枚は重ね合わせ、合わせ布地の一部分が開口でき、その部分を除いた周囲は閉口したもので、開口部分からシート状高分子吸収体が挿入できる。全体が表布、シート状高分子吸収体、裏布の3枚で構成された防水シーツを製作した。 【0022】 「比較例1」 この防水シーツを用いて、漏れ出た尿量を100ccと想定し、同量の水分をコップから表布上に約3秒間で滴下した。 滴下後の水分は、表布上をほとんど拡散することなく浸透し、その下に配置されている高分子吸収体シートに速やかに吸水された。比較品として表布が綿パイルで裏側に塩ビフィルムがラミネートされた防水シーツとの比較結果を示す。 【0023】 【表1】
滴下50分後の湿潤状態を示す感覚値 1 ぼとぼとする状態 2 ややぼとぼとする状態 3 べたつく状態 4 ややべたつく状態 5 さらっとした状態 【0024】 「比較例2」 上記の「比較例1」と同様に、漏れ出た尿量を10ccと想定して同様の比較を行った。以下に結果を示す。 【0025】 【表2】
滴下3分後の湿潤状態を示す感覚値 1 ぼとぼとする状態 2 ややぼとぼとする状態 3 べたつく状態 4 ややべたつく状態 5 さらっとした状態 【産業上の利用可能性】 【0026】 本発明によれば、失禁のおそれのある老人、病人等や夜尿症の子供が用いるマットレスや寝具の敷布団上に敷く防水シーツとして、あるいは、失禁が心配な高齢者をはじめとする旅行者等の携帯用シーツとして、更にはペット用の防水シーツとしても適用できる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】304010400 【氏名又は名称】株式会社プチ・ボワ
|
| 【出願日】 |
平成16年4月30日(2004.4.30) |
| 【代理人】 |
|
| 【公開番号】 |
特開2005−312747(P2005−312747A) |
| 【公開日】 |
平成17年11月10日(2005.11.10) |
| 【出願番号】 |
特願2004−135587(P2004−135587) |
|