| 【発明の名称】 |
硬化領域を備えた繊維製装着具 |
| 【発明者】 |
【氏名】竹中 愼一
【氏名】坂本 外喜男
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| 【要約】 |
【課題】装着部の補助、整体ないし整形機能を備えた繊維製装着具に関し、硬質部材と柔軟な基材との間の不連続性ないし非一体性に起因する硬質部材の基材からの突出や剥離等の問題を根本的に解決する技術手段を得る。
【解決手段】硬質領域に要求される強度や弾性を後で付与することができる柔軟な糸条と、柔軟領域に要求される柔軟性ないし肌触りを備えた非硬化性の糸条とをそれぞれの領域に用いて一体の織組織、編組織ないし組組織を形成した後、加熱処理により硬質領域の糸条の繊維を硬化させることにより、所望の硬化領域に所望の強度ないし弾性を備えた支持ないし整形のための形状を付与する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 熱溶融性樹脂繊維を含む糸条で組織された硬化領域と、当該熱溶融性樹脂の融点においても安定な非硬化繊維の糸条で組織された非硬化領域とを備えた織り、編み又は組み組織体を前記熱溶融性樹脂の軟化点ないし溶融点以上に加熱して前記硬化領域に所望形状を付与してなる、繊維製装着具。 【請求項2】 前記熱溶融性樹脂繊維がポリエステル繊維である、請求項1記載の繊維製装着具。 【請求項3】 前記熱溶融性樹脂繊維を含む糸条が融点の異なる複数種のポリエステル繊維を含む糸条である、請求項2記載の繊維製装着具。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 この発明は、装着部の補助、整体ないし整形機能を備えた繊維製装着具、例えば膝や足首のサポーター、胸部や腰部のコルセット、女性下着のブラジャーなどの装着具に関するものである。 【背景技術】 【0002】 装着部の補助、整体ないし整形のために用いるサポータやコルセットなどの装着具は、関節の支持力の補助、体型ないし姿勢の保持と可動範囲の制限などの機能を発揮するのに必要な強度ないし弾力と、人体の動きに順応しかつ快適な装着感を得るのに必要な柔軟性ないし可撓性とが要求される。一般的にこの種装着具によって支持されたり姿勢を整えられたりするのは、体の一部の部位であるため、これらの装着具はその一部に強度ないし弾力を備えた領域をもっていれば足り、その他の領域は体に適合する柔軟性を備えていることが望ましい。 【0003】 例えば支持力を補助するための膝のサポータであれば、強度と弾性復元力の大きな支持部材を膝の側方に位置する部分に配置しており、腰に装着するコルセットは、胴回りの必要箇所に配置されるシェルを柔軟な布地で連結した構造となっており、また女性の胸部の形を整える下着は、乳房を支持するカップの下方部分に弾性のある帯状のシートやワイヤを取り付けた構造となっている。 【0004】 従来、この種の装着具においては、支持力や弾性復元力を必要とするシェル状、帯板状あるいはワイヤ状の硬質部材を金属やプラスチック成形品で製作し、当該硬質部材を編織物からなる柔軟な基材に縫着、接着、挿入などして必要箇所に所望の強度ないし弾力を付与していた。 【0005】 しかし、上記のような従来構造の装着具は、硬質部材と柔軟な基材との接合部で強度や柔軟性などの力学的性質が大幅にかつ不連続に変化するため、例えば、ワイヤ状の硬質部材が柔軟な基材を突き破って突出して人体に損傷を与えたり、外力を受けたときに硬質部材と基材との縫着部分や接着部分に大きな集中応力が生じて剥離しやすくなるという問題があった。 【特許文献1】特開平11‐140709号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 この発明は、上述した従来技術の問題点、即ち支持力の補助や整体ないし整形機能を備えた各種装着具において、硬質部材と柔軟な基材との間の不連続性ないし非一体性に起因する硬質部材の基材からの突出や剥離等の問題を根本的に解決する技術手段を得ることを課題としている。 【課題を解決するための手段】 【0007】 この発明は、支持力の補助や整体ないし整形に必要な硬質領域と、可撓性及び快適な装着感を付与するための柔軟領域との一体化ないし連続化を図ることにより、上記課題を解決している。即ち、この発明の装着具は、硬質領域に要求される強度や弾性を後で付与することができる柔軟な糸条と、柔軟領域に要求される柔軟性ないし肌触りを備えた非硬化性の糸条とをそれぞれの領域に用いて一体の織組織、編組織ないし組組織を形成した後、加熱処理により硬質領域の糸条の繊維を硬化させることにより、所望の硬化領域に所望の強度ないし弾性を備えた支持ないし整形のための形状を付与したものである。 【0008】 すなわち、上記課題を解決した本館請求項1の発明に係る繊維製装着具は、熱溶融性樹脂繊維を含む糸条で組織された硬化領域と、当該熱溶融性樹脂の融点においても安定な非硬化繊維の糸条で組織された非硬化領域とを備えた織り、編み又は組み組織体を前記熱溶融性樹脂の軟化点ないし溶融点以上に加熱して前記硬化領域に所望形状を付与してなるものである。 【0009】 上記発明における好ましい熱溶融性樹脂繊維は、請求項2に記載のように、ポリエステル繊維である。熱処理によって硬化領域に付与される物性は、熱溶融性樹脂繊維の種類や熱処理温度により調整できるが、更に請求項3に記載のように、熱溶融性樹脂繊維を含む糸条として、融点の異なる複数種のポリエステル繊維を含む糸条を用いることにより、装着具の種類に応じてより容易にかつ広範囲に調整することが可能になる。 【発明の効果】 【0010】 この発明の装着具は、その硬質領域と柔軟領域がそれぞれの領域を形成するのに適した糸条で互いに相互に織り込まれ、編み込まれ、あるいは組み込まれた状態で一体に組織された後、加熱処理によりその硬質領域のみを所望形状に硬化させることによって得られているため、硬質領域と柔軟領域との完全な一体性が得られる。また、両領域を組織する糸条の境界部分における織り込み、編み込み、あるいは組み込みの程度によって硬度、弾性、可撓性などの物性を連続的に変化させることができ、更に硬質領域と柔軟領域の境界部分に両者の中間の性質を備えた糸条を配置することも可能である。従って、使用する繊維の熱変性の相違及び熱処理の方法や程度を適宜選択することにより、強度、弾性、柔軟性、クッション性などの力学的性質を調整でき、かつ、肌触りの異なる領域を一体的かつ連続的に形成することができ、硬質部分が柔軟部分から離脱するという問題を完全に解決できる。更に、領域境界部分における物性を連続的に変化させることにより、より機能的で装着感に優れた補助、整体ないし整形機能を備えた装着具を得ることができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0011】 以下、図面を参照して、この発明の実施形態について説明する。 図1は、女性用下着に縫着して使用するリボン状の縫代の付いた整形ワイヤを示したもので、Aがワイヤ状ないしパイプ状の硬化領域、Bが柔軟な非硬化領域で、組織は共に糸条の織り、編みないし組み組織である。組織を形成する糸条としては、硬化領域Aの部分に高粘度ポリエステル樹脂繊維(融点250℃)の糸条の外周に低融点ポリエステル樹脂繊維(融点100〜150℃)を巻回した糸条を用い、非硬化領域Bに非溶融性の綿、レーヨン、ナイロンなどの天然繊維、合成繊維ないし化学繊維からなる糸条を用いている。好ましい組織の一例を示すと、硬化領域Aをダブルラッセルパイピング、非硬化領域Bを平編として、その境界部分で両領域の糸条相互を互いに相手側に編み込んで一体の編物とする。そして得られたリボン状の編物を、所望形状に屈曲した状態で全体を加熱することにより、硬化領域の糸条の低融点ポリエステル樹脂繊維を溶融して冷却硬化させ、所望形状に湾曲したパイプ状断面の硬化領域Aを備えた装着具としたものである。 【0012】 硬化領域Aを形成する糸条として、前述の高粘度ポリエステル樹脂繊維と低融点ポリエステル樹脂繊維とを含む糸条を用いて、後者の溶融点以上でかつ前者の溶融点以下の温度に加熱して硬化領域Aを硬化させた場合、低融点ポリエステル樹脂繊維が完全に溶融して硬化し、高粘度ポリエステル樹脂繊維は半硬化状態となって、硬化領域Aに女性用下着の整形具として好適な弾力性と可撓性とを付与することができる。 【0013】 上記図1の整形具の硬化領域Aを例えばブラジャーのカップの下縁に沿う形状に湾曲させて硬化させ、非硬化領域B部分でカップ本体に縫着してやれば、硬化領域Aによってブラジャーのカップの形が整えられ、かつカップ本体に縫着された非硬化領域Bが柔軟で、かつ硬化領域Aと一体であるため、カップ本体への縫着が容易確実で、かつ柔軟な編織物相互の縫着であるため、縫糸に大きな力が作用することがなく、硬化領域Aと非硬化領域Bとが離脱したり剥離するおそれがない。 【0014】 なお、上記では編組織の例を示したが、同様な糸使いで硬化領域Aをニードル織機パイピング組織とし、非硬化領域Bを平織とする組織、あるいは硬化領域Aを組紐によるパイピング組織、非硬化領域Bを平編とする組織などの織組織や組組織を他の好ましい組織として例示することができる。図1の装着具の組織として上記のような組織を用いた場合の整形ワイヤの特性として、組紐によるパイピングを用いたものが硬化領域の曲率の大きなものに適し、ニードル織機パイピングを用いたものが中程度の曲率に、またダブルラッセルパイピングを用いたものが、比較的曲率の小さなものに適している。 【0015】 編、織、あるいは組組織としては、多種の組織が公知であり、隣接する部分に用途に応じた異なる組織を用いて一体の編織物を形成することも従来から適宜行われているので、個々の装着具に要求される特性に適した組織を適宜選択して用いればよい。 【0016】 図2は、硬化領域Aと非硬化領域Bとを2層にして一体化した装着具の例を示したもので、例えばサッカーやフットボール選手が脛当てとして用いる装着具の例である。硬化領域Aは、低融点ポリエステル樹脂繊維の糸条で、太い糸条を用いた目の粗い編又は織組織とし、非硬化領域Bは、肌触りがよくかつ柔軟なクッション性を備えた、通気性及び吸湿性のある細い糸条の編又は織組織としている。この種の装着具では、硬化領域A及び非硬化領域Bにある程度の層厚さが必要であり、好ましい組織としては、例えばダブルラッセルの多層編組織を例示することができる。硬化領域の糸条と非硬化領域Bの糸条とは、層の接合部となる部分で互いに相手側の組織に編み込まれて一体化され、編み上がったものを所望形状の成型型に添設して低融点ポリエステル樹脂繊維の融点以上に加熱して冷却硬化させることにより、硬化領域Aを硬化させる。硬化領域Aの糸条は、粗い目で編まれているため、硬化した後においても空気を通過させる糸目が残り、硬化領域Aの通気性が確保されている。 【0017】 図3及び図4は、胴部に装着する腰痛ベルトや整体ベルトに縫着して使用する装着具を示したもので、帯板状の硬化領域Aの両側に縫い代となる非硬化領域Bが形成されているものである。図3に示すものは、硬化領域Aが幅広短冊状の非硬化領域Bの中央部に積層された状態で一体化されており、また、図4のものは、硬化領域Aが表裏2層の非硬化領域Bの中央部に挟まれた状態で一体化されている。硬化領域Aは、ポリエステル樹脂繊維の糸条による編ないし織組織であり、非硬化領域Bは、その他の非溶融性ないし非硬化性繊維の糸条による編ないし織組織である。好ましい組織の一例として、ダブルラッセルの多層編やニードル織機による2段織を挙げることができる。 【0018】 これらの装身具1は、胴部に巻装される基布に硬化領域Aの長手方向を基布の幅方向にして、硬化領域Aの両側の非硬化領域Bを縫着して用いられる。硬化領域Aの硬度、弾性、靭性などは、溶融温度の違うポリエステル樹脂繊維の組合せや加熱温度によって調整することができる。 【0019】 図5及び6は、肘や膝に装着するサポータの例を示したもので、Aが紐状に形成された硬化領域、Bが肘や膝に挿通して装着される伸縮性を備えた筒状の非硬化領域である。硬化領域Aは、肘や膝の屈折方向の両側側部にそれぞれ複数本が配置されており、その弾性復元力によって肘や膝の支持力を力学的に補助するものである。硬化領域Aに肘や膝の屈曲方向の可撓性を付与するために、硬化領域Aは複数本に分割されてそれぞれを紐状に形成している。なお、図5のものは、図3のものと同様に、硬化領域Aを非硬化領域Bの外側面に積層状態で形成したものであり、図6のものは、図4のものと同様に、2層の非硬化領域Bの間に紐状の硬化領域Aを挟み込むように形成したものである。これらの硬化領域Aは、前述した各実施例と同様に、硬化領域Aと非硬化領域Bの境界部分において、溶融硬化性の糸条とそうでない糸条とを相互に編み込みないし織り込んで一体化された織ないし編組織を形成した後、硬化領域Aの糸条を加熱溶融することによって硬化させたものである。 【0020】 なお、硬化領域Aを硬化させるための加熱手段としては、硬化領域を形成しているポリエステル樹脂繊維の溶融点以上に加熱した液体に浸漬する方法や、超音波や電磁波による加熱方法を採用することができ、これらの方法により硬化領域の繊維を均一に硬化させることができる。 【図面の簡単な説明】 【0021】 【図1】第1実施形態の斜視図 【図2】第2実施形態の斜視図 【図3】第3実施形態の斜視図 【図4】第3実施形態の他の例を示す斜視図 【図5】第4実施形態の斜視図 【図6】第4実施形態の他の例を示す斜視図 【符号の説明】 【0022】 A 硬化領域 B 非硬化領域
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| 【出願人】 |
【識別番号】503328399 【氏名又は名称】竹中繊維株式会社 【識別番号】503328724 【氏名又は名称】竹中 愼一 【識別番号】503329824 【氏名又は名称】坂本 外喜男
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| 【出願日】 |
平成15年9月9日(2003.9.9) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100078673 【弁理士】 【氏名又は名称】西 孝雄
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| 【公開番号】 |
特開2005−82928(P2005−82928A) |
| 【公開日】 |
平成17年3月31日(2005.3.31) |
| 【出願番号】 |
特願2003−316801(P2003−316801) |
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