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【発明の名称】 パウチ入りウェットスナックの製造方法
【発明者】 【氏名】種田 豊
【住所又は居所】大阪府東大阪市御厨栄町1丁目5番7号 ハウス食品株式会社内

【氏名】井上 直明
【住所又は居所】大阪府東大阪市御厨栄町1丁目5番7号 ハウス食品株式会社内

【氏名】伊藤 章一
【住所又は居所】大阪府東大阪市御厨栄町1丁目5番7号 ハウス食品株式会社内

【要約】 【課題】一口サイズのほぼ球形で全面皮付きで栄養素と風味が豊かで、鮮やかな黄色を呈するアンデスポテトの外観、特徴を損なうことなく、電子レンジで、あるいは熱水中で加熱するだけで、おいしく食することができるウェットスナックを常温で長期間保存できる、パウチ入りウェットスナックの製造方法を提供することを目的とする。

【解決手段】皮付きのままブランチング処理した後凍結処理した全面皮付きアンデスポテトを、凍結状態のまま、あるいは食塩等の各種調味材と一緒に酸素バリヤー性を有しかつ耐熱性を有するパウチに充填密封、好ましくは減圧密封し、解凍後に加熱殺菌することを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮付きのままブランチング処理した後凍結処理された全面皮付きアンデスポテトを、凍結状態のまま酸素バリヤー性を有しかつ耐熱性を有するパウチに充填密封し、解凍後に加熱殺菌することを特徴とするパウチ入りウェットスナックの製造方法。
【請求項2】
全面皮付きの凍結アンデスポテトをパウチに充填密封する際に、食塩等の各種調味材と一緒に充填密封することを特徴とする請求項1記載のパウチ入りウェットスナックの製造方法。
【請求項3】
充填密封が減圧密封であることを特徴とする請求項1または2記載のパウチ入りウェットスナックの製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ほぼ球形で小粒の全面皮付きアンデスポテトを皮付きのまま喫食するパウチ入りウェットスナックの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、アンデスポテトをスナック食品とすることについては、皮ごと一口で食べられるミニポテトを栽培することができ、スナック菓子およびビールのつまみとして有用な食材を提供することができることが公知になっている(特許文献1)。また、ポテト(馬鈴薯)をパウチ詰めする方法は公知になっている。例えば、馬鈴薯を剥皮後、これを脱酸素剤包装体とともに酸素バリヤー性を有するパウチ内に脱気包装し、加圧加熱殺菌することにより、酸化防止剤を使用することなしに、流通・保存時の褐変を防止でき、また、開封時の馬鈴薯の取り出しが容易にできる方法がある(特許文献2)。また、皮つきのまま包装する技術として、例えば、皮つき原料芋を焼成し、100〜105℃に昇温後、123〜130℃に急昇温させる2段階加圧加熱殺菌処理することにより、常温で長時間保存することができる焼き芋の製造方法がある(特許文献3)。含気包装技術としては、例えば、レトルト耐性およびガスバリヤー性を有する合成樹脂製の成型容器本体とレトルト耐性およびガスバリヤー性を有する蓋材とからなり且つ内部がガス置換されている容器内に、食品素材が調味液を存在させない状態で収容されている含気包装食品であって、上記食品素材は、少なくともその底部が皮材で被覆されていることにより、ドリップの発生がなく、且つ優れた食感と保形性を有する含気包装食品の製造方法がある(特許文献4)。
【0003】
しかし、特許文献1の場合は、ミニポテトの栽培方法が記載されており、得られたミニポテトがスナック菓子やビールのつまみとして有用な食材になり得ることが記載されているに過ぎない。また、特許文献2の場合は、剥皮した後にパウチに充填することになっており、この方法をアンデスポテトに適用した場合、アンデスポテトは通常のジャガイモよりもとても軟らかく、そのままパウチに脱気充填すると潰れてしまうという問題がある。また、特許文献3の場合は、常温で長期間保存することができ、かつ解凍、調理手段を要することなく食することができる焼き芋の製造方法が記載されているだけである。また、特許文献4の場合は、この方法をアンデスポテトに適用すると、加圧加熱殺菌時にポテトが膨張して皮が破れ亀裂がはいってしまうという問題があり、更にはアンデスポテトの黄色い内部の色が白っぽくなるという問題があった。
【0004】
【特許文献1】特開平11−127712号公報
【特許文献2】特開平6−98672号公報
【特許文献3】特開平8−214769号公報
【特許文献4】特開2000−23650号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一口サイズのほぼ球形で全面皮付きで栄養素と風味が豊かで、鮮やかな黄色を呈するアンデスポテトの形状を損なうことなく、電子レンジで、あるいは熱水中で加熱するだけで、おいしく食することができるウェットスナックを常温で長期間保存できる、パウチ入りウェットスナックの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記目的を達成するために種々研究を行った結果、アンデスポテトは剥皮を行っていない全面皮つきのものを使用すること、パウチへの充填に当たってはアンデスポテトを凍結状態で行うこと、パウチは酸素バリヤー性を有しかつ耐熱性を有するパウチとすること、密封シールされたパウチ内で解凍させた後に加熱殺菌を行うこと、以上を同時に満たすことが重要であるとの知見を得、本発明を完成させた。
【0007】
本発明は、皮付きのままブランチング処理した後凍結処理された全面皮付きアンデスポテトを、凍結状態のまま酸素バリヤー性を有しかつ耐熱性を有するパウチに充填密封し、解凍後に加熱殺菌することを特徴とするパウチ入りウェットスナックの製造方法を提供する。
また、本発明は、全面皮付きの凍結アンデスポテトをパウチに充填密封する際に、食塩等の各種調味材と一緒に充填密封することを特徴とする上記パウチ入りウェットスナックの製造方法を提供する。
また、本発明は、充填密封が減圧密封であることを特徴とする上記パウチ入りウェットスナックの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の方法によると、凍結状態のままパウチに充填密封することで、アンデスポテトの皮が剥離されたり、一部が壊れたり潰れたりすることを防止することができる。また、通常のジャガイモよりも味が濃く、栄養的に優れているアンデスポテトの特徴を何ら損なうことなくパウチ入りウェットスナックとすることができる。また、食塩やバター等の各種調味材と一緒に充填密封することにより、加熱殺菌時にポテトに味をよくしみ込ませることができる。更に、充填密封を減圧密封とすることにより、ポテトの色、風味、栄養源の劣化を抑制することができると共に、パウチがアンデスポテトを保形し、殺菌中のアンデスポテトの膨張による亀裂や白色化を防止することができる等の利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明におけるアンデスポテトとしては、アンデスポテトやアンデスポテトを品種改良した2倍体のジャガイモを掲げることができる。アンデスポテトとは、学名がSolanum phurejaで、南アメリカアンデス地方で栽培されている2倍体(通常のジャガイモは4倍体)の原種に近いジャガイモで、小粒種であり、現地ではPapa criolla(パパ・クリオージャ)と呼ばれ、日本ではアンデスポテトと呼ばれている。他のジャガイモに比べて糖分が少なく、ビタミンBやビタミンCが豊富に含まれており、また、アルカリ性食品でカリウムや鉄分も豊富に含まれており、味が濃厚で中身は黄色で、皮が薄く傷つき易いという性質を有している。
【0010】
アンデスポテト(以下、単にポテトと称する)の形状としては、特にこだわるものではないが、ほぼ球形の方が一口で喫食し易く、また、後工程における処理を比較的容易に行うことができるという利点がある。例えば、大きなジャガイモを一口サイズにダイスカットしたような平面を有する形状のものである場合は、その平面どうしが面接触してしまい易く、後工程における凍結処理時や加熱殺菌時の際の条件設定が困難になってくる。一方、ポテトの形状がほぼ球形のものであれば、点接触になるために、上記したような問題はほとんど生じないことになる。
【0011】
本発明では、上記ポテトは皮付きのまま後述する処理を行う。ポテトを皮付きのまま使用するのは、皮に接触している部分が最もおいしく、また、栄養的にも優れているからである。また、剥皮すると、後工程における処理時にポテトが崩れたり壊れたりし易くなり、こうしたことを防止する上でも、皮付きである必要がある。
【0012】
次に、上記ポテトのブランチング処理は、表面殺菌、酵素失活、発芽防止等を目的とするもので、このブランチング処理を行わなかった場合は、後述する凍結処理後の解凍時の菌数増加、酵素による変質、発芽という問題が発生することになる。ブランチング処理の方法は、特に限定されるものではなく、熱湯ボイル処理や蒸気処理等の方法を例示することができる。その際の条件としては、80〜100℃で0.5〜10分間という条件を例示することができる。
【0013】
ブランチング処理後に上記ポテトを凍結処理する。これは、パウチへの充填時にポテトが剥皮したり、崩れたり、潰れたりするのを防止することを目的とするものである。従って、この目的を達成するものであれば、凍結処理条件は特に限定されるものではなく、常法に則って実施すればよいが、その一例を示すと、−40℃、35分間という条件を掲げることができる。
【0014】
凍結処理したポテトは、そのままの状態でパウチに充填密封する。この点が、上記目的を達成するための本発明の重要な特徴のひとつである。この場合のパウチは、酸素バリヤー性を有しかつ耐熱性を有するパウチであることを必須とする。酸素バリヤー性は酸素透過度が10fmol/(m・s・Pa)以下、好ましくは5fmol/(m・s・Pa)以下とすることが好ましく、最終製品を電子レンジ対応とするためには、アルミ箔を有せずに上記酸素透過度を有する構成のパウチとする必要があり、その例としては酸化アルミ蒸着、シリカ蒸着、エチレンビニルアルコール共重合体を含む合成樹脂等をバリア材としたパウチ等が掲げられる。耐熱性は、後述する加熱殺菌温度に耐え得るものであることが必要であり、加熱殺菌が100℃以上の加圧加熱殺菌であれば、当然それに耐え得る程度の耐熱性が必要となり、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレン等の合成樹脂やこれら合成樹脂を適宜組み合わせたものを例示することができる。
【0015】
パウチの形状としては、平パウチでもよく、あるいはスタンディングパウチであってもよい。また、電子レンジにより加熱した際に、パウチが昇温によるパウチ内の圧力の上昇によって破袋しないように工夫されたパウチ、例えば、パウチ内の圧力がある一定の圧力になったときにパウチの特定のシール部分が開封されるように工夫されたパウチを使用することもできる。例えば、特公平7−49066号公報、特開2002−53183号公報、特開2002−80072号公報等に記載されているパウチを使用することができる。
【0016】
上記ポテトをパウチに充填密封する方法としては、特に限定されないが、製品の酸化を抑制するために、できるだけ酸素の少ない状態で充填密封することが好ましく、減圧密封、すなわち、パウチ内を減圧、好ましくは80hpa以下、より好ましくは13hpa以下に減圧にして充填密封する方法、あるいは窒素置換密封する方法、蒸気置換密封する方法、脱酸素剤を同封した上で密封する方法を例示することができる。これによって、充填密封されたポテトの酸化を効果的に防止することが可能となる。しかし、ポテトの色、風味、栄養源の劣化を抑制することができると共に、ポテトの保形性を確保し、殺菌中のポテトの膨張による亀裂や白色化を防止することができるという点、さらには、解凍処理時や加熱殺菌時における熱伝達の点から、充填密封を減圧密封とすることが好ましい。
【0017】
凍結状態のまま充填密封したポテトは、その後適宜方法により解凍した上で加熱殺菌する。解凍に当たっては、凍結状態のポテトの中心部まで完全に解凍することが重要になってくる。この解凍が中途半端なものになると、解凍後の加熱殺菌時においてポテトの中心部が殺菌に必要な温度にまで上昇しないことによる殺菌不良を生じる可能性がある。解凍方法としては、特に限定されるものではなく、自然解凍、蒸気解凍、温水解凍、マイクロ波解凍等の方法を例示することができるが、凍結状態のポテトの表面部の温度をあまり上げずに中心部まで完全に解凍するという点では温水解凍が最も効率的である。
【0018】
加熱殺菌は、最終製品であるパウチ入りウェットスナックを常温で長期間保存するための殺菌であり、これを達成するための加熱殺菌条件としては、ポテトの中心部のF値が4以上、例えば、122℃、18分間と同等以上の加熱条件が必要となる。そして、この条件を短時間で達成するためには、加圧加熱殺菌方法を採用することが望ましい。
【0019】
上記方法によって、本発明の目的とするパウチ入りウェットスナックを得ることができる。なお、上記凍結状態のポテトをパウチに充填密封する際に、食塩やバター等の各種調味材をポテトと一緒に充填密封することにより、後工程の加熱殺菌時に適宜好みの味付けを行うことができる。
【0020】
このようにして得られたパウチ入りウェットスナックは、パウチのまま適宜方法で温めた後、ポテトを取り出して喫食する。温める方法としては、熱水中にパウチを入れる方法や電子レンジで加熱する方法等があるが、後者の方が簡単で且つ短時間で温めることができるという点で好ましい。電子レンジ対応とする場合は、前述した如くパウチが昇温による圧力上昇によって破袋しないように工夫されたものを使用することが好ましい。もちろん、パウチからポテトを取り出して、電子レンジで加熱してもよい。
【実施例1】
【0021】
約95℃の熱湯中で5分間、ブランチング処理した後、冷水中で冷却し、その後、−40℃の冷凍庫中で35分間冷凍処理を施した直径25〜40mmの全面皮付きアンデスポテト70個を6個ずつ凍結状態のまま、シューターを介して酸素バリヤー性を有しかつ耐熱性を有する電子レンジ対応パウチ(大日本印刷製、NY/シリカ蒸着PET/CPP)に充填し、13hpa以下に減圧にしてそのまま密封シールを施した。この時点で全面皮付きアンデスポテトの状態を確認したところ、皮が剥離されたり、崩れたり、潰れたりしておらず、非常に形の整ったものであった。その後、約40℃の温水中で約1時間放置して解凍処理を施した後、122℃、18分間の条件で加熱殺菌処理して、パウチ入りウェットスナックを得た。よって得られたパウチ入りウェットスナックは、加熱殺菌処理によっても全面皮付きアンデスポテトは型崩れをしておらず、中身は鮮やかな黄色で食欲をそそるものであった。
(比較例1)
【0022】
凍結状態の全面皮付きアンデスポテトを解凍処理した後、減圧密封すること以外は、すべて実施例1と同様の方法で処理して、パウチ入りウェットスナックを得た。よって得られたパウチ入りウェットスナックは、解凍処理した後の充填工程でいくつかの全面皮付きアンデスポテトで剥皮が起こり、また、一部崩れたり、潰れたりしているものが観察された。また、最終製品では、皮付きアンデスポテトの一部で崩れたり、潰れたりした現象が更に拡大していた。
【実施例2】
【0023】
約95℃の熱湯中で5分間、ブランチング処理した後、冷水中で冷却し、その後、−40℃の冷凍庫中で35分間冷凍処理を施した直径25〜40mmの全面皮付きアンデスポテト70個に食塩5gをほぼ均一に振りかけた後に、当該アンデスポテト6個ずつを凍結状態のまま無塩バター2gと一緒に、シューターを介して酸素バリヤー性を有しかつ耐熱性を有する電子レンジ対応パウチ(大日本印刷製、NY/シリカ蒸着PET/CPP)に充填し、13hpa以下に減圧にしてそのまま密封シールを施した。この時点で全面皮付きアンデスポテトの状態を確認したところ、皮が剥離されたり、崩れたり、潰れたりしておらず、非常に形の整ったものであった。その後、約40℃の温水中で約1時間放置して解凍処理を施した後、122℃、18分間の条件で加熱殺菌処理して、パウチ入りウェットスナックを得た。よって得られたパウチ入りウェットスナックは、加熱殺菌処理によっても全面皮付きアンデスポテトは型崩れをしておらず、中身は鮮やかな黄色でバター風味を有し食欲をそそるものであった。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明の方法によると、ほぼ球形で小粒の全面皮付きアンデスポテトが充填密封されているパウチを、電子レンジや熱湯中で温めてそのまま喫食することができることから、コンビニや屋外でも気楽に喫食することができるパウチ入りウェットスナックを提供することができる。
【出願人】 【識別番号】000111487
【氏名又は名称】ハウス食品株式会社
【住所又は居所】大阪府東大阪市御厨栄町1丁目5番7号
【出願日】 平成16年5月17日(2004.5.17)
【代理人】
【公開番号】 特開2005−323570(P2005−323570A)
【公開日】 平成17年11月24日(2005.11.24)
【出願番号】 特願2004−146833(P2004−146833)