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【発明の名称】 装飾ヘルメット、及びその製造方法
【発明者】 【氏名】牧野 幸彦
【住所又は居所】京都府綾部市青野町六反目8−1 グンゼ株式会社機械事業部内

【要約】 【課題】意匠性に優れ需要者の多様な嗜好に対応できるヘルメットを低コストに提供する。

【解決手段】装飾ヘルメット1は、透明の合成樹脂から成る素地2を有するヘルメットの原型3に、プリントパターン4を転写して、素地2をプリントパターン4により部分的に被覆したものである。原型3は、製造コストが極めて安価で量産に適した合成樹脂の射出成形品である。キャップ部5にプリントパターン4を転写する一方で、庇部6を透明のまま残しておけば、庇部6によって視野が狭められることを防止し、キャップ部5が直射日光を遮ることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明な合成樹脂を射出成形したヘルメットの原型に、素地を部分的に被覆するようプリントパターンを転写したことを特徴とする装飾ヘルメット。
【請求項2】
透明な合成樹脂を射出成形したヘルメットの原型に、着帽されるキャップ部にプリントパターンを転写し、庇部が透明であることを特徴とする請求項1に記載の装飾ヘルメット。
【請求項3】
透明な合成樹脂を射出成形したヘルメットの原型に、プリントパターンを転写する装飾ヘルメットの製造方法であって、
前記原型の素地を部分的にマスキング材により被覆する工程と、前記マスキング材と共に前記ヘルメットの素地に前記プリントパターンを転写する工程と、前記マスキング材を前記ヘルメットの素地から剥離する工程とを含むことを特徴とする装飾ヘルメットの製造方法。
【請求項4】
前記プリントパターンを水圧転写印刷により前記ヘルメットの原型の素地に転写することを特徴とする請求項3に記載の装飾ヘルメットの製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、頭部を落下物や衝撃から防護するために着帽するヘルメット、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建築現場等で作業者の頭部を防護するために着帽されるヘルメットは、安全性の観点から、その強度及び構造が所定の基準を満たすよう定められている。このため、ヘルメットの形状をデザイナー等が自由に創作したり、或いはヘルメットに斬新な意匠を施すには多くの制約がある。ヘルメットに係る技術は下記の特許文献に開示されている。
【0003】
また、周知の水圧転写印刷は概ね次の手順で行われる。即ち、水槽に貯めた静水の水面に、絵柄等のプリントパターンを表現した水溶性のフィルムを浮かべ、同フィルムがそのプリントパターンを保ちつつ流動できる程度まで軟化したところで、このフィルムに、水面の上方から何らかの製品の原型(印刷対象物)を降下させる。更に、この原型を水面よりも深く沈めると、原型に浮力として作用する静水の圧力が、軟化したフィルムを製品の表面全体に均一に押し付ける。この圧力によってフィルムのプリントパターンが原型の表面に定着する。水圧転写印刷の利点は、平面上に描いたプリントパターンを自由曲面へ綺麗に転写できること加え、低コストにて実施できることである。
【特許文献1】特開平8−13230号
【特許文献2】実開平6−12435号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記ヘルメットの個人需要が増加傾向にある昨今の市場動向に鑑みれば、安全性は十分に確保しつつも、意匠性に優れ購買を喚起するようなヘルメットが望まれる。このようなヘルメットが市場での競争力を得るには、意匠性に優れていながらも製造コストを極力低減しなければならない。そこで、無地のヘルメット(印刷対象物)に安価な水圧転写印刷を適用することが試みられている。しかしながら、合成樹脂を主体とするヘルメットは専ら射出成形によって製造されるので、この形状を大きく変更するとなれば、成形金型の造り替えを避けられない。また、ヘルメットに印刷されるプリントパターンは上記のフィルムに固有のものであり、その種類には限りがある。このため、需要者の多様な嗜好に対応できるような多品種/少量生産を実現する一方で、ヘルメットの製造コストを低減するという2つの技術的要請を両立することは、極めて困難である。
【0005】
本発明の目的は、意匠性に優れ需要者の多様な嗜好に対応できるヘルメットを低コストで提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る装飾ヘルメットは、透明な合成樹脂を射出成形したヘルメットの原型に、素地を部分的に被覆するようプリントパターンを転写したことを特徴とする。
【0007】
更に、本発明に係る装飾ヘルメットは、透明な合成樹脂を射出成形したヘルメットの原型に、着帽されるキャップ部にプリントパターンを転写し、庇部が透明であることを特徴とする請求項1に記載の装飾ヘルメット。
【0008】
また、本発明は、透明な合成樹脂を射出成形したヘルメットの原型に、プリントパターンを転写する装飾ヘルメットの製造方法に係るものであって、前記原型の素地を部分的にマスキング材により被覆する工程と、前記マスキング材と共に前記ヘルメットの素地に前記プリントパターンを転写する工程と、前記マスキング材を前記ヘルメットの素地から剥離する工程とを含むことを特徴とする。
【0009】
更に、本発明に係る装飾ヘルメットの製造方法は、前記プリントパターンを水圧転写印刷により前記ヘルメットの原型の素地に転写することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る装飾ヘルメットは、透明な合成樹脂を射出成形したヘルメットの原型に、この素地を部分的に被覆するようプリントパターンを転写したものであるので、プリントパターンの種類が少なくても、このプリントパターンを原型に転写する位置を自在に変更できるため、製品として得られる意匠の種類は飛躍的に増大する。従って、多くの種類のプリントパターンを必ずしも準備しなくても、需要者の多様な嗜好に対応できるような多種の製品開発を実現することができる。しかも、プリントパターンの原型への転写は周知の印刷方法で簡単に行えるので、その生産数に関わらず製造コストが増大することがないので、当該装飾ヘルメットは安価に生産することができる。
【0011】
更に、当該装飾ヘルメットの原型が透明であるため、上記の通り多彩な意匠を奏することができるという利点に加え、ヘルメットが透けて見える所謂シースルー効果を奏し、当該装飾ヘルメットの商品価値を一層向上することができる。また、当該装飾ヘルメットの原型が、着帽されるキャップ部と、このようなキャップ部の周縁から突出した庇部とから成る形態である場合、キャップ部にプリントパターンを転写する一方で庇部を透明のまま残すことにより、庇部によって視野が狭められることを防止し、キャップ部が直射日光を遮ることができるので、当該装飾ヘルメットの実用性が更に向上することになる。
【0012】
また、本発明に係る装飾へルメットの製造方法は、透明な合成樹脂を射出成形した原型の素地に、プリントパターンを転写するので、上記のヘルメットを低コストで製造することができる。しかも、当該方法によれば、プリントパターンの選択によって容易且つ多様に意匠を変更できるので、装飾へルメットの少量生産に適している。特に、水圧転写印刷によってプリントパターンを装飾へルメットの原型の素地に転写する場合には、原型(印刷対象物)の表面が自由曲面のような三次元的に起伏した形状であっても、このような原型にプリントパターンを綺麗に転写できることに加え、装飾ヘルメットの製造コストを一層低減することができる。
【0013】
更に、装飾ヘルメットの製造方法によれば、ヘルメットの素地を部分的にマスキング材により被覆する工程と、マスキング材と共にヘルメットの素地にプリントパターンを転写する工程と、マスキング材をヘルメットの素地から剥離する工程とを含むので、マスキング材で素地を覆う位置、又はマスキング材の大きさ等を変更するだけで、プリントパターンを転写する領域及びその形状を自在に且つ多様に変更できるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1(a),(b)に各々例示したように、本発明の実施の形態に係る装飾ヘルメット1は、透明な素地2を有するヘルメットの原型3に、プリントパターン4を転写することにより、素地2をプリントパターン4にて部分的に被覆したものである。ここで、透明とは、その透過率に関わらず可視光線を透過可能であることを意味し、半透明、ハーフミラー等と称するものを広く含む。或いは、可視光線を遮る材料であっても、例えば特定の波長の赤外線のみを選択的に透過させるよな材質も透明の範疇に含めるものとする。
【0015】
原型3は、安全帽としての機能を果たす主体であり、製造コストが極めて安価で量産に適した合成樹脂の射出成形品である。原型3の形状、寸法、規格、又は材質等は、特に限定されるものではない。図示の原型3は、成人の頭部に着帽されるキャップ部5と、キャップ部5の周縁から前方へ突出した庇部6とを有する形態である。プリントパターン4は、後述の被覆層を実体とし、周知の水圧転写印刷又は写真印刷によって印刷対象物となる原型3に転写可能な絵、図、柄、写真、又は模様として視覚的に認識されるものである。
【0016】
装飾ヘルメット1によれば、プリントパターン4の種類が例え少ない場合であっても、プリントパターン4を原型3の適所に転写することができ、また転写する箇所を自在に変更することも容易にできるので、デザイナー等が意図する通りに多様な意匠を奏することができる。例えば、キャップ部5にプリントパターン4を転写する一方で、庇部6を透明のまま残しても良い。この場合、庇部6によって視野が狭められることを防止し、キャップ部5が直射日光を遮ることができる。反対に、キャップ部5に透明な部分を残す一方で、陽光を遮る役割を果たすプリントパターン4を庇部6にのみ転写しても良い。
【0017】
以上に述べたように、プリントパターン4の種類を必ずしも数多く準備しなくても、需要者の多様な嗜好に対応できるような多種の製品開発を実現することができる。しかも、プリントパターン4の原型3への転写は周知の印刷方法で簡単に行えるので、その生産数に関わらず製造コストが増大することがなく、装飾ヘルメット1を安価に生産することができる。しかも、装飾ヘルメット1によれば、原型3に透明の材質を適用することにより、以上に述べた顕著な効果に加え、装飾ヘルメット1が透けて見える所謂シースルー効果を奏し、装飾ヘルメット1の商品価値が一層向上することになる。
【0018】
尚、射出成形を安価に実施するには原型3の全体を1種の透明な合成樹脂で構成することが望ましいが、2色成形が可能であれば、キャップ部5又は庇部6の少なくとも一方を透明とし、他方を不透明、半透明、又は反射率の高い材料から構成しても良い。
【実施例1】
【0019】
図2(a)に示すように、実施例1に係る装飾ヘルメット11は、キャップ部5及び庇部6を含めた原型3の素地2の全域に、プリントパターン4を周知の印刷方法により転写したものである。図2(a),(b)は、原型3のキャップ部5と庇部6との区別を際立たせるため庇部6にドットを施している。
【0020】
このような装飾ヘルメット11は以下の手順で製造される。即ち、原型3の全体を透明の合成樹脂で先ず射出成形する。次いで、同図(c)に示すような淡色地に点を疎らに付した水玉模様のプリントパターン4を準備し、同プリントパターン4を原型3のキャップ部5に水圧転写印刷によって転写する。プリントパターン4は迷彩柄でも良い。これにより、キャップ部5の素地2に転写されたプリントパターン4は、極薄の被覆層となって素地2に定着する。水圧転写印刷によって得られる被覆層は速乾性であるため、原型3を水中から取り出すと直ちに硬化する。
【0021】
尚、本実施例では、被覆層によってキャップ部5の全域を隠蔽する例を述べたが、被覆層をキャップ部5に転写する領域をキャップ部5の全域の半分に相当する面積に止め、キャップ部5の素地2の一部が露出するようにしても良い。
【実施例2】
【0022】
図3(a),(b)は、実施例2に係る装飾ヘルメット13の製造工程を順に表している。即ち、第1の工程として、原型3を透明の合成樹脂で射出成形する。第2の工程として、素地2を部分的にマスキング材8により被覆する。例えば、キャップ部5をその周方向に等ピッチの間隔で交互に略三角形のマスキング材8で被覆し、庇部6の上面を、この輪郭を象ったマスキング材8で被覆しても良い。
【0023】
第3の工程として、前工程で被覆した原型3に周知の水圧転写印刷を施すことにより、マスキング材8及びマスキング材8の間から露出した原型3の素地2に、水玉模様のプリントパターン4を転写する。第4の工程として、原型3を水中から取り出し、総てのマスキング材8を原型3の素地2から剥離する。これにより、マスキング材8に被覆されていた部分の素地2が露出し、図示のような極めて斬新な外観を奏することになる。
【0024】
尚、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づいて種々なる改良、修正、変形を加えた態様で実施できる。
【0025】
例えば、図1に表したヘルメットの原型3においてドットを施した領域とそれ以外の領域とを色分けし、この色分けしたヘルメットの原型3の全体又は一部をプリントパターン4により被覆するようにしても良い。ここで、素地2の色分けとは、インサート成形又は2色成形によって原型3を2種類以上の合成樹脂を組み合わせた形態にすること、或いは、1種類の合成樹脂からなる原型3を部分的に着色することである。
【0026】
或いは、図4に示すように、装飾ヘルメット13の原型3の素地2を、キャップ部5が横縞となるよう2色に塗り分けた後、このキャップ部5に上記第2〜4の工程を実施すれば、極めて斬新な装飾ヘルメット14を製造することができる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、ヘルメットの本来の防護機能と豊かな装飾美とを併せ持つ製品開発を実現するものである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】(a)は本発明に係る装飾ヘルメットの一の実施形態を表す斜視図、(b)は他の実施形態を表す側面図。
【図2】(a)は本発明に係る実施例1の装飾ヘルメットの斜視図、(b)はヘルメットの原型の斜視図、(c)はプリントパターンの展開図。
【図3】(a)は本発明に係る実施例2の装飾ヘルメットの原型にマスキングを施する工程を示す斜視図、(b)はその終工程を示す斜視図。
【図4】本発明に係る装飾ヘルメットの他の実施形態を表す斜視図。
【符号の説明】
【0029】
1:装飾ヘルメット
2:素地
3:原型
4:プリントパターン
5:キャップ部
6:庇部
7:側面部
8:マスキング材
11,13,14:装飾ヘルメット
【出願人】 【識別番号】000001339
【氏名又は名称】グンゼ株式会社
【住所又は居所】京都府綾部市青野町膳所1番地
【出願日】 平成15年10月27日(2003.10.27)
【代理人】 【識別番号】100094248
【弁理士】
【氏名又は名称】楠本 高義

【識別番号】100124718
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 建

【公開番号】 特開2005−126866(P2005−126866A)
【公開日】 平成17年5月19日(2005.5.19)
【出願番号】 特願2003−365510(P2003−365510)