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【発明の名称】 遠心分離装置
【発明者】 【氏名】又吉 東守

【要約】 【課題】柑橘類の果実などをフィルター機能を有する回転ドラム内に投入し、高速回転させて、液体と固体とに分離するために使用される遠心分離装置に関し、柑橘類などの搾汁において、種をつぶすことなく、果肉を取り出し、十分な搾汁をできる遠心分離装置を提供する。

【解決手段】メッシュ構造の回転ドラムの底部に回転皿を設け、その回転皿内に柑橘類を投入するための案内筒を設け、案内筒を通して回転皿に投入した柑橘類の果皮及び小胞のみを切断するための切断刃を設けたものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直軸を有する回転ドラムを高速回転させることにより遠心分離処理を行うための遠心分離装置において、
該回転ドラム内の底部の軸心部に設けられる、回転ドラムの回転にしたがって回転する回転皿と、該回転皿に遠心分離処理物を投入するための投入手段と、投入された遠心分離処理物を回転皿上で切断処理するための切断刃が設けられていることを特徴とする遠心分離装置。
【請求項2】
前記の投入手段は、回転皿の上部に設けられる円筒状の誘導筒であることを特徴とする請求項1に記載の遠心分離装置。
【請求項3】
前記の誘導筒の下端開口部の外周部に、前記の回転皿の上部を隙間を開けて覆い、前記の切断刃の切断処理による上部への飛散を防止するための水平板が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の遠心分離装置。
【請求項4】
前記の水平板の下面に、切断物の付着を防止するための突出板が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の遠心分離装置。
【請求項5】
前記の切断刃は、前記の回転皿に垂直に設けられた垂直刃と、前記の回転皿に平行に設けられた水平刃とからなることを特徴とする請求項1または請求項4に記載の遠心分離装置。
【請求項6】
前記の切断刃が前記の誘導筒に設けられていることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかの項に記載の遠心分離装置。
【請求項7】
前記の垂直刃が、前記の回転皿の周縁部直近の内側に位置し、誘導筒の下端部に設けられていることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれかの項に記載の遠心分離装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、柑橘類の果実などをフィルター機能を有する回転ドラム内に投入し、高速回転させて、液体と固体とに分離するために使用される遠心分離装置に関し、特に、切断刃を設けて処理物を切断しながら遠心分離処理することができるようにした遠心分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、果実などのジュースを製造するための搾汁装置が各種開発されている。これらの搾汁装置は、果実を圧搾して搾汁する装置、たとえば、ロールプレス装置などがある。また、果物をヘリカルギアで破砕した後にスクリュー圧搾するもの(特開平8−51966号)などもある。
【0003】
また、円筒状のスクリーン内に破砕した野菜や果実を投入し、高速回転させてジュースを分離回収できるようにしたもの(特開平10−66551号)などがある。
【0004】
しかしながら、前記のような搾汁装置においては、トマトなどのように、果肉全体をそのまま食することができ、果実の種など、味に大きく影響するものを分離する必要がない果実においては有効であるが、例えば、柑橘類などの場合などでは種を破砕してしまうと、ジュースの味に大きく影響してしまう。
【0005】
例えば、上記の特開平8−51966号に示すようなプレス式の搾汁装置では、種を押しつぶしてしまうこととなり、種の苦味が入ってしまい、果肉の味を大きく変えてしまうこととなる。
【0006】
また、特開平10−66551号のようなスクリーン式の遠心分離式の搾汁装置においては、この遠心分離処理を行う前に予め柑橘類の破砕処理が必要であり、この遠心分離処理においては種は破砕されないが、その前処理である破砕処理において、種が破砕されてしまう。
【0007】
この前処理に使用される破砕装置は、破砕羽根を高速回転させて破砕するものであり、果皮や小胞及び種を細かく破砕してしまうため、種の苦味が混入することを防ぐことはできない。
【0008】
種の破砕を防ぐために遠心分離により圧搾して柑橘類を破砕する装置もあるが、柑橘類は、果肉と種が小胞に入っており、その外部をさらに厚い果皮が覆っているため、果皮が圧搾で割れ、さらに内部の小胞を破らなければ果肉を搾汁できない。このため、圧搾の圧力を高めると、前記の小胞を確実に破ることができるが、圧力が高くなると、種も押しつぶされて、苦味が果汁に入ってしまう。
【0009】
このため、プレス式の圧搾装置では、圧搾の圧力の調整が非常に難しく、種をつぶさずに圧搾することは困難であり、また、遠心分離の場合には、種はつぶれにくいが、小胞が破れにくく、十分な搾汁ができないなどの問題があった。
【特許文献1】特開平8−51966号公報
【特許文献2】特開平10−66551号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
解決しようとする問題点は、柑橘類などの搾汁において、種をつぶすことなく、果肉を取り出し、十分な搾汁を実現する点である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記の課題を解決するために、種をつぶすことのない遠心分離方式を採用し、メッシュ構造の回転ドラムの底部に回転皿を設け、その回転皿内に柑橘類を投入するための案内筒を設け、案内筒を通して回転皿に投入した柑橘類の果皮及び小胞のみを切断するための切断刃を設けたことを特徴とする。
【0012】
該回転ドラムは、固体と液体とを遠心分離することができる回転ドラムであり、液体のみを透過する濾過機能を有するものである。このメッシュ構造は、回転ドラム本体を金属性網体で製造してもよく、フレームのみのドラムや多数の穴の開いたドラムの内側に樹脂製や金属性網体を取り付けたものでも良く、網袋を設けたものでも良い。
【0013】
該回転皿は、回転ドラム内の底部の軸心部に設けられ、回転ドラムとともに回転する皿状容器であり、回転ドラムの上部より、案内筒により柑橘類が投入され、この回転皿の回転で周囲に弾き飛ばすものである。
【0014】
該切断刃は、上記の回転皿や案内筒に取り付けられ、水平に切断するための水平切断刃と垂直に切断するための垂直切断刃とが設けられ、回転皿の回転で弾き飛ばされるときに柑橘類を切断し、その果皮及び小胞を切断するものである。
【0015】
弾き飛ばされるときに切断されるため、表面の切断となり、果皮や小胞の表面が切断され、小胞内部の種においては、ほとんど損傷はない。
【0016】
また、弾き飛ばされても確実に切断できるように、前記の誘導筒の下端開口部の外周部に鍔状の水平板を設け、上部への飛散を防止し、回転皿内へ戻し、切断刃で確実に切断できるようにする。
【0017】
また、その鍔の下面に切断物の付着を防止するための突出板が設けられるものである。また、この突出板により抑えられた柑橘類を確実に切断するための垂直刃が前記の誘導筒の下端部に設けられ、前記の回転皿の周縁部直近の内側に位置するように取り付けられたものである。
【0018】
この回転ドラムを高速回転させることにより、回転皿に投入された柑橘類は、その果皮と小胞が切断され、果肉と種が飛び出し、果肉のみが回転ドラムのメッシュ構造により圧搾濾過されて、果皮、小胞、種などの固形物と、果肉ジュースなどの液体とを分離できるものである。
【0019】
回転数は、確実な切断を圧搾が可能となるように回転するを調整することができる。柑橘類の果皮の硬さや、大きさなどにより異なるが例えば、500〜2000rpm程度が好ましい。また、高速回転する(1000rpm以上)場合には、回転ブレを防止するために、振動吸収軸受とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明の遠心分離装置は、以下のような効果がある。
1)柑橘類などの搾汁において、種を傷つけずに搾汁することができ、搾汁中に種による苦味成分が混入することを防止することができる。
2)柑橘類の果皮及び小胞のみを切断処理することができる。
3)切断処理中に回転皿の上部への飛散を防止できる。
4)回転皿から弾き飛ばされる柑橘類を確実に切断処理することができる。
5)柑橘類の果皮及び小胞切断処理と圧搾処理と分離処理とを同時に単一装置で実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
遠心分離装置において、回転ドラム内に切断刃を備え、破砕処理と圧搾処理、分別処理を同時に行うことができ、柑橘類の果皮と小胞を破り、種を傷つけることのない遠心分離装置を実現した。
【実施例1】
【0022】
図1は、本発明による遠心分離装置の1実施例の垂直断面図である。図2は、図1の回転皿の平面図(1)及び垂直断面図(2)である。図3は、図1の誘導筒の側面図(1)及び底面図(2)である。
【0023】
この実施例は、柑橘類の中で、特にその有効成分であるノビレチンなどのフラボノイド類が注目されているシークワーサー果実の搾汁処理を示す。
【0024】
シークワーサーは、直径1cmから2cm程度の小さな柑橘類であり、それまで、果皮と小胞、種を除去して果汁のみを搾汁することは困難であり、種々の搾汁装置が開発されてきたが、サイズが小さく、果肉の量に対して種の占める割合が高いため、効率の良い搾汁ができなかった。また、搾汁処理のときに種をつぶしてしまい、その苦味が果汁に混入してしまうなどの問題を解決できなかった。
【0025】
本発明は、回転皿内でシークワーサー果実を遠心力で飛散させ、水平切断刃と垂直切断刃にぶつけることで、果皮及び小胞を切断することにより、種を傷つけずに果実の破砕処理を行うことができることを見出し、鋭意研究を重ねた結果、効率的な切断処理及び搾汁処理を実現し、本発明を完成させたものである。
【0026】
この遠心分離装置は、駆動モーター2が取り付けられた架台1の上部に、該駆動モーター2の軸3に直結された網製の回転ドラム4が固定され、該回転ドラム4の内部軸3に回転皿5が固定されている。また、該回転皿5の上部には、該回転皿5に柑橘類の果実を外部から投入するための誘導筒6が設けられている。
【0027】
また、該回転皿5は、図2に示すように、皿の外周部の縁部7が上部側に末広がりとなっており、その縁部に2個の水平切断刃8が固定されている。また、前記の誘導筒6は、図3に示すように、円筒体20の下端部の外周部に、ドーナツ状の水平板9が取り付けられており、該水平板9の下面には、2個の垂直切断刃10と、2個の突出板11が取り付けられている。
【0028】
該垂直切断刃10は、前記の回転皿5の縁部7の直近の内側に位置するように配置され、該突出板11は、該垂直切断刃10より中心側で該水平板9に対して下側に突出しており、前記の垂直切断刃10により切断した果皮などが水平板9に付着することを防止し、回転皿5内に落とす働きをするものである。
【0029】
また、本遠心分離装置は、回転ドラム4が毎分1000〜3000回転するため、回転の安定性を保つために、回転軸3の揺動安定手段30が設けられている。該揺動安定手段は、回転軸3を十字状の板ばね31の中心で支持し、該板ばね31の端部を架台板32上でスライド自在に支える弾性体33を設け、このスライド自在の回転軸を支持する板ばね31の端部と架台板32とをコイルばね34で緊張状態に支持させ、回転軸の揺動を吸収させるようにしたものである。
【0030】
また、本遠心分離装置は、網製の回転ドラム4の外周部を円筒状の外筒体35が覆い、該外筒体35の下部にドレンパイプ36が設けられている。37は外筒体35の蓋体37であり、誘導筒6が固定されている。
【0031】
次に本遠心分離装置の搾汁処理について説明する。
1)シークワーサー果実を誘導筒6の上部の投入口6aより投入する
2)投入された果実は、回転ドラム4内の回転皿5内に投入される。
3)回転皿5内に投入された果実は、回転皿5に設けられた水平切断刃8と誘導筒6に設けられた垂直切断刃10により切断される。
4)切断された果実は、果皮、小胞のみが切断され、回転皿5から回転ドラム4内に飛散する。
5)飛散した切断物は、回転ドラム4の壁に衝突し、果皮、小胞、種が残り、果汁が網製の回転ドラム4の壁を透過して外筒体35側に飛散する。
6)外筒体35に飛散した果汁は、該外筒体35の下部のドレンパイプ36から回収される。
【実施例2】
【0032】
次に、本装置を用いて、上記の搾汁した果汁から、シークワーサーの精油含有物の分離処理について説明する。
【0033】
この処理においては、図1に示す回転ドラム4の内側にろ過袋40を設ける。このろ過袋40は、下部が開口しており、100メッシュの細かな布製のものを使用する。また、誘導筒6を上部に移動し、回転皿5から水平板9を離す。
1)誘導筒6よりシークワーサー果汁を投入する。
2)投入された果汁は、回転皿5の回転により、回転ドラム4内に飛散する。
3)飛散した果汁は、回転ドラ厶4の内側に設けたろ過袋40に衝突する。
4)回転ドラム4の高速回転により、ろ過袋40を果汁が透過し、ろ過袋40の表面にシークワーサーの精油含有物が透過せずに付着する。
5)この精油含有物は、クリーム状であり、精油と共に果皮の食物繊維などの有効成分が含まれ、精油が高濃度に含有された混合物である。このクリーム状の精油含有物をろ過袋40より採取する。
【0034】
このようにして採取された精油含有物は、クリーム状であり、精油を高濃度に含有しているため、各種の食品添加物として好適に使用できる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
切断刃8、10で大豆を破砕処理し、破砕処理後に誘導筒6と回転皿5を取り外し、ろ過袋を取り付け、遠心分離処理で豆乳を処理することにより豆腐の製造装置としての用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明による遠心分離装置の垂直断面図である。
【図2】本発明による遠心分離装置の回転皿の概略図である。
【図3】本発明による遠心分離装置の誘導筒の概略図である。
【符号の説明】
【0037】
1 架台
2 駆動モーター
3 回転軸
4 回転ドラム
5 回転皿
6 誘導筒
6a 投入口
7 縁部
8 水平切断刃
9 水平板
10 垂直切断刃
11 突出板
20 円筒体
30 揺動安定手段
31 板ばね
32 架台板
33 弾性体
34 コイルばね
35 外筒体
36 ドレンパイプ
37 蓋体
40 ろ過袋
【出願人】 【識別番号】593218451
【氏名又は名称】又吉 東守
【出願日】 平成15年9月24日(2003.9.24)
【代理人】
【公開番号】 特開2005−95126(P2005−95126A)
【公開日】 平成17年4月14日(2005.4.14)
【出願番号】 特願2003−371264(P2003−371264)