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【発明の名称】 焙煎発芽玄米及び焙煎発芽玄米の製造方法
【発明者】 【氏名】米澤 貴美

【要約】 【課題】良好な食味を有すると共に、良好な焙焼香気を十分に発生させることができ、かつ、焙煎後に長時間経過した後でもその焙焼香気を調理時に十分に発生して、児童等の食欲を十分にそそり、児童等の食を進めることにより、児童等の栄養摂取に貢献することができる焙煎発芽玄米及び焙煎発芽玄米の製造方法の提供。

【解決手段】焙煎発芽玄米は、焙煎釜等に水切りした発芽玄米を入れ、芯温約140〜約160℃の温度となるまで焙煎した後、焙煎釜等から取り出してなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水切りした湿潤状態の発芽玄米を、芯温が約140〜約160℃の温度範囲となるまで焙煎してなることを特徴とする焙煎発芽玄米。
【請求項2】
水切りした湿潤状態の発芽玄米を、芯温が約145〜約155℃の温度範囲となるまで焙煎してなることを特徴とする焙煎発芽玄米。
【請求項3】
水切りした湿潤状態の発芽玄米を、加熱面が常温とされた焙煎手段に投入し、前記焙煎手段による前記発芽玄米の加熱を開始して、前記発芽玄米を攪拌しながら前記焙煎手段により弱火で約30〜約50分間焙煎し、前記発芽玄米の芯温が約140〜約160℃の温度範囲となったときに前記焙煎手段による焙煎を停止して、前記発芽玄米を前記焙煎手段から取り出してなることを特徴とする焙煎発芽玄米。
【請求項4】
水切りした湿潤状態の発芽玄米を、加熱面が常温とされた焙煎手段に投入し、前記焙煎手段による前記発芽玄米の加熱を開始して、前記発芽玄米を攪拌しながら前記焙煎手段により弱火で約30〜約40分間焙煎し、前記発芽玄米の芯温が約145〜155℃の温度範囲となったときに前記焙煎手段による焙煎を停止して、前記発芽玄米を前記焙煎手段から取り出してなることを特徴とする焙煎発芽玄米。
【請求項5】
第1の所定重量の玄米を水に浸漬して発芽させることにより前記第1の所定重量より大きな第2の所定重量を有する湿潤発芽玄米を、前記第1の所定重量と略同等の重量となるまで弱火で焙煎してなることを特徴とする焙煎発芽玄米。
【請求項6】
水切りした湿潤状態の発芽玄米を弱火で焙煎し、前記発芽玄米の表層部の一部に爆ぜを生じさせると共に、前記発芽玄米の表層部の略全体に爆ぜが生じる前に焙煎を停止してなることを特徴とする焙煎発芽玄米。
【請求項7】
所定重量の玄米を約1昼夜水に浸漬して発芽玄米とする工程と、
前記発芽玄米を水切りする工程と、
前記発芽玄米を前記玄米の所定重量と略同等の重量となるまで弱火で焙煎する工程と
を備える焙煎発芽玄米の製造方法。
【請求項8】
第1の所定重量の玄米を水に浸漬して発芽させることにより前記第1の所定重量より大きな第2の所定重量を有する湿潤状態の発芽玄米を第1の火力の弱火で第1の所定時間焙煎することにより、前記湿潤状態の発芽玄米の表面の水分を蒸発させる乾燥工程と、
前記乾燥工程に引き続き、前記発芽玄米の表層部に爆ぜが生じ始めるまで前記第1の火力の弱火で前記発芽玄米を焙煎する第1焙煎工程と、
前記第1焙煎工程に引き続き、前記発芽玄米を前記第1の火力より大きな第2の火力の弱火で第2の所定時間焙煎すると共に、前記湿潤発芽玄米の表層部の略全体に爆ぜが生じる前に焙煎を停止する第2焙煎工程と
を備えることを特徴とする焙煎発芽玄米の製造方法。
【請求項9】
水切りした湿潤状態の発芽玄米を、加熱面を常温とした焙煎手段に投入する投入工程と、
前記湿潤状態の発芽玄米を焙煎手段で焙煎開始し、前記発芽玄米を攪拌しながら前記焙煎手段により弱火で約30〜50分間焙煎し、前記発芽玄米の芯温が約140〜160℃になったときに、前記焙煎手段による前記発芽玄米の焙煎を停止して、前記発芽玄米を前記焙煎手段から取り出す焙煎工程と
を備えることを特徴とする焙煎発芽玄米の製造方法。
【請求項10】
水切りした湿潤状態の発芽玄米を、加熱面を常温とした焙煎手段に投入する投入工程と、
前記湿潤状態の発芽玄米を焙煎手段で焙煎開始し、前記発芽玄米を攪拌しながら前記焙煎手段により弱火で約30〜40分間焙煎し、前記発芽玄米の芯温が約145〜155℃になったときに、前記焙煎手段による前記発芽玄米の焙煎を停止して、前記発芽玄米を前記焙煎手段から取り出す焙煎工程と
を備えることを特徴とする焙煎発芽玄米の製造方法。
【請求項11】
水切りした湿潤状態の発芽玄米を、加熱面を常温とした焙煎手段に投入する投入工程と、
前記湿潤状態の発芽玄米を焙煎手段で焙煎開始し、前記発芽玄米を攪拌しながら前記焙煎手段により弱火で約30分間焙煎し、前記発芽玄米の芯温が約150〜155℃になったときに、前記焙煎手段による前記発芽玄米の焙煎を停止して、前記発芽玄米を前記焙煎手段から取り出す焙煎工程と
を備えることを特徴とする焙煎発芽玄米の製造方法。
【請求項12】
前記焙煎工程は、前記焙煎手段の内部空間を無風状態として行うことを特徴とする請求項9乃至11のいずれか1項記載の焙煎発芽玄米の製造方法。
【請求項13】
前記投入工程では、前記焙煎手段の内部空間の容積約1リットルに対して前記湿潤状態の発芽玄米を約50g〜150g(より好ましくは約70g)の重量範囲となるような量で投入することを特徴とする請求項9乃至12のいずれか1項記載の焙煎発芽玄米の製造方法。
【請求項14】
前記投入工程では、前記焙煎手段の内部空間の容積約1リットルに対して前記湿潤状態の発芽玄米を約70gの重量となるような量で投入することを特徴とする請求項9乃至12のいずれか1項記載の焙煎発芽玄米の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、焙煎発芽玄米及び焙煎発芽玄米の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、米を主食とする日本においても、朝食等における主食として、炊飯米(ご飯)を食する回数が減少している。また、炊飯米を食する場合でも、米としては殆ど精白米が使用されている。ここで、精白米を精白する前の玄米は、精白米よりも、たんぱく質、ビタミン、ミネラル、食物繊維等の各種栄養素に富み、その栄養価の高さから非常に注目を浴びてきている。よって、例えば、玄米を学校給食等で主食として提供できれば、成長期にある児童が、各種栄養素を満遍なく摂取することができ、好都合である。しかし、玄米は、その硬い外皮(糠層)により、胚乳部に水が浸透し難く、圧力炊飯器等を使用して炊飯する必要があり、通常の炊飯器による炊飯が困難である。また、玄米は、炊飯後も精白米よりは硬さが残り、食味等も精白米よりも劣ることから、未だ十分に普及していないのが現状である。特に、調理手段や調理方法等に制約の多い学校給食では、玄米を主食として定常的に採用することは、現段階では困難である。一方、上記のように、玄米は、栄養価の高い食物ではあるが、食味が精白米ほどには十分良好でないことから、特に児童等が食べ残す可能性も高く、この場合、結局は児童等がその栄養素を十分に摂取できないことになる。そこで、本発明者は、簡便に調理でき、かつ、食味や風味等を十分に良好なものとして、児童等の食欲を十分にそそり、児童等の食を進めることにより、児童等の栄養摂取に貢献することができる調理玄米及び玄米調理技術について鋭意研究及び開発を重ねてきた。
【0003】
ここで、玄米を発芽させたいわゆる発芽玄米が提案されている。この発芽玄米は、玄米を水に浸漬して、その胚芽部分を0.5〜1.0mm程度発芽させたもので、発芽により酵素で活性化されて栄養価が高まることが知られている。例えば、発芽玄米は、抗酸化物質を豊富に含み、様々な健康作用で知られるギャバを精白米の約5〜10倍、玄米と比較しても約3倍以上含有すると言われている。前記ギャバは、正式名称は、アミノ酸の一種であるガンマアミノ酪酸であり、gamma‐AminoButyric Acidの頭文字を取ってgABA(ギャバ)と略称されている。ギャバは、人間等の哺乳動物の体内では脳や脊髄に多く存在しており、抑制性の神経伝達物質として、脳内の血流を活発にし、酸素供給量を増やしたり、脳細胞の代謝機能を高めたりする等、重要な役割を果している。そこで、本発明者は、このような各種利点を有する発芽玄米に着目し、かかる発芽玄米を利用して、上記のように、児童等の食欲を十分にそそり、児童等の食を進めることにより、児童等の栄養摂取に貢献することができるのではないかと考え、発芽玄米の調理技術について、引き続き研究及び開発を重ねた。
【0004】
なお、従来、この種の技術として、例えば、特許文献1に記載の技術がある。
【特許文献1】特開2002−17279号公報
【0005】
特許文献1には、発芽玄米の風味、食感、香り、貯蔵安定性、安全性を高める加工方法が開示されている。この加工方法によれば、所定条件下で水に浸漬させた発芽玄米を、水切り後、脱水機にかけて脱水する。次に、脱水された発芽玄米を、約105℃〜約115℃で焙煎処理する。次に、焙煎処理された発芽玄米を、送風乾燥して、約15℃まで冷却し、水分含量を約18重量%〜約22重量%に調整する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、特許文献1によれば、焙煎処理温度が105℃未満では芽包菌を死滅させることができず、115℃を超えると発芽玄米が焦げてしまうため、焙煎処理温度を約105℃〜約115℃に設定している。しかし、本発明者等の実験結果によれば、上記焙煎処理温度で発芽玄米を焙煎した場合、焙煎により発芽玄米から発生する焙焼香気が十分でなく、また、その香りも短時間で消滅してしまう。
【0007】
そこで、本発明は、良好な食味を有すると共に、良好な焙焼香気を十分に発生させることができ、かつ、焙煎後に長時間経過した後でもその焙焼香気を調理時に十分に発生して、児童等の食欲を十分にそそり、児童等の食を進めることにより、児童等の栄養摂取に貢献することができる焙煎発芽玄米及び焙煎発芽玄米の製造方法の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る焙煎発芽玄米は、水切りした湿潤状態の発芽玄米を、芯温が約140〜約160℃の温度範囲となるまで焙煎してなる。
【0009】
請求項2に係る焙煎発芽玄米は、水切りした湿潤状態の発芽玄米を、芯温が約145〜約155℃の温度範囲となるまで焙煎してなる。
【0010】
請求項3に係る焙煎発芽玄米は、水切りした湿潤状態の発芽玄米を、加熱面が常温とされた焙煎手段に投入し、前記焙煎手段による前記発芽玄米の加熱を開始して、前記発芽玄米を攪拌しながら前記焙煎手段により弱火で約30〜約50分間焙煎し、前記発芽玄米の芯温が約140〜約160℃の温度範囲となったときに前記焙煎手段による焙煎を停止して、前記発芽玄米を前記焙煎手段から取り出してなる。
【0011】
請求項4に係る焙煎発芽玄米は、水切りした湿潤状態の発芽玄米を、加熱面が常温とされた焙煎手段に投入し、前記焙煎手段による前記発芽玄米の加熱を開始して、前記発芽玄米を攪拌しながら前記焙煎手段により弱火で約30〜約40分間焙煎し、前記発芽玄米の芯温が約145〜155℃の温度範囲となったときに前記焙煎手段による焙煎を停止して、前記発芽玄米を前記焙煎手段から取り出してなる。
【0012】
請求項5に係る焙煎発芽玄米は、第1の所定重量の玄米を水に浸漬して発芽させることにより前記第1の所定重量より大きな第2の所定重量を有する湿潤発芽玄米を、前記第1の所定重量と略同等の重量となるまで弱火で焙煎してなることを特徴とする焙煎発芽玄米。
【0013】
請求項6に係る焙煎発芽玄米は、水切りした湿潤状態の発芽玄米を弱火で焙煎し、前記発芽玄米の表層部の一部に爆ぜを生じさせると共に、前記発芽玄米の表層部の略全体に爆ぜが生じる前に焙煎を停止してなる。
【0014】
請求項7に係る焙煎発芽玄米の製造方法は、所定重量の玄米を約1昼夜水に浸漬して発芽玄米とする工程と、前記発芽玄米を水切りする工程と、前記発芽玄米を前記玄米の所定重量と略同等の重量となるまで弱火で焙煎する工程とを備える。
【0015】
請求項8に係る焙煎発芽玄米の製造方法は、第1の所定重量の玄米を水に浸漬して発芽させることにより前記第1の所定重量より大きな第2の所定重量を有する湿潤発芽玄米を、前記湿潤発芽玄米の表層部に爆ぜが生じ始めるまで第1の火力の弱火で第1の所定時間焙煎する第1焙煎工程と、前記第1焙煎工程に引き続き、前記湿潤発芽玄米を前記第1の火力より大きな第2の火力の弱火で第2の所定時間焙煎すると共に、前記湿潤発芽玄米の表層部の略全体に爆ぜが生じる前に焙煎を停止する第2焙煎工程とを備える。
【0016】
請求項9に係る焙煎発芽玄米の製造方法は、水切りした湿潤状態の発芽玄米を、加熱面を常温とした焙煎手段に投入する投入工程と、前記湿潤状態の発芽玄米を焙煎手段で焙煎開始し、前記発芽玄米を攪拌しながら前記焙煎手段により弱火で約30〜50分間焙煎し、前記発芽玄米の芯温が約140〜160℃になったときに、前記焙煎手段による前記発芽玄米の焙煎を停止して、前記発芽玄米を前記焙煎手段から取り出す焙煎工程とを備える。
【0017】
請求項10に係る焙煎発芽玄米の製造方法は、水切りした湿潤状態の発芽玄米を、加熱面を常温とした焙煎手段に投入する投入工程と、前記湿潤状態の発芽玄米を焙煎手段で焙煎開始し、前記発芽玄米を攪拌しながら前記焙煎手段により弱火で約30〜40分間焙煎し、前記発芽玄米の芯温が約145〜155℃になったときに、前記焙煎手段による前記発芽玄米の焙煎を停止して、前記発芽玄米を前記焙煎手段から取り出す焙煎工程とを備える。
【0018】
請求項11に係る焙煎発芽玄米の製造方法は、水切りした湿潤状態の発芽玄米を、加熱面を常温とした焙煎手段に投入する投入工程と、前記湿潤状態の発芽玄米を焙煎手段で焙煎開始し、前記発芽玄米を攪拌しながら前記焙煎手段により弱火で約30分間焙煎し、前記発芽玄米の芯温が約150〜155℃になったときに、前記焙煎手段による前記発芽玄米の焙煎を停止して、前記発芽玄米を前記焙煎手段から取り出す焙煎工程とを備える。
【0019】
請求項12に係る焙煎発芽玄米の製造方法は、請求項9乃至11のいずれかの構成において、前記焙煎工程が、前記焙煎手段の内部空間を無風状態として行う。
【0020】
請求項13に係る焙煎発芽玄米の製造方法は、請求項9乃至12のいずれかの構成において、前記投入工程では、前記焙煎手段の内部空間の容積約1リットルに対して前記湿潤状態の発芽玄米を約50g〜150gの重量範囲となるような量で投入する。
【0021】
請求項14に係る焙煎発芽玄米の製造方法は、請求項9乃至12のいずれかの構成において、前記投入工程では、前記焙煎手段の内部空間の容積約1リットルに対して前記湿潤状態の発芽玄米を約70gの重量となるような量で投入する。
【発明の効果】
【0022】
請求項1に係る焙煎発芽玄米は、良好な食味を有すると共に、良好な焙焼香気を十分に発生させることができ、かつ、焙煎後に長時間経過した後でもその焙焼香気を調理時に十分に発生して、児童等の食欲を十分にそそり、児童等の食を進めることにより、児童等の栄養摂取に貢献することができる。
【0023】
請求項2に係る焙煎発芽玄米は、良好な食味を有すると共に、良好な焙焼香気を一層十分に発生させることができ、かつ、焙煎後に長時間経過した後でもその焙焼香気を調理時に一層十分に発生して、児童等の食欲を更に十分にそそり、児童等の食を更に進めることにより、児童等の栄養摂取に一層貢献することができる。
【0024】
請求項3に係る焙煎発芽玄米は、良好な食味を有すると共に、良好な焙焼香気を十分に発生させることができ、かつ、焙煎後に長時間経過した後でもその焙焼香気を調理時に十分に発生して、児童等の食欲を十分にそそり、児童等の食を進めることにより、児童等の栄養摂取に貢献することができる。
【0025】
請求項4に係る焙煎発芽玄米は、良好な食味を有すると共に、良好な焙焼香気を一層十分に発生させることができ、かつ、焙煎後に長時間経過した後でもその焙焼香気を調理時に一層十分に発生して、児童等の食欲を更に十分にそそり、児童等の食を更に進めることにより、児童等の栄養摂取に一層貢献することができる。
【0026】
請求項5に係る焙煎発芽玄米は、良好な食味を有すると共に、良好な焙焼香気を十分に発生させることができ、かつ、焙煎後に長時間経過した後でもその焙焼香気を調理時に十分に発生して、児童等の食欲を十分にそそり、児童等の食を進めることにより、児童等の栄養摂取に貢献することができる。
【0027】
請求項6に係る焙煎発芽玄米は、良好な食味を有すると共に、良好な焙焼香気を十分に発生させることができ、かつ、焙煎後に長時間経過した後でもその焙焼香気を調理時に十分に発生して、児童等の食欲を十分にそそり、児童等の食を進めることにより、児童等の栄養摂取に貢献することができる。
【0028】
請求項7に係る焙煎発芽玄米の製造方法は、良好な食味を有すると共に、良好な焙焼香気を十分に発生させることができ、かつ、焙煎後に長時間経過した後でもその焙焼香気を調理時に十分に発生して、児童等の食欲を十分にそそり、児童等の食を進めることにより、児童等の栄養摂取に貢献することができる焙煎発芽玄米を簡単に安定して製造することができる。
【0029】
請求項8に係る焙煎発芽玄米の製造方法は、良好な食味を有すると共に、良好な焙焼香気を十分に発生させることができ、かつ、焙煎後に長時間経過した後でもその焙焼香気を調理時に十分に発生して、児童等の食欲を十分にそそり、児童等の食を進めることにより、児童等の栄養摂取に貢献することができる焙煎発芽玄米を簡単に安定して製造することができる。
【0030】
請求項9に係る焙煎発芽玄米の製造方法は、良好な食味を有すると共に、良好な焙焼香気を十分に発生させることができ、かつ、焙煎後に長時間経過した後でもその焙焼香気を調理時に十分に発生して、児童等の食欲を十分にそそり、児童等の食を進めることにより、児童等の栄養摂取に貢献することができる焙煎発芽玄米を簡単に安定して製造することができる。
【0031】
請求項10に係る焙煎発芽玄米の製造方法は、良好な食味を有すると共に、良好な焙焼香気を一層十分に発生させることができ、かつ、焙煎後に長時間経過した後でもその焙焼香気を調理時に一層十分に発生して、児童等の食欲を更に十分にそそり、児童等の食を更に進めることにより、児童等の栄養摂取に一層貢献することができる焙煎発芽玄米を簡単に安定して製造することができる。
【0032】
請求項11に係る焙煎発芽玄米の製造方法は、良好な食味を有すると共に、良好な焙焼香気を一層十分に発生させることができ、かつ、焙煎後に長時間経過した後でもその焙焼香気を調理時に一層十分に発生して、児童等の食欲を更に十分にそそり、児童等の食を更に進めることにより、児童等の栄養摂取に一層貢献することができる焙煎発芽玄米を簡単に安定して製造することができる。
【0033】
請求項12に係る焙煎発芽玄米の製造方法は、請求項9乃至11のいずれかの効果に加え、焙焼香気成分をより長期間安定して保持することができる焙煎発芽玄米を簡単に安定して製造することができる。
【0034】
請求項13に係る焙煎発芽玄米の製造方法は、請求項9乃至12のいずれかの効果に加え、焙焼香気成分をより長期間安定して保持することができる焙煎発芽玄米を一層簡単に安定して製造することができる。
【0035】
請求項14に係る焙煎発芽玄米の製造方法は、請求項9乃至12のいずれかの効果に加え、焙焼香気成分をより一層長期間安定して保持することができる焙煎発芽玄米を一層簡単に安定して製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、実施の形態という)について説明する。
【0037】
本実施の形態に係る焙煎発芽玄米は、湿潤状態の発芽玄米(未焙煎)を所定芯温となるまで焙煎してなるものである。詳細には、本実施の形態に係る焙煎発芽玄米は、湿潤状態の発芽玄米を加熱面が常温とされた焙煎手段に投入し、前記焙煎手段による前記発芽玄米の加熱を開始して、前記発芽玄米を攪拌しながら前記焙煎手段により弱火で所定時間焙煎し、前記発芽玄米の芯温が所定温度となったときに前記焙煎手段による焙煎を停止して、前記発芽玄米を前記焙煎手段から取り出してなるものである。この焙煎発芽玄米は、発芽玄米の表面部分が焙煎処理により茶褐色状に変色すると共に変性し、特有の焙焼香気成分を内包し、焙煎後に長時間経過した後においても、その焙焼香気を十分に発生するものである。なお、焙煎発芽玄米の焙煎処理による変色部分(略茶褐色部分)は、焙煎発芽玄米の所定深さまで達し、これにより、その深さの部分まで、焙煎により発芽玄米の表層部分が変性して、その部分に焙焼香気成分が十分な量安定して保持され、内包されていると考えられる。
【0038】
ここで、玄米について説明すると、玄米は、糠部により胚乳(でんぷん層)を包み込んだ層構成を有している。前記糠部は、最外側層である果皮、中間層である種皮及び最内側層である糊粉層の三層構造をなしている。また、胚乳との境界を構成する糊粉層には、たんぱく質からなる糊粉粒や脂肪に富む顆粒が蓄積されている。即ち、糊粉層は、でんぷんの貯蔵が少なく、たんぱく質含有量が多くなっている。一方、胚乳部は、玄米の米粒中心部から同心円状に並ぶでんぷん貯蔵細胞の集合体により構成され、その外周部に比較して中心部の細胞が小さくかつ密な構造となっている。なお、でんぷん貯蔵細胞は、でんぷん粒が充満し、でんぷん含有量が多くなっている。このように、玄米は、米粒の部位により成分組成が異なり、糠部を含む玄米は、たんぱく質、脂質、灰分、無機質、ビタミン等の含有量が白米より高く、糖質が少なくなっている。なお、胚乳部に含有されるたんぱく質は、プロテインボディの形ででんぷん粒子間に散在し、胚乳部の外周部側の細胞で多く散在する。更に、脂質(脂肪)その他の成分も、胚乳部の外周部側で比較的多く存在し、胚乳部の外周部側のでんぷん貯蔵細胞内は、濃厚な細胞間物質で充満されていると考えられる。更に、でんぷん貯蔵細胞は、それぞれ、細胞壁で仕切られている。
【0039】
また、プロテインボディ(PB)とは、玄米細胞中に含まれるタンパク質が集積する部分であり、プロラミン及びグルテリン(オリゼニン)を含む。また、玄米中のたんぱく質は、PBI(プロテインボディI)及びPBII(プロテインボディII)の二つに大別される。そして、水に溶けにくく(アルコールにしか溶けない)難消化性のプロラミンはPBIに、易消化性で人の栄養源になるグルテリンはPBIIに多く集積する。米の蛋白質はその大部分がプロテインボディ(PB)に局在している。また、PBIはペプシンに対して難消化性を示すため、プロラミンは、人間に摂取された場合、未消化のまま排泄される。なお、PBI及びPBIIの比は約1:2.4という報告がある。更に、玄米中のPBの量は、精白の程度により(精米歩合の低下にともなって)比例的に減少するが、その比はほとんど変わらないという報告もある。このように、玄米のたんぱく質は、希アルカリ可溶のグルテリン(オリゼニン)が主成分であり、全たんぱく質中の70〜80%(場合によっては70〜90%)をオリゼニンが占めている。玄米のたんぱく質としては、それ以外に、グロブリンが3〜10%、アルブミンが1〜6%、プロラミンが1〜3%を占めている。一方、玄米のでんぷん粒には、結晶領域と、主にアミロースからなる粗なアモルファス領域と、密なアミロペクチン枝からなる内部結晶アモルファス領域との三つの領域が存在する。
【0040】
よって、本実施の形態の焙煎発芽玄米は、焙煎処理(加熱処理)により、表面部分(表層部)の糠部が、略茶褐色状に変色すると共に、その成分が変性する。これにより、本実施の形態の焙煎発芽玄米は、未焙煎の発芽玄米とは異なる組成となり、かつ、異なる物性を有することになると考えられる。特に、上述のように、焙煎発芽玄米の糠部に多く存在するたんぱく質が変性し、焙焼香気成分を内部に多量に保持し、外部への放散を抑制した状態で長時間にわたって安定して内包すると考えられる。また、焙煎発芽玄米は、焙煎処理の加熱により、胚乳の内部も変性し、胚乳部分(特に胚乳の外側部分)にも焙焼香気成分を内部に保持し、外部への放散を抑制した状態で長時間にわたって安定して内包すると考えられる。ここで、焙焼香気成分の生成には、主に、たんぱく質が関与していると考えられる。即ち、焙煎処理時の加熱により、発芽玄米中の主に糠部に存在するたんぱく質が分解して、各種アミノ酸が生成されると共に、一部のアミノ酸残基側鎖が開裂して、揮発性化合物が生成される。例えば、たんぱく質の主成分であるオリゼニンが分解して、シスチン(システイン)等のアミノ酸を生成する。また、シスチン残基は、約115℃でメチルメルカプタン、ジメチルスルフィド、ジメチルジスルフィド等の含硫成分を生成し、これらが焙焼香気成分となると考えられる。更に、メチオニン、リジン、アルギニン等の残基も、加熱により焙焼香気成分を生成すると考えられる。更にまた、焙焼香気成分は、発芽玄米中の脂質や糖質からも生成されると考えられる。即ち、脂質や糖質を加熱することにより、糖質が分解してフラン類を生じ、糖を加熱したときと同様のカラメル様の甘い焙焼香気成分を生成すると考えられる。
【0041】
そして、本実施の形態の焙煎発芽玄米は、白米に混合する等して炊飯すると、その際の加熱等により、前記焙焼香気成分を表層部である糠部から外部に放出し、焙焼香気を十分に放散するようになっている。なお、焙煎発芽玄米中の焙焼香気成分は、炊飯前(十分な加水状態での加熱前)は、所定性状に変性し所定構造となった表層部(糠部)により外部への放散を防止されて、表層部(糠部)内部に長期間残留する。
【0042】
ここで、前記焙煎手段による発芽玄米の焙煎時間(前記所定時間)、即ち、焙煎開始から焙煎終了までの時間は、焙煎手段(鉄釜等)の種類や容積、焙煎手段への投入時の湿潤状態の焙煎発芽玄米の量(焙煎手段の内部容積に対する重量)、焙煎温度または焙煎手段の加熱手段による加熱用の火力等にも依存して決定されるが、一般的に、約30〜50分間の範囲とすることが好ましく、約30〜40分間の範囲とすることが更に好ましい。なお、焙煎手段としては、業務用の焙煎手段の方が、家庭用の焙煎手段に比較して、加熱源及び焙煎容器(鉄釜等)の焙煎効率が高いため、前記焙煎時間はより短時間となると考えられる。即ち、業務用の焙煎手段を主に使用する場合、その焙煎効率(熱伝達効率)の高さに鑑みて、焙煎手段による発芽玄米の焙煎時間は、約30分程度とすることが一層好ましい。また、焙煎発芽玄米の焙煎処理における前記焙煎温度(最高温度時の発芽玄米の芯温または鉄釜等の焙煎手段の中心温度)は、好ましくは、約140〜160℃の温度範囲とし、更に好ましくは、約145〜155℃の温度範囲とし、より更に好ましくは、約150〜155℃の温度範囲とし、より更に一層好ましくは、約150℃付近の温度範囲とする。このように、本実施の形態の焙煎発芽玄米は、湿潤状態の発芽玄米を加熱面(接触面)が常温とされた熱板状の焙煎手段(鉄板、鉄鍋、鉄釜等)に投入し、前記焙煎手段による前記発芽玄米の加熱を開始して、前記発芽玄米を攪拌しながら前記焙煎手段により弱火で約30〜50分若しくは約30〜40分間若しくは約30分間焙煎し、前記発芽玄米の芯温が約140〜160℃の範囲若しくは約145〜155℃の範囲若しくは約150〜155℃の範囲若しくは約150℃となったときに、前記焙煎手段による焙煎を停止して、前記発芽玄米を前記焙煎手段から取り出すことにより得られるものである。
【0043】
製造方法
本実施の形態に係る焙煎発芽玄米は、以下のようにして製造することができる。
まず、所定の湿潤状態の発芽玄米を用意する。この発芽玄米としては、市販のウェットタイプの発芽玄米を使用してもよく、或いは、(非発芽、即ち、発芽していない通常の)玄米を水に浸漬してその胚芽部分を0.5〜1.0mm程度発芽させて得た発芽玄米を使用してもよい。なお、発芽玄米として、市販の乾燥(ドライタイプ)発芽玄米を使用した場合、焙煎による香気成分生成の点で十分な効果が得られないため、発芽玄米としては湿潤状態の発芽玄米を使用することが好ましい。また、未発芽玄米を水に浸漬して発芽玄米を得る場合、浸漬工程で、未発芽玄米を約一昼夜(例えば、約24〜28時間程度)水に浸漬する。すると、その胚芽部分が0.5〜1.0mm程度発芽し、発芽玄米となる。なお、このとき、水温を約30〜33℃の温度範囲とすると、玄米の発芽が促進され、より短時間(例えば、約24時間程度)で発芽玄米となる。また、このとき、発芽玄米の含水率(水分)は、非発芽玄米の含水率から約50%以上増加すると考えられる。このように、浸漬工程で非発芽玄米を約一昼夜水に浸漬して発芽玄米を得ると、その含水率を十分なものとすることができ、後段の工程における焙煎発芽玄米の焙煎による焙焼香気の封入効果や食味の向上効果を増大することができる。よって、市販のウェットタイプの焙煎発芽玄米を使用する場合も、同等の含水率となるよう、必要な場合は更に含水させる等の工程を経ることが好ましい。
【0044】
次に、前記浸漬工程で得た発芽玄米を、水きり工程において水切りし、発芽玄米の外周面に付着する余分な水分を除去する。次に、前記水切りした発芽玄米または(市販の)湿潤状態の発芽玄米を、投入工程において、そのままの湿潤状態で、即ち、乾燥工程等の特別な乾燥を経ることなく、加熱面を常温(大気温)とした焙煎手段(伝導加熱手段)に投入する。そして、焙煎工程で、前記発芽玄米を前記焙煎手段で焙煎開始し、前記発芽玄米を攪拌しながら前記焙煎手段により所定の火力の弱火で、所定時間(約30〜50分間若しくは約30〜40分間若しくは約30分間)焙煎し、前記発芽玄米の芯温が所定温度範囲(約140〜160℃若しくは140〜155℃若しくは約150〜155℃)乃至所定温度(約150℃)付近となったときに、前記焙煎手段による前記発芽玄米の焙煎を停止して、前記発芽玄米を前記焙煎手段から取り出す。ここで、前記焙煎手段としては、発芽玄米を内部に収容して加熱面からの伝導加熱により焙煎を行えるものであれば任意のものを使用することができる。例えば、焙煎手段として、調理用鉄板、鉄鍋、鉄釜等の熱板を使用することができる。更に、焙煎手段としては、大型の専用焙煎装置を使用することも可能である。
【0045】
前記焙煎手段の加熱面を加熱昇温する加熱手段(加熱源)としては、例えば、ガスコンロや業務用焙煎装置の加熱源等を使用することができ、その火炎による焙煎手段の熱板の下面への加熱により、熱板の上面から発芽玄米を伝導加熱する。このとき、加熱手段の加熱程度は、弱火として前記焙煎工程の焙煎処理を行うことが好ましい。ここで、弱火とは、一般にはガス流量が1L/min程度の加熱条件をいい、特に本実施の形態においては、焙煎手段の加熱面の中心温度が約140〜160℃若しくは140〜155℃若しくは約150〜155℃若しくは約150℃近辺の温度を中心とした温度範囲となるような加熱条件をいう。なお、中火とは、一般にはガス流量が2L/min程度の加熱条件をいい、強火とは、一般にはガス流量が3L/min程度の加熱条件をいう。
【0046】
ここで、本実施の形態では、上記のように、弱火で発芽玄米を焙煎処理するため、発芽玄米の芯温を同一温度まで昇温加熱する場合でも、中火や強火の場合と比較して、昇温速度は小さくなる。即ち、弱火による焙煎処理では、中火や強火の場合よりも発芽玄米の温度上昇速度が緩慢となり、比較的低温で着色が始まり、炭化する温度も低くなると考えられる。そして、発芽玄米の加熱による焙煎処理では、温度と加熱速度がその焙焼香気成分の生成等の品質に大きく関与していると考えられ、特に、発芽玄米を成分分解の生じる温度以上に加熱する場合には、最終温度(芯温)でのみ品質を制御することはできず、本実施の形態のように、芯温の最終温度と昇温速度との組み合わせにより制御することが好ましいといえる。即ち、本実施の形態では、発芽玄米を弱火で約30〜50分間若しくは約30〜40分間若しくは約30分間加熱して焙煎処理し、発芽玄米の芯温を約140〜160℃若しくは約145〜155℃若しくは約150〜155℃の温度範囲または約150℃として焙煎を終了することにより、最終的に得られる焙煎発芽玄米中における焙焼香気成分の保存性等において最適品質が得られるものと推定される。
【0047】
本実施の形態では、上記のような構成の発芽玄米を、前記焙煎手段を使用した焙煎処理により、約30〜50分間若しくは約30〜40分間若しくは約30分間かけて、芯温が上記所定温度範囲(約140〜160℃若しくは約145〜155℃若しくは約150〜155℃の温度範囲または約150℃の温度)となるまで加熱すると、発芽玄米中のたんぱく質の一種であるグルテリン(オリゼニン)と糖類(糖質乃至でんぷん質)とが相互に関与して、糖類がショ糖に変化すると共に、変性したたんぱく質や糖類が焙焼香気成分を生成するものと考えられる。また、焙煎発芽玄米の焙焼香気成分の生成には、上記のように、たんぱく質から生成される含硫成分が大きく関与していると考えられる。なお、焙煎による発芽玄米の茶色乃至褐色への着色には、たんぱく質や脂質が関与していると考えられる。そして、本実施の形態の焙煎発芽玄米が、長時間経過後にも焙焼香気を発生するのは、表面(糠部)の焙煎処理部分により焙焼香気成分が内部に封入されるためと考えられる。詳細には、発芽玄米を、焙煎手段による焙煎処理により伝導加熱し、発芽玄米の芯温が上記のような温度となると、かかる温度域で、特に発芽玄米の表層部(糠部)において、たんぱく質のオリゼニン等が部分的に変性すると考えられる。即ち、焙煎処理時の伝導加熱により、発芽玄米の表面の糠部から内部の胚乳部に向かう方向に熱が伝導し、それらの温度が水の沸点以上の高温となる。これにより、伝導加熱により、発芽玄米中の主に糠部に存在するたんぱく質が分解して、各種アミノ酸が生成されると共に、一部のアミノ酸残基側鎖が開裂して、揮発性化合物が生成される。
【0048】
例えば、上記のように、たんぱく質の主成分であるオリゼニンが分解して、シスチン(システイン)等のアミノ酸を生成する。また、シスチン残基は、所定温度でメチルメルカプタン、ジメチルスルフィド、ジメチルジスルフィド等の含硫成分を生成し、これらが焙焼香気成分となると考えられる。更に、メチオニン、リジン、アルギニン等の残基も、加熱により焙焼香気成分を生成すると考えられる。更にまた、焙焼香気成分は、発芽玄米中の脂質や糖質からも生成されると考えられる。即ち、脂質や糖質を加熱することにより、糖質が分解してフラン類を生じ、糖を加熱したときと同様のカラメル様の甘い焙焼香気を生成すると考えられる。なお、焙煎処理における焙煎温度を上記温度範囲を超える温度、例えば、180℃以上とすると、発芽玄米の表面が焦げすぎて焦げ臭が増加し、良好な焙焼香気成分の生成に支障を来たす。一方、焙煎処理における焙煎温度を上記温度範囲を下回る温度とすると、やはり、発芽玄米の焙煎処理による良好な焙焼香気成分の生成に支障を来たす。
【0049】
上記焙焼香気成分は、たんぱく質を多く含む糠部の糊粉層に主に生成される。そして、糊粉層に生成された焙焼香気成分は、前記糊粉層の外側を覆う種皮及び果皮により保護されて、焙煎発芽玄米の糠部内部に多量に残留すると考えられる。これにより、本実施の形態に係る焙煎発芽玄米は、焙煎処理後に2〜3日程度の期間を経過した後でも、炊飯時に白米に混合して炊飯すると、その焙焼香気成分が、膨化した糠部から徐々に発生し、焙焼香気を長期間にわたって持続することになると考えられる。
【0050】
ここで、本実施の形態における焙煎工程は、熱板を使用した伝導加熱による間接焼き工程であり、金属板等の熱板(熱した鍋、フライパン、鉄板等)の上で食品を加熱する工程である。よって、焙煎器具の種類(板厚等)にもよるが、約数分程度(例えば2〜6分程度)で、熱板の加熱面が所望温度(本実施の形態の場合、約140〜160℃若しくは約145〜155℃若しくは約150〜155℃の温度範囲または約150℃の温度と同等または若干高い温度)になると考えられる。即ち、熱板焼きは、熱板上に発芽玄米等の食品を密着させて加熱する方法であり、この場合、熱は主として伝導伝熱によって食品としての発芽玄米に伝わる。また、発芽玄米の熱板と接触している部分は高温になるため、発芽玄米中の水分が表面側から蒸発し、表面側部分が硬化して焦げを生成する。更に、熱板に蓋等の覆いをしない場合、熱板接触面(加熱面)と発芽玄米上部との間の温度差が大きくなるため、発芽玄米を攪拌しながら加熱することが好ましい。なお、発芽玄米は小体積の粒状体であるため、その表面温度は所定時間経過後に熱板の表面温度と略等しくなり、また、その中心温度(芯温)は、加熱時間の経過と共に上昇し、表面温度に近い温度になる。
【0051】
本実施の形態では、焙煎工程における発芽玄米の焙煎処理は、無風状態で行うことが好ましい。即ち、前記焙煎工程は、焙煎手段内の内部空間(焙煎処理空間)を密閉空間(外気遮断空間)とする(例えば鉄鍋や鉄釜の上端開口を蓋で遮蔽する)と共に、焙煎処理空間内部への通風を行わない状態(無風状態)で行うことが好ましい。或いは、焙煎手段の上端を開口した状態であっても、焙煎手段の内部空間を無風状態として焙煎処理を行うことが好ましい。このように、焙煎手段の内部空間を通風せずに焙煎すると、焙煎工程中に、焙煎発芽玄米の焙焼香気成分が外部に放出乃至放散されることを効果的に防止することができ、焙煎発芽玄米中の焙焼香気成分を長期間安定して内部に封入及び維持することができる。
【0052】
上記製造方法は、芯温センサー等を備えた自動焙煎装置により、以下に示すようにして実施することもできる。図1は本発明の実施の形態に係る焙煎発芽玄米の製造方法を示す工程図である。図2は本発明の実施の形態に係る焙煎発芽玄米の製造方法のおける各種条件の組み合わせを示す表である。
まず、図1に示すように、STEP10の水に浸漬工程で、非発芽玄米を所定時間水に浸漬し、STEP20で、タイマー等により浸漬時間が所定時間経過したか否か判断する。浸漬時間が所定時間経過して非発芽玄米が発芽玄米となったら、STEPU30の水切り工程で発芽玄米を水切りし、水切りした湿潤状態の発芽玄米を焙煎手段に投入する。次に、STEP40の焙煎工程で、焙煎手段内で発芽玄米を攪拌手段により攪拌しながら、所定時間加熱及び焙煎する。そして、STEP50で発芽玄米の芯温が上記所定温度(例えば、約150℃)となったか否かを、焙煎装置に内蔵した芯温計等により判断し、発芽玄米の芯温が所定温度(例えば、約150℃)となったら、STEP60で、発芽玄米を焙煎手段から取り出す。なお、この製造工程において、前記発芽玄米の焙煎処理時間や、最終的な芯温等の各種条件は、表2に示すような組み合わせとすることができる。この場合、各種条件の組み合わせにより、最終的に得られる焙煎発芽玄米の焙焼香気や焙焼香気の持続時間は、表2に示すようになる。
【0053】
作用及び効果
本実施の形態の焙煎発芽玄米は、焙煎処理後も、長時間安定して、焙焼香気成分を内部に封入維持し、白米等と一緒に炊飯したときに、その良好な焙焼香気成分を放出する。よって、本実施の形態の焙煎発芽玄米は、白米等と共に飲食するときに、飲食者に良好な焙焼香気を感じさせ、多大な食欲増進効果を発揮する。特に、本実施の形態の焙煎発芽玄米を、小学校の給食における主食としての白米等に混合して炊飯等の調理を行うと、その良好な焙焼香気成分により、児童等の食欲を増進し、上記のような栄養効果の高い発芽玄米を十分に飲食させることができる。また、本実施の形態の焙煎発芽玄米は、その食味及び食感も十分良好なものとなり、例えば白米に混合して炊飯調理した場合、白米に独特の焙焼香気を付与すると共に、焙煎による独特の風味、食味乃至食感を付与し、児童等の食欲を増進することができる。即ち、本実施の形態の焙煎発芽玄米は、良好な食感や食味に加えて、良好な焙焼香気を有するため、特に児童等が食べ残す可能性が低く、児童等がその栄養素を十分に摂取することができる。そして、本実施の形態の焙煎発芽玄米は、簡便に調理でき、かつ、食味や風味等を十分に良好なものとして、児童等の食欲を十分にそそり、児童等の食を進めることにより、児童等の栄養摂取に貢献することができる。換言すれば、本実施の形態の焙煎発芽玄米は、良好な食味を有すると共に、良好な焙焼香気を十分に発生させることができ、かつ、焙煎後に長時間経過した後でもその焙焼香気を調理時に十分に発生して、児童等の食欲を十分にそそり、児童等の食を進めることにより、児童等の栄養摂取に貢献することができる。
【0054】
一方、本実施の形態の焙煎発芽玄米に含有されるたんぱく質の主成分であるグルテリン(オリゼニン)は、米エキスの一種で、米に含まれる特有のタンパク質の一種である。オリゼニンは、細胞がもつコラーゲンやヒアルロン酸を作る力を高めると言われている。また、本実施の形態に係る焙煎発芽玄米は、PFC(ピー・エフ・シー)バランスの点で好ましい効果を発揮する。ここで、PFCバランスとは、食事の三大栄養素であるたんぱく質・脂質・炭水化物のエネルギーバランスのことであり、PFCのPはProtein(たんぱく質)、FはFat(脂質)、CはCarbohydrate(炭水化物)の頭文字を表す。そして、本実施の形態に係る焙煎発芽玄米は、これらの三大栄養素をバランスよく含み、糖質エネルギーを摂取しながらその他の栄養素を美味しく摂取することを可能とするため、肥満や生活習慣病(成人病)の予防といった点で、好ましい効果を発揮する。よって、本実施の形態の焙煎発芽玄米は、近年の健康志向の高まりに合致したものとなり、健康志向の人に多く受け入れられると考えられる。また、本実施の形態の焙煎発芽玄米は、白米のように糠部を精白したものではないため、玄米の栄養素を100%余すことなく摂取させることができる。更に、本実施の形態の焙煎発芽玄米は、精白米のように糠部を廃棄することがないため、ごみ問題の点でも有用であり、環境に優しい食物となる。また、本実施の形態の焙煎発芽玄米は、無洗米として実施することができ、更に環境に優しい食物となる。更に、本実施の形態の焙煎発芽玄米は、どの種類の炊飯器でも、通常通り、容易に炊飯することができ、一般家庭の炊飯器で対応可能である。また、本実施の形態の焙煎発芽玄米は、上記のように、通常のご飯(炊飯米)を香ばしい香りを有する美味なご飯として調理及び提供することができ、ふりかけ等の特別な添加物がなくても、炊飯米を単品でおいしく食することが可能となる。即ち、本実施の形態の焙煎発芽玄米は、従来の炊飯米に対して、新しい食し方を提供することができる。更に、本実施の形態の焙煎発芽玄米は、炊き上がりもほぼ均一となり、また、保温ジャーに保管した場合、何度蓋を開けても、その香ばしさを漂わせることができる。また、本実施の形態の焙煎発芽玄米は、白米に混合して炊飯すると、全体が色よく炊き上がり、飲食者の食欲を増進する。このように、本実施の形態の焙煎発芽玄米は、各種の効果を有するため、継続的に食事に取り入れることにより、生活習慣病の予防等に貢献することができる。また、近年は、全体の食物に占める米の飲食割合が減少傾向にあるが、本実施の形態の焙煎発芽玄米によれば、たとえ同量の米を食した場合でも、その栄養価の高さにより、より良好な効果を発揮することができる。
【0055】
ここで、本実施の形態の焙煎発芽玄米は第1の所定重量の玄米を水に浸漬して発芽させることにより前記第1の所定重量より大きな第2の所定重量を有する湿潤発芽玄米を、前記第1の所定重量と略同等の重量となるまで弱火で焙煎したものとすることができる。同様に、本実施の形態の焙煎発芽玄米の製造方法は、所定重量の玄米を約1昼夜水に浸漬して発芽玄米とする工程と、前記発芽玄米を水切りする工程と、前記発芽玄米を前記玄米の所定重量と略同等の重量となるまで弱火で焙煎する工程とを備えるものとすることができる。即ち、本実施の形態では、前記浸漬工程で非発芽玄米の含水量が増加して全体の重量が増加する。例えば、非発芽玄米を浸漬工程で約27時間水に浸漬して発芽玄米とすると、水きり工程後の湿潤状態の発芽玄米の重量は、浸漬前の非発芽玄米の重量(例えば約200g)から約55〜60%増加した重量(例えば約310〜320g)へと増加する。そして、この湿潤状態の発芽玄米を、焙煎工程において、上記火力の弱火により上記所定温度で上記所定時間焙煎すると、焙煎工程後の発芽玄米(焙煎発芽玄米)の重量は、焙煎前の重量(約310〜320g)から浸漬前の非発芽玄米の重量(約200g)と略同一の重量(約200g)へと減少する。即ち、本実施の形態では、焙煎発芽玄米の重量が、焙煎前の第2の重量から、原料としての非発芽玄米の第1の重量と同等の重量となるように、前記焙煎工程の諸条件(焙煎時間、焙煎温度等)を選択することが好ましい。
【0056】
或いは、本実施の形態の焙煎発芽玄米は水切りした湿潤状態の発芽玄米を弱火で焙煎し、前記発芽玄米の表層部の一部に爆ぜを生じさせると共に、前記発芽玄米の表層部の略全体に爆ぜが生じる前に焙煎を停止してなるものとすることもできる。同様に、本実施の形態の焙煎発芽玄米の製造方法は、第1の所定重量の玄米を水に浸漬して発芽させることにより前記第1の所定重量より大きな第2の所定重量を有する湿潤発芽玄米を、前記湿潤発芽玄米の表層部に爆ぜが生じ始めるまで、即ち、爆ぜ音が発生し始めるまで、第1の火力の弱火で第1の所定時間焙煎する第1焙煎工程と、前記第1焙煎工程に引き続き、前記湿潤発芽玄米を前記第1の火力より大きな第2の火力の弱火(弱火と中火との間の火力)で第2の所定時間焙煎すると共に、前記湿潤発芽玄米の表層部の略全体に爆ぜが生じる前、或いは、爆ぜが生じなくなったとき、即ち、爆ぜ音が殆ど出なくなったときに焙煎を停止する第2焙煎工程とを備えるものとすることもできる。
【0057】
即ち、本実施の形態は、前記焙煎工程で、湿潤状態の発芽玄米を焙煎すると、所定時間経過後に、湿潤状態の発芽玄米の表面に付着した水分が、焙煎熱により蒸発して乾燥状態となる。次に、更に焙煎を続けると、発芽玄米の表層部(糠部)に爆ぜが生じて亀裂が発生し始める。このとき、焙煎発芽玄米の表層部が爆ぜるときの爆ぜ音(ぱちぱちという音)が発生する。そして、更に発芽玄米の焙煎を継続すると、表層部分の爆ぜ部分の数が増加し、最終的に、表層部分の略全体に多数の爆ぜ部分が広がると、それ以降は、表層部分の爆ぜが生じなくなり、爆ぜ音が発生しなくなる。この時点で発芽玄米の焙煎処理を終了すると、発芽玄米への焙焼香気成分の発生効率及び封入効率をより一層高めることができる。即ち、これ以上発芽玄米を焙煎しても、内部の水分が発芽玄米の表層部の全面に多数存在する爆ぜ部分(亀裂)から外部に蒸発して焙煎発芽玄米内部の水分が少なくなり、これに伴い、焙煎発芽玄米の内部に発生した焙焼香気成分が表層部の多数の爆ぜ部分から外部に大量に飛散する可能性がある。また、このとき、上記のように、第1焙煎工程で、湿潤発芽玄米の表層部に爆ぜが生じ始めるまで、第1の火力の弱火(通常の弱火)で第1の所定時間焙煎すると共に、第2焙煎工程で、第1焙煎工程に引き続き、前記湿潤発芽玄米を前記第1の火力より大きな第2の火力の弱火(通常の弱火より若干強火、例えば、通常の弱火と中火との間の火力)で第2の所定時間焙煎すると、より効果的に、発芽玄米の表層部に爆ぜを生じさせることができる。なお、発芽玄米における焙煎時の爆ぜ部分(爆ぜ音)の発生には、発芽玄米の含水量(水分)が大きく関係し、焙煎前から乾燥状態の発芽玄米(例えば、市販のドライタイプの発芽玄米)よりも、湿潤状態にある発芽玄米の方が、焙煎処理時に、その表層部に爆ぜをより多く生じると共に、内部に焙焼香気成分をより確実に封入することができる。
【0058】
更に、本実施の形態において、前記投入工程における発芽玄米の投入量は、焙煎手段の内部空間の容積約1リットルに対して前記湿潤状態の発芽玄米を約50g〜150gの重量範囲となるような量とすることが好ましく、約70g程度とすることがより好ましい。例えば、容積約140リットルの鉄釜を焙煎手段として使用する場合、投入工程で、約7〜21kgの発芽玄米を投入し、より好ましくは、約10kg前後の発芽玄米を投入する。こうすると、焙煎工程において焙煎効率を向上し、発芽玄米への焙焼香気成分の発生効率及び封入効率をより一層高めることができる。
【実施例1】
【0059】
次に、本実施の形態の焙煎発芽玄米の実施例1について説明する。
まず、実施例1では、浸漬工程で、非発芽玄米を一昼夜(約27時間)、常温(約16〜20℃)の水に浸漬して発芽させることにより発芽玄米を用意した。次に、水きり工程において、浸漬した水から取出した発芽玄米を水切りし、表面に大量に付着する水分を飛散させて適度な湿潤状態とした。次に、投入工程において、湿潤状態の発芽玄米を焙煎手段としての鉄釜(容量140L)に約10kg投入した。次に、焙煎工程において、鉄釜をガスコンロによる弱火(加熱温度約150℃)で加熱し、鉄釜内部の発芽玄米を櫂等の攪拌手段により攪拌しながら、約30分間焙煎処理した。これにより、鉄釜内部の発芽玄米の芯温が、約150℃となった。この時点で、鉄釜による発芽玄米の焙煎処理を終了し、焙煎発芽玄米を鉄釜から外部に取り出した。
【0060】
このようにして得られた焙煎発芽玄米は、白米(炊飯米)の一部に混合して炊飯すると、その焙焼香気により香ばしい風味を発生し、また、色取りも良いきつね色となった。そして、ふりかけ等の特別な添加物がなくても、焙煎発芽玄米がいわゆるおこげとして炊飯米中に散在する状態となり、焙煎発芽玄米の焙焼香気(香り成分)により炊飯米全体が美味なものとなり、かつ、良好な食味及び食感を呈した。このように炊飯米に混合して炊飯した場合、焙煎発芽玄米は、保温ジャーで3時間〜6時間保管した後でも、その焙焼香気成分を十分に放出継続し、香ばしいご飯の香りを十分に漂わせることができた。なお、これは、炊飯米が1合と少量である場合も同様であった。
【0061】
実施例1にかかる焙煎発芽玄米を、約10〜20%の割合で通常の精白米に混合して炊飯し、幼稚園や保育所の園児、小学校の児童、中学校の生徒等に食してもらい、その感想を集計した。その感想によれば、ご飯が冷めてもその美味しさは減少しないことが判明した。また、児童の調査によれば、ご飯が甘くなる、硬いところが美味しい、歯ごたえが良い、食感が良い、プチプチ感が良い、風味が良い、もちもちして美味しい、香ばしいといった感想が得られた。更に、児童の感想によれば、本実施例の焙煎発芽玄米は、混ぜご飯、おにぎり、チャーハン等に好適であることが判明した。
【実施例2】
【0062】
次に、本実施の形態の焙煎発芽玄米の実施例2について説明する。
まず、実施例2では、浸漬工程で、重量約200gの非発芽玄米を用意し、この非発芽玄米を、一昼夜(約27時間)、水温約30℃以上の水に浸漬して発芽させることにより発芽玄米を用意した。次に、水きり工程において、浸漬した水から取出した発芽玄米を、約3分間ざるにあけて水切りし、表面に大量に付着する水分を飛散させて適度な湿潤状態とした。このとき、水切り後の湿潤状態の発芽玄米の重量は、約320gとなった。次に、投入工程において、湿潤状態の発芽玄米(重量約320g)を、焙煎手段としての家庭用フライパンに投入した。次に、焙煎工程において、家庭用フライパンをガスコンロによる弱火で加熱開始した。なお、加熱手段としては、松下電工株式会社製のガステーブル(品番QGE39EG1)を使用し、その3種類のバーナーのうち、ハイカロリーバーナーを使用すると共に、火力として、5段階の設定火力のうちの最小の火力(火力1)を使用した。なお、前記5段階の設定火力は、火力1が弱火、火力2が弱火と中火の間の火力、火力3が中火、火力4が中火と強火の間の火力、火力5が強火となっている。
【0063】
即ち、焙煎工程における第1の工程としての乾燥工程において、前記火力1で、フライパン内部の発芽玄米を櫂等の攪拌手段により攪拌しながらフライパンを加熱した。すると、焙煎開始時から約8分後に、湿潤状態にあった発芽玄米の表面の水分がほぼ完全に蒸発し、発芽玄米の表面が乾燥状態となった。更に、焙煎工程における第2の工程としての第1焙煎工程において、前記火力1でフライパンを引き続き加熱して発芽玄米を引き続き焙煎すると、その約22分後(焙煎開始時から約30分後)に、発芽玄米の表層部に爆ぜが生じ始め、パチパチまたはプチプチという爆ぜ音が発生し始めた。ここで、焙煎工程における第3の工程としての第2焙煎工程で、ハイカロリーバーナーの火力を、前記火力1からその次に大きな火力である火力2に強め、フライパン内の発芽玄米の焙煎処理を継続した。すると、その約7分後(焙煎開始時から約37分後)に、爆ぜ音が少なくなり、発芽玄米の表層部の爆ぜの発生が減少した。この時点で、加熱手段によるフラインパンの加熱を停止し、焙煎処理を終了した。この後、フライパンから焙煎発芽玄米を取出し、その重量を計測すると、その焙煎発芽玄米の重量は、約195〜200gとなっており、前記原料としての非発芽玄米の重量(約200g)と略同等の重量となった。また、このとき、この焙煎発芽玄米の表面(表層部または糠部)には、その一部にのみ爆ぜ部分(亀裂)が存在するが、その全面にわたっては爆ぜ部分は存在しておらず、焙煎発芽玄米の内部に十分な量の焙焼香気成分を封入することができた。
【0064】
実施例2に係る焙煎発芽玄米は、実施例1の焙煎発芽玄米と同様、焙煎後に十分な焙焼香気を発生し、香ばしい状態となった。更に、実施例2に係る焙煎発芽玄米を約20%の割合で通常の精白米に混合して炊飯したところ、実施例1と同様、炊飯時に、焙煎発芽玄米から焙焼香気が発生し、香ばしい状態になった。更に、炊飯後も、焙煎発芽玄米から長時間にわたって焙焼香気が発生し続け、ご飯全体が香ばしい状態を継続した。加えて、ご飯を保温せず冷飯状態としたところ、やはり、焙煎発芽玄米から長時間にわたって焙焼香気が発生し続け、ご飯全体が香ばしい状態を継続した。
【実施例3】
【0065】
次に、本実施の形態の焙煎発芽玄米の実施例3について説明する。
まず、実施例3では、浸漬工程で、重量約300gの非発芽玄米を用意し、この非発芽玄米を、一昼夜(約24時間)、水温約30℃以上の水に浸漬して発芽させることにより発芽玄米を用意した。次に、水きり工程において、浸漬した水から取出した発芽玄米を、焼く3分間ざるにあけて水切りし、表面に大量に付着する水分を飛散させて適度な湿潤状態とした。このとき、水切り後の湿潤状態の発芽玄米の重量は、約465gとなった。次に、投入工程において、湿潤状態の発芽玄米(重量約465g)を、焙煎手段としての家庭用フライパンに投入した。次に、焙煎工程において、家庭用フライパンをガスコンロによる弱火で加熱開始した。なお、加熱手段としては、実施例2と同様、松下電工株式会社製のガステーブル(品番QGE39EG1)を使用し、その3種類のバーナーのうち、ハイカロリーバーナーを使用すると共に、火力として、5段階の設定火力のうちの最小の火力(火力1)を使用した。
【0066】
即ち、焙煎工程における第1の工程としての乾燥工程において、前記火力1で、フライパン内部の発芽玄米を櫂等の攪拌手段により攪拌しながらフライパンを加熱した。すると、焙煎開始時から約10分後に、湿潤状態にあった発芽玄米の表面の水分がほぼ完全に蒸発し、発芽玄米の表面が乾燥状態となった。更に、焙煎工程における第2の工程としての第1焙煎工程において、前記火力1でフライパンを引き続き加熱して発芽玄米を引き続き焙煎すると、その約20分後(焙煎開始時から約30分後)に、発芽玄米の表層部に爆ぜが生じ始め、パチパチまたはプチプチという爆ぜ音が発生し始めた。ここで、焙煎工程における第3の工程としての第2焙煎工程で、ハイカロリーバーナーの火力を、前記火力1からその次に大きな火力である火力2に強め、フライパン内の発芽玄米の焙煎処理を継続した。すると、その約7分後(焙煎開始時から約37分後)に、爆ぜ音が少なくなり、発芽玄米の表層部の爆ぜの発生が減少した。この時点で、加熱手段によるフラインパンの加熱を停止し、焙煎処理を終了した。次に、加熱停止後、焙煎発芽玄米をフライパン内において約3分間余熱処理した。この後、フライパンから焙煎発芽玄米を取出し、その重量を計測すると、その焙煎発芽玄米の重量は、約305gとなっており、前記原料としての非発芽玄米の重量(約300g)と略同等の重量となった。また、このとき、この焙煎発芽玄米の表面(表層部または糠部)には、その一部にのみ爆ぜ部分(亀裂)が存在するが、その全面にわたっては爆ぜ部分は存在しておらず、焙煎発芽玄米の内部に十分な量の焙焼香気成分を封入することができた。
【0067】
実施例3に係る焙煎発芽玄米は、実施例1の焙煎発芽玄米と同様、焙煎後に十分な焙焼香気を発生し、香ばしい状態となった。更に、実施例2に係る焙煎発芽玄米を約20%の割合で通常の精白米に混合して炊飯したところ、実施例1と同様、炊飯時に、焙煎発芽玄米から焙焼香気が発生し、香ばしい状態になった。更に、炊飯後も、焙煎発芽玄米から長時間にわたって焙焼香気が発生し続け、ご飯全体が香ばしい状態を継続した。加えて、ご飯を保温せず冷飯状態としたところ、やはり、焙煎発芽玄米から長時間にわたって焙焼香気が発生し続け、ご飯全体が香ばしい状態を継続した。ただ、実施例3と比較すると、実施例2の焙煎発芽玄米の方が、炊飯後の香ばしさや冷飯の香ばしさの点でより良好な効果を発揮した。なお、焙煎発芽玄米の色は、実施例2及び実施例3で同様の少し濃い狐色となった。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】図1は本発明の実施の形態に係る焙煎発芽玄米の製造方法を示す工程図である。
【図2】図2は本発明の実施の形態に係る焙煎発芽玄米の製造方法のおける各種条件の組み合わせを示す表である。
【符号の説明】
【0069】
STEP10 浸漬工程
STEP30 水切り工程
STEP40 焙煎工程
【出願人】 【識別番号】504190397
【氏名又は名称】米澤 貴美
【出願日】 平成16年5月17日(2004.5.17)
【代理人】 【識別番号】100103023
【弁理士】
【氏名又は名称】萬田 正行

【公開番号】 特開2005−323557(P2005−323557A)
【公開日】 平成17年11月24日(2005.11.24)
【出願番号】 特願2004−145829(P2004−145829)