| 【発明の名称】 |
製品のレトルト処理方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】田中 敏正 【住所又は居所】東京都江東区大島3丁目2番6号 株式会社吉野工業所内
【氏名】清水 一彦 【住所又は居所】千葉県松戸市稔台310 株式会社吉野工業所松戸工場内
【氏名】飯塚 高雄 【住所又は居所】東京都江東区大島3丁目2番6号 株式会社吉野工業所内
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| 【要約】 |
【課題】本発明はレトルト処理の工程設計指針に係るものであり、合成樹脂製容器が膨出状に永久変形しない工程制御方法を提示することを課題とし、もって合成樹脂製容器に内容物を収納した製品に適したレトルト処理方法を提供することを目的とする。
【解決手段】合成樹脂製容器に内容物を収納した製品のレトルト処理方法であって、蒸気式による一定温度での熱殺菌処理工程後の冷却工程において、製品温度が少なくとも容器を形成する合成樹脂のガラス転移温度近傍の所定温度に冷却されるまで、レトルト釜の圧力を熱殺菌処理工程の圧力レベルを保持できるように制御すること、にある。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 合成樹脂製容器に内容物を収納した製品の蒸気式によるレトルト処理方法であって、一定温度での熱殺菌処理工程後の冷却工程において、少なくとも製品温度が前記容器を形成する合成樹脂のガラス転移温度近傍の所定温度に冷却されるまで、レトルト釜の圧力を熱殺菌処理工程時の圧力レベルを保持できるように制御することを特徴とするレトルト処理方法。 【請求項2】 合成樹脂製容器を二軸延伸ブロー成形したポリエチレンテレフタレート系樹脂製の壜体とし、所定温度を80℃とした請求項1記載のレトルト処理方法。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は合成樹脂製容器に内容物を収納した製品のレトルト処理方法に関する。 【背景技術】 【0002】 従来から、食品のレトルト用容器として金属製缶、ガラス製壜体、あるいは合成樹脂製容器等が使用されている。この中で合成樹脂製容器は安価で軽量であり、また食品を充填した後の取り扱い、使用時の取り扱いが容易である等の理由により広く利用されている。しかし一方でレトルト処理が120〜130℃程度の温度、20分程度の時間の加熱殺菌が行なわれ、高温下、容器内が相当の加圧状態になる等厳しい条件下に置かれるため、容器の耐熱変形性、シール性等の点からさまざまな対応が要求される。たとえば、特許文献1にはレトルト処理向けのカップ状容器に関する記載がある。 【0003】 また、ポリエチレンテレフタレート樹脂製壜体(以下PETボトルと記載する場合もある。)は従来より、高温での殺菌を必要とするたとえば果汁飲料、お茶等の用途に幅広く使用されており、所謂高温充填法と呼ばれる方法で90℃前後の温度で内容液を充填して使用されている。 【0004】 特に2軸延伸ブロー成形のPETボトルは成形時の延伸配向結晶化により透明性を維持しながら、強度が高く、耐熱性が高くしかも安価に製造される容器であり、近年においてはレトルト処理を必要とする食品向けへも使用されるようになってきている。 【特許文献1】特開2002−166970号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 図2に金属缶でのレトルト処理におけるレトルト釜(以下単に釜と記す。)内での釜内温度Tkと釜内圧力Pkとの制御方法の代表的な例を示す説明図である。釜内に製品を入れてから取り出すまでの全工程は予熱工程a、脱気工程b、加熱工程c、熱殺菌処理工程d、そして冷却工程eの5つのサブ工程から構成される。そして蒸気式レトルト釜の場合には、飽和水蒸気圧で熱処理するので容器の内外での圧力差に留意して釜内の圧力、温度を制御する必要がある。 【0006】 また、蒸気式レトルト釜の場合所定の温度の蒸気を釜内に送りこんで、水蒸気を飽和状態とし処理する方式であり、図2のように熱殺菌処理工程dの温度を124℃とすれば釜内圧力Pkは0.13MPaと一義的に決まってしまう。 【0007】 金属缶としては円筒形状の容器が多く使用されるが、この場合には特に缶内が負圧状態になると缶の胴部が陥没状の反転変形をしてしまい、釜から取り出した後もその変形が残ってしまうので、その観点から熱殺菌処理工程d後、冷却工程eが開始するタイミング(図2中のt4)で、釜内圧力Pkを0.13MPaから下げて、以降コンプレッサーで圧空を供給しながら0.08〜0.1MPa程度のレベルになるように制御している。なお図2中のグラフでゲージ圧は大気圧に対する圧力を示したものであり、ゲージ圧0は大気圧に相当する。 【0008】 一方、合成樹脂製容器をレトルト食品向けに使用する場合には、上記のように容器内が負圧状態になって陥没状の変形が発生しても、処理後容器内外の圧力がバランスすれば比較的容易に元の形状に回復が可能である。 【0009】 しかしながら熱殺菌処理工程dでの処理温度は120〜130℃程度で、容器内の気体や内容物成分の蒸気圧の上昇等により容器内の圧力が上昇して正圧状態となり、PET樹脂等の汎用樹脂のガラス転移温度より相当高い温度領域で膨出状の変形が発生することになり、膨出状に永久変形しないようにする必要があり、そのための形状、材質を含めた容器の設計、そしてレトルト処理の工程設計指針の提供が要請される。 【0010】 本発明はレトルト処理の工程設計指針に係るものであり、合成樹脂製容器が膨出状に永久変形しない工程制御方法を提示することを課題とし、もって合成樹脂製容器に内容物を収納した製品に適したレトルト処理方法を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0011】 上記技術的課題を解決する請求項1記載の発明の方法は、合成樹脂製容器に内容物を収納した製品の蒸気式によるレトルト処理方法であって、一定温度での熱殺菌処理工程後の冷却工程において、製品温度が少なくとも容器を形成する合成樹脂のガラス転移温度近傍の所定温度に冷却されるまで、レトルト釜の圧力を熱殺菌処理工程時の圧力レベルを保持できるように制御すること、にある。 【0012】 蒸気式のレトルト処理では120〜130℃程度の一定温度で実施する熱殺菌処理工程中、釜内の圧力は一義的に決まるので、この熱殺菌処理工程では温度および、釜内圧力の条件制御により容器の膨出状の変形を抑制することはできない。すなわちこの熱殺菌処理工程での膨出状の永久変形がないように、使用する容器の性状、内容物の構成等の製品設計により対応する必要がある。因みに丸型のPETボトルに水を充填して124℃で処理した場合には壜体内は0.02〜0.05MPa程度の正圧状態となる。 【0013】 請求項1記載の方法は、レトルト処理の全工程のうち冷却工程の制御に係るものであり、冷却工程では釜内の水蒸気を空気で置換すると共に、製品にシャワー状に水を吹きかけて製品を冷却するが、この工程ではコンプレッサーで圧力空気を補給する等の手段により、釜内温度とは独立して釜内圧力を制御できる。 【0014】 冷却により釜内温度が下降すると、それに伴って釜内圧力が急激に下降するが、製品温度は釜内温度の下降に比較して緩やかに下降するので、容器内圧力の降下は緩やかに進行し、そのまま冷却が進行すると容器内がより大きな正圧状態となってしまい、ガラス転移温度以上の温度で膨出状の永久変形が発生してしまう。 【0015】 そこで、請求項1記載の方法により熱殺菌処理後、コンプレッサーで圧力空気を補給する等の手段により、釜内圧力を熱殺菌処理工程の圧力のレベル以上に保持することにより、容器内がより大きな正圧状態になるのを確実に防ぐことができ、冷却工程で膨出状の永久変形が発生することを防止できる。もちろんこのことは前述したように、熱殺菌処理工程での膨出状の変形が永久変形しない範囲になるよう設計された製品であることを前提としている。 【0016】 そして、製品の温度が合成樹脂のガラス転移温度近傍の温度に冷却された後は、容器が永久変形することはないので、釜内圧力を大気圧にまでもどして製品を取り出すことができる。 【0017】 ここでガラス温度近傍の所定温度としたのは、容器の肉厚、肉厚分布、形状等により永久変形が発生する温度が±10℃程度は左右されるためであり。この所定温度は実際には合成樹脂のガラス転移温度近傍の温度で試験をして決めるのが良い。 【0018】 また、実際に食品用のレトルト処理は数千〜数万本の容器を大容量の釜に入れて実施されるで、その釜内の場所により、かなり温度のバラツキがあり、冷却工程における釜内の温度分布を予め試験的に調査して、一番冷却が遅い製品の温度が所定温度に冷却されるまで圧力レベルを保持しておく必要がある。 【0019】 請求項2記載の発明の方法は、請求項1記載の発明において、合成樹脂製容器を二軸延伸ブロー成形したポリエチレンテレフタレート系樹脂製の壜体とし、所定温度を80℃としたこと、にある。 【0020】 請求項2記載の上記方法により、PET樹脂系の合成樹脂のガラス転移温度は略80℃であるが、2軸延伸ブロー成形した成形品は成形時の延伸配向結晶化によりその耐熱性が向上しており、80℃未満の温度でPET系樹脂製の壜体が、レトルト処理工程により発生する正圧程度で膨出状に永久変形することはなく、透明性を維持しながら、強度が高く、耐熱性が高く、ガスバリア性が高いというレトルト処理に適した、2軸延伸ブロー成形PET系樹脂製壜体を安心してレトルト処理用製品に使用することができる。 【0021】 なお、本発明に使用するポリエチレンテレフタレート系樹脂としては、主としてPETが使用されるが、PET樹脂の本質が損なわれない限り、エチレンフタレート単位を主体として、他のポリエステル単位を含む共重合ポリエステルも使用できると共に、たとえば耐熱性を向上させるためにナイロン系樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂等の樹脂をブレンドして使用することもできる。共重合ポリエステル形成用の成分としては、たとえばイソフタル酸、ナフタレン2,6ジカルボン酸、アジピン酸等のジカルボン酸成分、プロピレングリコール、1,4ブタンジオール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール等のグリコール成分を挙げることができる。 【0022】 さらには、本発明のPET系樹脂製壜体は、PET樹脂製壜体としての本質が損なわれない限り、たとえば耐熱性、ガスバリア性の向上のためにPET樹脂/ナイロン樹脂/PET樹脂のようにナイロン樹脂等の中間層を有したものであっても良い。 【発明の効果】 【0023】 本発明は上記した方法であり、以下に示す効果を奏する。 請求項1記載の発明にあっては、製品の冷却工程において、合成樹脂のガラス転移温度近傍の所定温度に冷却されるまで、レトルト釜の圧力を熱殺菌処理工程の圧力レベルを保持できるように制御することにより、冷却工程において容器内外の圧力バランスにより膨出状の永久変形が発生するのを確実に防止することができる。 【0024】 請求項2記載の発明にあっては、透明性を維持しながら、強度が高く、耐熱性が高く、ガスバリア性が高い等、レトルト処理に適した、2軸延伸ブロー成形PET系樹脂製壜体を安心してレトルト処理することができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0025】 以下本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。 図1は本発明のレトルト処理方法の一実施例において、釜内温度Tk(破線)および釜内圧力Pk(実線)の経時変化を示す説明図である。本実施例では試験的に280ml用の2軸延伸ブロー成形丸型ボトルに水を充填して実施した例であり、同時に測定した壜体内温度Tb(2点鎖線)と壜体内圧力Pb(2点鎖線)の測定結果を部分的に併せて示した。また図中t1〜t5の符号は工程等の開始時間あるいは終了時間を示すために記載したものである。 【0026】 レトルト処理工程全体は、予熱工程a、脱気工程b、加熱工程c、熱殺菌処理工程d、そして冷却工程eの5つのサブ工程から構成される。釜内に製品を入れ、密閉した状態で、予熱工程aは熱水で100℃程度まで温度上昇させる工程であり、脱気工程bは空気を排気する工程であり、加熱工程cは水蒸気を吹き込んでさらに温度を所定の熱処理温度(本実施例では124℃)まで加熱する工程である。 【0027】 そして、124℃の温度で20分間の熱殺菌処理工程dが実施され、その後冷脚工程eでは、釜内の水蒸気を空気で置換すると共に、製品にシャワー状に水を吹きかけて製品を冷却する。 【0028】 熱殺菌処理工程dでは釜内圧力Pkは0.13MPaである。これは蒸気式のレトルト処理で温度を124℃に保持するための飽和水蒸気圧に相当する。またこの熱殺菌処理工程dでの壜体内圧力Pbは略0.16MPaであり、壜体内の気体、内容物成分の蒸気圧の上昇により壜体内は0.03MPa程度の正圧、すなわち加圧状態になっている。 【0029】 そして、この壜体内圧力Pbは壜体の剛性、ヘッドスペース体積、内容物の成分組成等の製品設計、そして食品衛生法等で決められる熱殺菌処理工程dの温度により決まってしまい、上記のように蒸気式では釜内圧力Pkを釜内温度Tkと独立して制御することができないので、肉厚分布等も含んだ形状、使用する合成樹脂の種類、成形方法等から、124℃で、0.03MPa程度の正圧状態で膨出状の永久変形がないように壜体を設計しておくことがまず前提となる。 【0030】 次に冷却工程eで、水蒸気を空気で置換すると共に、製品にシャワー状に水を吹きかけて製品を冷却すると、釜内温度Tkは時間t4からt5にかけて降下するが、壜体内温度Tbはこれよりもかなり緩やかに降下する。 【0031】 それゆえ、上記釜内温度Tkの降下に従ってそのまま釜内圧力Pkを降下させると、釜内圧力Pkは急激に下降するが、壜体内圧力Pbはそれより緩やかに下降するので、壜体内の正圧がさらに大きくなり、PETのガラス転移温度である80℃以上の領域で膨出状の変形が弾性回復の限界を超えて大きくなり永久変形が発生してしまう。 【0032】 そこで、コンプレッサーにより、釜内に空気を圧入して熱殺菌処理工程dでの釜内圧力Pkレベルを保持するようにしている(t4〜t5にかけての振動部分)。これにより、冷却工程eで壜体内圧力Pbが熱殺菌処理工程dにおける0.03MPa程度以上の正圧状態になることを確実に防ぐことができる。また、壜体内温度Tbがかなり降下した時には壜体内が逆に負圧状態になるが、内容物の存在により大きな陥没状の変形はなく、たとえ少々変形したとしても金属缶と違って十分回復することができる。 【0033】 そして、基本的には釜内の多数の製品のそれぞれの壜体内温度Tb、すなわち製品温度がPET樹脂のガラス転移温度である80℃にまで冷却されてから圧空の供給をやめ、釜を開く。 【0034】 本実施例では釜内での温度のバラツキを考えて測定した製品の温度が45℃近傍に下降した時に圧空の供給をやめているが、実際にはレトルト処理は大きなレトルト釜を用い1度に1〜2万本程度の製品を処理することも多く、予め釜内の場所における冷却工程eでの製品の温度分布を調べ、そしてこの温度分布と釜内温度Tkとを関係付けして、釜内温度Tkを指標として圧空の供給をやめる時間を決めるような制御方法を実施すればよい。 【0035】 なお、本発明は上記説明した実施の形態に限定されるものではない。上記実施例ではPETボトルを使用しているが、たとえば、さらに耐熱性を向上させるためにポリエチレンナフタレート(PEN)系樹脂製の壜体も使用することもでき、この場合にもこの樹脂のガラス転移温度に基づいて条件を決めることができる。また、本発明のレトルト処理における制御方法は壜体だけでなく、他の形態の合成樹脂製容器にも適用できるものである。 【産業上の利用可能性】 【0036】 本発明の制御方法により、合成樹脂製容器を永久変形させることなくレトルト処理を実施することができ、合成樹脂製容器のレトルト食品への幅広い用途展開が期待できる。 【図面の簡単な説明】 【0037】 【図1】本発明のレトルト処理方法の一実施例において、釜内の温度および圧力の経時変化を示す説明図である。 【図2】金属缶を使用した製品のレトルト処理方法の一例において、釜内の温度および圧力の経時変化を示す説明図である。 【符号の説明】 【0038】 t1、t2、t3、t4、t5;経過時間 a ;予熱工程 b ;脱気工程 c ;加熱工程 d ;熱殺菌工程 e ;冷却工程 Tk;釜内温度 Tb;壜体内温度 Pk;釜内圧力 Pb;壜体内圧力
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006909 【氏名又は名称】株式会社吉野工業所 【住所又は居所】東京都江東区大島3丁目2番6号
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| 【出願日】 |
平成16年6月1日(2004.6.1) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100076598 【弁理士】 【氏名又は名称】渡辺 一豊
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| 【公開番号】 |
特開2005−341823(P2005−341823A) |
| 【公開日】 |
平成17年12月15日(2005.12.15) |
| 【出願番号】 |
特願2004−162892(P2004−162892) |
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