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【発明の名称】 ヘルメット
【発明者】 【氏名】渡辺 習輔
【住所又は居所】大分県速見郡日出町大字川崎3968−1 ホンダアールアンドデー太陽株式会社内

【氏名】宮田 誠
【住所又は居所】大分県速見郡日出町大字川崎3968−1 ホンダアールアンドデー太陽株式会社内

【氏名】日木 豊
【住所又は居所】埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会社本田技術研究所内

【要約】 【課題】乗員の姿勢が変化しても走行抵抗の増加を抑えることができるヘルメットを提供することを課題とする。

【解決手段】ヘルメット10は、乗員Mの頭に被せる、ほぼ半球状のヘルメット本体11と、このヘルメット本体11に付属した顎紐12と、ヘルメット本体11に立てたピン13と、これらのピン13、13を介して上下スイング可能に係止するとともに大きく後方へ延ばした、嘴状の整流部材14と、この整流部材14の後端から延ばしたゴム紐15と、このゴム紐15の先に設けたフック16とからなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭に被せる、ほぼ半球形状のヘルメット本体と、このヘルメット本体から後方へ延出すると共に上下スイング可能にヘルメット本体に係止した整流部材とから構成したことを特徴とするヘルメット。
【請求項2】
前記整流部材の後端から、ゴム紐などの弾性線部材を延ばし、この弾性線部材の先端にフックを設け、このフックを乗員のベルト又は衣服に引っかけることができるようにしたことを特徴とする請求項1記載のヘルメット。
【請求項3】
前記ヘルメット本体の後端と前記整流部材の裏面とを、ばね部材で連結し、前記整流部材に常に下向きの力を付与するようにしたことを特徴とする請求項1記載のヘルメット。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘルメットの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自転車レースや車椅子レースが盛んに開催される様になってきた。レーサー(レース参加者)は頭部保護のためにヘルメットを着用する。このためのヘルメットとして後部に整流部材を一体的に備えた物が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】米国特許第4903350号明細書(図6)
【0003】
特許文献1を次図に基づいて説明する。
図7は従来の技術の基本原理を説明する図である。
(a)に示すとおり、従来のレース用ヘルメット100は、レーサーMの頭に載せるヘルメット本体101から後方へ整流部材102を延出した流線形ヘルメットである。
自動二輪車用ヘルメットは整流部材102を備えていないため、ヘルメットの後方に渦が発生し、走行抵抗は大きい。人力(脚力又は腕力)のみを駆動源とする自転車又は車椅子では、走行抵抗の増加は、車速の低下に繋がり、レーサーの疲労の要因となるため、低減する必要がある。この低減策として整流部材102が考案された。
【0004】
(b)は従来のヘルメットの問題点を説明する図であり、レーサーMは加速や追い込みの際に頭を下げることがある。このときには、整流部材102が立ち上がり走行風をフルに受けることになる。
【0005】
加速を促すために頭を下げたのに、走行抵抗が増加することは好ましいことではない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、乗員の姿勢が変化しても走行抵抗の増加を抑えることができるヘルメットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、頭に被せる、ほぼ半球形状のヘルメット本体と、このヘルメット本体から後方へ延出すると共に上下スイング可能にヘルメット本体に係止した整流部材とから構成したことを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明は、整流部材の後端から、ゴム紐などの弾性線部材を延ばし、この弾性線部材の先端にフックを設け、このフックを乗員のベルト又は衣服に引っかけることができるようにしたことを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明は、ヘルメット本体の後端と整流部材の裏面とを、ばね部材で連結し、整流部材に常に下向きの力を付与するようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明では、整流部材を上下スイング可能にしたので、整流部材を最も走行抵抗の少ない向きにすることができるという利点がある。
【0011】
請求項2に係る発明では、整流部材の後端をゴム紐などを介してベルトなどに引っかけることができるようにした。ゴム紐で引かれることで、整流部材は常に乗員の肩若しくは背中に載る。この結果、ヘルメット本体と整流部材と背中とが連続し、好ましい流線形状を創り出すことができる。
【0012】
請求項3に係る発明は、ヘルメット本体の後端と整流部材の裏面とをばね部材で連結し、整流部材に常に下向きの力を付与するようにしたので、頭を上下させても、整流部材を常に好ましい姿勢に保持することができ、好適な整流効果を発揮させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係るヘルメットの構成図であり、ヘルメット10は、乗員Mの頭に被せる、ほぼ半球状のヘルメット本体11と、このヘルメット本体11に付属した顎紐12と、ヘルメット本体11に立てたピン13、13(奥のピン13は見えず。)と、これらのピン13、13を介して上下スイング可能に係止するとともに大きく後方へ延ばした、嘴(くちばし)状の整流部材14と、この整流部材14の後端から延ばしたゴム紐15と、このゴム紐15の先に設けたフック16とからなる。
【0014】
ヘルメット本体11の後部17は球面体とし、整流部材14の前部を同じ曲率の球面体とする。そうすれば、実線から想像線の位置まで整流部材14がピン13を中心に回転しても、ヘルメット本体11と整流部材14との間に大きな隙間が開くことはない。
【0015】
乗員Mがヘルメット本体11を頭に被せ、ゴム紐15の先のフック16を、ベルト18に掛ければ、ゴム紐15に引き作用により、整流部材14は想像線の位置まで回転し、乗員Mの背中に当たって止まる。
【0016】
以上の構成からなるヘルメット10の作用を次に説明する。
図2は通常走行時の作用図であり、競技用車椅子20は、車体フレーム21の前部のヘッドパイプ22に前輪23を操舵可能に取付け、ハンドル24で操舵できるようにし、車体フレーム21の後部にシート25及び後輪26、26(奥の後輪26は見えない。)を備える。乗員Mはシート25に正座するとともに、前方路面を見ながら通常の走行を行う。この通常走行において、ゴム紐15の引き作用により、整流部材14の後端は乗員Mの背中に載り、ヘルメット本体11と整流部材14と背中とで、好ましい流線形状を創り出すことができる。
【0017】
図3は特殊走行時の作用図であり、加速や追い込みを目的として乗員Mは頭を下げ、走行抵抗を更に減少させようときの図であり、この特殊走行においてもゴム紐15の引き作用により、整流部材14の後端は乗員Mの背中に載り、ヘルメット本体11と整流部材14と背中とで、好ましい流線形状を創り出すことができる。
【0018】
なお、ゴム紐15は、細いスプリングワイヤであったもよく、いわゆる弾性線部材であれば種類は問わない。また、フック16はベルト18の他、衣服に掛けることもできる。
【0019】
次に本発明の別実施例を説明する。
図4は別実施例に係るヘルメットの構成図であり、ヘルメット10は、乗員の頭に被せる、ほぼ半球状のヘルメット本体11と、このヘルメット本体11に付属した顎紐12と、ヘルメット本体11に立てたピン13、13(奥のピン13は見えず。)と、これらのピン13、13を介して上下スイング可能に係止するとともに大きく後方へ延ばした、嘴(くちばし)状の整流部材14と、この整流部材14を下方へ付勢するために前記ピン13に絡めたトーションばね28とからなる。
【0020】
トーションばね28の弾性作用により、整流部材14を常に乗員の背中に押圧させることができ、図2及び図3を実現することができる。
トーションばね28はゴム紐15に比較して邪魔にならず、外観性を高めることができる。
【0021】
次に本発明の更なる別実施例を説明する。
図5は更なる別実施例に係るヘルメットの構成図であり、ヘルメット10は、乗員の頭に被せる、ほぼ半球状のヘルメット本体11と、このヘルメット本体11に付属した顎紐12と、ヘルメット本体11に立てたピン13、13(奥のピン13は見えず。)と、これらのピン13、13を介して上下スイング可能に係止するとともに大きく後方へ延ばした、嘴(くちばし)状の整流部材14と、この整流部材14の裏面(下面)とヘルメット本体11の後端とを連結するばね部材31とからなる。
【0022】
図6は図5の作用図である。
(a)において、ばね部材31を詳しく説明する。ばね部材31は、ばね鋼線を密に巻いた引張ばねが好適である。そして、ヘルメット本体11の後端に、アイプレート(孔明き板)状のばね止め片32を設け、整流部材14の裏面にもアイプレート(孔明き板)状のばね止め片33を設け、これらのばね止め片32、33にばね部材31を掛け渡す。
【0023】
アイプレート(孔明き板)状のばね止め片32は、ヘルメット本体11に、成形時に一体形成すること、別ピースを接着剤や融着法で接合することの何れでも良い。ばね止め片33も同様である。
【0024】
アイプレート(孔明き板)状のばね止め片32、33を採用したので、ばね部材31は随時交換できる。ばね部材31は、疲労や塑性変形により、ばね力が低下する虞があり、その場合には新品と交換することで対応できる。
【0025】
新品との交換を考えなければ、ばね止め片32、33を廃止し、接着剤でばね部材31を直接的にヘルメット本体11及び整流部材14に接合してもよい。
【0026】
(a)は図3の形態に対応し、(b)は図2の形態に対応する。従って、頭を上下させても、整流部材14を常に好ましい姿勢に保持することができ、好適な整流効果を発揮させることができる。
【0027】
なお、ばね部材31は、金属スプリングの他、ゴム紐であってもよい。
【0028】
尚、本発明のヘルメットは、競技用車椅子及び競技用自転車の乗員に好適であるが、普通の自転車や車椅子の乗員が着用することは差し支えない。
すなわち、競技に出場するレーサー、通常の自転車や車椅子の運転者、同乗可能な自転車における同乗者、オープンカー形乗用車の運転者及び同乗者の全てを「乗員」と呼ぶときに、本発明のヘルメットは乗員に広く着用させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、自転車レース又は車椅子レース用ヘルメットに好適である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係るヘルメットの構成図である。
【図2】通常走行時の作用図である。
【図3】特殊走行時の作用図である。
【図4】別実施例に係るヘルメットの構成図である。
【図5】更なる別実施例に係るヘルメットの構成図である。
【図6】図5の作用図−である。
【図7】従来の技術の基本原理を説明する図である。
【符号の説明】
【0031】
10…ヘルメット、11…ヘルメット本体、12…顎紐、13…ピン、14…整流部材、15…ゴム紐、16…フック、18…ベルト、20…競技用車椅子、28…トーションばね、31…ばね部材、M…乗員。
【出願人】 【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
【住所又は居所】東京都港区南青山二丁目1番1号
【出願日】 平成15年11月26日(2003.11.26)
【代理人】 【識別番号】100067356
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 容一郎

【識別番号】100094020
【弁理士】
【氏名又は名称】田宮 寛祉

【公開番号】 特開2005−163190(P2005−163190A)
【公開日】 平成17年6月23日(2005.6.23)
【出願番号】 特願2003−396277(P2003−396277)