トップ :: A 生活必需品 :: A23 食品または食料品;他のクラスに包含されないそれらの処理




【発明の名称】 発芽胚芽米の製造方法
【発明者】 【氏名】山本 惣一
【住所又は居所】山形県天童市大字老野森404番地 株式会社山本製作所内

【氏名】結城 勝治
【住所又は居所】山形県天童市大字老野森404番地 株式会社山本製作所内

【氏名】大山 栄司
【住所又は居所】山形県天童市大字老野森404番地 株式会社山本製作所内

【要約】 【課題】γ−アミノ酪酸の含有率が高く、且つ砕米が少なくて食味が良好な発芽胚芽米を製造することができる、発芽胚芽米の製造方法を提供すること。

【解決手段】玄米に一次浸漬を行って胚芽を発芽させる一次浸漬工程、前記一次浸漬工程を経た玄米に水温60〜70℃で所定の時間二次浸漬を行う二次浸漬工程、前記二次浸漬工程を経た玄米を乾燥する乾燥工程、及び前記乾燥工程を経た玄米を50〜80%の搗精度で搗精する精米工程を有する、発芽胚芽米の製造方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
玄米に一次浸漬を行って胚芽を発芽させる一次浸漬工程、前記一次浸漬工程を経た玄米に水温60〜70℃で所定の時間二次浸漬を行う二次浸漬工程、前記二次浸漬工程を経た玄米を乾燥する乾燥工程、及び前記乾燥工程を経た玄米を50〜80%の搗精度で搗精する精米工程を有する、発芽胚芽米の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、発芽胚芽米の製造方法に係り、特に、γ−アミノ酪酸が多量に含有され、かつ食味が良好な発芽胚芽米を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
玄米を発芽させた発芽玄米は、例えば、タンパク質、ビタミン、ミネラル、γ−アミノ酪酸(GABA;ギャバ)等の栄養素が、通常の玄米の数倍から十数倍の量含有されており、近年、栄養価の高い健康食品として広く認識されている(特許文献1)。発芽玄米は、図3(A)に示すように、澱粉保存組織である胚乳10と、胚乳10の表面を被覆する糠層12と、発芽した胚(胚芽)14とで構成されている。発芽玄米が多量の栄養素を含有するのは、発芽することにより、それまで眠っていた物質が芽を発育させるのに必要な栄養素に化学変化して、生成された栄養素が主に胚芽14に蓄えられるためである。
【0003】
しかしながら、表面に糠層を有する発芽玄米は、白米に比べて糠臭く、食感も硬く、ボソボソとして噛み難く、美味しくない、という問題があり、白米中に少しだけ混ぜて炊飯して食べるのが一般的であった。また、玄米にはリンが多く含まれている。リンを過剰摂取すると、その一部がフィチンと呼ばれる物質に変換され、カルシウムや鉄分の吸収を阻害する。特に、腎臓機能が低下している場合には、リンの過剰摂取は好ましくないとされている。
【0004】
このため、発芽玄米を精米して発芽胚芽米を製造する方法が種々検討されている。例えば、玄米に水分を添加して胚芽を発芽させた発芽玄米を、スチーミングにより米粒表面の付着水を除去するとともに、米粒表面を研削式及び摩擦式の精米機により胚芽を残しながら搗精して発芽胚芽米に加工する方法が提案されている(特許文献2)。また、発芽玄米を所定水分に乾燥した後、発芽玄米の芽を残しながら研削式、摩擦式又は攪拌式のいずれかの精米法により玄米の糠層を除去して発芽胚芽米を製造する方法が提案されている(特許文献3)。
【0005】
しかしながら、発芽玄米を精米機により精米して発芽胚芽米を製造しようとすると、発芽した胚芽が脱落する「脱芽」が必然的に発生する。上述した通り、栄養素は主に胚芽に蓄えられているので、脱芽により米の栄養価が損なわれてしまう。この点に関し、特許文献2及び特許文献3には、「胚芽を残しながら搗精する」、「発芽玄米の芽を残しながら玄米の糠層を除去する」等の記述があるが、脱芽を防止する具体的な方法は開示されていない。一方、精米の搗精度を低下させると、これに応じて脱芽も減少するが、除去されずに残存した糠層により食味が損なわれてしまう。
また、発芽玄米は発芽させる際の浸漬工程において吸水しており、そして、玄米に含まれるデンプン粒の粒内水分には各々格差が存在するため、胚乳部に胴割れが発生する。胴割れした発芽玄米を精米すると砕粒が多量に発生することになる。これを炊飯すると、砕粒からデンプン粒が流出し、ベトベトした不味い飯になる。
【特許文献1】特許第2590423号明細書
【特許文献2】特開2003−111568号公報
【特許文献3】特開2003−265120号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記問題を解決すべく成されたものであり、本発明の目的は、γ−アミノ酪酸の含有率が高く、且つ砕米が少なくて食味が良好な発芽胚芽米を製造することができる、発芽胚芽米の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的は、以下の発芽胚芽米の製造方法を提供することにより解決される。
(1)玄米に一次浸漬を行って胚芽を発芽させる一次浸漬工程、前記一次浸漬工程を経た玄米に水温60〜70℃で所定の時間二次浸漬を行う二次浸漬工程、前記二次浸漬工程を経た玄米を乾燥する乾燥工程、及び前記乾燥工程を経た玄米を50〜80%の搗精度で搗精する精米工程を有する、発芽胚芽米の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、玄米の胚芽を発芽させる一次浸漬工程に続いて、水温60〜70℃の温水による二次浸漬工程を行うことにより、胚乳部のデンプン粒がα化(糊化)し、一次浸漬により胴割れした傷痕が糊付けされて胴割れが修復されるため、砕米の発生が少なく食味が悪くなるのが防がれる。また、精米工程における搗精度を50%〜80%にしたことにより、γ−アミノ酪酸の含有率が高く且つ糠臭がなく食味の良好な発芽胚芽米を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に本発明の発芽胚芽米の製造工程について説明する。
(一次浸漬工程(発芽工程))
発芽工程は、玄米を水に浸漬して発芽させる工程である。玄米は、図3(A)に示すように、胚乳10、胚乳10の表面を被覆する糠(ぬか)層12、及び発芽前の胚芽14Aで構成されている。この玄米が発芽すると、図3(B)に示すように、胚芽14Aが鳩胸状に外側に膨らんで、発芽した胚芽14となる。
浸漬水の温度は30〜35℃程度が好ましく、浸漬時間は13〜18時間程度が好ましい。
【0010】
玄米は、予め水で攪拌洗浄しておく。浸漬容器に温水を満たし、ヒータ等を用いてこの温水の温度を略一定に保ちながら、玄米を例えば、33℃の水中に約15時間浸漬する。水は、紫外線照射等により殺菌しながら循環させるのが好ましい。なお、浸漬温度及び浸漬時間は、後述する所望の発芽状態が得られるように適宜調節する。
【0011】
発芽状態は、玄米の胚芽14Aが鳩胸状に0.5〜1.0mm程度膨らんだ状態が好ましい。これ以上、大きく発芽すると、根が生えて食用に適さなくなる。従って、所望の発芽状態に到達した後は、発芽した玄米を浸漬容器から引き上げて水分の供給を断ち、胚芽の成長を停止させる。
【0012】
(二次浸漬工程)
一次浸漬工程(発芽工程)に引き続いて二次浸漬工程を行う。二次浸漬工程では一次浸漬工程より高温(60〜70℃)の温水を用いて浸漬を行う。玄米の胚芽を発芽させる一次浸漬工程に続いて二次浸漬工程を行うことにより、胚乳部のデンプン粒がα化(糊化)し、一次浸漬により胴割れした傷痕が糊付けされて胴割れが修復されるため、砕米の発生が少なく食味が悪くなるのが防がれる。
図1に、二次浸漬の水温及び浸漬時間と精米時の胴割率との関係を示す。胴割率は精米業界では市販される白米中の胴割粒の混入率が3%以下と規定されているため、本発明において胴割率が3%以下の場合を合格(良好)とした。図1において、直線(1)から直線(5)は浸漬時間を変えた場合の胴割率を示し、(1)は20分の場合を、(2)は25分の場合を、(3)は30分の場合を、(4)は35分の場合を、(5)は40分の場合をそれぞれ示す。
本発明において胴割率は、一般に二次浸漬工程における水温が高くかつ浸漬時間が長くなると低くなる。例えば、水温が60℃の場合、浸漬時間が30分以上で砕米が3%以下になることが分かる。また、水温が70℃の場合、浸漬時間が25分よりわずかに短い時間(正確には24分)以上で砕米が3%以下となる。更に、水温が80℃の場合、浸漬時間が20分よりわずかに短い時間(正確には18分)以上で、砕米が3%以下となる。ただし、水温が60℃未満の場合には時間を30分以上(35分、40分)としても胴割率は3%以下にすることができない。このことから、胚乳部のデンプン粒のα化は60℃未満では生じないことが分かる。
【0013】
また、胴割率の割合だけでなく、実際に食味試験をも行い、二次浸漬工程の水温及び浸漬時間と食味との関係を調べた。食味試験は、パネラー30人により、良質の発芽玄米を基準にして、種々の水温と浸漬時間により二次浸漬を行った発芽胚芽米を食した場合に、発芽胚芽米が発芽玄米よりも「うまい」か「まずい」か二者択一とし、「うまい」を選んだ人の割合(百分率)を食味度とした。食味度が80%以上のものは、良好な食味度であると判定した。
二次浸漬工程における水温が60℃未満の場合には、前記のようにデンプン粒がα化せず砕米が多いため、ベトベトして不味い飯になり、食味度は80%より小さくなった。また、二次浸漬工程における水温が70℃(正確には72℃)を超えかつ所定の時間浸漬を行うと砕米は少ないが、デンプン粒が徐々に変質し風味のない飯となり、食味度は80%より小さくなった。特に、水温が80〜100℃になると発芽胚芽米が黒っぽく変色し概観も悪くなった。
図1にA、B、C、D、Eで示す点は、食味度を示す点で、A点は水温40℃−時間50分で二次浸漬をした場合の食味度を、B点は50℃−50分の場合を、C点は60℃−30分の場合を、D点は70℃−25分の場合を、E点は80℃−20分の場合を、F点は90℃−20分の場合を、G点は100℃−20分の場合をそれぞれ示す。
【0014】
前記の胴割率及び食味度の点から、本発明の二次浸漬工程における水温は60〜70℃にすることが必要である。
また、二次浸漬工程における浸漬時間は、浸漬温度に依存して適宜選択される。浸漬時間は、前記のように少なくとも、胴割率が3%以下になる時間以上にすることが好ましい。また、浸漬時間が長くなりすぎると乾燥時間が極端に長くなる(これに伴い製造コストも上がることになる)とともに、食味が水っぽくなりご飯の味が感じられなくなる。したがって、浸漬時間の上限はこれらのことを考慮して適宜選択され、例えば水温が60℃の場合、60分程度とし、また、水温が70℃の場合、50分程度とすることが好ましい。更に、所定の胴割率を達成するための時間内においてできるだけ短くすることが特に好ましい。
【0015】
(乾燥工程)
乾燥工程は、発芽玄米を乾燥する工程である。この乾燥工程では、水切り脱水後の発芽玄米の含水率を約14〜15質量%まで低下させる。この工程で得られた発芽玄米は、発芽していない通常の玄米と同様に水分含量が低く、次工程の精米を実施することが可能である。なお、水分含量は、発芽玄米を圧砕して通電し、その電気抵抗を検出して水分値に換算する市販の水分計を用いて測定された値である。
【0016】
乾燥は、胴割れ等の損傷を防止するため、常温での通風乾燥をすることが好ましい。含水率を約14〜15質量%まで低下させるには、乾燥に約18時間を要する。また、乾燥方式には、発芽玄米を堆積させて乾燥する静置乾燥と、発芽玄米を流動させた状態で乾燥する循環乾燥とがある。本工程では、胚芽が脱落する「脱芽」を極力避けるために静置乾燥を行うのが好ましい。
【0017】
(精米工程)
精米工程は、発芽玄米を精米(搗精)して糠層を除去する工程である。発芽玄米は、図3(B)に示すように、その胚乳10が糠層12で被覆されている。果皮や種皮等を含む硬い外皮である糠層12は、微生物が繁殖し易く異臭(糠臭さ)の原因ともなっている。従って、この精米工程で、糠層12を取り除く所謂「精米」を行い、図3(C)に示す発芽胚芽米を得る。なお、この精米工程には通常の精米のほか、その後に必要に応じて行われる研米も含まれる。
【0018】
発芽玄米は種々の栄養素を含有しているが、これらの栄養素の中でも、血圧降下作用があるγ−アミノ酪酸(ギャバ)が最も重要である。そこで、発芽玄米を精米する際の搗精度とギャバ残存率との関係を調べたところ、図2に示すように、脱芽が搗精度に略比例して増加するのに対し、ギャバ残存率は搗精度が80%以下では略横ばいであり、搗精度が80%を超えると急激に低下するという知見を得た。一方、糠臭がなく良好な食味を確保するためには、搗精度を50%以上にする必要がある。従って、搗精度を50%〜80%の範囲とすることで、「脱芽」の発生率に拘らず、γ−アミノ酪酸の含有率が高く且つ食味の良好な発芽胚芽米を製造することができる。
したがって、本発明の発芽胚芽米の製造方法においては、精米は、搗精度が50%〜80%の範囲となるように行う。これにより、ギャバの含有率が高く且つ食味が良好な発芽胚芽米を得ることができる。「搗精度」とは、JIS Z8722に準拠するフォトダイオードによる反射方式で測定した白度が20%の場合(未精米の発芽玄米の状態)の搗精度を0%とし、同白度が40%の場合(普通精米の状態)の搗精度を100%として、精米の程度を表す指標である。搗精度が50%の場合の白度は30%であり、搗精度が80%の場合の白度は36%である。
また、この搗精度は搗精歩留とも相関する。搗精歩留は、搗精前の重量から搗精後の重量を差し引いた値を、搗精前の重量で除し、100をかけて%で表示した値である。これを図2にあてはめると、搗精度0%・白度20%のところが搗精歩留100%で、搗精度100%・白度40%のところが搗精歩留90%となる。すなわち、玄米重量の10%が糠重量で、90%が白米重量である。したがって、例えば、搗精度50%といえば白度が30%で搗精歩留が95%となる。
【0019】
図2に、搗精度を0%から100%まで10%ずつ変化させて、得られた発芽胚芽米のギャバ残存率、食味度、及び発芽胚芽残存率を測定した。各項目の測定方法を以下に示す。
【0020】
上記の製造方法においては、γ−アミノ酪酸の含有率をより高くするために、搗精度を50%〜75%とすることが好ましい。また、より良好な食味を得るために、搗精度を60%〜80%とすることが好ましく、搗精度を60%〜75%とすることがより好ましく、搗精度を70%〜80%とすることが更に好ましい。
【0021】
<ギャバ残存率>
発芽胚芽米100g中に含有されるギャバ量(mg)を測定し、測定したギャバ量の未精米の発芽玄米100g中に含有されるギャバ量に対する割合(%)を算出し、これを「ギャバ残存率」とする。この例では、発芽玄米100g中に含有されるギャバ量は20mgである。
【0022】
ギャバ量の測定は、エタノールでアミノ酸成分を抽出し、これをギャバ成分分析装置(高速液体クロマトグラフ)を用いて分析する。ギャバ成分の分析は、アセチルシステイン試薬を用いて蛍光を発生させ、発生した蛍光の強度を検出するOPA法により行う。γ−アミノ酪酸(ギャバ)量は、グラフ又は数値で表示される。
【0023】
<食味度>
パネラー30人で食味試験を行い、「うまい」と「まずい」を二者択一した場合の「うまい」を選んだ人の割合を「食味度」とする。なお、図1の食味度は、発芽玄米と発芽胚芽米との比較において「うまい」か「まずい」かのパネラーの割合であるのに対し、図2の食味度は他と比較することなく、単に「うまい」か「まずい」かのパネラーの割合である。
【0024】
<発芽胚芽残存率>
正常な発芽玄米5gを、胚芽が痕跡程度残っている粒(A1)、原型に近い状態で残っている粒(A2)、残っていない粒(B)とに分け、次式で表したものを「発芽胚芽残存率」とする。A1、A2、Bは粒の質量(g)である。
【0025】
発芽胚芽残存率(%)=(A1×1/2+A2)/5×100
図5に、ギャバ残存率、食味度、及び発芽胚芽残存率の測定結果を示す。図から分かるように、搗精度が0%〜80%の範囲ではギャバ残存率は60%〜100%の間で略横ばいで推移するが、搗精度が80%を超えると急激に低下する。従って、搗精度を80%以下とする必要があり、搗精度は75%以下がより好ましい。また、人が「美味しい」と感じるためには少なくとも食味度が40%以上必要である。従って、搗精度を50%以上とする必要がある。食味度は、その値が50%を超えるとまずまずの美味しさを感じることができ、60%を超えると良好な美味しさを感じることができる。従って、更に良好な食味を得るために、搗精度は60%〜80%とすることが好ましく、60%〜75%がより好ましく、70%〜80%が更に好ましい。特に、搗精度が75%前後では、ギャバ残存率も高く、食味度も非常に良好で、バランスが取れており理想的である。
【0026】
また、図2には、搗精度に応じたリン含有率、消化吸収率の値を併せて示す。搗精度が50%〜80%の範囲では、リン残存率も70%以下に低下し、脂質やたんぱく質の消化吸収率が向上する。なお、リン含有率は、五訂日本食品標準成分表に掲載されたリン含有量から算出したものである。五訂日本食品標準成分表によれば、玄米の可食部100g中のリンの含有量は約290mgであり、精白米の可食部100g中のリンの含有量は約94mgである。炭水化物、脂質、たんぱく質の消化吸収率は、はいが精米ニュース第202号に掲載された文献値である。
【0027】
精米方法には、米同士の摩擦力により糠層を剥ぎ取る摩擦式精米と、研削により外皮を削り落とし胚乳を露出させる研削式精米とがあり、摩擦式精米の方が一般的である。本工程では何れの精米方法を用いてもよいが、脱芽を極力避けるためには、圧力負荷の少ない研削式精米方法によるのが好ましい。
【0028】
得られた発芽胚芽米は、真空パッキング等により包装されて出荷される。また、得られた発芽胚芽米を包装する前に、乾式又は湿式の無洗米装置で無洗化処理を行ってもよい。
【0029】
以上説明した通り、本実施の形態では、玄米を発芽させた発芽玄米を精米して発芽胚芽を得ることができる。50%〜80%の搗精度で精米して得られた発芽胚芽米は、ギャバ含有率が高く栄養価に優れると共に、糠層が略取り除かれているので、通常の白米と同様に、糠臭さがなく、柔らかい食感で粘りがあり、美味しい。
【0030】
なお、上記では、玄米を水に浸漬して発芽させて発芽玄米を得る製造工程について説明したが、籾米を発芽させた発芽籾を籾摺りして発芽玄米を得ることもできる。この場合の発芽玄米の製造工程は、籾米を水に浸漬して発芽させる発芽工程と、発芽させた籾米を乾燥する乾燥工程と、乾燥後の籾米を籾摺りして籾殻を除去する籾摺り工程を有する。
【0031】
籾米は、図4(A)に示すように、胚乳10、胚乳10の表面を被覆する糠(ぬか)層12、発芽前の胚芽14A、及びこれらを被覆する最外郭層である籾殻(もみがら)16で構成されている。この籾米が発芽すると、図4(B)に示すように、胚芽14Aが鳩胸状に外側に膨らんで、発芽した胚芽14となる。
【0032】
籾米は、刈り取った稲を脱穀して得られるが、刈り取ったばかりの籾米は「生籾」と呼ばれ、22〜25質量%の水分含量を有している。このように水分含量が高いため、通常、籾米を水分含量が15〜16質量%になるまで乾燥して保存している。この発芽工程では、上記のように乾燥された籾米を温水に浸漬して発芽させてもよいが、無駄な乾燥工程を省略するために、籾米として生籾を使用するのが好ましい。生籾を使用することにより、所望の発芽状態を得るまでに要する時間も18〜20時間と短縮される。
【0033】
また、乾燥工程では籾殻が付いた発芽籾を乾燥するので、発芽玄米を乾燥する場合と比べて胴割れ現象が発生し難くなる。
【0034】
籾摺り工程は、乾燥後の発芽籾を籾摺りして籾殻を除去する工程である。発芽籾は、図4(A)に示すように、未だ籾殻16で被覆されているので、この籾摺り工程で、籾殻16を取り除く所謂「脱ぷ」を行い、発芽玄米を得る。籾摺り機は、脱ぷ方法の違いにより、1対のゴムロール(脱ぷロール)を用いた摩擦式の籾摺り機と、籾に衝撃を与えて脱ぷを行う衝撃式の脱ぷ機とに大別される。本工程では何れの籾摺り機を使用してもよいが、脱芽を極力避けるためには、脱ぷ衝撃の少ない摩擦式の籾摺り機を使用するのが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】発芽胚芽の製造方法において、二次浸漬工程での水温−浸漬時間と、胴割率及び食味の関係を示すグラフである。
【図2】発芽胚芽米の製造方法において、精米工程での搗精度とギャバ残存率及び食味度との関係を示すグラフである。
【図3】図3(A)は玄米の、図3(B)は発芽玄米の、図3(C)は発芽胚芽米のそれぞれの構造を示す断面図である。
【図4】図4(A)は籾米の、図4(B)は発芽籾のそれぞれの構造を示す断面図である。
【符号の説明】
【0036】
10 胚乳
12 糠層
14 胚芽
16 籾殻
【出願人】 【識別番号】000144898
【氏名又は名称】株式会社山本製作所
【住所又は居所】山形県天童市大字老野森404番地
【出願日】 平成16年5月24日(2004.5.24)
【代理人】 【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳

【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳

【識別番号】100085279
【弁理士】
【氏名又は名称】西元 勝一

【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志

【公開番号】 特開2005−333829(P2005−333829A)
【公開日】 平成17年12月8日(2005.12.8)
【出願番号】 特願2004−153826(P2004−153826)