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【発明の名称】 惣菜食品用組成物及び惣菜食品またはその製造方法もしくはその品質改良方法
【発明者】 【氏名】大村 浩一
【住所又は居所】埼玉県本庄市南2丁目3番地14号 エーザイ株式会社本庄事業所内

【氏名】舘 久美子
【住所又は居所】東京都文京区小石川4丁目6番10号 エーザイ株式会社内

【要約】 【課題】

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性天然高分子物質及び有機酸塩を含有する惣菜食品用組成物。
【請求項2】
水溶性天然高分子物質が多糖類及び/又は蛋白質である請求項1記載の惣菜食品用組成物。
【請求項3】
水溶性天然高分子物質が、アルギン酸、アルギン酸塩、カラギーナン、寒天、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸塩、ペクチン、プルラン、グルコマンナン、ローカストビーンガム、グァーガム、キサンタンガム、カードラン、タマリンドガム、アラビアガム、トラガントガム、ジェランガム、サイリウムシードガム、カラヤガム、キチン、キトサン、大豆たん白、小麦たん白、エンドウたん白、コーンペプチド、活性グルテン、乾燥卵白、乾燥全卵、ゼラチン、コラーゲン、ホエーたん白、カゼイン、カゼインナトリウム及びラクトアルブミンからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1または請求項2記載の惣菜食品用組成物。
【請求項4】
水溶性天然高分子物質が、ローカストビーンガム、グァーガム、カラギーナン、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、プルラン、カゼイン及びカゼインナトリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1ないし3のうち何れか一項に記載の惣菜食品用組成物。
【請求項5】
水溶性天然高分子物質が、ローカストビーンガム、アルギン酸及びアルギン酸ナトリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1ないし4のうち何れか一項に記載の惣菜食品用組成物。
【請求項6】
有機酸塩が、乳酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩、クエン酸塩、グルコン酸塩、コハク酸塩、プロピオン酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1ないし5のうち何
れか一項に記載の惣菜食品用組成物。
【請求項7】
有機酸塩が、L-酒石酸ナトリウム、DL-酒石酸ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、クエン酸三ナトリウム、クエン酸カルシウム、クエン酸カリウム、グルコン酸ナトリウム、グルコン酸カリウム及びコハク酸二ナトリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1ないし6のうち何れか一項に記載の惣菜食品用組成物。
【請求項8】
有機酸塩が、クエン酸三ナトリウム及び/またはクエン酸カルシウムである請求項1ないし7のうち何れか一項に記載の惣菜食品用組成物。
【請求項9】
水溶性天然高分子物質と有機酸塩の配合比が、1:0.03〜1:15である請求項1ないし8のうち何れか一項に記載の惣菜食品用組成物。
【請求項10】
惣菜食品用組成物100重量部に対して、水溶性天然高分子物質5〜21重量部及び有機酸塩45〜75重量部を含む請求項1ないし9のうち何れか一項に記載の惣菜食品用組成物。
【請求項11】
惣菜食品用組成物100重量部に対して、アルギン酸及びアルギン酸塩の少なくとも1種5〜20重量部及びクエン酸塩45〜75重量部を含む請求項1ないし9のうち何れか一項に記載の惣菜食品用組成物。
【請求項12】
惣菜食品用組成物100重量部に対して、アルギン酸5〜20重量部、ローカストビーンガム0.25〜5重量部、クエン酸三ナトリウム40〜74重量部及びクエン酸カルシウム1〜10重量部を含む請求項1ないし9のうち何れか一項に記載の惣菜食品用組成物。
【請求項13】
惣菜食品用組成物100重量部に対して、アルギン酸ナトリウム5〜20重量部、クエン酸三ナトリウム40〜74重量部及びクエン酸カルシウム1〜10重量部を含む請求項1ないし9のうち何れか一項に記載の惣菜食品用組成物。
【請求項14】
惣菜食品用組成物が品質改良剤であることを特徴とする請求項1ないし13のうち何れか一項に記載の惣菜食品用組成物。
【請求項15】
惣菜食品が食肉を含む加工食品であることを特徴とする請求項1ないし14のうち何れか一項に記載の惣菜食品用組成物。
【請求項16】
請求項1ないし15のうち何れか一項に記載の惣菜食品用組成物を惣菜食品100重量部に対して0.01〜15重量部含むことを特徴とする惣菜食品。
【請求項17】
惣菜食品の製造において、食肉とともに水溶性天然高分子物質と有機酸塩とを混合する惣菜食品の製造方法。
【請求項18】
食肉とともに水溶性天然高分子物質と有機酸塩とを混合することを特徴とする惣菜食品の品質改良方法。


















【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、惣菜食品用組成物、惣菜食品用組成物を含む惣菜食品、惣菜食品の製造法または惣菜食品の品質改良方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、生活様式の変化、さらに食品の保存技術等の開発により、惣菜食品の市場は年々拡大し、最終消費者の惣菜食品の品質に対する要望はますます高まっている。そこで、惣菜食品は、畜肉や魚肉、穀物や野菜などの主原料以外にも、保存安定性や官能面の改質、あるいは製造時のロスを防ぐことを目的に、種々の食品添加物が使用されている。一方で、食の安全性に対する最終消費者の関心は高く、惣菜食品の表示が商品購入の要素の一つとなっている。また、食品添加物は、食感や味、あるいは外観などの商品性に影響を与え、食品が本来持っている風味を損なってしまう場合もある。
【0003】
さらに、惣菜食品は、製造工程での調理加工のための加熱、あるいは保存管理のための冷蔵や冷凍、あるいは家庭や飲食店でのレンジなどによる再加熱など、食品が製造され最終的に消費者に食される間に加熱や冷却あるいは冷凍が繰り替えされるため、食感や味が変化してしまうことが多い。特に、蛋白質が主成分である畜肉や魚肉を含む惣菜食品は温度の影響を受けやすい。例えば、ハンバーグやミートボール等は加熱することにより肉汁が流出したり、肉質の変化によりソフト感やジューシー感を損なった硬い食感となってしまう。また、中華惣菜やフライ食品では、食肉を含む具や中種から皮や衣へ肉汁や水分が移行するため具や中種のソフト感やジューシー感が損なわれるばかりでなく、消費者からこれらの食品の皮や衣に要求されるモチモチ感やサクサク感を失ってしまう場合がある。また、加熱等によって、食品が着色あるいは退色し、調理直後の自然な外観を維持できない場合がある。これらの惣菜食品の品質低下は商品性に大きく影響を与える。
【0004】
そこで、従来より、惣菜食品の食感や保存性等の品質改善のために種々の食品添加物が使用されている。例えば、食肉加工食品では、品質改良剤としてポリリン酸ナトリウム等の重合リン酸塩(以下、リン酸塩とする)が主に使用されている。これらのリン酸塩は、金属封鎖作用によって食肉蛋白質中のカルシウムイオンを除去し食感を軟らかくしたり、保水力を増強させて歩留まりを向上させる(特許文献1)。また、食肉の食感を改善するために、炭酸塩と酸性物質による発泡性に加え、さらに食物繊維を併用する品質改良剤が知られている(特許文献2)。また、アルギン酸、グァーガム、キサンタンガムなどの多糖類等は、水溶性高分子の性質を利用して結着性や保水性を改善し、肉汁の流失防止や歩留まり向上を図るために古くから利用されている(非特許文献1)。最近では、その中でもアルギン酸プロピレングリコールエステルは効果が高く、さらにクエン酸三ナトリウムとの併用による相乗効果が知られている(特許文献3)。
【特許文献1】特開平11-196761号公報
【特許文献2】特開2001-148号公報
【特許文献3】特開2002-281942号公報
【非特許文献1】葉山静憲、外9名、「特集:増粘安定剤の性質と利用」食品工業、1988年3月30日、p.20-85
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
惣菜食品、特に食肉を含む加工食品のために種々の品質改良剤が使用されてきたが、いずれの方法でも食感改良、肉汁流出防止、保水性向上など惣菜食品における課題を十分に解決できるものではなかった。例えば、リン酸塩は、保水力はあるものの、加熱後は硬い食感となり、添加量によってはハム様な強い弾力性のある食感となってしまう等の欠点が生じていた。また、炭酸塩と酸性成分による発泡性を利用した品質改良剤は、加熱後は保水性が十分ではなく、あるいは外観上の食品の色調を変化させてしまうことがあった。さらに多糖類は、水っぽい食感となり味が薄く感じられ、あるいは、ねばりが生じ、食感ばかりでなく製造時の機械成型性に悪影響を与えるなどの課題が生じていた。そのため、惣菜食品において、より自然な食感を保持でき、さらに生産性における品質を改善できる惣菜食品用組成物が望まれていた。特に食肉加工食品では、食品加工時や調理時の加熱や冷却による肉汁の流失を防ぎ水分と油分をバランスよく食品中に抱え込み、あるいは加熱や冷凍等の環境変化による肉質の変化を抑制し、調理直後のジューシー感とソフト感の食感や味を保持できる惣菜食品用組成物または惣菜食品の製造方法が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、惣菜食品に水溶性天然高分子物質と有機酸塩を併用することにより、加熱や凍結などによって生じる惣菜食品の品質変化を改善する効果を見出した。特に、水溶性天然高分子物質と有機酸塩の併用が、食肉を含む加工食品で生じやすかった肉汁の流失を抑制し、ジューシー感やソフト感などの食感を保持できることを見出した。すなわち、(1)水溶性天然高分子物質及び有機酸塩を含有する惣菜食品用組成物である。(2)水溶性天然高分子物質が多糖類及び/または蛋白質である前記(1)記載の惣菜食品用組成物である。(3)水溶性天然高分子物質が、アルギン酸、アルギン酸塩、カラギーナン、寒天、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸塩、ペクチン、プルラン、グルコマンナン、ローカストビーンガム、グァーガム、キサンタンガム、カードラン、タマリンドガム、アラビアガム、トラガントガム、ジェランガム、サイリウムシードガム、カラヤガム、キチン、キトサン、大豆たん白、小麦たん白、エンドウたん白、コーンペプチド、活性グルテン、乾燥卵白、乾燥全卵、ゼラチン、コラーゲン、ホエーたん白、カゼイン、カゼインナトリウム及びラクトアルブミンからなる群から選ばれる少なくとも1種である前記(1)または前記(2)記載の惣菜食品用組成物である。(4)有機酸塩が乳酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩、クエン酸塩、グルコン酸塩、コハク酸塩及びプロピオン酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種である前記(1)ないし前記(3)のうち何れかに記載の惣菜食品用組成物である。(5)有機酸塩がL-酒石酸ナトリウム、DL-酒石酸ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、クエン酸三ナトリウム、クエン酸カルシウム、クエン酸カリウム、グルコン酸ナトリウム、グルコン酸カリウム及びコハク酸二ナトリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種である前記(1)ないし前記(4)のうち何れかに記載の惣菜食品用組成物である。(6)水溶性天然高分子物質と有機酸塩の配合比が、1:0.03〜1:15である前記(1)ないし前記(5)のうち何れかに記載の惣菜食品用組成物である。(7)惣菜食品用組成物が品質改良剤であることを特徴とする前記(1)ないし前記(6)のうち何れかに記載の惣菜食品用組成物である。(8)惣菜食品が食肉を含む加工食品であることを特徴とする前記(1)ないし前記(7)のうち何れかに記載の惣菜食品用組成物である。(9)前記(1)ないし前記(8)のうち何れかに記載の惣菜食品用組成物を惣菜食品100重量部に対して0.01〜15重量部含むことを特徴とする惣菜食品である。(10)惣菜食品の製造において、食肉とともに水溶性天然高分子物質と有機酸塩とを混合する惣菜食品の製造方法である。(11)食肉とともに水溶性天然高分子物質と有機酸塩とを混合することを特徴とする惣菜食品の品質改良方法である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、惣菜食品において、畜肉や魚肉、穀物や野菜などの主原料の本来の味や食感を生かすことができる品質改良剤または品質改良方法が提供される。具体的には、畜肉や魚肉のミンチ等を用いた食肉加工食品で、加熱などによる肉汁の流出、肉質の変化または肉の硬化などを防ぎ、さらに冷凍及び解凍サイクルを経ても離水を防ぐことができ、惣菜食品の品質を保持でき商品性を高めることができる。また、本発明によれば、家庭や飲食店の手作りの食事や出来立ての食事に近い味や食感を再現した惣菜食品を提供でき、豊かな食生活を実現できる。また、天然由来の成分を利用しているため消費者にも安心感を与える惣菜食品を提供できる。さらに、本発明によれば、惣菜食品に低コストで簡便に添加して使用することができ、さらに、惣菜食品の製造工程において、保水性を有しながら必要以上に食品に粘りを与えないため、成型機における離型性などの機械成型性や製品の収率を大幅に改善し、生産性を向上させる方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は、水溶性天然高分子物質と有機酸塩を含有する惣菜食品用の組成物である。特に、本発明の惣菜食品用の組成物は、惣菜食品用の品質改良剤として用いることができる。ここで、惣菜食品用の品質とは、最終消費者が惣菜食品を購買するときの商品性を決定する要素全般を示し、例えば、飲食するときの風味や食感、外観などの嗜好性、保存安定性や身体に対する安全性など、あるいは、惣菜食品の製造工程における生産性などを示す。また、ここで惣菜食品とは、通常、副食物として供される食品であり、畜肉及び魚肉(甲殻類や貝類を含む)などの食肉、野菜や根菜類、穀物類、果物類またはキノコ類などを主原料として調理加工された煮しめ、甘露煮、湯煮、うま煮、煮豆等の煮物、串焼、網焼、ホイル焼、かば焼等の焼物(炒め物含む)、空揚、天ぷら、フライ等の揚物、しゅうまい、茶わん蒸し、中華まん等の蒸し物、サラダ類、胡麻あえ等の和え物、酢れんこん、たこの酢のもの等の酢の物、あるいは、それらの食品とともにパン、ご飯や麺類などの主食と組み合わされた食品を含む。特に、本発明の組成物は、食肉を含む食品に適しており、例えば、畜肉や魚肉を通常ミンチして、その他の副原料を混ぜて調理加工されるハンバーグ、ミートボール、ウインナー、ソーセージ、つくね、かまぼこ、ちくわ、はんぺん等や、畜肉や魚肉とその他の副原料を混ぜたものを皮で包んだ餃子、シュウマイ、中華まん、春巻きなど、あるいは衣をつけてフライにしたフライドチキン、メンチカツ、トンカツ、白身魚フライなどに利用できる。ただし、本発明の組成物を含む惣菜食品は、ここに例示したものに限られるものではない。
【0009】
本発明の惣菜食品用組成物は、水溶性天然高分子物質及び有機酸塩を含む。ここで水溶性とは、いずれかの液性(pH)で溶解することができることを示し、例えば、酸性水溶液やアルカリ性水溶液で溶解できる天然高分子物質も含まれる。本発明に用いる水溶性天然高分子物質は、特に限定されるものではないが、例えば、動植物、海藻、種子、樹脂、魚介類や甲殻類、乳および微生物由来の物質であり、多糖類またはたん白質類である。好ましくは、多糖類としては、アルギン酸(商品名キミカアシッドSA、株式会社キミカなど)、アルギン酸塩(商品名キミカアシッドI、株式会社キミカなど)、カラギーナン(商品名オルピンO-WG、オルガノ株式会社など)、寒天(伊那食品工業など)、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸塩(商品名ヒアルロンサン、キューピー株式会社など)、ペクチン(商品名GENU Pectin、三晶株式会社など)、プルラン(株式会社林原商事)、グルコマンナン(商品名プロポール、清水化学株式会社など)、ローカストビーンガム(商品名オルノーL1、オルガノ株式会社など)、グァーガム(商品名グァーガムMI-804、オルガノ株式会社など)、キサンタンガム(商品名オルノーX2、オルガノ株式会社など)、カードラン(武田キリン食品株式会社)、タマリンドガム(商品名グリロイド、大日本製薬株式会社など)、アラビアガム(商品名GUM ARABIC、五協産業株式会社など)、トラガントガム(三栄原エフ・エフ・アイ株式会社など)、ジェランガム(三栄原エフ・エフ・アイ株式会社など)、サイリウムシードガム(商品名ヘルシーガム、五協産業株式会社など)、カラヤガム(商品名セキセルDP200、ジェイティーフーズ株式会社など)、キチン(焼津水産化学工業株式会社など)、キトサン(商品名フローナック、株式会社共和テクノスなど)、たん白質類としては、大豆たん白(不二製油株式会社など)、小麦たん白(商品名A-グル、グリコ栄養食品株式会社など)、エンドウたん白(オルガノ株式会社など)、コーンペプチド(商品名日食ペプチーノ、日本食品加工株式会社など)、活性グルテン、乾燥全卵(太陽化学株式会社など)、乾燥卵白(商品名乾燥卵白H、日本新薬株式会社など)、ゼラチン(新田ゼラチン株式会社など)、コラーゲン(新田ゼラチン株式会社など)、ホエーたん白(商品名ハイトラストY-10、株式会社ホーネンコーポレーション)、カゼイン(トーメンケミカルなど)、カゼインナトリウム(商品名ハプロ、日本新薬株式会社など)、ラクトアルブミン(新田ゼラチン株式会社など)であり、それらを1種または2種以上を用いることができる。さらに好ましくは、ローカストビーンガム、グァーガム、キサンタンガム、カラギーナン、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム(商品名キミカアシッドI-1、株式会社キミカなど)、アルギン酸カリウム(商品名キミカ
アシッドI-5、株式会社キミカなど)、プルラン、大豆たん白、小麦たん白、エンドウたん白、カゼイン、カゼインナトリウム、ラクトアルブミンである。特に好ましくは、ローカストビーンガム、グァーガム、カラギーナン、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、プルラン、カゼイン、カゼインナトリウムである。とりわけ特に好ましくは、ローカストビーンガム、アルギン酸、アルギン酸ナトリウムである。
【0010】
本発明の有機酸塩は、特に限定されるものではないが、例えば、炭素数2〜8の有機酸塩であり、好ましくは、乳酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩、クエン酸塩、グルコン酸塩、コハク酸塩、プロピオン酸塩などである。本発明の総菜用食品組成物は、それらを1種または2種以上を用いることができる。さらに好ましくは、L-酒石酸ナトリウム(和光純薬株式会社など)、DL-酒石酸ナトリウム(和光純薬株式会社など)、リンゴ酸ナトリウム(和光純薬株式会社など)、クエン酸三ナトリウム(エー・ディ・エム・ファーイースト株式会社など)、クエン酸カルシウム(日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社など)、クエン酸カリウム(和光純薬株式会社など)、グルコン酸ナトリウム(商品名ヘルシャスA、藤沢薬品工業株式会社など)、グルコン酸カリウム(商品名ヘルシャスK、藤沢薬品工業株式会社など)、コハク酸ニナトリウム(和光純薬株式会社など)である。特に好ましくは、クエン酸三ナトリウム及び/またはクエン酸カルシウムである。
【0011】
本発明の惣菜食品用の組成物は、公知の方法を単独または組み合わせて使用して製造することができる。水溶性天然高分子物質と有機酸塩は、通常の混合攪拌装置を用いて、必要に応じて食品で使用できる添加物と混合して得ることができる。通常、これらの成分は粉体であり、粉末タイプを得ることができる。あるいは、それらの粉末タイプ、または必要に応じて、さらに食品で使用できる添加物を添加して、造粒し、顆粒タイプとしても良い。顆粒タイプの製造方法では、造粒方法が主要な操作方法となるが、混合、乾燥、整粒、分級などの操作を組み合わせることができる。造粒方法としては、例えば、粉末に結合剤の働きを有する添加物や溶媒を加えて造粒する湿式造粒法、粉末を圧縮して造粒する乾式造粒法、加熱溶融する結合剤を加えて加熱して造粒する溶融造粒方法などが利用できる。また、これらの粉末タイプや顆粒タイプを圧縮成型してタブレット状にしてもよい。あるいは、水溶性天然高分子物質及び有機酸塩を水、アルコール類またはそれらを含む液に溶解、分散あるいは乳化させて溶液状あるいはゲル状としてもよい。本発明の品質改良剤は、特に、これらの製造方法ならびに形態に限定されるものではない。
【0012】
本発明の惣菜食品用組成物に含有される水溶性天然高分子物質と有機酸塩の配合比は、惣菜食品の種類や量により一概に言えないが、通常、1:0.03〜1:15である。好ましくは、水溶性天然高分子物質に対する有機酸塩の配合比は、1:0.4〜1:10であり、さらに好ましくは、1:2.5〜1:8である。特に好ましくは、1:3〜1:7である。
【0013】
本発明の惣菜食品用組成物は水溶性天然高分子物質及び有機酸塩のほかに、食品に使用できる添加物を加えても良い。例えば、例えばグルコース、フラクトース等の単糖類、マルトース、トレハロース(林原商事株式会社など)、ガラクトース(東和化成工業株式会社など)、ラクトース等の二糖類、マルトトリオース、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖(塩水港製糖株式会社など)、キシロオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖(日本食品加工株式会社など)、マルトテトラオース、還元キシロオリゴ糖等のオリゴ糖類、マルチトール(東和化成工業株式会社など)、ソルビトール(東和化成工業株式会社など)、キシリトール(日研化学株式会社など)、パラチノース(新三井製糖株式会社など)、エリスリトール(日研化学株式会社)、ラクチトール(東和化成工業株式会社など)等の糖アルコール類などである。特に、トレハロースが適している。また、本発明の惣菜食品用組成物は、でん粉類として、通常、食品に使用される天然でん粉またはそれらを加工したでん粉を加えても良い。例えば、天然でん粉としては、コーンスターチ(日清製粉など)、馬鈴薯でん粉(商品名ジェルコール、株式会社ホーネンコーポレーションなど)、タピオカスターチ(松谷化学工業株式会社など)、またはそれらの混合物(商品名:ハイトラストBH、株式会社ホーネンコーポレーションなど)などが挙げられる。また、加工したでん粉としては、例えば、漂白でん粉(商品名SG-5、オルガノ株式会社など)、可溶性でん粉(商品名ラスターゲン、日澱化学株式会社など)、エステル化でん粉(商品名PURITY GUM BE:オクテニルコハク酸デンプンナトリウム、日本エヌエスシー株式会社など)、エーテル化でん粉(商品名TEXTRA、日本エヌエスシー株式会社など)、架橋でん粉、シクロデキストリン(商品名デキシパール、塩水港製糖株式会社など)などが挙げられる。また、本発明の惣菜食品用組成物は、難消化性ないし不消化性の炭水化物を用いても良い。例えば、植物、動物、微生物由来物質またはそれらを加工したセルロース類を挙げることができ、例えば、結晶セルロース(商品名アビセル、旭化成株式会社など)、メチルセルロース(商品名メトローズ、信越化学工業など)、カルボキシメチルセルロース(ダイセル化学工業株式会社など)などである。また、本発明の惣菜食品用組成物は、食品分野で使用される酵素類を用いても良い。例えば、アミラーゼ、グルコースイソメラーゼ、アクチジニン、インベルターゼ、カタラーゼ、セルラーゼ、トリプシン、パパイン、パンクレアチン、プロテアーゼ、ぺクチナーゼ、ペプシン、ペプチダーゼ、リゾチーム、リパーゼ等である。また、本発明の惣菜食品用組成物は、食品分野で使用される酸類を用いても良い。例えば、塩酸、酢酸、乳酸、クエン酸、グルコン酸、リンゴ酸、コハク酸、酒石酸、フマル酸、アスコルビン酸等を挙げることができる。また、本発明の惣菜食品用組成物は、乳化剤として、ショ糖脂肪酸エステル(三菱化学フーズ株式会社など)、グリセリン脂肪酸エステル(商品名エキセル、花王株式会社など)、ポリグリセリン脂肪酸エステル(商品名リョートーポリグリエステル、三菱化学フーズ株式会社など)、プロピレングリコール脂肪酸エステル(商品名ホモテックス、花王株式会社など)、ソルビタン脂肪酸エステル(商品名エマゾール、花王株式会社など)、サポニン、レシチン(ツルーレシチン工業株式会社など)等を用いても良い。さらに要に応じて、調味料(食塩、グルタミン酸ナトリウム等の化学調味料等)、糖類以外の甘味料(グリチルリチン、アスパルテーム、ステビア、サッカリン等)、香辛料、着色料、保存料(安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、パラオキシ安息香酸エステル等)、酸化防止剤(アスコルビン酸等)等を適宜添加してもよい。本発明の総菜用食品組成物は、それらの添加物を1種または2種以上を用いることができる。ただし、本発明で用いる添加物は、これらの具体例に限定されるものではない。
【0014】
本発明の惣菜食品用組成物は、惣菜食品を調理加工する際に、主原料の食肉や野菜などと簡便に混合して使用することができる。例えば、本発明の惣菜食品用組成物は、畜肉や魚肉をミンチして用いるハンバーグ、ミートボール、つくね、かまぼこ、やソーセージなどに使用することができる。ハンバーグを例に挙げれば、予めミンチした牛肉、予めソテーした玉ねぎ、パン粉、全卵、食塩、グルタミン酸ナトリウム、胡椒、ナツメグ、水を加えて混合したものに、本発明の惣菜食品用組成物を品質改良剤として添加し混合する。さらに豚脂を加えて混合し、成型してハンバーグパティとすることができる。このまま、惣菜食品用のハンバーグパティとして冷凍してもよい。このハンバーグパティを冷凍したまま、あるいは解凍して店頭や家庭で加熱調理し、惣菜食品として用いることができる。このとき、解凍による離水を防止し、あるいは加熱調理による肉汁の流出を防止し、ソフトでジューシーな食感を確保できる。また、上記のハンバーグパティを予めオーブンなどで加熱調理し、さらに真空パックにして、調理済みのハンバーグとして使用することができる。このとき、調理加工による肉汁の流失させることなくパックすることができ、製品の収率を改善できる。さらに、惣菜食品の店頭販売、または家庭の食事で、レンジなどで再加熱をしても、ソフトでジューシーな食感や手作りの出来たての外観を確保することができる。
【0015】
また、本発明の惣菜食品用組成物は、中華まん、シューマイ、餃子など畜肉や魚肉を含む具や中種を皮で包んだ惣菜食品にも用いることができる。例えば、中華まんの場合、ミンチした豚肉をよく練った後、みじん切りにしたねぎ、しいたけ、えび及び豚肉を混合し、さらに本発明の惣菜食品用組成物を品質改良剤として添加混合する。さらに調味料、ゴマ油等を混合し中華まんの具を得ることができる。あるいは、有機酸塩と水溶性天然高分子物質を別々に添加しても良い。薄力粉、強力粉、イーストベーキングパウダー、砂糖、塩を加えて混ぜる。さらにラードを加えて混ぜて、十分に練り、軽く加熱し醗酵させて得られた中華まんの皮に上記の具を包んで惣菜食品用の中華まんを得ることができる。この中華まんをそのまま真空パックし冷凍または冷蔵保存し、店頭や家庭などで加熱し惣菜食品とすることができる。あるいは、中華まんを予め蒸した調理済みの惣菜食品として用いてもよい。このとき、解凍による水分や加熱による具からの肉汁の流失を抑制することができる。そのため、具のジューシー感やソフト感を確保するだけでなく、皮の水分によるベタツキを防ぎ、皮のソフト感等の食感や柔らかな外観を維持することができる。
【0016】
また、本発明の惣菜食品用組成物は、フライ、空揚げ、天ぷらなど畜肉や魚肉を含む具や中種を衣で包んだ惣菜食品にも用いることができる。例えば、白身魚のフライの場合、魚肉のすり身と大豆たん白、食塩、水、馬鈴薯デンプン、さらに本発明の組成物を混合したものに、さらに細切れにした魚肉と調味料を混ぜフィレを得る。このフィレを型抜きして、フライの中種となるフィレの成型品を得る。このフィレ成型品をそのまま、あるいは一度凍結後、解凍させた後、小麦粉を含むバッター液につけ、パン粉をつけて油で揚げフライを得る。このフライを冷却した後、プラスチック容器内に充填しパッキングし、惣菜食品とすることができる。ここで、本発明の惣菜食品用組成物は、解凍後のフィレからの離水、または魚の油分の流失を防ぐことにより魚肉の食感と風味を保ち、さらにレンジ等での再加熱による中種からの水分の流失を抑制し、衣の水分によるべたつきを防ぎ、衣のサクサク感を保持することができる。
【0017】
本発明の惣菜食品用組成物の惣菜食品への添加方法は特に限定されず、例えば、直接食肉などの原料に添加して混合したり、または食肉などの原料に注入したり、または、食肉もしくは食肉を含む食品またはその具や中種を本発明の惣菜食品用組成物を溶かした液に浸漬させて添加しても良い。あるいは、調味料、調味液、打ち粉、パン粉、つなぎなど副原料の素材に加えて添加してもよい。あるいは、食肉や副原料とともに混合したり練りこんでも良い。このとき、有機酸塩及び水溶性天然高分子物質、あるいはさらにその他の添加物を予め添加して得られた惣菜食品用組成物を用いれば、簡便に添加することができる。例えば、有機酸塩と水溶性高分子物質からなり、有機酸塩3〜97重量部と水溶性高分子物質3〜97重量部である惣菜食品用組成物、あるいは有機酸塩5〜75重量部、水溶性天然高分子物質を5〜75重量部、糖類、でん粉類、繊維類、酵素類などの添加物20〜90重量部からなる惣菜食品用組成物などを使用することができる。あるいは、惣菜食品の製造過程において水溶性天然高分子物質と有機酸塩を別々に順次添加してもよい。もちろん、有機酸塩と水溶性天然高分子物質の添加順序は限定されない。また、本発明の惣菜食品用組成物の惣菜食品に対する配合量は、特に限定されないが、例えば、惣菜食品100重量部に対し、0.01〜15重量部であり、好ましくは、0.02〜12重量部である。さらに好ましくは、0.05〜8重量部である。
【0018】
本発明の惣菜食品用組成物における水溶性天然高分子物質及び有機酸塩の配合量は、特に限定されるものではないが、例えば、惣菜食品用組成物100重量部に対して、水溶性天然高分子物質5〜21重量部及び有機酸塩45〜75重量部を含み、好ましくは、惣菜食品用組成物100重量部に対して、水溶性天然高分子物質8〜21重量部及び有機酸塩45〜70重量部を含み、さらに好ましくは、惣菜食品用組成物100重量部に対して、水溶性天然高分子物質8〜18重量部及び有機酸塩50〜65重量部を含む。さらに、水溶性天然高分子物質として、アルギン酸及びアルギン酸塩の少なくとも1種を配合する場合には、例えば、惣菜食品用組成物100重量部に対して、アルギン酸及びアルギン酸塩の少なくとも1種5〜20重量部及びクエン酸塩45〜75重量部を含み、好ましくは、アルギン酸及びアルギン酸塩の少なくとも1種を8〜20重量部及びクエン酸塩45〜70重量部を含み、さらに好ましくは、アルギン酸及びアルギン酸塩の少なくとも1種を8〜17重量部及びクエン酸塩50〜65重量部を含む。
【0019】
さらにまた、水溶性天然高分子物質として、アルギン酸とローカストビーンガムを併用する場合には、惣菜食品用組成物100重量部に対して、アルギン酸5〜20重量部、ローカストビーンガム0.25〜5重量部、クエン酸三ナトリウム40〜74重量部及びクエン酸カルシウム1〜10重量部を含み、好ましくは、惣菜食品用組成物100重量部に対して、アルギン酸8〜17重量部、ローカストビーンガム0.5〜3重量部、クエン酸三ナトリウム43〜62重量部及びクエン酸カルシウム2〜8重量部を含む。さらに好ましくは、惣菜食品用組成物100重量部に対して、アルギン酸8〜15重量部、ローカストビーンガム0.5〜3重量部、クエン酸三ナトリウム48〜59重量部及びクエン酸カルシウム2〜6重量部を含む。
【0020】
あるいは、水溶性天然高分子物質として、アルギン酸ナトリウムを使用する場合には、惣菜食品用組成物100重量部に対して、アルギン酸ナトリウム5〜20重量部、クエン酸三ナトリウム40〜74重量部及びクエン酸カルシウム1〜10重量部を含み、好ましくは、惣菜食品用組成物100重量部に対して、アルギン酸ナトリウム8〜17重量部、クエン酸三ナトリウム43〜62重量部及びクエン酸カルシウム2〜8重量部を含む。さらに好ましくは、惣菜食品用組成物100重量部に対して、アルギン酸ナトリウム8〜17重量部、クエン酸三ナトリウム48〜59重量部及びクエン酸カルシウム2〜6重量部を含む。
【0021】
以下に、実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。また、食品は、スーパーなどの店頭で一般に購入できるものを、添加物は、食品添加物公定書第七版等の公定書に適合したもの、または試薬を使用した。
【実施例】
【0022】
(実施例1)
<惣菜食品用組成物の調製>
クエン酸三ナトリウム53.8g、クエン酸カルシウム3.8g、ローカストビーンガム1g、アルギン酸ナトリウム12.5g、トレハロース28.9gを混合し、粉末タイプの惣菜食品用組成物100gを得た。
<ハンバーグの製造>
合い挽き肉485g、みじん切りにして予めソテーした玉ねぎ200g、パン粉150g、卵63g。食塩4g、胡椒1g、ナツメグ1g、グルタミン酸ナトリウム(商品名「味の素」、味の素株式会社)1g、水50gを粘りがでるまで十分に混合し、さらに上記の惣菜食品用組成物を品質改良剤として8g添加し混合した。さらに、豚脂45gを加えて混合した後、成型機で、1個あたり50gの円形のハンバーグパティを得た。ハンバーグパティをオーブンで、200℃で12分30秒焼成し、本発明の惣菜食品用組成物を含むハンバーグを得た。
【0023】
(対照例1)
実施例1のハンバーグと同様の製造方法で、実施例1で得た本発明の惣菜食品用組成物を含まないハンバーグを得た。
【0024】
(試験例1)
実施例1及び対照例1のハンバーグを用いて官能試験を行った。実施例1または対照例1で得たハンバーグを放冷後、保存用プラスチックフィルムで包み、−20℃で保存後、凍結したままレンジで再加熱をして試験に供した。官能試験は、8名のパネラーが、これら2種類のハンバーグを食し、食感の評価項目としてソフト感及びジューシー感を評価し、さらに風味を評価し、各項目で好ましいハンバーグを選択した。その結果、いずれの項目でも本発明の惣菜食品用組成物を品質改良剤として含む実施例1のハンバーグが対照例1と同等以上の評価を得ることができ、ハンバーグに対する品質改善効果が確認された(表1)。
【0025】
【表1】


【0026】
(実施例2)
<惣菜食品用品質改良剤の調製>
クエン酸三ナトリウム54.8g、クエン酸カルシウム3.8g、アルギン酸ナトリウム12.5g及びトレハロース28.9gを混合し、粉末タイプの惣菜食品用組成物100gを得た。
<ハンバーグの製造方法>
実施例1と同様の製造方法でハンバーグを得た。
【0027】
(参考例1)
品質改良剤として、実施例1の惣菜食品用組成物の代わりに、ポリリン酸ナトリウム50%及び無水ピロリン酸ナトリウム50%からなるリン酸塩(商品名ポリリンサン2-D、武田キリン食品株式会社、以下リン酸塩Aとする)を用いて、実施例2と同様の原料組成比及び製造方法でハンバーグを得た。
【0028】
(試験例2)
実施例2と参考例1のハンバーグを用いて官能試験を行った。実施例2または参考例1で得たハンバーグを放冷後、保存用プラスチックフィルムで包み、−20℃で保存後、凍結したままレンジで再加熱をして試験に供した。官能試験は、6名のパネラーが、これら2種類のハンバーグを食し、食感の評価項目としてソフト感及びジューシー感を評価し、各項目で好ましいと感じたハンバーグを選択した。さらに、加熱による肉質の変化を評価するため、ハンバーグの肉のほぐれ感が良いと感じたハンバーグを選択した。その結果、いずれの項目でも本発明の惣菜食品用組成物を含む実施例2のハンバーグが、リン酸塩Aを含む参考例1のハンバーグよりも惣菜食品として優れていることが確認された(表2)。
【0029】
【表2】


【0030】
(実施例3)
<惣菜食品用組成物の調製>
クエン酸三ナトリウム53.8g、クエン酸カルシウム3.8g、ローカストビーンガム1g、アルギン酸12.5g及びトレハロース28.9gを混合し、粉末タイプの惣菜食品用組成物100gを得た。
<ハンバーグの製造方法>
実施例1と同様の製造方法でハンバーグを得た。
【0031】
(参考例2及び対照例2)
品質改良剤として、参考例1のリン酸塩Aを用いて、実施例2と同様の原料組成比及び製造方法でハンバーグを得た(参考例2)。さらに、品質改良剤を含まないハンバーグを得た(対照例2)。
【0032】
(試験例3)
<歩留りの評価>
ここで、歩留りは、加熱及び冷却、または冷凍及び解凍等による食品からの水分や油分の流失による食品の重量変化を示し、食肉を含む食品からの肉汁の流出防止効果、あるいは食品の保水性効果を評価できる。歩留りを以下の方法で評価した。実施例3、参考例2及び対照例2のハンバーグの製造工程において、オーブンでの加熱前の重量(以下、加熱前重量とする)を測定し、さらにオーブンで加熱した後、放冷し加熱後の重量(以下、加熱後重量とする)を測定した。歩留りは、加熱後重量を加熱前重量で除して、さらに100を乗じてパーセント表示で算出した。
<テクスチャー評価>
品質改良剤の添加による食感の変化を評価するために、実施例3、参考例2及び対照例2のハンバーグを用いてテクスチャーアナライザー(商品名:クリープメーターER2-33005S,株式会社山電)で評価した。サンプルは、ハンバーグを加熱後、そのままの形状で試験に供した。テクスチャーアナライザーは、先端が7mmの球形の測定用プランジャーを使用し、圧縮スピード1mm/秒でサンプルを圧縮し、圧縮に伴う応力変化を測定した。このとき、サンプルの弾力性を示す指標としてサンプルが破断するまでの圧縮距離、また、サンプルの硬さを示す指標として破断時の応力(破断応力)を得た。これらの結果は、品質改良剤を含まない対照例2の圧縮距離または破断応力に対する比(対照例2を100とする)で硬さ及び弾力性を評価した。硬さや弾力性は、品質改良剤を含まない対照例と比較して高すぎたり、低すぎたりせず、ほぼ同等の値を得ることが望ましい。
<評価結果>
評価結果を表3に示す。実施例3の歩留りは、対照例2の歩留りと比較し高くなり、実施例3のハンバーグに添加された品質改良剤が加熱による肉汁の流出を防止することが確認された。リン酸塩を含む参考例2も対照例と比較し、歩留りは高くなった。しかしながら、参考例2は、硬さ及び弾力性は、無添加の対照例と比較し、著しく高くなり、硬い食感となることが確認された。一方、本発明の品質改良剤は、調理の加熱による影響をほとんど受けず、食品中に肉汁を蓄えることができジューシー感やソフト感を維持できることが確認された。
【0033】
【表3】


【0034】
(実施例4〜実施例14)
<惣菜食品用組成物の調製>
表4に示した配合比の本発明の組成物を実施例1と同様の方法で得た。同様に参考例3の組成物を得た。
<ハンバーグの調製>
合い挽き肉585g、みじん切りにして予めソテーした玉ねぎ150g、パン粉50g、卵63g。食塩4g、胡椒1g、ナツメグ1g、グルタミン酸ナトリウム(商品名「味の素」、味の素株式会社)1g、水145gを粘りがでるまで十分に混合し、さらに惣菜食品用組成物を品質改良剤として10g添加し混合し、1時間冷蔵庫で保存した。保存後、1個あたり25gの円形のハンバーグパティを成型機で製造した。ハンバーグパティをオーブンで、200℃、13分焼成し、惣菜食品用品質改良剤を含むハンバーグを得た。
【0035】
<試験例4>
<評価方法>
試験例3と同様の方法で、歩留りと硬さ及び弾力性を評価した。
<評価結果>
品質改良剤が無添加のハンバーグの歩留りは75.5%であった。表4では、この無添加のハンバーグの歩留りを100とした場合の相対歩留りを示した。その結果、実施例4〜14は、対照と比較して歩留りは高くなり、また、硬さや弾力性は、無添加のハンバーグとほぼ同等の値を得た。以上より、本発明の組成物は肉汁の流失を防ぎ、ソフト感やジューシー感を確保できる品質改良剤として有効であることが確認された。一方、有機酸塩の代わりに、無機塩である炭酸ナトリウムを配合した参考例3は、歩留りは高い値を示したが、食感が硬くなることが確認された。さらに参考例3は加熱後、ハンバーグの色調が変化することが確認されたが、本発明の組成物を含む実施例は色調変化を認めなかった。なお、実施例10〜実施例12の比較により、惣菜食品用組成物100重量部中の水溶性天然高分子物質の配合量が21%を超えて30%近くになると、食感が柔らかくなる傾向が強くなるとともに、官能的にも水っぽさが生じてくることが確認された。
【0036】
【表4】


【0037】
<参考例4〜参考例22>
参考例として、本発明で使用される天然高分子物質及び有機酸塩、その他の添加物を品質改良剤として単独で配合したハンバーグを製造した。評価した成分は、表5に記載した。ハンバーグの製造は、実施例4と同様の条件とした。ただし、これらの品質改良剤の配合量は5gとした。
【0038】
<試験例5>
参考例4〜22のハンバーグを用いて、試験例4と同様に評価した。
<評価結果>
歩留り、硬さ及び弾力性の評価結果を表5に示した。その結果、有機酸塩単独(参考例4〜7)では、食感が硬くなる傾向が認められた。炭酸ナトリウム(参考例8)は、肉汁の流出を抑制する効果は認めたが、食感が硬くなることが確認された。水溶性天然高分子物質(参考例9〜15)の多くは、肉汁の流失の防止効果は認めるものの、軟らかくなる傾向が認められた。実際に、これらのハンバーグを食べたところ、水っぽくなることが確認された。ここで、単独系で食感が硬くなる炭酸塩と単独系で食感が軟らかくなる水溶性高分子物質を組み合わせた組成物を配合したハンバーグ(参考例3)は硬さや弾力性が硬くなったにも関わらず、前記実施例で示した有機酸塩と水溶性天然高分子物質を含むハンバーグは、良好な硬さ及び弾力性であった。また、カラギーナン単独(参考例12)も硬さ及び弾力性は大きくなったが、カラギーナンと有機酸塩を含むハンバーグ(実施例14)は良好な硬さと弾力性であった。このことから、水溶性天然高分子物質及び有機酸塩による特定の組み合わせが、本発明の効果を示すことが確認された。また、本発明の惣菜食品用組成物に配合された、そのほかの添加物も単独系では、本発明の効果が得られないことが確認された。
【0039】
【表5】


【0040】
(実施例15)
合い挽き肉585g、みじん切りにして予めソテーした玉ねぎ150g、パン粉50g、卵63g。食塩4g、胡椒1g、ナツメグ1g、グルタミン酸ナトリウム(商品名「味の素」、味の素株式会社)1g、水145gを粘りがでるまで十分に混合し、さらに、クエン酸三ナトリウム61.4重量部、クエン酸カルシウム4.3重量部、アルギン酸ナトリウム14.3重量部及び結晶セルロース20.0重量部からなる惣菜食品用組成物を品質改良剤として10g添加し混合し、1時間冷蔵庫で保存した。保存後ハンバーグパティを成型機で製造した。ハンバーグパティをオーブンで、200℃、13分焼成し、惣菜食品用品質改良剤を含むハンバーグを得た。
【0041】
(実施例16)
合い挽き肉585g、みじん切りにして予めソテーした玉ねぎ150g、パン粉50g、卵63g。食塩4g、胡椒1g、ナツメグ1g、グルタミン酸ナトリウム(商品名「味の素」、味の素株式会社)1g、水145gを粘りがでるまで十分に混合し、さらに、クエン酸三ナトリウム42.0重量部、クエン酸カルシウム8.0重量部、アルギン酸ナトリウム30.0重量部及びコーンペプチド20.0重量部からなる惣菜食品用組成物を品質改良剤として10g添加し混合し、1時間冷蔵庫で保存した。保存後ハンバーグパティを成型機で製造した。ハンバーグパティをオーブンで、200℃、13分焼成し、惣菜食品用品質改良剤を含むハンバーグを得た。
【0042】
(実施例17)
合い挽き肉585g、みじん切りにして予めソテーした玉ねぎ150g、パン粉50g、卵63g。食塩4g、胡椒1g、ナツメグ1g、グルタミン酸ナトリウム(商品名「味の素」、味の素株式会社)1g、水145gを粘りがでるまで十分に混合し、さらに、クエン酸三ナトリウム42.0重量部、クエン酸カルシウム8.0重量部、アルギン酸ナトリウム30.0重量部及びエンドウたん白20.0重量部からなる惣菜食品用組成物を品質改良剤として10g添加し混合し、1時間冷蔵庫で保存した。保存後ハンバーグパティを成型機で製造した。ハンバーグパティをオーブンで、200℃、13分焼成し、惣菜食品用品質改良剤を含むハンバーグを得た。
【0043】
(実施例18)
合い挽き肉585g、みじん切りにして予めソテーした玉ねぎ150g、パン粉50g、卵63g。食塩4g、胡椒1g、ナツメグ1g、グルタミン酸ナトリウム(商品名「味の素」、味の素株式会社)1g、水145gを粘りがでるまで十分に混合し、さらに、クエン酸三ナトリウム53.0重量部、クエン酸カルシウム10.0重量部及びアルギン酸ナトリウム37.0重量部からなる惣菜食品用組成物を品質改良剤として10g添加し混合し、1時間冷蔵庫で保存した。保存後ハンバーグパティを成型機で製造した。ハンバーグパティをオーブンで、200℃、13分焼成し、惣菜食品用品質改良剤を含むハンバーグを得た。
【0044】
(実施例19)
<惣菜食品用組成物の調製>
クエン酸三ナトリウム(結晶)55.3g、クエン酸カルシウム3.8g、ローカストビーンガム1g、アルギン酸11.0g、トレハロース28.9gを混合し、粉末タイプの惣菜食品用組成物100gを得た。
<ハンバーグの製造>
合い挽き肉485g、みじん切りにして予めソテーした玉ねぎ200g、パン粉100g、卵63g。食塩4g、胡椒1g、ナツメグ1g、グルタミン酸ナトリウム(商品名「味の素」、味の素株式会社)1g、水100gを粘りがでるまで十分に混合し、さらに上記の惣菜食品用組成物を品質改良剤として8g添加し混合した。さらに、豚脂45gを加えて混合した後、成型機で、1個あたり50gの円形(直径75mm)のハンバーグパティを得た。ハンバーグパティをオーブンで、200℃で12分30秒焼成し、本発明の惣菜食品用組成物を含むハンバーグを得た。
【0045】
(対照例3及び比較例23)
品質改良剤として、参考例1のリン酸塩Aを用いて、実施例19と同様の原料組成比及び製造方法でハンバーグを得た(参考例23)。さらに、品質改良剤を含まないハンバーグを得た(対照例3)。
【0046】
(試験例6)
実施例19、対照例3、比較例23のハンバーグを用いて官能試験を行った。官能試験は、5名のパネラーが、これら3種類のハンバーグのうち、2種類のハンバーグを一組として、2種類のハンバーグを食し、食感の評価項目として、歯切れの良さ、ソフト感、ジューシー感及び風味を評価し、各項目で好ましいハンバーグを選択した。その結果、第1組〜第3組までの官能試験において、いずれの項目でも本発明の惣菜食品用組成物を品質改良剤として含む実施例19のハンバーグが対照例3または比較例23のハンバーグよりも高い評価を得ることができた(表6)。
【0047】
【表6】






【出願人】 【識別番号】000000217
【氏名又は名称】エーザイ株式会社
【住所又は居所】東京都文京区小石川4丁目6番10号
【出願日】 平成17年5月13日(2005.5.13)
【代理人】
【公開番号】 特開2005−348731(P2005−348731A)
【公開日】 平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願番号】 特願2005−140464(P2005−140464)