| 【発明の名称】 |
活性酸素を除去した液状食品の製造方法及びその製造装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】矢野 大作 【住所又は居所】東京都江東区新砂1丁目2番8号 オルガノ株式会社内
【氏名】吉澤 道雄 【住所又は居所】東京都江東区新砂1丁目2番8号 オルガノ株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】液状食品に元来含まれている活性酸素成分を、副生成物や添加物を残すことなく、液状食品の有する風味を保ったまま除去する液状食品の製造方法及びその製造装置を提供すること。
【解決手段】液状食品を水素原子により脱活性酸素処理する活性酸素を除去した液状食品の製造方法および液状食品を水素原子生成装置に供給する手段と、液状食品を脱活性酸素処理する水素原子生成装置を備える製造装置。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 液状食品を水素原子により脱活性酸素処理することを特徴とする活性酸素を除去した液状食品の製造方法。 【請求項2】 前記水素原子が、水素分子を溶存させた液状食品と触媒の接触作用で生成されるものであることを特徴とする請求項1記載の活性酸素を除去した液状食品の製造方法。 【請求項3】 前記水素原子が、液状食品が供給される隔膜で区画された陰極室と陽極室を備える電解槽の該陰極室で生成するものであることを特徴とする請求項1記載の活性酸素を除去した液状食品の製造方法。 【請求項4】 前記触媒がニッケル、銅、亜鉛、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、レニウムおよび白金から選ばれる少なくとも1つの金属元素を含むことを特徴とする請求項2記載の活性酸素除去水の製造方法。 【請求項5】 前記液状食品は、予め脱酸素処理されたものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の活性酸素を除去した液状食品の製造方法。 【請求項6】 前記液状食品から除去される活性酸素がヒドロキシルラジカルであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の活性酸素を除去した液状食品の製造方法。 【請求項7】 前記液状食品が、アルコール飲料、食酢、清涼飲料、果汁飲料、茶飲料、コーヒー飲料又は調味料であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の活性酸素を除去した液状食品の製造方法。 【請求項8】 脱活性酸素処理は、生成速度1.0nM/分以上の水素原子で行うことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載の活性酸素を除去した液状食品の製造方法。 【請求項9】 液状食品を水素原子生成装置に供給する手段と、液状食品を脱活性酸素処理する水素原子生成装置を備えることを特徴とする活性酸素を除去した液状食品の製造装置。 【請求項10】 隔膜で区画された陰極室と陽極室を備える電解槽と、該陰極室に液状食品を供給する供給手段を備えることを特徴とする請求項9記載の活性酸素を除去した液状食品の製造装置。 【請求項11】 前記水素原子生成装置が、液状食品に水素分子を溶解させる手段と、水素分子を溶解した液状食品と触媒を接触させる手段を備えることを特徴とする請求項9記載の活性酸素を除去した液状食品の製造装置。 【請求項12】 前記触媒がニッケル、銅、亜鉛、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、レニウム、白金の少なくとも1つの金属元素を含むことを特徴とする請求項11記載の活性酸素を除去した液状食品の製造装置。 【請求項13】 前記液状食品に含まれる酸素分子を予め除去する手段を有することを特徴とする請求項9〜12のいずれか1項記載の活性酸素を除去した液状食品の製造装置。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、アルコール飲料、食酢、清涼飲料、果汁飲料、茶飲料、コーヒー飲料、調味液等の液状食品に関し、特に活性酸素を除去した液状食品の製造方法およびその製造装置に関するものである。 【背景技術】 【0002】 活性酸素とは大気中に通常存在する酸素分子(3O2:三重項酸素)に物理的または化学的エネルギーが加えられより反応性の高い化合物に変化したものの総称であり、一般的には一重項酸素(1O2)、スーパーオキシドアニオンラジカル(O2・−)、過酸化水素(H2O2)、ヒドロキシルラジカル(HO・)の4種類がある。これら活性酸素には酸化力(物質を酸化する能力)が強いという共通の特徴があり、特にヒドロキシルラジカルはほぼ全ての有機物を酸化することが可能な極めて強い酸化力を有する。 【0003】 近年、活性酸素がタンパク質の変性、脂質の過酸化、DNA分解、酵素失活等を引き起こし細胞にダメージを与えることによって、様々な病気を引き起こすことが明らかとなってきた。そこで活性酸素を除去又は消去する機能を持った添加剤の開発が活発に行われている。 【0004】 例えば、特開平6−227977号公報には、セサミン/エピセサミンが活性酸素消去に有効であることが示され、これを活性酸素消去剤として医薬品または飲食品として用いる方法が開示されている。また、特開平4−202138号公報には、ホップ粉砕物を疎水性有機溶媒で抽出した成分の中に活性酸素消去に有効な成分が含まれることが示され、これを医薬品または食品として用いる方法が開示されている。 【特許文献1】特開平6−227977号公報(請求項1) 【特許文献2】特開平4−202138号公報(請求項1) 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 このような従来の発明は、活性酸素を除去する機能を有する添加剤の開発であり、これら添加剤を配合した液状食品では、液状食品に元来含まれる活性酸素成分が有効に除去されるものの、液状食品が本来有する風味等が損なわれるという問題がある。従って、液状食品に元来含まれる活性酸素を活性酸素消去剤以外の方法で除去する方法が切望されている。 【0006】 従って、本発明の解決しようとする課題は、液状食品に元来含まれている活性酸素成分を、副生成物や添加物を残すことなく、液状食品の有する風味を保ったまま除去する液状食品の製造方法及びその製造装置を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0007】 かかる実情において、本発明者らは鋭意検討を行った結果、液状食品を水素原子により脱活性酸素処理すれば、液状食品に元来含まれている活性酸素成分を副生成物や添加物を残すことなく、液状食品の有する風味を保ったまま除去できること等を見出し、本発明を完成するに至った。 【0008】 すなわち、本発明(1)は、液状食品を水素原子により脱活性酸素処理する活性酸素を除去した液状食品の製造方法を提供するものである。 また、本発明(2)は、液状食品を水素原子生成装置に供給する手段と、液状食品を脱活性酸素処理する水素原子生成装置を備える活性酸素を除去した液状食品の製造装置を提供するものである。 【発明の効果】 【0009】 本発明によれば、水素原子生成装置で生成される水素原子を、液状食品に元来含まれる活性酸素と直ちに反応させることにより活性酸素が除去された液状食品を得ることができ、また得られた液状食品中に副生成物を残留させることがない。また、水素原子の生成速度が1.0nM/分以上であれば、より確実に活性酸素を除去することができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0010】 本発明において、液状食品としては、特に制限されず、例えばアルコール飲料、食酢、清涼飲料、果汁飲料、茶飲料、コーヒー飲料又は調味料等が挙げられる。液状食品はその中間品も含まれる。中間品とは、液状食品を製造する過程の各段階で得られるものであって、原水である食品用水以外のものを全て含む。活性酸素は溶存酸素あるいは酸化性物質などの活性酸素前駆体から逐次的に生成しており、液状食品中には通常活性酸素が含まれている。活性酸素が除去された液状食品は、タンパク質の変性、脂質の過酸化、DNA分解、酵素失活等を引き起こすことがなく、健康食品として用いることができる。 【0011】 水素原子は、水素分子を溶解した液状食品と触媒の接触作用で生成されるか、あるいは液状食品が供給される隔膜で区画された陰極室と陽極室を備える電解槽の該陰極室で生成されるものが挙げられる。 【0012】 液状食品中に水素分子を溶解させる方法としては、水素分子を膜を通して液状食品中に溶解させる法(膜溶解法)及び水素分子を曝気等により液状食品中に直接溶解させる方法等が挙げられる。このうち、膜溶解法が、排ガスの取り扱いが容易である点で好ましい。また、水素分子の溶解量、すなわち、触媒との接触時における液状食品の溶存水素濃度が25℃、1気圧で0.1mg/L以上、特に0.15mg/L以上、1.5mg/L以下が好ましい。溶存水素濃度が0.1mg/L未満では効果的に活性酸素を除去することができない。また、液状食品の溶存水素は活性酸素を除去するに必要な量で足り、1.5mg/Lより多いと無駄となる。 【0013】 触媒としては、液状食品中に溶存した水素分子と接触することにより水素原子を発生させるものであれば特に制限されず、例えばニッケル、銅、亜鉛、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、レニウムおよび白金から選ばれる少なくとも1つの金属元素を含むものが挙げられる。このうち、担体表面に白金黒を担持させた触媒が好ましい。白金黒担持触媒は大きな水素原子生成速度を得ることができ、活性酸素の除去に好適である。これら金属元素を含む触媒の形状としては、特に制限されないが、粒状あるいは網状に成形したものが扱い易く好ましい。 【0014】 水素分子を溶存させた液状食品と触媒の接触方法としては、水素分子と液状食品と触媒の三者が同時に接触する方法であれば特に制限されず、例えば触媒を充填した触媒塔に水素分子を溶存させた液状食品を通水する方法(通液法)及び微粉末状触媒を液状食品に懸濁させて水素分子と接触させる方法(懸濁法)が挙げられる。このうち、通液法は、接触条件の設定が行い易く、また処理液を連続して得ることができる点で好ましい。また、懸濁法は、触媒の有効表面積が大きく取れ水素原子生成速度を高める点で好ましい。また、懸濁法の場合、処理液中から触媒を回収する手段を備えることが好ましい。回収手段としては公知の手段を用いることができるが、膜ろ過法、特に中空糸を用いた膜ろ過法が大気との接触を避けることができる点で好適である。触媒との接触作用により生成する水素原子の寿命は約1分以下であり極めて短いものの、当該接触方法によれば生成する水素原子は直ちに液状食品と接触することになり、活性酸素を確実に除去することができる。 【0015】 また、水素原子は、隔膜で区画された陰極室と陽極室を備える電解槽の該陰極室に液状食品を供給し電解することにより、液状食品と水素原子を接触させることができる。すなわち、液状食品の電解により陰極室では水素原子が発生するため、該水素原子は液状食品中の活性酸素と直ちに接触することになる。また、電解槽の陰極室では副生成物である水素ガスが発生し、該水素分子は液状食品に溶解する。このため、水素分子を溶解した液状食品を更に、触媒と接触させれば、より確実に液状食品中の活性酸素を除去することができる。水素分子を溶存させた液状食品と触媒の接触方法は前述の通りである。 【0016】 触媒との接触により生成する水素原子の生成速度又は電解槽の陰極室で生成する水素原子の生成速度は1.0nM/分以上、特に1.1nM/分以上であることが好まし。1.0nM/分未満であれば効果的に活性酸素を除去することが困難となる。水素原子の測定および定量分析方法としては、後述するヒドロシキルラジカルの測定方法と同様のスピントラップ−電子スピン共鳴法が適用でき、触媒との接触の場合は、水素分子を溶存させた液状食品と触媒が接触する際、あるいは接触前にスピントラップ剤を予め添加して測定を行えばよく、電解の場合は、直流電流が印加される陰極室に、又は該陰極室に液状食品を供給する前にスピントラップ剤を予め添加して測定を行えばよい。 【0017】 本発明の活性酸素除去液状食品の製造方法においては、液状食品へ水素分子を溶解させる直前、あるいは電解槽の陰極室へ供給する直前に、液状食品中に含まれる酸素分子を予め除去しておくことが、活性酸素を効果的に除去することができる点で好ましい。酸素分子の除去方法としては、特に制限されず、膜脱気法、触媒法等、公知の方法を用いることができる。液状食品中の溶存酸素濃度は予め2.0mg/L以下、好ましくは1.0mg/L以下に低減せしめておけば活性酸素を特に効果的に除去することができる。 【0018】 本発明により除去される活性酸素は前述の通り、一重項酸素、スーパーオキシドアニオンラジカル、過酸化水素、ヒドロキシルラジカルであるが、特に極めて酸化力の高いヒドロキシルラジカルに対して効果的に作用する。本発明の方法により得られる活性酸素除去液状食品は、健康食品として用いることができ、タンパク質の変性、脂質の過酸化、DNA分解、酵素失活等を引き起こすことがない。なお、活性酸素除去液状食品は消費されるまでは、酸素分子を溶解させないよう不活性雰囲気下で取り扱うか、密閉容器内に入れておくことが好ましい。 【0019】 また、本発明の活性酸素を除去した液状食品の製造装置としては、液状食品を水素原子生成装置に供給する手段と、液状食品を脱活性酸素処理する水素原子生成装置を備えるものが挙げられる。また、前記水素原子生成装置としては、液状食品に水素分子を溶解させる手段と、水素分子を溶解した液状食品と触媒を接触させる手段を備える装置が挙げられる。液状食品に水素分子を溶解させる手段としては、特に制限されず、膜溶解装置、曝気装置および電気分解装置等公知の手段を用いることができる。水素分子溶解液状食品と触媒を接触させる手段としては、水素分子溶解液状食品流入配管を上流側に備え、処理液流出配管を下流側に備える触媒充填塔、あるいは液状食品と触媒を懸濁する懸濁槽と懸濁槽中の液の水素分子を溶解させる曝気装置を備えたもの等が挙げられる。本発明の活性酸素除去液状食品の製造装置は、液状食品中に含まれる酸素分子を予め除去する手段を更に有することが好ましい。 【0020】 活性酸素除去液状食品の製造装置の他の例としては、隔膜で区画された陰極室と陽極室を備える電解槽と、該陰極室に液状食品を供給する供給手段を備える装置が挙げられる。電解槽で用いる陰極としては、公知の材料を用いることができるが、母材がチタンである電極が、取り扱い易さ、無毒性という観点から好ましい。また、チタン表面に白金をコーティングした電極がより好ましい。コーティング方法は、焼結法、電気メッキ法又は化学メッキ法等が挙げられる。電解槽で用いる隔膜としては、中性多孔質膜、あるいは陽イオン交換膜等のイオン選択透過膜が挙げられる。中性多孔質膜としては、ポリエチレン製膜、ポリスルフォン製膜が挙げられ、具体的にはフッ化ビニリデンでコーティングしたポリエステルシート、ポリテトラフルオロエチレンとポリエチレンテレフタレートを混紡したシート状物が例示される。陽イオン交換膜を用いる場合は、例えばデュポン社製のナフィオン膜や旭化成製のフレミオン膜等を用いることができる。電解槽の陰極室で得られた活性酸素除去液状食品は、通常陰極室に接続された流出配管を通って所定の容器に貯留される。 【0021】 活性酸素除去液状食品の製造装置の他の例としては、前段に隔膜で区画された陰極室と陽極室を備える電解槽と、該陰極室に液状食品を供給する供給手段を備える装置を設置し、後段に水素分子を溶解した液状食品と触媒を接触させる手段を備える装置を設置したものが挙げられる。電解槽の陰極室では副生成物である水素ガスが発生し、水素分子を溶解した液状食品を得ることができ、更に水素分子を溶解した液状食品を触媒と接触させれば、より確実に液状食品中の活性酸素を除去することができる。 【0022】 本発明において、活性酸素、特にヒドロキシルラジカルを測定する方法としては、スピントラップ−電子スピン共鳴法が挙げられる。電子スピン共鳴法(Electron Spin Resonance(ESR))は電子常磁性共鳴法とも呼ばれ、物質中に存在する不対電子を観測する分析法である。その測定原理については、例えば大矢博昭・山内淳著「電子スピン共鳴 素材のミクロキャラクタリゼーション」p.15−33(講談社・1989)に詳しい。吸収スペクトルや蛍光スペクトルのような光学的手法では不対電子を有する物質の存在を間接的にしか示すことができないが、電子スピン共鳴法では対象となる物質が不対電子を持つことの決定的な証明となる。ヒドロキシルラジカルは不対電子を持つことから、電子スピン共鳴法により測定可能である。 【0023】 しかしながらヒドロキシルラジカルはその寿命が短い為、そのままの状態では電子スピン共鳴法による測定が困難である。そこで一旦まずスピントラップ剤に結合させ安定なラジカルとして間接的に測定する方法が用いられる。 【0024】 スピントラップ剤としては、次式(1)で示される5,5−ジメチル−1−ピロリン−1−オキシド(DMPO); 【0025】 【化1】
【0026】 N−tert−ブチル−α−フェニルニトロン(PBN)、α−(4−ピリジル−1−オキシド)−N−tert−ブチルニトロン(4−POBN)等の物質が挙げられる。スピントラップ−電子スピン共鳴法については、例えば大矢博昭・山内淳著「電子スピン共鳴 素材のミクロキャラクタリゼーション」p.131−136(講談社・1989)に詳しい。以下、本明細書ではスピントラップ−電子スピン共鳴法による測定をESR測定と表記する。 【0027】 ESR測定装置は、電子スピン共鳴装置(例えば「JES-TE100」(日本電子社製))、試料セル(例えば「高感度水溶液セルRST-LC09」(ラジカルリサーチ社製))およびMnマーカ(例えば「デジタルマーカES-DM1」(日本電子社製))を備える。Mnマーカは磁場および感度の補正を必要とする場合に使用される。以下に、ヒドロキシルラジカルと水素原子の定量分析方法について説明する。 【0028】 (ヒドロキシルラジカルおよび水素原子の定量分析方法) <ESR測定の測定条件> 測定温度;室温、マイクロ波周波数;9.4GHz、マイクロ波出力;2.0mW、掃引磁場;334.5mT±5mT、磁場変調;100kHz、変調幅;63μT、時定数;1.0秒、掃引時間;8分、測定チャンネル数;4096チャンネル、ゲイン;1250もしくは2500、スピントラップ剤;DMPO(ラボテック社製)、標準物質(定量分析用);次式(2)で示される4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(TEMPOL;和光純薬社製) 【0029】 【化2】
【0030】 <ESR測定手順> 試験液1mlを試験管に採取し、1分後にDMPO25μlを加えて攪拌し、次いでESR測定用セルに封入し、採取から3分後にESR測定を開始する(以下、「測定手順1」と言う。)。なお、水素原子の測定に際しては、水素原子生成時または生成前に試験液中にDMPOを予め存在させておく。試験液の採取からESR測定用セルへの封入までは全て、窒素ガス等の不活性ガスを満たしたグローブボックス内で操作する。 【0031】 <ヒドロキシルラジカルの測定例> ヒドロキシルラジカルを測定して得たESRスペクトルの一例を図1に示す。ヒドロキシルラジカルとDMPOの結合体(図2)は○印で示すようにピーク強度比が1:2:2:1となるスペクトルが現れる。なお、両端の×印で示す2本のピークはMnマーカによるものである。 【0032】 <水素原子の測定例> 水素原子を測定して得たESRスペクトルの一例を図3に示す。水素原子とDMPOの結合体(図4)は□印で示すように強度比が1:1:2:1:2:1:2:1:1となる特徴的な9本のピークを持つスペクトルが現れる。なお、水素原子の測定では最も高磁場側(最右端)のピークがMnマーカによるピークと重なるため、水素原子の定量を行う測定ではMnマーカを使用しない場合もある。 【0033】 <定量方法> ヒドロキシルラジカルおよび水素原子の定量は次の手順で行う。 (1)TEMPOL濃度2.7×10−7Mの溶液を準備し、そのESR測定を行う。この時、電子スピン共鳴装置の設定はゲインを除いてヒドロキシルラジカルや水素原子の定量時の条件と同じとする。得られたスペクトルを図5に示す。TEMPOLに特有の1:1:1の信号強度比を持つ3本のピーク(△印)が現れる。 (2)図5で得られた3本のピークについて二重積分を行いピーク面積を求め、面積と濃度の換算係数を算出する。 (3)ヒドロキシルラジカルあるいは水素原子の測定結果より、得られたピークを二重積分し(ヒドロキシルラジカルの場合は4本、水素原子の場合は9本)、(2)で得られた換算係数により各々の化学種の濃度を算出する。 【0034】 なお、本測定法における測定下限は例えばヒドロキシルラジカルで10nM、水素原子で20nMである。 【0035】 次に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、これは単に例示であって、本発明を制限するものではない。 【実施例1】 【0036】 ほうじ茶抽出液20mLに粒子状の白金黒触媒(和光純薬社製)5mgを添加し、水素分子を400mL/分(常温常圧換算)の速度で30分間曝気させた後、試験液を採取して、以後は測定手順1でESR測定を行った。すなわち、実施例1は触媒との接触時にスピントラップ剤は存在せず、接触後1分後にスピントラップ剤を存在させる条件である。なお試験液の採取時には孔径0.45μmのフィルターを用い、白金黒触媒と試験液の分離が完全に行われるよう配慮した。なお、DMPOはラボテック社より入手したものをそのまま用いた。また、ほうじ茶抽出液及び試験液を5人による官能検査を行い、風味の変化を検査した。風味の表示は5人の平均で示す。そのESR測定結果及び風味検査結果を表1に示す。 【0037】 比較例1 ほうじ茶抽出液20mLに粒子状の白金黒触媒5mgを添加し、30分間撹拌させた後、試験液を採取し、以後は測定手順1でESR測定を行った。なお試験液の採取時には孔径0.45μmのフィルターを用い、白金黒触媒と試験液の分離が完全に行われるよう配慮した。そのESR測定結果及び風味検査結果を表1に示す。 【0038】 比較例2 ほうじ茶抽出液20mLに水素分子を400mL/分(常温常圧換算)の速度で30分間曝気させた後、試験液を採取して、以後は測定手順1でESR測定を行った。そのESR測定結果及び風味検査結果を表1に示す。 【0039】 比較例3 ほうじ茶抽出液20mLを試験液として採取し、以後は測定手順1でESR測定を行った。そのESR測定結果及び風味検査結果を表1に示す。 【0040】 【表1】
【0041】 表1中、○印は「有」、×印は「無」、「ND」は検出されないことをそれぞれ示す。水素分子溶解、白金黒添加のそれぞれ単独でもヒドロキシルラジカル除去が認められるが、除去効果は低い。一方、水素分子溶解および白金黒が添加された実施例1は、ヒドロキシルラジカルの除去効果が顕著である。なお、本実施例及び比較例では水素原子は検出されなかった。また、風味の変化もなかった。 【実施例2】 【0042】 ほうじ茶抽出液20mLにDMPOを25μL加え、白金黒触媒5mgを添加し、水素分子を400mL/分(常温常圧換算)の速度で30分間曝気させた後、試験液を採取してESR測定用セルに封入し、採取から3分後にESR測定を開始した。すなわち、実施例2はスピントラップ剤を触媒との接触時に存在させたものである。そのESR測定結果を表2に示す。 【0043】 比較例4 ほうじ茶抽出液20mLにDMPOを25μL加え、白金黒触媒5mgを添加し30分間撹拌させた後、試験液を採取してESR測定用セルに封入し、採取から3分後にESR測定を開始した。そのESR測定結果を表2に示す。 【0044】 比較例5 ほうじ茶抽出液20mLにDMPOを25μL加え、水素分子を400mL/分(常温常圧換算)の速度で30分間曝気させた後、試験液を採取してESR測定用セルに封入し、採取から3分後にESR測定を開始した。そのESR測定結果を表2に示す。 【0045】 比較例6 ほうじ茶抽出液20mLにDMPOを25μL加えこれを試験液としてESR測定用セルに封入し、採取から3分後にESR測定を開始した。そのESR測定結果を表2に示す。 【0046】 【表2】
【0047】 表2に示すように、実施例2では水素原子の存在が確認された。すなわち、ほうじ茶抽出液と白金黒触媒と水素分子が接触して水素原子を生成し、該水素原子が直ちにスピントラップ剤DMPOと反応したものである。このように、ヒドロキシルラジカルの除去に水素原子が関与していることが判る。また実施例1との相違点(DMPOを添加する時期)から、水素原子が1分以上被処理水に残留することはないことが明らかである。 【0048】 実験例1 実施例1と同じ手順で水素分子の曝気速度を変えながら試験を行った。すなわち、ほうじ茶抽出液20mLに白金黒触媒5mgを添加し、水素分子を10〜400mL/分(常温常圧換算)の速度で30分間曝気させた後、試験液を採取して測定手順1の手順に従いESR測定を行った。その結果を表3に示す。 【0049】 【表3】
【0050】 実験例2 実施例2と同じ手順で水素分子の曝気速度を変えながら試験を行った。すなわち、ほうじ茶抽出液20mLにDMPOを25μL加え、白金黒触媒5mgを添加し、水素分子を表4に示す曝気速度(常温常圧換算)で30分間曝気させた後、試験液を採取してESR測定を行った。その結果を表4に示す。 【0051】 【表4】
【0052】 表4中、測定された水素原子の生成量は水素分子を曝気した時間内における積算量である。従って水素原子の生成速度は測定された生成量を曝気時間で割った値となる。表3および表4に示すように、水素原子生成速度とヒドロキシルラジカルの低減量に明確な相関が認められることから、水素原子がヒドロキシルラジカルの除去に関与していることは明らかである。また、水素原子生成速度が1.0nM/分未満ではヒドロキシルラジカルの除去がほとんど行われないことが明らかである。 【0053】 実験例3 予め真空脱気モジュール「リキセル・ミニモジュール」(セルガード社製)を用い溶存酸素を表5に示す濃度まで低減したほうじ茶抽出液20mLに粒子状の白金黒触媒5mgを添加し、水素分子を400mL/分(常温常圧換算)の速度で5分間曝気させた後、試験液を採取して測定手順1に従ってESR測定を行った。溶存酸素濃度の測定にはポータブル溶存酸素計「DO−21P」(東亜ディーケーケー社製)を用いた。その結果を表5に示す。なお試験液の採取時には孔径0.45μmのフィルターを用い、白金黒触媒と試験液の分離が完全に行われるよう配慮した。表5の結果から、溶存酸素濃度2.0mg/L以下では十分にヒドロキシルラジカルが除去されることが明らかである。 【0054】 【表5】
【実施例3】 【0055】 ほうじ茶抽出液を以下に示す電極槽の陰極室に注入し、0.1mol/L硫酸ナトリウム溶液を陽極室に注入し、1分間電解を行った後、陰極室から溶液を抜き出し試験液としてESR測定に供したところ、ヒドロキシルラジカルの生成は認められなかった。また、試験液について、風味検査を行ったところ、「風味の変化なし」であった。 【0056】 (電解槽) 陽極:10mm角ステンレス板 陰極:白金コーティングを施した10mm角チタン板 隔膜:デュポン製ナフィオン 電解槽:ポリプロピレン製、有効容積3.2cm3×2室 電極間距離:6mm 電流密度:電極面積当り1.0×10−2A/cm2 【実施例4】 【0057】 ほうじ茶抽出液に代えて、コーヒー抽出液を用いた以外は、実施例1と同様の方法で行った。その結果、ヒドロキシルラジカルの生成は認められなかった。また、試験液について、風味検査を行ったところ、「風味の変化なし」であった。 【0058】 本発明によれば、液状食品が元来有する風味を損なうことなく、また得られた液状食品中に副生成物を残留させることなく、活性酸素が除去された液状食品を得ることができる。このため、当該活性酸素除去液状食品は健康食品として有用である。 【図面の簡単な説明】 【0059】 【図1】ヒドロキシルラジカルを測定して得たESRスペクトルの一例を示す。 【図2】ヒドロキシルラジカルとDMPOの結合体を示す。 【図3】水素原子を測定して得たESRスペクトルの一例を示す。 【図4】水素原子とDMPOの結合体を示す。 【図5】TEMPOLを測定して得たESRスペクトルの一例を示す。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000004400 【氏名又は名称】オルガノ株式会社 【住所又は居所】東京都江東区新砂1丁目2番8号
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| 【出願日】 |
平成16年5月17日(2004.5.17) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100098682 【弁理士】 【氏名又は名称】赤塚 賢次
【識別番号】100071663 【弁理士】 【氏名又は名称】福田 保夫
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| 【公開番号】 |
特開2005−323561(P2005−323561A) |
| 【公開日】 |
平成17年11月24日(2005.11.24) |
| 【出願番号】 |
特願2004−146039(P2004−146039) |
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