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【発明の名称】 アンモニア臭及びムレ臭が少なくかつ糸引きのよい納豆及びその製造方法
【発明者】 【氏名】臼木 正廣

【氏名】永井 健一

【氏名】瀬川 潔

【氏名】饒波 正之

【要約】 【課題】アンモニア臭及びムレ臭が少なく、かつ、糸引きのよい納豆を提供する。

【解決手段】納豆製造時の大豆又は製造後の納豆にフルクトースポリマーを添加する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
納豆製造方法において、フルクトースポリマーを大豆へ添加する工程を含むことを特徴とする、アンモニア臭及びムレ臭が少なく、かつ、糸引きのよい納豆の製造方法。
【請求項2】
納豆製造方法が、以下の工程
大豆を水に浸漬する工程、
浸漬大豆を蒸煮する工程、
蒸煮大豆を納豆菌で発酵させる工程、及び
発酵大豆を熟成する工程、
を含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
蒸煮工程又は発酵工程において、フルクトースポリマーを大豆へ添加する、請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
大豆の総質量に対して0.02〜10質量%のフルクトースポリマーを大豆へ添加する、請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項5】
フルクトースポリマーがイヌリンである、請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法により得られる、アンモニア臭及びムレ臭が少なく、かつ、糸引きのよい納豆。
【請求項7】
フルクトースポリマーを納豆へ添加することを特徴とする、アンモニア臭及びムレ臭が少なく、かつ、糸引きのよい納豆の製造方法。
【請求項8】
フルクトースポリマーを、納豆用調味料に溶解した状態で納豆へ添加する、請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
納豆の総質量に対して0.05〜5質量%のフルクトースポリマーを納豆へ添加する、請求項7又は8に記載の製造方法。
【請求項10】
フルクトースポリマーがイヌリンである、請求項7〜9のいずれかに記載の製造方法。
【請求項11】
請求項7〜10のいずれかに記載の製造方法により得られる、アンモニア臭及びムレ臭が少なく、かつ、糸引きのよい納豆。
【請求項12】
フルクトースポリマーを含むことを特徴とする、納豆用調味料。
【請求項13】
納豆の総質量に対して0.05〜5質量%のフルクトースポリマーを含む、請求項12に記載の納豆用調味料。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、アンモニア臭及びムレ臭が少なく、かつ、糸引きのよい納豆及び当該納豆の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
納豆は、蒸煮した大豆を納豆菌の発酵作用により熟成させて得られる発酵食品である。納豆は、原料である大豆が元来有しているタンパク質、レシチン及びイソフラボン等に加えて、発酵工程で生成するビタミンB2等を豊富に含む栄養価の高い食品である。更に、納豆は、血栓溶解酵素であるナットウキナーゼを含んでおり、最近は健康保健食品としても注目されている。
しかしながら、納豆には、製造時における発酵工程及びその後の保管中に生成した独特のアンモニア臭がある。かかるアンモニア臭については不快と感じる人が多いため、これが納豆の消費拡大の阻害要因となっている。
かかるアンモニア臭を低減させる技術として、発酵工程前又は発酵工程後に茶葉粉砕物やカテキン化合物を大豆に添加する技術が知られている(例えば、特許文献1及び2を参照)。
その他、発酵室内を低酸素濃度(2〜8%)に保持して発酵工程を行うことによってアンモニア臭を低減させる技術も知られている(例えば、特許文献3を参照)。
しかしながら、茶葉粉砕物及びカテキン化合物は緑褐色を呈するため、アンモニア臭の低減効果が期待できる量を納豆に添加すると、納豆本来の色が損なわれてしまう。また、茶葉粉砕物及びカテキン化合物自体が収斂味及び苦味を呈するため、添加により納豆本来の味が損なわれるという問題もある。
また、発酵工程中の酸素濃度を制御する技術は、酸素濃度制御装置を必要とし、更に発酵時間の制御も必要とするので、通常の納豆製造法と比べて製造工程が煩雑となり、コストも高くなるという問題がある。
更に、納豆には、イソ酪酸を主原因とするムレ臭がある。このムレ臭も、前述のアンモニア臭と同様に不快と感じる人が多く、納豆の消費拡大の阻害要因となっている。
その一方、納豆は、その糸引きが良い程消費者に好まれる傾向があるので、納豆の消費拡大のためには、糸引きの改善が求められる。
【0003】
【特許文献1】特開平7−255407号公報
【特許文献2】特開平8−173077号公報
【特許文献3】特開2001−127号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明は、アンモニア臭及びムレ臭が少ないが、納豆本来の風味は保持しておりかつ糸引きのよい納豆、並びに、かかる納豆を簡便かつ安価に製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、納豆製造時の大豆又は製造後の納豆にフルクトースポリマーを添加することにより、納豆本来の風味を保持しつつそのアンモニア臭及びムレ臭を低減させ、その一方、糸引きを改善することができることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)納豆製造方法において、フルクトースポリマーを大豆へ添加する工程を含むことを特徴とする、アンモニア臭及びムレ臭が少なく、かつ、糸引きのよい納豆の製造方法;
(2)フルクトースポリマーを納豆へ添加することを特徴とする、アンモニア臭及びムレ臭が少なく、かつ、糸引きのよい納豆の製造方法;及び
(3)前記(1)又は(2)に記載の製造方法により得られる、アンモニア臭及びムレ臭が少なく、かつ、糸引きのよい納豆
に関するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の納豆は、後述する実施例で示されるように、アンモニア臭及びムレ臭は少ないが納豆本来の風味を保持しており、かつ、良好な糸引きを有するという利点を有する。更に、本発明の納豆は、フルクトースポリマーを添加するという簡便かつ安価な方法によって製造することができる。したがって、本発明は、従来はそのアンモニア臭及びムレ臭のため納豆を敬遠していた需要者層への消費拡大を図るのために有利に使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0008】
本発明に使用する「納豆」とは、蒸煮した大豆を納豆菌の発酵作用により熟成させて得られる発酵食品をいう。具体的には「糸引き納豆」が挙げられる。
原料大豆としては、納豆の製造に使用可能な食用のものであれば、大きさ、品種、原産国、遺伝子組み換えの有無等に制限されることなく本発明に使用することができる。
本発明に使用する「糸引き納豆」は、一般的な製造方法により製造することができる。例えば、下記の製造方法により製造することができる
(1)前処理工程:原料大豆を選別し、研磨し、洗浄し、水に浸漬して吸収させる工程
(2)蒸煮工程:浸漬大豆を蒸煮する工程
(3)発酵工程:蒸煮大豆に納豆菌を接種して、発酵させる工程
(4)後処理工程:発酵した大豆を熟成する工程
なお、「糸引き納豆」は、大豆を丸ごと蒸煮したものに納豆菌を作用させて得られる「丸大豆納豆」と、大豆を炒り、挽いて、表皮を取り除いた後に蒸煮して、その後、納豆菌を作用させて得られる「挽き割り納豆」とに大別されるが、本発明はいずれの糸引き納豆にも使用可能である。
【0009】
本発明に使用する「フルクトースポリマー」とは、繰り返し単位であるフルクトースがβ−2,1結合を介して互いに結合してなるポリマーをいう。
フルクトースポリマーの重合度(フルクトースポリマー中のフルクトース繰り返し単位の数)は、2〜80、好ましくは2〜70、特に好ましくは2〜60である。重合度が2〜80であると、入手し易さ及びコストの面で好ましい。フルクトースポリマーの重合度は、例えばダイオネクス社の糖分析システム(装置名:DXc−500、カラム:CarboPac PA1、溶離液A:水酸化ナトリウム及び酢酸ナトリウム、溶離液B:水酸化ナトリウム及び酢酸ナトリウム、グラジエント:0〜50%B in 200min、流量:1.0ml/min、検出器:パルスドアンペロメトリ検出器)を用いて測定することができる。
フルクトースポリマーは、フルクトースのみからなるものであってもよく、フルクトース以外の化合物をポリマー中に含んでいてもよい。フルクトースポリマーに含まれていてもよい化合物としては、グルコースが挙げられる。
フルクトース以外の化合物を含むフルクトースポリマーとしては、フルクトース鎖の非還元性末端基にグルコースが1つ結合しているものが入手し易さ及びコストの面で好ましい。
上記のフルクトースポリマーはそれ自体公知化合物であり、市場において容易に入手可能であるか、又は、合成可能である。
【0010】
本発明では、上記の物性を有する単一種類のフルクトースポリマーを単独で使用してもよく、重合度等が異なる複数種類のフルクトースポリマーを混合してなるフルクトースポリマー混合物として使用してもよい。これらの中では、入手し易さ及びコストの面で、複数種類のフルクトースポリマーからなるフルクトースポリマー混合物が好ましい。
フルクトースポリマー混合物のなかでは、非還元性末端基にグルコースが1つ結合しているフルクトースポリマーの、重合度が異なる複数種類を主成分とする混合物であるイヌリンが入手し易さ及びコストの面で特に好ましい。
【0011】
以下、イヌリンについて詳細に説明する。
イヌリンにおけるフルクトースポリマーの平均重合度は、6〜50、好ましくは7〜40、特に好ましくは8〜30である。平均重合度が6〜50であると、入手し易さ及びコストの面で好ましい。イヌリンの平均重合度は、例えば前述のダイオネクス社の糖分析システムを用いて測定することができる。
イヌリンのpHは、10%(w/w)水溶液(20℃)における値で、4.0〜7.0、好ましくは4.5〜7.0、特に好ましくは5.0〜7.0である。
【0012】
イヌリンは、非還元性末端基にグルコースが1つ結合している複数種類のフルクトースポリマーのみからなるものであってもよく、その他、(グルコースを含まない)フルクトースのみからなるフルクトースポリマーや、フルクトースポリマー以外の化合物等を含んでいてもよい。
イヌリンに含まれていてもよいフルクトースポリマー以外の化合物としては、グルコース、フルクトース、スクロース等が挙げられる。
イヌリン中における、非還元性末端基にグルコースが1つ結合しているフルクトースポリマーの含量は、イヌリンの総質量に対して75〜100質量%、好ましくは80〜100質量%、特に好ましくは85〜100質量%である。フルクトースポリマー含量が75〜100質量%であると、入手し易さ及びコストの面で好ましい。
イヌリンにおけるグルコースの含量は、イヌリンの総質量に対して7質量%以下、好ましくは6質量%以下、特に好ましくは5質量%以下である。
イヌリンにおけるフルクトースの含量は、イヌリンの総質量に対して6質量%以下、好ましくは5質量%以下、特に好ましくは4質量%以下である。
イヌリンにおけるスクロースの含量は、イヌリンの総質量に対して12質量%以下、好ましくは11質量%以下、特に好ましくは9質量%以下である。
上記のイヌリンの中では、難消化性(食物繊維としての機能が高い)、低カロリーの点で、非還元性末端基にグルコースが1つ結合しているフルクトースポリマーのみからなるイヌリンが好ましい。
【0013】
上記のイヌリンはそれ自体公知化合物であり、市場において容易に入手可能であり、合成可能であり、又は、天然の植物及び微生物から製造可能である。いずれのイヌリンも食用である限り本発明に使用できるが、天然の植物から精製したイヌリン及び合成したイヌリンが、納豆本来の風味を損なうことなくアンモニア臭及びムレ臭を低減することができかつ糸引きの改善に有効である点で好ましい。
天然植物を原料とする場合、使用することができるイヌリン含有植物としては、チコリ、菊芋、ヤーコン、ダリア、ゴボウ、玉葱等を挙げることができる。これらの中では、チコリ及びヤーコンが好ましく、チコリが特に好ましい。
チコリを原料とする場合、例えば、国際公開第94/12541号パンフレット、国際公開第94/19973号パンフレット、国際公開第96/01849号パンフレット、国際公開第98/05793号パンフレット及び国際公開第98/38223号パンフレット等に記載の方法にしたがい、チコリを熱水抽出し、抽出物からイヌリンを精製し、精製イヌリンを噴霧乾燥することによって製造することができる。
【0014】
フルクトースポリマーを添加するタイミングは、(1)納豆製造中の「大豆」への添加と(2)納豆製造後の「納豆」への添加とに大別することができる。
(1)納豆製造中の大豆への添加
この態様では、フルクトースポリマーを、納豆製造中、すなわち納豆が製造される前の「大豆」へ添加する。
フルクトースポリマーは、納豆製造工程のいずれの工程で添加してもよい。例えば、前述の納豆製造工程のうち、前処理工程における大豆浸漬時、蒸煮工程(蒸煮時及びその前後を含む)、発酵工程(納豆菌接種時を含む)及び後処理工程(熟成時及びその前後を含む)において、フルクトースポリマーを大豆へ添加することができる。
これらの工程のなかでは、納豆製造時の作業性並びにアンモニア臭及びムレ臭の低減効果の点で、蒸煮工程又は発酵工程において大豆へ添加することが好ましい。
フルクトースポリマーの大豆への添加量は、蒸煮工程又は発酵工程時の大豆に対して0.02〜10質量%、好ましくは0.05〜5質量%、特に好ましくは0.1〜3質量%である。
フルクトースポリマーの添加量が0.02重量%以上であると、納豆のアンモニア臭及びムレ臭の低減効果を充分に発揮し、かつ、製造した納豆の保管中に発生したアンモニア臭及びムレ臭も低減することができるので好ましい。また、フルクトースポリマーの添加量が10質量%以下であると、フルクトースポリマーが納豆本来の風味をマスキングすることがなく、その上、納豆製造時の作業性及び製造コストに影響を及ぼすこともないので好ましい。
この態様において、フルクトースポリマーは、粉末状固体のまま添加してもよく、水溶液として添加してもよい。
【0015】
(2)納豆製造後の納豆への添加
この態様では、フルクトースポリマーを「納豆」へ添加する。
例えば、製造した納豆を包装容器へ充填する際に、フルクトースポリマーを納豆へ直接添加することができる。
また、フルクトースポリマーを、納豆とは分離した状態(例えば小袋に入れた状態)で納豆包装容器へ封入して出荷し、購入した消費者が食事の際にフルクトースポリマーを納豆へ添加するようにしてもよい。この場合のフルクトースポリマーは、納豆とは分離した状態で納豆包装容器中へ封入される納豆用調味料と共存した状態(例えば、調味料中に溶解した状態)で納豆用調味料容器中に入れてもよく、これらの調味料とは分離した状態で別の容器へ入れてもよい。
納豆用調味料は、一般的に納豆に用いられるものであれば特に限定されることなく本発明に使用可能である。また、納豆用調味料は、固体であってもよく、液体であってもよく、ペースト状であってもよい。具体例としては、ネギ、青じそ、ショウガ、ミョウガ、ニンニク、ゴマ、大根、梅干し、リンゴ、卵、山芋、ワサビ、のり、かつお節、からし等の薬味、並びに、醤油、マヨネーズ、だし汁等のタレがあげられる。これらの中では、タレ及び醤油が好ましく、タレが特に好ましい。
納豆用調味料が薬味等の固体の場合、フルクトースポリマーも固体粉末のまま用いることが好ましい。納豆用調味料がタレ等の液体の場合、当該液体にフルクトースポリマーを溶解させることが好ましい。
フルクトースポリマーの納豆への添加量は、納豆の総質量に対して0.05〜5質量%、好ましくは0.05〜4質量%、特に好ましくは0.05〜3質量%である。フルクトースポリマーを納豆用調味料に溶解させる場合は、前記の量のフルクトースポリマーを納豆用調味料に溶解させる。
フルクトースポリマーの添加量が0.05重量%以上であると、アンモニア臭及びムレ臭の低減効果を充分に発揮し、かつ、製造した納豆の保管中に発生したアンモニア臭及びムレ臭も低減することができるので好ましい。また、フルクトースポリマーの添加量が5質量%以下であると、フルクトースポリマーが納豆本来の風味をマスキングすることなく、その上、調味料と共存させたときにフルクトースポリマーの結晶化が起こらないので好ましい。
【0016】
次に、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
【実施例】
【0017】
1.フルクトースポリマー添加による納豆のアンモニア臭低減効果
[実施例1]
市販の小粒種原料大豆250gを水洗後、3倍量の水で17時間浸漬し、水切り後、圧力釜(ラゴスティーナ製)で、圧力(50.0〜200.0kPa)、温度(115〜130℃)で30分間加圧蒸煮した。
得られた蒸煮大豆の200gにイヌリン(原料:チコリ、フルクトースポリマーの平均重合度:8〜11、10%(w/w)水溶液(20℃)におけるpH:5.0〜7.0、非還元性末端基にグルコースが1つ結合しているフルクトースポリマーの含量:イヌリンの総質量に対して90質量%以上、グルコース含量:イヌリンの総質量に対して4質量%以下、フルクトース含量:イヌリンの総質量に対して4質量%以下、スクロース含量:イヌリンの総質量に対して9質量%以下)を0.25g(0.125質量%)添加し、これに市販の乾燥納豆菌(商品名:高橋 納豆素、製造者名:高橋祐蔵研究所)20mgを20gの湯(80〜90℃)に溶解したものを接種し、38℃下で18時間発酵させた。その後、5℃下で4日間熟成させて納豆を製造した。
尚、上記のイヌリン中のフルクトースポリマーの平均重合度は、ダイオネクス社の糖分析システム(装置名:DXc−500、カラム:CarboPac PA1、溶離液A:水酸化ナトリウム及び酢酸ナトリウム、溶離液B:水酸化ナトリウム及び酢酸ナトリウム、グラジエント:0〜50%B in 200min、流量:1.0ml/min、検出器:パルスドアンペロメトリ検出器)を用いて測定した。
【0018】
[実施例2]
イヌリンを0.5g(0.25質量%)添加したことを除いて、実施例1と同様にして納豆を製造した。
【0019】
[実施例3]
イヌリンを1g(0.5質量%)添加したことを除いて、実施例1と同様にして納豆を製造した。
【0020】
[実施例4]
イヌリンを4g(2.0質量%)添加したことを除いて、実施例1と同様にして納豆を製造した。
【0021】
[比較例1]
市販の小粒種原料大豆200gを水洗後、3倍量の水で17時間浸漬し、水切り後、圧力釜(ラゴスティーナ製)で、圧力(50.0〜200.0kPa)、温度(115〜130℃)で30分間加圧蒸煮した。得られた蒸煮大豆の200gに乾燥納豆菌(商品名:高橋 納豆素、製造者名:高橋祐蔵研究所)20mgを20gの湯(80〜90℃)に溶解したものを接種し、38℃下で18時間発酵させた。その後、5℃下で4日間熟成させ納豆を製造した。
【0022】
納豆のアンモニア臭の評価
実施例1〜4及び比較例1の納豆についてアンモニア臭を評価した。具体的には、実施例及び比較例の各納豆の臭気200mlを、真空法ガス採取器(光明理化学工業社製)を用いて、アンモニアガス検知管(光明理化学工業社製)へと導き、当該検知管中で測定されたアンモニア濃度として評価した。各実施例及び比較例についてそれぞれ5回の測定を行い、その平均値を表1にアンモニア濃度として示す。
【0023】
表1:実施例1〜4及び比較例1の納豆の臭気中のアンモニア濃度


注1:200mlの臭気ではアンモニア濃度が検出不能(0ppm)であったため、300mlの臭気についての測定値である。
【0024】
表1から、納豆製造工程においてイヌリン(フルクトースポリマー)を大豆へ添加することにより、納豆のアンモニア臭を低減させることができたことが理解される。
【0025】
2.フルクトースポリマーの添加による納豆の官能性の改善
[実施例5]
イヌリンを0.6g(0.1質量%)添加したことを除いて、実施例1と同様にして納豆を製造した。

市販の小粒種原料大豆300gを水洗後、3倍量の水で17時間浸漬し、水切り後、圧力釜(ラゴスティーナ製)で、圧力(50.0〜200.0kPa)、温度(115〜130℃)で30分間加圧蒸煮した。得られた蒸煮大豆の600gに実施例1で使用したイヌリンを0.6g(0.1質量%)添加し、これに市販の乾燥納豆菌(商品名:高橋 納豆素、製造者名:高橋祐蔵研究所)60mgを60gの湯(80〜90℃)に溶解したものを接種し、38℃下で18時間発酵させた。その後、5℃下で4日間熟成させて納豆を製造した。
【0026】
[実施例6]
イヌリンを3g(0.5質量%)添加したことを除いて、実施例5と同様にして納豆を製造した。
【0027】
[実施例7]
イヌリンを6g(1.0質量%)添加したことを除いて、実施例5と同様にして納豆を製造した。
【0028】
[実施例8]
イヌリンを12g(2.0質量%)添加したことを除いて、実施例5と同様にして納豆を製造した。
【0029】
[実施例9]
イヌリンを18g(3.0質量%)添加したことを除いて、実施例5と同様にして納豆を製造した。
【0030】
[比較例2]
比較例1と同様の方法により納豆を製造した。
【0031】
実施例及び比較例の納豆についての官能評価
実施例5〜9の納豆を、比較例2の納豆を基準として官能評価した。具体的には、各実施例の「納豆の香り」、「ムレ臭」、「味」及び「糸引き」を、比較例2の納豆を基準とした評価基準(表2)に基づき15名のパネラー(パネラー1名あたり40gの納豆を使用)により5段階評価し、評価点の平均点をもって評価した。尚、「納豆の香り」とは、不快なアンモニア臭及びムレ臭だけでなく、納豆本来の香りをも含めた「納豆全体の香り」をいう。結果を表2に示す。
【0032】
表2:官能評価基準


【0033】
表3:実施例5〜9の納豆の官能評価


【0034】
表3から、納豆製造工程においてイヌリン(フルクトースポリマー)を大豆へ添加することにより、納豆のムレ臭が低減し、その一方、納豆の香り、味及び糸引きが改善されたことが理解される。この結果に関し、本発明は特定の理論に拘束されるものではないが、フルクトースポリマーは納豆中の不快なアンモニア臭及びムレ臭を選択的に吸着し低減させるため、その結果、納豆本来の香り・味が引き出されたものであると考えられる。
以上より、本発明の納豆は、アンモニア臭及びムレ臭は少ないが、納豆本来の風味を保持しており、かつ、糸引きが良いことが理解される。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明の納豆は、食品として利用可能である。
【出願人】 【識別番号】593105081
【氏名又は名称】日本シイベルヘグナー株式会社
【出願日】 平成16年5月25日(2004.5.25)
【代理人】 【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男

【識別番号】100084009
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 信夫

【識別番号】100084663
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 篤

【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治

【識別番号】100114007
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 孝二

【公開番号】 特開2005−333856(P2005−333856A)
【公開日】 平成17年12月8日(2005.12.8)
【出願番号】 特願2004−155028(P2004−155028)