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【発明の名称】 飲料水
【発明者】 【氏名】田中 弥生

【氏名】高橋 徹成

【氏名】池水 昭一

【要約】 【課題】水と同様の感覚で継続的に飲むことのできる便秘改善効果、乾燥肌及び敏感肌改善効果に優れた飲料水、特に、介護が必要な傷害者や病人が持ち易く、落としても破損しないペットボトル容器に入れた便秘改善効果、乾燥肌及び敏感肌改善効果に優れた飲料水を提供する。

【解決手段】平均重合度が4〜11である中性キシロオリゴ糖混合物及び/又は1分子当たりウロン酸残基を1つ以上有する平均重合度が4〜15である酸性キシロオリゴ糖混合物からなるキシロオリゴ糖組成物を0.1〜5質量%含有する飲料水、特にペットボトル入り飲料水。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均重合度が4〜11である中性キシロオリゴ糖混合物及び/又は1分子当たりウロン酸残基を1つ以上有する平均重合度が4〜15である酸性キシロオリゴ糖混合物からなるキシロオリゴ糖組成物を0.1〜5質量%含有することを特徴とする飲料水。
【請求項2】
前記中性キシロオリゴ糖混合物及び/又は酸性キシロオリゴ糖混合物は、それぞれの混合物におけるキシロース成分、キシロビオース成分及びキシロトリオース成分の合計含有量がそれぞれのキシロオリゴ糖混合物中で10〜30質量%であることを特徴とする請求項1記載の飲料水。
【請求項3】
前記酸性キシロオリゴ糖混合物が、グルクロン酸残基及び4−o−メチルグルクロン酸残基から選ばれるウロン酸残基を側鎖として1分子中に少なくとも1つ以上有する酸性キシロオリゴ糖を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の飲料水。
【請求項4】
前記キシロオリゴ糖組成物が、リグノセルロース材料を酵素的及び/又は物理化学的に処理して得られたオリゴ糖混合物とリグニン成分の複合体を酸加水分解処理することによって得られたオリゴ糖混合物の少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の飲料水。
【請求項5】
前記中性キシロオリゴ糖混合物及び酸性キシロオリゴ糖混合物は、リグノセルロース材料を酵素的及び/又は物理化学的に処理して得られたオリゴ糖混合物及び/又はリグニン成分の複合体を酸加水分解処理して得られるオリゴ糖混合物から、中性キシロオリゴ糖画分と1分子中に少なくとも1つ以上のウロン酸残基を側鎖として有する酸性キシロオリゴ糖画分とを分離することによって得られる各オリゴ糖混合物よりなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の飲料水。
【請求項6】
前記請求項1〜5のいずれか1項に記載の飲料水を充填してなるポリエステルボトル入り飲料水。
【請求項7】
ボトル本体及び/又はその包装材に便秘改善効果、乾燥肌及び敏感肌改善効果を表示してなる請求項6記載のポリエステルボトル入り飲料水。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、便秘改善効果、乾燥肌及び敏感肌改善効果に優れた飲料水に関し、病院や老人ホーム等での使用に適した容器入り飲料水、特にペットボトル入り飲料水に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、成人病の増加や高齢化に伴い、様々な病気の予防・改善を目的とした機能性を付加した健康飲料、清涼飲料水が開発されている。便秘改善を目的とした飲料としては、キシロオリゴ糖、ビタミン、ビーフペプチド等を混合して添加した健康飲料(特許文献1参照)、難消化性デキストリンを添加した清涼飲料水(特許文献2参照)が報告されている。しかし、1日に水と同様に継続的に摂取することを想定した場合、前者では、複数の成分が混合されているため、過剰摂取が適さない成分による人体への影響が懸念されるし、後者では、人によっては、お腹が膨張感を受け継続的な摂取が容易でない場合もある。
【0003】
最近、高齢者では、加齢と共に皮膚中に含まれる天然保湿因子、セラミドなどが減少するため、乾燥肌が増加している。又、季節の変わり目にホルモンバランスの影響、肌の乾燥などの理由により敏感肌になる女性も増加している。乾燥肌や敏感肌では皮膚の角質層が破壊されているため、雑菌、アレルゲンなどが皮膚から侵入し、炎症を引き起こす。乾燥肌や敏感肌を改善するために様々な化粧品が開発されているが、化粧品に含まれる成分により症状を悪化させる場合もある。乾燥肌改善作用のある成分としてトレハロース及びその誘導体が報告されているが外用剤としての使用を目的としており、内服での効果については記載されていない(特許文献3参照)。
【特許文献1】特開2002−272430号公報
【特許文献2】特開2003−164272合公報
【特許文献3】特開2000−226320号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、病院、老人ホーム等の医療機関では、患者や老人が長時間ベッドに横たわるために生じる便秘が一つの大きな問題となっていることから、水と同様の感覚で継続的に飲むことのできる便秘改善効果に優れた飲料水が望まれている。又、患者や病人が飲料水を飲む場合、紙容器や瓶ではなく持ち易く、落としても破損しないペットボトル容器に入れた飲料水が望まれている。又、乾燥肌や敏感肌改善のために開発された化粧品は、直接、肌に塗布されるため人によっては化粧品の成分によってアレルギーなどを引き起こすため、内服により乾燥肌及び敏感肌改善効果を示すような飲料水が望まれている。
本発明の課題は、人体に対する安全性が高く、便秘改善効果や、乾燥肌及び敏感肌改善効果に優れた、水と同様の感覚で継続的に飲むことのできる容器入り飲料水、特にペットボトル入り飲料水を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、前記課題を解決する為、鋭意研究した結果、特定の平均重合度を有するキシロオリゴ糖組成物(中性キシロオリゴ糖、酸性キシロオリゴ糖)を含有する飲料水が優れた便秘改善効果、酸性キシロオリゴ糖を含有する飲料水が乾燥肌及び敏感肌改善効果を発揮することを見出した。さらに該キシロオリゴ糖組成物は、他のオリゴ糖に比べて甘みが極めて低く、又、酸味もないため、効果が得られる範囲で飲料水に含有させた場合、通常の水と同様の感覚で飲むことができるというメリットがあることを見出し、本発明を完成させるに至った。本発明は、以下の各発明を包含する。
【0006】
(1)平均重合度が4〜11である中性キシロオリゴ糖混合物及び/又は1分子当たりウロン酸残基を1つ以上有する平均重合度が4〜15である酸性キシロオリゴ糖混合物からなるキシロオリゴ糖組成物を0.1〜5質量%含有することを特徴とする飲料水。
【0007】
(2)前記中性キシロオリゴ糖混合物及び/又は酸性キシロオリゴ糖混合物は、それぞれの混合物におけるキシロース成分、キシロビオース成分及びキシロトリオース成分の合計含有量がそれぞれのキシロオリゴ糖混合物中で10〜30質量%であることを特徴とする(1)項記載の飲料水。
【0008】
(3)前記酸性キシロオリゴ糖混合物が、グルクロン酸残基及び4−o−メチルグルクロン酸残基から選ばれるウロン酸残基を側鎖として1分子中に少なくとも1つ以上有する酸性キシロオリゴ糖を含有することを特徴とする(1)項又は(2)項に記載の飲料水。
【0009】
(4)前記キシロオリゴ糖組成物が、リグノセルロース材料を酵素的及び/又は物理化学的に処理して得られたオリゴ糖混合物とリグニン成分の複合体を酸加水分解処理することによって得られたオリゴ糖混合物の少なくとも1種を含有することを特徴とする(1)項〜(3)項のいずれか1項に記載の飲料水。
【0010】
(5)前記中性キシロオリゴ糖混合物及び酸性キシロオリゴ糖混合物は、リグノセルロース材料を酵素的及び/又は物理化学的に処理して得られたオリゴ糖混合物及び/又はリグニン成分の複合体を酸加水分解処理して得られるオリゴ糖混合物から、中性キシロオリゴ糖画分と1分子中に少なくとも1つ以上のウロン酸残基を側鎖として有する酸性キシロオリゴ糖画分とを分離することによって得られる各オリゴ糖混合物よりなることを特徴とする(1)項〜(4)項のいずれか1項に記載の飲料水。
【0011】
(6)前記(1)項〜(5)項のいずれか1項に記載の飲料水を充填してなるポリエステルボトル入り飲料水。
【0012】
(7)ボトル本体及び/又はその包装材に便秘改善効果、乾燥肌及び敏感肌改善効果を表示してなる(6)項記載のポリエステルボトル入り飲料水。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、人体に対する安全性が高く、便秘改善効果、乾燥肌及び敏感肌改善効果に優れた飲料水、特にポリエステルボトル入り飲料水が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の飲料水について詳述するが、本発明は以下の説明によって限定されるものではない。
【0015】
本発明のキシロオリゴ糖組成物を含有する飲料水は、以下に述べる中性キシロオリゴ糖混合物及び/又は酸性キシロオリゴ糖混合物を有効成分として含有する。
本発明で使用する中性キシロオリゴ糖混合物は、キシロースと、キシロース重合体の重合度2〜15の間にあるものの混合物であり、平均重合度が4〜11のものである。中性キシロオリゴ糖の平均重合度が11を越えると飲料水に添加して冷蔵したときに沈殿を生じるため好ましくない。また、中性オリゴ糖中でキシロース、キシロビオース及びキシロトリオースの合計量が全キシロオリゴ糖中で10〜30質量%であることが好ましい。その理由は、重合度が高いオリゴ糖が多すぎると、冷蔵したときに、条件次第では沈殿する可能性があるのに対して、キシロース、キシロビオース及びキシロトリオースの合計が上記割合で存在する場合には沈殿が生じ難いことにある。
【0016】
本発明に使用する酸性キシロオリゴ糖混合物としては、分子中にウロン酸残基を有する酸性キシロオリゴ糖の混合物を用いることができる。ウロン酸は、天然では、ペクチン、ペクチン酸、アルギン酸、ヒアルロン酸、ヘパリン、コンドロイチン硫酸、デルタマン硫酸等の種々の生理活性を持つ多糖の構成成分として知られている。本発明の酸性キシロオリゴ糖混合物は、特に限定するものではないが、ウロン酸残基としてグルクロン酸残基もしくは4−o−メチル−グルクロン酸残基を有するものが好ましい。
【0017】
本発明で使用する酸性キシロオリゴ糖混合物は、キシロース成分と、キシロース成分の重合度が2〜20程度のオリゴ糖の混合物であって、平均重合度が4〜15のものである。酸性キシロオリゴ糖混合物中の各成分は、分子中にウロン酸残基を1つ以上有している。酸性キシロオリゴ糖は、重合度が高い方が整腸作用が高いので、酸性キシロオリゴ糖混合物の平均重合度は4以上であることが必要である。しかし、平均重合度が15を越えるものは製造が困難で少量しか製造できないために高価であるので、平均重合度は8〜15の範囲が好ましい。
【0018】
上記のようなキシロオリゴ糖組成物を得ることが出来れば、その製法は特に限定されず、例えば、次のような製法が挙げられる。
【0019】
(1)木材からキシランを抽出し、それを酵素的に分解する方法(セルラーゼ研究会発行、セルラーゼ研究会報第16巻、2001年6月14日発行、p17−26参照)。
【0020】
(2)リグノセルロース材料を酵素的及び/又は物理化学的に処理してキシロオリゴ糖成分とリグニン成分の複合体を得た後、該複合体を酸加水分解処理してキシロオリゴ糖混合物を得る方法。
【0021】
(3)上記(2)の方法で得られるキシロオリゴ糖混合物から、さらに、1分子中に少なくとも1つ以上のウロン酸残基を側鎖として有する酸性キシロオリゴ糖を分離する方法。
上記の各方法のうち、特に、(2)及び(3)の方法が2〜15量体の範囲で、比較的高い重合度の中性及び酸性のキシロオリゴ糖混合物を大量に安価に製造することが可能である点で好ましい。以下に(2)及び(3)の方法の概要を示す。
【0022】
キシロオリゴ糖組成物は、化学パルプ由来のリグノセルロース材料を原料とし、加水分解工程、濃縮工程、希酸処理工程、精製工程を経て得ることができる。
加水分解工程では、希酸処理、高温高圧の水蒸気(蒸煮・爆砕)処理もしくは、ヘミセルラーゼによってリグノセルロース中のキシランを選択的に加水分解し、キシロオリゴ糖とリグニンからなる高分子量の複合体を中間体として得る。
【0023】
濃縮工程では逆浸透膜等により、キシロオリゴ糖−リグニン様物質複合体が濃縮され、低重合度のキシロオリゴ糖成分や低分子の夾雑物などを除去することができる。濃縮工程は逆浸透膜を用いることが好ましいが、限外濾過膜、塩析、透析などでも可能である。
【0024】
得られた濃縮液から希酸処理工程により、複合体からリグニン様物質が遊離され、長鎖のキシロオリゴ糖成分を含む希酸処理液を得る。この時、複合体から切り離されたリグニン様物質は酸性下で縮合し沈殿するのでセラミックフィルターや濾紙などを用いた濾過等により除去することができる。希酸処理工程では、酸による加水分解を用いることが好ましいが、リグニン分解酵素などを用いた酵素分解等でも可能である。
【0025】
精製工程は、限外濾過工程、脱色工程、吸着工程からなる。一部のリグニン様物質は可溶性高分子として溶液中に残存するが、限外濾過工程で除去され、着色物質等の夾雑物は活性炭を用いた脱色工程によってそのほとんどが取り除かれる。限外濾過工程は限外濾過膜を用いることが好ましいが、逆浸透膜、塩析、透析などでも可能である。
【0026】
こうして得られた糖液中には、本発明において使用する中性キシロオリゴ糖類と、キシロオリゴ糖分子中にウロン酸などの酸性糖側鎖を持つ酸性キシロオリゴ糖類が溶解している。この糖液からイオン交換樹脂を用いた吸着工程により、以下の方法で中性キシロオリゴ糖画分、及び酸性キシロオリゴ糖画分を分離すことができる。
まず、糖液を強陽イオン交換樹脂で処理し、糖液中の金属イオンを除去する。次に、強陰イオン交換樹脂を用いて糖液中の硫酸イオンなどを除去する。この工程では、硫酸イオンの除去と同時に弱酸である有機酸の一部と着色成分の除去も同時に行われる。
強陰イオン交換樹脂で処理された糖液はもう一度強陽イオン交換樹脂で処理し、更に金属イオンを除去する。
【0027】
最後に弱陰イオン交換樹脂で処理し、酸性キシロオリゴ糖画分を樹脂に吸着させ、中性キシロオリゴ糖画分のみを回収する。樹脂に吸着した酸性オリゴ糖画分は、低濃度の塩(NaCl、CaCl2、KCl、MgCl2など)によって溶出させることにより、夾雑物を含まない酸性キシロオリゴ糖溶液を得ることができる。
これらの溶液を、例えば、スプレードライや凍結乾燥処理に付すことにより、白色の中性キシロオリゴ糖混合物の粉末、及び酸性キシロオリゴ糖混合物の粉末を得ることができる。
【0028】
上記方法により製造した中性キシロオリゴ糖混合物及び/又は酸性キシロオリゴ糖混合物を通常の水、純水、ミネラルウォーター等の飲料水に溶解させて飲料水を調製する。調製されたキシロオリゴ糖含有飲料水は、ポリエステル製ボトルに充填して使用することができる。使用するボトルのサイズは特に限定されないが、250〜500mlの容器が持ちやすさの点から好ましい。
【0029】
本発明の中性キシロオリゴ糖を含有する飲料水が便秘改善効果、酸性キシロオリゴ糖を含有する飲料水が便秘改善効果、乾燥肌及び敏感肌改善効果を発揮する飲料水であるためには、キシロオリゴ糖組成物の含有量は0.1%〜5.0質量%であることが必要であり、好ましくは0.2〜1.0質量%含有するものである。
飲料水のボトルは、1日に1本飲むこととすれば飲み忘れたり、飲みすぎたりすることはないので、例えば、病院での入院患者に配布する場合にも便利である。1日に推奨されるキシロオリゴ糖の摂取量は0.5〜5gであるので、ボトル1本中にキシロオリゴ糖が0.5〜5gとなるようにすることが好ましい。
ボトルには、便秘改善あるいは乾燥肌や敏感肌の改善のために1日に必要な本数を年齢、性別、体調等に応じて、表示することが好ましい。
【0030】
本発明のキシロオリゴ糖含有飲料水には、一般の飲料水に添加して使用される任意成分を含有させることが出来る。任意成分としては、例えば、pH調製剤、抗酸化剤などが挙げられる。
【実施例】
【0031】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。各測定法の概要及び本発明の飲料水における有効成分としての長鎖のキシロオリゴ糖の調製例は以下のとおりである。
【0032】
<測定方法>
(1)全糖量の定量: 全糖量は、検量線をD−キシロース(和光純薬工業製:品番244−00302)を用いて作製し、フェノール硫酸法(「還元糖の定量法」学会出版センター出版)にて定量した。
【0033】
(2)還元糖量の定量: 還元糖量は検量線をD−キシロース(和光純薬工業製:品番244−00302)を用いて作製し、ソモジ−ネルソン法(「還元糖の定量法」学会出版センター出版)にて定量した。
【0034】
(3)平均重合度の決定法: サンプル糖液を50℃に保ち15000rpmにて15min遠心分離し不溶物を除去する。上清液の全糖量を還元糖量(共にキシロース換算)で割って、平均重合度を求めた。
【0035】
(4)イオンクロマトグラフィーによる分析: キシロオリゴ糖の分析にはイオンクロマトグラフィー(ダイオネクス社)を用いた。分析には糖類の分析に適したカラムとしてCarboPacPA−10(ダイオネクス社)を用いた。
【0036】
<キシロオリゴ糖の製造>
各実施例で使用したキシロオリゴ糖組成物は、以下の製造方法にしたがって製造したものを使用した。
【0037】
(酵素処理工程)
国内産広葉樹チップ70質量%、ユーカリ材30質量%からなる混合広葉樹チップを原料として、クラフト蒸解によりカッパー価20.1、パルプ粘度41cpsの工場製の未晒パルプを得た。次いで、酸素脱リグニンを行い、カッパー価9.6、パルプ粘度25.1cpsの酸素脱リグニンパルプを得た。このパルプを洗浄後、パルプ濃度を10%に調整し、希硫酸を加えてpH8に調整し、次いで、バチルス・エスピーS−2113株(独立行政法人 産業技術総合研究所生物寄託センター 寄託菌株FERM BP−5264)の生産するキシラナーゼを対パルプ1ユニット/gとなるように添加し、60℃で120分処理した。処理後、100メッシュの濾布で濾過してパルプ残渣などを分離し、全糖濃度3700mg/lを含む1050リッター(全糖量として3900g)の処理液を得た。続いてNF膜(日東電工製:NTR−7450、膜質:スルホン化ポリエーテルスルホン系、食塩阻止率50%)を用いて容量比で40倍に濃縮した。この濃縮液は全糖量で2700gを有しており、全糖回収率は70%であった。
【0038】
(酸加水分解処理工程)
上記工程で得られた濃縮糖液1,000mlに対して、硫酸を添加してpHを3.5に調製した後、この濃縮糖液を121℃にて1時間反応させた。反応生成物をイオンクロマト用カラム(ダイオネクス社:PA−10)を用いたイオンクロマトグラフィーで分析した結果、表1に示すような重合度分布(表1中、X1はキシロース、X2〜X13はキシロースの重合度)のキシロオリゴ糖混合物(主として2量体〜10量体)を含むことが判明した。
【0039】
【表1】


【0040】
(キシロオリゴ糖混合物の精製・分離工程)
酸加水分解処理工程で調製したキシロオリゴ糖混合物の糖溶液(117mg/ml)10ml、全糖量として1.2gを強酸性イオン交換樹脂(ローム・アンド・ハース社製:アンバーライト200C)を充填したカラム(内径36mm、長さ150mm)に負荷した。カラムを通過したキシロオリゴ糖を回収した後に、弱塩基性イオン交換樹脂(ローム・アンド・ハース社製:IRA67)を充填した同様のカラムに負荷58。カラムを通過し得られたキシロオリゴ糖は、濃縮後、80mgの活性炭(和光純薬製:品番037−02115)をキシロオリゴ糖溶液に添加して60℃にて1時間攪拌し、脱色を行った。攪拌後は0.22μmのメンブレンフィルターで活性炭を濾過し、精製したキシロオリゴ糖溶液を得た。精製後のキシロオリゴ糖混合物の平均重合度は、以下の方法により測定により測定し、その結果は5.0であった。また、重合度が2のものが6.8質量%、重合度3のものが10.2質量%、重合度が4〜11のものは合計で約74.6質量%であつた。重合度12以上のものも存在して入るが、正確に定量できる量ではなかった。このキシロオリゴ糖混合物を以下の本実施例では、XN5と称する。
【0041】
上記の中性キシロオリゴ糖の精製・分離工程で弱塩基性イオン交換樹脂カラムに吸着したものを、同カラムに75mM NaCl溶液を通すことによって溶出させた。該溶出液をスプレードライ処理することによって、酸性キシロオリゴ糖混合物の粉末(全糖量353g、回収率13.1%)を得た。以下、この酸性キシロオリゴ糖混合物をUX10と称する。前述の測定方法により、UX10は、平均重合度10.3、キシロース鎖長の上限と下限との差は10、酸性キシロオリゴ糖1分子あたりウロン酸残基を1つ含む酸性キシロオリゴ糖の混合物であった。
【0042】
(測定方法)
(1)全糖量の定量:
全糖量は検量線をD−キシロース(和光純薬工業)を用いて作製し、フェノール硫酸法(還元糖の定量法;学会出版センター)にて定量した。
(2)還元糖量の定量:
還元糖量は検量線をD−キシロース(和光純薬工業)を用いて作製、ソモジ−ネルソン法(還元糖の定量法;学会出版センター)にて定量した。
【0043】
(3)平均重合度の決定法:
サンプル糖液を50℃に保ち15000rpmにて15分遠心分離し不溶物を除去し上清液の全糖量を還元糖量(共にキシロース換算)で割って平均重合度を求めた。
(4)ウロン酸量の定量:
ウロン酸は検量線をD−グルクロン酸〔和光純薬工業(株)製〕を用いて作製、カルバゾール硫酸法(還元糖の定量法、学会出版センター発行)にて定量した。
【0044】
次に、上記の製造された中性キシロオリゴ糖混合物及び酸性キシロオリゴ糖混合物からなるキシロオリゴ糖組成物について、本発明の効果を確認するため、以下の試験を行なった。
【0045】
<実施例1〜3及び比較例1、2>
本発明の中性キシロオリゴ糖混合物(XN5)を溶解した飲料水(ペットボトル入り)を作製し、ヒト効果試験により便秘改善効果を調べた。
【0046】
実施例1
中性キシロオリゴ糖混合物(XN5)を純水(500ml)に0.1質量%含有させた後、フィルターで無菌濾過し、500ml容量のペットボトルに充填し、実施例1の飲料水とした。
【0047】
実施例2
中性キシロオリゴ糖混合物(XN5)を純水(500ml)に1.0質量%含有させた後、フィルターで無菌濾過し、500ml容量のペットボトルに充填し、実施例2の飲料水とした。
【0048】
実施例3
中性キシロオリゴ糖混合物(XN5)を純水(500ml)に5.0質量%含有させた後、フィルターで無菌濾過し、500ml容量のペットボトルに充填し、実施例3の飲料水とした。
【0049】
比較例1
キシロオリゴ糖を含まない純水(500ml)をフィルターで無菌濾過し500ml容量のペットボトルに充填し、比較例1の飲料水とした。
【0050】
比較例2
中性キシロオリゴ糖混合物(XN5)を純水(500ml)に0.01質量%含有させた後、フィルターで無菌濾過し、500ml容のペットボトルに充填し、比較例2の飲料水とした。
【0051】
上記実施例1〜3及び比較例1、2で作製した飲料水について、以下の要領でヒト効果試験を行った。
250名(男:82名、女:168名、年齢18〜64歳)を年齢・性別ができるだけ均等になるように各々50名ずつ5のグループに分けた。各グループに実施例1〜3及び比較例1,2の飲料水(500ml)を1日当り1本毎日(30日間)飲んでもらい、試験終了後にアンケート調査を行った。
「便秘改善効果があった」と答えた人が「改善効果がなかった」と答えた人の数の比が2倍以上認められた場合、効果に差があると判断した。又、「便秘改善効果があった」と答えた人の数が「どちらともいえない」と答えた人の数を上回った場合、便秘改善効果が十分に現れていると判断した。結果を表2に示す。表2から明らかなように、実施例1〜3の飲料水に十分な便秘改善効果があると評価された。キシロオリゴ糖組成物は0.1質量%〜5.0質量%含有させることによって特に顕著な便秘改善効果が現われる。
【0052】
【表2】


【0053】
<実施例4〜6、比較例3>
本発明の酸性キシロオリゴ糖混合物(UX10)を溶解した飲料水(ペットボトル入り)を作製し、ヒト効果試験により便秘改善効果を調べた。
【0054】
比較例3
酸性キシロオリゴ糖混合物(UX10)を純水(500ml)に0.01質量%含有させた後、フィルターで無菌濾過し、500ml容のペットボトルに充填し、比較例3の飲料水とした。
【0055】
実施例4
酸性キシロオリゴ糖混合物(UX10)を純水(500ml)に0.1質量%含有させた後、フィルターで無菌濾過し、500ml容量のペットボトルに充填し、実施例4の飲料水とした。
【0056】
実施例5
酸性キシロオリゴ糖混合物(UX10)を純水(500ml)に1.0質量%含有させた後、フィルターで無菌濾過し、500ml容量のペットボトルに充填し、実施例5の飲料水とした。
【0057】
実施例6
酸性キシロオリゴ糖混合物(UX10)を純水(500ml)に5質量%含有させた後、フィルターで無菌濾過し、500ml容量のペットボトルに充填し、実施例6の飲料水とした。
【0058】
上記実施例4〜6及び比較例3で作製した飲料水について、以下の要領でヒト効果試験を行った。
200名(男:62名、女:138名、年齢19〜65歳)を年齢・性別ができるだけ均等になるように各々50名ずつ4のグループに分けた。各グループに実施例4〜6及び比較例3の飲料水(500ml)を1日当り1本、毎日(30日間)飲んでもらい、前記実施例1〜3及び比較例1、2と同様の試験を行った。結果を表3に示す。表3から明らかなように、実施例4〜6の飲料水に十分な便秘改善効果があると評価された。キシロオリゴ糖組成物は0.1質量%〜5.0質量%含有させることによって特に顕著な便秘改善効果が現われる。
【0059】
【表3】


【0060】
上記実施例4〜6及び比較例3で作製した飲料水について、以下の要領でヒト効果試験を行った。
乾燥肌/敏感肌の症状のある男女160名(年齢20〜69歳)を年齢ができるだけ均等になるように各々40名ずつ4のグループに分けた。各グループに実施例4〜6及び比較例3の飲料水(500ml)を1日当り1本毎日(30日間)飲んでもらい、試験終了後にアンケート調査を行った。「乾燥肌/敏感肌改善効果があった」と答えた人が「改善効果がなかった」と答えた人の数の比が2倍以上認められた場合、効果に差があると判断した。又、「乾燥肌/敏感肌改善効果があった」と答えた人の数が「どちらともいえない」と答えた人の数を上回った場合、乾燥肌/敏感肌改善効果が十分に現れていると判断した。結果を表4に示す。表4から明らかなように、実施例4〜6の飲料水に十分な乾燥肌/敏感肌改善効果があると評価された。キシロオリゴ糖組成物は0.1質量%〜5.0質量%含有させることによって特に顕著な乾燥肌/敏感肌改善効果が現われる。
【0061】
【表4】


【0062】
実施例7
<安定性試験>
キシロオリゴ糖混合物(XN5、UX10)の1質量%水溶液を調製後、室温、及び40℃で保存した。調製直後、及び1ヶ月保存後のキシロオリゴ糖水溶液をイオンクロマトグラムで分析した。室温、40℃での1ケ月保存後におけるサンプルのクロマトグラムのパターンは、調製直後のサンプルと比較して変化はなかった。また、クロマトグラムにおける各ピークの面積の差は、1ケ月保存後のサンプルと調製直後のサンプルの間で、5%未満であった。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明のキシロオリゴ糖組成物(中性キシロオリゴ糖、酸性キシロオリゴ糖)を含有する飲料水は、便秘改善効果、酸性キシロオリゴ糖組成物を含有する飲料水は乾燥肌及び敏感肌改善効果に優れるのみならず、人体に対する安全性が高く大量摂取しても人体への影響がないし、また、異臭や異風味がなくて飲みやすく、保存安定性にも優れるので、長期間、継続的に摂取する便秘治療用飲料、乾燥肌及び敏感肌改善用飲料としてのみならず、ボトル入り健康飲料とすることが可能である。
【出願人】 【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子製紙株式会社
【出願日】 平成17年5月11日(2005.5.11)
【代理人】 【識別番号】100102369
【弁理士】
【氏名又は名称】金谷 宥

【公開番号】 特開2005−348729(P2005−348729A)
【公開日】 平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願番号】 特願2005−138864(P2005−138864)