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【発明の名称】 車両用シートのロック機構
【発明者】 【氏名】フォスマン、グレゴール

【氏名】ベッカー、マルティン

【氏名】ペーターズ、クリストフ

【氏名】クルッグ、ダイアナ

【氏名】アスバー、トーステン

【要約】 【課題】車両用シートのロック機構を提供すること。

【解決手段】下側部材103、前記下側部材103に支持された上側部材102、及び、ガイドウェイからなる案内要素115内で前記下側部材103と前記上側部材102との間を延びる少なくとも1つのロック要素113を備えた、車両用シート、特に、自動車用シートのロック機構において、前記案内要素115が、記下側部材103と前記上側部材102とを支持する軸受を構成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用シートのシート構造物(5)とシート背凭れ(4)とを連結するロック機構であって、
a) 前記シート構造物(5)に取り付けられた下側部材(103;203)と、
b) 前記下側部材(103;203)に支持されるとともに前記シート背凭れ(4)に取り付けられて前記下側部材(103;203)との間で構造物収納空間(110;210)を形成する上側部材(102;202)と、
c) 前記下側部材(103;203)と一体的に形成されているとともに前記上側部材(102;202)を支持して軸受として機能するガイドウェイからなる案内要素(115;215)と、
d) 前記上側部材(102;202)と下側部材(103;203)との間に径方向に移動可能な状態に配置されているとともに前記案内要素(115;215)内に延びている少なくとも1つの歯状セグメントからなるロック要素(113;213)と、
e) 前記構造物収納空間(110;210)の内側に配置され、前記ロック要素(113;213)の移動方向と直交する方向で積層しており、前記ロック要素(113;213)に向う方向に付勢力を生じる少なくとも1つの舌片(125;225)を備えており、前記ロック要素(113;213)を径方向内側に引込むための、回転可能な制御ディスク(119;219)と
を有する車両用シートのロック機構。
【請求項2】
2つの対称的なロック要素(113;213)と、前記構造物収納空間(110;210)の内側に配置され、前記ロック要素(113;213)を径方向外側に押すための回転可能なカムプレートからなる制御要素(111;211)において、前記制御要素(111;211)と前記制御ディスク(119;219)が別個の部品として形成されること
を特徴とする請求項1に記載のロック機構。
【請求項3】
前記構造物収納空間(110;210)の周辺境界面(102”;202”)が前記ロック要素(113;213)と噛み合うギヤリムからなると共に、当該ギヤリムが前記ガイドウェイからなる案内要素(115;215)に支持されていること
を特徴とする請求項1又は2記載のロック機構。
【請求項4】
前記ロック要素(213)の動作を前記上側部材(202)と前記下側部材(203)との間の所定の角度姿勢に制限するストッパ軌道(229)が、複数の連続する角度位置に亘って延びており、径方向で異なる幅の外側部分(229’;229”)を備えており、及び、前記ロック要素(213)の部材(223)と協働しており、分離するように設計されたリング(227)に設けられており、前記リング(227)は前記上側部材(202)に対して回転できないように取り付けられていること
を特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のロック機構。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シートのロック機構に関し、より詳細には、請求項1の前提項の特徴を備えた自動車用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の公知のロック機構では、ロック機構の上側部材はベアリング要素に支持されており、そのベアリング要素はロック機構の下側部材に支持されている。ベアリング要素は、当該機構の上側部材と下側部材との間の空間に設けられており、軸つば(collar)を積層状組立体として構成されている。ベアリング要素は、2つのロック要素を移動させる制御カム要素としても使用され、ガイドウェイからなる案内要素中において案内されている間、これらの2つのロック要素は径方向外側に押圧されて、ロック要素を係合させる。ベアリング要素と制御カム要素は組み合わされて伝動バー上に直接設けられている。自動車用シートにロック機構を装着した後、伝動バーは、ロック機構の他方側の調節装置に延びている。伝動バーを回転させると、ベアリング要素及び制御カム要素が回転し、ロック要素が移動する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、前述の種類のロック機構を改良することにある。本発明によると、この目的は、請求項1の特徴項のロック機構により達成される。好適な実施例は、従属項の構成を主題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
ガイドウェイ(案内要素)がロック機構の下側部材及び上側部材を支持する軸受として機能し、中間支持としての軸受要素なしに、ロック機構の下側部材の内外で上側部材を直接支持する。これにより、構造を複雑にする軸受及び制御カム要素を用いることが不要であり、ロック機構の製造が容易になるとともに、コストが削減される。基本的構造では、公知の軸受及び制御カム要素よりガイドウェイ(案内要素)が径方向外側に延びているので、支持は軸受力を小さくする長いレバーアームで生じる。好ましくは、ガイドウェイ(案内要素)はロック機構の下側部材と一体に構成されて上側部材に支持されており、これにより、構造が簡単になるとともに安定性が向上する。
【0005】
ロック機構を安全に係合させるために、好ましくは機構の一方の部材の境界面に形成されたギアリムが、歯状セグメントとして設計構成されたロック要素と協働する。好ましくは、2つのロック要素が設けられる。構造を簡単にするために、ギアリムを構成するこの境界面が、同時に、ガイドウェイ(案内要素)の接触面を形成することが効果的である。十分な支持ができるように、ガイドウェイ(案内要素)は、境界面に対して、好ましくは、周方向の扇状領域の大部分に形成されている。扇状領域の他の部分は、例えば、歯状セグメント又は協働するばねのために残されている。
【0006】
ガイドウェイ(案内要素)を介する本発明の支持構造は、ロック機構の中心に制御要素を収納する空間を形成しており、この制御要素は伝動バーを駆動するために配置され、空洞内のロック要素を移動させる。この動作を補助するために、制御要素は、好ましくは、付勢力があるばねである。所定の力を付与するために、それぞれのロック要素にばねが設けられている。ばね力に抗する方向にロック要素を移動させるためには、伝動バーに制御ディスクを設けることが好ましい。
【0007】
好適実施形態においては、誤差を吸収する手段が設けられており、これにより、機構を安全に係合させることができる。車両用シートの両側にロック機構を設け、伝動バーを介して同時に動作を行なわせることにより、誤差吸収手段は、例えば、ロック機構に始めからある隙間や製造誤差によってロック機構の歯の位置が異なっても、両方のロック機構が係合させるようにする。例えば、誤差吸収手段が、ロック機構内の誤差を補正してもよい。可能であれば、異なる誤差吸収手段が、独立して、又は、組合せて設けられていてもよい。好ましくは、制御要素は、ロック要素を移動させる。この場合、制御要素は、車両用シートの一方の側から他方の側に制御要素の動作を伝達する伝動バーによって移動させられる。これによって、総てのロック要素が同期して作動する。伝動バーの捻れを許容するために、伝動バーと制御要素との間に隙間を設けることが好ましい。構造を簡素化するために、独立して構成された伝動バーより短い伝動要素と制御要素との間に隙間を設けることが好ましい。
【0008】
さならる誤差吸収手段として、制御要素を、ロック要素のそれぞれの輪郭制御部分を備えたカムプレートとして設計構成することができる。この場合、それぞれの輪郭制御部分は、外側に向って径を一定に僅かに漸増させる螺旋形状となっている。この結果、既に部分的に係合するロック要素は、総ての他のロック要素が係合するまで、安全に保持される。制御カムは、それぞれの輪郭制御部分と協働するロック要素に力を伝動するために機能する。
【0009】
好ましくは、制御ディスクはそれぞれのロック要素と協働するように設けられている。制御ディスクは、その移動方向に対して直交するロック要素に横たわっており、例えば、特に、非係合状態において突起及びスロットロック要素によりロック要素の移動を制御する。好ましくは、制御ディスクは、ロック要素に向う方向に付勢されており、すなわち、径方向に移動可能なロック要素の場合は軸方向に付勢されている。これによって、制御ディスクは、ロック要素と接触状態となり、したがって、突起及びスロットが移動を制御する係合状態となる。好ましくは、1以上の弾性舌片によって付勢力が得られる。この弾性舌片は、制御ディスクから外側に曲げられ、同時に、誤差吸収手段として作用する。
【0010】
さらに、好適な実施形態では、ロック機構は、上側部材と下側部材との間でロック要素が適切に動作するように所定の角度位置を提供する手段を備えている。これによって、車両用シートにロック機構を採用することができ、揺動時に非係合装置を定量的に作動させたり保持させたりすることなく、背凭れに非係合後の自由な揺動及び/又はリクライニング姿勢への復帰動作を行なわせることができる。これにより、背凭れの角度姿勢を前後に簡単に変更することができる。リクライニング姿勢では、背凭れが支持され、ロック機構を介する負荷がリクライニング姿勢で突出したレバーアームに偶発的に伝動されないようになっている。
【0011】
好ましくは、ロック要素は、ロック機構の部材の一方と係合するように協働する。所定角度位置以外では、機構の当該部材からロック要素が遠ざけられる。この動作を、例えば、保持すなわち復帰手段、案内プレート制御、独立したストッパ、カムによって、又は、種々の連続する角度範囲に亘るストッパ軌道によって、生じさせてよい。径方向に動作するロック要素の場合、ストッパ軌道は、好ましくは、係合力が直接作用しないように及びロック機構の係合面、例えば、ギヤ歯構造を保護するために、ロック要素の軸方向に突出する突起と協働する。この場合、ストッパ軌道が、軸方向突出突起のためのストッパとして機能する、径方向で異なり外側に位置する部分より構成することが効果的である。
【0012】
ストッパ軌道が上側部材に沿って異なる角度位置上で回転し、ストッパ軌道を簡単な構造で設計構成できるように、ストッパ軌道は、好ましくは、ロック機構の上側部材に配置されている。ロック要素の数に比例して、ストッパ軌道が、回転方向で対称に設けられている。
【0013】
容易に乗換えることができ、又は、容易に離れることができるように、独立して機能するストッパ軌道を設けるには、ストッパ軌道が分離構成された部分に設けられている場合、ストッパ軌道をロック機構の上側部材上で回転できないように配置することが効果的である。回転を拘束された装置を容易に得るには、分離構成された部分に、ロック機構の上側部材の切欠及び/又は突起と協働する突起及び/又は切欠を設けられている。全体の深さを大きくすることなく、また、ストッパ軌道を設けることなく、前述の用途部分の連続使用ができるようにするには、必要に応じて、分離構成された部分に、例えば、ロック機構の上側部材の凹所に配置されたリングが設けられる。
【0014】
さらに、好適実施形態において、ロック機構は、機構の下側部材及び上側部材の両方に結合できる要素を備えている。これによって、装着された背凭れの自由な揺動が記憶機能によってできる。すなわち、自由な揺動の後に、調節された位置に再度定められる。中間軸受なしに、ガイドウェイ(案内要素)上にロック機構の下側及び上側部材を直接支持することによって、複雑な構成の軸受及びカム要素が不要になり、ロック機構の構造が簡素化されるとともにコストが低減される。基本的には、ガイドウェイ(案内要素)が公知の軸受及び制御カム要素より径方向外側に延びているので、支持構造は、軸受力を減少させる長いレバーアームで生じる。
【0015】
機構の上側及び下側部材の連結は、アーム、例えば、ばねアームによって行うことができる。好ましくは、これらのアームは、共通のシフトプレートによってそれぞれの部材から離されている。シフトプレートを作動させるために、ロック機構の内側に配置されたシフトプレート及びロック機構の外側に配置されたレバーに回転できないように連結された回転可能な作動スリーブを設けることが好ましい。軸方向誤差を補正するために、第3のばねアームを設けてもよい。
【0016】
好ましくは、ロック要素は突起を備えており、段部を有する案内プレートが設けられている。突起は、ロック機構の自由な揺動中に案内プレート上を移動し、ロック要素は係合しない。ロック機構が係合している間、突起を受け入れるために、案内プレートは凹所を備えている。好ましくは、案内プレートは、同時に、前述のアームと連結される係合可能要素を形成している。
【0017】
本発明の車両用シートは、少なくとも1つ、好ましくは、伝動バーを介して連結された2つのロック機構を備えている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明は、図面に示された2つの実施形態と1つの参考形態に基づいて、以下、詳細に説明される。
【0019】
本発明を説明するに当たり、本発明の参考例を図1から図5に示す。ここで、自動車用シートのロック機構1は、全体が符号1で示されており、上側部材2と下側部材3を備えている。ロック機構は、自動車用シートの両側のそれぞれに設けられている。上側部材2に取り付けられたシート背凭れ4は、2つのロック機構1によって自動車用シートのシート構造物5に連結されている。図4に示されるように、2つのロック機構1は伝動バー6によって互いに連結されている。
【0020】
上側部材2と下側部材3は、それぞれ、ディスク状部分の中央において、ボア2’及びボア3’を有する。そして、これらのボア2’及びボア3’は、伝動バー6のための貫通路を形成している。上側部材2と下側部材3の外側から、すなわち、上側部材2と下側部材3との合わせ面と反対の面から、軸安全装置8がボア2’及びボア3’を貫通している。軸安全装置8は、2つの半片8,8よりなり、ボア2’及びボア3’内を軸方向に連続するように配置されている。軸安全装置8は内周側でモーメントを伝達できる輪郭を備えた動力伝動要素として構成されている。スプライン嵌合又はセレーション嵌合のように、軸安全装置8は同じ輪郭の伝動バー6を囲繞している。
【0021】
軸安全装置8は、同じ形状のプラスチック製の2つの半片よりなる。軸安全装置8のそれぞれの半片は、ディスク状フランジ部分8’を有している。このフランジ部分8’は、上側部材2と下側部材3の両面に対向する環状の内側平坦面を備えている。フランジ部分8’は、軸安全装置8が移動することを防止するとともに、ロック機構1の組立中及び作動中において、上側部材2と下側部材3が軸方向に移動することを防止する。しかし、軸安全装置8は、下側部材3に対して上側部材2が回転することは拘束しない。ロック機構1の使用時に生じる軸方向の動力伝達のために、図示しないシートメタルホルダが設けられている。また、フランジ部分8’は、ロック機構1に潤滑が必要なとき、潤滑剤の漏洩を阻止するシールとしても機能する。
【0022】
フランジ部分8’の内側平坦面に向かって、径が僅かに漸増する円錐状中間部分8”が連続している。この中間部分はフランジ部分8’より径が小さく、径方向の段部を形成している。中間部分8”は、上側部材2と下側部材3のボア2’及び3’より小さな径を有しており、上側部材2と下側部材3は中間部分8”に当接しない。
【0023】
中間部分8”の内側先端部には、径の小なる部分において動力伝動部分8”’が連続している。この動力伝動部分8”’の外周面及び内周面には、軸方向に延びる溝が形成されている。動力伝動部分8”’の内周面には伝動バー6が嵌合する。組立を簡単にするため、伝動バー6の溝と動力伝動部分8”’の溝は、それぞれ周方向で対称に形成することが好ましい。
【0024】
動力伝動部分8”’は、軸方向に見たとき、3つの指状突起9と、この指状突起と同じ形状の3つの凹所9’を有する。突起9及び凹所9’は、すなわち、突起9は、その側縁において、鋸状、特に、粗いギア状歯構造を備えている。組立時、軸安全装置8の2つの半片は、動力伝動部分8”’が互いに係合するように60°の位相差で組み合わされ、一方の半片の指状突起9が他方の半片の凹所9’に係合する。ギア状歯構造の鋸状の歯は、フランジ部分8’に指向する緩傾斜のフランク面を備え、緩傾斜のフランク面に続いてフック面を有する。軸安全装置8の2つの半片が互いに組み立てられたとき、鋸状の歯の緩傾斜のフランク面が互いに接しあって、プラスチック材料よりなる半片は弾性変形し、それぞれの歯は先端を越えてフック面で係合する。これにより、ギア状歯構造はクリップ状に係合する。
【0025】
上側部材2は、ロック機構1の下側部材3に対向する内側面において、ボア2’から径方向に広がる環状空洞部分を有する。この環状空洞部分は、ロック機構1の上側部材2と下側部材3の間の構造物収納空間10を形成している。この構造物収容空間10には、後述の多数の部品及び要素は配置される。上側部材2に形成された構造物収納空間10の周方向の境界面は符号2”で示されている。
【0026】
カムプレート11は、その外周面において180°の位相差のカムを備えた回転ディスクの形状をしている。カムプレート11は、構造物収納空間10内において軸安全装置8の動力伝動部分8”’上に配置されている。軸安全装置8のクリップ係合した動力伝動部分8”’は、カムプレート11のベアリング開口部と回転を拘束された状態で噛み合っている。これにより、カムプレート11は、動力伝動要素として機能する軸安全装置8を介して伝動バー6によって回転させられる。カムプレート11は、下側部材3に向って軸方向に突出する円筒状段部を備えている。円筒状段部の外周面は、ロック機構1の下側部材3のボア3’の内周面に適合する形状をしており、これにより、カムプレート11は、下側部材3によって支持される。
【0027】
カムプレート11と同一平面内で、且つ、軸安全装置8より径方向外側において、構造物収納空間10は、ロック要素として機能する2つの平らな歯状セグメント13を収納している。歯状セグメント13は、180°の位相差で配置されており(互いに径方向で対称)、径方向に移動可能である。それぞれの歯状セグメント13は、その先端、すなわち、径方向外側において、ギヤ状歯構造13’を有するとともに、内側端、すなわち、径方向内側において、カムフォロアのような緊張及び弛緩のためのカム転動面を有する。歯状セグメント13は、制御要素として機能するカムプレート11と協働する。ギヤ状歯構造13’とカム転動面との間では、歯状セグメントの側面が互いに平行に延びている。
【0028】
ロック機構1の下側部材3は、構造物収納空間10内に設けられて、歯状セグメント13を収容する案内要素15を有する。案内要素15は、互いに対向する2つのC字状セグメントよりなる。これらのC字状セグメントは、径方向外側半分において、それぞれの歯状セグメント13を案内溝を形成するとともに、径方向内側半分において、カムプレート11を備えた軸安全装置8の周囲でそれぞれの渦巻きばね17を収納する空間を形成している。この構造により、歯状セグメント13は、その平行な側面が溝の側面に平行となり、側面同士で摺動できるようなっている。2つの渦巻きばね17は、それぞれ、案内要素15の径方向内側部分において一端がピン17’により支持されている。渦巻きばね17は、それぞれ、他端がカムプレート11の周面に接している。渦巻きばね17は、カムプレート11を回転させるように作用し、制御ディスクとして機能する。渦巻きばね17によって、カムプレート11はそのカム形状のために歯状セグメント13を径方向外側に押圧する。
【0029】
制御ディスク19は、構造物収納空間10に設けられている。構造物収納空間10は、図4に示されるように、カムプレート11、案内要素15及び渦巻きばね17を収納する第1の円形ディスク状部分に加えて、制御ディスク19を収納する比較的小さい円形の第2ディスク状部分を有する。この第2ディスク状部分は、第1ディスク状部分より浅い空間であり、歯状セグメント13の表面と上側部材2の底面との間に形成され、ボア2’の周囲に広がっている。図示された参考例では、制御ディスク19は、軸安全装置8にスプライン嵌合するように取り付けられているが、カムプレート11に取り付けてもよい。制御ディスク19は伝動バー6とともに回転するようになっている。制御ディスク19は、径方向外側近傍において、2つの対称な細長い溝21が表裏に貫通している。この溝21は、制御ディスク19の外周面に向って径方向に傾斜して設けられている。歯状セグメント13は、上側部材2側において、突起23が突出している。組立状態において、突起23は溝21の内部に突出している。
【0030】
歯状セグメント13がカムプレート11の回転によって径方向外側に押圧されると、制御ディスク19はこれとともに回転し、溝21内の突起23が径方向外側に押される。これと逆回転の場合には、制御ディスク19は溝21及び突起23により径方向内側に歯状セグメント13を引っ張る。
【0031】
ロック機構を組み立てた状態において、案内要素15は、構造物収納空間10の境界面2”と、その周方向外側面が接触しており、これにより、ロック機構の上側部材2は案内要素15及び下側部材3によって支持される。境界面2”は、歯状セグメント13がカムプレート11によって径方向外側に押されたとき、歯状セグメント13のギヤ状歯構造13’と協働するギアリム部を有する。上側部材2のギアリム部と歯状セグメント13のギヤ状歯構造が互いに係合すると、ロック機構が係合したことになり、上側部材2と下側部材3は相対回転できない状態になる。制御ディスク19が歯状セグメント13を後退させると、上側部材2と下側部材3は互いに回転できる状態になる。この場合、案内要素15は、構造物収納空間10の境界面2”上を摺動する。
【0032】
境界面2”の一部にのみ、ギアリムを設けてもよい。この場合、歯状セグメント13は、上側部材2と下側部材3が所定の角度位相にあるときのみ係合できるようになる。すなわち、歯状セグメント13は、ロック機構が所定の角度位相にあるときのみ係合する。
【0033】
次に、図6乃至図8は、本発明の第1実施例であるロック機構101を示している。なお、特別示さない限り、前述した参考例に対応する部材には、100番代の同じ符号が付けられている。
【0034】
シート背凭れは、機構の回転部材102,103によって傾斜角度を変更可能であり、リアシート方向への傾斜が容易となるように自由に揺動できる構造である。軸安全装置108は、部材102,103のボア102’,103’内に支持されている。軸安全装置108は、伝動要素として、内部の伝動輪郭に適合した輪郭の伝動バー106を囲繞している。伝動バー106及び軸安全装置108の輪郭は、軸方向に見たとき、非円形に形成されている。すなわち、それぞれの輪郭は、実施形態が断面で示されるように、互いに60°の位相で離間する5つの歯で形成されている。
【0035】
機構の上側部材102は、下側部材103に対向する内側面において、ボア102’の周りに環状空洞部分を有する。この環状空洞部分は、構造物収納空間110を形成している。上側部材102に形成され、且つ、構造物収納空間110の周方向に延びる境界面は符号102”で示され、少なくとも一部にギヤ歯構造を有する。制御要素として機能するカムプレート111は、軸安全装置108の構造物収納空間110内に配置されている。2つの平坦な歯状セグメント113は、カムプレート111より薄い厚みであり、カムプレート111と同じ平面内において、軸安全装置108の径方向外側の構造物収納空間110内に配置されている。
【0036】
2つの歯状セグメント113は、180°の位相差で配置されている。これらの歯状セグメントは、径方向に移動可能であり、4つのセグメント状案内要素115によって案内されている。それぞれの歯状セグメント113は、径方向外側の端部において、ギヤ歯構造113’を有している。このギヤ歯構造は、構造物収納空間110の境界面102”のギヤ歯構造と関連している。それぞれの歯状セグメント113は、その径方向内側の中心において、径方向内側に指向する制御カム113”を備えている。制御カム113”は、カムプレート111の輪郭に適合している。2つの切欠111’のそれぞれから周方向に沿って、カムプレート11は、始点から径がほぼ一定の等径部を有し、次いで、径方向外側に立ち上がった段部と、その段部から終点に向う制御部111”を有する。制御部は、径方向外側に向って僅かに径を漸増させる螺旋状である。このような制御部111”の端部において、カムプレート111の輪郭は、次の切欠111’につながっており、カムパターンは180°の位相で繰り返している。
【0037】
一対の案内要素115は、径方向外側領域において、それぞれの歯状セグメント113のための溝を形成している。歯状セグメント113は、溝の側壁に対して、両側端面が平行に沿っている。溝に直角な内側領域において、案内要素は、渦巻きばね117の空間を提供している。2つの渦巻きばね117のそれぞれは、内側端部が下側部材103のピン117’に支持されており、外側端部がカムプレート111の周囲の切欠111’に係合している。なお、説明上、図7及び図8では、ピン117’のみを示し、渦巻きばね117は省略している。
【0038】
細長い形状の制御ディスク119は、機構の上側部材102と歯状セグメント113との間の構造物収納空間110に配置されている。その中心において、制御ディスク119は、カムプレート111を囲繞する大きな開口を備えている。内側で対峙する拘束要素119’が、カムプレート111の2つの切欠111’に係合し、これにより、制御ディスク119はカムプレート111上で回転不能に支持される。径方向の外側領域において、制御ディスク119は、180°の位相で2つの円弧状スロット121を備えている。それぞれの歯状セグメント113からは、機構の上側部材102に向う側において、軸方向の突起123が突出している。その突起123は、機構が組立てられた状態では、スロット121内に配置される。スロット121は、外側において、制御ディスク119の中心から一定半径の中心部分と、その両側部分において傾斜段部を介して中心に向うオフセット部分とを備えている。
【0039】
2つのスロット121の両側には、制御ディスク119の中心に対して径方向に対称な4つの弾性舌片125が設けられている。弾性舌片は、制御ディスク119の素材を打ち抜いて加工され、一部のみ素材に弾性的に連結され、機構の上側部材に向って押し出されている。制御ディスク119は、歯状セグメント113と接触するように、弾性舌片125によって軸方向に付勢され、がたつきを防止されている。
【0040】
図8に示される係合状態では、軸安全装置108は、伝動バー106に沿って回転する。軸安全装置108の外側輪郭とカムプレート111の内側輪郭との間には隙間があり、2つのロック機構101の誤差と伝動バー106のねじれを吸収している。従って、カムプレート111は、軸安全装置108と伝動バー106に沿って、遅れて回転する。こうすることにより、渦巻きばね117がカムプレート111の回転を補助する。2つの制御部111”のそれぞれに向って立ち上がる起立部において、制御要素として機能するカムプレート111が、これに関連する歯状セグメント113の制御カム113”を押圧する。これにより、カムプレート111が歯状セグメント113を径方向外側に押す。切欠111’とノーズ119’によって拘束される制御ディスク119もカムプレート111とともに回転する。こうすることにより、突起123は、スロット121内で径方向外側に押され、同時に中心に向かう。
【0041】
機構の上側部材102が回転すると、上側部材102のギヤ歯構造が歯状セグメント113のギヤ歯構造113’と係合する。このとき、歯状セグメントはロック要素として機能し、対応するロック機構101が係合によりロックされる。こうすることにより、歯状セグメントがカムプレート111の制御部111’により付勢される。2つのロック機構101の一方において、1つの歯が先端同士の関係にあると、車両用シートの他方側のロック機構は、カムプレート111と軸安全装置108との間の隙間によって係合することになる。ユーザーの姿勢の変更により、上側部材102は、ロックされていないロック機構101の下側部材103に対して移動する。歯ピッチの半分程度の回転が生じると、歯状セグメント113は機構と係合する。2つのロック機構101の歯状セグメント113の係合寸法が異なる場合、制御部111”の螺旋形状が誤差を吸収する。
【0042】
図7に示されるように、この係合状態から非係合状態にするために、伝動バー106が反対方向に回転させられ、これによって、カムプレート111が、渦巻きばね117の力に抗し、軸安全装置108を介して随伴される。カムプレート111は、制御ディスク119を回転させ、スロット121を介して歯状セグメント113をさらに内側に引き込む。すなわち、横方向の円弧範囲から径方向内側に突起123を介して歯状セグメント113を引き込む。ロック機構101は、次いで、非係合状態となり、この機構のそれぞれの上側部材102は、それぞれに関連する下側部材103に対して回転することがきる。この場合、案内要素115がその周方向の外側面を構造物収納空間110の境界面102”に横たえ、上側部材102が機構の下側部材に直接支持される。
【0043】
更に、図9乃至図11は、本発明の第2実施例であるロック機構を示している。ここで、車両用シート200は、2ドアの自動車の前部座席として機能し、全体が符号201で示されるロック機構を備えている。特に示さない限り、ロック機構201の構成要素について、前述した参考例及び第1実施例に対応する部材には、200番代の同じ符号が付けられている。
【0044】
構造物収納空間を形成する環状空間の内側において、ロック機構の上側部材は、構造物収納空間を拡大するさらなる空間210’を備えている。構造物収納空間210の境界面は、上側部材202の周方向に形成されており、符号202”で示されており、ギヤ歯構造を備えている。案内要素215及びピン217’を備えたロック機構の下側部材203、軸安全装置208、カムプレート211、ギヤ歯構造213’を備えた歯状セグメント213、渦巻きばね217、並びに、拘束要素219’、スロット221及び舌片225を備えた制御ディスク219のそれぞれの構成は、第1実施例の構成要素と同じである。拘束要素219’と協働するカムプレート211の空間は、ここでは、凹所と称し、カムプレート211の制御部を輪郭線部211”と称する。
【0045】
制御ディスク219と上側部材202との間において、リング227が空洞210’内に配置されている。リング227は、空洞210’の対応する凹所210”内に2つの突起227’を係合させ、回転できないようになっている。リング227の厚みは、空洞210’の深さに対応している。径方向内側において、リング227はストッパ軌道部229を備え、このストッパ軌道部は歯状セグメント213の突起223と協働する。ストッパ軌道部229は径方向で対称であり、径方向内側に向う第1部分229’と、径方向外側に向う第2部分229”とを有する。
【0046】
係合状態において、伝動バーを回転させると、軸安全装置及びカムプレート211が回転する。こうすることにより、渦巻きばね217がカムプレート211の回転を補助する。輪郭線部211”によって、カムプレート211は制御要素として機能し、関連する歯状セグメント213の対応する制御カム213”を押圧する。これにより、歯状セグメント213が径方向外側に押される。凹所211’及び拘束要素219’によって案内・拘束されているので、制御ディスクはカムプレート211に随伴回転する。こうすることにより、スロット223の突起223が、径方向外側に変位する。
【0047】
機構202の上側部材202内に設けられたリング227は、突起223がストッパ軌道部229の径方向外側に向う第2部分229’に指向する角度位置にあるので、歯状セグメント213は、ロック要素として機能し、対応するロック機構210が係合及びロックする。ストッパ軌道部229の角度位置は、直立姿勢から後部座席に向って8°から62°の姿勢に対応している。非係合状態にするには、伝動バーが反対方向に回転させられ、これによって、カムプレート211が軸安全装置208を介して渦巻きばね217の力に抗して拘束される。カムプレート211は、制御ディスク219を回転させ、その制御ディスクはスロット221と突起223により歯状セグメント213を径方向内側に引き込む。これにより、ロック機構201は非係合状態となり、それぞれの上側部材202は、背凭れ204を傾けるために、関連する下側部材203に対して回転できるようになる。この場合、案内要素215は、構造物収納空間210に境界面202”に対して外側周面を隣接させ、これにより、機構の上側部材202は、下側部材203に直接支持される。
【0048】
背凭れ204が自由に揺動できる状態において、図示しないハンドレバーを引くと、まず、車両用シート200の両側においてロック機構201が非係合状態となり、次いで、それぞれの上側部材202すなわち背凭れ204が下側部材203に対して前方へ揺動できるようになる。背凭れ204が垂直姿勢より後方に8°以上傾斜しようとすると、突起223がストッパ軌道部229の径方向内側に向う第1部分229’に接する。この状態においてハンドレバーを離すと、突起223が、ストッパとして機能するストッパ軌道部229の径方向内側に向う部分229’と接触する範囲において、歯状セグメント213が、渦巻きばね217の力によって径方向外側に引っ張られる。この場合、歯状セグメント213は、そのギヤ歯構造213’が機構の上側部材202のギヤ歯構造と離れた状態にあり、機構はロックされない。前方への揺動は、例えば、図示しないストッパによって、起立姿勢から最大34°の前方までに限定されている。突起223がストッパ軌道部229の径方向外側へ向う部分229”に接するときだけ、背凭れ204は8°を越えて後方に揺動し、歯状セグメント213が再度係合できるようになる。
【0049】
ロック機構201の係合を解除した後、自由に揺動でき、ハンドレバーを保持している状態において、背凭れ204は起立姿勢からリクライニング姿勢の62°まで後方に揺動され得る。この角度姿勢が大きくなると、突起223がストッパ軌道部229の径方向内側へ向う部分229’に向って案内され、歯状セグメント213はロック状態でなくなる。前方への揺動中のみ、62°の角度範囲においてロック状態が生じる。
【0050】
改変された実施形態において、リング227はロック機構201に挿入されず、そのロック機構は、第1実施例のロック機構と同様に機能する。
【0051】
本発明のロック機構において、個々の構成要素を組合せて前述の参考形態及び実施形態と異なる機構を構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明を説明するための参考例における個々の構成部品の斜視図であり、左側の構成要素のみ他の構成要素と異なる方向から見た斜視図。
【図2】軸安全装置の斜視図。
【図3】図4のIII−III線に沿った径方向断面図。
【図4】図3のIV−IV線に沿った軸方向断面図。
【図5】本発明による自動車用シートの部分斜視図。
【図6】本発明の第1実施例における個々の構成部品の斜視図であり、左側の構成要素のみ他の構成要素と異なる方向から見た斜視図。
【図7】係合状態の第1実施例の径方向断面図。
【図8】非係合状態の図7に相当する径方向断面図。
【図9】本発明の第2実施例における個々の構成部品の斜視図であり、左側の構成要素のみ他の構成要素と異なる方向から見た斜視図。
【図10】リング、制御ディスク及び歯状セグメントを備えた第2実施例の上側部材を内側から見た図。
【図11】背凭れの異なる姿勢を示した、第2実施例の代表的な車両用シートの側面図。
【符号の説明】
【0053】
1,101,201 ロック機構
2,102,202 上側部材
2’,102’,202’ ボア
2”,102”,202” (第1)境界面
3,103,203 下側部材
3’,103’,203’ ボア
4,204 背凭れ
5,205 シート構造物
6,106 伝動バー
8,108,208 伝動要素,軸安全装置
8’ フランジ部分
8” 中間部分
8”’伝動部分
9 突起
9’ 切欠凹所
10,110,210 構造物収納空間
11,111,211 制御要素(カムプレート)
13,113,213 ロック要素(歯状セグメント)
13’,113’,213’ ギヤ歯構造
15,115,215 案内要素(ガイドウェイ)
17,117,217 渦巻きばね
17’,117’,217’ ピン
19,119,219 制御ディスク
21,121,221 スロット
23,123,223 突起
111’ 空洞空間(カムプレート内)
111” 輪郭線部の制御部分
113”,213” 制御カム
119’,219’ 拘束要素
125,225 舌片
200 車両用シート
210’ 空洞空間(上側部材内)
210” 凹所
211’ 凹所
211” 輪郭線部
227 リング
227’ 突起
229 ストッパ軌道
229’ 第1部分
229” 第2部分
【出願人】 【識別番号】500010945
【氏名又は名称】カイペル ゲーエムベーハー アンド カンパニー カーゲー
【住所又は居所原語表記】Hertelsbrunnenring 2, 67657 Kaiserslautern, Germany
【出願日】 平成16年11月10日(2004.11.10)
【代理人】 【識別番号】100111372
【弁理士】
【氏名又は名称】津野 孝

【識別番号】100119921
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 正之

【公開番号】 特開2005−161034(P2005−161034A)
【公開日】 平成17年6月23日(2005.6.23)
【出願番号】 特願2004−326442(P2004−326442)