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【発明の名称】 食材の把持移動方法及び装置
【発明者】 【氏名】坂本 直樹
【住所又は居所】東京都江東区牡丹2丁目13番1号 株式会社前川製作所内

【氏名】熊沢 四郎
【住所又は居所】東京都江東区牡丹2丁目13番1号 株式会社前川製作所内

【氏名】柏原 直哉
【住所又は居所】東京都江東区牡丹2丁目13番1号 株式会社前川製作所内

【要約】 【課題】食材をロボットハンドを用いて直接把持する方式を採用するに際し、食材を確実に把持し、弁当箱、トレイ等の所望の位置に正確に移動させ、かつ制御を複雑化及び高額化を招くことなく、簡単な装置で達成することができる食材の把持移動方法及び装置を提供する。

【解決手段】食材hを復元力を有するように弾性変形させて押し付ける押付け板13と、前記復元力を利用して食材hを把持しながら移動する把持機構としてのピン(針部材)15とを備え、押付け板13にて食材を復元力を有するように弾性変形させて押し付け、同時に又はその後に前記復元力を利用してピン15で食材を把持しながら所定の位置に食材を移動させる。把持機構として、押付け板22a,22bに設けられた穴27も適用できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
押付け板にて食材を復元力を有するように弾性変形させて押し付ける工程と、同押付け工程と同時に又はその後に前記復元力を利用した別の把持機構で食材を把持する工程と、食材を把持しながら所定の位置に食材を移動させる工程とからなることを特徴とする食材の把持移動方法。
【請求項2】
前記把持機構が前記押付け板が食材を押付けている状態で食材に挿入される針部材であり、食材の前記移動工程後、再び下降し、前記押付け板で食材を押付けながら前記針部材を食材から引き抜く拘束解除工程を具備することを特徴とする請求項1記載の食材の把持移動方法。
【請求項3】
食材を復元力を有するように弾性変形させて押し付ける押付け板と、前記復元力を利用して食材を把持しながら移動する把持機構とを備えたことを特徴とする食材の把持移動装置。
【請求項4】
前記把持機構が前記押付け板の食材に接触する面に設けられた穴又は凹部、もしくは前記押付け板が食材を押付けている状態で食材に挿入される針部材であることを特徴とする請求項2記載の食材の把持移動装置。
【請求項5】
前記押付け板に弾性を付与させるとともに、前記食材に対する移動ストロークを一定とし、同移動ストロークは前記押付け板が食材に押圧して食材が弾性変形する位置までとすることを特徴とする請求項2記載の食材の把持移動装置。
【請求項6】
前記押付け板及び前記把持機構を、その動作が制御装置によって制御される腕の先端に一体となって取り付け、同腕を移動させることを特徴とする請求項2記載の食材の把持移動装置。
【請求項7】
前記押付け板を弾性を有する材料で製造するか、又は同押付け板をばね部材を介して押付け駆動機構に取り付けたことを特徴とする請求項4記載の食材の把持移動装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、弾性変形可能で押付け板により押付けられると復元力を有するあらゆる種類の食材を、簡単な構造の把持機構で把持力の制御を行わずに把持可能とし、把持した食材をたとえばコンベアに載せられた弁当箱、トレイ内等の所望の場所に正確に移動させることができる食材の把持移動方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近弁当箱、トレイ等の所望の位置に各種の食材を入れてパックする作業は、衛生上の理由及びコスト低減の観点から、人手による作業を排除し、自動化及び無人化が進んでいる。
しかし自動化及び無人化のための制御が高度化、精密化するにつれ、装置が複雑化、高コスト化してきている。すなわち冷凍食品などのように形状が安定している定形物以外の非定形物、あるいは軟弱物等を食品把持移動ロボットのハンドで確実に把持するのはなかなか難しく、そのため食品を把持するハンド自体の構造が複雑化してしまい、また食品毎に専用ハンドを用意しなければならない等の問題が生じ、それに伴ってロボットシステムが高額化してしまう問題がある。
【0003】
たとえば特許文献1(特開2003−128002号公報)には、弁当箱や皿などの盛り付け容器に、形状が一定でない軟弱食材を盛り付ける場合に好適な食品盛り付けロボットとして、基本的な構成として、食品が収容された状態でロボットに供給される食品運搬用容器を同ロボットのハンドにより把持する手段と、この把持された食品運搬用容器を盛り付け容器の上方に運搬する手段と、食品運搬用容器に収容された食品を食品運搬用容器から盛り付け容器に盛り付ける盛り付け手段とを備えた食品盛り付けロボットが開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2003−128002号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかるに特許文献1に開示されている食品盛り付けロボットにおいては、食品をハンドで直接把持するのではなく、食品運搬用容器に収容された食品を食品運搬用容器から外部に出すことで、盛り付け容器に盛り付ける方式を採用してあり、この場合の具体的な盛り付け手段として、食品運搬用容器に切欠き部を設け、食品運搬用容器を傾けて食品を盛り付け容器に落下させたり、あるいは食品運搬用容器に開閉口を設け、開閉口を開いて食品を落下させたり、あるいはハンドに取り付けられたヘラのような補助部材で食品を押し出し乃至かき出して落下させたりしている。
このような複雑な動作をしているため、依然として制御装置が複雑化し、高額化してしまうという問題がある。
【0006】
本発明は、かかる従来技術の課題に鑑み、特許文献1のように、食品運搬用容器に収容された食品を食品運搬用容器から外部に出すことで、盛り付け容器に盛り付ける方式ではなく、食材をロボットハンドを用いて直接把持する方式を採用し、その場合において食材を確実に把持し、弁当箱、トレイ等の所望の位置に正確に移動させ、かつ制御を複雑化及び高額化を招くことなく、簡単な装置で達成することができる食材の把持移動方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、かかる目的を達成するもので、その手段は、押付け板にて食材を復元力を有するように弾性変形させて押し付ける工程と、同押付け工程と同時に又はその後に前記復元力を利用した別の把持機構で食材を把持する工程と、食材を把持しながら所定の位置に食材を移動させる工程とからなることを特徴とする食材の把持移動方法、及び食材を復元力を有するように弾性変形させて押し付ける押付け板と、前記復元力を利用して同食材を把持しながら移動する把持機構とを備えたことを特徴とする食材の把持移動装置に係る。
【0008】
本発明方法においては、まず食材を押付け板で押付けて弾性変形させ、そのとき食材に生じる復元力を利用した把持機構により食材を確実に把持し、これによって所定の位置に食材を確実に移動させる。
また本発明装置においては、前記押付け板と同押付け板の押付けによって押付け板に作用する食材の復元力を利用した把持機構とによって、食材を確実に把持し、所定の位置に食材を移動させる。
【0009】
前記把持機構の具体的な態様は、好ましくは、押付け板の食材に接触する面に設けられた穴又は凹部、もしくは前記押付け板が食材を押付けている状態で食材に挿入される針部材である。
食材との接触面に前記穴又は凹部を有する押付け板を食材に押付けることによって、食材の復元力が発生し、それによって食材の一部が前記穴又は凹部に入り込み、それによって食材と押付け板との間に摩擦力を生じさせ、食材の落下を防止し、確実に把持する。
あるいは、食材を前記押付け板で押し付けた状態で前記針部材を食材に挿入し、食材の復元力を利用して同針部材と食材との間に摩擦力を発生させて、これによって食材を確実に把持する。
【0010】
また好ましくは、前記把持機構が前記押付け板が食材を押付けている状態で食材に挿入される針部材であり、食材の前記移動工程後、再び下降し、前記押付け板で食材を押付けながら前記針部材を食材から引き抜く拘束解除工程を具備する。
このように押付け板を利用することにより、拘束時及び開放時における食材の位置及び姿勢を安定させることができる。
【0011】
また前記把持機構が押付け板の食材との接触面に設けられた穴又は凹部である場合は、食材がある程度の軟弱性を有するため、押付け板で両側から挟みこんだ際に、同穴又は凹部に食材の一部がはみ出し、適度な引っ掛かりができる。このため把持力の制御を行わずに軟弱な食材を把持することができる。
また押付け板の厚さ(ばね定数)、穴又は凹部の数及び大きさを変えることにより、多種の食材に対応することができる。
【0012】
また好ましくは、前記押付け板に弾性を付与させるとともに、前記食材に対する移動ストロークを一定とし、同移動ストロークは前記押付け板が食材に押圧して食材が弾性変形する位置までとする。これによって食材の大きさ又は形状が変わったとしても、食材に対する押付け位置は変わらず、そのとき食材に生じる復元力を常に利用でき、この復元力を利用した把持機構により食材を確実に把持でき、把持力を低下することがない。また移動ストロークを一定とすることにより、押付け板の複雑な制御機構を廃し、制御装置の高額化を招かないという利点がある。
【0013】
また好ましくは、前記押付け板及び前記把持機構を、その動作が制御装置によって制御される腕の先端に一体となって取り付け、同腕を移動させることにより、食材に対し本発明の把持移動装置の操作及び制御が容易となり、その本発明の特徴を一層効果的に発揮させることができる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明によれば、簡単な構造でかつ複雑な制御を必要とすることなく、食材の確実な把持、及び所定の場所への正確な移動を達成できる。すなわち食材の多種多様さおよび剛性ある固定物とは異なるある程度の軟弱さをもっているが故の困難性にかかわらず、押付け板による押付けに対して発生する食材の復元力を利用した把持機構であるため、装置の複雑化、高コスト化を招かず、簡単な装置で確実な把持が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を図に示した実施例を用いて詳細に説明する。但し、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
図1は、本発明の第1実施例に係る食材把持移動ロボットの全体立面図、図2は、前記第1実施例のハンド部の拡大立面図、図3は、前記第1実施例の押付け板13を図2のA方向から視た底面図、図4は、本発明の第2実施例のハンド部に係る拡大立面図、図5は、前記第2実施例の左側面図である。
【0016】
本発明の第1実施例に係る食材把持移動ロボットの全体立面図である図1において、1は基台上に立設されたロボット架台で、同架台1の上部に、軸線aを中心に回動する第1関節2、及び軸線bを中心に回動する第2関節3から構成される多関節のアーム4が装着され、同アーム4の先端部には、後述するハンド部11に軸線c方向の往復動と回転運動とを与える1軸2自由度のアクチュエータ5が装着されている。8は、本実施例のロボットを駆動するための動力源に接続された各種ケーブルを収納した配管、9は食材hをロボット架台1まで搬送してくる食材搬送コンベアである。
【0017】
前記第1実施例のハンド部を示す図2〜3において、6及び7は、アクチュエータ5に駆動用圧空気を供給又は排出する空気供給口及び空気排気口である。12は、アクチュエータ5の図示しない駆動軸に連結されたハンド本体であり、アクチュエータ5により往復動及び回転を行う。13はハンド本体12の先端に取り付けられた押付け板であり、図3に示すように、4ヶ所の溝13aをもち、各溝13aに後述するピン15が挿入される。なお押付け板13はアクチュエータ5により、ちょうど押付け板13が食材hに押圧して食材hが弾性変形する位置までのストロークを付与されている。
ハンド本体12の左右に延びた腕12a,12bの先端には空気シリンダ14が装着され、空気シリンダ14のピストンロッド14aにそれぞれ2本ずつ合計4本のピン15が取り付けられている。
【0018】
係る第1実施例において、アクチュエータ5によって予め定められた所定の長さのストロークを有する押付け板13が食材h(たとえばハンバーグ)に対し、所定長さ接近し、食材hを押圧し弾性変形を生じさせる位置まで下降し、食材hを押圧し、食材hを弾性変形させる。
これと同時にあるいはその後空気シリンダ14を作動して、ピン15を押付け板13の溝13aの間から突出し、食材hの中に刺し込む。
食材hには押付け板13による押付けによって復元力が発生しており、ピン15の食材hへの挿入により前記復元力が押付け板13とピン15に作用することによってピン15と食材hとの間及び押付け板13と食材hとの間に摩擦力が発生し、これによって、ハンド部11は食材hを落下させることなく、確実に把持することができる。
【0019】
その後多関節アーム4を回動させて、把持した食材hを所定の場所、たとえば図示しない食品盛り付けベルトコンベア上を運ばれている弁当箱内等に移動する。
食材hの前記移動工程後、再び下降し、押付け板13で食材hを押付けながらピン15を食材hから引き抜く。
このように押付け板13を利用することにより、拘束時及び開放時における食材の位置及び姿勢を安定させることができる。
【0020】
このように第1実施例によれば、食材hを押付け板13によって押付けによる食材hの復元力を利用して、確実に食材hを把持することができるとともに、押付け板13は所定のストロークを付与され、食材の種類によってストロークの調整を行うことがないため、複雑な制御装置を必要としないという利点がある。
また押付け板13及びピン15のようなきわめて簡単な装置で、食材に確実な把持及び移動を可能とする。
【0021】
図4〜5は、本発明の第2実施例に係り、図2においてアクチュエータ5の下方に接続されているハンド部11を別な構造のハンドに置き換えたものであり、第1実施例と同様に、ハンド部21は、図1に示す食材把持移動ロボットに取付けられた1軸2自由度のアクチュエータ5に接続されて、往復動及び回転駆動される。
図4〜5において、22a,22bは、一対の押付け板であり、空気シリンダ24の一対の駆動片23a,23bに接続され、空気シリンダ24の作用により互いに接近又は離れる方向に動く。22a‘,22b’が離れたときの位置である。なお押付け板22a,22bは、空気シリンダ24により一定のストロークで駆動される。すなわち互いに接近したときは、食材を押圧して弾性変形させる位置までであり、また同押付け板は、弾性を有する材料でつくられるか、あるいは空気シリンダ24の図示しない駆動ピストンに対してばね部材を介して接続されることにより、弾性を付与されている。従って同押付け板は、食材の種類が変わってもある程度の許容範囲を有する。
【0022】
25及び26は、アクチュエータ5に駆動用圧空気を供給又は排出する空気供給口6又は空気排気口7と接続して空気シリンダ24に駆動用空気を供給又は排出する空気供給口及び空気排出口である。
押付け板22a,22bには、図5に示されるように、把持機構としての複数の穴27が設けられ、押付け板22a,22bが食材を両側から押圧したとき、食材の弾性変形による復元力が穴27に作用して、食材が穴27に入り込み、食材と穴27との間に摩擦力が発生して、十分な把持力が発生する。
【0023】
第2実施例において、上記のように、押付け板22a,22bによる押圧力により、食材の復元力が発生し、これにより食材と穴27との間に摩擦力が発生して、十分な把持力が発生するため、食材を確実に把持可能となる。
すなわち食材がある程度の軟弱性を有するため、押付け板22a,22bで両側から挟みこんだ際に、穴27に食材の一部がはみ出し、適度な引っ掛かりができる。このため把持力の制御を行わずに軟弱な食材を把持することができる。
また押付け板の厚さ(ばね定数)、穴又は凹部の数及び大きさを変えることにより、多種の食材に対応することができる。
【0024】
また押付け板22a,22bのストロークを一定とし、かつ同押付け板に弾性力を付与したことにより、ストロークの調整を不要とし、制御が簡単で、高コスト化を招くことなく、また種類の違う食材にそのまま対応可能である。
また押付け板及び把持機能をロボット架台1で制御される多関節アーム4の先端に一体に取り付けたことにより、把持移動装置の操作及び制御が容易となる利点をもつ。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明によれば、弾性変形可能で押付け板により押付けられると復元力を有するあらゆる種類の食材を把持して、たとえば食材盛り付けコンベアに載せられた弁当箱、トレイ内等の所望の場所に正確に移動させるに際し、簡単な構造で十分な把持機能を有するとともに、食材を正確に所望の位置に移動させることができる食材の把持移動方法及び装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1実施例に係る食材把持移動ロボットの全体立面図である。
【図2】前記第1実施例のハンド部の拡大立面図である。
【図3】前記第1実施例の押付け板13を図2のA方向から視た底面図である。
【図4】本発明の第2実施例のハンド部の拡大立面図である。
【図5】前記第2実施例の左側面図である。
【符号の説明】
【0027】
1 ロボット架台
2 第1関節
3 第2関節
4 多関節アーム
5 1軸2自由度アクチュエータ
6、25 空気供給口
7、26 空気排出口
8 各種ケーブル用配管
9 食材搬送コンベア
11,21 ハンド部
12 ハンド本体
12a,12b 腕
13,22a,22b 押付け板
13a 溝
14、24 空気シリンダ
14a ピストンロッド
15 ピン(針部材)
23a 駆動片
27 穴
h 食材
【出願人】 【識別番号】000148357
【氏名又は名称】株式会社前川製作所
【住所又は居所】東京都江東区牡丹2丁目13番1号
【出願日】 平成16年5月24日(2004.5.24)
【代理人】 【識別番号】100083024
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 昌久

【識別番号】100103986
【弁理士】
【氏名又は名称】花田 久丸

【公開番号】 特開2005−333827(P2005−333827A)
【公開日】 平成17年12月8日(2005.12.8)
【出願番号】 特願2004−153780(P2004−153780)