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【発明の名称】 音響システム保持ヘルメット
【発明者】 【氏名】加藤 宏明
【住所又は居所】東京都千代田区九段北一丁目13番5号 三菱電機エンジニアリング株式会社内

【要約】 【課題】作業員間の声による意思伝達を向上させる音響システム保持ヘルメットを提供する。

【解決手段】アームにより位置調節自在にヘルメットに取り付けられ、可聴音をオーディオ信号に変換する音声取得部1と、音声取得部1が生成したオーディオ信号によって超音波帯域に属する搬送波を変調する変調器2と、変調器2から出力される信号を増幅する増幅器3と、ヘルメットの前部に取り付けられ、増幅器3から出力される信号に応答して空気中に音波を放射する放射器4とを有する音響システムを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アームにより位置調節自在にヘルメットに取り付けられ、可聴音をオーディオ信号に変換する音声取得部と、前記音声取得部が生成したオーディオ信号によって超音波帯域に属する搬送波を変調する変調器と、前記変調器から出力される信号を増幅する増幅器と、前記ヘルメットの前部に取り付けられ、前記増幅器から出力される信号に応答して空気中に音波を放射する放射器とを有する音響システムを備えた音響システム保持ヘルメット。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、工事現場等にて使用されるヘルメットに音響システムを保持させた音響システム保持ヘルメットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
工事現場等で作業を行う際には、作業員同士の会話や現場の監督官からの指示等、言葉による意思確認が作業効率および作業の安全向上のために欠かせない。しかし、工事現場等では雑音が大きいため、大きな声を出すかハンドタイプの拡声器を使用するのが一般的である。また、作業の効率上ハンドフリーが好ましいため、作業員が装着するヘルメットにスピーカを取り付けることもある。当分野の従来技術として、例えば特許文献1が挙げられる。
【0003】
【特許文献1】特開2002−4128号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の工事現場での意思確認は上記のように行われていたため、作業員が大きな声を出す、またはハンドタイプの拡声器を用いた場合は、声が現場全体に広がり多くの作業員に聞こえるため、注意喚起の効果を得られにくいという課題があった。また、工事現場が屋外であるときは音が拡散してしまうため、一定の距離離れた人に対する音声の拡声は望めないという課題があった。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためのもので、指向性の強い可聴域の音波を発生する音響システムを作業員が装着するヘルメットに固定することにより、作業員間の声による意思伝達を向上させる音響システム保持ヘルメットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る音響システム保持ヘルメットは、アームにより位置調節自在にヘルメットに取り付けられ、可聴音をオーディオ信号に変換する音声取得部と、音声取得部が生成したオーディオ信号によって超音波帯域に属する搬送波を変調する変調器と、変調器から出力される信号を増幅する増幅器と、ヘルメットの前部に取り付けられ、増幅器から出力される信号に応答して空気中に音波を放射する放射器とを有する音響システムを備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、従来は工事現場等では作業員の声が現場全体に広がり注意喚起の効果を得られにくかったが、指向性の強い音響システムを用いるによって作業員が話したい人に向かって適切に音声を伝達できる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る音響システムのブロック図である。図に示すように、この音響システムは、音声取得部1、変調器2、増幅器3、放射器4を備える。音声取得部1は例えばマイクであり、人が発する音声を取得してオーディオ信号に変換する。変調器2は音声取得部1から出力されるオーディオ信号によって超音波帯域に属する搬送波を変調する。増幅器3は変調器2から出力される変調信号を増幅する。放射器4は増幅器3から出力される信号に応答して空気中に音波を放射する。この音響システムは、可聴音を直進性の高い超音波(非可聴音)に変換し、狙った方向に放射するパラメトリックスピーカの原理を応用している。
【0009】
ここで、パラメトリックスピーカの基本的な原理について説明する。
パラメトリックスピーカは、強力な超音波が空気を伝搬する過程で発生するひずみ成分を使用することによって、可聴帯域の音を得る原理を採用している。図2はパラメトリックスピーカの原理について説明する図である。図2では、二つの周波数成分f,f、およびそれらの差成分f−f、和成分f+fを示す。パラメトリックスピーカは二つの周波数成分f,fとその差成分f−fの関係を利用するものであり、その際、二つの周波数成分f,fは人間には聞こえない超音波帯域とし、差成分f−fはオーディオ帯域に存在するようにすることにより可聴音が得られる。超音波の相互作用は、強力な超音波が伝搬過程で歪んでいくという空気の非線形性を利用している。
【0010】
変調器2は、上述したオーディオ信号に対応する二つの超音波成分を作る機能を有する。すなわち、変調器2はキャリア信号成分と側波帯を有する信号を生成する。このキャリア信号成分と側波帯とが二つの周波数成分を構成する。変調方式は、例えば振幅変調方式を用いる。
【0011】
図3はこの実施の形態1による音響システムの使用例を示す図である。この音響システムを例えば工事現場の作業員に装着させる。図に示すように、マイク1(音声取得部)をヘルメット5の下方にアームにより位置調節自在に取り付け、放射器4をヘルメット5の前部に取り付ける。変調器2と増幅器3は作業員のベルト6に取り付けるようにする。変調器2及び増幅器3は内部をデジタル化等した小型のものが望ましい。
【0012】
マイク1は作業員の話す声を集め、ベルト6に取り付けられた変調器2に供給する。変調器2は取得した音声信号によって超音波のキャリア信号を変調し、増幅器3に供給する。増幅器3は取得した信号を増幅してヘルメット5に装着される放射器4に供給する。放射器4は取得した信号を空気中に放出する。放射器4から放射される変調信号は、空気の非線形パラメトリック現象により自己復調されて可聴音となる。したがって、作業員はこのヘルメット5を装着して話したい人の方向を向いて声を発することにより、その人に的確に声を伝えることができる。
【0013】
以上のように、この実施の形態1によれば、作業員のヘルメットに放射器4を取り付け、マイク1が取得した音声信号によって変調器2が超音波のキャリア信号を変調し、その変調信号を放射器4が放出するようにしたので、空気中に放出される音声信号に強い指向性を持たせることができ、作業員が話したい人だけに音声が伝わるような音場を形成することができる。また、放射器4を作業員のヘルメットに装着したので、作業員は話したい人の方向を向いて話しをすればよく、手を使わずに話ができるため、作業の安全性および効率性を向上させることができる効果が得られる。さらに、この音響システムは空気の非線形パラメトリック現象を利用して音声を伝えるものであるため、遠くまで音声を伝えることができ、作業場所が広い場合でも音声の伝達が可能となる効果が得られる。
【0014】
なお、作業員はこの実施の形態1のような超指向性を持つ音響システムと通常のスピーカーとを併用して、特定の人に話をするときと大勢の人に話をするときとで、スピーカを使い分けるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明の実施の形態1による音響システムのブロック図である。
【図2】パラメトリックスピーカの原理について説明する図である。
【図3】この発明の実施の形態1による音響システムの使用例を示す図である。
【符号の説明】
【0016】
1 マイク(音声取得部)、2 変調器、3 増幅器、4 放射器、5 ヘルメット、6 ベルト。
【出願人】 【識別番号】591036457
【氏名又は名称】三菱電機エンジニアリング株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区九段北一丁目13番5号
【出願日】 平成15年11月18日(2003.11.18)
【代理人】 【識別番号】100066474
【弁理士】
【氏名又は名称】田澤 博昭

【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延

【識別番号】100123434
【弁理士】
【氏名又は名称】田澤 英昭

【識別番号】100101133
【弁理士】
【氏名又は名称】濱田 初音

【公開番号】 特開2005−146479(P2005−146479A)
【公開日】 平成17年6月9日(2005.6.9)
【出願番号】 特願2003−388322(P2003−388322)